( ^ω^)がどこまでも駆けるようです

3: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:17:04.24 ID:6DTiKndi0
・登場人物紹介

アルキュ正統王国
 首都は【獅子の都】ヴィップ。王位正統継承者ツン=デレがリーマンから離れる形で建国。
 国旗は黒地に黄金色の獅子。
 王都の評議会派と差異を明らかにする為、国号は首都名と同じくヴィップを使用している。

ξ゚听)ξ 名=ツン(ツン=デレ) 異名=金獅子王 民=リーマン 武器=禁鞭 階級=アルキュ王

ミセ*゚ー゚)リ 名=ミセリ 異名=無し 民=リーマン 武器=無し 階級=尚書門下(行政次官)・千歩将 ツンの付き人

( ゚∀゚) 名=ジョルジュ 異名=急先鋒 民=リーマン 武器=大鎌 階級=司書令(司法長官)・万騎将・薔薇の騎士団団長

(´・ω・`)名=ショボン 異名=天智星 民=リーマン 武器=槍 階級=中書令(立法長官)。

从 ゚∀从 名=ハイン(ハインリッヒ) 異名=天駆ける給士(闇に輝く射手) 民=キール隠密 武器=仕込み箒・飛刀 階級=中書門下(立法次官)。

ノパ听) 名=ヒート 異名=燃え叫ぶ猫耳給士(自称) 赤髪鬼 民=リーマン 武器=鉄弓・格闘 階級=司書門下(司法次官)・千歩将

(*゚ー゚) 名=しぃ 異名=紅飛燕(三華仙【花】) 民=リーマン 武器=細身の剣と外套 階級=司書門下(司法次官)・千騎将

( ,,゚Д゚) 名=ギコ 異名=九紋竜(三華仙【月】) 民=メンヘル 武器=黒い長刀 階級=千歩将



7: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:20:07.41 ID:6DTiKndi0
ニイト王国
 戦に破れ荒廃したニイトの地を復興させた【無限陣】クーが民の声に応える形で独立。
 卓越した戦術と共に経済・流通を武器にする。専守防衛が基本思想であり、覇権には興味を持たない。
 国旗は青地に白い狼。

川 ゚ -゚) 名=クー(本名ニイト=クール) 異名=無限陣(三華仙【雪】) 白狼王 民=ニイト 武器=斬見殺 階級=ニイト王

爪゚ー゚) 名=レーゼ 異名=神算子 民=ニイト 武器=??? 階級=???(財務担当)

爪゚∀゚) 名=リーゼ 異名=金槍手 民=ニイト 武器=ランス 階級=???(騎士団長)

( ´_ゝ`) 名=兄者 異名=金剛阿 民=海の民 武器=手斧・兄者玉 階級=???(元メンヘル十二神将・第五位)

(´<_` ) 名=弟者 異名=金剛吽 民=海の民 武器=手斧・弟者砲 階級=???(元メンヘル十二神将・第九位)

jハ*゚ー゚ル 名=ハル(本名ハルトシュラー) 異名=祝福の鐘 民=ラウンジ 武器=二本の鉄扇 階級=情報屋



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/14(月) 20:22:59.55 ID:6DTiKndi0
モテナイ王国
 【狂戦士】ダイオードが永年の雌伏の末、リーマンから独立する形で建国。
 その中心はかつてヒロユキに滅ぼされかけたモテナイ族である。
 【戦士の街】ネグローニを首都とするこの国は、小さいながらも強力な軍事国家だ。
 国旗は赤地に黒犬。

/ ゚、。 / 名=ダイオード 異名=狂戦士 串刺し公 黒犬王 民=モテナイ 武器=二本の短槍 階級=モテナイ王

川l.゚ ー゚ノ! 名=ナナ 民=モテナイ ※ イヨゥの妹。

('A`) 名=ドクオ 異名=第三の男 三番目 民=モテナイ 武器=短槍 飛礫 階級=???




白衣白面

( ^ω^) 名=ブーン(真名ニイト=ホライゾン) 異名=王家の猟犬 民=ニイト 武器=勝利の剣 階級=白衣白面隊長

リーマン・評議会派

爪'ー`)y‐ 名=フォックス 異名=狐・人形遣い(七英雄) 民=??? 武器=??? 階級=評議会情報部



10: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:27:29.21 ID:6DTiKndi0
MAP 〜フレッシュネス>モス>ケンタッキー>マックだよな?編〜

http://up3.viploader.net/news/src/vlnews000716.jpg

@キール山脈 未開の地。厳しい自然環境下で、隠密の故郷とも呼ばれる。
 
Aヴィップ(ギムレット高地) 首都は【獅子の都】ヴィップ城
 本隊の遠征中、謎の一団に襲われるが、ニイトの加勢もあり撃破に成功

Bニイト王国 首都はニイト城。 ニイト族の居住地。メンヘル・リーマン両陣営と同盟関係にある。
 謎の一団を討つ為に、ヴィップに加勢する

Cモテナイ王国 首都は【戦士の街】ネグローニ
 失地の民モテナイの再興を謳う。メンヘルとは近く同盟を結ぶ事がほぼ確定している。

Dバーボン地区 首都はバーボン城。 本来は中立領だが、リーマンの影響下にある。
 領主は【元帥】シャキン。現在は【鉄壁】ヒッキーが領主代行を務めている。

Eデメララ地区 首都は【王都】デメララ
 リーマン族支配化にある、アルキュの中心とも言える土地。もっとも気候がよく住みやすいとされる。

Fローハイド草原
 中立帯だが、リーマンの力が強い。

Gシーブリーズ地区 首都はシーブリーズ。
 海の民の根城であり、表面上は中立地帯。だが、メンヘルとの繋がりが強く同盟関係にある。

Hモスコー地区 首都は【神都】モスコー。
 メンヘル族の居住地 その大半が岩と砂に覆われている。 
 旧ギムレットの山賊やデメララを追われた貴族階級、ニイト、モテナイ、シーブリーズと数多くの勢力と密接な関係にある。



13: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:29:38.76 ID:6DTiKndi0


     第29章 “しあわせなひび”が終わる時


/ ゚、。 /『…木苺を出来るだけ甘味少なめで』

川l.゚ ー゚ノ!『ナナはね、コケモモがいいっ☆ あ、2つともクリームいっぱいにしてね☆』

/ ゚、。 /『……甘味少なめで』

“薄包”と言う食べ物をご存知だろうか?
簡単に言えば、小麦粉を水や乳で薄く溶き、それを焼いて出来た皮で様々な食材を包む食事法である。
その多くは出涸らしの茶葉を干した物を生地に混ぜ込み嵩を増やしていて、
クレープのような物、と言えば最も理解は早いだろう。

この“薄包”。
元々は、軍隊食であったとされる。
“包”のように生地を作る際、酒粕を混ぜて醗酵させる手間も要らない。
皮さえ焼いてあれば後は肉や香草を包むだけ、と調理が簡単だし、片手で食事を終える事も出来る。
焼き上げた生地は直径1尺(30cm)程の大きさがあり、見た目に反して腹に溜まるのもありがたい。
ニイトの“包”と並んで。いや、それ以上に兵士達に人気のメニューであった。

が。
このような食事法を、利に目敏い商人が放っておく筈も無い。
【戦士の街】ネグローニでは、小さめに焼いた“薄包”に蜜漬けの果実を包んで売る屋台が流行っており、
その店先で【黒犬王】ダイオードは慣れぬ行為に間誤付いていた。



18: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:33:03.10 ID:6DTiKndi0
商;゚ー゚)『これが……あのネグローニだと言うのか?』

露店を冷やかしながら、市を散策していた商人が、信じられぬと言うふうに感嘆した。
彼は【経済都市】ニイトに塩漬けの魚を卸して生計を立てる商人の一人だ。
通常であれば、ネグローニには立ち寄らず、カリラから山岳地帯を迂回するようにニイト国内に足を踏み入れるようにしている。
が、この時彼はニイト国内には向かわず、ネグローニに商いの場を求めていた。

理由は諸兄らもお分かりであろう。
ヴィップによるニイト侵攻。
耳聡い筈の商人である彼でさえ予想できぬほど、早急なヴィップの動きが、彼の予定を狂わせた。
カリラには、彼と同じよう足止めを喰った商人で溢れかえり、加工してあるとはいえ、商品の質が落ちる可能性は否めない。
よって、彼は【鉄壁】ヒッキーとの戦を終えて間もないネグローニに馬車を向かわせたのだ。

さて。
地図を見ていただければ分かるよう、本来カリラからカンパリを経由してニイトに向かうのは随分な遠回りである。
王都デメララまで水路を遡り、ネグローニを経由してニイト城に入った方が、数日は短縮できる。
にも拘らず、殆どの商人達は【戦士の街】を通過する事を嫌った。
何故か?

“朝と昼では守るべき法が違う”と言われる程、出鱈目な悪政がその原因である。
数年前までネグローニは『戦士と言う名の盗賊を養成する街』と陰口を叩かれるほどに治安が乱れていた。
【串刺し公】ダイオード。
その彼が、途端に善政を引くようになったと言われても、簡単に信じられる物ではない。

商;゚ー゚)『全く……信じられんな』

が。今、彼の目の前に広がる市には物資と人々の笑顔が溢れかえっている。
それどころか、即位して間もない筈の新王が
春風を纏ったような笑顔を浮かべる少女に、手を引かれて市を歩き回っているのを見て
商人はアゴが外れるほど大きく口をひらき、言葉を失ってしまっていた。



19: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:35:14.68 ID:6DTiKndi0
川l.゚ ー゚ノ!『ねぇ、クロ様!! 早く食べないと駄目になっちゃうよ?』

/ ゚、。;/『……むぅ』

ダイオードは、【狂戦士】の異名が全く似合わぬ程に小柄な戦士である。
戦場でこそ黒王と名付けた巨馬に跨り小さな体躯を誤魔化すようにしていたが、
こうして幼い少女と並んでしまうと、それも出来ない。
その仮面の下には女の素顔が隠されている、と噂しだす者すら出てくる始末であった。
『優れた戦士は気に入った娘の処女を奪っても良い』などと言う、とんでもない悪法を施行しようとしていた頃とは雲低の差である。

さて、そのダイオード。
仮面の下が容易く想像できようほどに困り果てている。
原因は、全てその仮面だ。
この男、睡眠時であってもそれを外す事はない。
食事の際も、空いた手で仮面を持ち上げて食物を口に運ぶほどの徹底振りである。

けれども、仮面を持ち上げる筈の右手は、顔の半分を口にして笑う少女にしっかと握られている。
離してくれとも言えず、そうこうするうちに左手の中の“薄包”は蜜を吸って萎びていく。
周囲を見れば、市民がそんな自分達を生暖かい視線で見守っている。

/ ゚、。;/『……むぅ』

もう一度呟いた。
手にした“薄包”はすでに、生地を内部の蜜漬けとクリームが浸食しきってしまっている。

川l#.゚ ー゚ノ!『あーっ!! せっかくナナが買ってあげたのに、クロ様食べないからベチャベチャじゃない!!』

結局それは、ダイオードが一口も口にする事無く、少女に奪われてしまった。



22: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:37:42.00 ID:6DTiKndi0
一口、二口、三口でそれを平らげた少女は続いてダイオードの蜜塗れの手に目をつける。
良い物を発見した、とばかりににんまり笑うと、黒犬の手にまでかじりついた。

/ ゚、。;/。oO(…どうしてこうなった)

考える。
元々、ダイオードには平穏な生活への憧れが少ない。
いや。誰よりもそれを求める心が強く、それが容易く手に入る物ではない事を知るが故、
敢えて目を向けぬようにしているだけなのかもしれない。
が、その違いにどれ程の意味があろう。
彼が選んだのは修羅の道。戦いの道の筈であった。

この世の全ての憎しみを身に受けようとも、全ての戦いを己の手で終わらせる。
そう誓った筈だった。
安寧に身を置く時間はない。彼一代で戦い抜かねばならない。
急激な政策の方向転換。
市場の安定も民心の保護も、全ては力を求めるが故の必然的行動だった。

そう。
全ては、己が理想を実現させる為だけの手段でしかない筈だった。

それがどうした事だろう。
今、彼は生きてきた道の中で、初めてとも言えるほどに深い安らぎの中にいる。
憎しみの視線を突き立てられるべき身に、大いなる信頼を注がれている。

/ ゚、。 /『……』



25: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:39:42.18 ID:6DTiKndi0
川l.゚ ー゚ノ!『……クロ様、また難しい事考えてるの?』

掌をぎゅう、と握られ我に返った。
純粋に彼の身を想う瞳が、自身を見上げている。
そっとその身体を抱き上げ、肩に乗せてやった。

川l.゚ ー゚ノ!『ナナは、戦争は嫌いだよ。戦争の事を考えてる時のクロ様も嫌い』

目を合わさず、それでも力強く頷いてやる。
そうだ。
戦争を好む者などいる筈が無い。
いるとすれば、宮中の奥深くで積み上げた金銀を数えるのに夢中な者だけで。
日々を必死に生きる者達は、一人として戦争が続くのを望んでなどいない。

ならば、自分が終わらせよう。
すでに失ってはならぬ物を捨てた身だ。
たとえ、この少女に忌み嫌われようとも、永遠の平和の為に甘んじて受け入れよう。

/ ゚、。 /『……』

遥か北の地に視線を送る。
彼の地では獅子と狼が牙を交えている筈で。
その影で暗躍する影の正体には気付いただろうか?
結果如何では、ニイトもしくはヴィップへの出兵もありえる。

/ ゚、。 /『……死ぬなよ。お前達を殺すのは俺なんだ』

一人、呟く。
だが、その声は肩の上ではしゃぐ少女の耳には届く事がなかった。



31: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:44:48.77 ID:6DTiKndi0
         ※          ※          ※

(#,,゚Д゚)『ふざけやがってゴルァ』

髪に巻いたボロ布を解き、左耳の傷口を押さえるように縛り上げた。
決して清潔とは言えぬそれは、一時的な止血の効果しかないだろうが、それでも戦うのに支障はない。
目に血が入らぬようにさえ出来れば、この男には十分すぎるほどであった。

从 д从『……いやだ……こわい……いやだ、いやだよう……』

(#´_ゝ`)『ハル!! 無口女!! ツン=デレと【天智星】を守れ!!』

火薬の煙立ち込める王座の間に、給士の悲痛な泣き声と隠密の叫び声がこだまする。

(*゚−゚)『……無口女?』

jハ;*゚ー゚ル『で、でも【天智星】は……』

( ´_ゝ`)『大丈夫だ。あれは見た目は派手だが、そうそう命までは奪えん』

兄者の視線は、玉座に悠然と腰を下ろす男から離れない。
背中合わせにフォックスと向かい合う流石兄弟を中心に、ブーン・ギコ・ジョルジュの3人が並び立つ。
自然、その背後に倒れたショボンと女性陣を庇うようなかっこうになった。

( ´_ゝ`)『あの男の戦い方は、我ら兄弟が誰よりも良く知っている』

その言葉に、阿片の煙を燻らせていた男が、くすくすと笑う。

爪'ー`)y‐『なるほど。そう言えば、貴方は私の“狐火”をそっくり真似ていたのでしたね。
      そうだ。貴方に【劣化フォックス】の異名でもさしあげましょうか?』



36: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:47:26.74 ID:6DTiKndi0
(;^ω^)『狐火?』

( ´_ゝ`)『乱れるなブーンよ。あの男は我ら兄弟の“原型”とも言うべき武器を持っている。それだけだ』

フォックスの挑発にも兄者は動じない。
ただ、憎むべき者に鋭い眼光を浴びせる。

ξ゚听)ξ『一つだけ教えて。貴方がお父様を殺したと言うのは……』

爪'ー`)y‐『はい。その通りですよ』

『それが何か?』とでも言うふうに、あまりにも呆気なく首肯した。
その表情は、湧き上がる喜びを押さえ込もうとしているようで。

爪'ー`)y‐『何故?、とでも聞きたそうですね?
      私は、確かに統一王に従って革命戦争に参加いたしました。
      が、王は革命後ラウンジ・神聖ピンクからの完全独立を宣言しました。ご存知ですよね?』

ξ゚听)ξ『……えぇ』

フォックスの言うよう、統一王ヒロユキは即位後に南北両大国の介入を拒絶するよう宣言している。
それはこの島を完全な貿易中間点として確立し、争いの火種を取り込まぬ為の政策であり……

爪'ー`)y‐『それが邪魔になったので殺しました。
      弱小国は弱小国らしく、粛々と大国に従っていれば良いのです』

その言葉を聞いたツンの眦が吊り上がる。
黄金の髪が、ざわ……と逆立った。

ξ#゚听)ξ『そんな……そんな事の為にっ!!』



39: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:49:44.65 ID:6DTiKndi0
爪'∀`)y‐『そうです!! 何の不思議があるのですか!?
       飼い犬が愚かにも飼い主の手に噛み付いたのです!! 殺されて当たり前でしょう!!』

そこで、ついにフォックスは押さえ込んでいた感情を爆発させた。
彫刻のように整った顔が大きく歪む。

(#゚∀゚)『そうして出来たのがラウンジの傀儡、評議会ってわけかよ』

爪'∀`)y‐『ご理解が早くて助かりますよ【急先鋒】!!
      シャキンらには別の思惑があったようですが、そのような事に何ら意味はありません!!
      最終的にはメンヘルを潰せば……この島は評議会の元でラウンジ傘下になるのですから!!』

口が耳まで裂けたかのような邪悪な笑みを浮かべる陰の王。
それまで男の言に耳を傾けていたクーが義足をガシャンと鳴らし、立ち上がった。

川 ゚ -゚)『それで……統一王の義弟であった父モララーを殺し、今はまた多くの我が同胞を冥府に迷わせたワケか』

爪'ー`)y‐『仰る通りで。特に貴方は良く踊ってくれました。あれ程まで暗い情念はなかなかお目にかかれる物ではありません』

感心したかのような口調で答え、一度言葉を止める。
そして。

爪'∀`)y‐『……ご馳走様でした』

川 ゚ -゚)『……っ!!』

それが、誇り高き狼の王の怒りに火をつけた。
静かに。
だが、石畳がひび割れるほど強く足を踏み出す。
その背後で、白炎が燃え上がった。



44: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:52:32.18 ID:6DTiKndi0
川#゚ -゚)『その侮辱、許せん!! 冥府で父と同胞に詫びて来い!!』

その声を合図に、ギコとジョルジュはフォックスの左右に広がった。
正面には流石兄弟とニイトの姉弟、そして少し下がった位置にヒート、の5人が並ぶ。
七人に包囲されるような形になって、ようやくフォックスは玉座から腰を上げた。

爪'ー`)y‐『特別にもう一つ教えて差し上げましょう。頭数だけは揃えたようですが……
      本来、私にとってあなた方など、路上の小石程度の存在でしかありません』

言って、何も持たぬ右腕をすっと前に伸ばした。
その視線の先、蹲る給士が『ひっ』と小さな悲鳴をあげる。

爪'ー`)y‐『その気になれば私一人で皆殺しにするのも容易い事。それでは、何故わざわざ、あなた方を争わせたか!? 
      行きがけの駄賃、と言う奴ですよ!! 壊れて捨てた人形が、実はまだ使えると知って回収に来た。
      そうしたら、たまたま通り道にあなた方の国があったので、ついでに滅ぼす事にした。それだけの事です!!』

(#゚∀゚)『……正気かクズ野郎』

フォックスの言葉にジョルジュは太い眉を吊り上げた。
手にした大鎌が歪まんばかりに、硬く握りしめる。

爪'ー`)y‐『何か問題でもありますか、【急先鋒】? 我が謀を退け、人形兵達をも破った事までは認めてさしあげます。
      ですが、それもここまで。私自身の手で殺してあげましょう』

既にお互い、鉾を収めるつもりなど毛頭無い。

(#,,゚Д゚)『上等だゴルァァァァァァァァァァァッ!!』

まずは、逆上したギコとジョルジュ。ヴィップの誇る二人の勇将が左右から斬りかかった。
……しかし。



47: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:54:52.19 ID:6DTiKndi0
(;゚∀゚)『なっ!?』

共に技量膂力たぐいまれな二人の戦士。
長き戦乱の中にあるアルキュ島においても、有数の実力派であるはずのギコとジョルジュ。
だが、二人の剣はフォックスの身に届く事はなかった。
微動だにせぬ陰の王の頭上で、振り下ろした長刀と大鎌は不可視の“何か”に受け止められている。

(;,,゚Д゚)『避けろゴルァ!!』

ノハ#゚听)『逝けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!!!!!!!!』

ギコの叫び声とヒートの怒号が重なった。
いや、その時には既にジョルジュも不可思議な“何か”を感じ取り、大きく横に跳んでいる。
それでも、目に見えぬ何かが彼の前髪を切断し、ヒートの放った矢も宙空で乱断されていた。

(;゚∀゚)『っ!! 何だ今の!?』

(#,,゚Д゚)『知るかゴルァ!! さっきと同じだ!!』

答えるギコの頭部に巻かれたボロ布からは、早くも血が滴り始めている。
彼の左耳を奪った謎の“何か”がフォックスの周囲に張り巡らされている事はあまりにも明白だった。

爪'ー`)y‐『どうしました? 私は一歩も動いておりませんよ?』

困惑する者達を前に、楽しげに口角を上げる。

爪'∀`)y‐『では、次は私の番と行きましょうか』

言って、前方にだらりと伸ばした右腕の指を、クンと折り曲げた。
瞬間、【人形遣い】と呼ばれた男の背が大きく膨れ上がり━━━━━



52: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 20:58:10.13 ID:6DTiKndi0
(;゚ω゚)『……なんだお、あれ』

その姿は、あたかも巨大な尾を広げた邪妖のように見えた。
【人形遣い】フォックスの外套の背を突き破って現れた九本の長剣。
それが、彼の身を守るようにして

宙に浮いているのだ。

(;゚∀゚)『妖術……か?』

爪'ー`)y‐『その通り。これぞキール隠密最高の秘術。“九尾”と言います』

言うや、伸ばした右腕を軽く捻る。
ただそれだけの動作で、三本の長剣がギコに襲い掛かった。

(;,,゚Д゚)『ゴルァ!?』

咄嗟に長刀を振るい、払い落とそうと試みる。
が、空中から振り下ろされたそれは、突如動きを止め、間を空けず剣士の両腿に芯まで焼けるような痛みが走る。

(;,,゚Д゚)『飛刀だと、ゴルァ!?』

フォックスの左手から放たれた飛刀が、両の足に突き刺さっていた。
長剣への注意が逸らされた事に気づくまで一瞬。
しかし、その時には三本の長剣はギコの頭部目掛けて斬撃を再開しており……




(#´_ゝ`)『5式っ!!!!!!!!!!』



57: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:01:49.97 ID:6DTiKndi0
爆炎が宙に花開いた。
同時に弟者の放り投げた、酒の入っていた竹筒が空中で両断される。
ほんのりと白濁した液体がフォックスの周囲に降り注いだ。
その隙を突いて、ギコは石畳を転がり危険地帯から離脱する。

(#´_ゝ`)『意識を乱すな!! 妖術などこの世に存在せん!!』

兄者の喝が響きわたった。

ノハ;゚听)『で、でも剣が浮いてるじゃないかぁぁぁぁぁぁっ!?』

(;゚∀゚)『それだけじゃねぇ!! 俺様は確かに剣は避わした筈なのに……』

(´<_`#)『観察しろ!! 剣だけに目を向けるな!!』

ヒートの言うよう、フォックスの周囲には九本の長剣が浮かんでいる。
そして、それは【人形遣い】が指を動かすだけで、複雑に宙を踊るのだ。

だが。
それだけではない。
陰の王の周辺には宙に水滴が輝き、薄っすらと灰色の線が何本も伸びている。
その線の正体が、兄者の投げた投弾兵器の巻き起こした灰塵や埃の類である事に気付くまで
時間はかからなかった。

川;゚ -゚)『まさか……糸か?』

(´<_` )『そうだ。我が鐵鋼糸の“原型”たる斬鉄糸。
       それで九本の剣を操るのが、奴の戦い方だ!!』



60: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:03:58.92 ID:6DTiKndi0
(;^ω^)『……それで【人形遣い】かお』

なるほど、確かにフォックスの構えは、あたかも操り人形で遊ぶ子供のようにも見える。

川 ゚ -゚)『私とホライゾンで叩く!! 流石兄弟と赤毛は援護しろ!!
     遠当てを持たぬ物は怪我人を守れ!!』

クーの指示で前線には流石兄弟とニイトの姉弟が立つ形になった。
倒れたままのショボンとギコを、しぃ・ジョルジュ・ハル・ツンの四人が守る。
少し離れた位置では黒の給士が未だ動けず、その身を庇うようにしてヒートが鉄弓を構えていた。

( ´_ゝ`)『ここは我ら4人に任せてもらおうか』

(´<_` )『すまんが、あの男の首だけは譲る訳にはいかんのだ』

対峙するは、フォックスによって運命を狂わされた四人。
それを見て、ツンも前に出ようとする。

ξ゚听)ξ『それなら、アタシだって……』

川 ゚ -゚)『下がっていろ!! 貴様では足手まといだ!!』

ξ゚听)ξ『……っ』

クーの言うとおり、前線に立つ四人と比較すればツンの実力は大きく落ちる。
形の良い眉を顰めながら、黄金の王はジョルジュの背後に下がった。

(#´_ゝ`)『行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』(´<_`#)

まず最初に。【金剛阿吽】流石兄弟が仕掛ける。



62: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:07:21.68 ID:6DTiKndi0
(´<_` )『二式【縛】!!』

弟者の左手から鐵鋼糸の網が放射された。
それは容易くフォックスの九尾に引き裂かれ、ただの細切れに成り果てるが
その時すでに弟者はフォックスの側面に回りこんでいる。

( ´_ゝ`)『19式っ!!!!!!』

直後、兄者が放った投弾兵器もまた、空中で迎撃された。
が、それは想定通りの行動に過ぎない。
中に仕込まれていた液体が、陰の王に降りかかる。

爪'ー`)y‐『これは……油ですか』

( ´_ゝ`)『墨を練り合わせた特製の油だ!! 俺に不可視の糸は通用せんぞ!!』

粘性の高い油が、くっきりと狐を取り囲む糸の結界を浮かび上がらせた。
なおも弟者とは逆の向きに駆けながら投弾兵器を投げ放つ。
その一瞬。
フォックスの視線が完全に兄者に向いた一瞬を突いて、クーが狐の懐に飛び込んだ。

川#゚ -゚)『冥府に落ちろ、フォックス!!』

滑り込むような体勢から、足を狙った蹴撃。
けれども、それも軽く跳躍して回避された。
そのまま空中に静止し、二本の長剣をクーに振り下ろす。
黒髪の王は身を捻り、倒れこんだ姿勢のままの後ろ蹴りでそれを叩き払った。
すぐさま跳ね起き、一旦距離を空ける。

川;゚ -゚)『張り巡らせた糸の上に立つ事も出来るのか!?』



65: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:09:44.73 ID:6DTiKndi0
(´<_` )『己の常識にとらわれるな!! 固執は隙を生むぞ!!』

川;゚ -゚)『う、うるさい!! 今のは奴の力を測っただけだ!!』

追撃にフォックスが投げた飛刀は、弟者の義手から射出した飛礫が叩き落した。
クーと入れ替わるように斬りかかろうとした兄者は、宙を舞う長剣によって進路を防がれている。

( ´_ゝ`)『それでは、すでに奴の攻略は出来ている、と?』

川#゚ -゚)『当然だ。我が知略に限界はない!! 援護しろ!!』

言って、再び石畳を蹴った。
フォックスの攻撃手段は4つ。九本の長剣。斬鉄糸。飛刀。狐火、がそれである。
しかし、後者2つは放たれる方向さえ分かっていれば、
避わす事はハインや兄者のそれと比較して容易。
結局、どこまで行ってもフォックスの攻撃で警戒すべきは、宙を繰る剣と糸に尽きるのだ。
後方からの牽制を流石兄弟に任せ、自身は接近戦に専念するのが最高の布陣とクーは判断する。

爪'ー`)y‐『なるほど。しかし、その足でそう簡単に近づけるとお思いですか?』

川#゚ -゚)『舐めるな!! 腹に風穴を空けられてから後悔するが良い!!』

頭上を兄者の放った投弾兵器の爆炎に照らされながら、幾度も必殺の蹴りを放つ。
狐は当然のように糸の上を飛び回り、それを回避した。

爪'ー`)y‐『ふふふ。こうしていると、鬼ごっこでもしているようですね。童心に帰った気分です』

川 ゚ -゚)『言っているのも今のうちだ!! 命を賭けた遊戯を楽しんでおくが良い!!』



69: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:12:24.48 ID:6DTiKndi0
一撃一撃の動きが大きいクーの蹴りは、フォックスの身を掠める事すら出来ない。
木の葉のように自身の周りを駆け跳ねられ、剥き出しのままの両腕、両足を糸に斬りつけられる。

爪'ー`)y‐『ほらほら、どうしました? 動きが鈍っていますよ? 鬼さんこちら……と、これは目隠し鬼でしたか』

川#゚ -゚)『……ちっ』

パンパンと掌を叩き合わせて挑発する身に跳びかかり、空中でぎゅるりと身を捻った。
義足の重量を最大限に上乗せした、後方回転蹴り。
風圧だけで身を砕かんと言う一撃は、やはりひょいと避わされた。
それどころか着地の瞬間を糸に襲われ、右の太腿から一瞬血が噴き出す。

川#゚ -゚)『くっ!!』

爪'ー`)y‐『今のは良かったですよ【無限陣】。我が人形に欲しいくらいです』

川#゚ -゚)『……戯言をっ!!』

全く相手にされていないのが、彼女にも分かった。
フォックスの言葉に偽りはない。この男はその気になれば、本当に自分達を皆殺しにできるだけの技量を持っている。
この男にとって、己は掌で踊る玩具のような物なのだろう。

けれど、それで良い。
精々、自分を舐めきっていれば良い。
戦場に散った同胞達の怒りを込めた一撃が、必ずやその身を貫く。

ちら、と背後を見た。
そこではすでに彼女の弟が、剣気を練りあげ終えていて。

( ゚ω゚)『我は……猟犬なり』



74: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:15:27.96 ID:6DTiKndi0
( ゚ω゚)『どけえええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!』

青年が叫ぶよりも早く、クーは横に飛んでいた。
フォックスもまた、ぐい、と腕を振るって四本の長剣を呼び戻す。
それと同時。
銀髪の青年が、青き大剣を叩きつけていた。
その一撃で長剣が弾き飛ばされる。

爪;'ー`)y‐『勝利の剣!? まさか、モララーの子!!』

ここにきて初めて、フォックスは大きく動いた。
瞬歩の加速力と大剣の重量を乗せた一撃など、防げる者は存在し得ない。
が、長剣を払いのけた際に生まれた僅かな時間差を利用して、後退する。
同時に全ての長剣を引き戻し、身を守るように展開させた。

爪;'ー`)y‐『モララーの子に男子は一人の筈……と言う事は、王妹ペニサスとの子・ホライゾンですか』

( ゚ω゚)『多分、その通りだおっ!!』

叫び、再び地を蹴った。
青年が白衣の下に着込んだ胸当てだけでは、フォックスの長剣と鉄を斬る糸は防ぎきれぬ。
しかし、甲冑の類を一切身につけぬフォックスも、勝利の剣の一撃を喰らう事は即死を意味する。
距離を空けたいフォックスと、中に飛び込みたいブーン。
張り巡らせた糸の上を駆け後退する狐の長剣と、猟犬の振るう大剣が、幾度となく火花を散らした。

それだけではない。
退路を防ぐかのように、クーの蹴りが。投弾兵器が。鉄の矢が執拗にフォックスを襲う。

爪;'ー`)y‐『全く。老人の身はいたわる物です』



77: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:17:43.91 ID:6DTiKndi0
川 ゚ -゚)『どうした? 汗をかいているようだぞ!!』

爪;'ー`)y‐『そのような台詞は……せめて私の身に触れてから言うものです』

青年の一撃が長剣を弾き飛ばし、クーがそこに飛び込む。
顎を狙った鋼の膝は、皮一枚というところで避わされた。

( ゚ω゚)『姉様っ!!』

川 ゚ -゚)『ホライゾンっ!!』

銀髪の青年が放つ横薙ぎの一撃と、黒髪の王が放つ回し蹴りが交差する。
咄嗟に全ての長剣を壁のように構えるが、それでも容易くフォックスの身体は吹き飛ばされた。

( ´_ゝ`)『5式っ!!』

爪;'ー`)y‐『狐火っ!!』

そこを狙った兄者の投弾兵器と、フォックスの投弾兵器が空中でぶつかりあう。
隠密と陰の王のちょうど中間で、青と赤の混じった烈花が燃え上がった。

( ゚ω゚)『まだまだぁっ!!』

更に、青年の追撃。
しかし、フォックスは天井の梁に糸を絡ませ、身を引き上げるように跳躍。回避する。
そのまま、糸の上を駆け上がるようにして、上空に距離をとる事に成功した。

爪;'ー`)y‐『まさか、勝利の剣などが出てくるとは……これは、計算をやり直す必要が有りそうですね』



79: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:19:22.12 ID:6DTiKndi0
青年の手が届かぬ、王座の間天井付近。そこに張り渡らせた糸の上で、ようやく狐は息をついた。
彼は元々、統一革命において中枢を担った男だ。
その年齢は、ヴィップの老将フィレンクトと大差なく、若々しく見えるのも薬物による物に過ぎない。
むしろ、化けの皮を剥がしてみれば常に鍛錬を怠らぬ【白鷲】より、遥かに老いているだろう。

( ゚ω゚)『そこを降りて来い!! 叩き斬ってやるお!!』

爪;'ー`)y‐『そのような事を言われて誰が大人しく行く物ですか』

ヒートの放つ矢を払い落としながら、フォックスは内心で小さく息を吐いた。
かつて、騙まし討ちでモララーを殺したのも、彼の知略と武術を怖れたからだ。
何よりも、アルキュ最高剣技と呼ばれる【夢幻剣塵】だけは彼の九尾でも手に負える物ではない。
そして今、荒削り過ぎるとは言え、モララーの力の片鱗と神話の国の聖剣を継ぐ者が現れた。
殺さねばならない。

この男が彼らの前に姿を現したのは、己の最高傑作【心無き暗殺人形】回収の為だけではないのだ。
ニイトとヴィップ両国の敵愾心を煽って共倒れを狙った二虎競食の計。
続いてヴィップの本隊不在を狙った強襲作戦。
フォックスの計算では、決して破れる筈のなかった二つの策。それを破った者の正体を見極めに来た、と言うのが本心である。

(#゚ω゚)『降りて来ないなら……こっちから行くだけだお』

爪'ー`)y‐『どうぞ、ご自由に。来れる物ならば来てみなさい』

言っても、心底彼が来れないと考えている訳ではない。
どのような手段で来るかは読めぬが、必ずや手にした大剣を振るってくるだろう。
その行動の数手先に思いを寄らせるフォックスの眼下で、銀髪の青年は大きく息を吸い込んだ。

( ゚ω゚)『……叩き落してやるお』



84: ◆COOK./Fzzo :2009/09/14(月) 21:24:04.00 ID:6DTiKndi0
( ゚ω゚)『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!』

叫ぶや、駆け出した。
だが、それはフォックスを目掛けた物ではない。
瞬歩の加速力を利用したとしても、ただの跳躍では届かない。
青年の狙いは、壁である。

( ´_ゝ`)『そうか!! あの時と同じ手か!!』

垂直の壁を駆け登る。
その高さが狐を越えた辺りで、青年は思いきり石壁を蹴った。

( ゚ω゚)『落ちろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!』

爪;'ー`)y‐『……そう来ましたか』

落下による推進力を加算した超重量級の一撃。
それは、九本の長剣による防御も払い除け、フォックスを叩き落す。

川#゚ -゚)『良くやった、ホライゾン!!』

そして、その下に待ち構えるのはニイトの白き狼クーだ。
落下する仇の身に、とどめとなる蹴りを叩き込まんと、跳躍する。

と、同時に。
錐揉み状に落下する狐が小さく口角を持ち上げたのを、クーの緑色の瞳は捕らえていた。

川;゚ -゚)『なっ!?』



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