( ^ω^)がアウターブーンの世界に入り込んだようです

3:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:25:17.79 ID:IUQjvYbD0

第十三話
「カクテルの意味」

川゚−゚)「いらっしゃいませ」

(;´⊇`)「……」

入り口の鈴が鳴る。
男は額から汗を垂らしながらカウンターの席についた。

(;´⊇`)「キックの強いヤツくれ」

川゚−゚)「……」

鮮やか手並みで、バーテンはシェーカーを振った。

随分と若い。
それにまれに見る美人だ。
こういう見た目で選ばれてそうな女はロクな酒を造らない。
……というのが男の自論だった。

川゚−゚)「どうぞ」

バーテンが出したカクテルは、真っ赤な血の色をしていた。
男は黙ってそれを口に運ぶ。



4:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:25:58.12 ID:IUQjvYbD0

川゚−゚)「このカクテルにはある意味が込められていて……」

( ´⊇`)「あ? なんだうるせーな。そんなの聞いてねえだろが」

若いバーテンっていうのはすぐコレだ。
酒ぐらい黙って飲ませろってんだ。
男は心の中で毒づきながら周りを見渡した。

落ち着いた店内だ。
暗めの照明に、余計な飾り気のない装飾。

ふと、隅で飲んでる黒ずくめの男の姿が目に入った。

( ´⊇`)「客は俺とアイツの二人だけか。さびれてやがんな」

「……」

( ´⊇`)「ちっ……」



5:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:27:56.51 ID:IUQjvYbD0

「コレは懐かしい顔だなぁ」

( ´⊇`)「え?」

隅に居たはずの男が、いつのまにかカウンターに座っていた。
まるで最初からそこに存在していたかのように。

「おいおい。まさか俺の顔忘れたなんて事言うんじゃねえだろうな」

(;´⊇`)「ど、どちらさんで?」

「冷たいこと言うなよ。その高そうなスーツも、俺をはめて手にした金のおかげだろ?」

(;´⊇`)「え……? あ……」

(;´⊇`)「あ、ああああ!! ト、トシオ!?」

「久しぶりだなモヒャ」

(;´⊇`)「なんで……なんで……!?」



7:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:30:38.53 ID:IUQjvYbD0

「いい身分だな。俺はよ、酒が飲めねえんだよ」

(;´⊇`)「な、お、お前、大酒飲みだったじゃ、ないか……」

「大好きさ。でもな、もう飲めないんだ」


「お前に空けられたこの穴のせいでな」

男はモヒャの方に振り返った。

喉には大きな、暗い穴が空いていた。



8:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:31:39.14 ID:IUQjvYbD0

(;´⊇`)「う、うわあああああああああ!!」

モヒャは懐から出したナイフで男に切りかかった。
逆手に持ったナイフは男の肩に深く突き刺さり、嫌な感触が手を伝った。

「なにすんだよ……また俺を殺すのかい??」

(;´⊇`)「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!」

何度も。
何度も。
何度も何度も男にナイフを突き立てた。

(;´⊇`)「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙



9:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:33:26.01 ID:IUQjvYbD0

(;´⊇`)「はっ!?」

川゚−゚)「大丈夫か? 顔色が優れないようだが……」

(;´⊇`)「なんでもない……ね、寝ちまったようだな……」

川゚−゚)「これを使うといい」

差し出されたタオルを受け取ろうとして、
自分の手が真っ赤に染まっていることに気づいた。

(;´⊇`)「うあ……!!」

慌てて自分の衣服を見直す。
スーツは色が変わるほど血で滴っていた。



10:無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/06/19(月) 20:33:51.45 ID:IUQjvYbD0

(;´⊇`)「なっ、なんで……!? 夢じゃ……!?」

川゚−゚)「カクテルの意味は『過去への自責』。どうやらいい夢が見られたようだな」

(;´⊇`)「……!! おま……一体……」

川゚−゚)「さあ」


川゚ー゚)「もう一杯、いかがかな?」

(;´⊇`)「うわ!!うわああああああああっ!!」

バタン!!

カランカラン……

川゚ー゚)「ふふ……さて」

川゚ー゚)「そちらのお客さんも一杯いかがだろうか」



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