( ^ω^)と4色の音色達のようです

2: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:52:53.47 ID:4bxSCGcf0



    《 5音 速撃弾奏 》





巨人の瞳が輝いた

背負った白円から各部に虹の様な光が流れ
白き体躯に模様の様な線が輝く


『リィンクラヴィコード発進!!』


言葉とほぼ同時に連続的な機械音が周囲に響いた

浮かび上がるモニターに映った映像はグラフを描き
そのどれもが上へ上へと上昇していく


ξ;゚听)ξ『すごい…5倍以上のエネルギーゲインがあるわ』


(;^ω^)「へ」



3: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:53:38.06 ID:4bxSCGcf0

何だか何処かで聞いたような台詞だが…まあ、それはいいとして
相変わらず意味が分からない事を言ってくれるものだ


《いつでも行けます 指示をどうぞ》


ξ゚听)ξ『そうね…うん、それじゃまず――』

機械的な女性の声にツンは少し考えた後、口を開くが


( ゚ω゚)「おわおっ!?」

川 ゚ -゚)『ちょっと待ってオリン』

彼女が言い切る前に、僕の目の前にあった鍵盤が発光、次いで消失
座っていた椅子も同様に無くなり、僕はその場で尻餅をついた

(;^ω^)「あたた…」


そしてふと見上げれば、そこには宙に浮かぶ二人の小少女がにらみ合っていた



5: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:54:32.76 ID:4bxSCGcf0

川 ゚ -゚)『…』

ξ゚听)ξ『…何よ、アーノ 先 輩 』

(;^ω^)(…先輩?)

川 ゚ -゚)『…僕の事はクーでいい、それよりも何故君が仕切っている?』

ξ゚听)ξ『何故って…内籐はまだ何も知らないから』

川 ゚ -゚)『教えていない、の間違いじゃないかな?』


ξ゚听)ξ『……何が言いたいのです?』

川 ゚ー゚)『そうだね、はっきり言えば君は過保護すぎる』

ξ゚听)ξ『どういう意味ですか』

川 ゚ -゚)『彼に苦労させたくない、だから自分が何とかしなきゃ…と、そんな所だろ?』

ξ;゚听)ξ『…そんなんじゃありません、私はただ』
川 ゚ -゚)『いや、そうか…むしろ』



6: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:55:18.06 ID:4bxSCGcf0

川*゚听)『私は彼の事が大好き、だから何でもしてあげちゃうわ!』

川 ゚ー゚)『…かい?』

ξ;゚听)ξ『……なっ!! だ、だだ、だ、だれが内籐の事なんか!!』

川 ゚ー゚)『おや、私は内籐君の事とは言っていないけど?』

ξ♯゚听)ξ『きぃいいい使い古されたネタを!!!』


(li^ω^)「…」

すごく いごごち わるい です

そういうのは出来れば僕の居ない場所でやってほしい
そんな願いを込めながら視線をツンへと移すと

ξ♯゚‐゚)ξ『…』

(li^ω^)「…う」

ああ、睨んでる、睨んでるよ…

川 ゚ー゚)『こらこら、そんなに見詰めあってると妬けてしまうよ』

ξ♯゚听)ξ『くぅぬょうろるぅぃぃっ〜〜!!!』



7: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:56:39.49 ID:4bxSCGcf0

それにしても、奇妙な光景である
二人の小さな女の子がふわふわ浮きながら言い合いをしているのだ

(;^ω^)「あ…あの、二人とも、そろそろ」

とまあそれはともかく、今はこんな事をしている場合じゃない
街にはまだあの四角い機械がゴロゴロ居るのだから

川 ゚ -゚)『む、そうだったね』

ξ♯゚听)ξ『そうですよ! こんな遊んでる場合じゃ無いんですよ!』

川 ゚ -゚)『では、その前に簡単に説明しておこう…ブーン、正面のモニターを見てくれ』

( ^ω^)「お? えーと…」

言われて前を向くと、そこには半透明な画面が浮かび、言葉のられる、羅列が描かれていた

川 ゚ -゚)『…どう思う?』

(*^ω^)「すごく……イミフです…」

川 ゚ -゚)『イミフでは困る、このままじゃ収まりがつかないんだ』

( ^ω^)「いいんです、僕…難しい事はよく分かりませんから」

川*゚ -゚)『説明しがいのある事言ってくれるじゃないの、いいかいまず――』



8: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:58:01.57 ID:4bxSCGcf0

そんなこんなでアッーと言う間に説明を受けたのであった

川 ゚ -゚)『…こんな所かな、分かったかな?』

(li^ω^)「えーと…なんとか…」

川 ゚ -゚)『そう、それは良かった』

(; ω )「あ、あはは」


そんな言葉の洪水をわっと浴びせかけるような説明で理解できるものか
まあいい、何事も肯定しておけば進んでいく物だ


川 ゚ -゚)『うん、じゃあ現在の機体の被害状況は?』

(li^ω^)「…」

と思えば突然の質問、あんた何処の先生ですか?

そんな事を考えながら見るのは縮小されたロボットの全体像が描かれた画面

(li ω )(えーーーと…たしか)

緑色で表示されるそれは、所々が赤く変色している、これがダメージを受けている部位
更にその横には詳細な情報も書かれていた



9: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 01:59:04.69 ID:4bxSCGcf0

(;^ω^)「右腕部装甲、および胴体部に若干の融解損傷…駆動系に問題無し……かお?」

川 ゚ー゚)『オーケイ、それでは次に振動係数の確認だ』


見るのは一番ややこしい画面、そこには様々なメーターや数字が並んでいて
それぞれ振動係数、出力、障壁レベル、総甲数値、となっている

振動係数は僕が楽器を演奏する事で発生する音源
その音源を補給する事がこのロボットが動くエネルギーになり、その残量を示している
一本のゲージによって描かれ、最小で赤、最大で青く表示される


(;^ω^)「残量40パーセント……これは補給が必要…?」

川 ゚ー゚)『そうだね、もしくは出力を抑える事かな、言ってごらん?』


出力は行動時に使用するエネルギー量の調節
基本的には自律思考システムであるリィンが自動で行うが
こちらで判断する事も出きるので知識として持っておけ、と言う事らしい

(;^ω^)「えと、リィン、出力を最小に…」

《了解 通常行動限界まで振動機の出力を低下させます 現状出力では歩行までが限界なので注意ください》



10: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:00:13.23 ID:4bxSCGcf0

そして、操作はこちらは一切触れる事無く、その全てが音声認識によるものだ
少々照れくさいが、意思を組み込まれたシステムであるリィンに伝える事で行われる


ちなみに障壁レベルは文字通り、音の空間振動によって発生する障壁の具合
こちらはゲージでは無くメーターを針が示す形になっていて、今は最小を意味する部分を指していた

これは分かりやすくする為に形状が違うらしいが…正直余計にややこしい気がする…


総甲数値は受けた装甲の被ダメージの総合を簡単に数字化したもので
言わゆる残りHPってやつだ、これは5桁の数字によって表示されている


( ^ω^)「だお?」

川*゚ー゚)『お、なんだ、飲み込みが随分早いじゃないか』

(;^ω^)「いや、実はなんか説明がびっしりと書かれたカンペらしき紙がいつの間にか懐に…」

川 ゚ー゚)『……ふーん?』

ξ;゚听)ξ『な、なんですか』



11: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:01:08.40 ID:4bxSCGcf0

川 ゚ー゚)『いや、まあそれくらいは、な』

ξ;--)ξ『………ぅぅ』

(;^ω^)「?」

川 ゚ -゚)『よし、じゃあ最後に索敵だ、敵の位置は?』

索敵…浮かぶ画面に映る円、中心にある緑の点が自分を示し
その周りに点々と見える赤い印が敵の位置のようだ

(;^ω^)「熱源の反応数は18…その、全部正面に」

位置と言われても正面、としか言いようが無い
機体の向く方向にあるのであろう赤い点はそれはもうこれ見よがしに前方に集まっている

ξ;゚听)ξ『…集合してる? どうして…』

川 ゚ -゚)『合体するつもり、かな…多分あれは連結時が最大火力を発揮できる仕様なんだ』

ξ゚听)ξ『? わかるんですか?』

川 ゚ー゚)『分かるさ、あれは恐らくボクのクラヴィアシステムの模倣品だろうからね』

ξ;゚听)ξ『じゃあ…やっぱりあれは振動機械…ブーンの技術を使っているんですか?』



12: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:02:14.31 ID:4bxSCGcf0

川 ゚ -゚)『うん、そのようだね』

ξ;゚听)ξ『っ…どうして!? だってあれは私たち以外には…』

川 ゚ -゚)『…そこまでは知らないよ、それよりまた連結されたら厄介だ、そろそろ向かおう』

(;^ω^)「ていうか何でさっきまでこんな呑気な真似してたんだお!?
       そもそも説明なんか後にして、まずあれをどうにかしなきゃ駄目じゃないかお」


大体前回で今にも発進な勢いだったじゃないか
これでは退屈過ぎて切られるのがオチだ


川;゚ -゚)『いやいや、ちゃんと理由はあるんだよ   ……ていうかなんだ切られるって』

( ^ω^)「と言うと?」

川 ゚ -゚)『まず一つ、あれの狙いは連結状態での殲滅だろうから、分離状態じゃ何もしないよ』

(;^ω^)「…なんで?」

川 ゚ -゚)『単に街を破壊するのが理由ならそれで充分だろうけど…本来の目的はこの機体だろうし
     ならあんな分離状態の戦車じゃ適わない事は向こうも百も承知だろうからね』



13: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:03:41.73 ID:4bxSCGcf0

ξ;゚听)ξ『また集合するのを待ってた…って事ですか?』

川 ゚ -゚)『そゆこと』

( ^ω^)「じゃあ今こそチャンスかお?」

川 ゚ー゚)『ああ』

ξ゚听)ξ『なら急ぎましょう! 先輩、手はあるんですよね?』

川;゚ -゚)『うーん…それが、ねぇ』

ξ;゚听)ξ『あのー…?』

川 ゚ -゚)『まあ実を言うとこれがモタモタしていた一番の理由なんだけど』

(;^ω^)「まさか…」

ξ;゚听)ξ『…』

川 ゚ -゚)『うん…正直言うと』



静まり返る空気の中、ゆっくりと一呼吸置いてから



16: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:05:00.16 ID:4bxSCGcf0




川 ゚ー゚)『あんな紛い物、片付けるのに一分もかからないよ、だからすぐに行ったらつまんないだろ?』




そんな彼女の声が響いた


(;^ω^)ξ;゚听)ξ「『……へ?』」

川 ゚ー゚)『折角の晴れ舞台だからね、存分に時間は頂いたよ…さあ行こう、指示を出すんだブーン!』

(li^ω^)「指示…そ、それじゃあ…リィン出力を……」

川 ゚ -゚)『む、それじゃ駄目だよ、覇気が足りない、もっと叫ぶんだ』

(;^ω^)「で、でも」

川 ゚ -゚)『でもも電王も無い、さあ!』

(li^ω^)「うぅ…」



19: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:08:13.14 ID:4bxSCGcf0

ξ )ξ『………ガンバッテ』

(;^ω^)「お?」

ξ;゚听)ξ『な! なんでもないわよ!! 早くしなさい!』

(;^ω^)「お…」

ξ゚听)ξ『…』

川 ゚ー゚)『…』

《 マイスター 指示をお願いします 》


( `ω´)「…」

こうなったらヤケクソだ、やるしかない、やってやる
僕は大きく息を吸い込み、その名を叫んだ


(;`ω´)「リィン!! 出力最大!!」

  《 出力調整を行動リミットから戦闘フェイズへ移行 開始します 》



20: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:09:06.32 ID:4bxSCGcf0

同時に、甲高い起動音

機体内部から発せられる振動が地を揺らし、大気をも震えさせた



(;`ω´)「そしたら…急いで前方の敵機集団へ向かうお!!」


  《イエス マイスター》


画面に映る出力表示がみるみる上昇していく
底辺付近まで下がり、赤色だったゲージが黄色へ、黄色が緑に、緑は青く


《振動係数低下 音源の補給を要請します》

(;`ω´)「…お?」


見れば反比例するようにもう一つのゲージがゆっくりと下がっていく



22: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:10:45.44 ID:4bxSCGcf0

37…34…30…

川 ゚ー゚)『さあ、リィンは君の言葉に応えたよ…今度はブーン、君の番だ
     音の波を振動機に与え、振動波による無限動力、リィンに戦う力を!』

(;^ω^)(日本語でおk)「…な、何を弾けばいいんだお?」

川 ゚ー゚)『そうだね…ジムノペディをお願いするよ』

( ^ω^)「把握…!」

そうして、そっと浮かぶ鍵盤に触れる
不可思議な発光物体であるにも関わらず、はっきりとした質感を感じた

足元にあるペダルを確かめるように踏み込むと
どこからか微かに軋むような音が聞こえ、脳内にその姿が浮かび上がる
目の前には存在しないピアノ、それが今、確かにここに在るのだと証明するように

( -ω-)「…ふぅ」

軽く深呼吸、肩の力を抜き、手に意識を向ける
指先に感じる感触に精神が細く、集約されていくのを感じた

『…っ…んぅ………やっぱり、手馴れてる感がある…ね』

(; ω )「……」



24: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:12:08.84 ID:4bxSCGcf0

なんか非常に艶かしい声が聞こえてきたりするけど気にしちゃいけないと思った

『…ギリギリ』

あと、なんか歯軋りみたいな音も聞こえた気がしたけどそんな事はなかったぜ!

…と思おう、思いたい

そうして再び意識を向ける

脳内に流れるメロディラインが耳の奥に響くように聞こえだす
後はそれを外に放つだけだ、形に、描き、作り出す

静かに、けれど力強く、指を押し込む

『ぁっ……は…ぁ………』

彼女の吐息は、やがて一つの澄んだ音と成った

成った音がゆったりと続き、簡素な音色が響き、穏やかに繋がり、曲に成る


  《 音源補給確認 》



26: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:13:34.14 ID:4bxSCGcf0

微かに感じる揺れは、むしろ心地よい

旋律が記憶と一致し、脳内に浮かぶ曲名はジムノペディ
古代の神々の祭典を曲想とした愁いの曲である


ξ゚听)ξ『……』

外部を映す全周囲モニターが映し出す目下では、出力上昇に伴う排気風により激しい砂煙が巻き上がり
同時に発せられる排熱が陽炎となって周囲を歪ませていた

《 熱源捕捉 発進します 》

そんな声と共に巨躯が飛ぶように一歩を踏み出す

厳かな演奏とは対照的な激しい機動

空間ごと動かすような風が巻き起こり

着地と同時に大地が揺れる

場に巨大な足跡を残し、更に跳躍



28: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:15:03.03 ID:4bxSCGcf0

当然、それを目撃した物は一様に目を見開いた


「!!!」

「なんじゃありゃ!!」

「くぁwsでfrtgyふじこlp;」


(,,゚Д゚)「…あれは…」

ミ,;゚Д゚彡「……」


その一歩は建物を軽く5つ分飛び越え、巨大な影が地を覆い、瞬く間に通り過ぎていく

見上げる人にとってのそれは、既に走行では無く飛行でしか無かった



《 敵機 視覚領域に入りました 》


Σ(  ω )「!!」

そんな声に思わず演奏を止めてしまう
見れば確かに、正面には以前と変わらぬ姿の四角い箱が集っていた



29: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:16:23.34 ID:4bxSCGcf0

ξ;゚听)ξ『ど、どうするんですか!?』

川 ゚ -゚)『うーん…あそこがいいかな』

《 敵機の熱量増大 来ます 》

川;゚ -゚)『…むっ』

(;゚ω゚)「げ」

見れば内いくつかが丸い砲口をこちらに向けている
そして次の瞬間にはそれらが一斉に火を噴いた

遅れて煙が昇り、それを視認するや否や――

目の前で爆発が起き、機体が大きく揺れた


《 敵機より砲撃 被弾数2 胸部 及び脚部装甲に直撃 》


ξ><)ξ『きゃあ!!』

(;゚ω゚)「…っっ」

揺れる景色の中、覚えたての知識である被害状況を咄嗟に見る
と、更に胸部と脚部が赤く染まり、装甲値がぐんぐん減っていく



30: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:17:50.47 ID:4bxSCGcf0

川;゚ -゚)『…なるほど、個々の索敵警戒水準は高いようだ…まあ当然と言えば当然かな』

(;^ω^)「何を呑気な!! 障壁! そうだお、障壁を使えば!」

川 ゚ -゚)『残念だけど、障壁はつかえないよ』

(;^ω^)「ええ!?」

川 ゚ -゚)『あれはオリンデバイスでしか起動できないからね』

(;^ω^)「そ、そうなの…?」

ξ;゚听)ξ『……ぇ、あ、うん…空間振動兵器は私じゃないと』

(;^ω^)「じゃ、じゃあツンを…」

川;゚ -゚)『そんな暇は無い!』

《 続いて熱量反応増加 》

(;^ω^)「!!!」

ξ;゚听)ξ『リィン避けt』
川;゚ -゚)『駄目だ、避けるな!』



31: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:19:44.61 ID:4bxSCGcf0

ξ;゚听)ξ『ええ!? ってきゃああ!!!』

更に、先と同じ爆発が視界を覆い、地が揺れる

《 脚部被弾 装甲破壊 》

(;^ω^)「…っ、なんでだお!? 避けるなて!!」

川;゚ -゚)『まだ逃げ遅れた人たちが居るかもしれないんだ、街に砲撃を落とすわけにはいかない!』

(;^ω^)「それは、そうかもだけど…でもこのままじゃ!」

《 先の戦闘により受けた熱量により全体の装甲の低下が著しく 現状でこれ以上の被弾は危険です 》

何をどうすればいいのか分からず、ただ慌てていると
まるで僕の意思を汲み取るようにリィンが状況を伝えてきた

川 ゚ -゚)『…』

ξ;゚听)ξ『アーn…いえ、クー先輩、どうするんですか?』

不安げにツンが問いかける
すると観念したように小さく溜息を吐き

川 ゚ -゚)『…本当は君に全部任せたかったんだけど…しょうがない、そうも言ってられないか』

そんな事を言った



32: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:21:52.24 ID:4bxSCGcf0

(li^ω^)「…ちょ」

任せるて、さっき自分が行ったら一分もかからないとか言ってませんでしたか
どうにも…結構自己中な方ですね

川 ゚ -゚)『じゃあリィン、一気に片をつけよう――! クラヴィアシステム起動 』

《 了解 相互装置再コネクト 音源共有 起動確認 》

(;^ω^)「!? なななんですかーーー!?」

突然、周囲に虹色の線が走った
同時に何処からか聞こえてくる連続した大きな金属音

《 ロック解除 各部位正常稼動確認 》

川 ゚ -゚)『じゃあブーン、一曲お願いするよ』

(;^ω^)「お…?」

川 ゚ -゚)『曲は英雄ポロネーズだ、行くぞ!』

(;^ω^)「ああもう! 把握だお!!」


……。



34: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:23:17.41 ID:4bxSCGcf0

白に覆われた巨躯に、もう一度光の筋が流れる
と、背部に装備された円が大きな音を立て二つに分かれた

その遥か前方では先の四角い戦車が砲撃を止め、再び一つになるべく動き出す

そして聞こえてくるのは音色

単調な音を繰り返す旋律が周囲を包むように響く


そこで、不可思議な現象が起こった


連続した単音に合わせる様に、白い巨人が背負った二つの半円がその形を崩し始め
区切りを置く様に大きく響く弾音に合わせて再結合していく

続く連短音、続く変形


そして、ほぼ同時にその二つが姿を変えた

音の連続が曲と成り

変形する円は直線と成り

ぐるりと回転、胴体部と腕の間から前方へと飛び出した
演奏の最中、巨人がその二つの直線を掴む



35: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:24:46.99 ID:4bxSCGcf0


それは、白く、先端には黒色の口が多数覗かせる


二つの巨大な砲身だった


前には既に連結を終えたのか、再び蛇の様な形状となったそれが砲口を向け
対する白い巨人の腕が動き、砲口が向きを変えていく


『KSライフル』


音色が響く空間に、そんな声が響いたのと同時に敵の砲口が火を噴き


『シュートッ!!』


僅かに遅れて二つの白き砲口が輝き、多量の光線がばら撒かれる様に撃ち出された



37: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:26:07.63 ID:4bxSCGcf0

前方の空間、空域を爆炎が包む
二つの砲身から放たれた光が両者の中間で衝突した結果だった


だが、驚くべきはその爆発の位置
明らかにこちらが遅れて発射したにも関わらず、爆発はちょうど中間で起きていた


だが、噴き上がる炎の中、それでも白い砲口から放たれた光は留まる事を知らず
光の線を残しながら交差を繰り返し伸びていく


そして


光線の先端が、まるで暴風雨の如く降り注いだ

地に落ちた光は次々に弾けるように消え去り
敵機に落ちた光はその黒の全体を覆う



ほんの僅かな間、敵機を包んだ光が球状に変わり静止し、ゆっくりと消えていく



光が消え去った場には そこにはまるで最初から何も無かったかの様に 無空間が広がっていた



39: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:27:55.11 ID:4bxSCGcf0


(  ω )  ゚ ゚


ふと、演奏を止めた僕の目に飛び込んできたのはそんな光景だった


川 ゚ー゚)『ふ…』

ξ;゚听)ξ『……す、すごい』

(;゚ω゚)「なんですかいまの!!」

川 ゚ー゚)『これは自由変形砲撃器その一、クラヴィアスピードライフル、略してKSライフル』

(;^ω^)「敵が…全部居なくなってるお…」

川 ゚ー゚)『まあ、こんなものだ、所詮紛い物では本物には遠く及ばないと言う事さ』


ξ;゚听)ξ『…ちょっと待って! まだ残ってる!!』

ふと、先まで僕と同じ様に驚愕していたツンが声を張り上げ叫んだ

川;゚ -゚)『なに?』

言われて見れば、確かに索敵画面の端の方に赤い点が一つ
それもどんどん離れていく



40: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:29:35.45 ID:4bxSCGcf0

《敵機退却 追撃しますか?》

( ^ω^)「…放っといてもいいんじゃないかお?」


別に逃げていくなら放っておいても大丈夫だろう
そう考えた僕が言うと、何処か訝しげに唸る声が上がり、しばし何かを考えた後


川 ゚ -゚)『いや…あんな無人機が単機逃げると言うのも可笑しな話だ、どうにも気になる
     もしかしたら何かあるのかもしれない』


そんな言葉が返ってきた


ξ゚听)ξ『でも、もう結構距離が離れてますよ? それをわざわざ追っても…』

川 ゚ -゚)『だからこそだ、考えても見ろ、この距離間…
     最初からあの一機だけは逃げるようになっていたとしか思えない』

ξ;゚听)ξ『そう、ですね…確かに』

(;^ω^)「じゃあ…追うなら急がないと」

川 ゚ー゚)『いや、追いかける必要は無いよ』

(;^ω^)「いや、だってあーた」



42: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:31:13.79 ID:4bxSCGcf0

川 ゚ー゚)『ここからで充分だからね』


(;^ω^)「……はい?」

川 ゚ -゚)『リィン! BMセレクトKSK』

《 了解 システム構築 超長距離射撃モード 》

巨躯の両腕が近づき、同様に掴まれた二つの砲身が重なる
すると、近接した砲身部分が崩れ、結合を始め

(;゚ω゚)「お、お、お!?」

目の前には四角い画面が幾重にも重なり浮かび上がった
モニターが重なるたびに何度も映像の倍率が上がり…やがて遥か遠い先に在る黒い四角を映し
二つの砲身は崩壊と結合を繰り返し、一つの凄まじく長い発射台を作り出した


川 ゚ー゚)『クラヴィア・スパイラルキャノン』


《――脚部ロック―距離算出完了―照準誤差修正――Lバレル展開――》


クーの一声と共にリィンが矢継ぎ早に言葉を紡ぎ
同時に周囲には音と光が満ちていく



44: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:33:21.22 ID:4bxSCGcf0


川 ゚ー゚)『さあブーン、頼むよ』


《―反動計算――遮蔽物確認――バレルシリンダー回転開始―》


(li^ω^)「いやそんな事言われても僕にはなにがなにやら…」

川;゚ -゚)『え…なんだ、さっきのは無意識にやったの?』

(;^ω^)「?」

川 ゚ -゚)『足元をごらん』

(;^ω^)「んと…」

言われるままに下を除く、するとそこにはピアノとしてあるべきペダルが4つ見えた

( ^ω^)「? 別に何も…ん?」

4つ?

なんで4つも?

ピアノのペダルは3つまでだろう、常識的に考えて…

(;^ω^)「…これ、なんだお?」



45: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:34:17.12 ID:4bxSCGcf0

川;゚ -゚)『それは発射スイッチ……そうか、さっきのは偶然だったのか…』

(li^ω^)「…さっきのて、まさか」

川 ゚ -゚)『うん、先の砲撃は君が自分でそのペダルを踏んで撃ったんだよ』

(li^ω^)「…」

川 ゚ー゚)『そして…今度もね』


《 振動機出力全開 クラヴィアシステムフルドライブ 連結部砲口全解放 チャージ開始 》


周囲の発光が益々強まっていく、あらゆる隙間から虹色の光が輝き
巨大な駆動音が振動となって起こり、火花にも似た音と共に内部を揺らす


外部の大気は震え、巨躯が奮える
熱を持った砲身が回転し、やがて辺りが陽炎に包まれていく



《 全工程クリア 目標の射撃到達地点到着まで10カウント 》



47: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:36:49.87 ID:4bxSCGcf0

目標の移動方向などからルートを推測

現在地から砲撃の到達時間を計測

割り出される交差地点


つまり10秒後、その場所に向けて撃てば互いの行動が重なり、命中する


そういう事らしい


《 0 》



『K、S、K…』



砲身が風を巻き込みながら急激に回転を早める



『「ドライブ――イグニション!!」』



48: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:37:44.96 ID:4bxSCGcf0

3人分の声が重なる

巻かれた風が砲口へと吸い込まれ、光と共に爆ぜた
放たれたのは一つの巨大な光弾、それに追随するように細い光の線がいくつも回転しながら従い
巨大な渦となって街中の空を刹那の隙間に通過した


そうして、気付けば


遥か彼方には光の柱が立ち昇っていた






《 敵機 反応消失 》





つづく、、、I



51: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/02(月) 02:44:40.53 ID:4bxSCGcf0
           《次回予告》

从 ゚∀从 よお、よくきたな ここは4色音色総合案内所
     ああ…またなんだ、悪いね仏の顔も念仏、誤ってるからどうこうって気はない
     でもこの予告を見たとき、きっと君も言葉では言い表せらない盗作意欲みたいなのを感じたろ?
     こんな時代だからこそ…そんなパロ心を忘れないでほしい
     そう思ってこのレスを書いたんだ、それじゃ、がんばれよ!!


川 ゚ -゚) 次回はなんだ?

从 ゚∀从 次回はブーンの民の秘密とか、内籐の出生の秘密とか、色々わかるぜ

川 ゚ -゚) そろそろクライマックス?

从 ゚∀从 俺は最初からクライマックスだぜ



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