( ^ω^)川゚-゚)'A`)´・ω・`)゚-゚)ξ
- 1 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:09:50.90 ID:J5VhoIVA0
- ―――……ジリリッ!! ……ジリリッ!!
……目覚ましの音が、うるさい……
( ´ω`) 「うう……やかましいお……」
―――……ジリrカチッ!
布団から片手だけ伸ばし、目覚ましをとめ、ついでに時間を確認
( ´ω`) 「AM7:30……学校は八時半からの営業だお……」
余裕だ。余裕すぎる。これなら二度寝しても十分に間に合う
そう考えると、一瞬起きかけた意識は一気にまどろみ、
そのまま、再び夢の世界へ旅立とうと……
「おーい、ブーン!! いつまで待たせるんだー?」
(;^ω^) 「!! クーの声だお! うはwwwwヤバスwwww」
旅立てなかった。むしろ飛び上がる勢いで目覚めた
そういえばこのために目覚ましをかけていたような覚えが……意味なかったが
(;^ω^) 「クー! 今すぐ降りるおー!!」
大声でそう返し、ぬぎっぱの制服に速攻で着替える
しわだらけだが、気にしない。きっとクーも気にしない……と、思う
(;^ω^) 「時間がないー! やっぱ目覚ましなんか信用できないお……!」
いや、100%お前のせいだ
- 3 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:10:35.34 ID:J5VhoIVA0
- (;^ω^) 「カーチャン! 今日は朝ごはんいらないお! すぐ出るお!」
J( 'ー`)し 「はいはいwきょうは、じゃなくて、今日も、でしょ? パンだけでも持ってきなさい」
(;^ω^) 「ありがとうだお!!」
パクっと食パンをくわえ、階段横のカバンを足で拾う
準備完了
さっさと出ないとクーに殺されてしま……ガチャ
川゚-゚) 「だれが誰を殺すって?」
(;^ω^) 「こ、心を読んだ!? えすぱー!?」
ブーンが飛び出すのを見計らったかのように、クーが玄関をオープン
贔屓目を抜いたとしても美人の部類に入る顔と、変わらない無表情は知的な感じだ
と、言えば聞こえはいいのだが……
川゚-゚) 「今朝は10分待った」
(;^ω^) (どう見ても怒ってます。本当にありがとうございました)
この状況でそんな顔をされては、謝るか土下座するかしか思いつかない
どっちが効果的か? と、ブーンがおたおたしていると、
川゚ー゚) 「気にするな。いつものことだろう? 私も気にしてない」
そう言って、クーは微かに口の端を吊り上げる
微妙な変化ではあるが、長い付き合いのブーンにはわかる。きっと、笑顔だ
- 4 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:10:56.13 ID:J5VhoIVA0
- クーはそのままカーチャンへと向き直ると、頭を下げ
川゚-゚) 「それではおばさん、今日もこのへちゃむくれを学校に連行します」
(;^ω^)「へちゃむくれ!? ちょwwww朝からヒドスwwwww」
気にしてないと言っておきながら、本当は怒ってるんじゃないんだろうか
J( 'ー`)し 「はい、いってらっしゃい。車に気をつけるのよ?」
カーチャンはカーチャンで、実の息子への暴言を、軽く流している
少しは否定の言葉も出ないのだろうか、と、肩を落とし
(;^ω^) 「ブツブツ……カーチャンまで普通に応対しないで欲しいお……」
幼馴染と実母のダブルパンチに打ちのめされ、朝から精神的にかなりまいるブーンであった
川゚-゚) 「……………」
( ^ω^)「……………」
てぽてぽと通学路歩くブーンとクー
川゚-゚) 「…………」
( ^ω^)「…………」
歩く二人の間に、会話はない
仲が悪いとか、喧嘩をしたとかいうわけではなく、これがいつもどおりだった
- 5 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:11:19.21 ID:J5VhoIVA0
- いつからだろう……なんとなく、この幼馴染と二人きりの時に、話さなくなったのは……
川゚-゚)「ん? どうした?」
(;^ω^)「あ、何でもないお」
川゚-゚)「そうか……」
話し掛けられても、つい、こんな風に返してしまう
クーと話すのが嫌なんじゃない
会話の糸口が見つからないってわけじゃない
共通の話題がないわけでもない
だけど、どうしてだろう、
( ^ω^) 「何を話せば……」
いつも、いつも、それを考えて、考えて……結局、何も話さない
何を言っても、きっと応えてくれる
何を言っても、笑って済ましてくれる
そんなことはわかっている。だけど……
川゚-゚) 「本当にどうした? 今日は顔が優れないぞ?」
(;^ω^) 「……!」
振り向きざま、流れる髪の間からのぞく横顔
上目遣いの視線は、色っぽくって、思わず息を呑んだ
(;^ω^) 「ほ、本当になんでもないお!」
こんな風に、時折ドキっとさせられる、クーの何気ない仕草
それを見るたびに、なんだか……話しづらく、なってくる
- 6 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:11:40.24 ID:J5VhoIVA0
- 川゚-゚) 「……? そうか、変なやつだな」
クーはそれ以上は何も言わず、いつものように無言のまま歩き続けた
そのことに、安堵すると同時に、ブーンは少しだけ後悔する
本当は、もっとクーと話したい
だけど、二人きりだと、妙な緊張感と無駄な考えが邪魔をして、うまく話せない
何も、気にすることなんか無いはず、なのに……
そうブーンが、落ち込んでいると、不意に肩を後ろから叩かれた。後ろを振り向くと
('A`) 「よっす……ブーン……ふぁ〜あ……ねむ……」
( ^ω^) 「あ、ドクオ、おはようだお」
クラスメートのドクオが寝ぼけ眼で、大口を開けてあくびをしていた
ドクオは、高校に入ってから出来た友達で、少し不良っぽい感じなのだが
不思議と馬が合い、一年少々の付き合いで、親友と呼べるようになった友達だ
だるそうに目をこするドクオに、クーは軽く眉をひそめて、ぼそりとつぶやく
川゚-゚) 「なんだ、また徹夜をしていたのか?」
('A`) 「いや、逆。15時間寝たら余計に眠くってよ……」
……アホだ。いくらなんでも寝すぎだお、と突っ込む寸前、クーが、ふむ、と前置きをしてから、一言
川゚-゚) 「ブーンといい勝負だな」
( ^ω^) 「え? それどういう意味だお?」
川゚-゚) 「ああ、主に間抜けさ加減だが?」
さっきまでのぎこちなさもどこへやら。テンポよくクーと話すブーンは楽しげで、しかし、こうも考えていた
……ドクオとかがいれば、結構自然に話せるのに……なんでだろう、なぁ……
- 7 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:12:35.48 ID:J5VhoIVA0
- そんな内心を、おくびにも出さずに、ブーンはクーの言葉に怒る
(#^ω^) 「ちょ、ひどいお!? 僕はいくらなんでもそんなに寝ないお!!」
……いや正確にいえば、怒ったふりを、した
川゚-゚) 「どうだろうなぁ。お前は一日寝巻きでいることもザラだろう?」
(;^ω^) 「うぐぅ……」
クーは、こうしてブーンをやり込めることを、楽しんでいる
それを知っているブーンは、そんなに腹が立っているわけでもないのに、怒ったふりをする
川゚-゚) 「日ごろの不摂生という点では、お前の方が問題じゃないか?」
もし、ここで、怒らず、流したら、クーはどう感じるんだろう……
思っても、それを実行に移すことは、ブーンには出来なかった
( ^ω^)「いやwwww15時間睡眠の方が絶対にやばいおwwwww」
川゚-゚) 「自覚的に寝たきりの方が人としてどうかとは思わないか?」
(;^ω^)「うぐぅ……」
言葉に詰まるブーンを見て、クーは満足そうに、口の端を少しだけつりあげた
いつもどおりの内容の会話、いつもどおりのクーの満足そうな顔
それを見て、密かに、不安になる
もし、いつもと違う反応をして、嫌われたら……
自分の気持ちをストレートに言う、クーの口から、そう言われたら……
そんな、ありえないことに恐怖して、望んでいた、クーとの会話すらも、無言と変わらない、
気持ちを偽り、キャッチボールを拒否したルーチンワークにしてしまうのだった……
- 8 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:12:56.80 ID:J5VhoIVA0
- 論破されたことも、それほど気にしていないのに、ブーンは項垂れ、苦々しく言う
(;^ω^) 「うう……これからは、気をつけるお……」
川゚ー゚) 「うむ、そうだな。そうしろ」
もう何度も繰り返したやりとりは、どこか空虚に感じた。でも、それでいいんだ、と自分に言い聞かせる
('A`) 「まあ、ブーンが駄目人間なのはどうでもいいんだがなwww」
( ^ω^) 「ドクオに言われたくはないおw」
軽口に軽口で返すことで、ブーンは気分を変える
ドクオは特に軽い侮辱を気にした様子もなく、携帯を取り出した
('A`) 「今日は来年度のクラス割りの発表だろ? さっき先に行ったショボンから、メールが来たんだよw」
知りたいか? と言いた気なドクオに、ブーンは頷く
自分の目で確かめたい所だが、早くわかるなら、それに越したことはないだろう
できれば……と、それ以上は考えず、ドクオの言葉を待っていると、
川゚-゚) 「うむ、教えてくれ。できればブーンと同じクラスで頼む」
(;^ω^) 「ブフォッ!?」
クーの突然で率直すぎる言葉に吹いた
('A`) 「……いや、それ、俺に言われても……」
真顔でそんなことを言われたドクオも、ブーンと似たような顔をしていた
それはそうだ。誰だって反応に困る
- 9 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:13:18.37 ID:J5VhoIVA0
- 川゚-゚) 「ふむ。確かに……ドクオに言っても無駄だったな……」
微妙に肩を落としているように見えるクーだったが、それも数秒のこと
シャキっと背筋を伸ばすと、両手を目の前で組み、
そしてそのまま目を閉じて、うなり始めた
(;^ω^) 「……何やってるんだお?」
川゚-゚) 「うむ。同じクラスになれるよう、念を送っているのだ……」
その気持ちは分かるし、一緒だけど……今やっても無駄な努力だと思う
ドクオも同じことを思ったのか、こそこそとブーンに耳打ちで聞いてくる
('A`) 「えーと……なあブーン、俺、これ、結果すでに出てるって突っ込むべき?」
(;^ω^) 「……いっそ結果を教えた方がいいかもしれないお……」
そうかもな、と、ドクオは何も言わずに、クーに携帯の画面を突きつけた。と
川ω・`) 「…………(´・ω・`)」
(;゚ω゚)「えええええっ!? ちょ、クー!顔!顔!!」
川゚-゚)「! あ、ああ…すまない、少しショックでな……」
クーの顔がショボーンになるほどのショックって一体……いや、考えるまでもないか
( ^ω^) 「……僕と違うクラスだったのかお?」
頷く。そこにドクオが、神妙な顔で付け足した
('A`) 「いや、それどころか、俺とショボンとブーンは一緒。クーだけ隣だな」
川ω・`)「…………(´・ω・`)ショボーン」
(;゚ω゚) 「クー!? ちょ、またかおっ!?」
- 10 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:15:10.27 ID:J5VhoIVA0
- クーがこうもクルクルと表情を変えるなんて、滅多にあることではなかった
川゚-゚) 「……過ぎたことは、言っても仕方がない、か」
( ^ω^) 「クー……」
いつもの無表情にクーは戻るが、それはいつものようには見えない
同じクラスになれなかった、たったそれだけのことで、ここまでクーが落ち込んでくれている
その意味を知れば、もう気兼ねすることなど何もない……はずなのに
( ^ω^) 「…………」
やはり、ブーンはクーにかける言葉を、見つけることが、出来ない
……もし、今のクーの気持ちを、自分が勘違いしていたら
……もし、その勘違いが自分の自意識過剰だったりしたら
そんな、臆病すぎる思考が、言葉を探すことさえ、ブーンに諦めさせてしまった
('A`) 「ま、まあ気にしたってしゃーねーよなっ!?」
( ^ω^) 「ドクオ……」
('A`) 「どうせよ、隣のクラスなんだしな。休み時間にいくらでも話せるだろ?」
川゚-゚) 「……うむ、そう……だな」
重い空気を何とかしようと、ドクオは明るくそう言ってくれるが、
それでもクーの表情は晴れない
('A`) 「…………」
ドクオはしばし、考え……
- 11 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:15:56.96 ID:J5VhoIVA0
- ('A`) 「そうだ。ブーン知ってるか? いい情報も入って来てんだよw」
突然、にやりと笑う
( ^ω^) 「いい情報かお? なんだお?」
クーと別のクラスと言う、とびっきりのバッドニュースのあとに、何があるのだろう?
('∀`) 「なんとなw うちのクラスにゃ、早々に転入生が来るらしいwww」
( ^ω^) 「? それのどこがグッドニュースなんだお?」
('∀`) 「お前は英語使うな、なんか萎える。……どうもその転入生はな……女らしいw」
確かに、いい情報だ。それは認めよう。友達が増えるのはうれしい
でも、クーの表情を見た後に、なぜそんなことを言うのだろうか……あと萎えるってなんだ
('∀`) 「しかもだ、それだけじゃねぇ。噂じゃあかなりの美少女らしいぞ?」
( ^ω^) 「? ……で、それがどうかしたのかお?」
はっきり言ってしまえば、興味なかった。それよりも今はクーのことが……
思いっきり、そう顔に出して言うと、ドクオは、かー、こりゃだめだ、と大げさに言った
('∀`) 「いいか? クーとは別格でも、いい女なんていくらでもいるだろうが?
遠くの神より近くの鬼って言うだろ? たまには他の女も見てみろって事だよっ!」
そう、ドクオが、笑いながら言った、直後……背後から、ドドド、という妙な擬音が聞こえた
言い換えるならば、そう……強大なプレッシャーが突如発生した
川゚-゚) 「………ほう………?」
震源は、言うまでもない。クーだった
- 12 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:17:04.14 ID:J5VhoIVA0
- 炎の書割を背負ったかのようなクーは、無表情のまま、ブーンの方を見る
川゚-゚) 「……どうかしたか?」
(;^ω^) 「あうあう……」
それはこっちのセリフ、とも言えずに、ブーンはどもる。と、そこに……
('A`) 「クー、そろそろブーンもお年頃なんだ。そのぐらいは許してやろうや?」
(;^ω^) 「!! チョッ!! チョッ!? ド、ドクオ?」
息子のエロ本を発見した父親の表情で、ドクオがとどめをさしにきた
やばい。これ以上二人を放置していたら、何か取り返しのつかないことになる
(;^ω^) 「い、いや、ドクオ! 僕はそんなんぜんぜん興味ないおっ?」
川゚-゚) 「む……そうか…いや、うん、そうだろうな。もちろん、わかっていたぞ?」
大声でそう主張すると、クーの背後から炎が消えた。かに見えたが……
('A`) 「見てないうちはなんとも言えるけどなー」
川 - ) 「ほう……?」
(;^ω^) 「チョ……ッ!?」
燃料再投下。再燃。爆発はもう間近です。近隣の住人は速やかにお逃げください。そんな状況になった
わけがわからないので意訳すると
訳:もうだめぽ……
- 13 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:17:52.39 ID:J5VhoIVA0
- (;^ω^) 「ちょ、ドクオ! 悪ふざけが過ぎるお!
そもそもそんな美人がいたところで僕なんか相手にされないお?」
苦し紛れに、早口でそう言い切った
川 - ) 「…………」
クーはそれを聞くと、うつむき、無言で考え、顔を上げると
川゚-゚) 「うむ。それもそうだな」
あっさり納得した
納得されるのもどうかと思うが、今はそれでいい。嵐は過ぎ去ったのだ
川゚-゚) 「まあ、安心したよ」
クーはそう言うと、歩調を速め、二人を置いていくかのような勢いでずんずんと歩き始めた
('A`) 「…………」
(#^ω^) 「まったく……ドクオもふざけすぎだお……」
クーから少し離れ、声が聞こえないようなところで、ブーンはドクオを非難する
あのままでいたら、きっとクーは怒りだし、とんでもないことになっていたかも知れないのだ
だが、ドクオは、それに謝るどころか、不機嫌を隠そうともせず、つばを吐いた
('A`) 「お前よ……いいかげんにしとけよ?」
( ^ω^) 「え……?」
- 14 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:22:50.58 ID:J5VhoIVA0
- カバンからマルボロを一本取り出すと、学生服のままなのに火をつけた
(;^ω^) 「ちょwwwwここ通学路wwwwww」
('A`) 「うるせぇよ。だまれ」
(;^ω^) 「うぐっ……」
気おされ、押し黙るブーン
今日のドクオは、どこかおかしい。いつものような軽い感じはなりを潜め
鋭い眼光が、ブーンを今にも刺すのではないかという迫力で、射抜いていた
('A`) 「お前らがな、仲のいい幼馴染ってのは、いいんだよ、別に」
嫉妬なんかしてねぇ、言って、煙を吸い込む
('A`) 「でもよ……アレだ、見ててイラつくんだよ」
(;^ω^) 「ちょwwwwそれ嫉妬wwww」
('A`) 「違ぇっつってんだろ?」
笑い、茶化せば、ドクオはそれに乗ってくる
いつも喧嘩になりそうな時は、それでお互い頭を冷やすのだが、
今日のドクオは語気を強めるばかりで、真剣な顔を緩めようとはしなかった
- 15 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:23:21.58 ID:J5VhoIVA0
- ('A`) 「なんつーんだろうな……あれじゃ、クーが可哀想だろが?」
( ^ω^) 「かわいそう……?」
('A`) 「……あのよ、普通なら、だ。俺があそこまでやらぁよ、
お前が好きだの何だの言って、誤解を解くんじゃねぇの?」
そう思ってやったんだがな、とつぶやき、タバコを手に持つ
('A`) 「クーはよ、どう見たってお前が好きなんだ。そのぐらいわかってるだろう?」
( ^ω^) 「………」
言い切るドクオに、しかし、ブーンはうなずけない
その様子をみて、ドクオはまたつばを吐き、顔をさらにゆがめた
('A`) 「はたから見てる俺でもわかってんだぞ?
そんだけあいつはストレートに伝えてるじゃねぇか、お前が好きだって
どこぞの告白されるまで待ってる馬鹿女とは違ってな」
( ^ω^) 「でも………」
もし……それが勘違いで、そう言って、今まで通りでいられなくなったら……
('A`) 「……そうかよ。じゃあ、言わせてもらうが、」
川゚-゚) 「おーい、お前ら。遅刻するぞ?」
ドクオが何か続けようとしたとき、先を行っていたクーの呼ぶ声がした
- 16 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:23:50.38 ID:J5VhoIVA0
- ( ^ω^) 「クー! 今いくお! ……ドクオ、ごめん」
クーに返事を返し、ドクオに、気遣いを無にしてしまったことを謝罪した
案の定、ドクオは苦い顔で
('A`) 「謝るなら、クーに謝れよ」
と、つぶやき、そして走りながら、こう付け加えた
('A`) 「……ちんたらやっててよ、どっか別の男に取られても、知らねぇからな……」
( ^ω^) 「…………」
付け加えられた、その言葉は、今まで言われた言葉の中で一番、心に深く突き刺さった
- 20 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 00:49:44.16 ID:J5VhoIVA0
- ブーン達が通うVIP高校は、山の中ほどに建っている
山と言うと田舎のように聞こえるが、それほど田舎というわけではない
かといって、都会とも言えないので微妙なラインなのだが
まあ、ベッドタウンと言うのが正しいのかもしれない
(´・ω・`) 「みんなー、おはよう」
校門の前で、ショボンが手を振っていた
成績は悪くないどころか、かなり優秀な部類に入るショボンだが、その仕草はかなり間抜けだった
率直に言えば、馬鹿っぽい
('A`) 「うーす」
( ^ω^) 「おはようだお」
川゚-゚) 「うむ、いい朝だな」
そんなショボンの行動にも慣れた三人は、苦笑を浮かべるでもなく、挨拶を返すと、
ショボンは満面の笑みを浮かべ、
(´・ω・`) 「はっはっはっはっ……ぜぇぜぇ……お、おはよう……」
('A`)( ^ω^)川゚-゚) 「…………」
息を切らしながらこちらまで駆け寄ってきた
もうここまで来ると馬鹿っぽいではなく、単なる馬鹿にしか見えない
('A`) 「おーよしよし、今日もお前は馬鹿だなぁ?」
(´・ω・`) 「馬鹿じゃないよーひどいよー」
口ではそう言っていても、ニコニコと笑っているので、喜んでいるようにしか見えない
見ていてほのぼのとしてくるぐらい、今日もショボンは馬鹿っぽかった
- 24 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 01:08:21.49 ID:J5VhoIVA0
- ('A`) 「ま、ショボンがいつもどおり馬鹿なのは置いといて、だ」
(´・ω・`) 「馬鹿じゃないよー?」
犬のようにあごを撫でられながら言っても説得力は皆無なわけだが
当然のごとく、ドクオもショボンの発言をさらりと無視する
('A`) 「さっきメールで教えてもらったけどよ、俺らもクラス割り見にいこうぜ?」
くい、と親指で職員室の方向を指差し、ドクオはそう言った
( ^ω^) 「うん、僕も見ときたいお」
異論があるわけもなく、ブーンが頷くと、
川 - ) 「ああ、是非とも見たいな……まあ、それはさておき、だ」
(´・ω・`) 「え? え? ちょっ……ええっ!?」
―――ギリ、ギリ、ギリギリギリギリィィィ……
川 - ) 「ショボン、私とブーンを別のクラスに配置するとは……いったいなんのつもりだ?」
(´゚ω゚`) 「ちょっ!! ちょっ……ギ……ギブ、ギブ……動脈が、動脈がぁ……!!」
クーがショボンの首を持ち、そのまま持ち上げていた。いい感じに首が締まっている
確か、どこかで見たことが……ああ、そうだ、ネックハンギングツリーとか言う技だ
ぽん、と手を打ち、納得したところで、ショボンの顔が紫なことに気づいた
(;゚ω゚) 「ちょっ! クー!? 殺人殺人! キマッてるおっ!?」
('A`) 「えっと……これ、救急車じゃなくって、霊柩車呼んだほうがよくね?」
(;゚ω゚) 「いや、とっとと止めるお!」
- 25 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 01:26:41.73 ID:J5VhoIVA0
- 結局、解放された時、ショボンはすでに落ち(気絶し)ていた
(;^ω^) 「ぜぇぜぇ……ク、クー、落ち着いたかお?」
川゚-゚) 「あ、ああ、すまない……少し、落ち着いたよ」
('A`) 「まあショボンはこの上なく落ち着いているがな。むしろ落ちてる」
ドクオに促され、地面にぐったりしているショボンを一瞥して、クーはうつむく
川 - ) 「ブーンと離れ離れになった原因だと思うと……つい、な」
いや、それショボンが原因じゃないし
('A`) 「……気持ちは、察するよ……今回ばかりは、仕方ねぇよな……」
くどいようだがショボンは無実だ
( ^ω^) 「でも、いくらなんでもこれはやりすぎだお……」
お前もフォローぐらいしてやれ
どうやら今回のクラス割りは、すべてショボンの差し金ということで決着しているようだ
('A`) 「ま、過ぎたことは言ってもしゃーねーよ。とりあえずクラス割り見に行こうぜ?」
( ^ω^) 「あ、うん……」
川゚-゚) 「ふむ……あまり、気乗りはしないが、な……」
ため息をつくクーにつられ、二人もまた、顔を暗くする
三人は、登校中とは打って変わって、沈んだ様子でとぼとぼと職員室に向かった
ちなみに……ショボンはそのまま放置されたことを付け加えておこう
(´ ω `) 「ああ、ああ……おじいちゃん、おじいちゃんが……! 手招きしないでぇ……!」
- 33 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 02:00:48.24 ID:J5VhoIVA0
- (;^ω^) 「いや……あの……クー?」
川゚-゚) 「あと三秒……いや、二秒だけでいいから待ってくれないか?」
(;^ω^) 「う……わかったお……」
職員室の壁に張り出されたクラス割りの前
そこでクーは何度も何度も目をつぶっては開きを繰り返していた
一度目は、
川゚-゚) 「……あー、ちょっと目が疲れているのかな……少し、少しだけ休んでいいか?」
二度目は、
川゚-゚) 「ふむ……すまない、ちょっと念を入れてみてもいいか? そうすれば結果が変わりそうなんだ」
三度目は、
川゚-゚) 「……たぶん、このクラス割りはだまし絵方式で書かれているんじゃないかな?」
これ以上はきりがないので省略するが、こんな調子でクーは何度も何度もクラス割りをにらんでいた
ブーンとドクオはそれに付き合わされる形で、ずっと職員室の前で座り込んでいる
さすがに待ちつかれたのか、ドクオは頬杖をつき、
('A`) 「なーんど見たって変わんねって……」ズバーンッ!!
('Aメ) 「すんません、なんでもないです」
いらないことを言ってはクーに殴られていた
今日は授業もないということもあり、クーは時間の許す限り、その作業を続けていたのだが、
川゚-゚) 「……ふむ、過ぎたことは言っても仕方ない、帰るか」
昼のチャイムが鳴るか鳴らないか、そんな時刻になったとき、クーは目を細めてそう言った
- 36 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 02:20:43.61 ID:J5VhoIVA0
- ('A`) 「過ぎたことをドンだけ言ってんだっつの……」
ぶつくさ文句を言いながら歩くドクオと二人で、ブーンは校門をくぐる
途中、
(´ ω `) 「い、いや……違うんです……ぼく、六文銭なんて持ってませんから……船には乗りませんから……」
などとうめく物体が転がっていたが、二人とも特に気にはしない
この学校ではよくあることだ。触らぬ神に祟りなしの方向で、放置しておいた
時折、苛立たしげに禁煙パイポをがしがしと齧るドクオをなだめつつ、ブーンはため息をつく
川゚-゚) 『む……そうだ、選択授業のクラスなら、まだ望みはあるな……』
げた箱で思い出したかのようにそう呟いたクーは、さっときびすを返して職員室に行ってしまった
おそらく今ごろは、生物教師あたりをネックハンギングツリーで吊るしながら交渉をしているのだろう
何もそこまでしなくても、そう思うと、ため息が漏れるのを止めることが出来なかった
('A`) 「ったく……それもこれも、全部お前のせいだろうが?」
( ^ω^) 「え……?」
今まで独り言で愚痴を言っていたドクオが、急に話を振ってきた
唐突なのと、考え事をしていたのと、その両方からブーンは間の抜けた返事を返してしまう
ドクオは大げさにため息をつくと、いいか、と前置きして、説教でもするように話し始めた
('A`) 「実際よ、クーがなんであれだけお前といたがるのかわかってないだろ?」
わかっている、そう言おうとしたが、ドクオはそれを待たずに続けた
('A`) 「表向きはわかってるつもりだろうけどよ、多分、それ間違ってるぞ?」
- 42 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 02:37:44.13 ID:J5VhoIVA0
- 噛み過ぎてぐちゃぐちゃになったパイポをしまい、新しい物と取り替える
('A`) 「クーはな、お前が好きだから、一緒にいたいんじゃないんだぞ?」
( ^ω^) 「……!」
てっきり、好きだから一緒にいたがっている、そう言うと思っていた
いつもドクオは初めにそれを言って、それが前提のように話すから、今回もそうだと思っていた
いや、ブーンが動揺したのは、単にいつものパターンを崩されたからではなく、
『お前が好きだから、一緒にいたいんじゃないんだぞ?』
どういうわけか、この部分に、ひどく、自分でも意外なほどにショックを受けた
クーは、自分のことが、好きじゃないんじゃないか
いつも、そんなことはない、と自分で否定して、それでも確信が持てない疑惑
今までは、クーがいつも一緒にいたがってくれる、そこをより所にして、疑惑を否定してきた
しかしそれをこうして、第三者の口から否定されると……まるで疑惑が誰から見ても瞭然な事実のように感じてしまう
('A`) 「あいつはな……不安なんだろうよ」
同い年の割りに、やけに老成した雰囲気で、ドクオが言う
( ^ω^) 「不安……どういう……?」
我ながら、間抜けな返しだと思うが、
なぜだかドクオの話を聞いていると、ほかの話に行きそうな返しをすることが躊躇われるのだ
- 44 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 02:53:56.64 ID:J5VhoIVA0
- ブーンの内心の動揺など、まったく感じないか、それとも全て見透かしているのか、
どっちとも取れる落ち着きをもって、ドクオはうなづいた
('A`) 「そりゃな、俺やショボンと比べたら、お前の方が好なんきだろうさ
でも、だから一緒にいたいんじゃねんだよ。わかるか?」
首を横に振る。正直、よくわからない
('A`) 「……消防までの恋愛じゃねんだからよ、あいつはな、きっとこう思ってる
『ブーンがどこかに行っちゃうんじゃないか』ってな……これなら、お前にもわかるだろ?」
それは……わかるとか、それ以前の問題で……身にしみて理解できる事だった
自分も、似たようなことで、いつもいつも、悩んでいるのだ、わからないはずが……ない
('A`) 「だったらよ、お前がはっきり言ってやればすむ事だろ?
『俺はお前から離れない』……たったこれだけの事で、お前もクーも安心できるんじゃねぇの?」
だっつーのによ。つばを飛ばす代わりだろうか、パイポを口から飛ばして、ドクオは怒鳴った
('A`) 「煮え切らねぇ態度でぐずぐず関係引き伸ばしてんじゃねぇよっ! 男だろ?」
( ^ω^) 「で……でも……!」
と、ブーンが反論しようとすると、途端にドクオは手のひらでブーンを制した
('A`) 「お決まりのせりふだったら、もう聞き飽きてる。……ま、これ以上は平行線だな」
そう言って、ドクオはわざとらしいぐらいに怒った様子でブーンの前を歩くのだった
- 111 :◆3mfWSeVk8Q :2006/04/12(水) 22:47:21.69 ID:J5VhoIVA0
- それから一言も口をきかないまま、二人はわかれた
('A`) 「……悪い、言いすぎた。俺が言ってもよ、しょーがねーのはわかってんだけどなw」
去り際にそう苦笑したドクオの顔とセリフを、ブーンは何度も頭の中で繰り返し、考える
( ^ω^) (クーは……本当に、僕を待っているのかお……?)
クーが自分に好意を持ってくれているのは、わかる。それはもう、痛いほどに
しかし、クーが自分に抱いてくれている感情と、世間一般で言われる恋愛感情
その間に、どこか隔たりがあるようにも思えるのだ
( ^ω^) (クーが、僕を見る目は……なんか、そういうのと違うんだお)
物心ついたころから、家族ぐるみの付き合いをしている
そのせいか、クーが自分を、どこかの部分で家族として見ているような気がしてならない
そして、それは自分にも言える事だと思う
( ^ω^) (僕は……クーを『家族』として好きなだけなんじゃ、ないのかお……?)
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