( ^ω^)ブーンは魔法使いに会いにいくようです
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:07:17.87 ID:SNCLgzdh0
- 第二話 「殺人」
どうやらブーンは奴隷として売り飛ばされたようだ。
あの後ブーンにどれほどの値段がついたのかはわからないが、結局
( ・∀・)「私は――ほど出すぞ」
ざわざわ……
ざわざわ……
( `ハ´)「これ以上はいないアルネ! よし! モララー殿落札アルヨ!」
( ・∀・)「よし、ではついて来て貰うぞ少年」
(;^ω^)「……」
こうしてブーンはモララーの所有物となった。
とりあえずブーンは、「ショボン死ね」と思った。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:11:01.92 ID:SNCLgzdh0
モララーは貴族の中でも一際身分の高い家柄のようだった。
最初に屋敷に連れてこられたとき、ブーンは思わず声をあげてしまった。
(;゚ω゚)「おお……」
( ・∀・)「立派な屋敷だろ? 今日からお前にはバリバリここで働いてもらうからな。覚悟しておけよ」
どでかい門を潜り、どでかい庭を抜け、これまたどでかい屋敷がどんと建っている。
ブーンの想像を遥かに凌駕した豪華さだ。
モララーは、屋敷の玄関へと入る。
そこは目の前に正面階段がひろがり、天井にはシャンデリアが煌びやかな灯りを出し、
両脇には畏まってお辞儀をする使用人達。
「お帰りなさいませ。ご主人様。お召し物を」
( ・∀・)「ああ、頼む」
モララーは、外套を一人の使用人に押し付ける。
そしてまた別の使用人を連れ、自室へと向かおうとする。
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:19:33.15 ID:SNCLgzdh0
( ・∀・)「ああ、そうだ。お前」
('、`*川「なんでございましょうか」
( ・∀・)「こいつは今度新しく入った使用人だ。新人教育を頼む」
(;^ω^)「お?」
('、`*川「かしこまりました。では、そこのあなた。こっちに来なさい」
(;^ω^)「お? お?」
ブーンは流されるがまま、付いていくしか無かった。
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:21:02.32 ID:SNCLgzdh0
そのままブーンは、小さな小部屋へと通された。
('、`*川「さてと、まずは自己紹介からね。あたしはペニサス。あなたは?」
(;^ω^)「ぼ、僕はブーンですお」
('、`*川「へぇブーンねぇ……」
そしてペニサスは、きっと眼つきを鋭くし、
('、`*川「まず最初に言っておくけど、私達使用人はみんな多かれ少なかれ事情を抱えてて、
そのせいでこんな仕事しているわけ。わかる?」
(;^ω^)「わかりますお」
('、`*川「だからあんたはあまり他の使用人達の過去は詮索しないこと。
あたしもあんたの事情を詮索しない。わかった?」
(;^ω^)「わかりましたお」
('、`*川「そう、なら良かったわ。
これさえ守れば、他の使用人の人たちは親切な人ばかりだし、
モララーさんも、あまり使用人には厳しくない人だから。きっと良い仕事場になると思うわ」
(;^ω^)(はたして僕は給料貰えるのだろうかお……)
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:25:37.43 ID:SNCLgzdh0
それからは、とにかくペニサスに仕事について大量に叩き込まれた。
接待の仕方。掃除の仕方。その他諸々の雑務……
その量といったら、脳味噌をもう一個増やしたくなるほどだった。
しかしブーンは持ち前の勤勉さをもって、仕事に望んだため、覚えるのは割と早かった。
⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃「忙しいお!」
モララーの屋敷は広い。
もうわけがわからんほど広い。
そこで働くというのはなかなか大変なものだが、充実感もあった。
ペニサスの言うとおり、他の使用人達は良い人ばかりだった。
モララーも、わりとブーンには優しく接してくれた。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:29:14.61 ID:SNCLgzdh0
( ・∀・)「なかなか、頑張ってるな」
(;^ω^)「はいですお」
( ・∀・)「まぁ給料はやらんがな」
(;^ω^)「……」
もっとも住み込みで働いているため、
衣食住は確保されているし、給料を貰う必要ははっきり言って無かった。
しかし
(;^ω^)「僕はこんなところで働いている場合じゃないんだお……」
このままここで働き続けることは勿論可能だ。
でもブーンは一分一秒でも早く魔法使いに会いたかった。
こんなところで時間を浪費している場合では無かった。
それに出来ればショボンを探し出して、一発ぶん殴ってやりたかった。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:34:42.29 ID:SNCLgzdh0
('、`*川「といってもあんたは雇われた人間じゃなくて、あくまで奴隷だからね……
はっきり言ってここを出て行くのは難しいわね」
(;^ω^)「そうですかお」
思い切ってペニサスに相談してみた。
人に過去を聞くのは駄目でも、自分から話すのはかまわないのではないのか。
そう思ったからだ。
しかし、ペニサスの返答はかなりはっきりとしたものだった。
('、`*川「それによくわからん怪しい人にほいほい付いて行くのはかなり不味かったと思うし」
ペニサスには、これまでのことを一応話した。
仕事仲間の中では一番気軽に話せる相手であったし、
ブーンは誰かに話を聞いて貰いたかったのだ。
(;^ω^)「なんとかならないかお」
('、`*川「脱走とか。私は手伝わないけど」
そこでペニサスは何かに気づいたかのように、ふと考え込むような表情をみせた。
そして
('、`*川「革命軍が動けば、そのどさくさでなんとかなるかもね」
- 65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:36:15.08 ID:SNCLgzdh0
(;^ω^)「革命軍?」
('、`*川「都に来たばかりのあなたには、よくわからないでしょうね……
はっきり言って、今の都は労働者にとっては地獄のような場所よ」
(;^ω^)「そうなんですかお?」
('、`*川「はっきり言って、ここの労働環境はかなり恵まれているわ。
いや、ここだけが例外って感じよ。
他の屋敷で働いてたことあるんだけど、他の場所はかなり劣悪よ」
ペニサスから聞いた話はかなり衝撃的なものだった。
なんでも大多数の貴族は、民を家畜か何かとしか思っていないらしく、
とにかく朝から晩まで働かせ続け、過労死させるらしい。
('、`*川「今都では、貴族達に対する不満が膨れ上がっているわ
そう、いつ爆発してもおかしくないくらいにね」
(;^ω^)「……」
('、`*川「といってもまだ貴族達は絶対的な権力をもっているわ。
今革命が起こったとしても五秒で鎮圧されるわ」
(;^ω^)「五秒っすかお……」
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:42:07.85 ID:SNCLgzdh0
('、`*川「五秒は大袈裟だったわね……でも本当にそんなものよ。
まだ革命軍に力はまったく無いわ。
それに既に革命軍幹部の摘発も何人かあったし、このまま消えちゃうかもしれないような状態よ」
そしてペニサスは諭すようにいった。
('、`*川「悪いことは言わないわ。
クーさんのことも、ショボンとかいう野郎のことも忘れなさい。
ここならきっと良い生活が送れるわ」
ペニサスの言うことは正しい。
でも
(;^ω^)「忘れることなんて出来ないお。
クーのことは絶対に忘れられないお」
目を瞑れば、今でもはっきりと思い出すことができる。
クーの交わした最後の言葉。
そしてあの黄金の輝き。
クーの抜け殻……
ブーンはどうにかして屋敷を抜け出すことが出来ないかを考え続けた。
そして脱出の機会は突然とやって来たのだった。
もっとも脱出と呼べるようなものでは無かったが……
- 70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 21:52:54.67 ID:SNCLgzdh0
- ある日、その客は突然とやって来た。
( ФωФ)「モララー殿と話がしたい。すぐに通せ」
(;^ω^)「ちょっと待っててくださいお。すぐに呼びますので」
( ФωФ)「早くしろ愚民が」
どうやらこの客は、典型的な貴族だったようだ。
とにかく態度がやたらと偉そうで、ブーン達使用人を家畜か何かと本気で思っているようだった。
⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃「ご主人、お客様ですお」
( ・∀・)「ん? 一体誰だ?」
( ФωФ)「私だ。モララー」
(;^ω^)(いつの間に!)
( ФωФ)「お前のところの使用人が屑であまりにも鈍いものだから、勝手に上がらせてもらったぞ」
( ・∀・)「まぁいい、ロマネスク。何の用だ?」
( ФωФ)「革命軍の動きについてだ」
一瞬その場の空気が凍った。
モララーの表情がこおばる。
どうやら相当深刻な話なのは間違いなかった。
- 72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 22:01:22.45 ID:SNCLgzdh0
( ・∀・)「ブーン。ロマネスクを応客室へ通せ」
間違いなくモララーの口調は、真剣そのものだった。
(;^ω^)「ではロマネスク様、こちらへどうぞ」
( ФωФ)「ふん、早く通せ屑がッ」
(♯^ω^)(確かに貴族っていう野郎はとんだ奴等みたいだお)
ブーンはロマネスクを応客室へと通す。
ロマネスクを席に座らせる。
すぐにペニサスがお茶を出す。
( ФωФ)「ふん。畜生が出したものとても飲めんわ。モララーに早くしろと言って来い」
(♯^ω^)
('、`♯川
自分達は畜生ではなく、普通の人間だ。
その上、あくまでモララーに雇われている存在であり、ロマネスクの使用人などでは無い。
ブーンの拳が怒りに震えた。
- 86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 22:37:35.76 ID:SNCLgzdh0
- そのとき、がちゃりとドアが開いた。
( ・∀・)「遅くなってすまない」
モララーだ。
( ФωФ)「じゃあ話を始めようか……っとその前に……」
( ・∀・)「ああ、わかってる。ブーン。ペニサス。下がってくれ。
内密な話をするんでな」
ブーンとペニサスは、モララーにまくし立てられ、部屋の外に追い出されてしまった。
部屋から出されると、すぐにドアは閉められた。
そしてドアの向こうの足音が遠ざかったのを確認すると、ブーンは抑えがちな大声で言った。
(♯^ω^)「なんだお! あのロマネスクとかいう野郎は!」
('、`♯川「抑えて、ブーン。貴族なんてみんなあんなもんよ」
そしてペニサスは頭を振り、頬を叩く。
('、`*川「気持ちを切り換えが肝心よ。貴族なんてあんなもんだと割り切れば、怒りも収まるわ」
('、`*川「じゃぁ私は他の仕事があるから。ブーンはとりあえずこの辺で待機してなさい。
多分見送りもあると思うから」
そう言い捨てて、ペニサスはふらりと行ってしまった。
ブーンは一人残された。
- 90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 22:43:09.82 ID:SNCLgzdh0
( ^ω^)「……」
(^ω^ )「……」
何の話をしているんだろう?
そんな疑問と好奇心が、ブーンの頭をかすめた。
(^ω^ )「ちょっと聞いてみるお……」
ブーンは抜き足差し足でドアへと接近する。
ドアの近くまできたが、やはり中で話す声は聞こえるが、
会話の内容までを聞き取ることが出来ない。
ブーンはそっとドアに耳をあてた。
ばっちりだ。
ちゃんと会話の内容まで聞こえる。
- 96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:07:19.17 ID:SNCLgzdh0
「……だから魔法使いの力をもってしれば、革命軍どころか連合軍の奴等まで吹き飛ばすことが出来る」
魔法使い!?
いきなり会話の中に、ブーンのもっとも気になる単語が出てきた。
ブーンはもっと詳しく知るために、より一層耳をそばだてる。
「なんでそうすぐに魔法使いに頼る? もっと現実を見るんだ」
「君はとてつもない程に現実主義なんだな。しかし魔法使いは実在した。これは事実だ。
そして魔法使いの残した術も、どこかに残っているはずだ。それを……」
「私はそんな見つかるかもわからないものにかけるつもりは無い」
「そうはいうが、これは女王の方針なのだよ」
「女王が……なんと愚かなことを……」
「女王を愚弄する気か? モララー?」
- 97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:08:56.56 ID:SNCLgzdh0
「ああ、まさか女王もここまで愚かな人物だとは思わなかったよ……
いや、貴族達はみな愚かな連中ばかりだ!
そもそも何故革命軍のようなものが起こった? 我々貴族が愚かだったからだよ。
私達は滅ぶべくして滅ぶのだよ」
「貴様ぁぁぁ!」
「な! 何をする! ぐぁあ!」
ドタンバタンと激しい音が響き始めた。
ガシャンと何かが砕ける音がした。
(^ω^;)(あれ? なんか不味そうな展開だお)
魔法使いについて何か知ることが出来れば良いと思った。
しかし事態は予想外の展開に傾いてしまったようだ。
ブーンはそっとドアを少しだけ開いて、部屋の中を確認する。
- 101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:18:57.59 ID:SNCLgzdh0
そこには血走った形相で、モララーの首を絞めるロマネスクの姿があった。
モララーは床に押さえつけられて、身動きがとれない。
必死に腕を動かし、もがくだけだ。
辺りには割れた食器や、燭台が散乱している。
(♯ФωФ)「死ね! モララー!」
( ・∀・)「ぐああぁぁぁぁ……」
ブーンがドアを開いたのと、
モララーが手を必死に動かし、燭台を手にしたのが同時だった。
そして
ブーンが叫ぶよりも一歩早く。
モララーがその燭台を、ロマネスクに振り下ろした。
(^ω^;)「あ!!!!!」
(♯ФωФ)「ぐがぁぼぉぉ……ぶふぇ……」
その燭台は実用的とは言い難く、はっきりいって観賞用だったために無意味に各所が鋭く尖がっていた。
そしてそのデザインが、凶器と化してしまった。
血が溢れた。
- 105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:27:49.21 ID:SNCLgzdh0
- どんどん広がる。
(;・∀・)「はぁ……はぁ……ブーン……」
モララーが、血に濡れた燭台を手に握り締めたまま立ち上がった。
その姿は、あまりにも怖ろしかった。
(^ω^;)「ひ……人殺しだあああああああああああああああ!!!111111」
(;・∀・)「ちょwwwwwwまwwwwww」
ブーンは思わず、お決まりの台詞を大音声で叫んでしまった。
その声は屋敷中に響き、ばたばたと人が集まってくる。
「ど、どうした! ってこ、これは!」
集まってきた人達が、部屋の惨状を見て口々に叫ぶ。
そして
「ど、どうしたのですか!? これは!?」
(^ω^;)「……」
(;・∀・)「…………ブーン……」
(^ω^;)「え?」
- 110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:32:49.39 ID:SNCLgzdh0
(;・∀・)「ブーンがやったんだ……」
モララーがポツリと言った。
「な、なんだと!」
「ブーン! なんてことを!」
人々がブーンに一斉に飛び掛ってくる。
(;^ω^)「いやいや、状況的に! ねぇ! 明らかにおかしいでしょ! ちょ! 待ったああああ!」
ブーンの必死の弁明も、誰も聞くものはいない。
あれよあれよというまにブーンは取り押さえられてしまった。
モララーがブーンに近づく。
そして耳元に口を近づけると、そっと言った。
(;・∀・)「すまんな。騒ぎになる前に秘密裏に片付けようとしたんだがな……」
(;^ω^)「えええええええええ!!!!!!」
- 111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:36:55.63 ID:SNCLgzdh0
そのままブーンは、やがて連絡を受け駆けつけてきた兵士達に連行されてしまった。
一応ブーンの裁判は開かれた。
しかしそれは公平と言えるものでは無かった。
現場の証拠品。証言。全てが都合よく捻じ曲げられてしまっていた。
とうぜんのごとく、ブーンは五秒で有罪を喰らってしまったのだった。
- 117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:49:11.03 ID:SNCLgzdh0
「さっさと歩け!」
(;^ω^)「……」
ブーンは有罪判決を言い渡された後、すぐに移動となった。
そしてこの収容所のような場所に連れてこられたのだ。
一行は一つの牢屋の前に止まった。
「さぁ、さっさと入れ!」
(;^ω^)「痛いお」
ブーンは兵士によって乱暴に牢屋の中にぶち込まれた。
「残り少ない人生。せいぜい仲間達と楽しんでおけよ」
兵士はそう言い捨て、去っていった。
ブーンは痛む体を、無理矢理起こした。
(;^ω^)「いあたたたたた……っつーか仲間って何の話だお?」
「おいおい、私達のこと気づいてないのかい」
(^ω^;)「え?」
- 118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/27(日) 23:52:56.78 ID:SNCLgzdh0
- 後ろを振り返る。
そこには四人の人間がいた。
ノパ听)
なんだかやたらと暑苦しそうな女。
(=゚ω゚)ノ
小生意気そうな、ブーンと同い年くらいの青年。
<ヽ`∀´>
意地悪そうな異民族の男。
/ ,' 3
ずっと横になって寝ている老人。
ノパ听)「よろしくな! 新入りさん! 私はヒートだ」
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅだょぅ。よろしくだょぅ」
<ヽ`∀´>「ふん! ウリはニダーだニダ。どうせあんたすぐに死ぬニダ」
/ ,' 3「...zzzZZZ」
(^ω^;)「え? え?」
なんだか突然の展開に、ブーンは頭がついていかない。
とりあえず自分も自己紹介をしてみることにする。
(^ω^;)「僕はブーンですお」
- 121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:01:54.52 ID:fMXwV9Sk0
そのときだ。
先程の兵士が舞い戻ってきた。
「お前ら! 出番だ! 新入りもだぞ!」
(;^ω^)「お?」
ノパ听)「来たか……」
(=゚ω゚)ノ「絶対勝ってやるょぅ」
<ヽ`∀´>「ふん、楽勝ニダ」
/ ,' 3「...zzzZZZ」
牢屋の扉が開けられ、ブーン達はそのまま、またどこかへと連れて行かれる。
薄暗い通路を抜け、一つの小汚い控え室のような場所へと連れてこられた。
ノパ听)「あ、そうだブーンはどの武器が使いたい?」
(;^ω^)「武器? 何の話だお?」
さっぱりブーンにはわけがわからない。
- 124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:05:27.16 ID:fMXwV9Sk0
それなのにやたらと兵士がブーンを急かす。
「おい! お前が今日一番目のショーだ! 早くしろ!」
ノパ听)「ああ、仕方ない。ブーン君はこれ使いな!
重めの斧だから多分力で押し切れるよ!」
ヒートが強引にブーンに斧を押し付ける。
はて? これで蒔きでも割らされるのだろうか?
「さっさと行け! 新人! せいぜい観衆共を沸かせるような殺され方するんだな!」
(;^ω^)「え!コロ!?」
ブーンの話など知ったこっちゃないといった感じで、兵士はブーンを無理矢理押し出す。
そしてブーンは控え室から、通路を通りぬけた。
そこは
広大な闘技場だった。
- 128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:14:59.23 ID:fMXwV9Sk0
(;^ω^)「ええええええ! まさか!!!!!」
ブーンは慌てて後ろを振り返る。
ブーンは戦闘経験など皆無だ。闘えるわけがない。
しかし先程通り抜けた通路は、無情にも鉄格子が降ろされていた。
逃亡は認めないということだ。
ν(・ω・ν)「くくく……新入りさん。悪いが死んでもらうよ」
突然の声。
いつのまにか鎖鎌を両手に持った男が、すぐそこに立っていた。
(^ω^;)「お? お?」
そのとき、闘技場を揺るがす大音声が響いた。
ブーンは驚いて観客席の一角を見る。
そこには、通常の観客席とは別に、特別な席が用意されていて、
そこに一人の大男がたっていた。
- 130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:19:23.58 ID:fMXwV9Sk0
男が叫ぶ
「さぁ!闘うがいい! 奴隷共!」
観衆から歓声があがる。
ν(・ω・ν)「いいか、新入りさんよぉ。あの男が”始め”っていったら闘いの始まりだぜ
良かったな。俺が親切で」
ν(・ω・ν)「そして覚えておきな。お前の人生の幕を下ろす人物
それは――」
「始めえええええええ!!!!」
ν(・ω・ν)「――この鎖鎌使い、ほわっちょ様さ!」
- 138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:24:29.18 ID:fMXwV9Sk0
ほわっちょが鎖鎌を振るう。
鎖を鳴らし、
空を切り裂き、
鎖鎌がブーンを襲う!
⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃「ちょwwwwwww聞いてねぇおwwwwwwww」
ブーンは逃げた。
ν(・ω・ν)「こなくそ! 待ちやがれ!」
闘技場はある程度の広さがあるため、逃げ回り続けるのも十分可能だ。
斧が少し重いが、走る分にはまったく邪魔にならない。
それに重い武器をぶら下げているのはお互い様だった。
ν(・ω・ν)「待ちやがれえええええぇぇぇぇ!」
⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃「ブーーーーーーン」
ブーンは逃げる。
とにかく持ち前の俊足をもってして逃げ回り続ける。
- 142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:32:58.99 ID:fMXwV9Sk0
当然これには観客達も大ブーイングだ。
皆が口々にブーンを罵る。
「何やってんだーーーーー!」
「闘え阿呆!」
「死ね!」
⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃「そんなこと言ったって無理だお!」
ブーンは罵声をものともせず、必死に走り続けた。
それをほわっちょが必死に追う。
ν(・ω・;ν)「く、くそ……待ち……やがれ……」
そしてとうとうほわっちょはその場にへたれこんでしまった。
ブーンは目敏く、このチャンスを逃さなかった。
⊂ニニ(^ω^ )ニニニ⊃「すかさずUターーーン!」
ν(・ω・;ν)「はへ?」
疲れきったほわっちょに、ブーンはすかさず接近。
- 144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:35:53.08 ID:fMXwV9Sk0
そして斧を振り上げ!
ν(・ω・;ν)「あ、ありかy……」
ほわっちょの頭に振り下ろした。
血が飛び散り、ほわっちょの頭蓋が砕けた。
(;^ω^)「か……勝った……お?」
観客が一斉に沸いた。
誰もが策士ブーンを褒め称えた。
「なるほど! 全部作戦だったんだな!」
「こいつはすげぇー新人の登場だぜ!」
「次からは俺、こいつに賭けるぜ!」
(;^ω^)「なんかよくわからんが、とりあえず……やったんだお!」
ブーンは安心して腰が抜けてしまった。
- 149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:53:16.99 ID:fMXwV9Sk0
ノパ听)「んで、動けないから私にここまで運んでもらうとは……
かぁー! 情けないねぇあんた」
(;^ω^)「も、申し訳ないお」
(=゚ω゚)ノ「誰だって始めはビビルょぅ」
<ヽ`∀´>「ふん、まぐれニダ」
まだ少ししか会話していないとは言え、
仲間達が口々にブーンを歓迎してくれた。
(=゚ω゚)ノ「ブーン、疲れているんじゃないかょぅ? 牢屋に戻って休んでいると良いょぅ」
(;^ω^)「そ、そうするお……」
ブーンはとりあえず牢屋に先に帰ることにした。
ブーンはつい数十分前に通った道を、さかのぼり、牢屋へと辿り着いた。
誰もいない牢屋は、ひんやりとしていて、
激戦を終えたばかりのブーンにはとても心地良かった。
- 150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:54:48.14 ID:fMXwV9Sk0
(;^ω^)「と……とりあえず今日は生き残れたお……」
しかし状況は最悪だった。
屋敷にいたころは、自由がないとはいえ生命の危機は微塵も無かった。
しかし今は違う。
どうやら毎日毎日命がけの戦いを強いられるのは間違い無いようだ。
(;^ω^)「でも……勝てばいいんだおね」
そう、勝って、生き残り続ければいつかここを出られるかも知れない。
ブーンは少ない望みにかけることにした。
( ^ω^)「僕は死ねないお……魔法使いに会って……
クーを生き返らせるまでは!
絶対に生き残ってみせるお!」
ブーンは固く生き残ることを決意したのだった。
- 153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 00:55:47.27 ID:fMXwV9Sk0
そしてやがてニダーが帰ってきた。
<ヽ`∀´>「ふん、雑魚ばかりニダ」
どうやら楽勝だったらしい。
その後ぃょぅも帰ってきた。
(=゚ω゚)ノ「ふぅ……」
わりと楽勝だったらしい。
しかも二人とも傷があるようには見えない。
( ^ω^)(結構ここって弱い人多いのかな……)
そして明り取りの窓から入る日差しが、すっかり赤くなってきた頃。
/ ,' 3「...zzzZZZ」
老人も帰ってきた。
兵士に抱えられてだ。
寝てばかりいるが、一体どうやって戦ったのだろうか。
そして明り取りが入る明かりが無くなった。
夜が訪れた。
- 159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 01:01:42.18 ID:fMXwV9Sk0
でもヒートはなかなか帰ってこない。
( ^ω^)「ヒートさんなかなか帰ってこないお」
ブーンがポツリと呟いた。
するとどうやらみんなは、言われてから初めて気がついたようだった。
(=゚ω゚)ノ「そういえば帰ってこないょぅ」
<ヽ`∀´>「そうニダね」
( ^ω^)「気にならないのかお?」
(=゚ω゚)ノ「だって……こんな時間まで帰ってこないんじゃ……もう帰ってくることはないんじゃないかょぅ」
- 160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/28(月) 01:02:22.78 ID:fMXwV9Sk0
( ^ω^)「え?」
<ヽ`∀´>「多分負けたんだニダ」
(;^ω^)「え?」
負けた? 帰ってくることは無い?
(=゚ω゚)ノ「ブーン。ここではそういうこと気にしてたらいけないょぅ」
(;^ω^)「……」
第二話 「殺人」 終わり
戻る/第三話