ξ゚听)ξと('A`)と( ^ω^)のようです

  
54: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 22:39:22.10 ID:oPLEbn/Z0
  

一月も終盤に差し掛かっていた。

ドクオとの奇妙な邂逅からまだ1週間と経っていない。が、すでに慣れてしまっている自分が怖い。

ドクオの主張する私に「呼ばれた」という説はどうも正しいようで、私が退屈しているときに彼はやってくる。



ξ゚听)ξ「あんたって壁すり抜けとかできないの?」

('A`)「お前って時々意味わかんない事言うよな」


('A(#)「すみませんでした。ツン様の発言は常に知的でございます」

ξ#゚听)ξ「次は無いわよ」


と、来た時もほんとに他愛の無い会話が多いのだが。

これがなかなか楽しかったりする。



  
55: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 22:41:03.02 ID:oPLEbn/Z0
  

そんなある日のことだ。

(*゚ー゚)「ツンちゃん彼氏でもできたの?」

ξ;゚听)ξ「ホォエア!?」

(*;゚ー゚)「予想以上のリアクションをとってくれるね」

彼女は会社の先輩で、しぃさん。

社内のマドンナ的存在で営業のギコさんともっぱらのうわさだ。特技は不意打ち。

ξ;゚听)ξ「急に質問が来たので・・・彼氏なんかいませんよ」

(*゚ー゚)「へぇ〜」

う、じろじろ見上げてくる。

悪い人じゃないんだけど、こういうところがちょっと苦手なんだよなぁ・・・



  
56: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 22:41:38.23 ID:oPLEbn/Z0
  

(*゚ー゚)「最近ツンちゃん雰囲気変わったからさ、彼氏でもできたんじゃないかと」

おおきな瞳の中に好奇心という星をちりばめている。はぁ、やれやれ。

ξ゚听)ξ「最近出会いすらないんですから。ほんとですよ?」

ドクオのことはもちろん伏せておく。話したらキチガイ扱いかよくていい病院を紹介されてしまうだろう。



  
59: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 23:04:00.46 ID:oPLEbn/Z0
  
(*゚ー゚) 「ふーん、ま、そういうことにしとくわw」

と、ウィンクして颯爽と去っていった。

ξ゚听)ξ「・・・・・・はぁ」



  
60: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 23:05:25.05 ID:oPLEbn/Z0
  

なんか、つかれた。

こんなときは飲むに限る。

家で飲むのもいいけどたまには外で飲もうかなぁなんて思ってふと目に付いたバーのようなものに入店した。



  
61: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 23:06:19.84 ID:oPLEbn/Z0
  

手狭ではあるがシックでいい雰囲気の店だ。ガラガラだけど狭いからあまり寂しい感じではない

(´・ω・`)「やぁようこそバーボンハウスへ。うん、またなんだすまない。って珍しい、新顔さんだね」

店員「だから店長その挨拶はやめろとあれほど」

(´・ω・`)「いいじゃないか、ほとんど常連さんか知り合いしかこないんだから」

なんという経営方針。この店、大丈夫なのだろうか。



  
62: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 23:06:43.58 ID:oPLEbn/Z0
  
(´・ω・`)「おっと、お客さんを蔑ろにしてたね、すまない。じゃ、注文を聞こうか」

ξ゚听)ξ「焼酎水割りで」

(´・ω・`)「芋?麦?」

ξ゚听)ξ「芋で」

(´・ω・`)「お、わかるねぇ!久々にノってきたよ」

水割りをノリノリで作るというのかこの人は。

店員「はい、これはサービスのテキーラですお」

サービスでテキーラって・・・ますます大丈夫なのかなこの店・・・



  
63: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 23:07:53.83 ID:oPLEbn/Z0
  

・・・ん?・・・です「お」?


( ;^ω^) 「あれ、もしかしてツンかお?」

ユニークな語尾。色白で丸顔。

ξ;゚听)ξ「ぶ、ブーン?」

大学時代のサークル仲間がそこにいた。



  
69: ◆L2jfNrixB. :2007/03/02(金) 23:59:31.99 ID:oPLEbn/Z0
  

・・
・・・

ξ゚听)ξ「へー、つまり就活がうまくいかなくてほぼニート状態なわけね」

( ^ω^)「バイトしてるからフリーターですお!」

注文した焼酎は以外にも普通で、これがかなりおいしいのだ。

話によると、客がほとんど入らないので店長とブーン二人で店をやっているという。

ξ゚听)ξ「まぁ、そんな言葉使いじゃあんたを採る企業も無いのもうなずけるわ」

( ;^ω^)「アウアウ」



  
70: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 00:00:44.84 ID:gUSljsab0
  

それから思い出話なんかで店主も混じって盛り上がって、結構な時間話込んでたようだ。

ξ゚听)ξ 「じゃ、そろそろかえるわね」

(´・ω・`)「またきてね」

( ^ω^)「ばいぶー」


――たまには外で飲むのもいいわね

私は部屋に帰ってすぐに眠りに落ちた。

このとき気がつかなかったが、はじめてあったときから毎日来ていたドクオが今日は来なかった。



  
71: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 00:01:07.35 ID:gUSljsab0
  


――翌日。

ハッ!朝!支度しないと・・・って今日は休日だった。

目をこすり、部屋を見渡すと

('A`)「よう」

さっそくドクオがいた。



  
72: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 00:02:39.87 ID:gUSljsab0
  


ξ゚听)ξ「はぁ・・・あんたもきっと暇なのねぇ。こんな朝っぱらから」

('A`)「まぁな。俺ぁいちんち中暇だぞ」

ξ゚听)ξ「ああ、今流行のニートってやつ?」

('A`) 「るせーやいw」

それだけ言葉を交わすと私は着替えるためドクオをトイレに閉じ込めた

「あのーおねーさん。俺こういうプレイは趣味じゃないんですが」

ドクオがトイレから話しかけてくる

ξ゚听)ξ「うるさいわね、覗いたら陰陽師呼ぶわよ」

「マジかよ・・・へいへい」



  
73: ξ゚听)ξ ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 00:03:24.65 ID:gUSljsab0
  


ξ゚听)ξ「もういいわよ」

トイレのドアをあけドクオが出てくる

('A`)「どっかいくのか?」

ξ゚听)ξ「ええ、ちょっとね・・・あれ?あんた」

ドクオの腕をつかみにおいをかぐ。・・・やっぱり

ξ゚听)ξ「花のにおいがするわね。あんた花屋の息子だったり?」

('A`)「ねーよ」



あれ?違うのか・・・ちょっと自信あったのに。・・・ドクオの謎は深まるばかりだ。



  
94: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 08:48:00.01 ID:gUSljsab0
  

ξ゚听)ξ「じゃ、出かけてくるわね」

('A`)「あいよ」

靴を履いて振り返る。が、すでにドクオは消えていた。

ξ゚听)ξ「出てくるのが急なら消えるのも急ね・・・」



  
96: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 08:51:31.46 ID:gUSljsab0
  

今日は別に用事があるわけではないが、一人で考え事をしたかったから。

私に取り憑いた生霊――ドクオの正体。

何とはなしに喫茶店に入る、と次の瞬間にあの独特の挨拶が飛んできた。

(´・ω・`)「やあようこそバーボンハウスへ。やあツンちゃん。昨日ぶり」



ほとんど無意識で入ったので少し驚いてしまった。われながら間抜けだ。



  
97: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 08:53:18.94 ID:gUSljsab0
  

ξ゚听)ξ「・・・ここってバーじゃありませんでしたっけ?」

(´・ω・`)「朝昼は喫茶兼レストランだよ」

ξ;゚听)ξ「いつ寝てるんですか」

(´・ω・`)「貧乏暇無し、ってね」

店長、いや、マスターが朗らかに笑いながら肩をすくめる。

ξ゚听)ξ「今日はブーンいないんですね」

(´・ω・`)「まぁね。・・・もしかしてブーン君に会いに来たのかな?」

マスターがにやりと口の端を持ち上げてみせる。



  
98: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 08:53:42.05 ID:gUSljsab0
  

ξ*゚听)ξ「そ、そんなんじゃありませんよ」

(´・ω・`)「ははは、からかってすまないね。じゃあ、注文を聞こうか」

朝食とり忘れたのを思い出し、適当に軽食を頼む。

マスターがお冷を出してくれ、厨房に入るのを見送った後、私は思案を開始した。

しばらくして、マスターがBTLサンドイッチとコーヒーを運んできてくれた。



  
101: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 08:58:33.91 ID:gUSljsab0
  

(´・ω・`)「考えことかな?」

マスターも腰掛け、コーヒーをすすりながら尋ねてきた。

ξ゚听)ξ「ええ。ちょっと不可解なことが多くて・・・あ、でも大丈夫です」

思わず話しそうになる。

なんとなくこの人には何でも話してしまえそうな雰囲気がある。怖い人だ。

(´・ω・`)「ふーん。・・・ところで君は幽霊を信じるかな?」

急に話を振られて困惑するも何とか言葉をつむぎだす。独特のペースを持つ人だ。

ξ゚听)ξ 「へ?・・・そうですね、『幽霊』は信じません」

(´・ω・`)「ちょっと含みのある言い方だね」

マスターの目元に刻まれた皺が愉快そうに歪む。しまった、失言だったかな。



  
102: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 09:00:29.10 ID:gUSljsab0
  

(´・ω・`)「僕も幽霊は信じてないけどね」

マスターが一拍あけて持ち前のゆったりとした口調で言った。

(´・ω・`)「ちょっと哲学チックな話で僕の勝手な想像なんだけどね」

ふふ、と笑う。

(´・ω・`)「僕が思うに幽霊ってのは人間の恐怖と哀しみそのものなんだよ」

ξ゚听)ξ「と、いうと?」

今の私にとってかなり興味深い話だ。



  
105: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 09:30:12.07 ID:gUSljsab0
  

(´・ω・`)「人間ってのは死んでしまうと意思表示ができなくなる。どんな形であれ、絶対ね」

私は黙って話を促す

(´・ω・`)「それってすごい恐怖だよね。でもそれが死ぬってことだから仕方ない。
      たいていの人はそれをちゃんと認識しながら生きてる。顕在的にも潜在的にもね」


(´・ω・`)「そこで『幽霊』だよ。死してなお意思表示もしくは生前の目的を果たそうとする超生物的存在」



  
106: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 09:32:58.20 ID:gUSljsab0
  

(´・ω・`)「そこで『幽霊』だよ。死してなお意思表示もしくは生前の目的を果たそうとする超生物的存在」

(´・ω・`)「すばらしいじゃないか、幽霊になれればそれは生きていることとさほど変わりない。
      まさに幽霊とは人間の死への恐怖を克服するためにつくりだした『恐怖』だよね」

そこでマスターがコーヒーをすする。

正直、よくわからなかった。が、言わんとしているところはわかった・・・気がする。



  
107: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 09:33:25.07 ID:gUSljsab0
  
(´・ω・`)「おや、サンドイッチ食べないのかい?出来立てのがおいしいよ」

そういえば料理に手を出していなかった。促されるまま一口かじってみる。これがまたおいしいのだ。

ξ゚听)ξ「おいしい・・・」

(´・ω・`) 「でしょ?味付けにはこだわりがあるんだ。味に少々自信あるよ」

マスターが朗らかに笑う。



  
108: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 09:35:18.16 ID:gUSljsab0
  

ξ゚听)ξ「それじゃあ幽霊が哀しみそのものっていうのは?」

しばらくおいしいサンドイッチを堪能してから、話を切り出した。

マスターは少し悲しげな目をして小さな窓に目を向け数秒の間があり、やがて言った。



(´・ω・`)「愛する人にはたとえ死んだとしても、たとえどんな形であってもそばにいてほしいものだよ。
      
      それは人間にとっての最大の悲しみであり・・・憂いだね」

どうも辛気臭いね、とマスターは笑いながら殻のカップを片付け始める。

(´・ω・`)「君くらいの年なら悩みもたくさんあるだろうね。でもね。何かできることがあったりしたらできるうちにやったほうがいいよ。
      
      悔いを残して幽霊になんてならないようにねw」

それだけ言うとマスターは厨房に戻っていった。



  
115: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 10:34:39.88 ID:gUSljsab0
  

帰り際、雨が降り始めた。

かさを持ち合わせてなかった私はマスターに貸傘を借りた。

(´・ω・`)「じゃ、またきてね」

ξ゚听)ξ「はい、ではまた」



店を出たものの。

どこにも行く当てがなかった私はまあ雨の町をぶらぶらするのも乙なもんだろ、とおもいブラブラしていた。



  
116: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 10:36:02.02 ID:gUSljsab0
  
すると国道の大きな交差点の向こう側にブーンが傘を差して歩いていた。・・・花束を持って。


――・・・デートかしら?いやそれはないわね。

なんとなく、話しかけてみる。

ξ゚听)ξ「あらブーン、おはよう」

( ^ω^)「あ、ツン。おはお」

ブーンは私を一瞥してから

( ^ω^)「こんな時間にブラブラしてるなんて・・・ツンはニートかお?」

ξ゚听)ξ「ニートにニートといわれたくないわね。今日は会社お休みなの」

( ^ω^)「だからフリーターだっていってるお」

ξ゚听)ξ「はいはい。・・・で、あんたは何してるわけ?」

( ^ω^)「友達が入院してるからそのお見舞いだお」



  
117: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 10:36:43.42 ID:gUSljsab0
  

はあん、だから今日バイトにいなかったのね。

ξ゚听)ξ「それにしても、あんたが入院患者に花束を送るなんてなんかにあわないわね」

( ^ω^)「失礼な、それにこれはその友達のお姉ちゃんにもってけって頼まれたんだお」

ブーンが軽く花束をゆさってみせる。

いい香りが漂う。



  
118: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 10:37:50.73 ID:gUSljsab0
  


ひらめきとは唐突に訪れるもので、時々自分でも驚くようなひらめきをすることがある。

そして、そのひらめきはなぜか根拠のない確信がある

今回もそうだ。なぜかはわからないが、確信がある。

( ^ω^)「?どうかしたお?花粉アレルギーかお?」

ξ゚听)ξ「違うわよ・・・ねえ、もしかして」

( ^ω^)「なんだお?」



ξ゚听)ξ「その入院してる友達って・・・ドクオって名前じゃない?」

( ^ω^)「・・・え?」



  
119: ◆L2jfNrixB. :2007/03/03(土) 10:41:07.64 ID:gUSljsab0
  
( ^ω^)「ぜんぜん違うお。一文字も合ってないお」

ξ゚听)ξ「へ?あれ?そうなの?」

ちょっとへこむなぁ。まぁいいか。



( ^ω^)「・・・」

ξ゚听)ξ「ちょっと!何笑いこらえてんのよ!」



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