( ^ω^)ブーンが伝説になるようです
- 3: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 22:48:10.99 ID:o4xRbmv10
- 第2話 旅の仲間
―1―
正直、怖いと思ったお…。
あのトーチャンでさえ封印するしか手がなかった魔王を、この手で倒す。
ものすごく怖くて、恐ろしくて、膝なんか話の半分くらいときから笑いっぱなしだったお。
でも、でも。
これは僕がやらなくちゃいけないことなんだお。
トーチャンの果たせなかった責務は、息子の僕が果たさなきゃならないんだお。
僕が魔王討伐をする。
この言葉を発した時、王様は少し逡巡した気がしたお。
でもすぐに居住まいを正すと、こう言ったんだお。
( ´∀`)「そうか…。お前がどうしても行くというなら止めはしないモナ。
というか、初めからそのことを話そうと思っていたんだモナ」
(;^ω^)「あ、そうだったんですかお。サーセンwwww」
思わず謝っちゃったお。でも、きっとこれでいいんだお。
僕が王様に気づかれないようにそっとため息をついてると、王様がそばにおいてある宝箱を指差して言ったお。
- 5: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 22:49:23.32 ID:o4xRbmv10
( ´∀`)「では、これは少ないけど選別モナ。とっときたまえモナ」
( ^ω^)「ありがとうございますお」
僕は、それはもうwktkして宝箱を開けたお。
パカッ
…………え?
箱を開けた僕はびっくりしたお。
(;^ω^)(旅人の服にこんぼう2本とひのきのぼう、それに50G…。
魔王討伐の旅にはショボすぎるにもほどがあるお)
( ´∀`)「何か?」
僕がぶつぶつ文句を心の中で言ってると、
王様がこれ以上ないってくらいのタイミングで突っ込んできたお。
( ^ω^)「い、いえ!なんでもないですお!いってきますお!!」
慌ててごまかした僕は、さっさと城を後にしたお。
こうして僕の長い長い旅が始まったんだお。
それにしても、なんで僕の周りの大人は鋭いのばっかりなんだお…。
- 6: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 22:51:14.79 ID:o4xRbmv10
―2―
ブーンが橋を渡っていると、前方に見知った顔が見えた。
当然だが、帰りは見張りに咎められることはなかった。
( ゚ω゚)「アッー、ツン!」
それは幼馴染のツンだった。
彼女とは生まれたときからの腐れ縁である。
ξ゚ー゚)ξ「聞いたわよ、ブーン。アンタ、魔王を討伐しに行くんだって?」
そのツンが口に笑みを浮かべながらこちらに歩いてくる。
それにしても、いったいどこから情報が漏れたのだろうか。
自分だって今さっき驚愕の事実を知ったばかりだと言うのに。
気になったブーンは聞いてみた。
(;^ω^)「ど、どこからその話を?」
ξ゚听)ξ「もちろん、あんたのお母様からよ。
さっきアンタの家に遊びに行ったんだけど、いなかったからね」
そうか、カーチャンは知ってたんだっけ。ブーンは思った。
彼が一介の兵士ではなく『勇者』の息子だってことを。
- 7: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 22:52:53.56 ID:o4xRbmv10
( ^ω^)「そうだったのかお。うん、なんでかそういうことになったんだお」
一人納得したブーンがそう答えると、ツンはとんでもない提案をしてきた。
ξ゚听)ξ「ねえ、ブーン」
( ^ω^)「ん?何だお?」
ξ゚听)ξ「あたしもその冒険に混ぜなさいよ」
(;^ω^)「な ん で す と ?」
さすがに驚きを隠せないブーン。
更にツンは続ける。
ξ゚听)ξ「だから、魔王を倒す旅に一緒に連れてけっつってんの」
(; ^ω^)「だ、だめだお!ツンは女の子だお!女の子を危険な目にあわせるわけには行かないお!!」
ブーンの言うことはもっともである。
だが、彼女も負けてはいない。
- 8: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 22:55:55.67 ID:o4xRbmv10
―3―
納得のいかないブーンとツンが酒場の前を通りかかったとき、酒場脇にあるタルの裏から物音が聞こえてきた。
注意して聞いてみると、なにやら蹴りつけるような音と共に罵声と少年とも少女ともつかない声が聞こえてくる。
( )「や、やめてよう」
荒くれA「オラオラ、早く金出しやがれ!!」
荒くれB「痛い目にあいてーか!!」
その声に驚いたブーンとツンは互いに顔を見合わせた。
ξ゚听)ξ「な、何?」
( ^ω^)「この裏から聞こえてくるお!」
ブーンたちがタルの隙間からそちらを覗いてみると、二人の荒くれが少年に絡んでいるのが見えた。
二人とも牛のような角が生えた黄色のマスクをかぶっている。
荒くれA「さっさとしろよ!!」ドガッ
荒くれB「俺たちゃ気がみじけーんだぜ!!」バキッ
どうやら荒くれたちはカツアゲをしているようだった。
- 9: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 22:57:19.32 ID:o4xRbmv10
ξ#゚听)ξ「あ、あいつらぁ…」
(; ^ω^)「あ、ツン!!」
ブーンが止めるも聞かず、ツンはタルを飛び越して路地裏に躍り出た。
ξ#゚听)ξ「あんた達!!何やってんの!!」
荒くれA「あんだぁ?」
荒くれB「何もんだ、てめぇ」
彼女に気づいた荒くれがこちらをにらむ。
Σ( )
少年も気づいたようだ。
だが、路地裏の暗がりで顔はよく見えなかった。
ξ゚听)ξ「荒くれになど誇りある我が名を教える必要なし!!
さっさとその人を放しなさい!!でないと月に代わってお仕置きよ!!」
(; ^ω^)「ツン…古いお…」
樽の隙間から除いていたブーンがつぶやく。
しかし、そのネタがわかるブーンも相当のもんである。
- 10: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 23:00:58.76 ID:o4xRbmv10
荒くれA「あんだとこのやろう!!」
荒くれB「やっちまえ!!」
ツンの言葉に激昂した荒くれたちは彼女の方へ向かって行く。
ξ#゚听)ξ「テメーらはアタシを怒らせた」
そう言うが早いかツンは向かってきた荒くれたちをいとも簡単にかわすと、彼らの背後に向き直る。
荒くれA「なんだと!!」
荒くれB[早いッ!?」
ξ゚听)ξ「メラッ!!メラッ!!」
荒くれたちに振り向く隙も与えず、ツンはすかさずメラ
―― 小さな火の玉を飛ばす火炎呪文。ダメージはHP(ヒットポイント)に換算して約10HPほど ――
を彼らの尻に向けて放った。
荒くれA&B「「あっちー!!覚えてろよ!!」」
そう言って彼らは、一目散に逃げ出して行く。
その様子を見送ると、ツンは息をつく。
ξ゚听)ξ「ふぅ。やれやれだわ」
- 13: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 23:06:13.47 ID:o4xRbmv10
―4―
そばにうずくまっている男性を見やる。
ξ゚听)ξ「もう大丈夫よ。立てる?」
( )「あ、はい…」
その人物は抱えていた膝を崩すとおずおずと立ち上がった。
そのとき、路地裏の日の当たる場所に彼の頭が来て、ようやく彼の顔を見ることができた。
しょぼくれた顔をしているが、よく見ればブーンやツンと同じ様な年頃である。
(´・ω・`)「ありがとうございました。おかげで助かりました」
ξ゚ー゚)ξ「いいのいいの。私はツン。あんたは?」
(´・ω・`)「あ。僕、ショボンです」
ξ゚ー゚)ξ「ショボン、ね。よろしく」
(´・ω・`)「はい、こちらこそ」
その時、背後から水音が聞こえた。
荒くれどもが火を消そうとして城の掘に飛び込んだのだろう。
- 15: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 23:08:12.54 ID:o4xRbmv10
ξ゚听)ξ「じゃあ、アタシ行くわね。人待たせてあるし」
(´・ω・`)「あ、あの…」
ξ゚听)ξ「ん?」
立ち去ろうとしたツンをショボンが呼び止める。
(´・ω・`)「えと…」
ξ゚听)ξ「何よ?」
(´・ω・`)「その…」
ξ゚听)ξ「あーもうじれったいわね!用があるならさっさと言いなさいよ!!」
中々煮え切らない態度にツンが痺れをきらせた。
- 16: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 23:10:55.82 ID:o4xRbmv10
(´・ω・`)「す、すみません。あの、あなた達魔王を倒しに行くんですよね?」
ξ;゚听)ξ「ど、どうしてそれを?」
(´・ω・`)「さっき橋のところで話してたじゃないですか。僕、教会で奉公してるんです。
お使いを終えてその教会に帰ろうとしたらあなた達がそう話してのが聞こえて…。
それでここであなた達の話を聞いてたらあいつらに捕まっちゃって」
ξ゚听)ξ「そうだったんだ」
ショボンの説明にツンは納得した。
なるほど、それなら確かにつじつまが合う。
(´・ω・`)「はい、そこで折り入ってお願いがあるんですけど」
ξ;゚听)ξ「な、何よ?」
ショボンの急に改まった態度に、珍しく動揺する。
(´・ω・`)「僕もあなた達の旅に連れてってもらえないでしょうか!?」
ξ゚听)ξ「え!?」
驚きのあまり、ツンが大声をあげる。
- 17: ◆PcO9DmzREo :2007/05/20(日) 23:15:53.01 ID:o4xRbmv10
(´・ω・`)「このうじうじした性格を変えたいんです。
そ、それに仮にも教会に勤める身。多少の回復呪文ならできます。
この呪文はあなた達の旅に役に立つと思うんです。どうかお願いします!!」
彼の態度にツンはしばし思案して、考えを口にした。
ξ゚听)ξ「そうねー。
とりあえずリーダー、つまり勇者はアタシじゃないから、アタシの一存では決められないわ。
残念だけどね」
(´・ω・`)「そうなんですか。その勇者さんは今どこに…?」
( ^ω^)「おーい」
その時、ツンの背後で情けない声が聞こえた。
(; ^ω^)「あうあう」
彼女が振り返るとタルから降りようとぶら下がり、両足をバタつかせているブーンの姿があった。
その様子を見たツンは呆れた様子で頭を抱えつつ、ただただ溜息をつくばかりであった。
―――続く
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