( ^ω^)ブーンの妄想が現実になってから1年後
- 340: 名無しさん :2007/03/13(火) 23:28:22
- 肉を打った音はしなかった。
鉄板を思い切り殴ったような、鈍い音。
ダメージを受けたのはショボンのほうだった。
川 ゚ -゚)「ばっ…!」
(´・ω・`)「ぐぅっ…!」
ショボンの動きが鈍る。
クーの拳を払った左腕は痺れ、鳩尾に入った肘はさらにひどい。
痛みに震える右肘を押さえ、ショボンは大きく飛びのいた。
川 ゚ -゚)「馬鹿…!顔を狙えばお前が勝っていたのに…!」
(´・ω・`)「いやぁ…いくらなんでも、顔は殴りたくないかなぁ」
川 ゚ -゚)「……唯一の勝機を逃したな」
クーの声色が変わる。諦めのような、後悔のような。
直後、クーの身体に風が集まる。集まる風の音に連動し聞こえる、機械音。
ショボンにむけて突き出した両腕が回転していた。
(´・ω・`)「…?まさか…いや馬鹿な。そんな訳はないな」
川 ゚ -゚)「風の流派…!」
(´・ω・`)「…!」
左右それぞれ逆に回転する、風巻く腕。
すでに袖は吹き飛び、鉄の両腕が覗いている。
クーの言葉は続かなかったが、ショボンがそれを引き継いだ。
(´・ω・`)「神砂嵐…!?」
日本のコミックに精通し技をパクるショボンには、今から起こる破壊が容易に想像できた。
その破壊が、自分に向いている。
自分には再現できない技なため対抗策すら考えたことがないが、果たしてどうにかすることができるのか。
(´・ω・`)「…結論・無理」
ショボンは後ろに飛ぶ。
せめて衝撃を和らげるために。無駄とわかってはいたが、勝手に足が動いていた。
- 341: 名無しさん :2007/03/13(火) 23:28:45
- 真っ直ぐ進む、二つの竜巻。
その中心では逆回転する竜巻の力同士が混じりあい、あらゆるものを捻り壊す。
中心を避けても竜巻の範囲は広く、ひとたび飲まれれば空気のメスが体を切り刻む。
風で抉れた道の中央に、ボロ雑巾のようにショボンが倒れていた。
(´・ω・`)「…う…っく」
川 ゚ -゚)「さすがに2発目だと威力が落ちるか…」
(´・ω・`)「これで落ちてる…のか…」
肉は切れ、血管と腱が捻れて悲鳴を上げる。
それでもショボンは立とうとしていた。
何度も倒れかけながらも、ひしゃげたガードレールに手をつき何とか立ち上がる。
(´・ω・`)「はぁ…はぁ…」
膝の震えを何とか止めて、ショボンは荒い息をつく。
重い両腕を上げ、クーに向けて双掌を突き出した。
川 ゚ -゚)「もうやめろ…あと何回突ける?何回蹴れる。お前の負けだよ」
(´・ω・`)「…我が」
川 ゚ -゚)「…?」
(´・ω・`)「我が拳は…我流…故に、種明かしは一度きりよ…」
川 ゚ -゚)「…馬鹿が」
哀れみにも似た苛立ちを吐き捨て、クーは脚に力を込める。
大きく体を沈め、10メートルはある間合いを一気に詰めるべく、一息に踏み込んだ。
ショボンは反応しない。
ただ、掌を突き出し止っていた。
川 ゚ -゚)「逃げれば追わなかった…!」
自分の間合いに入っても、ショボンは動かない。
クーは躊躇せずに、棒立ちになっているショボンの胸めがけて未だ熱の残る腕を振るう。
軌跡は線。風を纏った、命を刈り取る鎌のような大振りだった。
虚ろだったショボンの目に、力が戻る。
雲ひとつない月夜。
静寂に、大きな打撃音が踊った。
- 342: 名無しさん :2007/03/13(火) 23:29:04
- 遠くから見れば抱き合っているように見えたかもしれない。
交差した両者は、一声も発さず静止していた。
川 ゚ -゚)「――馬鹿、な」
静寂を破るクーの呟き。
次いで、楔を抜いたように咳き込む。
地面に落ちる血の雫。
(´・ω・`)「撃壁…背水掌」
脇腹を抉られ血を流しながらも、ショボンは攻撃をかわしていた。
残る力を全て載せカウンターで放たれた両の掌底は、クーの胸の上にある。
一歩後ずさり、クーは仰向けに地面に沈んだ。
糸が切れたようにショボンの両腕が下がる。
川 ゚ -゚)「ごほっ…かはっ!…ぁく…」
クーに残る生身の部分。その全てが、燃えるように熱い。
血液が逆流し、心臓が悲鳴を上げる。
胸に叩き込まれた衝撃はクーの身体を突きぬけ、その内部に重大なダメージを与えていた。
川 ゚ -゚)「ふ…はは…私の負けか…」
(´・ω・`)「そうだな…なぁ」
川 ゚ -゚)「うん…?」
(´・ω・`)「なんで外した?」
川 ゚ -゚)「何をだ?」
(´・ω・`)「最後の…あんな大振りしなけりゃお前が勝ってた」
力ない足取りで、ショボンは倒れたクーに近寄る。
疲労にゆがんだ表情でクーの顔を覗き見る。
クーは、僅かに微笑んでいた。
川 ゚ -゚)「訓練で…お前に勝ったことがなかった」
(´・ω・`)「昔の話だろ」
川 ゚ -゚)「…そうでもないさ…」
(´・ω・`)「馬鹿野郎…あぁ、血が…足りない、な」
もう身体の震えをごまかせない。膝を突く。
クーに寄り添うように、ショボンは前のめりに倒れこんだ。
- 363: 蕎麦屋 ◆SOBAYAmrcU : 2007/04/20(金) 08:56:35
むかし、むかし。
ラウンジで、ある一人の素材が、狂った。
昔といっても、100年や1000年前の話ではない。
それはつい最近の昔。
まだ年端もいかぬ少年は、ある意味では満ち足りていた。
唐突に拉致され教育され施術され洗脳されても、その環境の中、満ち足りていた。
川 ゚ -゚)「そう…それほど昔でもないのさ」
何故ならば、少年には安寧があった。
少年は自分より少し年上の少女を慕い、唐突すぎた環境の変化は、逆にソレへの適応を促した。
言われたとおり訓練をこなし、部屋にもどって少女と休む。
それだけで、少年の輪廻は完成していた。
諦めから来る達観を、幼さ故に受け入れていたのだ。
だが、しかし。少女はそれを受け入れなかった。
川 ゚ -゚)「内臓以外にダメージなし、行動に支障なし。任務は失敗…」
少女は少年を連れて逃げ出した。
少年は、少女が言うのならそれが正しいのだと思った。
集められた7人の素材の中で最も優れていた自分なら出来るとも思った。
その逃亡は、成功する。
少女を残し、少年だけで。
川 ゚ -゚)「だから、今はプライベートだな」
- 364: 名無しさん :2007/04/20(金) 08:56:55
思考を打ち切り、クーは事も無げに立ち上がる。
彼女の身体で機械化されているのは四肢だけではない。四肢を動かすための骨格、肩甲骨を通して造られた連結器。
合金製のそれら重量を支えるための背骨、胸部を覆うプレート、圧縮空気を操る人工肺。
数え上げればキリがない。
ショボンの攻撃はたしかにクーの内臓にダメージを与えた。
だが、クーの身体は胴体部分、極端にいってしまえば内臓と脳以外は機械だといって良い。
ならば、内臓が痛んでも動くだけならさほど難しくもない。
(´・ω・`)「…なんだ…元気じゃないか」
川 ゚ -゚)「いや、非常に痛いし気分も悪いんだが、動くだけなら問題のない身体でな」
(´・ω・`)「なんだそりゃ。ずるいなぁ…まぁ…もう少し、付き合う…かな」
ショボンは、立ち上がったクーを仰向けになりながら見上げた。
クーの挙動はしっかりとしているが、先程の一撃の手応えからすると、普通なら立っていることすら出来ないはずだ。
だが、クーは涼しい顔でショボンを見下ろし、顎先をかすめ蹴った。
川 ゚ -゚)「良いから寝ていろ」
(´・ω・`)「む―――?」
見えてはいたが、身体がついてこない。
脳を揺さぶられ視界がブレる。もとより力のはいっていなかった体からは、透き通るように力が抜けていく。
その状態で、市庁舎側に歩き出したクーを見ていた。
そして薄っすらと感じる。
市庁舎のほうから近づいてくる気配。
「…あんりゃぁ?ちょっと姐さん何事よ、この有様は」
気配はまず一つ。その後ろからもいくつか。
先頭に、仄かな火が揺れた。
嗅ぎなれた煙草の匂いがする。
その匂いを最後に、ショボンは意識の底へと落ちていく。
虚ろな瞼が閉ざされる寸前に、あるものを見た。
不形のはずの大気を束ねた、風の大太刀を。
- 365: 名無しさん :2007/04/20(金) 08:57:31
有事避難所さながらの喧騒に包まれた病院に、ギコの運転する車が到着する。
ショボンのような無駄なドリフトはできない。
車は普通に急ブレーキをかけ、直線で停止した。
(,,゚Д゚)「おっしゃー!病院到着!」
市長「点滴とベッドを要求するっ……!!」
到着するや否や、ドアを開け放ち光の速さで病院内に駆け込む市長。
あれは飛んでいるといったほうが正しいが、とにかくそれなりに元気ではあるようだ。
病院の入り口に、風を巻き起こし去っていった市長を見て首をかしげる双騎士が見える。
(,,゚Д゚)「おーいそこの二人!ちょいカモン!」
爪゚ー゚)「うん?」
爪゚∀゚)「どうしたね、ギコ殿」
(,,゚Д゚)「ショボンがピンチ!おそらく?だから助けに行くってか拾いにいかないと殺される!主に俺が!」
爪゚ー゚)「落ち着け」
爪゚∀゚)「ようするにショボン殿を置いてきたから迎えにいくと」
(,,゚Д゚)「そうそれ。まさにそれ」
多分、暇だったのだろう。
リーゼとレーゼは身体を伸ばし、あるいは首を回し、車に乗り込む。
小回りにUターンしVIPブリッジまで取って返す車。
穏やかだった夜風は、まるで何処かに集まっているかのように勢いを増していた。
車の中ではそれも気づかない。
ほんの僅かにハンドルを取られたギコは、何も気にせず車を走らせる。
- 366: 名無しさん :2007/04/20(金) 08:57:46
それから十数分―――しかして、その風の収束地にギコはたどり着いた。
その上空だけ、綺麗に雲が晴れていた。
静かな月光がスポットライトのように橋を照らす。
市民が見慣れた橋は、その姿を大きく変えていた。
(,,゚Д゚)「…地震でも、あったのか?」
爪゚ー゚)「まさか」
それは、破壊とはまた少し違うものだ。
在り方は正しい。彼岸を結ぶ橋は、その形質を損なっていない。
そう、それは真に綺麗に、斬られていた。
頭上に掛かるアーチは崩れもせず、その中央に僅かな隙間を作り。
昼には多くの車を支える橋上は、真っ二つに裂けている。
その異様のなか、橋の半程から走る亀裂のもとに、ショボンは倒れていた。
爪゚∀゚)「大怪我をしているな…戦ったのか?」
爪゚ー゚)「それにしては…」
それにしては、静かすぎた。
敵であろう人影も、気配の残滓すらもない。
まるで台風か何かが、全てを根こそぎ吹き飛ばしていったように、そこには何もない。
ミキサーにでもかけられたのかと思う有様のショボンを車に押し込み、リーゼとレーゼがドアを閉める。
運転席に戻ろうとしたギコの足に、何か硬いものが触れた。
拾い上げる。
(,,゚Д゚)「わけがわからん…近未来にでも行ってきたのかコイツは?」
そこには何もなかったが、ただひとつ。
付け根の辺りからねじり取られた鉄の腕だけが、鈍く月光を反射していた。
- 367: 名無しさん :2007/04/20(金) 08:58:00
一方その頃、大学地下ペニサス秘密研究所。
理不尽なまでの設備と空間と素材を完備したその不思議空間で、中破したドクオスペシャル改の改修が行われていた。
('、`*川「おーらいおーらい。はいそこ置いてー」
('A`)「固定完了っと。うーっし、ちょっくらやりますか」
ドクスペの隣に、見覚えのある機影が鎮座している。
この地下に安置されていたペニサスの挑戦の結果。
その機体はバイクの姿はとれない、無骨な鈍色狐。
それは模倣品だった。
かつてラウンジに多大な技術を与えた、DATという知識の塊。
厳密に言うとそれは知識どころか万物さえ与えるものだったが、それも今はもうない。
('、`*川「………」
何故もうないのか。そもそも、何故そんなものが存在したのか。
思い出そうとするたびに、ペニサスの脳に靄がかかる。
存在したことは覚えている。
それでも、なにか、大切なことを、忘れている、ような―――
( ^ω^)「どしたお、先生」
('、`*川「え!?…あぁ、いや。後生大事にとっといて良かったなぁってね」
頭を振って、ペニサスは模倣品を見る。
DATから得た技術を応用して、リリィは完成した。
ならば、その技術を用いなければどこまで出来るのか。
その疑問と、科学者としての興味によって生まれたのが、この模倣品。
優れた性能ではあったが、それはリリィと同じものではなく、ただの四足の装甲車だった。
('A`)「早速やろうぜ。駆動系は俺がいじって良い?」
('、`*川「どうぞ。私は脳を作らないとダメだし」
専門家と道楽者はさっさと作業に埋没する。
その周辺で、一般人はこき使われていた。
('A`)「内藤、そこの鉄骨もってきてくれ」
( ^ω^)「おー…よっこらせっと!」
('、`*川「ツンさん、奥の机の引き出しにある青いノートとってきてくれる?」
ξ゚听)ξ「あ、はい」
概ね一丸となって作業していた。
(*゚∀゚)「がんばってねー」
一人だけ、コーヒーを飲んでいるだけの例外がいたが。
- 373: 名無しさん :2007/04/22(日) 08:42:15
――やべぇ死んだ。
吹きすさぶ、風と呼ぶのすら馬鹿馬鹿しいほどの風を前に、モニュはその事実を受け入れた。
手持ちの煙草は投げつくし、命中している。
風に、だが。
酸素がないと爆発しないだとか、そういう理屈はとりあえず置いておいて。
とにかく、煙草の爆発は、目の前で左腕を振り上げる良く知った顔の女には届かなかった。
プライベートだからほんのひと時だけは好きにすると、あろうことか本気も本気で殺しにかかってきやがってくれた、クー・クーデルカには。
(=゚ω゚)ノ 「わりぃ野郎ども、何人か死ぬかも」
死んだ、というのは間違いない。確信している。
そう、自分が引き連れてきた部下の人数は、許容範囲を超えているだろう。
自分は死なない。この程度の攻撃では。
だから、運の悪い部下数人に謝るのだ。
大太刀が振り下ろされる。
その刀身そのものは目には見えないが、巻き上げられた塵芥が軌跡を示す。
風刃が橋を支えるアーチを断ち切り、道路上のモニュ達をかっさばく寸前に。
モニュと運の良いほうの部下数人の姿が、忽然と消えた。
- 374: 名無しさん :2007/04/22(日) 08:42:34
次の瞬間、モニュが見たのは縦に切り取られる橋でも、真っ二つになった自分の姿でもなかった。
(-_-)「…っ…くぅ、あ…っ」
見慣れたホテルの一室、見慣れたベッドの上で、見慣れた顔が苦痛にゆがんでいる。
そうだ。もはや当たり前となっていたが、今このニュー速市はヒッキーの結界に覆われている。
ヒッキーの能力、マイルーム。
それは外界と内側を遮断するという、陳腐な能力ではない。
ニュー速市は今や、ヒッキーの部屋。そこは真実、思い通りになるヒッキーのための空間なのだ。
大切な人の危機を救うなど造作もない。
いやさ、それなりの代償はあるのだが、モニュのためなら迷いはしない。
モニュはそれを良く理解し、感謝し、申し訳なく思っていた。
(=゚ω゚)ノ 「あー…あ、あ、あ。悪ぁりぃ。ごめん。どこか痛いか?大丈夫か?」
ベッドの上で自らをかき抱き、玉のような汗をかくヒッキーの顔を覗き込む。
普段は深く被ったキャスケットと折りたたまないタートルネックの襟で見えない表情は、苦しみながらも綻んでいた。
(-_-)「危なかった…ね…モニュ」
(=゚ω゚)ノ 「ああ、助かったぜ相棒。姐さんったら生理かなんかか、ありゃぁ?」
ヒッキーの背中をさするモニュを、同じように救われた部下達が呆然と見ていた。
空間転移など夢にも思うまい。
彼らは、自身に起きた事象をまったく理解できず、仲睦まじいなぁと、ぼんやりとズレた感想を抱いた。
- 375: 名無しさん :2007/04/22(日) 08:42:49
その影響は、思わぬところで事態を進展させる。
数分程度だろうか、僅かな間だが、ニュー速市に掛かる結界は、その効能を失った。
誰も気づかなかったろうし、気づいても気にしなかったろう。
人ならば。
その異常を感知したのは、機械だった。
ドクスペの改修で忙しい大学地下、目下全力で展開中の不思議空間。
そこに、ここ数日途切れていた外界の情報が大挙する。
(*゚∀゚)「んー?なに今の音。ピーっていったよ?ピーって」
('、`*川「今のは受信音?おかしいなぁ今は回線接続できないはずなのに…」
改修中のドクスペに繋がったパソコンの前で、一心不乱にキーボードを叩いていたペニサスが席をたつ。
部屋の隅に備え付けられたノートPCに向かって、一応状況を確認して。
ペニサスの眉が歪んだ。
('、`*川「…これはマズイんじゃないかしら?かしら?」
( ^ω^)「お?なんかあったのかお先生」
縁日でタイヤキを焼くような鉄板を二枚運んでいた内藤が、鉄板を床に下ろす。
その音から、その鉄板が凄まじく重いとわかった。
まぁタングステン鋼だから当然なのだが。
('、`*川「んーむむむ。内藤君は重いもの運ぶから不可欠として、ツンさんは私のパシリだし…となると」
(*゚∀゚)「?」
('、`*川「つーさん、だったかしら。ちょっとこの街の市長のところまで行ってくれないかしら。大至急」
(*゚∀゚)「はぁ…良いけ、良いですけど。何かありました?」
唯一の暇人であるつーに白羽の矢を立て、ペニサスは眉間を擦る。
非常に微妙な顔色で、ペニサスはもう一度ノートPCの画面を見ると、嫌そうにつぶやいた。
('、`*川「アスキーアートとシティ・メルボルンが制圧されたわ」
- 378: 名無しさん :2007/04/23(月) 00:12:46
ペニサスに伝言を頼まれ、つーはすぐに病院まで戻った。
ドクオは改修作業は続行しているが、ペニサスの手は動いていない。
内藤とツンも同じように手を休めていた。
( ^ω^)「この街以外の受け入れ都市…制圧したのはラウンジかお?」
('、`*川「そりゃまー…そでしょ」
ξ゚听)ξ「けど、外国じゃない。それほど大したことじゃ…」
('、`*川「ぶっちゃけ他にもユーラシア大陸の過半数と中南米、中東あたりのいくつかの国家もやられてるんだけどねー」
(;^ω^)「ちょっ!」
ξ゚听)ξ「そっちのほうがデンジャーじゃない!?」
('、`*川「いやー?今のところ危ないのはシティ・メルボルンなのよね、これが」
世界に3つある受け入れ都市のうち、最も大きな都市。
それがオーストラリアのシティ・メルボルンだ。
特徴として、戦闘能力のないタイプのホルダーが多く生活していると、という事があげられる。
最も開放的なアスキーアートは、ホルダーと一般人との境界はほぼなく、危険度の少ないホルダーが住み。
身体強化や感覚強化などの、肉体的な脅威と成り得るホルダーは、ここニュー速市に多く住んでいる。
シティ・メルボルンには、明日の天気を当てたり百発百中の占いをしたりする、そういったホルダーが収容されている。
危険は少ない。全般的には。
だが、ただ一人。世界最高の人形遣いハインリッヒ高岡という危険極まりない要素と。
ニュー速市に直通している海底トンネルの存在が、今は度し難い懸念となる。
( ^ω^)「直通トンネル?去年僕らが乗ったような、えーと、クドリャフカ?」
('、`*川「似たようなものね。もっとずっと大型のやつ」
ξ゚听)ξ「けど制圧されたんなら被害者だし、襲ってこないでしょ」
('、`*川「それがねぇ。そのハインリッヒって人、すんごく強いのよ。ラウンジ全部を相手にしても条件次第じゃ勝っちゃうような」
(;^ω^)「…誰だおVIPが一番強いなんて言ったのは」
('、`*川「で、シティ・メルボルンは無血降伏した。ってことはぁ…敵に回ってる可能性があったりなかったり?」
ξ゚听)ξ「…納得。危ないかも」
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