( ^ω^)ブーンの妄想が現実になってから1年後

199: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:36:13
  
ひどく静かだった。
暗闇の中、心地よい冷たさに包まれて横たわっている。
自分が地面に倒れていると、内藤はようやく理解した。

(;^ω^) (…やられた…かお…ダメージは…?)

目は開いた。映る景色はぐらぐら揺れているが、どうやら民家の庭に倒れているらしい。
顔面がヒリヒリする。背中が痛い。焦げたような匂いがする。
耳が良く聞こえない。息がし辛い。体がやけに重い。

(;^ω^) (そうか、爆風で吹っ飛ばされて塀に叩きつけられて…)

そのまま塀をぶち破り、そこで止まったようだ。
ようやく安定してきた視界には、塀の残骸だろうブロックの破片が落ちている。

ガードこそできたが、顔には軽い火傷があるらしい。
耳はまだよく聞こえない。体には力がないし、感覚もまだ鈍い。
だが聞こえた。感じた。
敵を倒せと、本能が猛っていた。

首筋で音がする。
小さな機械音がする。
この猛りは、はたして自分のものなのだろうか。



200: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:36:29
  
その爆発は凄まじかった。
爆発の中心点ではアスファルトが半ば溶解している。
円形に溶け、あるいは焦げた空間の一歩外で、モニュがゆっくりと耐火コートの防御をといた。

(=゚ω゚)ノ 「あー耳がキンキンする……吸い具合間違ったかねぇ」
戦闘員「さっきの奴死んだんじゃないすかね」
(=゚ω゚)ノ 「あ、マジで?どーなったよ?」
戦闘員「吹っ飛ばされてブロック塀に激突。その後2回転半しうつぶせスライディング気味に民家の庭へ」
(=゚ω゚)ノ 「おーぉ痛そ。まぁ…死にゃせんだろ、多分」

内藤への警戒をゆるめ、屋根の上にいる部下たちと話しながら、モニュはまた新しい煙草をとりだした。
戦い終わった後に吸うのは決まってマルボロメンソール。
モニュにはもう戦意はなかった。勝った気だった。

それは部下の戦闘員たちも同じこと。
ただひとりツンだけが無言で、内藤が立ち上がるのを信じていた。

ξ゚听)ξ「………」
(=゚ω゚)ノ 「ツンちゃんよぉー。そんなに怒んなくても死んでないって。怪我はしてるだろうけどなー」
ξ゚听)ξ「ふん…別に怒ってなんかないわよ。それにね」

屋根の上にいた戦闘員たちは、ツンの指差した先に、払われる瓦礫を見た。
その中から立ち上がる内藤を見た。

ξ゚听)ξ「ウチの内藤は意外と丈夫なのよ」



201: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:36:44
  
( ^ω^)「……せよ…」

戦闘員「…生きてるな、普通に」
戦闘員「うん、普通に立ったな…平気なのか?」
(=゚ω゚)ノ 「ふむ…」

モニュが再び内藤に注意を向ける。
内藤の言葉はよく聞こえなかった。

(=゚ω゚)ノ 「よう。まだやるかい?」
( ^ω^)「さ…がい…せよ。…つ…がいせよ」
(=゚ω゚)ノ 「…?何を…ん?」

内藤の着る強化服の、ほんのささいな変化にモニュは気付いた。
自分達の量産型強化服にもある首のアタッチメントに似た部分に、穴が開いている。
量産型ならばそこに薬剤をストックできるが、オリジナルはどうなのか?

戦ってみた感じでは、オリジナルとはいえ性能は量産型と大した差はないとモニュは見ていた。
だがしかし、モニュは知ることになる。
かつて目の前のアレを着た男が紅夜叉と呼ばれた意味を。



202: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:36:58
  
( ^ω^)「SATUGAIせよ」
(=゚ω゚)ノ 「…こいつ」
( ^ω^)「SATUGAIせよ!SATUGAIせよ!」
(=゚ω゚)ノ 「危ねぇ奴だったか?」

眉間にしわをよせ、モニュは吸いかけの煙草を投擲した。
全力ではないが、手負いの内藤には避け難い速度で。

( ^ω^)「ギャーーーーーッ!なぜ生まれてきやがったおぉぉ!!」
(=゚ω゚)ノ 「!?」

避け難いはずだった。
事実、内藤は避けなかった。

プロ野球選手の速球くらいの速度はあるだろうその煙草を、内藤は無造作に指でつまんだのだ。
内藤の親指と人差し指に潰された煙草の先端がジュッと音をたてて消える。
ほぼ同時に、内藤の体が大きく屈んだ。



203: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:37:13
  
( ^ω^)「ギャース!」
(=゚ω゚)ノ 「うっ!?」

モニュの眼前わずか数センチを内藤の指が凄まじい速度で通り過ぎる。
回避が遅れていればおそらく目を潰されていただろう。

内藤は今までとは比べ物にならない速度で、モニュの懐に飛び込んでいた。
モニュの背筋に冷たいものが走り、それとは別に確かな高揚を覚える。

(=゚ω゚)ノ 「…にゃろう!なめんなよぉ!」
戦闘員「なんだあいつ!?」
戦闘員「おいおい、めがっさ本気だぜウチの大将」

内藤の二撃目がくるまえに、モニュは内藤を蹴り跳躍。間合いを開き煙草をとりだした。
右手に4本、左手に4本。
モニュは計8本の煙草に腰の特殊接触ライターで火をつけ、そのすべてを一息、だが深く吸う。

両肺を目一杯蠕動させできうる限りの煙を吸い込み、むせそうになるノドを抑え、即座に8本すべてを投擲。
その間わずか4秒。

(=゚ω゚)ノ 「ぶるぅぁぁあぁ!!」

それが、少なくとも手数においてのモニュの全力だった。
8本の煙草は放射状の弾道を描き、相対する相手の回避、進行を阻害する。また包囲効果もあるため防御してもダメージは大きい。
こうなると普通、相手は後退するしかないはずだ。

だが目の前にいる内藤は、モニュが数日観察した人物とは別人だった。
ほんの数分前とは比べ物にならない機動力を発揮し、気のせいか赤くみえる体に獣じみた殺気を纏っている。
悪鬼羅刹の類、夜叉のような。



204: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:37:28
  
痛みは綺麗さっぱり消えている。
体の調子は馬鹿みたいに良い、まるでさっきの爆発が夢だったようだ。
けど何かおかしい。
内藤は、もやのかかったような頭のどこかで異常を感じていた。

( ^ω^) (…赤いお)

夜なのに視界がところどころ赤い。
その視界の端に映る腕も、指も、脚も赤い。
そして何より頭が、精神が赤い。

内藤は知る由もなかったが、それは首のアタッチメントに収納されていた極少機械群のためだった。
強化服だけでなく、その着用者そのものの身体能力を強化し、脳内麻薬を分泌させ戦意を暴走の粋まで高める。
内と外からの二重強化と感覚鋭敏化。それが量産型にはないオリジナルの最大の特徴。



205: 名無しさん :2007/01/09(火) 05:38:30
  
( ^ω^)「しかも熱いおぉぉ!!」

とはいえ、安全かつ有用なものならば量産型にもついているはずのその機能には、やはり欠陥があった。
急激なドーピングに耐えられない肉体は発熱し、人体のもつ冷却機能がおいつかない。
そのために首のアタッチメントから背中にかけて穴が開き、強化服の外装が赤く放熱している。

叫ぶ内藤を中心に、風が巻き起こっていた。
周囲の空気を取り込み、廃熱の熱風を吐き出す空冷機能が小さな嵐を起こしていた。

(=゚ω゚)ノ 「弾道がそれる!?」

モニュの放った8本の煙草はわずかに軌道を乱し、包囲効果が薄れてしまう。
前進を許さないはずの面制圧火力に穴があく。
内藤は熱さに焦がされながらも、その穴を見逃さなかった。

内藤の意思か、引き上げられたテンションの仕業か。
爆発する8本の煙草の爆炎は気にならない。
内藤は身を焦がす熱への怒りをモニュにぶつけるべく、一気に炎を突っ切った。



214: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:17:58
  
(=゚ω゚)ノ  (…いかん死ぬかも)

モニュは異常に冷めた思考の中、ただそれだけを思った。
拡散する煙草は相手を倒すためではなく、後退させるためのもの。
あくまで布石だった。

その後に投擲される、シガレットタイプの煙草とは比べ物にならない火力をもつ煙草。
今モニュの右手にある葉巻こそが本命だったのだが。

( ^ω^)「るおおおおお!!」

相手が後退せずに突っ込んでくる場合は想定していなかった。
投擲のために体を捻っている最悪のタイミングで、内藤は炎を突きぬけてきたのだ。

(=゚ω゚)ノ (…撃つか…いや葉巻だとこっちも死んじまいそうだしな…距離をとる時間もない…と、なれば)

モニュは葉巻を捨てた。
爆発はせず、葉巻はモニュの足元に転がる。
腰をおとし大腿に力をため、腕を十字に構えるクロスアームブロック。

(=゚ω゚)ノ「俺も男だぁ!かかってこんかい!」
( ^ω^)「赤熱のぉぉ!」

現時点での身体能力が常人の4倍程度のモニュ。
対する内藤にはわずかながら残った身体増幅のホルダースキルと紅夜叉の規格外のパワーアシストがある。
こうなれば結局、常人が暴走する車の衝突を生身で受け止めるのと変わらない。

( ^ω^)「ファーストブリッドォォォ!!」

紅夜叉の廃熱と空気との摩擦で内藤の右拳が炎を纏う。
その一閃の炎撃、モニュははたして気合だけで防げるのか。



215: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:19:33
  
空気を打ち抜く乾いた音。
何かを焦がす音。
それ以外は驚くほど静かだった。

川 ゚ -゚)「…無茶だな。結論から言うと」
( ^ω^)「あ…!?」
(=゚ω゚)ノ「…あ、姐さんか…やっぱ無理だった?」

それはスーツを着たふつうの女性。
夜に注ぐ月光に照らされる黒髪は、黒すぎて青く見える。
どこから現れたのか、内藤の拳はその女に片手で受け止められていた。

川 ゚ -゚)「そうだな。受けてみた感じ、お前がこれを食らっていたら大層スプラッタなことになっただろうよ」
(=゚ω゚)ノ「…そいつぁ僥倖だったな」

モニュの知り合いらしい女の右腕からは、何かが軋む音が聞こえる。
その背中からは聞きなれない異音。
なんでもない風に見えるが、その音から相当の力がかかっていることがわかった。

( ^ω^)「んだおアンタはぁっ!!」

そのなんでもないような態度が、癇に障った。
普段温厚な内藤とは思えない怒りっぷりで、余った左腕をスーツの女に向ける。
その拳も、女の左手で掴まれた。

川 ゚ -゚)「クー・クーデルカ。サードネームは秘密さ」

両手を掴み合った、いわばがっぷりよつの状態。
内藤は全力だった。加熱する紅夜叉から出る熱風に、周囲の埃が巻き上がり、燃える。
嫌な音で両手を焦がしながらも、クーは1ミリたりとも押し負けなかった。



216: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:20:07
  
( ^ω^)「ん…!ぎぃぃぃ!!」
川 ゚ -゚)「…とんでもない力だ。とても生物とは思えん」
(=゚ω゚)ノ「あんたが言うかねぇ…」

必死の形相の内藤とは対照的に、涼しい顔のクー。
だが、その両腕からはまるで工業機械のような軋音がする。背中からは耳鳴りのような甲高い音がする。
互いの足元では舗装道路のコンクリートが砕け、踏み抜かれていた。

ξ゚听)ξ「なに…あの人…」

屋根の上にいたツンには見えた。
内藤の起こす熱風の流れとは別の、もうひとつの風の流れ。
まるでクーに吸い込まれているような風の流れは、二人の周りに複雑な風の流れを作っていた。

川 ゚ -゚)「風の流派」
( ^ω^)「!…おっ!?」

高められた野性が、本能に警鐘を鳴らす。
その絶対的な危機感に内藤は理性を取り戻した。
身を焦がす熱すら忘れて、内藤の背筋に戦慄が走る。

( ^ω^)「やばいお!はな…!」

逃げようもなく、内藤の両手はがっしりとクーに掴まれたままだ。
廃熱で両手の皮膚を焦がされながらもクーは平然としている。
それだけでも人間の生理として不自然なのに、さらにありえないのは両手の動き。

スーツの腕部分を内側から千切れ飛ばし、その腕は左右逆に肘関節から回転を始めていた。
回転するその腕から風が出ている。
圧縮された空気がかみそりのように幾重にも。

川 ゚ -゚)「神砂嵐…!」

それはまさに回転する破壊力の小宇宙。
たがいに逆方向に回転する竜巻に捻られ切り裂かれながら、内藤はたしかに見た。
この破壊を生み出し自分を倒す、鉄の両腕を。



217: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:22:15
  
(=゚ω゚)ノ「相変わらず惨い威力だなぁ…生きてっかなぁあいつ…」
川 ゚ -゚)「葉巻まで使おうとしたお前の台詞ではないな」
(=゚ω゚)ノ「そりゃそうだがね…でぇ、どこから見てたんで?」

モニュは地面に転がっている葉巻の火を踵でねじり消した。
モニュは内藤の一撃になんとか耐え、その殴り飛ばされた反動で距離をとり葉巻を爆発させるつもりだったのだ。
傍観していたクーはその作戦に気づき、無理だと判断し割ってはいった。

川 ゚ -゚)「あの子が立ち上がったあたりからかな。遅いから見にきてみれば何を遊んでいるのか、とね」
(=゚ω゚)ノ「結構みてたのね…」
川 ゚ -゚)「随分焦っていたな?」
(=゚ω゚)ノ「う…まぁしゃーねぇべ…ありゃ何だよってぇの」

葉巻から踵を離し、モニュは吹き飛ばされた内藤を見た。
クーの必殺の一撃の破壊跡、削り取られた地面と塀、電柱と民家の残骸の中、内藤が倒れている。
熱風はやみ、紅夜叉はその機能を停止させていた。

(;^ω^)「…う……」

それでもまだ内藤は生きていた。
クーの腕が回転をはじめた瞬間に無理やり手を引き抜き、とっさの防御に成功していたようだ。
倒れた内藤に屋根から降りたツンが駆け寄ろうとしている。

(=゚ω゚)ノ「嘘、ついちまったかなぁ…」
川 ゚ -゚)「仕事に公私は挟むべきではない。例えどういう関係であれな…」
(=゚ω゚)ノ「つまらんぜ、それは」
川 ゚ -゚)「だから仕事は仕事なんだろう?もういくぞ、予定より抵抗が激しい」
(=゚ω゚)ノ「あいさ。撤収すんぞー野郎ども」

クーの後に続き、煙草をくわえながらモニュが去っていく。
その後についていく戦闘員たち。
こうしてこの区画からは、内藤とツン以外の人間がいなくなった。



218: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:23:02
  
連絡を受けたショボンは愛車を飛ばし、ギコとしぃのマンションに来ていた。
その内容は、ドクオを治せる人物がいるというもの。
が。聞いていたドクオを治せる可能性のある人物というのは、意外にも見覚えのある人物で。

(´・ω・`)「…ドクオを直せそうな奴ってのが、お前?」
(*゚ー゚)「まぁその…一応」
(´・ω・`)「ギコよ、お前ね。自己再生でどうやって他人治すんだ?」
(,,゚Д゚)「今だけ限定で治せるんだよ。いいから連れてってくれ」
(´・ω・`)「チッ…タクシーがわりにしただけってなら後で逆さ貼り付けにするからな」

やけに自信満々なギコと、何故かバツの悪そうな表情のしぃをしぶしぶ車に載せ、ショボンはさっきまでいた病院に引き返す。
くる途中で見かけた避難する市民はもういなくなっていた。

(,,゚Д゚)「…ところで、避難警報がでてたがどういうことだ?」
(´・ω・`)「何も知らんのか?これだからゆとりは困る…」
(*゚ー゚)「例の連中?」
(´・ω・`)「ああ、それ。ところで煙草吸っていいか?」

ショボンは答えを聞く前にすでに口にくわえていたが、意外にもギコがそれをとめた。
しぃならまだ分からないでもないが、何故ギコが、とショボンは眉を寄せる。

(,,゚Д゚)「…今はダメだ。俺だって禁煙してんだよ」
(´・ω・`)「はぁ?何かあったか?」
(*゚ー゚)「色々あって…今日はダメなの」
(´・ω・`)「…?そうか」

手持ち無沙汰になったショボンは、仕方なく今日の事の顛末を語った。



219: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:23:15
  
(,,゚Д゚)「しっかし…なんでだ?」
(´・ω・`)「なにが」
(,,゚Д゚)「スキルほしさ、ホルダーほしさにこの街を占領するってのがさ。いまいち解せないな。それもお前の言うほどの準備をしてまで?」
(´・ω・`)「リスクに対してメリットが少なすぎるか?」
(*゚ー゚)「そうね。隠蔽しているとはいえ、ここまで大きな動きをする理由がよくわからない…」
(´・ω・`)「ふむ…」

ショボンは癖で煙草をとりだそうとして、今日は遠慮しろといわれたのを思い出す。
どうにも手持ち無沙汰に過ぎる。
少し禁煙すべきかと思いながら、ショボンは再び口を動かした。

(´・ω・`)「それはどうかな」
(*゚ー゚)「…と言うと?」
(´・ω・`)「この街以外の受け入れ都市。ロシアのアスキーアートに、オーストラリアのシティ・メルボルン。それが同時、もしくは短期間に制圧戦を仕掛けられていたら?それが成功し、もし3つの受け入れ都市がラウンジのものになっていれば?」

(,,゚Д゚)「いれば?って言われてもなぁ…そうだな、世界中の9割くらいのホルダーが研究できるとか?」

(´・ω・`)「研究か…それも出来るだろうな。だが、もうある程度の研究は進んでいるだろう。実用化もな。ラウンジの最終目標が何かは知らんが、仮にそれだけの数のホルダーのうち半分が自由に動かせるなら何ができる?個人ではなく国家レベルで見たとき、その3都市の影響はどれほどだ?」

(*゚ー゚)「…そうか…もし3都市全てを制圧することができれば、国が黙っていない…パワーバランスが崩れる?」

(´・ω・`)「もともと3都市は国連が作ったものだ。ホルダーを野放しにした結果起こる犯罪や反乱を恒久的に抑制し監視するためにな。その見返りとして自治を認めいわば閉鎖国家的な運営がはじまった訳だが…」



220: 名無しさん :2007/01/19(金) 05:23:29
  
(´・ω・`)「もともと大国、小国問わず、ホルダーの能力解明はしたかった。自在に使えれば現行技術を飛躍的に発展させられるかもしれんからな。だが、その価値はあまりに大きいと大国は判断した。生活の向上だけなら良いが、それは兵器にも転用できるからだ。核拡散防止条約のように、大きすぎる力は抑制される。…結果、独占禁止どころか表面上の存在隔離を選んだ」

(,,゚Д゚)「ま、裏では結構色々やってるだろうけどな」

(´・ω・`)「受け入れ都市にはいらない、世界中の1割のホルダーのうち更に数%でな。要するに手を出しちゃいかん希少動物をみんなが見てるだけなのに、それをいきなり現れた第三者がまるごともってくわけだ」

(*゚ー゚)「…つまり各国が黙っていない?自衛隊や軍隊が鎮圧に乗り出すって言いたいの?」

(´・ω・`)「出来たとしても、少なくとも結界のせいでこの街には入れん。まぁ金のある国ならいくらか対抗策があるかも知れんが…。問題は今じゃない。もし制圧が成れば、3都市を手に入れたラウンジという組織に何ができるかだ」

(,,゚Д゚)「なーるほど。3都市を見返りにどっかの大国に秘密交渉を迫るもよし、独占して国を作るも良し。ある程度好き勝手できるカードが手に入るわけか」

(´・ω・`)「ああ。もし組織に丸々組み込んでみろ。史上類を見ない規模の人質兼秘密結社だ。各国のしがらみの中、殲滅を決定してもホルダーは強い。統制され完全に武装したホルダーの軍隊と、数でのみ勝る軍隊。現行兵器を凌駕する性能の兵器…そうだな、あのリリィのような。それをちゃんとした資金で作り量産し、つーのような感覚強化系のホルダーをパイロットとして育成したら…」

(,,゚Д゚)「もしそこまで出来る力があるとすれば…力の差が開きすぎるな。核でも撃ち込むしかないんじゃね?」
(*゚ー゚)「そのくらいの決断が遅れれば大勢は決し、新しい国が出来る…アメリカ独立戦争みたいに、大きな力をもつ大国をつくれるかも…ってことね」

(´・ω・`)「そうだ。住んでいる者が思っている以上に受け入れ都市の存在というのは大きい。だからこそ俺らみたいな自警組織が出来てるんだがな。ホルダーは誰かのものになってはいけない。少なくとも暴力としての側面があるうちはな」

そこでショボンはいったん口を閉じる。
もう病院が見えてきていた。

(´・ω・`)「まぁ…あくまで俺の想像だがね」

そう締めくくり、ショボンは病院の正面玄関んに車をとめ二人を下ろす。
玄関にいたリーゼに案内されていく二人を見送って、ショボンはすでに満員になった駐車場を出て、どこか車を止められる場所を探しにいった。



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