( ^ω^)と4色の音色達のようです

1: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:35:46.14 ID:l/kIZC9i0
  












             【序曲】


          








3: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:36:49.51 ID:l/kIZC9i0
  
視界の先、及び周囲は貼り付けた様な黒

そのせいだろうか、頭が上手く回らない、状況がよく分からない

僕はつい先程まであいつを追っていた筈、盗まれた物を取り返す為に

それで追いかけて…いや、今はそれ所じゃ無いな


(;^ω^)「…なんも見えないお」


僅かな光も無い暗闇の中、視覚できる物は何一つとして無い闇の世界
迂闊に動く事も躊躇わせるがこのままでは埒が開かない、ゆっくりと一歩踏み出す


と、その時、正面にぼうっと淡い緑色の光が浮かんだ。


(;゚ω゚)「ひっ、おばっ!?」


突如として現れたソレに恐怖を覚え、背筋を冷たい物が走るが
すぐに瞳を奪われた、暗闇に浮かぶそれはひたすら綺麗で
恐怖心はどこかへ飛んでいってしまった



6: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:38:15.77 ID:l/kIZC9i0
  

そして、こちらへ接近する緑光

(;´ω`)「け…?」

目の前で停止すると、ゆっくりと淡い緑色が広がっていく
厚みの無い半透明、四角いディスプレイが暗闇の中に浮き上がった。


(;^ω^)「なに…この、何?」


僕の目の前で、依然として続く怪奇現象、再び現れる先と同じ光
今度はいくつかの数が浮かび上がり、同じ形状の緑光がずらりと並ぶと


闇の最中、僕の姿を淡く映し出す


不意に四角の中に生まれる大量の線


目まぐるしく走る文字列、謎の数字列、不明な単語は
瞬きの間に画面を埋め尽くす。


(;^ω^)「す、すごいお……よくわかんないけど」



7: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:39:54.87 ID:l/kIZC9i0
  

固唾を呑んで見ていた僕の口から思わずそんな言葉が漏れると
浮かぶ四角の内一つが反応を示した。

画面下から何本もの線が伸び上がり、上下運動を繰り返す
その様は何処かグラフを連想させる。


《デバイス確認 ――ブーンを認証》


続いて見知らぬ誰かの声が響いた
その声に首を傾げる

(;^ω^)「…ブーン?」

いつだったか…誰かが僕の事をそう呼んでいなかったか?
疑問に思えど、意味不明な言葉を繰り返す声はお構い無しだ

(;´ω`)「あの、どちらさまですかお?」

恐る恐る問いかける

《――登録完了 具現化開始》

(;´ω`)「おーい、ちょ、聞いてますかお?」



11: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:41:59.87 ID:l/kIZC9i0
  

聞こえてくるのは微かにくぐもった女性の声
声は少しの間を置いてから、僕の声に応えた


《イエス、マイスター》


(;´ω`)「まい…? え…えと、あなたは、フーアーユー?」


《ワタシは本機 リィン・フォルツェンドのインテリジェントシステムです》


(;^ω^)「お、おまえはなにを言ってr」


《オリンデバイス起動》


『…さあブーン! あたしを弾くのよ!』

(;^ω^)「お?」

次いで聞こえてきたのは聞き覚えのある声

…いや、それはおかしい、そんなはずは無い



13: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:43:24.34 ID:l/kIZC9i0
  

『…ちょっと、聞いてるのブーン』

だって僕はこんな声は知らない、なのに覚えがある、そう思ってしまった
以前に聞いた事があるってだけかもしれないが
それなら聞き覚えがあると感じるこの感覚こそが変だ

『ブーンってば!』

(;´ω`)(なんなんだお、わけがわからなくなってきたお…)

間違いなく聞き覚えがある
にも関わらず僕の思考は全力でそれを否定している


ふと、一つの単語が頭を過ぎた


何故かは分からない、それが妙に納得できる答えだった

…そもそも、今日は何だか分からない事だらけだ、もうそれでいい



     僕は――この『音色』を知っている



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