( ^ω^)と4色の音色達のようです
- 2: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:22:09.40 ID:f5E9mp/80
山を覆う一面の緑、空はどこまでも青色が広がっている
とても大きな樹木、そこかしこから伸びた小さな枝には数枚の葉が揺れていた
僕はその木の陰に座り込んでいる、隣には………人が、居る
居るのに、何故か僕はそちらを見ようとはしない
隣の人が立ち上がった、白いスカートがヒラリと揺れた
見上げると、風に煽られる葉がざわざわと鳴いていて
その隙間からは、たくさんの光の粒が輝いていた。
同時に、隣の人が視界に入ったけれど、上が眩しくて、影になって、わからない
音が聞こえる
風が気持ちいい
目が熱い
僕は座ったまま、いつまでもこうして居たいと思った
- 3: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:23:12.47 ID:f5E9mp/80
「 !」
けど、誰かが呼んでる
行かなきゃ、何故か知らないけどそう思った
すると、隣から聴こえていた音色が止んだ
息がつまる、苦しい
「 」
誰かは、僕へと手を伸ばした
透き通るような白い肌、けれど細く長い指にはいくつかの腫れ
それが酷く不釣合いで、同時にすごく尊い物だと思えた
だからだろうか、僕はその手を握る事ができなかった
何も言えず、何もできず、ただただ俯く
わけもわからない恐怖心に煽られるように、目が、やっぱり熱い
- 5: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:24:43.06 ID:f5E9mp/80
- 「なにしてんのよ、ほらいくわよ!」
誰かは、もう一度言うと僕の腕を掴み、強引に立ち上がらせた
僕が正面を向こうとしたところで、樹木が大きくざわめいた
突然の強風に目を開けていられない、強く眼をつぶると、一気に熱がこぼれていくのを感じた
なにか、嫌な予感がして…せめて一目だけでも、そう必死に願いながら
俯いていた顔を上げ、目を開くと、そこには――――
( ω )「…ぁ?」
見慣れた天井があった。
薄暗闇の間に浮かぶのは、汚れとも模様とも取れる古ぼけた天井
僕はそれを見つめたまま、混濁する意識の中、しばしまどろみに身を委ねる。
今…何を考えていたんだろう、何を想っていたんだろう
思い出そうとすればするほどに、それは遠のいていく。
( ;ω;)「うっ…ぅ…うぅっっっ」
何故か止まらない涙を堪える事無く、閉じていく記憶の箱を追うように、僕はもう一度目を閉じた。
それが、忘れようとする為なのか、再び視る為なのか、それさえわからないままに
残ったのは、胸に重く圧し掛かる……強烈な喪失感だけだった。
- 6: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:26:45.41 ID:f5E9mp/80
【 第7音 「反去吹奏」 】
川 ゚ -゚)『まだ着かないのかな?』
(;^ω^)「まだ出発してもいないお…」
( ・∀・)「それじゃあ、よろしくね」
ξ;゚听)ξ『…ところで、これからアレを回収に行こうっていうのに、何で私達だけ? 他の人は?』
( ・∀・)「ああ、今日は派遣のみんなはお休みなんだよ」
(;^ω^)(派遣さんだったのかお…)
( ・∀・)「まあ、それにしぃさん…だったかな?
彼女の家に行くのに皆で行く訳にもいかないだろう?
だから、よろしく頼んだよ」
川 ゚ー゚)『うん、任せて』
(;^ω^)「お、じゃあ行ってくるお」
そう言う僕等に、モララーさんは笑顔で手を振っている
返事に軽くお辞儀を一つ、そして踵を返し、歩き始めた。
- 8: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:27:55.46 ID:f5E9mp/80
今、僕等はしぃの家に向かっている。
彼女の家には代々伝わる謎の楽器があるという話を聞いたからだ。
というのも、話は…夜の公園で彼女と再会した三ヶ月ま…数日前にさかのぼる――――
川 ゚ -゚)(お盛んだねぇ)
ξ♯゚听)ξ(……)
(;^ω^)(おわ!? いつの間に!?)
(*;ー;)(…へ?)
とつぜんの背後の声に、二人そろって身体を震わせ、勢い良く振り向くと
そこには撒いたと思っていた3匹が、抱き合う僕等を背後から観察していた。
だが、不思議とそれについての驚きよりも、いや何よりも、やっぱり気になる事がある。
(;^ω^)((…))
ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)从 ゚∀从←
…うん、三人居る。
広場で別れた時は二人だったのに、何故増えてるのか
- 9: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:28:51.91 ID:f5E9mp/80
まさか 川 ゚ -゚)×ξ゚听)ξ=从 ゚∀从 とかそういうアレか
(*; ‐ )(…え?え?)
ああ、そうだそんな事言ってる場合じゃ無い、今…僕の前にはしぃが、驚愕の表情を浮かべている
この宙に浮かんでる小さい女の子等、怪しすぎるこの状況を、彼女にどう説明したら……。
(;^ω^)(あうあう…)
と、そんな事を考えていると…。
(*;゚ー゚)(お…お化けがいる…)
彼女は、僕の後方を指差し、そう言った。
(;^ω^)(へ?)
ξ♯゚听)ξ(誰がお化けよ!)
川 ゚ー゚)(ははは、こやつめ)
从;゚∀从(ひどい…)
Σ(*゚ー゚)(あっ、しかもこの声は…っ)
- 10: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:29:48.02 ID:f5E9mp/80
从 ゚∀从(え?)
(*;゚ー゚)(なー君! これ! この子の声よ! こないだから夜になると聞こえてくる変な声は!)
次いで、新顔の子の方を凝視したあと
僕から離れ、指をむけながら言う。
(;^ω^)(ああ…そういえば、言ってたお)
曰く、誰もが寝静まった丑三つ時。
どこからか声が聞こえてくると言う
…いや、それだけなんだけど。
从;゚∀从(あー…えと)
(*;゚ー゚)(間違いないわ! なんか…くらいべ〜、怖いべさ〜って!!
ぶつぶつ話しかけてきたのはあなたでしょ!?)
从;゚∀从(そ、それは、その…)
(*;゚ー゚)(やっぱり…お化けだったのね…っ)
从;゚∀从(いやいや、違うだべ! 幽霊じゃないべさ!!)
(*;゚ー゚)(嘘だっ! そんな小さくて、浮いてて…どう見たってお化けじゃないの!)
- 11: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:30:54.94 ID:f5E9mp/80
从;゚∀从(ま、まあ、それを言われちゃいますと…って、何で迫ってくrひゃうん!?)
(*゚ー゚)(………あ、でも触れはするのね…そうよね、こっちはお化けに触れないのに
向こうは触れるなんて卑怯だもんね、そうよね…)
从;゚∀从(ちょ、ちょ! どこ触って…)
(*゚ー゚)(…それにしても、よくみると…)
从;゚∀从(…?)
まじまじと見つめあい、困惑した様子で新顔の女の子が首をかしげる
と、そんな様子をみるなり、しぃは軽く呻き声をあげた後…。
(*>ー<)(何この子!! ちょーかわいいーーーーーーーー!!)
歓喜の悲鳴をあげ、前に浮かぶ女の子にしがみついた 从li ∀从(ぉごぁ!!)
というか、捕獲した、両腕でがっしりと、ギリギリと締め付けコンボ付きで。
从li ∀从(ぐぇぇ……)
(*>ー<)(あーん、どーしよー! かわいいようかわいいよう!!)
从li ∀从(あ、あがっ、しぬ! たすk)
(ギャー!!)
- 12: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:32:04.18 ID:f5E9mp/80
そのまま抱き抱え、頬擦りしたり、身体を撫で回したり
抵抗する暇も与えぬ連続攻撃の果てに…哀れ新顔の子は動かなくなってしまいましたとさ。
从li ∀从(……)
だが、そんなのは意に介した様子も無く
今度はその後ろに並んで浮かぶ二人を見ると、しぃはにやりと口元を吊り上げた
(* ー )(しかも…3匹も…)
ξ;゚听)ξ(…え)
川;゚ -゚)(…む)
(*゚ー゚)(……こっちのかわいいお化けさんは、触れるのかしらね?)
(*゚ー゚)「ふふ…」
ξ;゚听)ξ(…う)
すると今度はツンをターゲットに定めたのか
向き直し、手をわきわきさせながらじりじりと滲み寄る、笑顔が怖い。
(イヤー!コナイデー!!)
(アアン、マッテー!!)
そして何やら追いかけっこを始めてしまった
- 13: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:32:49.99 ID:f5E9mp/80
- どう説明すべきかとか、一瞬でも真剣に考えていた自分が馬鹿らしく思えてきた
なんていうか…順応性高いねしぃさんは、そうだね、そうだったよ、こういう人だったよね…。
と、感慨にふけりながら、そんな様子を見ていると
ふと横を見れば、いつの間にやらクーが僕の隣へと避難していた
川;゚ -゚)(……なかなかどうして、逞しい子じゃないか)
(;^ω^)(お…それより、いくつか聞いていいかお)
川 ゚ -゚)(うん、どうぞ?)
( ^ω^)(まず…そこで死にかけてるのも、君等の同類なんだお?)
僕はそう告げながら、指をさした
向けた先には、仰向けのまま宙を漂う女の子
ちなみに呻き声を漏らしながら、ヒクヒクと痙攣を繰り返している、しょうじき不気味だ。
川 ゚ -゚)(…同類って一括りにされるのは好ましくないんだけど
残念ながらその通りだよ…)
从li ∀从(ひ…ひどい…)
- 14: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:33:21.81 ID:f5E9mp/80
(;^ω^)(…いつの間に増えたんだお?)
川 ゚ -゚)(君が広場から駆け出して、その後を追う道中にばったり会ったんだよ)
(li^ω^)(んなバッタリ会うもんなのか…)
川 ゚ -゚)(気にするな、うはwwwおkwwwwとでも言っておけばいいんだ)
( ^ω^)(うはwwwwwwwwwおkwwwwwww)
川 ゚ -゚)(よし、という訳で、そういう訳だよ)
(;^ω^)(…把握)
川 ゚ー゚)(あれ、ずいぶんと物分りがいいね)
( ^ω^)(……いい加減学習したお、言うだけ無駄なのはわかってるお)
川 ゚ー゚)(よいことだよ)
(;^ω^)(よかない…っ、けどそれより…しぃがさっき言ってた事だお)
川 ゚ -゚)(声が聞こえてくるってやつかな?)
( ^ω^)(そうだお、それってもしかして…)
川 ゚ -゚)(うん、多分そういう事だろうね)
- 15: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:34:57.89 ID:f5E9mp/80
しぃが自宅で聞いたという声、そして目の前に浮かんでいる空中どざえもん
この二つが同一であるというのなら…それは、つまり……
( ・∀・)(4奏器の三つ目、その本体は彼女が持っているのかもしれない…か)
(;゚ω゚)(!?)
川 ゚ -゚)(だね、どうする?)
(゚ω゚;;)(!??!?)
(;;゚ω゚)(!?!?!?)
( ・∀・)(そうだな…できるだけ早く確認に行きたいね
そういうわけで、頼めるかな、内藤くん?)
(li ω )(……)
( ・∀・)(おや、どうしたんだい?)
(;;^ω^)(…なんで)
( ・∀・)(私がここに居るのか、そんな質問は非常に無意味だと思わない?)
思いません、本当に、どっから湧いて出てきやがりましたか
ああ突っ込みたい、ものすごく突っ込みたい
- 16: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:36:05.46 ID:f5E9mp/80
あ…なんか頭痛がしてきた。
僕はそろそろ疲れたよパトラッシュ、なんだかとっても眠いんだ…
いや、比喩でもなんでもなく、ほんとに。
(li ω )(そうですね…)
( ・∀・)(そうだろう、じゃあ明日にでm…)
(li^ω^)(?)
( ・∀・)(…と、言いたい所だけど、どうやら本当にお疲れのようだね)
(;^ω^)(お…)
( ・∀・)(今はゆっくり休むのがいいかもだね)
(;^ω^)(そうしたいかも、ですお)
( ・∀・)(よし、任せたまえ)
そう言うと、モララーさんは左腕を横向きに突き出した
みれば手首には腕時計がつけられ、続けてレンズ部分が起き上がり、こちらを向いた。
- 17: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:36:39.51 ID:f5E9mp/80
(;^ω^)(……なに、してるんだお?)
( ・∀・)(おやすみ、内藤君)
(;^ω^)(ちょ!? 今はってそのまんま今かお!?)
( ・∀・)(うんそう、時計型麻酔銃はっしゃー)
(;゚ω゚)(はぅあ!!)
喉元にちくりとした痛みが走り、すぐさま視界が暗転
すでに疲労、気苦労が溜まっていた僕は、そのまま深い眠りに落ち…
結局、まる2日間眠り続ける事になった。
……。
川 ゚ -゚)『そして、冒頭に戻る』
川 ゚ -゚)『無限ループって怖いよね』
- 20: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:38:56.35 ID:f5E9mp/80
ξ゚听)ξ『そんな事より着きましたよ』
( ^ω^)「おいすー」
(*゚ー゚)「いらっしゃーい」
川;゚ -゚)『おお、いつの間に』
彼女の家の前まで来ると、玄関先で待ち構えていたしぃが僕等を出迎えてくれた。
しかも、にこにこしながら、何だかやたら楽しそうだ。
ξ゚听)ξ『あら、やっぱりあの子は居ないのね…』
( ^ω^)「みたいだお」
例の、昨夜に居た新顔の子はしぃに連れられていったが
聞くところによれば、彼女が家に着くと…気付けば居なくなっていたそうだ。
(*゚ー゚)「…ツンちゃん」
ξ;゚听)ξ『ぅ…な、なによ?』
(*^ー^)「うふふ、呼んでみただけ」
ξ; )ξ『…!』
(;^ω^)「お?」
- 21: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:40:50.37 ID:f5E9mp/80
身の危険を感じたのか、ツンはその場で身震いし
すごい速度で僕の背中にまわると、全力で警戒の姿勢を取る
(*゚ー゚)「三ヶ月ぶりだっけ?」
ξ;゚听)ξ『え!?』
(*^ー^)「うそうそ、三日ぶりだよねー?」
ξ;゚‐゚)ξ『……』
(* ー )「アア、カワイイ・・・・・カワイスギル・・・」
((ξ;凵G)ξ))『…』
何かを物々と呟きながら、どこか虚ろな眼で見つめるしぃ
そんな様に恐怖を感じたのか、ツンは僕の肩にしがみつき、もう完全に脅えきっている。
…何か、余程トラウマになる事でもあったのだろうか
- 22: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:41:58.42 ID:f5E9mp/80
ちなみに今日の事、つまり4奏器と呼ばれる楽器の捜索、及びその他詳細は既に話を通してあったりする
なんでも…僕が倒れた後、事の経緯をモララーさんが伝えてくれたらしい
そして今日の事を連絡したのもそうだ、手回しが早くて驚いたけれど…むしろそれより。
しぃは、詳しい事情を聞くと、すぐさま異常な速度で理解を示し
快く楽器探しの了承をするばかりか、むしろ自ら進んで捜索まで申し出たそうだ…
…みんなおかしいんです。
初対面というものはですね、まずは様子を見るというか
そんなすぐに馴染めるものじゃないと思うんだ。
(*゚ー゚)「クーちゃんもこんにちわ、お菓子あるんだけど食べない?」
川 ゚ -゚)『やあ、気持ちだけもらっておくよ』
(*゚ー゚)「まあまあ、そう言わないで餌付けされてよ
そして両手でもきゅもきゅ食べてよ
クーちゃんみたいな子がそうすると、ギャップがまたかわいいと思うの」
川;゚ -゚)『そ、そう…?』
(;^ω^)「あの、しぃ、それよりも…それがそうなのかお?」
(*゚ー゚)「え? うん」
- 23: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:43:32.52 ID:f5E9mp/80
(*^ー^)「ではどうぞー、こちらご注文の品になりまーす」
そう言うと、彼女は手にぶらさがっていた黒色のケースを突き出す
横長の年季の入った感じのその入れ物を、僕等は思わず小さな歓声を漏らし、それを見つめた
すると…垂直に突き出した彼女の腕がぷるぷると震えだした
(;*゚ー゚)「…おもっ」
そして、重力に引かれて再び下に下がっていった。
(;*゚ー゚)「もうっ、はやく受け取ってよ!」
(;^ω^)「あ、ごめんだお」
そうして、ケースを受け取ると、その場で地面に置き
取っ手の横に手をかけ、パチンとロックを外し、蓋を開いた。
赤い布が敷き詰められた内装、そのくぼみには
くすんだ金色をした、U字型の物体が埋められている
片側には、長く伸びたスライド式の鉄棒
もう片側には円錐状に膨らんだラッパ口
( ^ω^)「…トロンボーン、かお」
- 24: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:44:39.64 ID:f5E9mp/80
(*゚ー゚)「そう、なんでもずーーっと昔の物で、見たとおりボロボロ…しかも音が狂ってて
まともに吹けたものじゃないんだけど…何故か捨てられずにずっと残ってるの」
( ^ω^)「なるほど…それっぽいお」
(*゚ー゚)「でしょー」
( ^ω^)「で、どうなんだお? これで合ってるのかお?」
川 ゚ー゚)『ためしたらどうだい?』
( ^ω^)「ふむ…じゃあそうすr」
ξ♯゚听)ξ『だ、駄目!!!!』
(;^ω^)「…へ?」
突然、ツンが声を張り上げた
何事かと伸ばしかけた手が止まる
(;^ω^)「えーと…なにゆえ?」
ξ;゚听)ξ『あ…ぅ、その…』
- 25: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:46:18.27 ID:f5E9mp/80
問いてみるも、なんだか口淀み、どうにもはっきりしない
何故か、クーだけはニヤニヤしながらそんな様子を眺めている
すると視線を察したのか、ツンは僕へと近寄り、手を握った。
ξ;゚听)ξ『そんなの…私を弾けばわかるからよ!』
(;^ω^)「!?」
言葉に次いで発光、すぐに消光、そして僕の手にはヴァイオリンが握られていた。
(;^ω^)「…そうなの?」
『そうよ』
川 ゚ー゚)『…まあ、ね』
『ほら、いいから早くしなさい』
(;^ω^)「わ、わかったお…そんな急かさなくても…ん?」
ふと、妙な視線を感じる
見ればしぃが喜々とした表情で瞳を輝かせていた。
いつの間にか、楽器と会話する自分に慣れ始めている事に気付いた。
…それもどうなんだろう。
- 26: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:46:50.22 ID:f5E9mp/80
…………。
同時刻、先日の巨大ロボットが暴れたとされる跡地で
二人組みの男がその焼け跡を眺めていた。
( ´_ゝ`)「あーりゃりゃこりゃま…けっこう派手にやってくれたみたいじゃん」
(´<_` )「派手なだけでは、何の意味もないのだがな」
( ´_ゝ`)「そりゃそうだっと、あーなんか良い物残ってたりは……しねーか」
黒く焦げた大地に、溶解し半壊した建物群が広がる無惨な光景
そんな中、キョロキョロと何かを探すように見回しながら廃墟を進み、男は呆れたように呟いた。
( ´_ゝ`)(…こうまで何も残ってないたぁ、なんだかねぇ)
そこには、何も残っていなかった
見えるのは、荒廃した大地のみ、何の処置が行われた様子もなく
ある種、綺麗にそのまま残されていた、故にそれが少しだけ引っかかった
- 27: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:49:20.89 ID:f5E9mp/80
( ´_ゝ`)(残骸さえ残さず…こっちのアレを消し去った…ってか?)
仮にも機械同士が争い、そしてこちらの送り込んだ物は全て撃破された
ならばその残骸の一つや二つ転がっていてもおかしくはないはず
だが…そこには、それが無かった、片付けられたという跡が無いにも関わらず、だ。
( ´_ゝ`)(これが、これも遺産の力の一部か…そりゃ王様も怖がるわけだ)
(´<_` )「どうした?」
( ´_ゝ`)「あぁ?べつに?」
(´<_` )「…ならばもういいだろう、そろそろ定刻だ…捜索に戻るぞ」
( ´_ゝ`)「あいよっと、っと…いて!」
(´<_` )「…間抜けめ」
その場に背を向け、歩き出した弟者を追おうとした兄者が石につまずく
対する弟者は、後方をちらりと一瞥すると、舌打ちついでにぼそりと呟いた。
( ´_ゝ`)「おーいてぇ、つーかよぉ…時間過ぎてんじゃねーか…遅刻か、妹者のやつ…」
(´<_` )「そうだな、だがようやく着いたらしいぞ」
- 28: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:50:18.08 ID:f5E9mp/80
( ´_ゝ`)「お? おお、マジだ」
そういう二人の遥か上空を、何かが通り過ぎた
地を走る高速の影は、まるで残像の様に過ぎ去っていく。
それは唸るような音を響かせながら、建物の上を何事もなく通過し
今度は急上昇、空高くへとぐんぐん飛び上がっていく。
色は赤に染められ
細く、流線の形状
全体で三角形を作るような、二対の羽
(´<_` )「…空飛機械、ベル」
( ´_ゝ`)「んじゃ、お仕事開始といくかね」
空へと昇った空飛ぶ機械が、ふわりと宙で僅かに停止し、しばしの横回転を伴い浮遊
続いてぐるりと頭を下に向け、一気に降下を始める。
黒点ほどの小ささにしか見えぬであろう位置から
落ちていく点を見た二人は軽く笑みを作り、何処かへと消えていった。
- 29: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:52:17.44 ID:f5E9mp/80
………。
ξ; )ξ『…ふ、ぅ』
从(;^ω^)「…ふー」
(*゚ー゚)「ぱちぱちぱち」
川 ゚ー゚)『おつかれさま』
促されるままに、短い演奏を終え一息つくと
二人は何処か楽しそうにしながら、ねぎらってくれた。
从(;^ω^)「えと、それで、どうだお? 当たりかお?」
川 ゚ -゚)『うん、そうみたい』
从(;^ω^)「そう…そう? でも、何も変化がないお?」
川 ゚ -゚)б『いやいや、うしろうしろ』
- 30: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:53:10.59 ID:f5E9mp/80
从( ^ω^)「うしろ?」
从 ゚∀从(^ω^ )「うしろ…」
(;゚ω゚)「ぎょあ!!!」
从;゚∀从『わわ!?』
振り向けば、すぐ背後に彼女が居た。
(;^ω^)「いつの間に…」
从;゚∀从『んや、けっこう前から……それより』
(;^ω^)「?」
从 ゚‐从『やっぱり…あなたは、本物の……ブーン…』
川 ゚ -゚)『そう言ったはずだけど?』
从 ‐从『……』
- 31: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:54:15.09 ID:f5E9mp/80
何故か、その子は俯いたまま黙り込んでしまった
どうにも居辛さを感じて、たまらず口を開いた所で
(;^ω^)「お…なんのはなs」
強烈な地響きが、僕の言葉を遮った。
ξ;゚听)ξ『え…』
遅れて、張り詰めた空気が破裂するような圧迫感と、轟音
それも一度や二度でなく、爆発音が連続して響いてくる。
まさか…、と嫌な予感を口にするよりも先に、クーが言った。
川 ゚ -゚)『また…来たらしいね』
(;*゚ー゚)「そ、それって……帝国の?」
从;゚‐从『…!!』
- 33: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:57:24.73 ID:f5E9mp/80
川 ゚ -゚)『たぶんね、急いで戻ろう』
(;^ω^)「え゛…戻るて…それってまさか…」
ξ゚听)ξ『…あんたが、またリィンに乗って、戦うのよ』
(li^ω^)「…やっぱり?」
またこの台詞だ、どうして毎度毎度、こう…
心の準備とか覚悟とか、僕の意思を尊重するとか、そういうのをですね
川 ゚ー゚)『いやかい?』
(;^ω^)「え…えと…」
(*゚ー゚)「リィン、それって噂の巨大ロボット!?」
(;^ω^)「へ」
(*゚ー゚)「す、凄い! なー君すごい!!」
(;^ω^)「し、しぃ…?」
- 34: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:58:26.44 ID:f5E9mp/80
(*゚ー゚)「迫り来る帝国の魔の手……そして立ち向かうは正義のロボット…」
(*゚∀゚)「ささささいこう!!あ、あ、あひゃひゃひゃひゃひゃwwwwwwwww」
川;゚ -゚)『あ、壊れた』
(;^ω^)「ちょ、落ち着けお!」
(*゚ー゚)「大丈夫、すごく冷静だから! やばいと言えるくらいに!」
(;^ω^)(充分やばいお…)
(*゚ー゚)「なー君、がんばって…私女だけど、パイロットってかっこいいと思う」
(*^ω^)「え、そうかお?」
(*゚ー゚)「うん!!!!!!!!!!!」
(*^ω^)「よ…よし、じゃあ行くお!」
ξ♯゚听)ξ『…』
- 35: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 02:59:24.58 ID:f5E9mp/80
そうして、彼女の異常なまでのプッシュを受け
僕は恐怖とか、なんかそういうしがらみを忘れ、再び乗る事を決意した
我ながらなんという理由だ…
と、そこで酷く沈んだ表情を浮かべる女の子に気がついた。
从li゚‐从『……そんな』
川 ゚ -゚)『ハイン、君も』
从;゚‐从『い…いやだべっ!!!!!』
クーが、当初の予定通り、彼女を連れて行くべく声をかけた
だがそれは、悲鳴にも似た声によって掻き消された。
尚も続く爆音の中、僅かな間が生まれるも
それをすぐに言葉が続き、止めた。
从li゚‐从『…また、繰り返すつもりか…?
あたしはもう……もうあんな思いをするのは…』
- 36: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 03:00:54.21 ID:f5E9mp/80
川 ゚ -゚)『言いたい事は分かるつもりだよ、でも、だからこそ、その連鎖を止める為にも…』
从;゚‐从『それは詭弁だべ! そうやって戦って、その結果としてどうなったと思ってる!?
今だって、結局は同じ、なら繰り返すだけに決まってるべ!』
川 ゚ -゚)『今は違う』
从♯゚‐从『今も変わらん!!』
川♯゚ -゚)『ハイン…!』
(;^ω^)「ちょ、ちょ、何してんだお!」
ξ;゚听)ξ『そうですよ! 口論してる場合じゃ…』
川;゚ -゚)『…っ』
どこか、遠くでいくつかの閃光があがる
地響きは、何か崩れ落ちるような音を放ち、地震となった
聞こえて来る爆発音は尚も激しさを増していく
从;゚‐从『…とにかく、あたしは行かない』
そんな中、はっきりとした拒絶の声だけが…嫌にはっきりと耳に届いていた。
つづく
- 37: ◆6Ugj38o7Xg :2007/11/07(水) 03:06:51.92 ID:f5E9mp/80
- とってもわかりやすい!
次回予告!!
『乗せてください!!』
川 ゚ -゚)『何故…ここに居る』
从 ;∀从『僕は…マジンガーZのパイロット、ハインリッヒです!!』
川 ゚ -゚)『光子力研究所に帰れ』
次回! 「時間との戦い」につづく!
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