( ^ω^)と4色の音色達のようです

3: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:28:12.82 ID:U+yow+bz0

地上を遠く離れた空の上、そこに今、二つの巨体が存在した



一つは、地上を目指し落ちていく棒状の形、大地を焼き尽くすであろう爆弾の姿


一つは、地上を守る為に空へと上昇を続ける、リィンと呼ばれた巨大な機械人形



空気が燃える爆音、吹き荒れる風を切る轟音が空間を震わせ

それら全てを呑み込むように大空へ響き渡るヴァイオリンの旋律


二つの巨大な物質が互いの距離を縮め、交差するその間際
落ちていく爆弾が先端からその形を崩し始め、分解されていく


『やった、やったわよブーン!!』

(;^ω^)「う、うまくいったのかお?」

ξ*゚听)ξ『そうよ! 成功よ!!』



5: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:30:00.77 ID:U+yow+bz0

大量の破片を撒き散らしながら落下していくそれを見つめ
もう安心だと、彼女は興奮気味に歓喜の声を上げた


(;^ω^)「あ! でもこないだみたいに粉々にはなってないお!?」

ξ゚听)ξ『それは…しょうがないよ、ほとんど一瞬しか震動波を浴びせられなかったし
     でも平気、あれなら大気の摩擦でバラバラになるなり空中爆発なりするわ』

(;^ω^)「そう、かお…」


とにかく何とかなったようだ、これでどうにか肩の荷が下りた
体中の力が抜け、僕は大きく息を吐き出すとその場にへたれ込む


(;´ω`)(まだ手が震えてる…)

未だ恐怖も覚めやらぬ自分の手をしばらく見つめ
不意にぐっと握りこぶしを作れば不思議と震えも止まり
そこでようやく自分が凄い事をやってのけたのだと、少しだけ誇りに思えた

視線を前に向けると青い空が視界一杯に広がり、そこにぽつりと浮かぶ太陽は横に流れた
眩しさに目を細めながら尚も凝視すると、今現在、大きく回りながら滑空しているのが分かる

眼下には雲が浮かび、その下には更に大地がどこまでも続いていた



8: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:31:58.60 ID:U+yow+bz0

(*^ω^)「おっおっ、すげーお!」

地上に見える物は何もかもが豆粒よりも小さい
始めて見る空からの眺めはなんと壮大で綺麗なのだろうと
先までの恐怖もすっかり忘れ、僕は感動に打ち震えていた


と、そんな生まれて初めての空の旅を楽しむのも束の間


それは、正に突然の事だった


ξ;゚听)ξ『え!?』


見れば先端から剥がれる様に形を崩しつつ落下していくミサイル
その内装が姿を見せるとほぼ同時に、内部から黒い塊が飛び出した


(;^ω^)「あれは?」

ξ;゚听)ξ『リィン!! あれを追って! 早く!』

《了解 ターゲット変更 旋回停止――降下します》

( ゚ω゚)「え、て、ぬわーーーーーーーっ」



10: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:33:34.07 ID:U+yow+bz0

途端に全身を襲う浮遊感、ゆったりと流れていた景色が一転し、落ちていく
ついでに股間のちょい上辺りに到達時にも似た感覚が湧き上がってきてあばばばばば

ξ;゚听)ξ『な、なによあれ!?』

(;´ω`)「く、くやしい…でも」


《迎撃対象より分離した物体の内部より微量の震動波を確認しました》


ξ;゚听)ξ『…え』

( ^ω^)「ん」

落下する二つが距離を詰め、視認したそれは巨大な四角形
全体を黒く染める謎の箱状物体だった

(;^ω^)「あれ、まさか爆弾!? やばいんじゃないかお!?」

ξ;゚听)ξ『そんな…どうなの?』

《現状では不明――ですが推測は可能です》

ξ゚听)ξ『?』

《対象より微量の震動波を感知》

ξ;゚听)ξ『どういうこと?』



11: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:35:20.61 ID:U+yow+bz0

《それは――》

(;^ω^)「つ、つまり爆発しそうって事かお?」

何やらツンはとても焦っている、だが空中で爆発する分には問題無いのではなかろうか
どうも状況を把握しきれないけど、置いてけぼりも寂しいので頑張って発言してみた

ξ゚−゚)ξ『…』

《対象から発せられる震動波は本機同様の障壁です そして微かながら駆動震動も確認しました
 熱反応は恐らく内部駆動により発生した物と思われますので構造予想では爆発物の可能性は低いかと》


すると訳の分からない返答が返ってきた

(;;^ω^)「……つまり違うと?」

《イエス マイスター》

(;^ω^)「なら、あれは一体なんなんだお?」

《記録にはありません  警告 熱源反応数増加》

(;´ω`)「ええ? やっぱり爆発するのかお!?」

《いいえ――》

ξ♯゚听)ξ『ああもうっ! あんたはちょっと黙ってなさい!!』



12: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:37:10.67 ID:U+yow+bz0

(;´ω`)「あうあう…」

ξ゚听)ξ『リィン、熱源数ってどういう事?』

《対象から複数の熱源体を確認 あれは固体の連なった形状であると推測》

ξ;゚听)ξ『つまり何かの集合体って事ね』

(;^ω^)「あの…下の人達に連絡した方がいいんじゃないかお1?」

ξ゚听)ξ『…そうね』

《本部へ通信を繋ぎますか?》

( ^ω^)「お、頼むお!」

《了解――現在 軽度の電波妨害があり 通信の際何らかの障害が予想されます》

(;^ω^)「へ?」

ξ;゚听)ξ『ジャミング? まさかそれもあれが?』

《回線開きます》


《 ノ 听)「…つ…ええ…!!! どう……気……は!? 》

( ^ω^)「これは酷い」



14: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:38:52.55 ID:U+yow+bz0

映し出された画面には砂嵐が走り、声も割れている
なるほど、これは確かに障害だ

(;^ω^)「も、もしもーし!!」

《 ノパ  )「…ぇ…?…なん……て!? 》

(;^ω^)「ちょ、全然聞こえないお!!」

ξ;゚听)ξ『…』

(;^ω^)「おーい!! 変な箱が出てきたんだお! 何か分からないかお!?」

《  パ )「…は?」》

(;^ω^)「なんか変なのがそっちに向かってるんだお! 早く逃げるなりなんなりしないと!!」

《 「…?」 》

(;´ω`)「駄目だお…全然聞こえないお」

ξ;゚听)ξ『リィン、どうにかならない?』

《録音した音声を直接送信すれば可能かもしれません》

ξ゚听)ξ『わかったわ、じゃあそれで』



16: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:39:48.12 ID:U+yow+bz0

《了解 回線遮断 送信音声をお願いします》

ツンは小さく咳払いした後、大きく息を吸い込んだ



『アレは爆弾じゃ無い、輸送弾だったのよ!!』








       《 四音 具現弾奏 》 








18: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:42:51.87 ID:U+yow+bz0

グラン・コンオー帝連盟国

帝国と呼ばれる国の中心にある城塞の内部

様々な装飾が施された大広間に大量の人間が集っていた
何本もの柱が天井を支えるようにそびえ、壁には松明が綺麗に整列し
広間の中心には円形の池があり、黒紫色の水が炎を宿し、激しく燃え盛っていた


その最奥、長い階段を上り、豪勢な椅子の前に辿り着くとその場で俯き、跪く男が一人


「皇帝陛下、我々の贈り物は無事到達した模様です」


( <○><○>)「判っている、顔を上げよジョルジュ」

眼球全てが白く覆われ何処を見ているのかも判らない不気味な形相をした初老の男
彼こそはこの国の皇帝、名はワカッテ=マス


( ゚∀゚)「はっ…!」

その言葉に男は俯いていた顔を上げ、微かに笑みを浮かべた
彼は帝国軍兵器部戦隊長の肩書きを持つ男ジョルジュ



19: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:43:44.99 ID:U+yow+bz0

( <○><○>)「それでどうだ、彼の国にブーンの民の遺産が存在すると言う話は事実だったか」

( ゚∀゚)「はい、4奏器の内一つを確認しています」

( <○><○>)「そうか…やはりな、早めに手を打っておいて正解だったという訳か」

( ゚∀゚)「……恐れながら、よろしいでしょうか」

( <○><○>)「なんだ、申せ」

( ゚∀゚)「本当にルービックを投入してよろしかったのでしょうか
     あれでは最悪、遺産そのものを破壊してしまう恐れが…」

( <○><○>)「構わぬ」

(;゚∀゚)「…ですが、件の巨大な奏縦器械は恐らくブーンの民が遺産の結晶です
     あれを入手し、研究すれば我が国の技術は更なる過去への回帰を――」


( <○><○>)「既に我等は過去の技術を充分に手にしている、ブーンの遺産など必要無かろう」

(;゚∀゚)「陛下、ブーンの民の技術は過失時代の中でも最高峰であったと言われいます
     それを易々と失うのは今後の痛手となる事も」

( <○><○>)「くどいぞ、ジョルジュ」

(;゚∀゚)「しかし…っ!」



21: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:45:41.84 ID:U+yow+bz0

( <○><○>)「…我に同じ事を言わせるつもりか」

(li ∀ )「…っ……もうし、わけ、ございません」

低く唸るような声を聞きジョルジュは脅えた風で謝罪した
そんな様子を察したのか、皇王はどこか遠くを見つめたままゆっくりと語る

( <○><○>)「…お前の言い分は分かる、だが過去の繁栄文化はその技術への欲深さ故に滅びた」

( ゚∀゚)「…」

( <○><○>)「分かるかジョルジュ戦隊長、人が己の欲望に溺れて進む先には必ず過ちが待っている
       過去を省みる事を忘れず、それが有効か危険か程度の判断はせねばならん、ましてや――  
       それがかつての繁栄文化を崩落させたブーンの民の遺産であるなら尚の事」


( <○><○>)「炎と同じだ、誤った物を投じれば消え、あるいは燃え上がり全てをも焼きつくすように
       我等がこの悠久の刻の流れの中、偉大なる炎を絶やさぬ為には投じる物を選定せねばならん」


( ゚∀゚)「…はい」

( <○><○>)「我が帝国の狙いは破壊ではない、支配なのだ
       その為に必要な事は我には判っている、お前は我が言葉を信じ、命に従えばよい」

( ゚∀゚)「はっ!!」



22: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:47:22.03 ID:U+yow+bz0

( <○><○>)「皆も聞け!!」

ワカッテマスが立ち上がり声を張り上げる
静かな空間に声が木霊し、その場に居た者は例外なく跪いた


( <○><○>)「今再び、禁断の技術を使い、我等が帝国に歯向かわんとする者共が居る
       連中はその危険性も分からず、炎の輝きに魅せられ寄り集る愚かな虫だ
       よいか、遺産は全てを滅ぼす悪夢の力だ! 決して好きな様にのさばらせてはおけぬ!
       我が国と、この世界の為に、このグラン帝国こそが地上の太陽となる為に
       その障害と成り得る物は全て焼き払うのだ!!」



広間に集う群集が一斉に立ち上がり、その言葉に応え


静かな空間、中心に燃える炎が天を目指し猛っていた



……。


謁見を終え、広間の入り口にある重々しい扉を抜けると、その先には薄暗い通路があった
  _
( ゚−゚)「ふぅ」



24: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:49:07.96 ID:U+yow+bz0

しばし扉を見つめた後、ジョルジュは小さく息を吐く
口を閉じ、黙ったまま一点を凝視するその表情からは感情は読み取れない

と、静寂に包まれた通路に幾つかの足音が響いた

「よ、なんだなんだ? ご機嫌斜めかい」

足音はジョルジュのすぐ横で止まった
  _
( ゚−゚)「…お前達か」

声を掛けられた方を見向きもせず、そう呟き扉を凝視し続けるジョルジュに対し
内一人の少女が能天気に横から覗き込み、首を傾げた

从・∀・ノ!リ「たーいーちょ、なにむくれてるのじゃー?」

(´<_` )「よせ妹者…お疲れ様です、隊長」

从・ε・ノ!リ「むー…」

( ´_ゝ`)「や、しかし皇帝のブーン嫌いは相変わらずだねぇ、もうやれやれって感じかい?」

从・∀・ノ!リ「こーてーさまはぶーんがおきらいじゃ〜♪」

(´<_`;)「兄者…妹者も、無礼だぞ」



26: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:50:48.35 ID:U+yow+bz0

腕を組みふてぶてしい態度を取る男と、くるくる回りながら楽しそうに歌う少女
そしてそんな二人を慣れた風で静止する男

彼等の名は流石、3人同一の名を持ち、分別の為にそれぞれ兄者、弟者、妹者と呼ばれている
そして帝国軍兵器部副長にしてジョルジュ直属の部下であった
    _
ミ(   ゚)「…」

从・∀・ノ!リ「にゃ?」

(´<_`;)「あっ」

ジョルジュはそんな様子をちらりと横目に見ると
何も言わず静かに通路を歩き始め、3人がそれを追った

(´<_`;)「す、すみません!」
  _
( -∀-)「…構わん、それよりルービックの方はどうなっている?」

(´<_` )「自律型分離式変形駆動機タイプRCは一度空中で迎撃されるも本体に損傷は無く
       現在無事降下に成功した模様です」


( ゚∀゚)「そうか、第一段階はクリアしたか…ならば後はどこまでやれるか」

(´<_` )「そうですね」



27: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:52:22.99 ID:U+yow+bz0

( ´_ゝ`)「にしてもびびったよなぁ、いきなりあれを出撃させろー!
       なーんて言うからさ、あれにブーンの技術を使ってんのがもうばれたんかってなぁ?」

从・∀・ノ!リ「こーてーがきらいなぶーんのぎじゅちゅをつかってるのがばれたらたいへんじゃー♪」


(´<_` )「とは言え、今はまだブーンについてほとんど理解していないのが現状ですからね
       せめて今回の事で良いデータが取れるといいのですが」
  _
( -∀-)「その為にも…あれには充分働いて貰わねばな」

( ´_ゝ`)「つーかな、ほんと、なんで皇帝はあんなに遺産を嫌うのかね
       さっきもブーンは世界を滅ぼす悪魔だ〜みたいな事言ってたしよ」

( ゚∀゚)「…聞いていたのか」

从・∀・ノ!リ「きっとこーてーはぶーんがこわいのじゃ
      いもじゃがおばけだいきらいなのとおなじなのじゃ!」
  _  
( -∀-)「…陛下は俺たちよりも古い世代を知る方だ、恐れられているのでは無く
     禁忌とされた物を否定する信心深さがおありなのだろう」


( ´_ゝ`)「そこがオレにゃわかんねーんだよなー、実際見たわけじゃねーのにさ」

( ゚∀゚)「そこは立場の違いだ、実際に戦い、技術を磨き研究する者と
     自国の安全等を考える者では見解の相違が出るのは仕方が無い」



29: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:56:20.95 ID:U+yow+bz0

( ´_ゝ`)「でもよー皇帝だって自分で欲を持つのは当然〜みたいな事言ってんだし
       やっぱ知りたいとは思うのが普通だと思うけどねぇ…
       世界を滅ぼす程の力を持ったブーンの民の技術ってやつを、さ」

( ゚∀゚)「それ故に、俺達がこうして動いている……今はそれでいいじゃないか」

( ´_ゝ`)「……だーな」


……。




从・∀・ノ!リ「つまり…くろれきしはふういんされました?」

(´<_`;)「妹者、それは不味い」




……。



30: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 01:59:23.42 ID:U+yow+bz0

ξ;゚听)ξ『あ、ああ、街が』

(;゚ω゚)「…酷いお」


上空から眺める街からいくつもの黒煙が立ち昇っている
あの変な箱が落下したせいもあるが、あれはそれだけじゃない

ξ;゚听)ξ『リィン、急いで!』

(;`ω´)「っ…」

これは先程の事

落下を続ける巨大箱を追い、急降下を続けていた僕等だったが――


《警告 このままの速度で落下した場合 本機は着陸時の衝撃に耐え切れません》

ξ;゚听)ξ『限界…か』


と言う事で旋回降下を始めると、目の前でまたも驚くべき事が起きた
落下中の箱が分解を始め、幾つもの箱状物体となりそのまま地上へと消え

墜落の衝撃で建物が崩壊し火の手が上がる、そんな光景が視界に映った



31: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:02:39.39 ID:U+yow+bz0

謎の通信妨害は更に強力になり、僕等は下の人達との連絡も全く取れない為
詳しい状況も分からないまま見ている事しか出来ず、とにかく少しでも急いで滑降を続けた


《飛行装備解除 着陸します》

(;゚ω゚)「!?」

街から少し離れた郊外の広場
地を揺るがす程の轟音を立て、巻き起こる土煙と共に白き巨躯が大地に降り立った
凄まじい衝撃が内部にもかかり、僕は堪えきれず派手にすっ転んだ

(;´ω`)「あいたた…」

ξ゚听)ξ『行くわよ! ほら、早く立って』

(;^ω^)「お? あ、おkだお!!」

ξ゚听)ξ『リィン、通信はまだ繋がらない?』

《先より強力な妨害電波が発生してます 現状で本部への通信は不可能です》

ξ゚听)ξ『こっちの判断で動くしか無いみたいね…リィン、まずは一番近くの熱源を追って』

《了解》

こうして僕等は街中を進み、一番近くで立ち昇る黒煙の方へと向かうと
逃げ惑う人々や崩れる建物、炎が周囲を赤く染めるその先にそれは居た



33: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:03:46.73 ID:U+yow+bz0

ξ;゚听)ξ『…ひどいわね、滅茶苦茶だわ』

(;^ω^)「お? あれは…?」

火海の中に浮かぶ黒い影、四角い箱の連結した物が蛇の様に蠢いている
空で見たあれよりは遥かに小さく見えるが、あの黒色の物体に間違いは無さそうだった

ξ;゚听)ξ『この惨状はこいつの仕業ってわけね…』

(;^ω^)「何なんだお、この変なのは」

九つの箱が連なる不気味な姿
よく見れば表面が窪み、中心には謎の穴が見えた


不意に、その穴が輝いた


《前方より高熱源反応》

ξ;゚听)ξ『え?』


瞬間、赤い光が弾け、閃光が視界を覆った



34: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:05:00.98 ID:U+yow+bz0

ξ><)ξ『きゃああああ!!』

(;゚ω゚)「お、お、おおお!?」


続いて軋むような烈音を響かせ、激しい振動と衝撃が襲った


ξ;゚-)ξ『い、今のは…?』

いつの間にか視界を覆っていた煙が晴れ、その先には凄まじい光景が広がっている


(;゚ω゚)「んなっ!?」

陽炎が見える物全てを歪ませ、辺り一面が一色に染まっている
炎が煙を噴出し、建物は融解し、地面は溶岩の様に全てが赤く変色していた

(;゚ω゚)「なんじゃこりゃあああああああ!!」

《対象より高密度の熱線放射を確認》

ξ;゚听)ξ『……こんな、なんて火力なの』

《直撃すれば本機も無事では済まないでしょう 早急な対処を提案します》



36: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:06:53.12 ID:U+yow+bz0

ξ;゚听)ξ『内籐、行くわよ!』

(;^ω^)「へ?」

ツンが僕の手を取ると同時に発光
次の瞬間には再びヴァイオリンの姿となり、僕の手の中に握られた

(;´ω`)「え、えーと…僕はどうすれば?」

《障壁の起動 及び音源の補給をお願いします》

とか言われても僕はまだ全然どうすればどうとか理解して無いのですが…

『なんでもいいから弾けばいいのよ、それだけで音源は補給されるわ
 あとは障壁ね…ピチカートがコードキーなんだけど、音発生時が一番強く障壁を発動できるの』

(;^ω^)「に、日本語でおk」

『とにかく演奏、そして敵の攻撃が来たらすぐさまピチカート…これで分かる?』

(;^ω^)「え、と…やってみるお」

『ええ、頑張って、それで敵の様子は?』

《現在行動停止しています 先程の攻撃の後から排熱行動に移っているようです
 どうやら放射毎に多少の時間を必要とすると考えられます》

『チャンスは今しか無いわね、リィン攻撃よ!!』



38: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:08:59.86 ID:U+yow+bz0

《了解》

『ブーン何してるの、早く弾きなさい!』

(;´ω`)「で、でも…何を弾けば」

『そうね…じゃあハイドンの74番』

(;´ω`)「は…あく?」

脅され…諭されるままにヴァイオリンを構え、強く弓を押し当てる
微かに彼女の吐息が漏れるが…きっと気にしたら駄目なのだろうと直感が告げていた


(;`ω´)(ええい、ままよ!)


『ん…あ、あぁ…』


ゆっくりと、周囲を飲み込むように旋律が奏でられていく
名は弦楽四重奏曲第74番【騎士】の副名を持つ曲だ

《音源供給確認 行きます》

『はぁ…ぁ…いいよブーン…そのまま、で…』



40: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:10:53.16 ID:U+yow+bz0

続く演奏の中、響く足音が旋律にかき消されながら巨躯が走る

そして、未だ沈黙を続ける箱状機械に接近すると、大きく腕を振りかぶり
頭部と思われる先端へ向けて握った鉄拳を撃ち放った


――黒い箱に対照的な白い腕が深々と突き刺さる


大きな振動、続いて隙間から溢れるような閃光、遅れて爆音
炎が爆ぜ、煙の中から様々な破片が飛び出し降り注いだ

《撃破確認》

続けて未だ煙の中から、横たわる八つの間に向け強烈な蹴りを放つ

直撃と同時に激しい金属音が響き、蹴撃を受けた箇所が吹き飛ばされ地を転がる
その直後、閃光と共に爆発、その衝撃を受けた残りの箱の全てがバラバラ散らばった


『何なの? これじゃまるで手応えが…』

( ^ω^)「やったのかお? なんか全然大した事ないお、何もしてこないし」

『そうね…でも油断しないで』

《非常警告 高熱量反応 振動波増大 来ます》



41: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:12:38.86 ID:U+yow+bz0

『っ…ブーン! 障壁!!』

(;゚ω゚)「え、わ!?」


慌てて弦を弾く


と、ほぼ同時に閃光が視界を覆った


「うあああああああああ!!!!」


『きゃっ!!!!』


凄まじい地鳴りと爆音、そして激しい振動が機体をも揺るがし
一瞬、まるで天地がひっくり返る様な錯覚と共に重力が反転、前方から強烈な圧迫感を感じ
堪えきれずに僕は後ろに飛ばされると、その拍子にヴァイオリンを手放してしまった


(;´ω`)「う、うう、いったい何が…」

ξ;凵G)ξ『いったぁい……もう! 何するのよぉ!』

(;´ω`)「ごめ、ぁいや、すみません!」



44: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:14:20.40 ID:U+yow+bz
)「ごめ、ぁいや、すみません!」

放り投げた時の影響か、いつの間にか人型に戻ったツンは涙目で頭を抱えていた

(;´ω`)「だ、だいじょうぶかお?」

ξ;凵G)ξ『大丈夫じゃないわよ! いきなり投げるなんて酷いわ!』

(;´ω`)「ごめ…っていたたた! ちょ、乱暴はやめ」

ξ;凵G)ξ『馬鹿ぁ!』

駄々をこねるように…なんて生易しい物では無く、本気で殴りかかってくるツンを他所に
視界を覆っていた煙が晴れ、視界に空が広がった

どうやら爆発の衝撃で転倒してしまっているようだ

(メ;ω(メ)「ツン! ちょっと落ち着くお!」

ξ;凵G)ξ『え?』


ξ;゚听)ξ『リィン!? 平気なの!?』

《――装甲に若干の損傷がありますが行動に支障はありません》


起き上がり、周囲の様子が映し出される



45: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:16:03.11 ID:U+yow+bz0

まず見えたのは円形の大きなクレーター
剥き出しの地面、建物等は綺麗に吹き飛ばされ
数百メートルに渡り何も無い空間が広がっていた


(;゚ω゚)「…ぁ…え?」


何だこれは、街にぽっかり穴が空いてしまったではありませんか
建物が沢山並んでいた、人が生きる場所が確かにあったのに…何も無い

目に映る光景が信じられず、僕はただ呆けている事しか出来なかった


ξ;゚听)ξ『こんな…何があったっていうの? 障壁は間に合わなかった?』

《いえ 音障壁は確実に起動しました 単純に衝撃が上回った結果です》

ξ;゚听)ξ『そんな…それで敵機は?』

《熱源反応無し あの場に存在した物は全て消失》

(;^ω^)「???」

《爆発前に異常な熱量を感知 恐らく残った対象が自爆行動を起こしたと推測されます》

ξ;゚听)ξ『…それでこの威力……』

(;^ω^)「お、じゃあもう終り…?」



48: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:18:10.66 ID:U+yow+bz0

ξ;゚听)ξ『馬鹿!! 何言ってるの!?』

(;^ω^)「へ?」

ξ♯゚听)ξ『あんたも見たでしょ! あの変なのが幾つも分解して落ちていくのを!!』

( ´ω`)「あ、あー…」


そういえばそうだった、という事はまだまだ同じ奴が居るのか…


(;゚ω゚)「…!?」

ξ゚听)ξ『分かる? もしこんなのに一斉に自爆でもされたら…』


この程度では済まない程の被害が出る

いや…下手すればこの国丸ごと……


(;゚ω゚)「ちょ、むちゃくちゃヤバイお!!」

ξ゚听)ξ『ええ、それに…ほら見て』

そう言ってツンが指を向ける方向にはそこら中、まるで狼煙の様に黒煙が昇っている



51: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:19:49.87 ID:U+yow+bz0

(;゚ω゚)「あわわ、呑気にしてる場合じゃ無いお!! 早く行かなきゃ!!」

ξ;゚听)ξ『ちょ、ストーップ!!』

(;゚ω゚)「何でだお!?」

ξ゚听)ξ『行ってどうするの? 何か考えはある?』


考え? そんなもの、ある訳がない


ξ゚听)ξ『でしょ? だからまず――』


けどこんな酷い光景を見せられておいて黙っていられるほど冷めちゃいない
さっきはあんなにあっさりと倒せたんだ、行けばきっと何とかなる

(;`ω´)「こんなの…これ以上許す訳にはいかないお!!」


ξ♯゚听)ξ『…だから落ち着けってんだろが』

(;´ω`)「ひぃ!?」

ξ゚听)ξ『よく聞きなさい、多分だけど…
     あれは九つに分かれた部分のどれかを破壊すると自爆するようセットされてるわ』



54: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:21:41.97 ID:U+yow+bz0

(;´ω`)「なんで分かるんだお?」

ξ゚听)ξ『一つは全く抵抗が無かった事ね、あれじゃ攻撃してくれって言ってる様な物じゃない
     それに自爆する前兆が起きたのも二つ目を破壊した後だったし…』

(;´ω`)「なるほど…」

ξ♯゚听)ξ『いったい何のつもりか知らないけど…もしそうならふざけてるわ
      そんなの、まるでゲームじゃない』

(;^ω^)「ま、まあそれで、どうするんだお?」

ξ;--)ξ『そうねぇ』

( ^ω^)「また例の振動なんちゃらで行けるんじゃないかお?」

ξ゚听)ξ『…駄目よ、あれは周囲の無機物を無差別に振動崩壊させるから
     下手したら私たちが街を壊す事になっちゃう』

( ´ω`)「そうかお…」

ξ゚听)ξ『でも…そうね、それしか無いわよね』

( ^ω^)「お? じゃあ――」

ξ゚听)ξ『ええ、運びましょう』

( ^ω^)「…」



57: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:23:17.20 ID:U+yow+bz0


(;^ω^)「へ?」

ξ゚听)ξ『街の外まで運ぶのよ、どうにかして、それなら破滅弦奏が使えるわ』

(;^ω^)「んな無茶な! だってあれ変なの撃ってくるんだお!?」

ξ゚听)ξ『ううん、あの熱線ならまだ障壁で持たせられるわ
     第一相手は動かないんだからそう難しい事じゃない筈よ、ねえリィン?』

《はい 最初に受けた熱量でしたら障壁で数回は持つと思われます》


(;^ω^)「ていうか、だってそんな遠回りな事してたらもっと被害が!」

ξ )ξ『さっきは平気だったみたいだけど…どれかが自爆したら全部が自爆する
     なんて事もあるかもしれない、これしか無いわ』

(;´ω`)「あう…」

ξ゚听)ξ『……決まりね』

(;´ω`)(ほんとに…大丈夫なのかお)

こうして、僕等は黒煙と熱源反応を頼りに残機の捜索を開始した

リィンが出してくれたMAPには熱源反応と思われる黒点が2つ点滅していて
真ん中の点が徐々に近づくと、何処からか赤い光が輝き、爆音が轟く



60: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:24:54.15 ID:U+yow+bz0

《音障壁ピチカート起動 行きます》

中心にある白い点と黒い点が重なり、目の前には先と同じ形状の物体が見えた
演奏の中、巨躯が大きく踏み出し、敵機を掴むとそのまま引きずりながら駆け抜け
途中に何度か赤い閃光が走るがそれにもろともせず進んでいった

( `ω´)(今度こそ…行ける!)

そうして町の外が見え始め、成功の二文字が脳裏を掠めるのも束の間
駆ける機体にかかる軽めの衝撃、何かが後方で大きな音を立て落下した


《敵機分離 更に増加》


(;゚ω゚)「んな!?」

『ちょっと…嘘でしょ?』

《敵機反応別箇所でも増加を確認しました 現在18の熱源反応を捕捉》


連結されていた九つの箱がバラバラに外れ、地に落ちた
そしてもう一つの方でもどうやら同じ現象が起きているらしい

『じゅ…18!?』

(;゚ω゚)「ちょ、あれ! 動いてるお!?」



64: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:27:07.22 ID:U+yow+bz0

更には、先までひたすら熱線の放射を続け、まるで動かなかった筈のそれが
個々の箱となった途端に突然動き始め、あちらこちらへ進んでいく

『もしかして…あれ自体が戦車なn《高熱源反応を確認》

焦った言葉も途中に警告が響き、慌てて弦を弾く


《音障壁 最大で展開》

遅れて何度も重なる閃光と爆音


《障壁レベル低下 危険です》

視界は光と煙に覆われ、何度も轟く爆発音の中でツンが叫んだ

『こうなったら…もう手段は選んでられない、ブーン!!』

(;´ω`)「わっ!うわわ!! なんだお!?」

『冬を弾いて! 一気にこの場に居るの全部片付けるのよ!!
 そうすれば自爆なんか出来ない筈だわ!!』

(;´ω`)「把握!!」



66: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:28:54.70 ID:U+yow+bz0

(;-ω-)「…」


焦る心を落ち着け、弓を構える

不思議な事にこの瞬間はいつだって冷静になれた

脳内が白く染まっていく、考える事は一つ

完璧を目指す演奏をする事


最後に大きく息を吸い込み


(  ω )(行くお…)


腕に力を込め、曲が始まった


《コード起動 震動破滅弦奏曲》


ヴァイオリンの音色が響き
旋律が舞い、他の音を飲み込んでいく



70: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:30:37.28 ID:U+yow+bz0

《アレグロ・ノン・モルト》

前方を覆っていた光と煙が切り裂かれるように消え去り
視界が一気に開けたその先では赤く染まった建物が崩壊し、粉々に砕け散った

破壊の音を受け、周囲がぐんぐん開けていく中――



地を這う九つの箱が逃げていくのが見えた


《警告 演奏の停止を推奨します》

(; ω )「…お?」

『そんな…っ、どうして!』

そんな静止の声に思わず演奏する手を止めてしまった

《コード停止 通常モードへ移行》

『リィン、どうなってるの?』

《対象より音障壁の発生を確認しました それにより振動音波が中和された模様です》

『…なん、ですって……?』



72: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:31:48.77 ID:U+yow+bz0

《続行すれば障壁を破り撃破は可能です ですが全機を撃破するには至らぬと判断した為
 演奏停止を推奨しました 申し訳ございませんマイスター》


(;´ω`)「え? いや、そんな…お?」

不意に手にあった重みが消える
見ればツンがまたしても人型になっていた


ξ )ξ『どうして…? どうして音障壁を、こんな…こんな馬鹿な事って…』

(;^ω^)「ツン?」


ξ )ξ『どうすればいいの、どうすれば……』


だがどうした事か、何やら俯いたまま物々と独り言を呟き
何度呼びかけても反応を示す事は無かった


《通信が回復しました》


( ^ω^)「お?」



76: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:34:23.75 ID:U+yow+bz0

《どうやら分離した事で妨害が落ちているようです 本部へ繋ぎますか?》

(;^ω^)「そうしてくれお!」

《了解 繋ぎます》

正に救いに船、これで何とかなるかもしれない
そんな期待を込めて浮かび上がった画面を見つめていると…


《 ノハb;凵G)「おおおおおおおい!! 私が悪かったから返事してくれえええええ!!!」 》



(; ω )「アッー…!!!」

開いた途端の大絶叫
もとい、とんでもない大音量が響いた
びっくりするやらうるさいやら、嗚呼、耳がきーんとする


(;^ω^)「あ、と…あの」


《 「「 ざわ…ざわ… 」」 》



78: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:35:58.87 ID:U+yow+bz0

《 (;・∀・)「内籐君、無事か!? どうなってるんだい!?」 》

(;^ω^)「えーと、かくかくしかじかだお」

《 ( ・∀・)「なるほど…突然変なの降って来るわ、通信通じないわでこちらもテンパッていたんだが
        どうにも大変な事になってるみたいだね」 》

(;^ω^)「なんかもう手詰まりって感じみたいですお」

《 ( ・∀・)「…だろうね、でも安心したm「うあああああんよがったあああああ」 》

《 (;・∀・)「……こちらにm「おろろーん!!」「んな泣くなよ…」「だって、だってえええ!!」 》


(;^ω^)「…あの」


《 (;・∀・)「ちょっと待っててくれるかな?」 》


《 「ドクオクン、チョットヒートクンヲツレテデテッテクレナイカ?」「マンドクセ・・・」 》


《 ( ・∀・)「やあお待たせ、すまないね」 》

( ´ω`)「えーと、それで何でしたっけかお?」

《 (;・∀・)「う、うむ! 安心したまえ、こちらにも切り札と言う物がある」 》



80: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:37:17.41 ID:U+yow+bz0

( ^ω^)「切り札?」

《 ( ・∀・)「これから座標を送るから、指定の場所に向かって欲しい」 》

(;^ω^)「そこに行けば…何があるんだお?」

《 ( ・∀・)「ふふ、そこには現状を打破すべき力と言う名の希望があるのだ!!」 》

(*^ω^)「おお!!」


ξ゚听)ξ『……そういうのって、普通逆じゃない?』

《 (・∀・)「…」 》

ξ;゚听)ξ『こっち見…って何かどっかで見たような顔ね』

《 ( ・∀・)「とにかくなるべく急いでくれ」 》

ξ゚听)ξ『そう、ね…リィンお願い』

《了解》


( ^ω^)「それで、今あの変なのはどうなってるんだお?」

《 ( ・∀・)「それが、よくわからないんだ」 》



82: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:39:07.77 ID:U+yow+bz0

(;^ω^)「分からない? 被害がどうとかそういうのは…」

《 ( ・∀・)「どうもさっきから攻撃するでもなく、そこらをウロウロしている様でね」 》

(;^ω^)「それってどういう…」

《 ( ・∀・)「だから分からないと言ったろう? 考えられるのは何かを探している、とかかな」 》

(;^ω^)「…」


どうも怪しさ満点だが、今はそっちを気にしても仕方ない
今はとにかく現状を打破できるという言葉を信じて向かうのだった

ちなみにその間、ツンは少し沈んだ表情でずっと何か考え事をしている様だった
憂いを込めた瞳はなんとも綺麗に見えたとかそういうのはこの際置いておく

ξ゚‐゚)ξ『なに?』

(;^ω^)「なんでもないですお!」


そうして辿り着いた先は大きなドームが並ぶ倉庫街だった
映されるMAPにある点が重なっている所から、どうやら指定の場所まで来れたようだ

( ^ω^)「ここかお?」

《 ( ・∀・)「緑の屋根が見えるかい?」 》



86: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:40:57.51 ID:U+yow+bz0

( ^ω^)「あるお、目の前に」


《 ( ・∀・)「よーし、それじゃあ…屋根をぶち破れ!!」 「エ!? チョット、マッテ!?」 》


(li^ω^)「い、いいのかお? ていうか今なんか後ろから聞こえたような…」


《 ( ・∀・)「ラジオか何かだよ、さあ! 思い切り行くんだ!!」 「イヤイヤ!チョ、ウソ!?ヤメテ!!」 》


(;^ω^)「…だ、そうだお…り、りぃん?」

《了解です マイスター》


そう言うや否や巨躯が揺れ動き、振り上げた腕を打ち下ろす
軋み、轟音を立てながら、緑の屋根が崩れ落ちた

暗闇を天井に空いた穴が照らし、その内部をあらわにした

そこにあったのは、これまた巨大なリング状の物体だった


(;^ω^)「なんじゃらほい…ん?」



89: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:42:26.28 ID:U+yow+bz0

よく見ればその妙な物体の影に隠れながら脅えた様子でこちらを眺める人影に気付く
すると浮かぶ画面の一つがその場所を写し、倍率を上げた画像がその正体を明らかにした


(((´;ω;`)))「ひいいいいいいいいィ!!!???」


(li^ω^)「あ、あれは…?」

確かモララーさん達と一緒に居た一人だったような…
一体あんな所で何をしてるのだろうか


(((´;ω;`)))「ぎゃああ!!こここころされる!!死にたくない!!!」

瓦礫の破片がまた一つ音を立て落下し、それを見たあの人は更に脅えきっている


(li´ω`)「…………」

《 ( ・∀・)「さあ内籐君、その中に円形の物があるだろう? それを取るんだ」 》

(;´ω`)(なんか可哀想になってきたなぁ…)


(;´ω`)「そ、そこの人ー、それ出すから逃げないと危ないおー」

試しにそう言って見ると、どうやらちゃんと聞こえたらしく、何度も頷きながら逃げていった



92: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:43:56.81 ID:U+yow+bz0

そうして再び天井を派手に壊しながら取り出すと、その物体が明るみの下にその全貌を現した

四角い謎のユニット部分から伸びた二本のバーが頂点で重なり円を描く形状
このロボット同様の白に塗られたバーにはいくつもの切れ目が走っていた

(;^ω^)「これを……どうしろと?」

《 ( ・∀・)「背中に装着するのだよ」 》


巨躯がそのユニットを大きく持ち上げ、背中へと回しあてがう
掴んでいた手を離すと綺麗にスライドし、心地よい機械音と共に装着された


《 (*・∀・)「完成だ!! これぞ、リィン・フォルツェンド・エクセリオン!!」 》

(;^ω^)「ちょっと待てお、なんだそのどっかで聞いた様なのは…」


《 (´;ω;`)「リィン・クラヴィコードだって言ってるのに…ぐす…じゃあ、具現化するよ」 》

( ^ω^)「お? 無事だったのかお」


《デバイス・アーノを確認 新システム構築開始 クラヴィア相互装置音源装填》


《 (´・ω・`)「いいかい? 今装備した物は88の内部機構により他種に渡る変形砲撃を可能とした
        クラヴィアと言う物だ、これにも君のヴァイオリンと同じ物が積まれている、つまり――」 》



96: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:46:27.98 ID:U+yow+bz0

( ^ω^)「日本語でおkですよ」

《 (´;ω;`)「…」 》


《認証成功 全て正常に稼動しています デバイス クー具現化開始》


(;^ω^)「ん?」

ジジッ、と火花散るような音が響く

ξ゚听)ξ『…あ』

やがて謎の発光物体が現れ宙を漂い、少しずつ人の形を成していく

…僕は、これと似た様な物を知っている


『ふむ…ここが…』


そして現れたのは、膝辺りまで伸びた長い髪をなびかせ宙に浮き上がる


川 ゚ー゚)『ああ初めましてブーン、ボクの名はクー、4宝器が一つピアノの具現体だ』


やっぱり全体的に小さな女の子だった



99: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:48:35.24 ID:U+yow+bz0

(;゚ω゚)「ゲエーッ!!! やっぱりまた出たーーーーー!!!」

川 ゚ー゚)『はは、そう照れる必要は無い』

(;^ω^)「」えええ、えーと? クーさんでしたかお?、

川 ゚ -゚)『ボクの事はクーでいい、それから台詞が枠外に出ている、落ち着け』

(;^ω^)「はあ…」

川 ゚ -゚)『あと、まあ一応初めましてかな? ツン=オリン、そしてIシステム・リィン』

《はい 初めまして クラヴィア装置はいつでも起動できます》

川 ゚ー゚)『ああ、ありがとう』

ξ;゚听)ξ『…』

川 ゚ -゚)『どうした? ああ、確かにこうして話をする日が来ようとはボクも驚いているよ
     だが分かっていた事だろうオリン』

ξ゚听)ξ『そうね…でも今は呑気に挨拶してる場合じゃないんじゃない?』

川 ゚ -゚)『それもそうか、ではブーン早速だが行こうか』

(;´ω`)「え、どこに?」

川 ゚ー゚)『決まっている』



103: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:50:09.54 ID:U+yow+bz0

そうして今度は彼女が僕の手を取った
やはりツンと同じ様にその身体が光に包まれ

『演奏会にだ』

気付けば目の前には宙に浮かび並ぶ88の鍵盤
椅子状の部位も現れ、足元にはしっかりとペダルの存在

その姿は正しくピアノの姿だった


(;゚ω゚)「…」

『どうした、呆けてないで早く座れ』

(;´ω`)「あ、はい…」


『よし、行くぞ…リィン・クラヴィコード発進!!』


                            つづ



107: ◆6Ugj38o7Xg :2007/06/08(金) 02:58:40.22 ID:U+yow+bz0
次回予告

ミ,,゚Д゚彡「さーて、次回のお話は!?」


川 ゚ -゚)「みんな、さよなら…」


ミ,,゚Д゚彡「涙々の卒業式、今旅立ちの時、そしてそれは別れの時だった!」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「だがしかぁし!! 6年2組の友情はそう簡単には消えない!!」


('A`)「小学校から中学に上がるだけじゃみんな同じに決まってんじゃねーか…」


ミ,,゚Д゚彡「冷めた人間カコワルイ!!童心忘れるべからず!!」

ミ,,゚Д゚彡「って事で次回!! 異世界でもういち」

ミ,;゚Д゚彡「じゃなかった、ブーンの6−2 第89話「ありがとうファッキンティーチ」

ミ,,゚Д゚彡「かわいそう言うんじゃねえごるぁ!!」

ミ,,;Д;彡「あ、ごめんなさい、ちょっと調子に、あ、やめて!!」



戻る第五音