( ^ω^)はミュージカルをするようです

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:46:15.81 ID:GHWD38rrO

番外編・幼少ホライゾン



楽しかったはずのデパートは、その様を一変させた。

( ;ω;)「とーちゃん……かーちゃん……」

抜けるような青空の日曜日。

そんな遊楽には絶好な日に、
ホライゾンは両親に遊びに連れて行ってもらったが、
迷子になってしまった。

( ;ω;)「……どこにいるんだお……」

不安と恐怖がホライゾンを襲った。
小さな子供である彼には、いまの状況は心細過ぎるためだ。

( ;ω;)「お外にいるのかお……?」

デパートを出て、両親を探す。
だがホライゾンの目の前には足早に進む人混みだけが流れていた。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:46:54.53 ID:GHWD38rrO

( ;ω;)「いないお……なんでいないんだお……」

泣き疲れで彼は道路に座り込んでしまった。
両腕で顔を隠し、悲しみにくれる。

そんなホライゾンに声が掛けられた。

<_プー゚)フ「どうしたんダイ?ボーイ」

( ;ω;)「……っ?」

<_プー゚)フ「何で泣いてんダイ?」

彼はホライゾンに目線を合わせるためか、座り込みながら言った。

その人は逞しいもみあげを生やし、開襟シャツから胸毛を出したスペイン風の男だった。

( ;ω;)「……とーちゃんと……かーちゃんが……居なくなっ……おっ……」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:48:39.07 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「オウ……そりゃ悲しいヨネー……ちょいと、待っててネー」

スペイン人はそう言うと、立ち上がってどこかへ消えてしまった。

ホライゾンは、あっという間に見捨てられてしまった、と自分の境遇に嘆いた。

( ;ω;)(僕なんて……僕なんて……)

足をばたばたさせ、泣きじゃくる。
絶望感に捕われる。
世の中に失望する。

しかし、気が付くと、両手を挙げた男達にホライゾンは囲まれていた。

\(^o^)/\(^o^)/『オワオワ・オワタ♪人生オワタ♪』\(^o^)/\(^o^)/

\(^o^)/「迷子のお前は人生オワタ♪」

( ;ω;)「……?」



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:50:41.22 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「ボーイの人生、オワッテないヨ♪」

ホライゾンの目の前には、ダチョウに乗ったスペイン人が現れていた。
彼は誇らし気に笑いながら、アフリカにる鳥を操っていた。

\(^o^)/\(^o^)/『オワオワ・オワタ♪人生オワタ♪』\(^o^)/\(^o^)/

<_プー゚)フ「んなことないヨ♪オワッテないヨ♪」

スペイン人が男達の一人の首に手刀を食らわした。

するとその男は、
ティウンティウンという不思議な音をさせながら、
光と共に体を爆砕させた。

\(^o^)/\(^o^)/『オワオワ・オワタ♪人生オワタ♪』\(^o^)/



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:51:33.75 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「だから無いっテ、オワッテないヨ♪」

今度は彼が乗っていたダチョウが嘴でつついた。

その一撃を食らった男は、
ティウンティウンという妙な効果音を出しながら、
光と共に体を内側から破裂させた。

( ω )「…………」

(*^ω^)「おっおっおっ!」

目の前で起こるファンタジックな光景に、思わず笑い出すホライゾン。
それを見て、スペイン人も微笑んだ。

<_プー゚)フ「おいでよボーイ♪こっちへコーイ♪」

<_プー゚)フ「パーティータイムの始まりサ♪」

ダチョウから飛び下りた彼は、その鳥の尻を叩く。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:53:03.12 ID:GHWD38rrO

叩かれたダチョウは、どこかへ飛び去って行った。

(*^ω^)「すげーお!すごいんだお!」

奇跡のような出来事の連続に、彼の目は輝いた。
興奮を押さえきれなかった。

「少年、これは何の騒ぎだ?」

(*^ω^)「おっ!」

後ろからかかった声に振り返ると、
そこには長い髪の若い女性がいた。

川 ゚ -゚)「ショーか何かかね?」

(*^ω^)「わかんねーお!でも、すっごく楽しそうなことだお!」

川 ゚ -゚)「ふむ」

答えに満足したようにうなずく女性。
そんな彼女を置いて、走り出す。

(*^ω^)「来たお!来たお!踊るんだおっ!!」



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:53:56.45 ID:GHWD38rrO

男に駆け寄ったホライゾン。
スペイン人はにやりと笑いながら歓迎した。

<_プー゚)フ「ハジマタ……カイ?」

(*^ω^)「おっ?」

<_プー゚)フ「ハジマタ、カイ?」

(*^ω^)「ハジマタお!」

<_プー゚)フ「ハジマタノ、カイ?」

(*^ω^)「ハジマタおーっ!!」

<_プー゚)フ「OK、ボーイ!!カモン・ピーピル!レッツ・ダンスッ!!」

人混みが一瞬止まり、揃って全員がスペイン人を見た。

<_プー゚)フ「ミュージック!プリーズ、ミュージィィィィィクッ!!!」

その場には音響設備など、どこにも無かった。



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:54:47.72 ID:GHWD38rrO

だがどこからか、陽気な音楽が流れ出した。

<_プー゚)フ「オウ!イエース!!」

\(^o^)/「ハジマタ・ハジマタ♪ハジマッタ♪」\(^o^)/

\(^o^)/「俺らのステージ、ハ・ジ・マッ・タ♪」

色っぽい仕草で自分の体を撫でるスペイン人。
彼の両側には両手を挙げた男がいる。

その後方ではまるで彼の動きに真っ向から対するように、
通行人達が動きを揃えて激しいダンスを踊っていた。

<_プー゚)フ「♪歌うオイラのお名前ハ?」

\(^o^)/『エクスト・ガルシア・プラズマン♪』\(^o^)/



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:55:41.47 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「♪セクシーキュートなジェントルマンは?」

皆さん『エクスト・ガルシア・プラズマン♪』

後頭部に手を組み、なまめかしく艶のある動きをするスペイン人。
舌舐めずりをしながら、卑猥な動きで腰を揺らす。

彼のその振る舞いを見て、
長い髪の女とバックダンサー以外の女性達が、軒並み倒れた。

そしてその効果は人間に止まらないらしいことが分かる。

なぜなら、犬猫も失神したように崩れたし、
上からはハトやカラスが落ちてきたからだ。

(*^ω^)「おっおっ〜♪おっ♪」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:56:57.04 ID:GHWD38rrO

ホライゾンはそんなスキャンダラスなセクシーガイの正面で、
無器用に体全体を使って踊っていた。

<_プー゚)フ「オウ!イエッ!」

開襟シャツの男は一言そう叫ぶと、ホライゾンの襟首を掴む。

( ^ω^)「お?」

<_プー゚)フ「セイ!イエースッ!!」

そして力を込め、ホライゾンを上空へ投げた。

(;^ω^)「おー!おおおっ!」

とんでもない高さまで、宙を舞った。
空が近付き、地面が遠ざかる。

<_プー゚)フ「ハッ!イエスッ!!」

落下してきたホライゾンを一回転してからキャッチするスペイン人。



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:58:01.86 ID:GHWD38rrO

そして再び、上へ放り投げた。

(*^ω^)「おっおっおっおっ♪」

まるでお手玉のような扱いだったが、
ホライゾンは楽しくて仕方なかった。

四肢を伸ばし、浮遊感を楽しむ。
やがて落下し、そのスリルを味わった。

<_プー゚)フ「イェー!ハッ!」

情熱とエロスの化身は、一歩前に出て背中越しにホライゾンを受け止めた。
手を掴んで勢い良く振り回してから静かに着地させる。

するとそこに、急ブレーキでワゴンが止まった。
中からは大勢の両手を挙げた男達が出てくる。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 00:59:10.57 ID:GHWD38rrO

彼等はいっせいに、もみあげ男の周囲に陣取って踊り出した。

<_プー゚)フ「踊るオイラのお名前ハ♪」

\(^o^)/\(^o^)/『エクスト・ガルシア・プラズマン♪』\(^o^)/\(^o^)/

<_プー゚)フ「クールでイカしたはヒーローは♪」

\(^o^)/\(^o^)/『エクスト・ガルシア・プラズマン♪』\(^o^)/\(^o^)/

スペイン人は激しい振り付けのダンスをしながら、手近の男を蹴り上げる。
男はさっきのように体を爆砕させてながら、不思議な音と光を出した。

◎「ティウン・ティウン♪」



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:00:06.00 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「カム・アゲインッ♪」

今度は蹴った方向とは逆側の男に裏拳をする。

◎「ティウン・ティウン♪」

<_プー゚)フ「まだまだヨ♪」

彼は正面に立つ男を殴打する。

◎「ティウン・ティウン♪」

<_プー゚)フ「ハジけよウ♪」

\(^o^)/『オーライ♪オーライ♪オーライ♪オーライ♪』\(^o^)/

\(^o^)/\(^o^)/『ティッ・ティッ・ティッ・ティッ♪』\(^o^)/\(^o^)/

◎ ◎ ◎『ティウン・ティウン♪ティウン・ティウン♪』◎ ◎ ◎

(*^ω^)「おー!おっおっ!」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:01:28.50 ID:GHWD38rrO

踊るスペイン人の周りで両手を上げた男達の体が、
いっせいに破裂した。

その破片の一つ一つが光を放ち、泡の様に弾けて、飛んだ。

男がまるで空を迎入れるかのように、両手を広げていた。
目を閉じた彼に、きらきらと煌めく欠片が降り注いだ。

やがてカッ、と目を開き、
素早く胸の前で腕を交差させ、腰を突き出す男。

<_プー゚)フ「スーパー・ミュージカル・スター!!」

そして両腕を広げ、高らかに言う。

<_プー゚)フ「エクスト・ガルシア・プラズマンッ!!!」

男の後で音と光だけの大爆発が起きた。
一瞬視界がくらむホライゾンだったが、そこには、スターがいた。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:02:40.53 ID:GHWD38rrO

踊るスペイン人の周りで両手を上げた男達の体が、
いっせいに破裂した。

その破片の一つ一つが光を放ち、泡の様に弾けて、飛んだ。

男がまるで空を迎入れるかのように、両手を広げていた。
目を閉じた彼に、きらきらと煌めく欠片が降り注いだ。

やがてカッ、と目を開き、
素早く胸の前で腕を交差させ、腰を突き出す男。

<_プー゚)フ「スーパー・ミュージカル・スター!!」

そして両腕を広げ、高らかに言う。

<_プー゚)フ「エクスト・ガルシア・プラズマンッ!!!」

男の後で音と光だけの大爆発が起きた。

一瞬視界がくらむホライゾンだったが、
そこには確にスターが立っていた。



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:03:41.63 ID:GHWD38rrO

でも誰もそれに驚かなかった。
スコールのような拍手が鳴り止まなかった。

地球が、彼に恋をした瞬間だった。


―――――


(;´・_ゝ・`)「ちょっと目を離した隙に、
        こんなとこでなに油売ってるんですか!?」

<_プー゚)フ「アブラなんか売ってないヨ。タダで夢をあげてたんだヨ」

(;´・_ゝ・`)「そういう問題じゃないですよ!
        あ〜あ、『ライフ・エンド・ボーイズ』もこんなに使っちゃって!」

<_プー゚)フ「謝らないヨ。悪いコトしてないモン」

(;´・_ゝ・`)「少しは弁解してくださいよ……」



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:05:22.00 ID:GHWD38rrO

歌が終わり、人々は解散していた。
開襟シャツの男は、なにやらお説教をされているみたいだった。

(*^ω^)「とーちゃん!かーちゃん!」

やっとのことで両親を見付けたホライゾンは、二人の元へ行った。


^^どこに消えてやがった
クソガキが

^^ぶっ殺すぞ

川 ^ω^)「心配してたわよ」

父と母が口々に文句を言う。
しかしホライゾンは、それが気に入らなかった。

(#^ω^)「とーちゃん達がどっか行っちゃってたんだお!」

川;^ω^)「それはあなたの方よ……」

(#^ω^)「違うおっ!違うおっ!」



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:06:13.79 ID:GHWD38rrO

^^うるせーガキだな

^^取り合えず
抱き締めさせろ

( ^ω^)「おっ!?」

父親が、ホライゾンを抱き上げた。
ほっ、と安堵したようにも見えたが、ホライゾンはそれに気付かなかった。

(*^ω^)「おっおっおっ……苦しいおっ!」

<_プー゚)フ「ボーイ、パパとママに会えたみたいだネー」

スペイン人が、柔和な表情で話しかけてきた。

(*^ω^)「おっ!会えたんだお!」

川;^ω^)「この度はうちのホライゾンがご迷惑をおかけまして、
       真に申し訳ありません……」



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:08:05.81 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「気にしないでイイヨ。僕も楽しかったしネ」

( ^ω^)「ねえ、お願いがあるんだおっ!」

<_プー゚)フ「なんダイ?」

( ^ω^)「もう一回、お空を飛ばして欲しいんだお!」

<_プー゚)フ「ぶん投げることカイ?もちろんOKサ」

川;^ω^)「そんなの危ないわよ……」

^^構わん
俺が必ずキャッチする

川;^ω^)「…………」

川 ^ω^)「あなたがそう言うなら安心ね」

^^おう


(;´・_ゝ・`)「ちょっと待ってくださいよ!
        時間押してるんですって!!勘弁してくださいよ!」



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:09:35.89 ID:GHWD38rrO

<_プー゚)フ「オゥ……ノリ悪いネー」

川 ^ω^)「最悪だわ。空気が読めないのね」

( ^ω^)「だめなの……かお?」

(;´・_ゝ・`)「…………そ、そんな目で見ないでよ……」

ダチョウ「クワッ!」

(;´・_ゝ・`)「ひいっ!わ、分かりました!分かりましたよ!!」

(;´・_ゝ・`)「もー……仕方ない。ちょっとだけですからね!」

(*^ω^)「おーっ!やったおっー!!」

<_プー゚)フ「サンキュー!お礼にアンコールはノーギャラで二曲やるネ」

(´*・_ゝ・`)「マジすか!?やったぜっ!!!」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:10:45.95 ID:GHWD38rrO

喜ぶ男の肩をばしばしと叩く開襟シャツとホライゾン。

川 ^ω^)「気を付けてね、ホラちゃん」

^^行け

<_プー゚)フ「そいじゃ、イクヨー!」

スペイン人はホライゾンの襟首を掴み、ぶんぶんと振り回し始めた。
充分に加速したのを見届けると、彼は全力でホライゾンを投げた。

(*^ω^)「お〜〜〜っ!」

風を切って、空へと向かう。
太陽が視界いっぱいに広がる気がする。

雲に手を触れられるんじゃないかと思えるぐらい、舞い上がった。

ちらりと下を見ると、両親を筆頭に大勢の人達がホライゾン見上げていた。



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/01(土) 01:11:41.29 ID:GHWD38rrO

こうしていると、なんだか鳥にでもなった気がした。

気分が、良かった。
物凄く。

だからホライゾンはさっき彼がしたみたいに、両手を大きく広げた。
そしてその心境を広い空で大声で口にした。


⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「ブーンだおっ♪」


澄みきった青空の中にいると、
本当に飛べる気がしてくるから不思議だ。

どこまでも、高く。

それこそあの雲の向こうまで、行ける気がした。





番外編・完



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