ξ゚听)ξと('A`)と( ^ω^)のようです
- 30: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:11:29.10 ID:oPLEbn/Z0
ミーン・・・ミーン・・・
暑い。
耳障りなセミの声が耳に響く。
かといって、セミの声が嫌いってわけじゃないんだけど。
僕は夏は大好きなのだが。
この茹だるような炎天下で延々と坂を上っていればいい加減だれてくる。
――思い切り駆け下りたら気持ちよさそうだお
両手を広げて、思いっきり走りながら「ブーン!」と叫ぶ。
端から見れば間違いなく基地外に見えるだろうが、まるで空も飛べるような感覚がやめられないのだ。
むかしっからこんなことやってるのでついたあだ名が『ブーン』。
実は結構気に入っている。
- 31: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:12:19.99 ID:oPLEbn/Z0
- ( ^ω^)「ふう、やっとついたお」
もともと汗っかきな体質なのでTシャツがそこらじゅう汗のしみだらけになり、額には汗が滴っている。
夏のこの時期、タオルは欠かせない。
ごく普通の住宅街の一角。
最後にここを訪れたのは2月だった。
今日はお盆で里帰りしたついでに来ている。
- 32: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:12:52.27 ID:oPLEbn/Z0
インターホンを押す。
数秒後、インターホンから女性の声が答える。
『どちらさまでしょうか』
( ^ω^)「内藤ですお。ご無沙汰してますお」
その後すぐに玄関のドアが開く。きれいな女性が顔を除かせる。
川 ゚ -゚)「こんにちは、久しぶりだな」
- 33: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:13:13.46 ID:oPLEbn/Z0
- ( ^ω^)「クーさん。久しぶりですお」
川 ゚ -゚) 「待っていたぞ。さあ、あがってくれ」
つくづく思う。姉弟なのにぜんぜん似てないなぁと。
いや、ところどころ似てるところがあるんだけどね。変人なとことか。
――ドンマイ
つぶやいてみる。
黒い額縁に黒い帯をたらした写真からはにかんだような笑顔を見せるあいつをを見ながら。
- 34: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:14:18.74 ID:oPLEbn/Z0
川 ゚ -゚) 「こっちへ」
( ^ω^)「おっ」
クーさんに促されて通された部屋は、見慣れた部屋・・・だった部屋。
何度か招待されてる、彼の部屋。
しかし、整然としていて生活感がなくなっていた。勉強机しか残っていないのがなんか不気味だ。
川 ゚ -゚)「遺品はすべて処分したんだ」
( ^ω^)「ずいぶん割り切ってるんですおね」
川 ゚ -゚) 「覚悟はできていたからな」
- 35: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:15:41.93 ID:oPLEbn/Z0
死んだ息子の部屋をそのままにしておくという話はよく聞くが、これはその逆バージョンだ。
川 ゚ -゚)「弟の遺言でもあったしな」
( ^ω^)「あいつらしいですおw」
さっきから疑問に思っていたことを口に出してみる。
( ^ω^)「で、待っていた、ってどういうことですかお?」
川 ゚ -゚)「2月のときはバタバタしてていえなかったが、弟から君に遺言を授かってる」
- 36: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:16:40.65 ID:oPLEbn/Z0
- ( ^ω^)「なんですかお?」
川 ゚ ー゚)「君に机を開けさせろ、と。それから君以外は机に触らせないでほしい、それ以外の遺品は全部処分してくれ。
あいつの遺言はそれだけだったよ」
クーさんはふっと笑った。
実にあいつらしいと僕は思った。
- 37: ( ^ω^) :2007/03/02(金) 21:18:03.04 ID:oPLEbn/Z0
勉強机に近づく。埃がたまっている。
・・・・・・そうだよな、誰も触っちゃいけないんだもんな。
引き出しは二つだけだった。片方を開ける。空っぽだ。
もう片方を開ける。そこには無地の大学ノートがあった。
表紙をめくり、中を軽く読んでみる。
( ^ω^)「・・・・・・これは」
- 50: ( ^ω^) ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 22:14:37.37 ID:oPLEbn/Z0
- 静かに時間が流れていく。
クーさんは気を利かせてくれたのか、席をはずしている。
空虚な部屋には僕の呼吸音とページをめくる音と遠くから聞こえるセミの声。
ノートには最後のページまで書き込んであった。
途中で飽きたのか、落書きが多々見られたが。
何分経ったかわからないが、やっと読み終えた。
- 51: ( ^ω^) ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 22:15:22.64 ID:oPLEbn/Z0
- 深く息を吸い込み顔をあげ天井を見上げる。
完璧なタイミングでドアが開く。クーさんだ。
川 ゚ -゚)「夕飯食べていくか?」
( ^ω^)「いえ、うちにも用があるのでそろそろお暇しますお。また誘ってくださいお」
笑顔で返答する。
部屋から出て玄関へ向かう。ずいぶん長いこといたようだ。空が赤くなりつつある。
- 52: ( ^ω^) ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 22:15:56.65 ID:oPLEbn/Z0
- 川 ゚ -゚)「なにか・・・わかったか?」
すれ違い様、クーさんが僕に話しかけてきた
( ^ω^)「はい、とりあえずぜんぶわかりましたお」
川 ゚ ー゚)「そうか・・・それはよかった」
夕日に照らされたクーさんは息を飲むほどきれいだった。
おっと、こんなこと考えてるとまたツンに怒られるな。
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