( ^ω^)ブーンが残された時間で喧嘩を売るようです

118: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:34:13.12 ID:DSihLV0R0
  
第9話 「夢の園」


ξ゚听)ξ「………あれ?」

ここ…どこ?アタシ何でこんなとこに?それにしても……

ξ゚听)ξ「綺麗な所……」

空を見上げるとそこにはいつもの黒色じゃなく、爽やかな青色で埋め尽くされて……
眩しいけど遠くの方で何かが光ってる。何だか暖かい……

ξ゚听)ξ「これは……?」

キラキラと光っている……水?水がこんなに?透き通ってて底が見える。表面にはアタシの顔が映る。



119: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:34:50.58 ID:DSihLV0R0
  
ξ*^ー^)ξ「あはっ。」

何だか嬉しくなってくる。これは何?あれは何?知らないものがイッパイでその全てが暖かい。
アタシがいる世界とは違う。広くて暖かい、光り降り注ぐ見た事もない世界!

ξ*^ー^)ξ「よいしょっと。」

アタシは地面の上に寝転ぶ。冷たい整備された床や、ゴツゴツした地面とは違う。
緑色をした沢山生えてるものがお布団のようにアタシの体をやさしく包む。
もう一度空を見上げる。

ξ*゚ー゚)ξ「………綺麗…」

夢なのかな?夢でもいい。こんな素晴らしい世界に来れたんだもの!
アタシは澄んだ空気胸イッパイに吸いながら目を瞑る………



121: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:35:48.92 ID:DSihLV0R0
  
「あのぅ……すいません……」
ξ;゚听)ξ「えっ!あ、はい!」
('、`*川「ああぁぁすいませんすいません!!そんな驚くとは思わなかったので!」
ξ;゚听)ξ「あ、いえ…」

目を開いたアタシの前にはアタシと同じ位の年頃の女の子が立っていた。
おどおどした様子でアタシを見ている。

('、`*川「すいません…あのぅ…そのぅ…」
ξ゚听)ξ「はい。何ですか?」
('、`*川「ああぁぁすいませんすいません!!怒らないで下さい!」
ξ;゚听)ξ「あ、いえ、あの怒ってませんから。どうぞ続けてください。」
('、`*川「本当に怒ってません?」
ξ;゚ー゚)ξ「え、ええ!怒って無いわよ?」
('、`*川「えへへっ。優しいんですね。…好きになっちゃいそう。」
ξ;゚ー゚)ξ「ええと、あの。」



122: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:36:25.22 ID:DSihLV0R0
  
好意を頂けた事は嬉しいが、アタシにそっちの気はない。
なんと言うか扱いの難しい人だ。子供のように屈託無く笑う少女に対してそんな思いを抱く。

ξ;゚ー゚)ξ「ええと、それで何の用で来たんですか?」
('、`*川「ああぁぁすいませんすいません!!わたし大事なようでここに来たのに!!」
ξ;゚ー゚)ξ「あの、で、その大事な用って何かな?」
('、`*川「はい。…あのぅ…そのぅ…」
ξ;゚ー゚)ξ「………」

今度は余計に口を挟まない。

('、`*川「……ぅぅぅぅ……無視しないでくださいよぉ……」
ξ;゚ー゚)ξ「ご、ゴメンね?無視しないから。ね?」

……大変だこりゃ。



123: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:37:00.64 ID:DSihLV0R0
  
('、`*川「…ツンさん…ですよね?」
ξ;゚ー゚)ξ「……うん。そうよ。」

名前を知っている事に少しだけ驚く。けれど顔には出さないように気をつける。

('、`*川「………………………………聖女……ですよね?」
ξ;゚听)ξ「!?」

今度は動揺を隠す事に失敗した。何で夢の中でまでその名前が…

('、`*川「ああぁぁすいませんすいません!!聞かれちゃ嫌な事ですよね!わたしだってそんなこと分かってたのに!!」
ξ゚ -゚)ξ「…ううん。本当のことだもの。別に気にしないわ。」
('、`*川「…ぅぅぅ…すいません…わたしも…聞きたくはなかったんです…でも確かめなきゃいけないから…」
ξ゚ー゚)ξ「いいわよ。気にしないで。」
('、`*川「……本当にお優しいんですね………………まぐわりたいです…。」
ξ;゚听)ξ「ま、まぐ!?んんん!!!そ!それで聞きたいことはお終いかしら?」

今この子なんて言った!?まさか真性!?アタシはわざとらしく咳払いをして
変に声が裏返りながらも先を促す。

('、`*川「…聞きたいことは…終わりです……けど……」
ξ;゚ー゚)ξ「えと、何かな?」
('、`*川「……ついて来て下さい。会ってもらいたい人がいるんです……」
ξ;゚ー゚)ξ「う、うん。分かったわ。その前に一ついいかしら?」
('、`*川「ああぁぁすいませんすいません!!何か不手際がありましたよね!ぐずでのろまですいません!!」
ξ;゚ー゚)ξ「いやいやいや!そうじゃなくて!あなたの名前は何ていうのかなと思ってね!」
('、`*川「ああぁぁすいませんすいません!!聞くだけ聞いて言わないなんて最低ですよね!!
     すいません!わたしペニサスっていうんです!すいません!!」



124: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:37:38.72 ID:DSihLV0R0
  
二人で綺麗な道の上を歩く。アタシは知らないものをペニサスちゃんに聞きながら。

ξ*゚ー゚)ξ「ねぇねぇ!あれは何?」
('、`*川「あれは花っていいます。沢山の種類があってどれも綺麗なものばっかりなんです。」
ξ*^ー^)ξ「花…花かぁ…綺麗……」
('、`*川「……うふっ……」
ξ*゚ー゚)ξ「ん?どうしたの?」
('、`*川「こうやって好きな人とお話しながら歩くの……夢だったんです。」
ξ;゚ー゚)ξ「そ、そうなんだ。」

アタシは気付かれないようにそ〜っと距離を置く。悪いけど、あんまり近づかないほうがいいのか…な?
そんなことを考えながら歩いていると、小さな小屋の前にまで来る。何だか神秘的で素敵な場所…

('、`*川「ここです。ここに『聖母様』がいます。」
ξ゚听)ξ「聖母様?聖女じゃなくて?」
('、`*川「はい。聖母様です。ここの管理者でもあります。」
ξ゚听)ξ「管理者?どういうこと?」
「そこから先は私が話すはね。」

小屋の中から声が聞こえ、そこから一人の小柄な女性が現れる。
女性は微笑みを湛えたままアタシの前にまで来る。

(*^ー^)「こんにちわ、ツン。私たちの世界にようこそ。」



125: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:38:30.59 ID:DSihLV0R0
  
(*゚ー゚)「ペニサス。お疲れ様。よく一人で出来たわね、偉い偉い。」
('、`*川「そんな…恥ずかしいです。それじゃ、わたしはこれで失礼します。」
('、`*川「……………ツンさん…また会いましょうね…」

それだけ言うとペニサスちゃんは脱兎の如く駆け出していった。
何だかちょっとだけ寂しい気持ち…

(*゚ー゚)「ごめんなさいね?あの子の相手は疲れたでしょう?」
ξ゚听)ξ「いえ、そんな…ちょっとだけ驚きましたけど。」
(*゚ー゚)「ふふwwあなたは優しいのね。」
ξ゚听)ξ「そんなこと…それよりアタシに何か用事があるんですか?」
(*゚ー゚)「そうね…用事っていうより……伝えておかなくちゃいけないことかな。」

そう言って彼女は木で出来た椅子に座る。ちなみに木についてはペニサスちゃんに教えてもらった。

(*゚ー゚)「13代目の『聖女』ツン。1300年間続いた制度により貴女は死ななくてはなりません。」
ξ゚听)ξ「………はい。」

それはもう決まった事。どうする事もできないアタシの運命。けれど…

(*゚ー゚)「残念ながら私にはこれを変えることは出来ません。ですが…」
(*゚ー゚)「貴女に新しい生活を与える事はできます。」
ξ゚听)ξ「新しい生活?それっt 

あれ?視界が歪む。言葉が上手く出ない。

(*゚ー゚)「…時間み  ね。今度 う時に  く説明し  げるわ。」

音が飛び飛びになる。視界が閉ざされる。
フェードアウト……



126: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:39:21.90 ID:DSihLV0R0
  
ξ - )ξ「……ん…」
( ゚∀゚)「ん?どした、目ぇ覚めちまったか?」
ξ゚听)ξ「………うん。」

やっぱり…あれは夢だったのだろうか。夢って感じじゃなかったけど…
何となく自分の寝ている場所を擦る。あの暖かくてやさしい感触はない。
ブーンの方を見ると、すっかり熟睡している様子だった。

( ゚∀゚)「どしたい、ぼーっとして。」
ξ゚听)ξ「…何でもない。ちょっと夢を見てただけ…」

本当に夢だったのかしら…あんなリアルな夢は見たことがない。
ペニサスちゃんのかわいらしい笑顔を思い出す。聖母さんの優しい笑顔を思い出す。
そういえば名前も聞いてなかったな。もう一度会うみたいな事言ってたけど……

( ゚∀゚)「夢ねぇ…夢もいいけどしっかり寝ろよ?
     第6セクションWまでは結構あるんだからしっかり体力回復させねぇと。ほれ、水飲むか?」
ξ゚听)ξ「ん、ありがと。」



127: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:40:20.62 ID:DSihLV0R0
  
ジョルジュに渡された水を飲む。以外にもこの人は生活様式一式揃えたものを常に常備していた。
仕事柄当たり前の事なのかもしれないけど、何となくそういう事から最も離れているような印象がある。
………アタシはお金を持ってないので結局買うことが出来なかった……

( ゚∀゚)「ルートはもう言ったよな?まず第10、その次に第8。んで第6だ。いいな?」
ξ゚听)ξ「ええ。分かってるわ。大丈夫。」
( ゚∀゚)「分かってんならいいわ。それよりもだな……」

ジョルジュが真面目な顔をしてこちらにずいっと近寄る。

(*゚∀゚)「おめぇの胸もっかい触らしてくんない?いやぁ〜アンマリにも素晴らしいからさ!もっとしっかりとこの手にだな…」
ξ# )ξ「………」
ξ#^ー^)ξ「……うふww」

あっ、何をちょwwやめwwそこはヤバイから!急所!!急所だから!!ちょ!!!にg
ぬわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ξ;゚听)ξ「ん!?」

眩暈…また…
カウントダウンは着実に0に向かって進んでる。もう残り時間は少なそう…
アタシはもんどりがえっているジョルジュの方を見る。道を示す。彼はそう言っていた。
もし、アタシに道が有るなら…その終着点はどうなってるんだろう。
下を向いているだけでは見えてこなかった、違う明日がそこには待ってるのだろうか…
淡い期待を内に秘めながらアタシはもう一度眠りに着いた。



128: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:41:27.91 ID:DSihLV0R0
  
太陽の光りが降り注ぐ世界。小さな小屋の中で二人の男女が話をしている。

(*゚ー゚)「どうしたの?随分久しぶりじゃない。」
(´・ω・`)「僕の方も色々と立て込んでてね。君の所にも来たんだろう?」
(*゚ー゚)「ツンのことね?良い子だったわ。ペニサスなんて本気でホの字みたい。」
(´・ω・`)「…彼女にも…君にもすまない事をしたと思う。『魔女』の運命を作り出したのは僕の責任だ。」
(*゚ー゚)「ふふww今は聖女でしょ?」
(´・ω・`)「ははwwそうだったね。君には敵わないよ『聖母』様。」
(*゚ー゚)「止めてよw柄じゃないわww」

小屋の窓に飛び込んでくる小鳥を微笑を浮かべながら愛おしそうに見つめる女性。
この姿を見れば誰もが聖母と言っても違和感を覚えないだろう。

(*゚ー゚)「それで、今日は何の用で来たの?ただ雑談をしに来たんじゃないでしょう?」
(´・ω・`)「流石に鋭いね。しぃ、よく聞いてくれ。」
(´・ω・`)「悪魔が目覚めた。アミテイエの方だ。」
(*゚ー゚)「……そう。」
(´・ω・`)「僕の方も最早時間が無い。多分これが最初で最後になると思う。」

入ってきた窓から小鳥が飛び立つ。少しだけ悲しそうな顔をしてしぃは見送る。

(*゚ー゚)「……あの人は…まだ戦ってるのかしら……」
(´・ω・`)「……分からない…けど…彼ならきっと生きてるさ。」
(*゚ー゚)「……そうね…」

二人の声は途切れ、小鳥の鳴き声だけが響き渡った…



129: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:41:59.11 ID:DSihLV0R0
  
(;^ω^)「ジョルジュ…どうしたんだお?内股になってるお。」
(;゚∀゚)「いや!やめて!聞かないで!!思い出したくない!!」
(;^ω^)「何だか喋り方まで気持ち悪いお。」
ξ゚听)ξ「気にしないで行きましょ。どうせすぐに元に戻るわよ。」
(;^ω^)「???」

僕が寝てる間に何があったんだ?
何があったかは定かでは無いが、構っている時間がもったいない。僕達は先へと進む。

第10セクションW。工場のセクションとして有名で、その製造品の種類も幅広い。
様々な家庭用品から人工灯のような暮らしに役立つものから、開拓の際に使うような機械。そして兵器類の開発。
この世界に生活している限り、このセクションの恩恵を受けない者はまずいない。
その特性からここのオブサーブはかなりの数がおり、大量の兵器類が配備されている。
当然他セクションよりもオブサーブが行使できる権限は大きくなり、警備は厳重になる。
犯罪者の侵入など見逃すはずは無いだろう。



130: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:42:32.16 ID:DSihLV0R0
  
( ゚∀゚)「つまり考え無しにここに来たのはまずかったってことだな。」
(;^ω^)「んな冷静に言ってる場合じゃないお!」

僕達はざっと見て30人ほどはいるだろうオブサーブの面々に囲まれていた。
その中には明らかに人ではない物も混じっている。

(O ゚皿゚)「ガオー!」
( ゚∀゚)「おいおい。何だアレ。顔色悪ぃぜ。」
ξ゚听)ξ「顔色とかの問題じゃないと思うんだけど。」
( ^ω^)「あれは…オデジードだお。」

鉛色の肌をした機械人形、オデジード。鋼鉄で出来た凡庸兵器。
GEAR研にしかないと思ったけど、すでに配備されていたのか。

( ´ー`)「残念ながらお前達をこのセクションに入れるわけにはいかネーヨ。」

人と人形の壁から一人の男が出て来る。見たことのある顔、知ってる人。

( ^ω^)「…お久しぶりですお、ネーヨさん。」
( ´ー`)「荒巻の所のガキ…馬鹿なことしたもんダーヨ。言っておくが知り合いだろうが何だろうが
      ここの責任者として、お前等マスター勅令の犯罪者を見逃したりしネーヨ。」
( ^ω^)「分かってますお。」
( ゚∀゚)「“等”ってもしかしてオレも入ってる?」



131: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/27(木) 19:43:02.62 ID:DSihLV0R0
  
( ´ー`)「…分かっターヨ。お前はここで処刑ダーヨ。」

ネーヨさんの声に反応して僕達を囲む輪が小さくなる。
僕はツンを庇うようにして立ち、拳を握る。
ジョルジュは如何にも楽しいといった笑顔で腕を振っている。
ツンは不安そうな顔をしながら、それでも前を強く見据えている。

( ^ω^)「ネーヨさん…悪いけど僕達は生きてここを突破するお!」



第9話 「夢の園」  終



戻る第10話