( ^ω^)ブーンが伝説になるようです
- 2: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:27:43.61 ID:k7cPeanH0
- 第11話 集落
―1―
―――エーファンの森
この大陸の北西一体を覆う、広大な森だ。
かつてはここに、エルフ達があふれかえるほど住んでいたという。
しかし、それも今は昔。
現在ではエルフは数えるほどしか生息せず、
加えて魔法で住処を隠しているため、滅多に人前に姿を現すことはない。
しかもこの森は特殊な磁場を帯びていると言う。
この磁場は方向感覚を狂わせ、森に入り込んだ人間を迷わせる。
おまけに森の木々が多い茂っていて、空も見えなかった。
現に、ブーンたちも道に迷っていた。
呼吸は乱れ、足は思うように動かない。
おまけに日も暮れつつあった。
- 3: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:28:44.02 ID:k7cPeanH0
- ξ;゚听)ξ「フゥ。今夜はここで野宿するしかなさそうね…」
(;^ω^)「だお。もう疲れたお…」
(;´・ω・`)「きっとエルフのせいでしょうね。
さっきから同じところをグルグル回ってますよ」
3人は各々適当に座り込むと、雑談を始めた。
横たわっていた丸太にはツンが座っている。
ξ゚听)ξ「とりあえず、火をおこさないとね。
アンタたち、薪になる枝とか拾ってきなさい。
アタシがメラで火をつけてあげるから」
( ^ω^)「把握したお。ショボン、一緒に行くお」
(´・ω・`)「はい。では、行ってきますね」
- 4: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:29:48.36 ID:k7cPeanH0
- ほどなくして、2人はそれぞれ両手に薪を抱えて戻ってきた。
適度にその薪を円錐状に組み、ツンがメラで火をつける。
余った薪はその辺に積んでおいた。
人間、どんな状況でも揺らめく炎を見ると落ち着くものだ。
きっと、初めて火と言うものを発見した先祖達の記憶によるものだろう。
夕飯を食べたり、談笑したりしている内に、いつの間にかショボンが気持ちよさそうに寝息を立てていた。
ツンと二人きりになったところで会話が途切れてしまった。
聞こえるのは、リーリーと鳴く虫の声ばかり。
そっとツンの顔を見ると、じっと焚き火を見つめて何かを考えている様だ。
どうも昼間から彼女の様子がおかしい。
気づくと黙って何か考え込んでていることがのだ。
ブーンは意を決して、彼女に声を掛けてみることにした。
- 5: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:30:22.07 ID:k7cPeanH0
( ^ω^)「「あの…」」ξ(゚Δ゚ξ
- 8: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:30:55.19 ID:k7cPeanH0
- 重なる声。
少し驚いた。本などではこんな状況に度々お目にかかるが、
実際に自分がその場に居合わせるとは思ってもいなかった。
( ^ω^)「「何(だお)…」」ξ(゚Δ゚ξ
再び。
ここまでくると、うかつに声を出せなくなった。
何というか、先に声を出した方が負けという空気さえ漂っている。
- 10: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:31:49.01 ID:k7cPeanH0
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
沈黙すること約5分。
そろそろ先の出来事を忘れかけてきた頃、
ξ゚听)ξ「ねぇブーン…」
ツンがブーンに話しかけてきた。
- 11: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:33:07.13 ID:k7cPeanH0
- ( ^ω^)「おっ。なんだお?」
ここぞとばかりに返事をする。
ξ゚听)ξ「アンタ、本当にあれでよかったの?」
( ^ω^)「あれって?」
ξ゚听)ξ「ロマリアで、王様になるの断ったじゃない」
( ^ω^)「
そのことかお。いいんだお。
僕はみんなと旅してる方が楽しいんだお」
ξ゚听)ξ「ふーん…」
ξ////)ξ「まっ、アンタがそれでいいんならいいけど」
( ^ω^)「ツン、顔赤いお。風邪かお?」
ξ////)ξ「バ、バカ。焚き火よ焚き火」
ツンがごまかすのをブーンは聞いていなかった。
なぜならその時彼は
- 14: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:34:25.34 ID:k7cPeanH0
- ( ゚ω゚)「ツン!ツン!」
ξ////)ξ「な、何よ。焚き火だって言ってるでしょ!」
( ゚ω゚)「違うお!あれ見るお!!」
∈从'ー'从∋
ブーンが指差した先にはなんと、1人のエルフらしき姿があった。
2人はエルフに近づくと、茂みの陰に身を隠した。
- 17: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:35:25.24 ID:k7cPeanH0
- 彼女は皆背が低く、10歳児ほどしかない。
しかし顔立ちはよく、出るところも出ている。
人間で言えば10代後半と言ったところか。
どうやら、こちらには気づいていないらしい。
好き勝手に飛んだり跳ねたりしている。
まるで踊りを踊っているようだ。実際そうなのだろう。
(*^ω^)「綺麗だおー…」
ξ*゚听)ξ「ホントね…」
- 20: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:36:38.74 ID:k7cPeanH0
- それは、あまりにも幻想的な光景だった。
彼女達の周りはまるでスポットライトが照らされたように明るく、
2人は時間を忘れて妖精の踊りに見入っていた。
パキン
乾いた音が響いた。
ブーンが足元を見ると、枯れ枝を踏んでいる。
無意識に近づこうとして、いつのまにか一歩踏み出していたようだ。
∈从'ー'从∋「ふえぇ〜。何なの〜?」
妖精はあっという間に逃げていった。
後に残るのは虫たちの鳴き声と、ボーゼンと立ち尽くしているブーンとツンのみである。
- 22: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:37:59.22 ID:k7cPeanH0
- ξ#゚听)ξ「何してんのよ!」
ツンの怒声が、静まり返った森に木霊した。
(;^ω^)「ご、ごめんだお」
ブーンが慌てて謝る。
そして、
( ^ω^)「でも、これでエルフが近くにいることはわかったお?」
と付け足した。
その通りだ。少なくともこれで、この森にエルフがいることは分かった。
あとは彼女らの住処を探すだけだ。
ξ゚听)ξ「それもそうね。
しょうがない。今日はもう遅いし、明日早く起きて探索を続けましょ」
( ^ω^)「把握だお」
- 24: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:40:33.60 ID:k7cPeanH0
- ―2―
翌日、ブーンたちはショボンに昨夜の事情を話すと、エルフの捜索を開始した。
(´・ω・`)「本当に見たんですか?夢でも見たんじゃないの?」
ショボンは未だに信じられない様子だ。
でも、とブーンは反論する。
( ^ω^)「あれは夢なんかじゃなかったお!」
ξ゚听)ξ「そうよ。2人して同じ光景を
(´・ω・`)「ツンさんがそう言うなら…」
(;^ω^)「なんでツンのときはすぐ信用するんだお…」
- 25: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:42:15.87 ID:k7cPeanH0
- 何か不に落ちないブーンをつれて、探索は続けられた。
午前中一杯探しに探したが、エルフはなかなか見つからなかった。
すっかり疲れ果ててて座り込む3人だった。
昼食を食べながら雑談をすることにする。
( ^ω^)「それにしてもモグモグ…なかなか見つからないおね」
木│ー'从∋
- 26: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:43:07.49 ID:k7cPeanH0
- ξ゚听)ξ「まったく、どこにあるのかしら」パクパク
木│ー'从∋
- 30: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:44:54.10 ID:k7cPeanH0
- (;´・ω・`)「さっきから何か、ものすごい視線を感じるんだけど…」ムシャムシャ
木│ー'从∋
- 32: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:46:39.98 ID:k7cPeanH0
ξ;゚听)ξ((めっちゃ見られてる…))(´・ω・`;)
( ^ω^)「?」
- 35: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:48:40.35 ID:k7cPeanH0
- 一人のエルフが木陰からこちらを除いていた。
彼女は昨夜見かけたうちの一人だろう。
ブーンは背後の彼女に気づいていない様子だった。
木│'ー'从∋「……」
少女が木陰から出てきた。
他の2人が自分をじっと見つめている。
ブーンはそう感じ、口を開いた。
- 38: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:49:56.11 ID:k7cPeanH0
- ( ^ω^)「どうしたお?2人とも、何でそんなに僕を見てるんだお?
何か照れるお」
ξ;゚听)ξ「バカ!」
(;´・ω・`)「ブーン、後ろ後ろー!!」
ツンの罵声とショボンのツッコミを受け、ブーンは後ろを振り向いた。
( ^ω^)
∈从'ー'从∋「こんにちわぁー」
( ω ) ゚ ゚
- 39: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:51:29.25 ID:k7cPeanH0
- 驚いた、って言うレベルじゃない。
まさか向こうから現れてくれるとは夢にも思わなかった。
キョドりながらも話しかけてみる。
(;^ω^)「こ、こんにちわだお。えーと、今日はお日柄も大変よく…」
∈从'ー'从∋「ねぇ」
- 42: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:52:21.65 ID:k7cPeanH0
- (;^ω^)「な、なんだお?」
∈从'ー'从∋「あなた達、人間?」
(;^ω^)「そうだお。ブーンたちは人間だお」
∈从'ー'从∋「へぇ、そうなんだぁ。私、人間見たの初めてなんだぁ〜」
(;^ω^)「そ、そうかお。僕もエルフ見たの始めてだお」
ξ゚听)ξ「ちょっとアンタ」
いつまでも埒の明かない会話に飽きたのか、ツンが横槍を入れてきた。
∈从'ー'从∋「ふぇ?なあに?」
ξ゚听)ξ「何でこんなところにいんのよ」
- 44: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:53:35.28 ID:k7cPeanH0
- 当然の質問だった。
先にも書いたとおり、エルフは滅多に人前に姿を現さない。
それなのに姿を見せたということは、よほどの事情があるのだろう。
∈从'ー'从∋「だって〜」
ξ゚听)ξ「何よ」
∈从'ー'从∋「それ、おいしそうだったんだもん」
ξ゚听)ξ「はぁ?それって、このお昼ご飯のこと?」
∈从'ー'从∋「うん。みんなおいしそうに食べてたよ〜。
私も食べたくなっちゃうくらい」
(;´・ω・`)「要するに、僕達の食べてるこれが欲しくて出てきたということですか?」
まだ困惑しつつも、ショボンが尋ねた。
確かに、彼女の言葉通りに考えればそうなる。
しかしそれはあまりにも……。
- 47: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:54:39.74 ID:k7cPeanH0
∈从'ー'从∋「うん、そういうこと〜」
その通りだったらしい。
( ^ω^)「じゃあ、僕のでよかったらあげるお」
ブーンが右手に持っていた肉をちぎって差し出す。
それを見たエルフの彼女は驚いた様子で、
∈从'ー'从∋「ええ〜。いいのぉ?」
そういいながらも、彼女の手にはすでに肉片が握られていた。
- 50: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:55:34.07 ID:k7cPeanH0
- ―3―
∈从'ー'从∋「おいしかったぁ」
(;^ω^)「まさか、大きい方を取られるとは思わなかったお…」
数分後、肉の塊はキレイに少女の腹へ収められていた。
∈从'ー'从∋「もうお腹一杯だよ〜」
そこには、満足そうにお腹をさするエルフの姿が!!
( ^ω^)「もう、食べ物をあげたりなんかしないお」
ξ゚听)ξ「何言ってんのよ」
∈从'ー'从∋「ごちそうさまでした」
ξ゚听)ξ「よかったわね。じゃあもう帰ってくれる?」
(´・ω・`)「ツンさん、それはないでしょ」
∈从'ー'从∋「ねぇ」
不意に少女が声を上げる。
その瞳には、好奇心の色が浮かんでいた。
- 51: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:57:08.86 ID:k7cPeanH0
- ( ^ω^)「おっ?」
∈从'ー'从∋「あなたたちさっき何か探してたけど、何探してたの?」
( ^ω^)「エルフ…君達の村を探してたんだお」
ブーンが正直に答えると、彼女は思わぬ提案をしてきた。
∈从'ー'从∋「あー、そっかぁ。じゃあ私が案内するよ〜」
(´・ω・`)「え、でもそれは…」
∈从'ー'从∋「いいのいいの。お肉のお礼ってことで」
( ^ω^)ξ゚听)ξ「「「………」」」(´・ω・`)
- 54: ◆PcO9DmzREo :2007/07/19(木) 23:59:14.13 ID:k7cPeanH0
- そうしてブーンたちは彼女の案内でエルフの隠れ里までたどり着いた。
道すがら聞いたことによると、彼女の名前はワタナベというらしい。
そこは森の木を必要最小限までに切り開いた空間で、一つの集落のようになっていた。
里には人っ子一人見えなかった。
人の気配はするのだが、姿がない。
- 55: ◆PcO9DmzREo :2007/07/20(金) 00:00:20.90 ID:CJeyCsbK0
- (´・ω・`)「みんなはどこ行ったんだろう」
∈从'ー'从∋「あはは。みなさん、人間が怖いだからね〜」
(´・ω・`)「ああ、家の中に隠れてるわけですか…」
∈从'ー'从∋「そういうこと〜」
ξ゚听)ξ「その割にアンタはあたし達のこと怖がらないわね」
ワタナベの言葉にツンが首をかしげた。
∈从'ー'从∋「だってお肉くれたじゃない。それで十分だよ」
( ^ω^)「お肉あげたのは僕だけどお」
そんな事を言い合いながら4人は集落を進んでいく。
どこに行くのだろう。疑問に思って聞いてみた。
- 57: ◆PcO9DmzREo :2007/07/20(金) 00:02:27.19 ID:CJeyCsbK0
- ∈从'ー'从∋「もうすぐだよ〜」
ワタナベはそういうのみである。
しかしその言葉通り、すぐに目的地は見えてきた。
(´・ω・`)「もしかして、あれですか?」
∈从'ー'从∋「うんそう〜」
それは高台の上にあり、周りの家よりも少々大き目の建物である。
中に入るとヒンヤリ涼しかった。
正面には豪華そうな椅子があった。
その椅子にワタナベは近づくと、静かに腰を下ろす。
そしてブーンたちは、衝撃の告白を聞くこととなる。
∈从'ー'从∋「ようこそエルフの隠れ里へ。私が女王のワタナベです」
( ^ω^)ξ゚听)ξ「「「え…」」」(´・ω・`)
(;^ω^)ξ;゚听)ξ「「「えええええええええ!!?」」」(´・ω・`;)
―――続く
戻る/第12話