( ^ω^)ブーンの妄想が現実になってから1年後

246: 名無しさん :2007/01/27(土) 22:59:10
  
内藤達が通う大学は、小山の上にある。
よって、そこまではなだらかな坂が続き、徒歩通学の生徒の足腰の健康に一役買っていた。
そこを、フラフラになりながら上っている自転車が一台。

('A`)「ふぅ…ひぃ…」
(*゚∀゚)「がんばれー。あと半分ー」
('A`)「くっ…!なんで坂の上に大学なんぞ作りやがる…!」
(*゚∀゚)「かわったげよっか?これくらいの坂なら平気だよ?」
('A`)「だが断る!」

数分後、ドクオとつーは自転車を押しながら徒歩で坂を上った。

ξ゚听)ξ「こっちこっち…って何で自転車?」
(*゚∀゚)「よっほーおひさし」
('A`)「ふぅ…疲れた…その人か?俺に会いたいのって」
('、`*川「そそ、はじめまして」

(*゚∀゚)「ドクオ君」
('A`)「ん?」
(*゚∀゚)「浮気?」
('A`)「だから違うって」



261: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:45:53
  
ドクオとつーを、とりあえず地下研究室に連れて行く。
治療器にはいったまま待っていたはずの内藤はもう完全に寝ていた。

('A`)「野郎…いい身分じゃねえか」
( ^ω^)「Zzz」
('、`*川「さてと、ドクオ君だったわよね」
('A`)「あぁ、はい」
('、`*川「聞かせてあげるわ、リリィのこと」
('A`)「……あげる?」

聞かせてくれ、というのなら別に驚くことではない。
所詮自分には、わざわざ呼び出されて聞かれるようなことはリリィのことくらいだ。ことさら、今のような状況では。

('A`)「っつーと?」
('、`*川「あれがどうして貴方の手に渡ったか…それはどうでもいい。あれの中身の話をしてあげるわ。あれを作った、私がね」
('A`)「作ったぁ!?あんたが?リリィを?」
('、`*川「うん。すごいでしょ」
('A`)「はぁ…そりゃすげぇけど。リリィの中身の話が今必要なんすか」
('、`*川「むむぅ…意外と感動うすいのね」

そういいながら、ペニサスは何枚かの紙を取り出した。
少々雑だが、急いで作ったのだろう3DCGのワイヤーフレームで描かれたリリィの三面図。
それはバイクの形をしていない。



262: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:46:07
  
('、`*川「内藤君とツンさんに聞いたわ。バイクから変形するリリィ…変形ですって?」
('A`)「…まぁ、一応」
('、`*川「あれは変形するようには出来てない。どこにも可変間接はないし。あなた…何かした?」
('A`)「あー…何かつーか、いやその…すんません。勝手に改造してフレーム入れ替えました、はい」
('、`*川「はぁ!?」

ペニサスが机に身をのりだす。
その勢いは凄まじかった。いまいち訳が分からず、ドクオは身を縮める。

('、`*川「あ、あぁ…怒ってるんじゃないのよ」

ばつが悪そうな咳払いを一つして、ペニサスは乗り出した身を戻す。

('、`*川「…けどどうやって…剛性を保ちつつ?」
('A`)「それはこう、こことそこをこうして、あーして…んでもってこれをこう」
('、`*川「むむ…ふむふむ?…んん…!」

机に広げられたリリィの三面図を指で示し、ドクオはどうリリィをいじったかを説明した。
モノコックフレームからムーバブルフレームへ。その併用。内部機器の配置変更。
ペニサスを唸らせるには十分だった。

('、`*川「はぁ…大したもんだわ」
('A`)「や、それほどでも」
('、`*川「けど、そうすると…あれの欲求は擬態の獲得だったのかしら。それとも走破性の変更…在り方を変えたかったのか…」
('A`)「?…欲求?」
('、`*川「ええ…そうね、生き物の知性の定義の話よ」


263: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:46:21   
('、`*川「ま、ありていに言えばA・Iの話ね」

A・I。人工知能。
ティエラと呼ばれるHDD内の仮想空間でメモリ領域を彷徨い成長する、プログラム上の仮想生命。

('、`*川「いきなりだけどA・Iの究極の目的は、生物の脳に限りなく近づくことだわ」

そのため、A・Iプログラムは形成までに複雑な過程を要する。
脳の神経回路を模倣した骨子を作り、それを構成するモジュール、さらに各コラムと分割されていく。
それらを人口シナプスで繋ぎニューラルネットを作るのだ。

('A`)「…A・Iが載ってた、のか。だからあの時…」
('、`*川「ええ。けど、ここで大きな問題があるわ。より生物…大抵の場合は人間ね。に近づくには」
('A`)「…人間とはそもそも一体何なのか、か?」

ペニサスの言葉をドクオが引き継ぐ。
リリィのフレームのあたりから話を良く理解できなかったツンとつーは、ドクオの台詞に驚愕した。

(*゚∀゚)「ドクオ君意味わかんの?」
ξ゚听)ξ「適当言ってるだけじゃ…」
('A`)「…二人とも俺が馬鹿だと思ってないか…?」

('A`)「まぁ、そんな問題に答えなんざ出せねぇけど、ひとつだけ確かなことがある」
('、`*川「そう。生物が知性を成立させるには、身体と状況、それに欲求が必要なのよ」

そのためトータルに生物を模倣する必要が出てきたために、当時開発途中だったリリィを身体として使うことになった。
第二の要素、状況はすでに整えられていた。
情報を取得するための外部回線や充分なスペースをもった格納庫。

('、`*川「けど、ここで開発チームは大きなミスを犯した」

リリィに搭載されたA・Iの欲求と、開発チームの予想の食い違い。
充分なはずだった格納庫のスペースに満足せず、ニューラルネットの骨子にバグが走り…
リリィは暴走した。



264: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:46:37
  
('、`*川「そのままどこかへ行っちゃって、過程は知らないけどドクオ君に拾われた?かな」
('A`)「ふーん…A・Iねぇ。面白い話だけど、結局なにが言いたいのかわかんねぇな」
('、`*川「要するに、欲求とそれに見合う状況さえあればリリィは満足するのよ。ドクオ君の下でおとなしくしていたんならね」

('、`*川「そして、満足しているなら次の欲求が生まれる。それを満たせる相手になら従う。全力でね」
('A`)「…FOXのもとにいるのはリリィの意思って言いたいのか」
('、`*川「少なくとも不満はないのよ。それより大事なのはその次…全力で、ってことね」

ペニサスの言わんとしていることを、ドクオは何となく察した。
思い返せば、リリィのフレーム構造なんかは理解できた。だが、全く理解できないブラックボックスもあったのだ。
本当にリリィが生物として高い完成度を持つA・Iを搭載しているとしたら。

('A`)「女の人ってのはどうしてこう結果を先延ばしにして話すかねぇ…」
('、`*川「そういう生き物だから」

頭をかくドクオと、含み笑いのペニサス。
その様子は何故か賢者達の談笑のようにも見える。

(*゚∀゚)「…??」
ξ゚听)ξ「あのー…全く意味がわからないんですけど。どういうことよ?」

ツンもつーも、ドクオを見ている。
ドクオは説明しようか迷って、少しだけ不安があったのだろう、ペニサスに説明を促した。

('、`*川「要するにあれはね、ホルダーなのよ。機械のホルダー」
('A`)「んでもってつまり、リリィに対抗できる人間が一人もいないだろ、ってことを言いたいわけね」
('、`*川「いたら教えて欲しいわ」

つーもツンも、リリィの性能を知っている。
だから何もいえなかった。あんなのに勝てるかよ、と。しかもそれがホルダーだという。
機械がホルダーという意味も良く分からないが、とりあえず戦力的に手詰まりになっていることは分かった。

しかし、何もいえないとはいえ、頭の片隅には可能性が浮かんでいる。
たしかに人間では無理だ。今この街にいるホルダーでも難しいだろう。
だが、人間ではない、リリィと良く似たものを知っている。

('A`)「……俺がいるぜ」

ドクオスペシャルはリリィのパイルバンカーを食らいはしたが、その狙いはあくまでドクオだった。
破壊されたのはフロントの一部、操縦系がある場所のみ。
四肢も胴も、ほぼ無傷なのだ。



265: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:46:53
  
-病院-

ショボンは屋上で携帯片手にコーヒーを飲んでいた。
話し相手はつー。ドクオとペニサスは何やら話に夢中で、内藤はおねむ、ツンはペニサスに書類やら何やらのパシリに使われているため、連絡役はつーしかいなかった。
ちなみに、ショボンの隣ではギコがまだ煙草を吸っていた。ショボンから目を逸らしながら。

(´・ω・`)「内藤はケガしてる?まったく使えんなアイツらは」
(*゚∀゚)「ドクオ君は使えるよー。バイク改修するんだってさ」
(´・ω・`)「何時間かかると…まぁ今は大きな動きもないし、今のうちに何とかしてくれればドクオを突っ込ませて俺たちは楽できるんだが」
(*゚∀゚)「げ、外道〜〜〜!」
(´・ω・`)「ふ…もっと言え。とりあえず事情はわかった。お前らは後から適当に合流してくれれば良いや」

ショボンはため息をついて携帯をしまう。
怪我をしているらしいが、内藤はとりあえず元気だろう。多分。
ドクオにしても一応忙しそうだ。今のところ戦力にもならないし、なにより自分の生徒。
ここは放っておこう。
そう思い顔を横にむけると、ギコが煙草を差し出していた。

(´・ω・`)「…なんだ?」
(,,゚Д゚)「いや別に…いらんならいい」

顔を横にむけると、ギコが煙草を差し出していた。
普段こういう気遣いはまったくしない男だ。
ショボンは怪訝な顔で一本貰い、火をつけた。

(´・ω・`)「ふぅ…ところでお前どう思う?」
(,,゚Д゚)「…少子化対策には貢献してると思う……」

(´・ω・`)「…はぁ?」



266: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:47:06
  
ちょうどそのとき、火の手が上がった。
ショボン達のいる安全圏の反対側、北の最後の砦、市庁舎のあたり。
大きな爆発だった。

見れば、VIPブリッジを南に逃げてくる車が数台。
すべて市庁舎の職員の物だった。


267: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:47:21   
(,,゚Д゚)「なんだ!?」
(´・ω・`)「まさか陥ちたか…?ギコ、皆に知らせてこい。逃げてくる奴らから話もな」
(,,゚Д゚)「あいよ!」

返事と共に煙草を投げ捨て、ギコが走る。
ショボンは屋上の外に投げられたギコの煙草を空中でキャッチ、携帯灰皿に押し付けながら、市庁舎を睨んでいた。

爆発音はまだ続く。
最初の爆発はガスでも巻き込んだのか、それとも威力が段違いだったのか、それ以降の爆発では炎は見えなかった。
だが、別のものは見える。

緑に輝く仄かなオーロラ。
地上から空に伸びる、光の線。
それを見て、ショボンは自然と笑みを浮かべていた。

(´・ω・`)「そうだな、そう簡単にはいかんさ」

ニュー速市に住む大勢のホルダーの中で、純粋に戦闘に特化したホルダーは少ない。
つーやギコも戦闘の役に立つだけで、向いているわけではないのだ。
だが、あそこには。市庁舎には、この街でも数少ない純粋な戦闘タイプがいる。

(´・ω・`)「なんせ俺達は納税者だからな。もちこたえてもらわんと困る」

火種の消えた煙草を携帯灰皿に入れ、ショボンも踵を返す。
屋上入り口のドアを開ける前に銜えたままだった煙草を最後の一吸い。

(´・ω・`)「もたせろよ、ゲッター」

他人のポイ捨ては見逃さないくせに、ショボンは自分の吸っていた煙草をポイ捨て、しぃ達がいるはずのロビーにむかった。



268: 名無しさん :2007/02/04(日) 03:48:09
  
その男の名前は長かった。とにかく長すぎた。
このニュー速にフルネームを覚えている人間がどれだけいるか。
もはやその男の名は、文字としてすら見かけない。

だがそれでも、その偉業は覚えている。
その速さを。伝説を。つけられた呼び名を覚えている。
役職が固有名になった今でも、彼の真似をする者は後を絶たない。

市長「職員の退避完了。市庁舎半壊。俺の車は爆散…か」

市庁舎、市長室。
すっかり風通しの良くなったその部屋に、たった一人で残っている男。
市長は座りなれた椅子から立ち、部屋に空いた風穴の前にたった。

市長「久々だな…ふん」

3階にある市長室からは、未だ燃え続ける自分の愛車が見える。
その周りにいる10数人の下っ端と、そのリーダーらしい煙草を加えた男。
さらに四脚の動物のような機械に乗る、星のペイントを頬にいれた金髪の男も。

市長「貴様らにも味あわせてやる…ゲッターの恐ろしさをなぁ!」

この市長こそ、かつて神とさえ呼ばれた男。古きゲッター。
緑の波動を撒き散らし、理論も科学も一切合財スルーして、ただひたすらに速い奴。
その名を。
超絶魔界波動残酷冷徹戦士闇暗殺丸百二十世。
めんどくさいから皆、超絶と呼ぶ。



280: 名無しさん :2007/02/05(月) 03:50:32
  
誰も彼もが逃げ出したはずの市庁舎で、その男はたった一人、音もなく駐車場に降り立った。
逃げ遅れた職員ではない。見れば分かる。
身を包む緑光もただの飾りだ。
あれは、あの眼は、強者だけがもつ本物の眼だから。

(=゚ω゚)ノ 「…野郎ども気ぃつけろぃ!」

最初にその男、市長に気づいたのはモニュだった。
号令と共に大きく跳躍、市長から距離をとる。
市長は、その動きについてきた。

(=゚ω゚)ノ 「速っ!?」
市長「ゲッターキック!」
(=゚ω゚)ノ 「おふぅっ!」

跳躍途中で蹴りを食らい、モニュが吹っ飛ぶ。
モニュの部下達は自分達を通り過ぎ、隊長を蹴り飛ばす市長を呆然と見ていた。

戦闘員「イッ?」
戦闘員「…はっ!?や、やっちまえ!」
市長「遅いね!」



281: 名無しさん :2007/02/05(月) 03:51:00
  
モニュを蹴り飛ばし、戦闘員達のもとへとってかえすその動きに、誰も反応できなかった。
着地するや否や、市長は反動も何も無視して超鋭角的な機動で、常に死角を縫って移動してくる。

背後に回ったかと振り向けば、仲間が倒れている。
そうかと思えば途切れる意識。倒れこむ音に気をとられれば、目の前に市長がいる。
戦闘員は何もできないまま、わずか十数秒で地に伏した。
刹那、市長の標的がFOXに向かう。

市長「ゲッターッ!」
FOX「ナインテイルッ!!」
市長「ミラージュ!!」

鬼のような速度で走る市長に向けて、FOXはリリィのパイルバンカーを見舞った。
9本全てが緩急をつけ、それぞれ別の角度から襲い掛かる。
前面、両側面、さらには背後からも迫るパイルバンカーを避ける術は、人にはない。
そのはずだった。

市長「足りん足りん。俺を殺すには数が足りん」
FOX「!?」

9本のパイルバンカーが地に突き立つと同時に、市長こと超絶はそこにいた。
FOXの傍ら。リリィの操縦席のすぐ隣の装甲にとりついている。
一瞬、その姿は霞がかかっているように見えた。

ありえない事態だ。リリィのコンピューターには、未だパイルバンカーの弾着地点周辺にいくつか、市長の存在を表すマーカーがある。
つまり。

FOX「質量のある残像だと!?」
市長「ゲッター…」
FOX「!30秒――」
市長「フランケンシュタイナー!!」
FOX「――規せ」

三十路を過ぎた男の脚に挟まれて、FOXは宙を舞った。



282: 名無しさん :2007/02/05(月) 03:51:25
  
FOX「ぐうっ…!」

綺麗な半月を描き、FOXは地面に叩きつけられる。
強化服を着てこなかったのを悔やんだのはFOXにとって初めての事だった。
ラウンジ内にもここまで戦える者はそうはいない。

FOX「…フッ。良いじゃないか」
(=゚ω゚)ノ 「何がでぇ、旦那」
FOX「おや。生きてたのか君」
(=゚ω゚)ノ 「あんだけで死ぬかよ…奴さん、一撃の威力はなんてこたぁねぇよ。速度で増した分差し引いたら常人レベルだ」
FOX「だが速い。あれはすごいぞ、大したものだ。来てよかっただろう?」

FOXは立ち上がりながら親指で市長を指す。
傍らに来ていたモニュは、口端を吊り上げて笑った。

(=゚ω゚)ノ 「おーよ。燃えるねぇ!」

煙草を取り出し、腰の着火装置で一斉着火。
両の手にある煙草は8本。
手数、火力ともに人一人殺すには十二分に過ぎる。



283: 名無しさん :2007/02/05(月) 03:51:39
  
(=゚ω゚)ノ 「くらぇや!」

市長を包み込むように煙草が飛ぶ。
モニュの能力を知らない人間は、まずこの時点で煙草をなげるという行為を警戒するが、初動は遅れる。
市長は、まったく動かなかった。

(=゚ω゚)ノ 「爆ぁ発!」

連鎖爆発、7つ。
今度は内藤のときのように後退させるのが目的ではない。
牽制なしの必殺の一撃たりえるものだった。が。

市長「煙草が爆発するか。俺の車をふっ飛ばしたのはお前だな。俺を殺すにはもう100本ほどいるんじゃないか?」

範囲攻撃でも、市長の動きは捉えきれない。
巻き上がる炎を背に、市長はモニュの目の前に立っていた。

(=゚ω゚)ノ 「なぁに…」

予想通り。モニュの笑みは消えなかった。
あれで倒せるとは思っていない。そのまま回避して攻撃されるならそれも良し、ダメージは大きくはないだろう。
一旦動きをとめてくれるなら御の字、それが自分の近くなら最高だ。

もった煙草は8本、爆発は7つ。
モニュの手には、まだ一本の煙草が残っている。
それが指にはじかれ、すでに市長の眼前にあった。

(=゚ω゚)ノ 「1本で充分よ」



284: 名無しさん :2007/02/05(月) 03:51:54
  
市長「ひとつ聞きたいが」
(=゚ω゚)ノ 「…」
市長「これ火種なかったら爆発しないんじゃね?」

爆発はしなかった。
市長の言うとおり、モニュの煙草は火種がついていないと爆発させることができない。
過去にそれを見破った人間は何人かいた。

それでも、モニュは勝ってきた。
たとえ仕組みがわかっていても超至近距離にまで煙草をもっていければ、煙草を消されるのと起爆させるのでは起爆のほうが圧倒的に早い。
詰まるところ今回は、モニュが起爆を念じるのと市長の腕の動きでは、市長のほうが速かっただけで。

その超絶的な速度こそが、市長の真骨頂。
ひとつの要素の到達点。それは、神経伝達の速度をこえていた。

(=゚ω゚)ノ 「…うそぉん」
市長「指が熱い」

市長は煙草の先端を指でつまんだまま、その掌でモニュの顎先を殴った。
プロボクサーのジャブをはるかに越える掌底で三連打。
モニュの脳は激しく揺れ、部下の戦闘員のように、モニュはその意識を手放した。



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