( ^ω^)がアウターブーンの世界に入り込んだようです

5:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:12:03.46 ID:Ht15GaDh0

第九話
「七不思議を追え!!〜前編〜」

川゚−゚)「こんにちは皆さん。アウターブーンの案内人、クーだ」

川゚−゚)「皆さんの学校には、七不思議というものがなかっただろうか?」

川゚−゚)「生徒達がいなくなり、明かりを落とされた学校は姿を豹変させる」

川゚−゚)「どうやらそこは異世界に通じる場所でもあるようだ」



6:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:12:36.27 ID:Ht15GaDh0

(;・∀・)「ね、ねぇやっぱり帰ろうよ……」

( 'д')「何言ってんだよ。ここまで来て帰れるかよ」

(℃゚)「モララーはビビリだからな〜お前だけ帰ってもいいんだぜ?」

(*'-')「ちょっと、やめなさいよ……」

静まり返った空間。
いつもは生徒たちの気配で満たされるこの学校も、日が落ちるとすっかり姿を変えていた。
誰もいない教室。
いつもより長く感じる廊下。
トイレも一人では遠慮したい。

僕ら4人は七不思議を実行する為に、先生や警備員の目をかいくぐって学校に残っていた。
言いだしっぺはこの男。

(℃゚)「なぁなぁ、この中学の七不思議って知ってるか?」

( 'д')「なんだそりゃ?そんなのあんの?」

(*'-')「初耳だわね」

あれよあれよと言ううちに、いつの間にか僕も強制参加させられることになった。
まぁ僕だけ仲間外れもいやなんだけど……。



7:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:13:28.15 ID:Ht15GaDh0

あいつの話によると、七不思議を全て実行するとなにやらとてつもなく凄い事が起こるらしい。
それが何かはわからないらしいけど、とてつもなく凄いんだから、まぁ、凄いんだろう。

(℃゚)「いいか、まず一つ目は……」

音楽室。肖像画のベートーベンの目が光りだすらしい。

(*'-')「……光ってるわね」
( ・∀・)「……光ってるね」

ミサキと僕が呟く。
哀れにも、目に画鋲が刺さっているベートーベン。
なんだか凄い目つきになってるが、光ってると言えなくもない。

(#'д')「おいコラ」
(℃゚;)「ま、まぁまぁ、まだ一つ目じゃないか!!



8:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:19:17.88 ID:Ht15GaDh0

二つ目。同じ音楽室のピアノ。
夜になるとひとりでに鳴り出すらしい。

(*'-')「……鳴らないわね」
( ・∀・)「……鳴らないね」

(℃゚;)「お、おかしいな」
(*'-')「次行きましょ次」


ポーーーン


(;'-')(;・∀・)(℃゚;)「!!!?!?!??!?」

( 'д')「へへ、びっくりした?」

びっくりして後ろを振り向くと、小次郎がニヤニヤとピアノの前に立っている。



9:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:19:50.09 ID:Ht15GaDh0

(#'-')「ちょっと!!ふざけないでよ!!」
(;・∀・)「び、びっくりした〜」
( 'д')「だってよ、このままなんも起きなかったらつまんねえじゃん?誰かさんのフォローだよフォロー」
(℃゚;)「むむむ」

( 'д')「ホラ次行こうぜ!!」

僕らは音楽室を出て、次の場所に向かった。


…………ポー………………ーーン…………


( 'д')「……!?」
( ・∀・)「どしたの?」

( 'д')「いや……なんでもない」



11:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:28:16.69 ID:Ht15GaDh0

三つ目。理科室の人体模型。
こいつは人間が生きたまま漆喰で固められたもので、夜中になると
中からカリカリとひっかくような音と共に「出してくれ〜」と恨めしい声が聞こえてくるらしい。

( 'д')「……なんか設定に無理がないか?」
(*'-')「文句ばっか言わないの!」
(℃゚)「シッ!!」

(℃゚)「……なにか聞こえないか?」

( ・∀・)「え?別に何も……」

…………カリ……カリカリカリ………………



12:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:28:45.25 ID:Ht15GaDh0

(;・∀・)「あわわわわわ……」
( 'д')「おい待て、こっちから聞こえるぞ……」

小次郎は教室の隅の掃除用具入れを指差した。
……確かにあそこから聞こえる……。

……カリカリ……カリカリカリカリカリカリカリカリ……

( 'д')「……」
(*'-')「ちょ、ちょっと、小次郎!!」

小次郎は掃除用具入れのドアを勢いよく開けた。
開けた途端、何か小さい物体が小次郎に襲い掛かってきた。

(;'д')「うわぁっ!!」
(;・∀・)「小次郎っ!!」
(℃゚)「ひぃぃぃぃぃぃ!!」



13:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:29:32.94 ID:Ht15GaDh0

尻餅をついた小次郎の上にちょこんと乗っかっているもの……

(=・ω・)「ぶにゃ」

(;・∀・)「穢れてないうんこ!!穢れてないうんこじゃないか!!」

穢れてないうんこは小次郎の上から降りると、僕の足に擦り寄ってきた。
ひょいと持ち上げて背中をなでる。

(;・∀・)「なんでこんなところに……」
(=・ω・)「うな〜」

気持ちよさそうに目を細める穢れてな(ry。

( 'д')「び、びっくりさせやがって……」
(℃゚)「そ、それモララーのぬこ?学校までついてきちゃったのかな」
(;・∀・)「ご、ごめんよ。それにしてもなんで掃除用具入れなんかに……」
( 'д')「誰かのイタズラじゃねえの?タチわりぃことしやがる」



15:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:31:31.85 ID:Ht15GaDh0

(*'-')「ねぇ。今、ぬこちゃんの名前なんて言った?」

ミサキが目を細めて僕らを睨む。

(;・∀・)「え? 穢れてな(ryだけど……」
( 'д')「穢れてな(ryがどうかしたのか?」

(*'-')「いやおかしいでしょ!!ぬこちゃんが可哀想よ!!」
( 'д')「そうか? 穢れてな(ryっていい名前だと思うけどな」

(*'-')「絶対変よ!!ねぇ改名してあげなさいよ」
(;・∀・)「兄ちゃんの友達がつけてくれたんだけど……や、やっぱり変だよね」
(;・∀・)「(呼んでるうちに慣れちゃったよ)」



17:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 21:32:08.64 ID:Ht15GaDh0

( 'д')「なんだよ。じゃあミサキはなんかいい案でもあんのか?」
(*'-')「下手に安価なんてするからいけないのよ。募集してその中から選べばいいじゃない」
(;・∀・)「じゃ、じゃあすいませんけど、よろしく……」

(℃゚)「(>>1がパパッと決めちゃえばいいのに……)」

↓猫の名前

18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/30(火) 21:34:13.13 ID:sItgpFT50
ヤボダナァ

19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/30(火) 21:42:01.08 ID:hvbays63O


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/30(火) 21:45:11.45 ID:qORrVpehO
ウコン

21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/30(火) 21:55:12.81 ID:jrw+M6KkO
ヨシマロ

22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/30(火) 22:04:09.56 ID:/AGGU1nrO
金多摩サムライ



23:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:07:13.71 ID:Ht15GaDh0

(*'-')「決めたわ。このぬこちゃんの名前はウコンよ」
( 'д')「お、なかなかいい名前じゃねえか」
(;・∀・)「すいません。ありがとうございます。よかったな〜ウコン」
(=・ω・)「ぶにゃん!!」

(℃゚)「(嬉しそう……)」



24:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:08:09.41 ID:Ht15GaDh0

(℃゚)「さぁ気を取り直して次行こう次!!」

四つ目。二宮金次郎の銅像が、夜中に足りない薪を探して歩きまわるという。

校舎から銅像が見える角度の窓まで移動している最中、小次郎が僕の傍に寄ってきた。
他の二人には聞こえないように小声で呟く。

( 'д')「さ、さっきはありがとな」
( ・∀・)「え?」

( 'д')「ぬこにびびって腰抜かしたとき、いの一番に駆け寄って来てくれたじゃねえか」
( 'д')「……お前意外と度胸あんだな。見直したぜ」
( ・∀・)「い、いやいや」

(*'-')「何コソコソ話してんのよ〜」
(℃゚)「おホモだちか!?wwwwっうぇwwwくそみそwwwww」

( 'д')「う、うるせーよバカヤロー!!」
(*'-')「ムキになるところがまた怪しいわね〜」
( ・∀・)「な、なんだよミサキまで……」

(=・ω・)「うな〜……」
( ・∀・)「ん? ウコンも嫉妬してるの?」
(#'-')「『も』ってなによ!!」

(℃゚;)「な、なぁ。アレ……」



25:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:08:46.53 ID:Ht15GaDh0

震える声で窓を指差す。
その先には銅像が……なかった。

( ・∀・)「あれ……ない」
(*'-')「ないわね……」

( 'д')「お前のイタズラか?」
(℃゚;)「違うよ!!一人じゃあんなでかいの動かせないよ!!」

( ・∀・)「じゃあなんで……」
(*'-')「て、撤去されたんじゃない?」
( 'д')「そんな急にか? 大体今日俺ら学校にいたけどそんな話は聞かなかったぜ」

そうだ。二宮金次郎の銅像は校門から見えるところにある。
結構目立つモノなので、無くなっていたらすぐに気付くし、僕らの耳にも入ってくるだろう。

(*'-')「ねぇもう帰りましょうよ……」
( 'д')「おいおい、気になって帰れねぇよ。調べに行こうぜ」

小次郎が鼻息荒く下駄箱に向かおうとするが、
ミサキが今にも泣きそうな顔で抗議するので見に行くのはやめることにした。
その代わり最後まで七不思議を実行するという条件で小次郎も納得したようだ。



26:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:09:05.88 ID:Ht15GaDh0

なんだろうこの違和感は。
夜の学校にびびっているのか?
いや違う。
違和感は、この七不思議を始めてからだ。
嫌な空気が全身にまとわりつく。
考え始めると呼吸まで息苦しくなってくる。

(=・ω・)「にゃ……」
( ・∀・)「(心配してくれてるの? 大丈夫だよ……)」



27:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:11:52.63 ID:Ht15GaDh0

五つ目。屋上に上がる階段で、女の子がふとしたはずみに転落死する事故があった。
それ以来、その階段の段数を数えると、段数が毎回違ってしまうという。

( 'д')「皆で数えながらいこうぜ」

一段ずつ、皆で声を出しながら階段を上がっていく

5……

6……

(*'-')「……」

ミサキの顔色が悪い。
なんだか可哀想になってきた。
心配して声を掛けても、浮ついた声で大丈夫を繰り返す。



28:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:12:15.66 ID:Ht15GaDh0

9……

10……

( 'д')「あれ?」

突然小次郎が素っ頓狂な声を上げた。

( ・∀・)「ど、どしたの?」
( 'д')「なぁ。この階段って元々何段あるか知ってんのか?」

……言われてみれば。
これじゃ増えたか減ったかなんてわからない。

(℃゚;)「ひ、昼間数えたときは12段だったよ」

11…

12…



29:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:13:39.15 ID:Ht15GaDh0

( 'д')「おいおい……」

……13……。

( 'д')「増えてんじゃねえか……」

(*'-')「やだあああああああ!!」

(;・∀・)「!! ミサキ!!」

突然ミサキが走り出した。
慌てて僕らは後を追う。

(*'-')「やだ……もういやだ……!!」

( 'д')「待てミサキ!!クソッ!!」

ミサキは下駄箱でドアをガチャガチャといじっていた。



30:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:15:18.17 ID:Ht15GaDh0

(*'-')「開かない……」
(;・∀・)「え?」

(*'-')「ドアが……開かないんだけど……」
(℃゚;)「か、鍵は?」

(*'-')「そんなのもう外してあるわよ!!なんで開かないのよ!!」

ミサキは狂ったようにドアを叩き始めた。
慌てて二人でやめさせる。

( 'д')「どけ!!」

小次郎がどこからか椅子を持ってきた。
渾身の力でガラス張りのドアに叩きつける。

……にぶい音がして椅子がはじき返された。
僕らはあり得ない光景を前にしばらく固まってしまった。



32:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 22:34:36.73 ID:Ht15GaDh0

(*'-')「そ、そうだ。警備員さん。警備員の人がいるはずよ!!」

皆ハッとして宿直室に向かうミサキの後を追った。

(*'-')「いない……」

(;・∀・)「な、なんで……!!」

その後、学校中の窓を叩き歩いて脱出を試みたが、だめだった。
携帯もつながらない。
僕らはこの学校に閉じ込められてしまったようだ。

(*'-')「なんで……どうなってるのよ……」
(;・∀・)「ミサキ、落ち着いて。明日になったら先生とか皆来るよ。一晩の辛抱……」

( 'д')「どうやらそれもダメみたいだぜ」

(*'-')(;・∀・)「??」

( 'д')「あの時計を見ろよ」

指差したのは教室の時計。
……止まっている。ぴくりとも動かない。
学校中の時計が同じ時間で止まっていた。
携帯の時間も同じ。



36:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 23:05:13.69 ID:Ht15GaDh0

( 'д')「自力で脱出するしかなさそうだな」
(*'-')「そんな……」

(℃゚;)「ご、ごめん皆……」

(℃゚;)「こんなことになったの、俺のせいだね……」

(*'-')「……あなたのせいじゃないわよ」
(;・∀・)「そうだよ。僕らだって乗り気で来たんだし」

(℃゚;)「違うんだ……」



37:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 23:05:36.46 ID:Ht15GaDh0

( 'д')「?」

(℃゚;)「この学校の七不思議は……全部実行しようとすると、学校に閉じ込められるって噂があるんだ」

( 'д')「……なにぃ!?」

(℃゚;)「ごめん……こんなこと言うと皆怖がって一緒についてきてくれないと思って……」

( 'д')「じゃあなんだ!?やっぱりてめえのせいじゃねえか!!」

(℃゚;)「ごめん……ごめん……」

小次郎が掴みかかった。
それをミサキと二人で慌てて止める。

(*'-')「やめなさいよ馬鹿!!こうなっちゃった以上、もめてても仕方ないでしょ!!」

( 'д')「ちっ」



38:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 23:06:10.89 ID:Ht15GaDh0

(*'-')「ねぇ。どうやったらこの学校から出れるの?
    閉じ込められる噂が本当だったんだから、脱出できる話なんてのも広がっててもおかしくないでしょ?」

(;・∀・)「!! そうだよ。脱出方法を探さないと!!」

よかった。いつものミサキだ。
僕は気丈で負けん気の強いミサキが帰ってきてくれたことを頼もしく思った。

(℃゚;)「……うん。一応、聞いたことがある」


七不思議全てを解明すること。


いたってシンプル。でも解明ったって、具体的な話じゃない。

それでもここで縮こまってるのよりはマシだ。

僕らは覚悟を決めて立ち上がった。

学校の七不思議を解き明かすため、

この学校から生きて脱出するために――――



39:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/30(火) 23:07:31.59 ID:Ht15GaDh0
前編終了〜



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