( ^ω^)ブーンが残された時間で喧嘩を売るようです

11: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 20:56:36.29 ID:JteJgi500
  
第11話 「意地」


「うわぁぁぁぁ!!」「にげろぉぉぉぉ!!」

先行者から放たれた暴力的な光りは僕達から大きく逸れ、地面を抉りながら何人もの命を一遍に消し去る。
オブサーブの人達も戦意を失い散り散りに逃げていくが
敵味方関係なく行われる破壊行動は止まる事を知らず、逃げていく人を狙うかのように光りの中に消していった。

(;゚ω゚)「な…なんだおこれ…」
ξ;゚听)ξ「ひどい…」

辺りは光りによって抉られた痕跡が地面にありありと残り、直撃を免れたが
体の一部が消し飛んでしまった者達の怨嗟の声で埋め尽くされていた。
僕が呆然とこの地獄を見ていると、先行者の上からネーヨが声を張り上げる。

( ´ー`)「これは…お前達のせいダーヨ!!お前達が抵抗するから仕方なく出したんダーヨ!!!」
(;゚ω゚)「…何を…言ってんだお…」

僕達のせいだと?違うだろう!こんな物が出てくるなんて僕は望んじゃいなかった!
あんたの勝手な都合じゃないか!

(;゚ω゚)「あんたが勝手にやったことだお!!あんたが自分の部下を殺したんだお!!!」
( ´ー`)「シラネーヨ!お前達を始末する事が最も重要なんダーヨ!!全部責任はお前達にあるんダーヨ!!!」



12: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 20:57:35.02 ID:JteJgi500
  
( ゚∀゚)「んなぁこたぁどうでもいい。」
( ^ω^)「…ジョルジュ?」

ジョルジュが僕の肩をポンっと叩き、前へと踏み出す。

( ゚∀゚)「オレ達は別に正義の味方じゃねぇんだ。
     これくらいのことで一々切れたりしょげかえったりすんな。」
( ゚∀゚)「おめぇだってこれまでの旅路で障害を全力で排除してきただろ?やってることに大して変りなんざねぇのさ。」
( ゚∀゚)「立ち居地と目的が異なるだけだ。野郎は政府と保身のため、おめぇは嬢ちゃんと自分のため。」
( ゚∀゚)「こんな程度の障害で心を乱してるようじゃこれから苦労するぜ?もっと強い心を持てよ。」

ジョルジュは説教を続けながら先行者に向かい歩く。

( ゚∀゚)「そしてオレは自分のために、人生をオレ流に楽しむために全力を尽くすぜ。」

そして一度歩みを止め、ネーヨに向かって啖呵を切る。

( ゚∀゚)「さてと…おい大将!」
( ´ー`)「…なんダーヨ。」
( ゚∀゚)「オレの楽しいマイライフを維持するためにてめぇのそのオンボロ木偶人形ばらっばらにしてやんよ!」
( ´ー`)「…勝手にほざけーヨ!!お前も光りの中に消し去ってやるーヨ!!」
( ゚∀゚)「そうかいそうかい…んじゃ、試合開始だ!!」



13: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 20:58:35.49 ID:JteJgi500
  
( ゚∀゚)「お……っらぁあ!!!!!」

オレは全力で地面を蹴り出し、一気に駆け出す。
狙いは奴の足元。でかい図体の奴を倒すには下方向から崩していくのが鉄則!
しかし、ある程度まで近づいた所であの光りの帯によって阻まれる。

( ゚∀゚)「チッ!」

オレが近づいた分だけ狙いやすくなったのか正確にこちらに向かって撃ってきやがった。
ストレートにこちらに向かってくる光りを横っ飛びでかわし、また駆け出す。
相手も乱射してくるが、かわせない速度じゃない。先行者との距離はどんどんと縮まる。

( ゚∀゚)「よっしゃ!捕らえた!!」

先行者の足がのうすこしでオレの攻撃が届く範囲に入る。一撃で足の機能を奪うため、走りながら腕を大きく振り上げ
全力で殴ろうとしたその瞬間!先行者の足が屈伸するように曲がり、勢い良く戻される。

i∩| ◎ ◎|「ギーーーーーーーーー!!!!!!!」
(;゚∀゚)「んな!?」

飛んだ!飛びやがった!!
その巨体からは想像も出来ないほどに空高くまで跳ね上がり、そして。

(;゚∀゚)「くっぉぉぉおおお!!!!!!!!!」

空から降り注ぐ光りの束。意表を突かれた事で反応が鈍ったオレはギリギリの所で直撃を避けるが背中と足にダメージを負う。
焼けるような痛みが襲い掛かかってくる。こりゃモロに貰ったら一発だけでもマジにヤバイな…
ようやく跳躍を終えようとしている先行者の方を見る。随分と距離を空けられちまったか。
ヤッベーな…この足で奴の攻撃を避けられるか?……ピンチかもしれねぇな…



14: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 20:59:30.18 ID:JteJgi500
  
(;゚ω゚)「おおう!!」
ξ;゚听)ξ「きゃぁ!!」

先行者が地面に着地した衝撃で僕達はよろめく。
ジョルジュのほうを見ると背中と足に攻撃を喰らった痕跡があり、特に足の傷はダメージが
大きそうだった。このままじゃ機動力で相手を撹乱出来ずにいずれは直撃を貰ってしまうかもしれない。
僕はジョルジュの加勢をしようと足を踏み出したが、

ξ;゚听)ξ「ブーン!!こいつら!」
(;^ω^)「オデジード…くそっ!!」
(O ゚皿゚)「ガオー!」

残っていたオデジードが僕達を囲むようにじりじりとにじり寄って来る。
人間とは違い、恐怖心が無いこいつらは壊れるまで与えられたプログラムを実行し続けるのだろう。
6、7…8体。2・3体なら僕でも対処できただろうが、この数は許容範囲を越えている。
このままじゃジョルジュ共々……どうする…どうすればいい!

ξ゚ -゚)ξ「………」
ξ゚听)ξ「…ブーン……アタシ投降するわ。」
(;゚ω゚)「何言ってるんだお!?そんな事したら!」
ξ゚听)ξ「でもこのままじゃブーンも、ジョルジュだって殺されちゃうわ。
だったらアタシが投降する条件として二人を解放してもらうほうがずっといいのよ!」

悲鳴にも似た声で叫ぶツン。言ってる事の正統性は理解できる。確かにこのままじゃ僕達は全滅。後には何も残らないだろう。
けれど…納得は出来ない。納得できるわけがない!!
それは今までの僕の決意を否定することに繋がるんだよ。僕にも…意地がある!



15: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:00:28.34 ID:JteJgi500
  
ξ゚听)ξ「アタシだって意味も無く死ぬわけじゃないの。だから……」

ツンの声が鼓膜に響く。だが、それとは別の声が聞こえる。
声は僕の内から出で、全身を揺るがす。
ツンの声が遠くなっていき。内から這い出るあの声が大きくなる。

死んだ直後の感覚が甦る

恐怖心が湧き上がる。
自分の体が何かに変る恐怖。
自分以外の何かに乗っ取られる恐怖。
自分の中から心臓を食い破られるような恐怖。

ξ゚听)ξ「ブーン?」

ツンが不安げな顔をして僕を見ている。
僕は何のためにここまで来たんだ?恐怖するため?逃げるため?
違う!僕はツンのあの歪んだ笑顔を、彼女を死の運命から解き放つために来たはずだ。
彼女を救いたいと思う僕のためにここまで来たはずだ!
ジョルジュは言った。オレ達は正義じゃない、心を強く持てと。
そうだ。僕は正義じゃない。正義なんかじゃなくていい!
彼女一人を犠牲にして成り立つ世界が正義なのだとしたら、僕は望んで悪になる!

内に潜む何かに僕は言葉を出さずに喋りかける。
いいだろう。お前にこの体は預けてやる。だが!僕の意識は奪わせない!
お前の力を利用して、目の前の敵を“破壊”してやる!



16: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:01:38.23 ID:JteJgi500
  
( ゚ω゚)「ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!」

僕の思いに呼応したように体は変形を始める。
間接部が裂け、そこから鋭く尖った突起物が生え出て来る。
両腕の肘より先が膨張し、掌に当たる部分は頭よりもでかくなる。
同じように膝から下が肥大し、地面をしっかり掴むような形で巨大な爪が生える。
そして背中には等間隔に四つの筒状の管が生え、その中心に円形の扉が作られる。

ξ;゚听)ξ「ぶ、ブーン?」

ツンが驚いたように僕を見る。無理も無いことだと思う。彼女は僕がこの姿で行った蛮行を直に見たのだから。

( ゚ω゚)「……大丈夫だお…」
ξ;゚听)ξ「え?」

今は、ちゃんと僕の思う通りに体が動く。僕の意思がこの体を動かしている。
僕は僕でいられている。

(O ゚皿゚)「ガオー!」
( ゚ω゚)「ツン!伏せるお!」
ξ;゚听)ξ「!?」

オデジード達が一斉に襲い掛かってくる。僕はツンを巻き添えにしないように忠告する。
腕を横に真っ直ぐ伸ばし、その場で一回転するようにオデジード達を薙ぐ。
それだけで人形達は両断され、切断面がバチバチと音を立てたまま行動を停止した。



17: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:02:18.37 ID:JteJgi500
  
ξ゚听)ξ「…ブーン…なの?」

僕は静かに首肯し、ジョルジュと先行者の方を向く。
ツンに背中を見せた状態で僕は喋る。

( ゚ω゚)「僕は君を救うお。そのためなら、この力を使う事も厭わないお。」
ξ゚听)ξ「…ブーン。」

僕は背中の扉を開き、両腕を真横に伸ばした姿勢になる。
開いた扉の部分に光りが収束する。体の芯まで力が染み入るのが分かる。

ξ゚听)ξ「ブーン…無理はしないでね…」
( ゚ω゚)「………」

彼女の声に肯定の意を示すように拳を握り、親指を上げる。
光りの収束は終わり、青白いエネルギーが背中で溜まっている。

( ゚ω゚)「それじゃ…敵を破壊してくるお!」



18: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:03:17.46 ID:JteJgi500
  
(;゚∀゚)「くそっ!」

やはり足にくらった一撃のダメージが大きい。
あまり近づきすぎるとあのエネルギー砲を避ける事ができない。
かといってこのままでは徐々に体力が削られ、早晩直撃を貰うのは目に見えている。

(;゚∀゚)「!!!?どわっ!」

またこちらに向かって光りが発射される。避けようとして足に力を入れた瞬間、
耐え難い激痛が走り、膝を折ってしまった。光りがオレの鼻先まで迫ってる。ヤバ。やられる。
自分に向かってくる光りを冷静に見つめ、さてどうしようかなどと考えていると、
突然視界が変り、横っ腹に衝撃が走った。

(;゚∀゚)「つつつ…なんだぁ!?」

衝撃を受けた方をに目を向けると、妙に棘棘しい奴が立っていた。
こいつに吹っ飛ばされたおかげで避ける事が出来たようだが、こいつ…

( ゚ω゚)「……ジョルジュ…こっからは僕にまかせるお。」
(;゚∀゚)「おまっ…ブーンか?」

先程までとはまるで違う容姿、と言うより人間の形を成していない。
だが、その声は紛れもないブーン物だった。

( ゚∀゚)「あんな大言しときながら退くのは癪に障るが…おめぇがそうしたいんだってんならしょうがねぇ。
     後は任せてやるよ。ただし。」
( ゚∀゚)「絶対にあの木偶をぶちのめせよ!もし出来なかったら容赦しねぇからな!」
( ゚ω゚)「把握した。」



19: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:03:59.63 ID:JteJgi500
  
(;´ー`)「な!何ダーヨ!?」

自分に向かって人ならざる者が高速で飛来してくる。まるで悪魔のような容姿をした化け物が迫ってくる。
先行者を操り中華キャノンを乱射するが、自分が先行者の操作になれていないにでうまく狙えないことや、
相手の速度があまりにも速く、撃っても撃っても軽く避けられてしまう。

(;´ー`)「し、死ネーヨ!死ネーヨ!!」

半ばパニック状態に陥りながらキャノン砲を乱射する。
最早狙いなどと悠長な事は言ってられない!奴が来る前に叩き落さないとこちらが殺される!
理屈ではなく、心から恐怖心を煽られ、妙な確信が頭の中をイッパイにする!
このままでは私は破壊される!

(;´ー`)「来るな!!来るナーヨ!!!」

もう目の前まで来ている!!未だに一発も当たらない。

(;´ー`)「お、お、おあああああ!!!!!」
i∩| ◎ ◎|「ギーーーーーーーーー!!!!!!!」



20: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:04:53.40 ID:JteJgi500
  
私は先行者を飛翔させ、ギリギリの所で化け物と接触せずに避けることが出来た。
化け物は目標が消えた事で急停止する事が出来ないようで、緩々とその速度を落とす。
今なら狙える!くらえ!!

( ´ー`)「死ネーヨ!!死ネーヨ!!死ネーヨオオ!!!」

撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃ってぇぇぇ!!!
跡形もなくなるほどに!!原型も失くすほどに!!消えろ消えろ消えろぉぉおお!!!!!

( ´ー`)「ふは、ふはは、ふはははwwwwふははははははははwwwwwww」

撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃ってぇぇぇ!!!
跡形もなくなるほどに!!原型も失くすほどに!!消えろ消えろ消えろぉぉおお!!!!!
うひwうひひひwww私に歯向かう者は皆こうして消してやる!こいつは無敵だ!私は無敵だ!!

( ´ー`)「これでラストダーヨ!!!!!」
i∩| ◎ ◎|「ギーーーーーーーーー!!!!!!!」

最後にもう一発!股間のキャノン砲は、もうもうと砂煙を上げて化け物の
姿を隠している場所に向かって正確に光りを放つ。



21: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:05:38.29 ID:JteJgi500
  
( ´ー`)「勝った!勝っターヨ!!!」

勝った!勝った!勝った!勝った……?

(;´ー`)「なんダーヨ!?」

私は信じられない光景を目の当たりにしている。最後に放ったキャノン砲の先の方が二つに分割されている。
それはそのまま上昇し、光りは完全に左右に分割された。
そして光りの割れ目からあの化け物が現れた。

( ゚ω゚)「ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
(;´ー`)「うわあああ!!!」

化け物と目が合う!ころ、殺されるぅぅ!!!
撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃てぇぇぇえええ!!!
私は先行者を操作し、中華キャノンを撃とうとするがいっこうに反応しない。
動け!動けよこのポンコツ!!そう思ってキャノン砲を見るために目を下に向けると

先行者の腹に大穴が空けられていた。

そりゃ…動かないわ……ははwwははははwwwww
先行者は穴の開いた場所からバチバチと音を立て、そのまま
爆発した。



22: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/28(金) 21:06:41.34 ID:JteJgi500
  
( ゚ω゚)「………」
( ^ω^)「……ふぅ。」

僕は上空で派手に爆発している先行者を見上げ、元の姿に戻る。
どうやら、元に戻るのも自分の意思で出来るようだった。

ξ;゚听)ξ「ブーーーン!!!」

ツンが小走りで駆けて来る。

( ^ω^)「ツン。何とかなったお。」
ξ#゚听)ξ「何とかなったじゃないわよ!あんな危ない目にあって!!」
(;^ω^)「お?」
ξ#゚听)ξ「アタシが無理はしないでっていった時、あなた親指立てて約束したじゃない!」
(;^ω^)「いや、無理をしたつもりは…」
ξ#゚听)ξ「あなたが無理したつもりじゃなくても見てて心配になるのよ!バカ!!」
(* ^ω^)「……心配してくれたのかお?」
ξ////)ξ「ば!バカ!!そうじゃないわよ!!心配したんじゃなくて!あの、その…」
ξ*゚听)ξ「い、いいの!これからは気をつけるなさい!!いいわね!!」
(* ^ω^)「分かったお。これからh
(;゚ω゚)「!?」

!?何だ?血の気が…引いて…心臓が……痛い……
目の前が暗く…………



第11話 「意地」  終



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