( ^ω^)ブーンが生徒会に入ったようです

8:2時間目・ブーンとドクオと登別地獄谷温泉 :2006/06/30(金) 01:13:39.28 ID:/onODdnN0
「ぶちころすぞ」

「ぶちころすぞ」

さわやかな朝のメンチ切りが、澄みきった青空にこだまする。
仁義の荒野に集う極道たちが、今日も修羅のような鬼気迫る面構えで、背の高い門をくぐり抜けていく。

……しかし、今日の彼らの行き先はいつもの校舎ではなく、役員選挙や
文化祭など各種イベントで利用される『多目的ホール』だった。


 ***


ホールに集まった生徒たちは、全員しっかり2列に並びながら、ポケットに手を突っ込み、
ジョジョ立ちのような威嚇ポーズで壇上のシャキン教諭を睨みつけている。

5代目理事長・花山カヲルが編み出したと言う
VIP学園に受け継がれる伝統の整列隊形・『男立ち』である


(`・ω・´)「よーし、遅刻者ゼロだな、ぶち殺さんぞ。
       ではこれより緊急集会を執り行う! まずは校歌斉唱!!」

シャキンの声に合わせ、吹奏楽部が厳かに演奏を始めた。



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:15:38.38 ID:/onODdnN0
♪気楽にぶん殴れ いつでも

 負けたら寝転べば いいじゃない

 つまづいた 家宅捜索

 VIP学! (fu-u)

 楽チン頭で VIP校! (fu-u)

 無理しちゃ駄目だよ VIP学! (fu-u)

 そこでちょっと ご用心

 アンタ誰?  マル暴!

 徹夜で パクられ VIP学! (fu-u)

 わんぱく 極道 ダックテイル!(fu-u)

 わんぱく 極道 ダックテイル!


演奏が終わると、シャキンが再び声を張り上げた

(`・ω・´)「よーし、よく覚えてたな! 多少違ったような気もするがまぁいい。
       さあ、ちゃんと学則どおり正座するかウンコ座りしろ! ぶち殺すぞ」

全員が座ると、シャキンと入れ替わりに生徒会長・ショボンが内藤を連れてステージに立った。
たちまち割れんばかりの拍手と嬌声がホールに溢れ返る。



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:16:25.43 ID:/onODdnN0
(´・ω・`)「やあ、ようこそ多目的ホールへ。おはよう。
       うん、『緊急集会』なんだ、済まない」

(´・ω・`)「実は極道生徒会に新たなメンバーが誕生したことを報告したいんだ。
       じゃ、紹介しようか……生徒会庶務――内藤ホライゾンだ」

内藤がマイクを促されると、途端に拍手が止み、ホールが静まり返った。

「アイツ昨日の……」
「誰じゃい」

1年生の中には昨日の事件を知ってか、多少どよめくグループもいたが
2年、3年生になると「誰だ?」という怪訝な顔で内藤をにらみつけている。

( ^ω^)「ど、どちらさんもお控えなすって、手前生国と発しますところ……」

(´・ω・`)「ああ、堅苦しい挨拶は抜きでいいよ」

(;^ω^)「で、でもこういうのはつかみが肝心だし……これでうんこから生まれた
       ウンコマンですとか言ったらもうちびっ子とかドッカンドッカン」

(´・ω・`)「いいからさっさとしろ。ぶち殺すぞ」

( ^ω^)「1年バーボン組の内藤ホライゾンですお一生懸命頑張るのでよろしくお願いしますおwww」

(´・ω・`)「じゃ、解散」



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:17:47.85 ID:/onODdnN0
ショボンの号令と共に生徒たちに解散が促されたが
皆一様に困惑した表情を浮かべ、舞台脇に引っ込む内藤を
訝しげに眺めていた。


 ***


ざわ・・・・ざわ・・・・

予定外の緊急集会に戸惑う生徒たちだったが、そこで明かされた
編入したての新参者の『極道生徒会』参入という重大ニュースは
彼らの困惑をいっそう複雑なものにした。

そして、それはバーボン組の教室内でも尾を引いていた。

「ド新参が極道生徒会入りやと? なに抜かしとんじゃボケが」
「いや、あの極道生徒会に無選挙で鳴り物入りしたんだ。
 さては名のある組の若頭じゃねえの!?」
「ニダーとドクオをあっという間に黙らせたしな……」
「せやけど内藤組ってこないだ潰された弱小……ゲフンゲフン」
「いやあ、やっぱり何かあるんだよアイツにゃ……」

朝からひっきりなしに聞こえてくる話し声に、内藤はすっかり参っていた。

(;´ω`)「あうあう……なんだか周りに深い溝が出来てしまったお」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:19:13.14 ID:/onODdnN0
(`・ω・´)「内藤、ドクオが来たぞー」

('A`)「ゴルァ内藤、いつまでメシ食ってんだ。
    金曜は半ドンだから昼から会議だっつったろ。生徒会行くぞ」

( ´ω`)「あ、ああ。い、いま行くお……」

内藤は急いで弁当を片付け、ドクオの元へ急いだ。

('A`)「ああ? んだテメェ、ただでさえ不自由なツラがさらに不満足なことになってんぞ」

( ´ω`)「な、なんでもないおwww、……」

('A`)「……チッ、うぜえ」

( ´ω`)(転校2日目にして早くもハブられ気味だお……。
       こんなんじゃ極道メンバーとして恥ずかしいお……)



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:20:52.35 ID:/onODdnN0
生徒会室にはすでにドクオ・内藤以外の
極道メンバーが揃い踏みしていた。

極道メンバー「会長、今日もお勤めご苦労様です!」

(´・ω・`)「うん、みんなもご苦労様。じゃあ今日も始めようか」

ショボンの激励が、内藤の腹の底に染み渡る。

(;^ω^)(そうだお……僕は会長を支える極道メンバーだお……
       もっとしっかりしなきゃ駄目だお……!)

それからの内藤は突然の逆境にもめげず、必死でドクオに習い
極道生徒会の仕事を少しずつ覚えていった。

「あいつ付き合い悪いな……」
「やっぱりウラがあるんだろ、ウラ」

しかし、内藤が生徒会に励むごとに、周囲との溝は深まっていくのだった。



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:22:05.53 ID:/onODdnN0
そして、一週間後の昼休み……

( ^ω^)「会長、お茶ですお。それと夏季ステゴロ大会の告知もしておきましたお……」

(´・ω・`)「うん、ありがとう。……だいぶ慣れてきたようだね」

( ^ω^)「ありがとうございますお……じゃあ、午後の授業があるので戻りますお……」

( ^ω^)(ふぅ……教室に戻るのがつらいお……)

ため息をつきながら教室へと戻る内藤の背中を
いつの間にか極道メンバーたちが見つめていた。

(´・ω・`)「……だいぶ参ってるようだね」

(=゚ω゚)ノ「編入2日目の電撃任命ですからね。無理もありませんょぅ」

( ´_ゝ`)「教室でも孤立しているようで。転入生の生徒会入りは前例のないことで
       生徒たち――特に1年生はかなり戸惑っておるようですな」

(´<_` )「……で如何するのだ、会長殿?」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:22:49.51 ID:/onODdnN0
( ゚∀゚)「案ずるな! 我が極道生徒会はこうした事態も想定している!」

(´・ω・`)「うん。そろそろ『親睦会』をやろうかと思ってるんだ。
       ……『みんな』で『温泉』でもどうかなってね」

ショボンの口から『温泉』というフレーズが出た途端
全員が驚嘆し、そしてにんまりと含みのある笑みを浮かべた。

(´<_` )「……流石だな会長殿。『アレ』を見せれば、誰も彼もが納得しよう」

( ´_ゝ`)「アレを見せられてゴチャゴチャ抜かす女の腐ったような生徒はおらんでしょうからな」

(;=゚ω゚)ノ「あ、そういえばドクオもまだだったょぅ……『地獄谷温泉』!」

( ゚∀゚)「2人いっぺんにやれて好都合だな!wwwwww」

(´<_` )「我らの時は兄者が手術で儀式が1ヶ月ズレましたからなハハハ!」

( ´_ゝ`)「こやつめハハハ!」



('A`)(……?)

生徒会メンバーが密談を交わし笑い合っているのを、ドクオはただ一人
怪訝な面持ちで見つめているのだった。

そして、事件はその日の放課後に起きた。



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 01:24:44.17 ID:/onODdnN0
 ***


放課後。授業も終わり、のんびり帰宅しようと
準備を進めていたバーボン組の生徒たちに、思わぬ知らせが届いた。

(`・ω・´)「今日はこれまで! ……と言いたいところだが、これから
      多目的ホールで緊急集会を執り行う! 全員駆け足!」

(;^ω^)「え? 緊急集会って……生徒会じゃ誰も何も言ってなかったお?」

生徒たちは口々に文句を垂れながらのろのろと廊下へ進み出た。
後に続こうとする内藤だったがシャキンが肩に置いた手によって引き止められる。

(`・ω・´)「ああ、内藤。お前は来なくていいぞ」

( ^ω^)「へ? なんでだお」

(`・ω・´)「会長直々に呼び出しがかかってるんだ。
      とにかく生徒会室に行ってこい」

( ^ω^)「?? ……わかりましたお」

内藤は混乱しつつも、生徒会室へと向かうのだった。



(;^ω^)「……一体どういうことだお?」



25:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:29:04.73 ID:/onODdnN0
10分後。
恒例の『男立ち』で整列する生徒たちの耳に
シャキン先生の怒号が突き刺さった。

(`・ω・´)「ゴルァアアアア! 並んだらまずは校歌斉唱じゃろが!
      何べん言わせんだ! ぶちころすぞ! ハイ演奏開始!」

 俺た

(`・ω・´)「以下省略!」

(`・ω・´)「よーしよしよしよしよしよしよしよし! ディ・モールトよし!
       じゃあ生徒会から話があるらしいから黙って聞くように」

シャキンが脇に引っ込むと、ショボン、ジョルジュの会長・副会長コンビが
何やらシートのかかった巨大な物体をカートに載せて現れた。

大歓声と拍手が響き渡るなか、ショボンが厳かにマイクを握る。


(´・ω・`)「やあ、1月に2回も召集をかけてしまって済まない。
       今日は急遽、あるイベントを執り行いたい。副会長、頼む」


( ゚∀゚)「はい! では、これより極道生徒会恒例・生徒会役員親睦会――

     『地獄谷温泉』 

     の儀を執り行う! 全員、起立!!」



26:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:30:47.03 ID:/onODdnN0
『地獄谷温泉』。
ジョルジュのこの言葉を聞いた瞬間、呆けたような表情の
1年生とは対照的に、2,3年生の間から嵐のような歓声が響き渡った。

「で、でたぁー! クラウザーさんの地獄谷温泉!」

「今年もついにアレが見られるのかァーッ!」

「今年は一体『何度』まで上がるんだ? まさか、新記録が……!」

「アホ抜かせェ、会長の記録は誰にも塗り替えられんっちゅーねん!」


 ***


(;^ω^)「ぶ……舞台袖で待ってろって言われたから待っててみたら……
       これは一体どういうことだお?」

もはや半狂乱といった様子の生徒たちを、内藤とドクオは
舞台袖から恐る恐る見渡していた。

(;'A`)「温泉……? まさか、この観衆の真ん前で素っ裸になって
    風呂に入れってか? 熱湯コマーシャルでもやろうってのかよ」



27:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:32:41.81 ID:/onODdnN0
ドクオの憎まれ口に、背後から答える声があった。

( ´_ゝ`)「なかなかカンが良い……だがそれだけじゃあ半分だな」

( ^ω^)「先輩……じゃなかった、あ…兄貴たち!」

('A`)「お、驚かさないでくださいよ兄貴……って、半分?
    それはどういう――」

ドクオの言葉を、流石弟が手を上げて制した。

(´<_` )「正確には『風呂に入る』のではない……
       『風呂を沸かす』のだ。お前たちがな」

(;^ω^)「は?」

(=゚ω゚)ノ「ゴチャゴチャ言わずにとっとと出るんだょぅ!」

訝しがる2人の尻を、ぃょぅが小柄な体格に似合わない
強烈なローキックで蹴り飛ばす。その勢いで、2人は
絡まりあいもんどりうって舞台上に飛び出した。

('A`)「ITEッ!」
( ^ω^)「救命阿ッ!!」



29:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:34:26.09 ID:/onODdnN0
舞台に飛び出た内藤は、咄嗟に
体を縮めこませ、ある瞬間に備えて身構えた。

(;´ω`)(うわぁ……きっとまたあのイヤーな『静寂』が来るお……もう嫌だお……)

身を硬くして『静寂』を待ち構える内藤だったが……
ホールを満たしたのは、静寂ではなく割れんばかりの大歓声だった。

「待ってたぞォォオォオオ!!」

「今年はダブルチャレンジかァァァァア!!」

「根性見せェやああー新人どもォォォオ!!!」

(;'A`)「な、ななな……」

(;^ω^)「何がどうなってるのかさっぱりだお!?」

混乱する二人の下へ、ショボンが静かに歩み寄った。



31:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:37:06.44 ID:/onODdnN0
(´・ω・`)「ようこそ、親睦会へ。
       このお神酒は気つけだ。受け取って欲しい」

ショボンは小さな杯に入った薬臭い液体を差し出した。

(;'A`)「さ、酒!? でも、先生方が……」

壇の下にはシャキン他教員たちが詰めていた。が、なんと全員が全員
「早く飲め」と視線で急き立てている。
内藤とドクオは一瞬躊躇したが、恐る恐る杯を受け取ると、一気にそれを飲み干した。

('A`)「ちょwwww酒じゃなくてポーションwww」

( ^ω^)「うめぇwwwww」

(´・ω・`)「じゃあ、説明しようか。
      これから君たちには我が極道生徒会の伝統儀式
      『地獄谷温泉』にトライしてもらう」

( ^ω^)「地獄……え?」



32:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:38:28.99 ID:/onODdnN0
(´・ω・`)「ブーン、ドクオ。君たちはそれぞれ俺の推薦、そして選挙で
      極道生徒会に入ったよね。でも、実は二人とも、書類の上では
      ……そして本当の意味では、まだ生徒会役員じゃないんだ」

(;'A`)「ゲェー!? か、会長?
     それは一体どういうことですか!」

( ´_ゝ`)「我ら生徒会メンバーには、いかなる特例も
       決して許されない『掟』が存在する。
       『それ』を修めぬもの、役員に能わずというな」

(´<_` )「うむ。『それ』がこの『地獄谷温泉』なのだ。
       詳細はジョルジュ兄貴が説明する」

( ゚∀゚)「なぁに、簡単なことだ! あそこにある――」

ジョルジュが指差した場所には、2つの奇妙な物体があった。



34:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:39:41.89 ID:/onODdnN0
それは、ショボンとジョルジュがカートで運び込んだ
物体の正体であった。

1つは、マッチとワイヤーで組まれた、全長50センチほどの燃え盛る斜塔である。
中心が丸い『吹き抜け』になっており、斜塔というよりは
猛獣がくぐる火の輪が幾重にも連なったような形になっている。

( ゚∀゚)「あの『地獄門』で――」

もう1つは、1メートル四方ほどの大きな水槽だった。
たっぷりと水をたたえ、どれほど冷やされているのか、一片の氷も
浮かんでいないのにも関わらず、うっすらとモヤが立っている。

( ゚∀゚)「――を熱し、その横の『地獄風呂』にぶち込む。
     これをあの――」



('A`)「ちょ、ちょっとセイワッチュ! あの、兄貴。いま何を熱すると……?」

( ゚∀゚)「だから言っただろう? お前の――」

ジョルジュの、そして生徒会メンバーの視線は
ある一点に集中した。

( ゚∀゚)「――股間のビッグマグナムだ」



35:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:41:23.02 ID:/onODdnN0
(;^ω^)「ちょwwwイミフwwwwマグナムてwwwww」

(´・ω・`)「うん、ひらたく言うと『マラ』なんだ。済まない」

(;'A`)「フヒヒヒヒwwwwまじかwwwwwwwwwwwww」

( ´_ゝ`)「『地獄門』で熱したお前たちの粗品で」

(´<_` )「『地獄風呂』を適温まで沸かす……それが!
       それこそが極道生徒会の掟……『地獄谷温泉』だ!」

堂々と言い放った生徒会メンバーに、内藤は
すがるような気持ちで恐る恐るたずねた。

(;^ω^)「ど、どどど、どうしてもやるんですかお?」

('A`)「全然不可能なんですけど。ていうか正直死ぬだろ」

思いがけない珍事に弱音を漏らす二人だったが
その弱腰を険しい表情のジョルジュが一喝した。

( ゚∀゚)「いいか! 我ら極道生徒会は、いつ如何なる時も、常に!
     生徒の見本……漢の中の漢であらねばならない!
     鍛え抜かれた肉体・精神は勿論……立派なイチモツとてその一つ!
     もし、それを拒んだなら――」



36:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:42:22.49 ID:/onODdnN0
(;^ω^)「こ、拒んだなら……?」

内藤が繰り返すと、全員が一斉にショボン会長を指差した。
そして、ショボンは自分の顔と股間を指差し、笑顔でこう答えた。

σ(´・ω・`)「レッツくそみそ☆」

(;^ω^)「うはwwwwwwww逃げ場無しwwwww」

それでも内藤とドクオが躊躇していると、生徒たちが
我慢の限界を向かえ、ドスンドスンと足踏みを始めた。

そして、それを待っていたかのようにジョルジュがマイクパフォーマンスに躍り出る。

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 「おんせん! おんせん! おんせん! おんせん!」
 ⊂彡

それに呼応して、たちまちホール内に「おんせん!」コールが巻き起こる。

「おんせん! おんせん! おんせん! おんせん!」
「おんせん! おんせん! おんせん! おんせん!」
「おんせん! おんせん! おんせん! おんせん!」



37:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:42:52.84 ID:/onODdnN0
生徒たちの大合唱に全身を揺さぶられながらも、それでも二人はなかなか決心がつけられずにいた。
その様子をあざ笑うかのように、流石兄弟が冷酷な笑みを浮かべたる。

( ´_ゝ`)「さぁ、どうする? 後には引けんぞ。それとも――
       生徒会役員という名誉を捨てて、リタイアするか? 『腰抜け』ども」

('A`)「……え?」

( ^ω^)「腰……?」

(´<_` )「過去にもそういう生徒が居なかったわけではない。
       そういう『腰抜け』どもは、過去何百人といた……フッ。
       この分だとお前たちもあの『腰抜け』の仲間入りかな?」

兄弟の甘い言葉に、ドクオが思わず断念しようとした
その時

('A`)「……リ」

(#^ω^)「……待てや……誰が腰抜けだァ?(ビキッ」

内藤の全身から、刺すような『スゴみ』が噴き出した。



38:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:44:32.95 ID:/onODdnN0
(#^ω^)「マジかお……なに調子”くれ”ちゃってんだお? ”兄貴”ィ……?
       誰が”チキン”だァ? なンか”シャバイ”こと言っちゃってんぜェ……?」

(´<_` )「おや……だがそっちのドクオとかいうチキンは
       今『リ』とか言わなかったかな? カナ?」

('A`)「……チキン……」

(´<_` )(いまだ、兄者!)
( ´_ゝ`)(OK、任せろ)

( ´,_ゝ`)「ハッ、”ふざけ”てろよ? デブぅ……“チキン”は”モスチキン”だべ?(ビキッ」

(#゚ω゚)「……んだとコ」

(#'A`)「ふひひひひ!? なァに調子くれちゃってんだゴルァァアアアアアアア!?
     ”チキン”っつったら”ケンタッキー”だべやァ!?(ビキビキッ」

内藤より先にドクオが切れた。



39:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:45:28.89 ID:/onODdnN0
(;´_ゝ`)「えッ!?」

(´<_`;)「え?」

(;゚ω゚)「ラ、って……え?」

え?

(#'A`)「『地獄風呂』だぁ!? 上等じゃあクソがァ!
     見とけやァァ! これがワシの、極道モンの珍宝面子(マラメンツ)じゃアア!!」

野獣のような雄叫びを上げて、ドクオは流石兄弟を押しのけ『地獄門』に駆け寄り
股間のキーブレードを炎の鍵穴にブラッディースクライドした。

(#'A`)「1番、ドクオいきまァァァアアアアーーーす!! んだらァァァ!」

「ゲ、ゲェー! 見ろ、一瞬たりとも躊躇せずにぶち込んだぜェー!?」
「は、入りましたァー!!」
「ああ、次は地獄風呂だ……」

(#'A`)「オラオラオラオラオラオラオラァッ!」

(;^ω^)「ちょwwwwwwwwwwwwwww何これ」



40:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:46:47.43 ID:/onODdnN0
大歓声を受けながら、ドクオはどんどん地獄風呂を暖めていく。

(;゚ω゚)「こ、こうなりゃやぶれかぶれだお!
      んだラァァァァアア!!!」

矢も盾もたまらず、内藤も全裸となって
もう一つの(内藤用の)地獄門へと突撃した。

「で、出たァー!! 内藤さんの怨速ファック!」
「見ろ、じ、地獄門が破壊されそうだ!!」
「なんちゅうやっちゃああ!! じゃ、じゃが0.5ファック差で
 ドクオの方が上やでェー!」

その様子を、ショボン会長が何故か興奮した様子で
生暖かく見守る。

(´・ω・`)「そうだ……その『ド根性』! それでこそ僕の見込んだ男たちだ」

(#'A`)「ウシャアアアアアアアアアア!!」
(#゚ω゚)「ワァァァァァァナビィィィィィィ!!」



42:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:47:59.32 ID:/onODdnN0
二人の魔神によって、地獄風呂は急速に温められていき
すでに水温は38度にまで達していた。

「うおおおお、見ろ! 地獄風呂がびしょ濡れだー!」
「湯気が立っとるゥゥ! ありゃあ完全にイっちょるでェーー!」
「もう何がなんだかわからんがスゲェーー!」


(´<_`;)「兄者! きょ、去年はやる側だったから分からなかったが……
       こうして奴らを見てると、なんて……」


(;´_ゝ`)「あ、ああ。なんて……なんて!
       なんて極道と全く関係ないんだ、この儀式は……(ゴクリ」


それから僅か10分後、地獄風呂は適温の『42度』に達した。



43:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:50:46.79 ID:/onODdnN0
(#'A`)「見てるだけなんて下らねぇぜ! 俺の風呂に入れェェェ!!」
(#゚ω゚)「ホットな悪夢(ユメ)は見れたかおォォォォオオ!!」

「うぉぉぉおおー! おんせん! おんせん! おんせん! おんせん!」

地獄風呂の湯気と燃え尽きた地獄門のくすぶり、そして
生徒たちの熱狂に包まれ、その日多目的ホールの室温は40度を記録したという。


( ´_ゝ`)「……なぁ、引いてる俺らのほうがおかしいのかな」

(´<_` )「いや……でも俺らもあれやったんだぜ兄者」

( ´_ゝ`)「……うおおおおおおおおお! 内藤すげええええええええ!!!」

(´<_` )「えーと、おおおおおおおおお! ドクオSUGEEEEEEEEE! ……間違ってないよな、俺ら」


***


「いやぁ、今年の地獄風呂は凄まじかったな!」
「地獄門が完全に女の顔になってたからな」
「やっぱりドクオさんが地獄門をレイプして登別温泉が
 誕生したという噂は本当だったんだ……」



44:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:51:47.52 ID:/onODdnN0
帰路に着く生徒たちが口々に『親睦会』を絶賛する裏で
内藤とドクオは生徒会メンバーの暖かい拍手で迎えられていた。

(=゚ω゚)ノ「よくやったょぅ! 本当に素晴らしい『地獄谷』を見せてもらったょぅ」

( ゚∀゚)「あれほど熱狂した地獄谷は会長以来だったと言っても過言ではない!」

( ´_ゝ`)「OK、悔しいが完敗だ」

(´<_` )「流石だな2人とも」

(´・ω・`)「いまここに宣言しよう。
      ドクオ、内藤ホライゾン。君たち二人を
      ただいまより『極道生徒会庶務』として正式に任命する!」

ショボンの手から渡された金バッジを
ドクオと内藤は厳粛な面持ちで……そして湧き上がる喜びを
隠そうともせずに、震える手で受け取った。

('A`)「ふひひひwwwあ、ありがとうございます!」

( ^ω^)「うはwwwwありがとうございますお……!!」



45:5910 ◆mHUt89/Bdc :2006/06/30(金) 01:52:33.25 ID:/onODdnN0
そして、恐る恐るといった手つきで慎重に制服にバッジを留める。
夕日の光を浴びて、生徒会バッジは誇らしげに光り輝いていた。

( ^ω^)「うわぁ……このバッジ、なんだか暖かいナリィ……」


 ***


「ウォンチュッ! ぶち殺すぞ!」

「ビッグ・ザ・ブドー! ぶち殺すぞ!」

「内藤はんのおでましやァーー! ぶち殺すぞ!」

「ウホッ、いい内藤……」

翌日。内藤が登校すると、同級生たちが、1年生が、そして
学園全体が彼を一人の『極道』として認め、暖かく
そして歓喜を持って迎え入れた。そこにはもはや1ミリの溝もなかった。

( ^ω^)「おはようだお! みんなぶち殺すお!」

そう、内藤の真のVIP学園生活は、今まさに幕を開けたのだ。



2時間目・終わり



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