( ^ω^)はミュージカルをするようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:00:53.01 ID:MqBbVWvyO

三曲目・ショボン



(´・ω・`)(……深刻な事態になったもんだ)

ショボンは部下達と共に深夜の港にいた。
取引き相手である中国人マフィアを待っていたのだ。
今夜の取り扱う商品はヘロインだった。

(´・ω・`)(今ならごまかせるか?
       ……いや、しかしどうやって……?)

ヘロインは日本でそれほどポピュラーなドラックではない。
なので、ショボン達は商売としては初めて扱う品物だった。
そのせいで些か緊張もしていた。

(´・ω・`)(冷静になるんだ……落ち着け……)



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:02:15.74 ID:MqBbVWvyO

ショボンの上役――つまり組長――は荒巻という男だ。
彼は脱法ドラックに飽きた不良共が新たに供給されるヘロインを見たら、
舌舐めずりをしながら飛び付くに違いないと確信していた。

(´・ω・`)(問題は量だな。子犬ぐらいあるぞ?)

流行というのは便乗するのではなく、派生させた者が一番儲かる。
常日頃からそう考えていた荒巻は、自分の思い付きに垂涎した。

彼の期待に答えるためにも、
ショボンは今夜の取引きを絶対に成功させなくてはならなかった。

(´・ω・`)(時間が起てばおのずと臭うだろう。手を打つなら早い)



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:05:43.14 ID:MqBbVWvyO

だがショボンは重大なミスを犯してしまった。
取り返しのつかないほどの大失態だ。

(´・ω・`)(……しかし……どうすれば……?)

ショボンは大量の糞をもらしていたのだ。

おもらしなんて可愛い言い訳が全く通用しないぐらい、
ダイナミックに脱糞してしまっていた。


―――――


ショボンは荒巻の恐ろしさを誰よりも知っている。
伊達に長年彼の下で働いていない。

二日程前にもその逆鱗に触れた者がいた。
ある芸能プロダクションの社長だ。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:08:48.94 ID:MqBbVWvyO

荒巻はその社長にみかじめ料だの守り料だのを払えと因縁をつけ、
無茶な屁理屈で金を絞り取ろうとしたのだが、
彼は取り合わずに一笑に付した。

しかしそれが不味かった。
その結果、社長は拉致されて酷い目にあったのだ。

体中にバターを塗られて野犬と戦わせられたり、
全裸で車の上に縛られつけられて町内一周されたり、
趣味でこっそりと書いていた官能小説を田舎の母親に朗読させられたり、
と様々な目にだ。

一昼夜に渡り筆舌に為がたい責苦を受けた社長は、
根をあげて莫大な現金を荒巻に払うことを決めた。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:09:42.50 ID:MqBbVWvyO

昨日、自分が社長の所へ金を受取り行った時、
彼は死人の様な顔つきになっていたものだ。

荒巻組長。
実に恐ろしい男だ。

もし、今夜の取引きがこの糞のせいでご破算になったら、
今度は自分が制裁される番だ。
それだけは、なんとしてでも避けなくてはならなかった。


―――――


(´・ω・`)(三十を越えて漏らしてしまうとは、俺もまだまだキッズだな)

(´・ω・`)(……さて、それよりこの場をどう乗り切るか、だ……)

ショボンは必死に頭を回転させ、打開策を考えた。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:12:18.56 ID:MqBbVWvyO

(´・ω・`)(……まずは状況の把握だ)

幸か不幸か、もらした大便はブリーフパンツのお陰で
足元へと落下することはなかった。

自らが産み出した汚物はラクダのコブのように
パンツをこんもりと盛り上げている。

いまこの場には自分を含め、三人いる。
さすがに後ろの部下二人はこの糞に気付いているだろう。

(´・ω・`)(なんせ不自然にズボンが膨らんでいるからな)

必死に考える。
どうやってこの逆境を切り抜けるべきか。

(´・ω・`)(ドジっ娘風に切り出すか?)



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:14:44.74 ID:MqBbVWvyO

―――――

(*´・ω・`*)『てへっ!うんち漏らしちゃったぁ!』

(部A`ゝ´)『やだなぁ!ショボンさんったら!』

(部B`ゝ´)『コラコラ!ここは大事な取引き現場ですよ!』

(´・ω・`)(部A`ゝ´)(部B`ゝ´)『あはははは!』

―――――

(´・ω・`)(これは無いな)

(´・ω・`)(泣き落としってのは?)


―――――

(´;ω;`)『すまん、脱糞してしまった。我慢出来なかったんだ』

(部A`ゝ´)『……気にせんといてください』

(部B`ゝ´)『そうっすよ!それより椅子取りゲームでもしましょうよ!』



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:16:08.27 ID:MqBbVWvyO

(´・ω・`)『ばっかやろ〜!今やったら俺が不利じゃねぇか〜っ!』

(´・ω・`)(部A`ゝ´)(部B`ゝ´)『あはははは!』

―――――

(´・ω・`)(展開に無理があるな)

(´・ω・`)(じゃあ、意表をついて逆ギレはどうだ?)

―――――

(#´・ω・)『テメーらのせいでクソ漏らしたじゃねぇかぁぁぁっ!!』

(部A`ゝ´)『えっ!?』

(部B`ゝ´)『ひっ!ひい!』

(#´・ω・`)『ぶち殺すぞボケ共がぁぁぁぁっ!!』

―――――

(´・ω・`)(……ん?待てよ……)



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:17:42.27 ID:MqBbVWvyO

ショボンは辺りを見渡した。
自分達が早めに着いたので、取引き相手の上海マフィア達はまだ来ていない。

(´・ω・`)(……今なら皆殺しに出来るかもな)

銃を取り出し、二人を撃つ。
それから、急いでこの場を離れ、
死体を見付けて驚くであろう上海マフィアも死角から撃ち殺す。

そしてドラックと金を回収し、
荒巻には、中国人達がいきなり襲ってきたので返り討ちにした、
と説明すればいい。

(´・ω・`)(……)

ショボンは上着の内側に手を入れながら後ろを振り向いた。

( `ハ´)「お待たせアルよ〜!」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:19:47.77 ID:MqBbVWvyO

そこには取引き相手の上海マフィアが三人いた。

(部A`ゝ´)「うおっ!いつの間に!?全然気付かなかった!!」

(部B`ゝ´)「だから急に振り返ったんすか。鋭いっすね、ショボンさん!」

(;´・ω・`)(もう来やがったのか!?)

上海マフィアは焦るショボンを見て目付きが鋭くなった。

( `ハ´)「……その手は何アルか?銃でも取り出す気アルか?」

(部A`ゝ´)「テメーらが黙って近付くからだろうが!」

(部B`ゝ´)「撃たれなくて運が良かったな!」

(´・ω・`)(クソ!相手が多すぎる!これじゃ殺し切れん!)



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:22:21.01 ID:MqBbVWvyO

( `ハ´)「わざわざ来た私たちに、これは無礼ではないアルか?」

(部A`ゝ´)「うっせーぞ馬鹿!どっちが無礼なんだよ!」

[壱・八・]「我的老師、侮辱駄目!謝罪要求!!」

(部B`ゝ´)「何言ってるか分からんねーぞ!!この餃子野郎!」

[弍・八・]「腐日本人!寿司的愚者!漫画馬鹿!!」

(;´・ω・`)(どうする?どうすればいい!?)

(# `ハ´)「いい加減その手を下ろすアルヨ!!
       それともこの場で戦争開始アルか!?」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:23:48.20 ID:MqBbVWvyO

(´・ω・`)「……落ち着けよ。
       別にあんたらを撃つつもりなんかなかったんだ」

( `ハ´)「……ゆっくり手を下ろすアルよ」

ショボンは何も持っていないことを相手に見えるように、
掌を広げて上着から手を抜いた。

( `ハ´)「そう、それで良いアル」

(´・ω・`)(………)

( `ハ´)「……次は」

(;´・ω・`)(っ!?)

( `ハ´)「その尻の辺りに隠したものを出してもらうアルヨ」

(´・ω・`)「……なんのことだ?」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:24:36.47 ID:MqBbVWvyO

( `ハ´)「クックックッ……さっきお前が後ろに向いてた時、
       ズボンが膨らんでたのが見えたアルヨ?」

(;´・ω・)(……こっ、この野郎………)

(´・ω・`)「膨らみ?何を言っているんだ?」

(# `ハ´)「水掛け論は嫌いアルヨ!早く出すヨロシ!」

もう誤魔化しはきかない。
だが素直に糞を取り出したら、人として終りを告げられる。

(´・ω・`)(……仕方ないな)

(# `ハ´)「早くするアルヨ!!殺されたいアルカ!?」

(´・ω・`)「お断りだ」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:25:36.35 ID:MqBbVWvyO

(# `ハ´)「死にたいアルか!?なぜ出さないアルか!?」

(´・ω・`)「なぜならこれは……」

(´・ω・`)「ダイナマイトだからさ!!」

(;`ハ´)「!?」

[壱・八・]「!?」

[弍・八・]「!?」

(部A`ゝ´)(マジでっ!?)

(部B`ゝ´)(うんこかと思ってた)

(;`ハ´)「どっ…どういうことアルカッ!!?」

(´・ω・`)「……こんなこともあろうかと思ってな……用意しておいたんだ」

(´・ω・`)(こんなことってなんだろう?)

(;`ハ´)「……じゃ、じゃあ、早く出すアルヨ……」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:28:17.00 ID:MqBbVWvyO

(´・ω・`)「だからお断りだと言ってるじゃねえか」

(;`ハ´)「………なぜアルカ?」

(´・ω・`)(……えーとっ)

(´・ω・`)「このダイナマイトはな、高性能の最新式でよ、
       下手に扱うとすぐに爆発しちまうんだ」

(;`ハ´)「……」

(´・ω・`)「だから不用意にこいつを取り出そうとすると……ドカンといくぜ?」

(;`ハ´)「………」

(*´・ω・`)(うおおおおっ!なんとかなったぁぁぁぁぁっ!
       俺って天才じゃぁぁぁぁぁんっ!!)

( `ハ´)「……ん?」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:30:13.00 ID:MqBbVWvyO

(´・ω・`)「?」

( `ハ´)「この辺、なんか臭くないアルカ?」

(;´・ω・`)(!!!?)

ショボンは反射的に、だが恐ろしく素早く拳銃を取り出した。

[壱・八・]「!!」

[弍・八・]「!?」

自分達のボスに銃を向けられた上海マフィア達も、慌てて銃を抜く。
それを見たショボンの部下達も銃を取り出した。

(# `ハ´)「何をしているか分かってるアルカ!!」

(#´・ω・`)「テメーが舐めたこと吐かすからだろうが!!」

(# `ハ´)「ちょっと臭いって言っただけアルヨ!!」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:31:11.89 ID:MqBbVWvyO

(#´・ω・`)「臭いってなんだ!!
        どこにうんこがあるっつーんだよ!?答えろ!!」

(# `ハ´)「うんこなんて一言も言ってないアル!!
       文句があるなら自分の耳に言うアルヨ!!」

[壱・八・]「銃下向!最速!」

(部A`ゝ´)「黙れよラーメンマン!口が臭ぇ!!」

[弍・八・]「完全殺害!覚悟!!」

(部B`ゝ´)「テメーらの死体は棺桶じゃなくて岡持ちで送ってやるよ!
       出前だな、出前!!」

怒声をあげながらお互いに銃を向け合う六人。
まさに一触即発の状態だった。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:43:28.19 ID:MqBbVWvyO

(#´・ω・`)「いいや!言ったね!うんこの匂いがするってほざいたね!!」

(# `ハ´)「だから言ってないって言ってんだろうがボケ!アル!」

( ^ω^)「あの……ちょっと……」

[壱・八・]「謝罪要求!沈黙要求!!完全殺害良?絶対殺害本気!!」

(部A`ゝ´)「マジ息してんじゃねぇよっ!そんなに止めて欲しいのか!?」

( ^ω^)「……喧嘩はいけませんお……」

[弍・八・]「根暗民族!自宅籠城民族!童貞集団!二次元夢中!不快!!」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:45:22.35 ID:MqBbVWvyO

(部B`ゝ´)「そうだ!今テメーらのせいでマグロが減ってるらしいじゃねぇかっ!」

(部B`ゝ´)「ぶっ殺してやるから餌になれ!増やせ!!」

( ^ω^)「もしもーし」

(#´・ω・`)「あーあ!分かりました分かりました!!
        出せばいいんでしょ、出せば!!」

(# `ハ´)「出すって脳味噌アルカ!?
       初めから空なんだから恥じかくだけアルヨ!!」

(#´・ω・`)「脳味噌だぁ!?味噌は味噌でも……」

ショボンは手をズボンに突っ込んだ。

(#´・ω・`)「糞味噌じゃあ!!!」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:49:22.23 ID:MqBbVWvyO

自分の大便を取り出したショボンは、勢いよく相手の顔に叩き付けた。

( `ハ※)「………」

[壱・八・]「………」

[弍・八・]「………」

(部A`ゝ´)「………」

(部B`ゝ´)(やっぱうんこだったんだ)

(#´・ω・`)「ざまぁみろ!!バーカ!!!」

大笑いしながら辺りを跳び回るショボン。

上海マフィアのボスの顔には大量の糞がこびりついていた。

( `ハ※ )「……雄…」

(# ゚ハ※ )「呉雄雄雄雄雄雄雄雄雄!!!」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:51:30.55 ID:MqBbVWvyO

怒りで顔をマグマの様に赤く染めながら、
ショボンに引き金を引こうとするマフィアのボス。

(# ゜ハ※ )「雄亜亜亜亜亜亜亜亜亜亜亜亜!!!」

だがその瞬間、手は掴まれた。
指を押さえ付けられ、引き金は引かれなかった。

( ^ω^)「………」

(# ゜ハ※ )「何者!!?邪魔者殺害!絶対殺害!!」

ボスの手を掴んでいたのは、柔和な表情をした青年だった。

(´・ω・`)(……誰だこいつ?
       つーかいつから居た?)

ショボンの疑問はその場にいた全員が同じように思っていた。

( ^ω^)「……喧嘩は駄目ですお」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:52:25.44 ID:MqBbVWvyO

(部A`ゝ´)「なんなんだテメーは!?ぶっ殺すぞ!!」

[壱・八・]「消失要求!早急!!」

(# ゚ハ※ )「手解放!!殺害実行!?絶対本気!!」

(´・ω・`)(……ん?……なんか見たことある気が………)

改めて青年の顔を見ると、確かに見覚えがあった。

つい最近、どこかで見たはずだ。

( ^ω^)「……僕は昨日、暴力をふるってしまいましたお」

( ^ω^)「その浅はかな行動のせいで今は凄く後悔していますお」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:54:23.51 ID:MqBbVWvyO

( ^ω^)「怒りに身を任せて相手を傷つけると、
       その傷必ず自分に返ってきますお」

(´・ω・`)(あっ!こいつ!)

( ^ω^)「だから喧嘩は駄目ですお。
       それにきっと僕らは、仲良くなれるはずなんですお」

(´・ω・`)(昨日、芸能プロダクションで無茶したやつじゃ……!?)

(部B`ゝ´)「はあ?何言ってんの?」

[弍・八・]「我困惑」

( ^ω^)「踊ろうお♪ブンブブーン♪」

唐突に歌い出した青年は
マフィアのボスの手を握ぎり、腰を抱き、ステップを踏み始めた。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:56:04.27 ID:MqBbVWvyO

(;`ハ※)「?」

( ^ω^)「歌おうお♪ブンブブーン♪」

(;´・ω・)「………?」

( ^ω^)「笑おうお♪ブンブブーン♪」

その場でくるりと回されるボス。
バランスを崩し倒れそうになるが、青年がそれを支えた。

(# `ハ※)「なにす――」

( ^ω^)「み・ん・な・で」

( ^ω^)「仲良くしようお♪」

( ^ω^)「ブブン♪ブーン♪」

そこで突然、銃を構えていたはずのショボンの部下がタップダンスを踊り出した。
辺りには靴から鳴る、カッカッカカッカッという音が響いた。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:57:38.86 ID:MqBbVWvyO

(;´・ω・`)「……おい、なにやってんだ?」

(部B`ゝ´)「でも〜僕らは〜♪敵対して〜る〜♪」

(;´・ω・`)「!?」

(部A`ゝ´)「そうだよ〜無理だよ〜♪仲良くするなんて〜♪」

(;´・ω・`)「??」

( ^ω^)「そんなこと言わずに踊っちゃお♪肩を組んで歌っちゃお♪」

[壱・八・]「上手く〜いかない〜♪そんなアイディア〜♪」

(;´・ω・`)「っ!!?」

[弍・八・]「土台〜僕らは〜♪分かりあえっこない〜♪」

(;´・ω・`)(こいつら日本語喋れたの!?つーか、なんで歌ってんの??)



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:07:15.98 ID:B64nJNxSO

( `ハ※)「な・ぜ・な・ら」

(;´・ω・`)「っ!!!??」

青年から離れたボスは自分の部下達の元へ行った。

( `ハ※)「今は喧嘩の真っ最中♪現代社会の合戦中♪」

三人で横に並び、同じ振り付けの踊りをする上海マフィア達。

( `ハ※)「俺らマジなギャングだし♪退いたら格好がつかない死♪」

いつの間にかショボンの部下達も一列に並び、
マフィア達に対するように踊っていた。

(部A`ゝ´)「そのぼざく口♪黙るどのみち♪」

(部B`ゝ´)「ケリをつけねぇのは男の恥♪殺る気満々本気のマジ♪」



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:09:07.93 ID:B64nJNxSO

(;´・ω・`)(……なんだよこいつらは……)

( ^ω^)「だったら踊りで決めようお♪リズムとダンスでファイトしお♪」

青年は両手を広げて回り出した。

( ^ω^)「ブンブブーン♪ブンブンブーン♪」

再び、カッカッカカッカッという音が鳴る。
ショボンの部下がタップダンスを踊っていたのだ。

( `八※)「ブンブブーン♪ブンブンブーン♪」

大きく一度、足を振り上げてから飛び上がるボス。

(部A`ゝ´)「ブンブブーン♪ブンブンブーン♪」

胸を張り、手を頭上で交差させて地面を膝で滑るショボンの部下。



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:10:56.05 ID:B64nJNxSO

(*゚ー゚)「ブンブブーン♪ブンブンブーン♪」

そこにイカを振り回しながらヘッド・スライディングしてくる女子高生。

(´・ω・`)「まーた変なの来やがった」

海の沖では鯨がシオを吹いていた。

鯨「ブシュー」

( ^ω^)「踊ろうお♪」

(部A`ゝ´)「ブンブブーン♪」

( ^ω^)「歌おうお♪」

[壱・八・]「ブンブブーン♪」

( ^ω^)「笑おうお♪」

(*゚ー゚)「ブンブブーン♪」

( `ハ※)「み・ん・な・で」

全員「仲良くしようお♪」

彼等や彼女は、
日中の垣根を越えて踊りあっていた。
声を張り上げ歌いあっていた。



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:14:27.97 ID:B64nJNxSO

微笑みながら両手を広げて走る青年。
イカとタンゴを踊る少女。
そして上空へ拳銃を発砲するヤクザとマフィア達。

(;´・ω・`)(おいおい、撃つなよな……)

リズムをとる様に浮き沈みする鯨。
鳴き声をあげながら低空飛行するカモメ。
拍手の音の様な水しぶきをあげる鰯達。

(´・ω・`)(………)

自分はいま何をしているのだろうか?
今夜は重要な取引のはずだった。
だが、糞を漏らして台無しにした。

それを必死でフォローをしていたはずだ。
でもなぜか周りの奴らは歌っている。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:16:30.87 ID:B64nJNxSO

切った張ったのこの稼業。
今更ながら思うが、実は向いていないのかもしれない。

(´・ω・`)「……足洗うか」

ただの思い付きを口に出す。
すると、その考えが思ったより悪くない気がした。

楽しそうに騒ぐ連中を見る。
少女の抱くイカが墨を吐き、彼女の顔は黒くなった。

イカ「ブシュー」

( ^ω^)「踊ろうお♪」

(部B`ゝ´)「ブンブブーン♪」

中国人達が持ってきたアタッシュケースを開ける。

( ^ω^)「歌おうお♪」

[弍・八・]「ブンブブーン♪」

中に入っていた白い粉を取り出す。



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:18:09.18 ID:B64nJNxSO

( ^ω^)「笑おうお♪」

(*゚ー゚)「ブンブブーン♪」

粉を包んでいた袋を破く。

( `ハ※)「み・ん・な・で」

全員「仲良くしようお♪」

( ^ω^)「ブブン♪ブーン♪」

ショボンはヘロインを空に撒いた。
惜し気もなくぶち撒けた。


―――――


翌日。
ショボンは商店街を歩いていた。
手には金のつまったアタッシュケースがある。

(´・ω・`)(これで新生活の幕開けだな)

昨夜は自分達が用意した現金をこっそり盗んで逃げてきた。
その場を離れる自分を咎める者は一人もいなかった。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:19:40.06 ID:B64nJNxSO

なぜか宙を舞うヘロインにも、
誰一人として気に止めなかったように見えた。

恐らく、踊りに夢中だったのだろう。

(´・ω・`)(妙な夜だったな……俺自身も含めてよ)

なぜヘロインをぶち撒けてしまったか?
その理由はいくらでもある。

後戻り出来ない様にするため。
ヤクザを辞める自分へのケジメ。
こき使われた荒巻への当て付け。

しかし一番大きな動機はその場の勢いだったんだろうな、
とショボンは思った。

やりたくなったから、ついやってしまったのだ。
爽快感があったから、それで全てはOKな気がした。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:21:14.53 ID:B64nJNxSO

(´・ω・`)(偽造パスポートも密航船も手配したし……
       やり残したことはないな)

ショボンの足取りは軽い。
これから訪れるであろう、命がけの逃亡生活にも、
なぜか期待感を持つと同時に楽観視をしてしまっていた。
きっと楽しいことが待っているんじゃないかと、気楽に考えていたのだ。

ふと、空を見上げる。
そこには澄みきった青さがある。
それは夏の色だ。

立ち止まってぼんやりと晴天を眺めながめていると、
遠くから歌が聞こえてきた。
街の住人達が隊列を組み、歌い、踊りながら歩いていた。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:23:09.63 ID:B64nJNxSO

(´・ω・`)(……きっとあいつだな)

ショボンは口許が綻ぶのを自覚した。
あいつに違いない。

その隊列の先頭には、案の定、昨夜の青年がいた。

それ見たことか。

周りの人間は楽器や仕事道具などを持ち寄り、音を鳴らし始める。
中には魚を持ち出した女の子もいた。
昨夜は乗り遅れたが、今度こそは自分もと思い、懐から拳銃を取り出す。



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:24:29.85 ID:B64nJNxSO

(´・ω・`)「俺の門出の祝砲と、あんたへの感謝の礼砲を兼ねて」

高く広がる空に向け、ショボンは引き金を引いた。
旱高い銃声は辺りに響き、そのまま音楽に紛れて消えていった。




三曲目・完。



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