ξ゚听)ξと('A`)と( ^ω^)のようです

  
251: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 13:21:49.39 ID:7BDEr4mQ0
  

俺は小さいころから病弱だった。

知っている世界は病室の真っ白の壁の内側。

その外側に何があるのか、俺は知らなかった。



俺だって子供なんだ、好奇心がなかったわけではないし、

窓から見える外側の世界に興味がないわけではなかった。



  
252: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 13:23:40.73 ID:7BDEr4mQ0
  


ある転機が訪れ、俺はめでたく退院できることになった。

俺は学校に行きたいと言った。

病院はそれを許可した。



「学校に行かせても大丈夫なのですか?」


退院を控えたある日、俺は病院の廊下で親と中嶋先生が会話している場面に遭遇した。

思わず隠れて聞き耳を立てる。

「大丈夫でしょう、何かあってもあの学校からすぐに連絡ができるよう措置してありますし」

それに・・・と中嶋先生が口ごもり、数秒間を空け言った。



  
253: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 13:25:19.26 ID:7BDEr4mQ0
  


「かれは後数年と生きられないでしょうから、やりたいことをやらせてあげてください」


普通の人ならここでショックを受けるだろう。事実、俺の母親なんかは小さな悲鳴を上げていた。


が、俺はそうでもなかった。

――俺はそんなすぐに死なない。

根拠のない確信があった。

やっと外へいけるんだ。存分に楽しんでやる。





俺が小学二年生の時の話だ。



  
256: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 13:49:01.52 ID:7BDEr4mQ0
  

学校に行き始めたときはほとんど転校生扱いだった。

まぁ、一年の時は学校行ってないし仕方ないことだけど。


ものめずらしさからか、はじめのうちはみんな俺に話しかけてきたりした。が、

子供ってのは残酷で、飽きるのが早く、それに飽きたおもちゃには見向きもしなくなる。

もともとガリガリで、顔色も悪く、顔立ちもいいとはいえないし、病院育ちでコミュニケーション能力も乏しい。


そんな俺に周りが飽きるのもすぐだった。


俺はたいてい一人で学校生活を過ごしていた。


ほんのちょっぴり寂しかった。



  
257: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 13:49:43.72 ID:7BDEr4mQ0
  


そんな時、一人の少年とであった。


( ^ω^)「ブーンwwwwブーンwwww」

「キメエwwwこっちくんなwwww」

「うわっブーンwwwやめろwwww」


彼はブーンと呼ばれていた。

いつもニコニコしていて、楽しそうに駆け回っていた。



俺は彼がうらやましかった。



  
276: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 17:59:58.49 ID:7BDEr4mQ0
  

ある日、帰り途中にブーンを見かけた。

たくさんの友達と一緒に実に楽しそうな帰宅風景だった。

――俺もあの輪に入りたいなぁ

俺は輪から少し離れて後ろについた。



  
278: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 18:01:15.10 ID:7BDEr4mQ0
  

道を進むにつれ、一人、また一人と別れていく。

ついに残ったのはブーンと――10mくらい後ろを歩く俺だけだ。

しばらくして、ブーンが俺に気づく。



( ^ω^)「あれ、タケシくんかお?」

急に声をかけられビクッっとなってしまった。

('A`)「う、うん」

声も上ずってたと思う。

( ^ω^)「うち、こっちのほうなのかお?」

ブーンがぷっくりとした指で進行方向を指した。

('A`)「・・・うん」

今度はちゃんと言えた・・・かな?

このときすごく緊張して心臓がバクバクしてたのを覚えてる。

人生で一番緊張してたんじゃないないだろうか。



  
279: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 18:03:01.22 ID:7BDEr4mQ0
  

( ^ω^) 「じゃあ、いっしょにかえるお!」

('A`)「え?」

言われたことが一瞬理解できなかった。

('A`)「かえる?おれと?」

( ^ω^)「だお!」

そういうとブーンは俺のところまで歩いてきて手首をつかみ歩き出した。

( ^ω^)「お?タケシくんうでほそいお!おんなのこみたいだおw」

('A`)「おんなのこみたいって・・・つかんだことあるの?」

( ^ω^)「ないおww」

('A`)「なんだよwwwないのかよwww」


もう自然に会話できていた。

ほぼ初対面なのに。

幼心ながらすごいやつだ、と思ったのを覚えている



  
280: ('A`) ◆L2jfNrixB. :2007/03/04(日) 18:04:23.81 ID:7BDEr4mQ0
  


なぜか知らないけどすごい笑ってた。

たいした内容じゃないはずなのに、すごい笑ってた。

それもブーンのアレなのかもな。


ブーンは俺の生まれてから二番目の友達だった。



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