( ^ω^)達が街頭募金をしているようです。

1: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:42:33.81 ID:VfR9TPad0
  
第一話

川 ゚ -゚)「エロマンガ島の恵まれない子供たちの為に募金お願いしまーす」
( ・∀・)「お願いしまーす」
( ^ω^)「おながいしまーす」

募金を始めてからもう1時間になるが、僕の募金箱はすごく軽かった。
おばあさんが100円を入れてくれたのと、小学生が1円入れてくれた。それだけだ。
きっと他の2人もそのくらいだろう。

少し暗くなり人通りも少なくなってきた町を見て、モララーは他の2人に呼びかけた。

( ・∀・)「さーて、クーにブーン。もう暗くなったことだし、このくらいで終わろうか。」
( ^ω^)「把握した。」
川 ゚ -゚)「それにしても今日は随分と少ない気がするんだが。」

クーが肩にかかった募金箱をジャラジャラと鳴らしボツリと呟いた。

( ・∀・)「平日だし仕方ないさ。さて、事務所に帰って集計だ。」

事務所 なんていっても築40年6畳一間家賃5万円のボロアパートなんだけど。



  
2: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:43:33.72 ID:VfR9TPad0
  
川 ゚ -゚)「集計なんて今ここで1分も掛からずに出来そうだけどな。」
( ^ω^)「僕101円」
川 ゚ -゚)「私は200円だ。」
( ・∀・)「おまえら…俺は215円だ…。」
( ^ω^)「それで合計は、えっと、」

川 ゚ -゚)( ・∀・)「516円。」
( ^ω^)「2人ともすごい計算能力だおwww」

( ・∀・)「そりゃどうも。」
川 ゚ -゚)「それにしても…私はニートだから構わないが。これは少なすぎるな。」
( ^ω^)「ちょww困るお。生活が…」
川 ゚ -゚)「ブーンもニートだろう。何が生活だ。」
( ^ω^)「そうだけど今日は少年VIPの発売日で…。」
( ・∀・)「まぁまぁいいじゃねーか。こんなの遊びみたいなもんだし。
      ただお願いしまーすって言っとくだけでこんだけ金が入るんだぜ?」
( ^ω^)「とはいえこれなら普通のバイトした方がずっと儲かるお。」

川 ゚ -゚)「君に普通のバイトなんて出来るのか。初耳だな。」
( ^ω^)「あうあう。」



  
3: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:44:09.34 ID:VfR9TPad0
  


僕がクーとモララーに出会ったのは1ヶ月前。

川 ゚ -゚)「お願いしまーす。」
( ・∀・)「カスラックの活動支援をお願いしまーす。」

僕は塾の帰りで、街角で怪しい募金をしてる二人を見て見ぬふりしようとしていた。

( ^ω^)(カスラックなんか知ったこっちゃないお。)

川 ゚ -゚)「ちょ、そこのお兄さん!募金お願いします!」

そんな時、女が僕を呼び止めた。

( ^ω^)「いやでも僕お金ないし。」
( ・∀・)「1円でも5円でも良いんですよ。お願いします。」
川 ゚ -゚)「それがカスラックの方々の命を救うんです。」

僕はポケットの中に手を入れた。さっき買ったガムのお釣りが入っている。
中から10円を取り出し、女の募金箱に入れた。

川 ゚ -゚)「ありがとうございまーす。」

笑ってるんだかなんだかわかんない顔で女が頭を下げた。
そのすぐ後ろで男がどっかの若手芸人みたいに適当に礼を言うのも見えた。



  
4: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:44:40.93 ID:VfR9TPad0
  

(*^ω^)(僕良いことしちゃったお)

ブーンが自己満足の中に浸りつつその場から去った。

その数十分後、ショボくれた顔の男が2人に絡んできた。
酒臭い。酔っ払いだろうか。

(´・ω・`)「君たち、募金活動をしてるのかい?」
( ・∀・)「ええ。まぁ。」
川 ゚ -゚)「?」
(´・ω・`)「なんていう団体?」
       いるんだよね。人の善意を踏み潰して懐を暖める悪徳詐欺集団。」
( ・∀・)「詐欺?」
川 ゚ -゚)「どうして詐欺だと?」
(´・ω・`)「だったらどの募金はどの団体に?」
( ・∀・)「カスラックの子会社です。」
(´・ω・`)「じゃあ確認をとっても良いかな?」
( ・∀・)「いいですけど社名は教えませんよ。そんな義理は有りませんから。」

(´・ω・`)「おまえら…自分達のしてること分かってるのか?詐欺だぞ詐欺!」

ショボくれた男は2人のなめた態度に怒りを爆発させた。



  
5: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:45:12.22 ID:VfR9TPad0
  

川 ゚ -゚)「いるんだよね。こういうの。その手の知識無いくせに正義気取る。」

女は男にあきれたといったかんじでハーッとため息をついた。

(´・ω・`)「な、なんだと!?」
( ・∀・)「こらクー。煽るのはやめなさい。今日はもう帰るぞ。」
川 ゚ -゚)「はいはい。」

2人は面倒くさそうな表情でまだ何かを言っている男を尻目にその場から離れて行った。


川 ゚ -゚)「それにしても今日は面倒くさいやつに当たった。」
( ・∀・)「ああいうのは慣れっこだろ。つーか本当のことだから仕方ないw」

男が冗談っぽく笑う。女もつられてははっと笑った。

( ^ω^)(お?あれは募金の人たちだお。…募金活動は終わったのかお。)

2人を偶然を見つけたブーンは、その怪しい雰囲気が気になり
後をつけることにした。



  
6: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:45:45.09 ID:VfR9TPad0
  

( ^ω^)(な…なんか…警視庁24時みたいだおwwww)
なんてバカなことを考えながら。

( ・∀・)「じゃあ俺会社に戻るよ。今日母ちゃんは?」
川 ゚ -゚)「いないが石原がいる。」
( ・∀・)「じゃあ安心だ。」
川 ゚ -゚)「あぁ。金も入ったし石原にビールでも買っていくよ」

クーはジャラジャラと募金箱を鳴らした。

( ^ω^)(金……?募金のことか……。)


( ゚ω゚)(募金のことかーっ!)

僕が善意で出した募金(10円)でこいつら……!許せん!
頭に血が上ったブーンは何も考えずに2人の前に飛び出した。

(#^ω^)「おまいら待つお!その金をどうする気だお!」

いきなり現れた男にモララーとクーは顔を見合わせ呆然とした。



  
7: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:46:16.68 ID:VfR9TPad0
  
川 ゚ -゚)「…どうしようとお前には関係ないだろう。というか誰だお前は」
( ^ω^)「関係あるお!僕も募金したんだお!」
( ・∀・)「何を勘違いしてるのか知らんがちゃんと募金h」
(#^ω^)「しらばっくれるなお!話は全て聞いたお!」

快心の一撃! だと思った。

( ・∀・)「あっそう。…で?君はいくら募金したんだい?ちゃーんと返すからさ。」
( ^ω^)「じゅ、10円だお」
( ・∀・)「はいじゃあこれ10円ね。」

モララーは募金箱から10円を取り出し平然とブーンに渡した。

川 ゚ -゚)「じゃあなモララー。私は帰るぞ。」
( ・∀・)「うぃー。乙。」

クーは自分の募金箱の金をポケットに移動すると帰っていった。
こいつら完全に僕を相手にしていない。

(#^ω^)「あんまり僕をバカにすると通報するお!」
( ・∀・)「勝手にすればいいよ。でも警察が相手にするかな?」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「精々調書とって注意して最悪罰金払っておしまいってとこ?
      道路使用許可とってないしね。」
(#^ω^)ピキピキ



  
8: ◆pWxgeQhhkk :2006/08/31(木) 16:46:53.83 ID:VfR9TPad0
  
彼は驚くほど冷静だった。というか、扱いに慣れているようだった。

( ・∀・)「じゃあ僕はこれで」

帰ろうとするモララーに向かってブーンが今度は落ち着いた口調で問いかけた。

( ^ω^)「何でこんなことをするんだお?金のためかお?」

男はブーンの問いにわざとらしくうーんと考える仕草を見せた。

( ・∀・)「金じゃないね。事実殆ど入らないし。あえて言うなら…面白いから?」
(#^ω^)「…人の善意を踏み躙って面白いなんて理解できないお」
( ・∀・)「面白いよ?
      チラシも何にも無い怪しい街頭募金に簡単にお金を落としていくんだ。
      消費税が1、2%あがるだけで、ガソリンが1、2円上がるだけで喚くくせに。」
(#^ω^)「哲学者みたいなこと言ってるけどやってることは只の詐欺師と同じだお。」
( ・∀・)「詐欺師よりもタチ悪いんじゃないかな。ははっ」

こいつはどこかがおかしい。やけに冷め切っているというか、気味が悪い。
何を言っても聞いていないというか右耳から入って左耳から出ている、そんな感じ。

( ・∀・)「じゃあもう良いかな?仕事が残ってるんだ。」
( ^ω^)「もう良いお。何を言っても無駄なようですし。」
( ・∀・)「解かって頂けて結構。」

男は最後まで表情を崩さなかった。それは無表情とも言えるしどこか小ばかにした
ような表情ともいえる。

題1話おしまい



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