( ^ω^)ブーンが甲子園を目指すようです

1: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/16(水) 20:49:59.94 ID:h4LsMCTQO
夏の県大会二回戦

一回戦が終了し約半数の球児の涙が球場の乾いた土を潤した。

今日はVIP学園対ニー速高校の新設校同士の二回戦である

VIP学園ベンチ
(´・ω・`)「同じ新設校として負ける訳にはいかないよ。」

(´・ω・`)「今日は五点はとってもらいたいね。」

五点もあのドクオから取れるのか……選手達はそう思った。

( ・∀・)「五点、ですか……」

(´・ω・`)「うん、普通にやったら難しいかもね、だけど……」
そういうとショボンは声を潜めた。
選手達も身を屈める。

(´・ω・`)「いいかい、……ヒソヒソ……ボソボソ……」

ショボンが話し終えると選手達は以外そうに互いに顔を見合わせた。

( ^ω^)「それで点が取れるんですかお?」

(´・ω・`)「僕を信じてくれ。絶対勝つよ。」



3: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/16(水) 20:57:38.64 ID:h4LsMCTQO
( ^ω^)「……わかりましたお」

他の選手もショボンの作戦を信じることにした。
この作戦が功を奏すか、否か。

一方ニー速高校ベンチ

選手達は思い思いに試合に備えていた。
道具の手入れをする者、チームメイトと談笑する者、そして

('A`)「ブーン、絶対 ……勝つ」

特別な感情を持って試合に臨む者。

(主審)「集合!!」

様々な思惑が入り乱れる試合が始まった。



6: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/16(水) 21:10:56.30 ID:h4LsMCTQO
一回の表、先攻のVIP学園の攻撃

( ´_ゝ`)「お願いします」

一番の兄者に対して初球は内角への真っ直ぐ
ワンストライク
( ´_ゝ`)(本当に遅ぇな……)

その後はスローカーブの連投
兄者はなんとか喰らい付いてカウント2−2
ドクオの六球目
スッポ抜けた高めの球が外角へ
それを兄者は肘を上手く伸ばして流す

フワッとした打球がショートの頭を越え、レフト前ヒット

ノーアウトランナー一塁

兄者は塁上でショボンの方を向く。

ショボンは頷いた。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/16(水) 21:20:11.80 ID:h4LsMCTQO
二番弟者
ドクオがセットポジションに入る前から弟者はバントの構えをしている。

( -_-)(ここはさせに行くよ……)

ドクオはサインに深く頷きモーションに入る。

ランナー不在時とはうって変わりクイックモーションでの投球は真ん中低め
本来ならとてもバントを成功させやすいボールなのだが、弟者のバントはファールゾーンへ

( -_-)(……二番なのにあの球を失敗?)

しかし弟者は全く悪びれる様子も無く、むしろ笑顔だ。
その弟者の視線の先にいるショボンもとても喜んでいる



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/16(水) 21:30:13.74 ID:h4LsMCTQO
( -_-)(何か企んでる?)

ヒッキーがそう考えるほど、弟者からは異様な空気が漂っていた。

('A`)(何かコイツなげにくいな……)

ドクオも同じことを感じていたようだ。

二球目、弟者はバントの構え
低めを見てボール
カウント1−1
三球目を弟者が一塁側にバント
兄者が二塁へ進みワンアウトランナー二塁

ここからVIP学園はクリーンナップ
三番ジョルジュの初球内角低めへスローカーブ
ワンストライク
  _  
( ゚∀゚)(これは……なんつーでかい変化だ)

二球目も内角へスローカーブ
ツーストライク
  _  
( ゚∀゚)(次はナックルか?)



11: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/16(水) 21:38:32.08 ID:h4LsMCTQO
ジョルジュの頭の中には一回戦の最後の一球
最後の打者を三振に仕留めたボールが思い出されていた

(´・ω・`)(来るのか?)

ブーンを始め、他の選手もドクオの投球に注目していた。

ゆったりしたフォームから投じた三球目
  _  
( ゚∀゚)(ここで……揺れる!!)

ジョルジュがバットを引いた辺りからボールが揺れ始める。
  _  
( ゚∀゚)「くっ!!」

ジョルジュは体勢を崩されながらもなんとかカットする

しかしこの打ち方ではファールしか打てないだろう



14: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/16(水) 21:47:36.72 ID:h4LsMCTQO
その後真っ直ぐとナックルを交互におりまぜるドクオに対してジョルジュはカットを続ける。

そしてフルカウントからの八球目

スッポ抜けた球が高めに
見逃せばボールなのだがジョルジュは手を出した。

思い切り叩いた打球は一、二塁間を抜ける。
打球が早かったため兄者はホームに帰れない
ワンアウトランナー一塁三塁

バッターは四番モララー

しかしヒッキーは先ほどのジョルジュのバッティングについて考えていた。

( -_-)「さっきの三番って高めを……って一番も確か……」

三番のジョルジュも一番の兄者も高めの球をヒットにしていた



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/16(水) 21:54:32.94 ID:h4LsMCTQO
実はここにショボンの試合前の話が関わってくる。

(´・ω・`)「いいかい?ドクオ君は球威は無いよね。だけど彼は得点を許さない、それは何でだと思う?」

(´<_`  )「緩急を付けてるのと……」

( ´_ゝ`)「抜群のコントロール」

(´・ω・`)「そう、彼は60km/hほどのカーブを使うことによって100km/h中程の球を130、140km/hに感じさせてるんだ。」

(´・ω・`)「そして、それを可能にしているのは抜群のコントロールだ。」

(´・ω・`)「骨が折れるだろう?しかし弱点の無い投手なんていない」



1: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 20:20:44.45 ID:vfbcvQFPO

(´・ω・`)「ドクオ君の弱点、それは追い込んでから高めにスッポ抜けた様な球が行くことだ」

( ´_ゝ`)「それを狙え、と?」

(´・ω・`)「うん、シュート回転をしているこの球は他の球より遥かに打ちやすい」

(´<_`  )「でもそれだったら何でラウンジ商業を完封できたんですか?」
  _  
( ゚∀゚)「確かにそんな球じゃあ打たれちまうよな。」

(´・ω・`)「それがドクオ君の運の良さでスッポ抜けた球は全てボールになってるんだ。」

( ^ω^)「じゃあボール球を打つんですかお?」

(´・ω・`)「そうなるね、だけど体勢を崩さないようにね。それだと相手の思うツボだ。」



2: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 20:31:54.05 ID:vfbcvQFPO

( ´_ゝ`)「じゃあ狙い玉が来たら思いっきり振れ、と?」

(´・ω・`)「出来れば単打で繋いでくれ、長打が続くと怪しまれる。」

このショボンの作戦を選手は実行し、初回からランナー一塁三塁のチャンスを作った。

( ・∀・)「お願いします」

そして迎えるバッターは四番、モララー

( -_-)(コイツは 一回戦でホームランを打ってる……慎重に)

('A`)(把握)

一塁ランナーのジョルジュを警戒してかクイックモーション
低めに真っ直ぐワンストライク

( ・∀・)(この球ならカットは容易だな……)

二球目はスローカーブ
見逃してストライク



4: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 20:40:04.54 ID:vfbcvQFPO

( ・∀・)(追い込まれた……さてどうするか?)

( -_-)(様子見か……一気に勝負する?)

('A`)(ああ、カウントが有利な内に行くぞ)

三球目、外角へ
際どいところだが見てボール

( -_-)(今の球を見たってことは緊張してる訳じゃないな)

その後もモララーはボールには手を出さず際どい球はカットしていく。

('A`)(コイツしつけぇな……)

( ・∀・)(ここらで高めに来るだろ)

( -_-)(ここは三振で取るぞ)

ヒッキーが出したサインはナックル

('A`)(分かった)



5: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 20:49:25.38 ID:vfbcvQFPO

ドクオは先ほどまでのクイックモーションからうって変わってゆったりしたフォーム
当然一塁ランナーのジョルジュはスタートを切る

( ・∀・)(?何か来る……)

ボールの回転は無いに等しい
これによってナックルはキャッチャーですら予測がつかない独特の変化をするのだ

ボールは小刻みに揺れ、落ちる。
ここまではジョルジュに投じた球と同じだが、変化の幅が比較にならないほど大きかった。

モララーはカットしようとバットを出したがボールはその下でワンバウンド

(主審)「ストライク!!バッターアウト!!」



7: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 21:01:11.90 ID:vfbcvQFPO

この後ブーンはセカンドフライ
VIP学園は初回のチャンスを生かせず
しかしブーンも好投を見せる、立ち上がりから三振の山を築き五回で11奪三振

一方のドクオはランナーを出すものの点許さない。
五回で球数はブーンが64、ドクオが63とほぼ同じ
ブーンにとってはいつもどおり、ドクオにしては多い数だ



16: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 22:02:33.53 ID:vfbcvQFPO

そして迎えた後半六回ドクオの切れのある変化球にVIP学園は三振が増えて来た。

(´・ω・`)(これはなんとかしなくっちゃな……)

反対にブーンはランナーは出さないもののボールが増えて来た
それも無理の無い話でここまでブーンは一本もヒットを許していない

( ・∀・)(でもまだ行けるか?変に口出ししてもな)



20: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 22:12:32.39 ID:vfbcvQFPO

周りから見てもブーンは明らかに力が入りすぎていた。

このままだと肩を痛めるかも……
そんな不安をモララーは感じていたが、口出しはできなかった。

ドクオとの対決に対する気迫からか容易に近付けないふいんき(なぜか変ry
をブーンは放っていた。

この状況を唯一楽しんでいる者がいる。ショボンだ
(´・ω・`)(ここで真価を発揮するか、否か)



22: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 22:22:26.83 ID:vfbcvQFPO

ショボンは今までたくさんの選手達を見てきた
卓越したセンスを持つ者、何か一つ光る物を持つ者、
そして『怪物』と呼ばれる者
ブーンはショボンが見てきた選手の中でもかなりの能力を持っていた。

しかしブーンの様に才能があっても故障で全てをダメにする選手もいた。
反対に才能を開花させる者も……

そしてそれを決めるのは選手自身だ。



28: 作 ◆JHRwPlo8I6 :2007/05/20(日) 22:41:53.52 ID:vfbcvQFPO

そう信じてショボンは野球に携わって来た。
そう、あの日までは……

「……とく、……監督?」

思考を断った言葉の主はブーンだった

( ^ω^)「監督、このままのペースで行っていいですかお?」

(´・ω・`)「モチロンだ、全力で行って来てね」

( ^ω^)「わかりましたお」

見せてもらおうか、君の力を……
そう言って微笑むショボンの表情は少年の様に眩しく、少し儚げだった。



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