( ^ω^)と4色の音色達のようです

14: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:45:20.13 ID:l/kIZC9i0
  








   ( ^ω^)ブーンと4色の音色達のようです

        《 第一音 楽興の時 》








15: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:46:26.32 ID:l/kIZC9i0
  

音がする


色々な音


見えるのは不思議な光景、不可思議な感覚
自分が自分を見ているような…そんな違和感


赤、白、橙の色が周囲の色を変え、遠く高い空をも染め上げる
空気は燃えるように熱い、息が苦しい、喉が焼ける
完全に乾ききった喉は酷く痛み、水を欲する思いも消えた

地を揺らし、空気を震わすキャタピラ、巻き起こる爆音

吹き飛ぶ家々と手足の付いた何か

焼け焦げ転がる黒い肉塊

幾度も聞こえる滅びの声

既に耳は麻痺しているのか、轟音もただの騒音のよう
とにかく息が苦しい、不意に景色が反転した
全てが横転…いつの間に倒れたのか、僕が地に横になっている



17: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:48:55.27 ID:l/kIZC9i0
  

(  ω )「…?」


ぼんやりとした視界の隅に何かが見えた


(  ω )(…あれは……なんだろう…)


そして何処からか聞こえてくる音色、何故か愛しく、遠く儚い旋律


それは、何処か悲しげなヴァイオリンの調べ


希薄な存在をどうにか保とうとするも余計に無意識は無を失くし

浮上していく、自分が僕へと還って行く


「………」


薄暗い部屋、微かに差し込む光の中を埃が漂っているのが見えた



19: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:50:16.16 ID:l/kIZC9i0
  

気付けば僕は一人、見慣れた天井を見つめている
そうして全てを理解した

ここは僕の家、僕の部屋、そしていつも見る謎の夢


( つω`)「…ん、朝かお?」


気だるい体に鞭打って上半身を起こすと、ふぅと溜息を一つ

( ´ω`)「また、だお」

最早いつ頃から見始めたのかもわからない夢

遠く幼い頃から見ているような、今日が初めてであるような
そんな錯覚を覚える不思議な夢だった

覚えているのはいつだって火の海に包まれた街並と…悲しげな旋律

( ^ω^)「……さて、と」


まあ夢は夢だ、そんな事を気にしていてもしょうがない



20: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:52:47.26 ID:l/kIZC9i0
  
そう思うと心機一転、起き上がり、勢い良くカーテンを開く
すぐさま一面の青が視界に飛び込んできた
なんだか気持ちよくなって窓を開けると、風が頬を優しく撫でた

( ^ω^)「んーいい天気、今日は気持ちよく演奏できそうだお」

軽く背を伸ばし大きく深呼吸、固くなった体を軽くほぐし、振り返る
暗かった室内はすっかり陽光に照らされ、全貌を現している
そこには至るところに並ぶ様々な楽器達
それこそ弦楽、鍵盤、吹奏楽器までてんこ盛りだ

(;´ω`)「流石に整理しないと駄目かお…」

ごちゃごちゃと一室を埋め尽くすソレを見てまたしても溜息が漏れる
けれど大事な商売道具だ、減らす事は出来ない

そう、僕はこれでもこの国内じゃちょっとは名の知れた音楽家だ

近頃は何かと物騒なのもあって、音楽は癒しであり、人々を支えている大事な物だ
そんな訳で僕は毎日街頭で多彩な楽器を演奏し、生活を得ていた



21: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:54:04.22 ID:l/kIZC9i0
  

そんな訳で今日も軽めに朝食をとると、早速出かける準備を始めた

( ^ω^)「今日は…」

手を顎に触れ、しばしのシンキングタイム
しばしの間を置き手にしたのは少し色褪せたヴァイオリン

これは僕が昔から愛用している楽器類の一つ
随分と昔の一品だが、毎日の丁寧な手入れの賜物かその光沢は失っていない
いつから持っているのか、それすら思い出せない程以前からの付き合いで
今では他に無い、唯一無二の僕の相棒だ。

早速玄関へ向かい、玄関のドアを開くと、その先にはずらり広がる町並み
見上げた大空は青く、柔らかな日差しが僕を包み、鳥の声がどこからか聞こえた

ドアに鍵を閉めるとケースに仕舞われた愛器を片手に通路を進み、階段を下りる
ここは二階建てのこじんまりとした建物、新しくも無く、かと言って古いわけでも無い
そんな普通のアパートが僕の住む家だった。

lw´‐ _‐ノv「あ…内藤さん…おはよう」

階下では何かの棒を手にし、僕へ挨拶をしてくる女性の姿
彼女は名はシュール、このアパートの若き管理人さんだ

(;^ω^)「あ、おはようございます……あの」



26: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:56:02.30 ID:l/kIZC9i0
  

lw´‐ _‐ノv「…なんでしょ」

(;^ω^)「なにを、してるんですかお?」

lw´‐ _‐ノv「箒で、庭のお掃除です」

(;^ω^)「そう…いや、その…それ、僕にはただの棒に見えるんですが」


lw´‐ _‐ノv「…」

(;^ω^)「…」


突っ込んじゃいけない所だったんだろうか…居辛い、凄く居辛い

lw´‐ _‐ノv「管理人の登場と言えば、朝の挨拶、箒で掃除」

(;^ω^)「えぇーと…」

そうして手にした棒を左右に振り回す彼女
見ればそこら中の地面に棒状の物によって抉られた跡があった

…一体いつからやってるんだろうか

lw´‐ _‐ノv「…今日も早くから大変ですね、お疲れ様」

(;^ω^)「まあ、生活の為ですから…」



27: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 22:58:08.27 ID:l/kIZC9i0
  

きっと深く考えちゃいけないんだろう
また一つ大きくなれた気がした、ありがとうシューさん

lw´‐ _‐ノv「たまには、私も聴きに行こうかしら」

(;^ω^)「え゛!?」

lw´‐ _‐ノv「…迷惑?」

(;^ω^)「そそそんな事ないですお! 歓迎しますお!」

lw´‐ _‐ノv「…そう」

(;^ω^)「あは、は…それなら御ひねりは家賃って事でお願いしますお」


lw´‐ _‐ノv「………」

ちらりと、冷ややかな視線が突き刺さった


(;^ω^)「あ、あわわ、冗談! 冗談ですお!!」

lw´‐ _‐ノv「ピアノ演奏だったら…いいですよ、それで」

(;^ω^)「へ?」



31: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:00:12.87 ID:l/kIZC9i0
  

――――。


その後、管理人さんと別れ、路上に出るといつもの場所へ向かい歩き出した
時間毎に場所を変えて演奏する僕のルート、まずは朝の人通りの激しい街中
道行く人と挨拶を交わし先へ進む、そんな普段どおりの日常


今日は…何かが違った

「おい、そこのてめえ」

( ^ω^)「お?」

目的の場所、街の中心にある噴水広場へ辿りつき
座り込んで色々と準備を始めていると誰かに声をかけられた


ミ,,゚Д゚彡「わりぃが、ちょいと付き合ってくんねぇ?」

顔を上げると、そこには何やら眼つきの悪い男が居た

( ^ω^)「あ…ふ、フサギコさん!?」

ミ,,゚Д゚彡「おー、ちょい裏まで来いよ、話があんだ」

( ^ω^)「すいません…今日は、僕お金持ってないです」



32: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:02:12.20 ID:l/kIZC9i0
  

ミ,,゚Д゚彡「あぁ? ほんとかよ、ちょっと飛んでみ?」

( ^ω^)「か、勘弁してくださいお…僕には帰りを待つ三匹の金魚が…」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「いいから飛べおらあ!!」

( ^ω^)「ひゃああ、やめてえええ!」


ざわ…   ざわ…

  ざわ…


そんな騒ぎを聞きつけたのか次第に人だかりが出来ていく

(,,゚Д゚)「おい、いつまでやってんだよお前等」

とそこへ、人波を掻き分けもう一人、やれやれと肩を竦めて現れた



33: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:03:54.85 ID:l/kIZC9i0
  

ミ,,゚Д゚彡「あ、兄貴」

(,;゚Д゚)「あ、じゃねえよ…たく、誤解されるような真似すんなって言ってるだろが」

ミ,,゚Д゚彡「フヒヒwwwwサーセンwwww」

( ^ω^)「ギコさん! おいすー」

(,,゚Д゚)「おう、毎日早くからご苦労さん」

ミ,,゚Д゚彡「ささ、それじゃ早く始めてくれよ!」

(,♯゚Д゚)「てめえで邪魔しといてほざくな!!」

ミ,,;Д;彡「いてえっ!!」


彼等はギコさんとフサギコさん
平たく言ってしまえば常連のお客さんであり

それと同時に…家族同然の人達でもある

と言うのも、実を言うと僕は捨て子らしいのだ
この街で路頭に迷っていた当時の僕を拾い、色々お世話してくれたのがこの二人だ



35: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:05:37.62 ID:l/kIZC9i0
  

僕には何故か幼い頃の記憶が無いから、僕がどこのどちら様なのか
詳しい事は良く分からない、昔はそれで散々悩んでこの二人には色々迷惑をかけたが

…今ではそれもいい思い出、と言う事にしておこう、我ながら情けない話だから

ただ、一つだけ謎がある

(,,゚Д゚)「ん、もうお昼か…移動するか?」

( ^ω^)「はいですお」

ミ,,゚Д゚彡「んじゃーその前に、飯でも食いに行くか?」

(;^ω^)「あ…すいません…今日はちょっと次の場所で先約が」

(,,゚Д゚)「…先約、ね」

ミ,,゚Д゚彡「あー、そっかwwwww」

二人はニヤニヤしながら僕を見つめている
これは非常に不愉快である

(;^ω^)「な、なんですお?」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/10(木) 23:07:05.70 ID:l/kIZC9i0
  

(,,゚Д゚)「ま、ごゆっくりどうぞってやつだ」

ミ,,゚Д゚彡「内藤も大人になったもんだ…」

(;^ω^)「ちょwwww違うお! 別にしぃとはそんな関係じゃないお!!」

ミ,,゚Д゚彡「その彼女とは一言も言ってないわけだが」

(;^ω^)「うっ…!?」

こんな分かり易いオチに引っかかるなんて…くやしい…でも
ちなみにそういう時はこれを訪ねるに限る

(;^ω^)「…ところでお二方、今日こそはお聞かせ願いたいですお」

(,,゚Д゚)「ん?」

( ^ω^)「いったい二人は何をしてる人なんだお?」


(,,  )
ミ,,  彡


その言葉を聞くや否や、二人が一斉に顔をそらした

( ^ω^)「こっち見てくれお」



38: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:09:10.56 ID:l/kIZC9i0
  

(,,゚Д゚)「おっ!そろそろ時間だな、行くぞゴルァ」

ミ,,゚Д゚彡「へい兄貴!」

(;^ω^)「ちょwwwまたかおwwww」


そう、二人は何故か僕に自分の職業を教えてくれない、恐らく相当稼いでると思うのだ
なんせ僕一人を平気で養い、そればかりか一人で住む家や楽器類
それらのほとんどは彼らが僕に与え…

違った、借りているだ、いつか稼いだお金で返して見せる、だから借物なのだ

走り去る二人の背中を見つめながら、そっと心に誓った

( ^ω^)「さて…それじゃ次は公園に――」

('A`)「あ」

そうして振り返ると、見知らぬ誰かと目が合った

(;^ω^)「お?」

('A`)「あ、どうも、ドクオっす」



39: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:10:58.45 ID:l/kIZC9i0
  

(;^ω^)「へ、あ、ああ…どうも」

('A`)「じゃ、そういう事で」

(;^ω^)「は、はぁ…」

見知らぬ誰かはぺこりと頭を下げると
僕の愛器が仕舞われたケースを片手に歩き出した

(;^ω^)「………えーと」

(;^ω^)「な、なんだお…今の……」


…いやちょっと待て、何かおかしいぞ?


( ゚ω゚)「僕のぶぁいオりんがあああああああ!!!???」

(;'A`)「げ」

そんな声を察したのか、先の男は僅かにこちらを伺い、駆け出した

( `ω´)「待てこの、どろぼーーーー!!!!!!」

(;'A`)「うへ、来た!」



40: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:12:21.44 ID:l/kIZC9i0
  

そうして逃げる彼を追いかけ、噴水広場を後にした

( `ω´)「逃がさんおおおおお!!!」

(;'A`)「…っ」


人を掻き分け、街角を走り抜ける


(;`ω´)「ま、まぁてーるp(規制音)ーー!!」

(;'A`)「ぜぇ、ぜぇ…」


息も絶え絶えに追いかけっこは続く
やがて前を走る男がとある路地裏へと吸い込まれるように消えた

(;`ω´)「あそこは…」

しめた、あの道の先は行き止まりになっている
勝利を確信し、薄暗く、狭い道へ向け駆け抜けていく

だが、その先に僕の思い通りの物は無かった

(;´ω`)「い、居ない!?」



42: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:14:12.22 ID:l/kIZC9i0
  

四方を壁に囲まれ、袋小路の男の図を想像していたが、そこに人の影は無く
あるのは赤レンガの壁と、一軒のお店の入り口であろう扉だけであった

(;´ω`)「おかしいお…こんなとこに店なんてあったかお?」

不思議に思い見つめる、扉の上には看板がかけられ、大きな文字でこう書かれている

【バーボンハウス】

(;^ω^)「飲み屋か…何かかお…?」

よくよく見れば扉が半開きになっている
どうやらあの男はこの中に逃げ込んだと見て間違いないようだ

(;^ω^)ゴクリ

多少の不安、いや正直とんでもなく怖いが、あれをそう簡単に諦める訳にはいかない
僕は意を決してドアノブを掴み、ゆっくりと開いていく

まず、軽快なクラシックが聴こえた

そして薄明かりに包まれた店内、いくつかのテーブル
カウンターの奥には様々な酒類やグラスが並んでいる
なんだか落ち着いたふいんきで良いお店だと思った



45: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:16:02.71 ID:l/kIZC9i0
  

…それもその筈、なんせ人っ子一人居ないから

(;^ω^)「こ、こんにちわー、誰か居ませんかおー?」

当然返事が返ってくる事も無く、僕の声だけが空しく店内に響いた
客も居なければ、本来カウンター奥に居るべきであるマスターも居ない
時間的にもまだ準備中なのかとも考えたが、店内の様子からそれは無いと感じ
とりあえず店内へと歩を進めた

(;´ω`)「うう…どうなってるお?」

しばし散策してみるも、やはり人の気配すら無い
が、発見はあった…不気味に開かれた、カウンター横の扉だ

(;´ω`)「またかぉお…」

正直うんざりしながらそこへ向かうも、心の中は相変わらず不安で一杯だった

扉の奥にはとんでもなく長い通路、これは本格的にやばいかもしれない

例えばここはどこぞの窃盗団のアジトで、ここの事を知った僕は殺されるかと思いきや
謎の黒服の男達に謎のクスリを飲まされ小さくなったりとか?

それは嫌だ、怖いってレベルじゃないぞ…もしもそんな事になったら…
これから先、僕は行く先々で死体を見なければいけなくなってしまう

( ;ω;)「やだお…」



47: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:18:33.15 ID:l/kIZC9i0
  

だがあのヴァイオリンは取り戻さなきゃいけない、ずっと一緒だった
記憶の無い僕にとって、唯一の過去との繋がりなんだ
涙を堪え、勇気を振り絞って前へ進む

頭の中はどんどん悪いイメージが膨らんで行く



(;´ω`)(この奥には店主が何者かに殺されていて、それを発見した僕が犯人に…とか)



ちなみに、あくまでも自分が死ぬという選択肢が出ない事に気付いたのは
それからずっと後のことだった



どれほど歩いただろうか、やがてこれまたとんでもなくでかい広間へと抜けた
そこで、僕は信じられない物を目にした

見た瞬間はそれが何であるか理解できない程の巨大な異物



48: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:20:09.47 ID:l/kIZC9i0
  

見上げれば、まるでセーフテ…よくあるシャッターの様な天井

天井から下を照らす巨大なライト


その光を全身に受け、眩く輝く巨大な


(;゚ω゚)「人…!? い、いや…これって……ロボット!?」


大きくてこの位置からでは全てを把握しきれないが
巨大な手足、これはどうやら巨大な人型ロボットの様だ

(;゚ω゚)「なんで…こんなものが……」

そのあまりの異様に、その間の僕は忘れてしまっていた
盗まれた大事な物も、どうして自分がこんな場所に居るか、何処から来たのか、その全てを


だから、気付けなかった


( ・∀・)「ようこそ、ブーン君」



49: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:22:08.83 ID:l/kIZC9i0
  

(;゚ω゚)「…え?」

いつの間にか、僕が入ってきた入り口は閉鎖され
取り囲むように後方に並んでいた数人の人間


( ・∀・)「ああ、失礼…内藤君だったね」

(;゚ω゚)「……!!!」

全身が危険信号を上げる、やばい、やばい、やばい
連中の中には僕が先まで追っていた男も見えたが、それ所じゃない

僕はきっと見てはいけない物を見てしまった、それくらいは僕にも分かる


('A`)「準備は終えてあります」

( ・∀・)「じゃあ早速搭乗してもらおう、もう時間が無い」


奥歯がガチガチと鳴る、怖い、僕は…死ぬのか?

こんなわけのわからない事で、死ぬのか?



50: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:24:00.84 ID:l/kIZC9i0
  

まだ…何の恩も返せていないのに

また聴かせてと言ってくれた女の子への約束も果たしていないのに

まだ何も――――――

(  ω )「…うっ……」

首筋に感じるちくりとした痛み、急激に意識が飛んでいく


めのまえが……ぼやけ…て……


(  ω )「ぃゃ…だ…」


最後に見えたのは…腕時計と、開かれた時計のレンズ部分だった



   「バー………ロー…」




54: ◆6Ugj38o7Xg :2007/05/10(木) 23:30:01.53 ID:l/kIZC9i0
  

「丁重に運べ、麻酔の効果は?」

「一時間もかからない、筈です」

「…大丈夫なんだろうね?」

「い、いざとなればデバイスを強制起動すれば!」

「…はあ、そうだね、まあなんとかなるか」


「頼むよ、ブーンを受け継ぐ者」


「…かっこつけすぎじゃねっすか?」

「…」

                     第一音 楽興の時  終



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