都市に潜む百夜談
- 18: ◆OZummJyEIo :08/08(火) 20:20 mjcZpn53O
『にやつく男』
神奈川のある町には奇妙な噂がある。
深夜になると異様ににやつきながら町を歩く男が出るというのだ。
これだけならただの変質者の話だが、奇妙なのはその男を見た人間が誰一人としていない事。
それは何故か?
にやつく男を見た人間は例外なく死んでしまうからだ。
ある若いグループがこの噂を聞き、深夜町を徘徊しようとした。
反対する者も居たが、グループの一人のAは無類のオカルト好きで、いろんな心霊スポット巡りをして来たほどだ。
だから霊的なものはかなり詳しく、他のメンバーもオカルトに関しては信頼している為、Aがいるなら大丈夫だと思い行く事に決めたのだ。
- 22: ◆OZummJyEIo :08/09(水) 19:33 6iwVkXwPO
夜中、グループは町に来た。
Aを筆頭ににやつく男が出そうな雰囲気のある場所を探していたが、やはり噂は噂に過ぎないのかにやつく男は現れなかった。
そもそもにやつく男の噂だってかなりいい加減で怪しいもので、グループはAから聞くまでにやつく男の話など聞いた事はなかった。
そこでグループの一人が気がついた。
まんまとAに乗せれられた事に。
Aは前々から嘘の噂話を広めてはその噂を真に受けた人をからかうというイタズラを繰り返していた。
しかし今回はわざわざ夜中に集められたんだから、騙されたお返しとしてちょっと困らせようとグループの一人がこう言った。
「あれ〜?でも、『にやつく男』を見てしまった人間は死んでしまう筈なのに、噂を最初に広めた人は何で男がにやついているって判ったんだろ?」
するとAが含み笑いを浮かべて得意げに答えた。
>「俺がにやつく男だからさ」
次の日、グループは死体となって発見された。
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