( ^ω^)ブーンが残された時間で喧嘩を売るようです

3: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 00:11:45.68 ID:5IFq2ijU0
  
プロローグ 「約束と言う名の契約」


(    )「………降り始めたか。」

男は空を見上げて呟く。その唇は有機生命体の持つ質感とはかけ離れた、冷たい無機質に覆われている。
唇だけではない。脚が、腕が、体が、全てが人以外の物に覆われ、その姿は人の形を模した兵器のようだった。
しかし、その瞳には強い意志が宿り、彼がただの兵器である事を否定した。

(    )「…すまない…君に全てを任せる形になってしまって…」

別の男が静かに話しかける。悲しげな瞳で訴えかける。
本当にこれでいいのかと。

(    )「…雨が強くなってきた……もう残り時間も少ねぇ…」
(    )「………心残りがないじゃないさ…けどよ。」
(    )「あいつが…始めてオレに頼みごとなんざしやがったんだぜ?断れるわけねぇだろ。」
(    )「彼女に二度と会えないとしてもかい?」
(    )「………ああ。」

無機質に覆われた男が虚空を見つめて答える。その表情に変化はない。
雨が勢いを増す。世界を包むように、止む事など知らないかのように振り続ける。

(    )「本格的に降り始めてきたな…そろそろ行かせてもらうわ。」
(    )「………」

男の背部にある突起に光りが灯る。青い光りが彼を黄泉へと導く。



4: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 00:12:41.34 ID:5IFq2ijU0
  
(    )「……僕が……」
(    )「どうした?」
(    )「……僕が君と彼女を会わせてやる。だから死ぬな。魂だけになっても生き延びろ。」

雨は更に勢いを増す。雨に触れた部分が溶解していく。海を紅く染め上げていく。

(    )「……はっ!期待はしねぇよ。この嘘吐きがww」
(    )「ふふw…ひどい言われようだね。まぁしかないか。」

男たちは笑いあう。全てを溶かす紅い雨の下で楽しげに笑いあう。

(    )「…そろそろ行って来らぁ。お前のダメ兄貴をシバき倒しによ。」
(    )「あぁ、完膚なきまでに叩きのめしてやってくれ。」


軽い挨拶を交わし、轟音と共に男は去っていった。彼が辿った軌跡が何時までも空に残る。



5: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 00:13:09.44 ID:5IFq2ijU0
  


(    )「……会わせてみせるさ……何をしようとも…何をされようとも…」

残された男が雨に塗れる事を厭わず空に手をかざす。友の辿った軌跡をその手に掴み取るように。

(    )「如何なる禁を犯そうと…全ての憎しみを一身に受けようと…」
(    )「何百年…何千年かかろうとも……」

男は拳を握り締める。見果てぬ天をその手中に収めるように。

(    )「……たとえ…悪魔に魂を受け渡そうと!絶対に!!」


そして、彼らの世界は閉じられた………



プロローグ 「約束と言う名の契約」  終



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