( ^ω^)川゚-゚)ξ゚-゚)ξ'A`)´・ω・`)

415: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 03:09:25.41 ID:krBM4eMw0
ショボンの朝は早い

学校に行く前に、予習復習をする習慣は、同時に早寝早起きにも繋がっていた
眠気覚ましを兼ね、数学の問題を二つ三つほどノートに書き写し、解いて行く
単純な高次式の問題は、パズルのようにスラスラと解けるので、やっていて楽しさがある。と

今まで解いた事の無いタイプの問題に当たり、シャーペンが止まった
が、丁度区切りもいい、ノートを閉じ、シャーペンを置く

さて、そろそろ学校に行く準備をしよう
ドクオのくれたドッグタグを、首にかけ、寝巻きを脱ぎ、鏡の前に立った

(´・ω・`) 「……うん、カッコいい」

頷くと、ショボンの眼が、鋭くなった。鏡の自分に、しっかりしろ、と眼で言うように
いつまでも、鏡を見ていても仕方がない
制服を手にとり、着替えようとして……しばし、逡巡する

(´・ω・`) 「もしかしたら……」

考え、決めた
今日は、少し早めに家を出よう、ブーン達と合流しないように



417: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 03:11:04.09 ID:krBM4eMw0
―――ざわ……ざわ…………!

屍A 「これは……!」
屍B 「待て、孔明の罠かもしれん!」

もはや屍としか呼ばれなくなってしまった、男子達は、朝の教室に奇跡を感じていた

屍C 「Bよ、それは本当か! だとしたら……なんという、なんというハニートラップ!」
屍B 「いや、俺にもよくはわからんが……」

教室で眠りこけるツンを中心に、円を描いて騒いでいるのは、ツンを起こさないためだ
絵に描いたような深窓の令嬢、ツンの寝姿を、少しでも長く楽しむ為に、
屍達は細心の注意を払い、蟲の蠢きの如く、静かに沸き立つ
一個の生命体のように協力し合っているようにも見えるが、その実、彼らは互いに牽制しあっていた

屍A 「……で、ときに相談なんだが」
屍C 「……誰が、起こす?」
屍B 「……愚問だな」

出来るならば、この時間よ、永遠となれ、と叫びたいところだが、ここは学校だ、そうはいかない
極悪な担任が来る頃まで、寝ていれば、ツンになんらかの処分が下るだろう
よって、ギリギリの時間には起こす必要があるのだが……

屍A 「……もしも、これがハニーではないトラップだとしたら、お前たちにそんな……」
屍B 「皆まで言うな。……お前に、そんな危険なことは、させられない」
屍C 「待て。死ぬのは、俺一人で十分だ」

日本語って、本当に不思議。思いやっているようでいて、下心が満載なのが解る。と、



418: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 03:11:51.38 ID:krBM4eMw0
――ガラララッ!!

サッシに歪みの見え始める教室の引き戸が、豪快な音と共に走った
ツンも起きてしまうのではないか、というぐらいの音に驚き、屍が振り返ると、

(´・ω・`) 「話は、大体聞かせてもらったよ……?」

ソレがショボンだと気づくのに、屍達は、少しの時間を要した
漫画の中でしか聞いた事のないセリフに、突っ込むことも忘れ、ただただ呆然と、口々に

屍C 「……その、声は、まさか?」
屍A 「お、お前………?」
屍B 「なにが、あったんだ」

驚くのも、無理はない。ショボンの出で立ちを、一言で表すなら、
そう…………びじゅある系、だった

(´・ω・`) 「みんな、おはよう」

前を全開に開けた制服は、まだらにかけられたアイロンで、妙な光沢が斑に光り、
下に見えるワイシャツは、襟を真上に立て、第三ボタンまで外し、胸元を露出
Tシャツを着ていない地肌には、黒光りするドッグタグが、存在感を強め……

屍達 「…………」

みんなの思いは、一つになる

…………どうしよう。この子、グレちゃったのかしら



420: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 03:13:01.07 ID:krBM4eMw0
肩で風を切りながら、威風堂々とショボンは歩く
まっすぐに、ツンの眠る場所に向かって

屍B 「ちょ、ショボン、待て! 待つんだ!」
(´・ω・`) 「ああ、ごめん。ちょっと、ツンさんに話があるんだ
       ……この格好、どう思うって、聞きたいんだ」
屍達 「…………!?」

彼らが想像した事は、もはや説明せずとも伝わるだろう
言葉どおりの意味ではなく、その裏を想像し、屍達の顔がサッと青ざめた
間をおかず、彼らは、全力で、ショボンを引き止めにかかる

屍C 「か、考え直せ! お前はなんか……こう、まちがってるから!」
屍B 「思い出せ! お前は優等生だったはずだろ!?」
屍A 「初めてのオシャレは、そういう方向じゃ駄目なんだよ……!!」

嫉妬ではなく、クラスの友の人生に、汚点を残させない為に、彼らは全力を出していた
心の底からの叫びは、しかし、今のショボンには、届かない
いつもの悪ふざけの延長としか、思ってはいなかった

屍達 「は、はやまるなぁぁぁぁぁあああああ!!!」

――ショボンの手が、ツンの肩にかかり、やさしく揺り起こす

ξ゚-゚)ξ 「……ん、んぅ……なに……?」
(´・ω・`) 「おはよう、ツンさん。ところで、僕の格好、どう思う?」

空気が、一瞬で、凍りついた



421: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 03:13:49.22 ID:krBM4eMw0
ξ゚-゚)ξ 「……………」

頭の回転が、まだ本調子ではないのか、ツンはぼうっとした眼を、ショボンに向け
屍達は、固唾を飲んで、事の成り行きを見守った
なぜ、今ここにブーンとドクオがいないのか、そう、神を恨みながら

(´・ω・`) 「……どう?」

なんでお前は誇らしげなんだ
わかった。わかったから、かっこよさそうなポーズとか決めるな

と、そのうち、反応の鈍かったツンの顔に、徐々に赤みがさしていき……
ようやく、ぼやけていた視界が、像を結んだ。瞬間

ξ゚听)ξ 「…………………………………ボヒュッ!?」
(´・ω・`) 「え!? な、なんで、吹くのさ!? 」
屍達 「……それはひょっとして、ギャグで言ってるのか?」

残念ながら、この子、真面目に言ってるんです



434: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 04:48:21.94 ID:krBM4eMw0
(´・ω・`) 「そ、そんな驚かなくたっていいじゃない!?」

ツンのリアクションの意味を解っていないのか、ショボンはまたもやその場でくるくると回った
回り、とある角度で立ち止まっては、ビシッ、と妙なポーズを取り、360度余すところ無く、披露する
本人は、かっこいいと思っているのかもしれないが、見ている方には、これ以上ない拷問の完成だった

ξ゚听)ξ 「……な、何が目的なの?」
(´・ω・`) 「何がって……どう思うって聞いてるじゃない。かっこいいでしょ!?」

ほうぼうから聞こえる、イタタ、という悲鳴は、恐らくは似たような病にかかった屍の声だろう
誰にでもあることだ、気にしてはいけない

ξ゚听)ξ 「……」

静かに、息を整える。行動だけを見るなら、笑いを堪えきれないが
ショボンの顔を見て、言いたい事を察する
これは、きっと、昨日の続きなのだ、と

ξ゚-゚)ξ 「……」

胸の奥で、後悔がうずいた。ドクオの言っていたように、言わなければ、何も伝わらない
何も、伝えなかったから、今、ここでまた、こうしているのだ
あえて、何も言わずに席を立り、ドアの方を親指で示し、言う

ξ゚-゚)ξ 「ちょっと、表出ましょう?」



435: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 04:49:01.37 ID:krBM4eMw0
今日の服装は、ショボンなりに、一生懸命に考えた結果だった

昨日、ツンに言われた事は、確かに頷ける物で、的外れな事など何一つなかった
だが、よくよく考えれば、それは美術作品としての評価なのではないか

アクセサリーはアクセサリーだ
服装次第で、どんなすばらしい物でも、浮いてしまう事もあるし、その逆も同様だ
だったら、自分は、このドッグタグの良さを引き出せるような、格好をすればいい

そう思って、朝から準備をした。ツンに見せるために
見せて、それで何を言われても構わない
けれど、これだけは必ず言おうと、決めて

ξ゚-゚)ξ 「ここで、いいんでしょ?」

着いたのは、昨日と同じ、階段横の倉庫

(´・ω・`) 「うん」

頷き、

ξ゚听)ξ 「……それで?」

表情を、硬くするツンに、

(´・ω・`) 「ツンさん……昨日は、ごめんなさい」
ξ゚听)ξ 「え?」

頭を、下げた



436: ◆3mfWSeVk8Q :2007/12/31(月) 04:49:59.77 ID:krBM4eMw0
ツンは言っていた
そんなことを言いたかったんじゃあない、と

(´・ω・`) 「昨日は、わけわかんないこと、言ってごめんね」
ξ゚听)ξ 「きゅ、急に、何よ?」
(´・ω・`) 「頭、冷えたから」

自分は、言葉尻だけを取って、鬼の首を取ったように、勝ち誇っていた
謝らせようと、やっきになって、熱くなっていた

(´・ω・`) 「それは、謝る」

謝らないと、たぶん、いけない

(´・ω・`) 「でも」

それだけでも、いけない

(´・ω・`) 「ちゃんと、感想を聞かせて欲しいんだ」

ドクオの作ってくれた、ドッグタグの事を、ちゃんと見て欲しい
そう、正直に、ショボンはツンに伝えた



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