('A`)ドクオは棺桶売りのようです

10: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:12:40.83 ID:jcA3pI2/0
               ⊂('A`⊂⌒`つ


頭が痒い。


ここ一週間湯船に浸かっていない。
水もガスも止められたのだ。お湯を練成する術が無い。
直、電気も俺の前から姿を消すだろう。

見れば見るほど酷い部屋だ。
埃が床を支配し、出してないゴミ袋が散乱している。
船越の妻が見たら絶叫する事間違いない。
とても自室だとは思いたくない。が、掃除する気力も湧いてこない。
そうか、ヒッキーの奴はもういないんだった。

超がつく程、暇人であるヒッキーは、度々俺の部屋を整理したり掃除機をかけてくれたりしていた。
洗濯物も畳まれていたし、風呂も沸いてた事もあった。てか奴が入ってた。
料理こそ出来なかったようだが、今にして思えば、隣人は立派な主婦だった。

('A`)「置いてきぼり喰らった旦那はどうすりゃいいんだ」

古ぼけたベランダに俺は立っていた。
真っ赤に燃える夕焼けが美しい。美し過ぎる。絵の具じゃ、あの赤は出せない。
ああイカロスとかいう男は実に愚かだなあ。あれに近づこうと飛んでいったのだから。
途中で高速のサービスエリアとかに着地してご当地グルメでも食って帰ればいいのに。

('A`)「美しさの頂点に、あの夕陽が居座っていると考えると、部屋を綺麗にする事さえ
    バカみたいに思えてきたなあ……」



15: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:16:13.05 ID:jcA3pI2/0
じゃあもう限界まで下品に生きてみようか。
丁度、小便がしたい。だが水道が止められているためトイレが使えない。
いい男のケツの中で放尿する趣味も勇気も無い。

('A`)「このベランダからしよーっと」

出でよ神龍。ぴょこ。じょぼぼぼぼ。

('A`)「はあー……なんだこの快感は……」

それは小学生の時、プールの中で用を足す快楽にも似ていた。
しかし、そんなドクオ夫人の優雅なる午後をぶち壊す事態が発生する。

「うぎゃああああああああああああ!」

下から悲鳴が聞こえた。
やばいかやばくないかで言ったらやばい方の悲鳴だと思う。

( ∵)「頭上から腐水があああああああああああああ!」

大家だ。

( ∵)「貴様……」

やべ、目が合った。

( ∵)「早く家賃よこせええええええええ! 追放すんぞおおおおおおおお!」

じゃあ仕事紹介してくれ、と俺は言いたい。
仮に定職に就けても、まともに働こうとなんて今の俺は思わないだろうが。



19: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:17:14.89 ID:jcA3pI2/0
先日の話だ。

俺は頭が痒かった。
洗えばいいだろ、という問題では無い。
脳味噌の奥の奥がひたすらに痒い。痛みを通り越して、痒い。
孫の手も流石に届かない。

苦しい。

これはなんだろう。これはなんだろう。一体これはなんだろう。
ヒッキーや荒巻、繋がりを断たれた精神的なものだろうか。
現実離れした事態が続いた事で、頭がパニックになっている、といった事も考えられた。

そして満を持して病院へ行く事に決めたのだ。
勿論、鮮血が飛び散った例の病院ではない。
あそこは今も立ち入り禁止となっている。

『ニコニコこどもクリニック』

('A`)「ここでいいか」

中は幼児で溢れていた。
明らかに俺がこの場の平均年齢を上げている。

('A`)「幼女かわいいなあ。ちゅっちゅしてぇなあ」

その時点では知らなかったから、俺は呑気にそんな台詞を吐いていた。
ここで衝撃的な光景を目にするのは、もうすぐそこまで迫ってきていたのだ。

インチョ「あまりに頭がヤバイマジヤバイと仰るものですから、レントゲンを撮りました」



22: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:20:26.05 ID:jcA3pI2/0
('A`)「先生……これって……」

一つの大きな傷があった。それもド真ん中に。

インチョ「この通り、全く異常は見られませんでしたw」

(;'A`)「ちょおおおおおおおい! 嘘だろおおおおおおお!」

インチョ「何も嘘じゃありませんが……冷やかしなら結構です。
   そのレントゲン写真は差し上げますので、お引取り下さい」

サラサラとマジックペンで写真にサインを書く医者。いらねーよお前のサインなんて。

('A`)「どう見ても傷があるよな……」

公園のベンチで一人呟いた。そんな平日の昼下がり。
世間では俺のような暇人を一目見て、社会のゴミ屑だと罵る。
否定はしない。自分が立派な人生を送っているとは思っていない。
それでも一丁前に悩んでいるんだから、
お願い、ランニングをしている爺さん、すれ違い様に俺を侮蔑の目で見ないで。

川 ゚ -゚)「ただの人間には見えない傷だったら、どうする?」

クーが滑り台を逆走しながら言った。
相変わらず暇そうな幽霊だ。
傾斜に足を取られ、すっ転んではズルズルとスタート地点の砂場に流されていく。

川 ゚ -゚)「やはり傾斜75度の滑り台は攻略出来んなあ」

('A`)「責任者出てこーい」



24: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:24:56.94 ID:jcA3pI2/0
そこで会話が途絶えた。別に続けるつもりも無かった。
喋る事すら、どこかで面倒臭いと思っている自分がいるのだ。
墓参り兼クリスマスパーティの一件で、俺は「人生楽しい」と、亡きヒッキーや荒巻に伝えた。

だが次の朝から気付いたんだ。
本当はお前らがいないと全然面白くねぇよ、と。
イブの夜に男同士で人生ゲームしてた、あの時の俺の方が、
何故か病院でカーリングし始めてた、あの時の俺の方が、今なんかよりずっと活き活きしていました。
人生やってました。多分笑っていました。意識してないだけで、楽しいと感じていました。

それが今はどうだ。
スペックは何ら変わっちゃいない。収入がゼロになったくらいだ。
それでも以前の俺なら、まだ働く事に対して献身的だった。
“幽霊の俺”が、そこそこ稼いでいたからだ。
クーと共同して行う幽霊助けの仕事は、あくまで副業だという意識があった。
だから“人間の俺”は本業であるコンビニバイトを、愚痴垂れながらも続けていた。

そこには、俺は人間として生きているんだ。という思いがあったからだ。
人に触れているんだ。人と会話しているんだ。だからドクオは生きているんだ。そうなのだ。
幽霊として生きていく、その選択肢もある。
寧ろそっちの世界の住民とした方が、有意義だと思った事もある。
俺を必要としてくれる明確な理由がその世界にあるからだ。無論、欲しくて貰った能力では無いが。



30: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:29:06.74 ID:jcA3pI2/0
それでも人間を選んだのは、
馴れ馴れしいけど根暗な隣人。手の温かい店長。
奴らがいてくれたからだ。
もし、彼らとの出会いが無かったら、俺はとっくに人間の身体なんて放り投げている。

そして現実問題、あの馬鹿野郎共はもうこの世にはいない。
取り残された俺はどうなる。完全に他人との繋がりが断たれた俺は。
人として生きる事を選ばせてくれたそれが消えてしまった。

人間として生きていける自信も希望も薄れてしまっている。
もう未来が見える。
仕事を見つけても続かない自分、新たな友人関係を築いていけない自分。
行き着く先は暗く深い闇。闇金。ダーク。降田兄弟。古田だと思ってたけど本屋で確認したら降田だった。

ならばいっそ人間を諦めてみようか。
そう、幽霊として生きていく道。それがある。
俺は貴重な人材なんだ。命の危険も多々あれど、光の見えない毎日を過ごすよりずっと良い。

クーという女は、依頼を持ってきて、適度に助言して、たまに護ってくれる。
俺は面倒だと言いつつも、それに応える。といっただけの関係だが、
彼女は裏切らない。俺を置いてきぼりにして消えたりしない。

何かもう、滑り台相手にズルズルやってる姿も愛らしいといっちゃ愛らしい。



39: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:37:47.14 ID:jcA3pI2/0
だから、

川 ゚ -゚)「だからな、憶測に過ぎないがその傷は人間には見えない代物なんじゃ……」

('A`)「あーあーあーあー、聞こえませーん」

だから怖いんだ。

川 ゚ -゚)「お前も薄々気付いているだろう? 自分の変化に」

('A`)「聞こえないよー。何も聞こえないよー」

こんなにも怖いんだ。

川 ゚ -゚)「お前、ただの人間になりつつあるんじゃないのか?」

('A`)「そんな事ありえなーい! そして聞こえなーい!」

今度は、その幽霊の道すら奪われるんじゃないかって。
万に一つも思ってなかった事が、起きかけている現状が、怖いんだ。

川 ゚ -゚)「聞こえてるだろ」



43: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:39:25.29 ID:jcA3pI2/0
クーの言葉が届く度に、それを掻き消すような痒みが頭に生じる。
『幽霊の声なんて聞こえませんよ』
脳味噌がそれを主張しているかの様。人間は黙っていろ、俺は幽霊だ!








                                    第
                                  第十話
                                    話



46: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:41:26.81 ID:jcA3pI2/0
そんな訳で俺は幽霊である。

('A`)「もう人間として生きる事は無い」

決め手は大家だ。
俺がレントゲンを見せた。
大家は正常な脳だね、だから働いて家賃持って来い。そう言い放った。
傷は見えていなかった。やはりクーの説が正しかったのだ。

('A`)「幽霊の状態を解かなければ、俺は永遠にこのままでいられる。
    誰が何と言おうと、人間は捨てた」

川 ゚ -゚)「勝手にしろ。だが、これだけは言っておく。
     これから先も、本気でその意思を貫くつもりなら、
     お前は現実から逃げた負け犬だ。遠吠えも出来ない真の負け犬だ。
     私は……ドクオには人間として生きて欲しかったんだがな」

難色を示しているようではなかったが、どこか納得がいかない、といった表情だった。

だが、そんな事は俺に関係ない。断じて。



48: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:43:10.41 ID:jcA3pI2/0
('A`)「負け犬で結構。生憎、人生は勝ち負けじゃないと思っているんで。人生ゲームなら別だが」

俺は高らかに笑ってみせた。
後で俺って高笑い似合わねー、と思った。
反対にクーは諦めたように溜息を吐いている。
元々微弱だった太陽の光が途切れた。気がつけば、分厚い雲が空を覆い始めていた。

大粒の雪が降り出したのは、それから十分程経過した頃だ。



51: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:44:23.03 ID:jcA3pI2/0
俺は依然ベンチに腰を掛けていた。
雪は俺を通過してベンチを白く染めていく。別に虚しいなんて思わなかった。
クーは本来の使い方で滑り台を楽しんでいた。
撤回。でんぐり返しをしながら滑るのは正しい使用法じゃなかった。
てか傾斜75度って。

('A`)「……寒い。寒いし、暇」

川 ゚ -゚)「そりゃ暇だろう。新規の仕事も無い。非現実がごろごろ転がっていると思うなよ」

('A`)「非現実……そうだ! 映画館に行こう。この身体なら無料だし」

川 ゚ -゚)「幽霊ならではのエンジョイの仕方を見つけると、本気で人間に戻れなくなるぞ」

('A`)「だーから、人間は捨てたのー」

川 ゚ -゚)「……ったく」



53: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:45:31.29 ID:jcA3pI2/0

――――――――――――――――――――――――――――――――


ジジジジ…


誘拐犯『ククク……もしハンタの続きを描いたら、このガキ共の命はねぇぜ……』


冨樫『やめろ! 漫画は描かない! だから子供達に手を出すな!』


子供達『駄目だよ、冨樫先生……! みんな続きを待っているんだよ……!
    僕達の事は構わないから、お願いだから原稿描いてよ先生!』



57: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:46:56.67 ID:jcA3pI2/0
冨樫『何を言っているんだ! それこそ駄目だ!
   犠牲の上に成り立つ漫画など、友情努力勝利をモットーとするジャンプ漫画
   などではない! 君達子供は、これからの漫画界を支えていく未来そのものなんだ。
   そこに無駄な命など無い。それらを失ってまで得る原稿料など、クソだ!』


誘拐犯『クク……泣かせるじゃねぇか先生……
    だが忘れるなよ。ガキの命は俺が預かっている。
    お前がペンを握った瞬間、ガキが握り潰されると思うんだな。ククク……』


冨樫『私は負けない。世間でどう思われようと……安息の時が来るまで、仕事は、しない!』

             ――― Fin ―――

ジジジジ…

――――――――――――――――――――――――――――――――



61: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:49:28.91 ID:jcA3pI2/0
('A`)「良い話だったぜ。『光の戦士TOGASHI』」

川 ゚ -゚)「そうか?」

('A`)「萩原が冨樫を庇うシーンなんて号泣しちまったよ。
   この歳にして映画でボロ泣きするとは思ってもみなかった」

鼻水を啜り、腕で涙を拭った。
もう少し劇場内で余韻に浸りたかったが、クーが「もうだるい」とごねるので
渋々俺は立ち去る事にした。退場する際、中年の男性と肩がぶつかった。
男性酒瓶片手に「気をつけろボケが!」と言い放ってきたが、俺は気にも止めずに
脳内で名シーンを再生しては「最高だったぜ……」と呟いていた。決してキモくはない。
外の雪の勢いは増していた。交通量が多かった。寒かった。腹減った。……あれれ?



63: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:51:39.14 ID:jcA3pI2/0
俺が疑問を感じた時には、既にクーの刀は抜かれていた。
真っ直ぐに伸びる日本刀。その先には先程の中年男性の背中。
クーがあと一歩踏み込めば、刃が突き刺さる距離だ。

その気配を感じ取ったのか、中年男性は振り返り、後退りをした。
そして日本刀の存在をしっかりと認識したのか、赤ら顔が徐々に青冷めていくのが分かる。

やがて、本気で危機を感じた彼は、

「びゃあああっ!」

逃げた。

川 ゚ -゚)「待て待て、危害を加えるつもりはあまり無いぞ!」

(;'A`)「ちょっとはあるのか!」

頭の出来は少々よろしくない俺でも、分かった。
今の中年男性は幽霊だ。俺と接触し、クーの刀に怯えているのが何よりの証拠。
そして雪道であるにも関わらず、男の逃げ道に足跡一つ残らないのが、人間ではない事を
決定付けていた。



66: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:52:43.20 ID:jcA3pI2/0
「びょびょびょびょびょびょ!」

奇声を発しながら中年は狭い路地裏に入った。
後を追う。いくつもの建物の隙間に出来た道。入り組んでいる上に薄暗い。
俺は前を行くクーについていくのがやっとだった。

(,,゚Д゚)「スマン。セルフアナル舐めに挑戦してたら、こんな体勢になって動けなくなった」

途中、下半身丸出しの珍生物を見た気がしたが、妖精だと結論付けて走る事に集中した。

やがて中年男性の動きが止まった。どうやら行き止まりらしい。
しかし幽霊にとって前を塞ぐ壁など暖簾と同じだ。
何故そこで停止したのか理解に苦しむ。

川 ゚ -゚)「抵抗する気か……?」



70: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:54:54.73 ID:jcA3pI2/0
「うぐぐぐぐ……!」

酒瓶を両手で握り直し、息を切らしながらこちらを睨みつけた。
逃げる事は諦めたと見てよさそうだ。
ならば次に仕出かす行動は一つしかない。攻撃に転じるのだ。
やはり、中年は「なんだってんだテメエら!」と叫びながら突進してきた。

クーが軽く足を引っ掛ける。
すると中年は自分のつけた勢いのまま倒れ、転がっていった。
完全にコントだったが、中年は蹲ったまま真剣に泣いていた。

「う、うう、チクショウ……オヤジ狩りなんて都市伝説だと思っていた……都会怖いよぉ」

何と勘違いしているんだろう、このオヤジは。



73: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:56:36.06 ID:jcA3pI2/0
これは同情するべき場面なのだろうか。
とりあえず誤解を解く必要がある。
俺は尻を突き出しているグスグスと泣いている中年に近づく。

('A`)「あのー、何か僕達の事誤解していませんか?」

「うるせぇ! 金なら一文も無いぞ!
 それでも欲しいなら俺の股の下にぶら下がっているヤツ持ってけ!」

川 ゚ -゚)「いいの!?」

('A`)「そこに食いつくな」

「ただし命だけは……どうか奪わないでくだしあ……」

もう奪われていると思うのだが。
そう突っ込もうとしたが、間髪入れず中年が俺の襟を掴んで言った。

「息子が、息子がいるんだ……」

川 ゚ -゚)「確かに」

(,,゚Д゚)「ちょっ、引っ張るな。身動き取れないんだから」

('A`)「そこ、静かにしてくれます?」

中年がもう一度、涙ながらに叫んだ。

(`;ω;´)「息子を探しているんだよ!」



77: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 00:59:13.13 ID:jcA3pI2/0
               【+  】

季節は冬でも、外は雪でも、このVIP市民プールは温かい。
体育施設の地下にある温水プールで、土日祝日は家族連れで賑わう。
平日の今日は、腹の出た主婦と、そろそろ天に召されるであろう老人しかいなかった。

( ・∀・)「だからこそチャンスなんだよ。本当は海で俺らしさを演出(笑)したかったが
      生憎この時期の海は凍る一歩手前だと思えるくらい冷たい。そこで選んだのが温水プールなのだ」

サイドチェストのポーズを決めながら、モララーは高らかに笑った。
自分で思っているほど彼に筋肉は無い。
ちなみに黒いTバック一丁。自分から進んで罰ゲームを受けているようなものだ。

( ;ω;)「この前のブーメランパンツの方が男モノな分、まだ許せましたお。
       しかしそれは、明らかに女性用下着……」

ハンディ片手にブーンは、泣いた。
構わずモララーは「どのアングルが〜」など一人で、それも笑顔で熱弁している。

( ・∀・)「どんな手を使ってでも、選挙ではワカッテマスに勝たなきゃならない……
      そのためには、少々照れるがプロモーションビデオを作成する他ないんだ」

( ;ω;)(もしかして、これって降伏してるんじゃないのかお……?)

( ・∀・)「デブスなオバン達が邪魔だな。背景に映るのは頂けないし、そうだなー……」

( ・∀・)「いっそ全部脱ぐか……」

( ;ω;)「どういう結論が!」



79: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:01:44.67 ID:jcA3pI2/0
( ・∀・)「まず涙をお拭き」

モララーはブーメランパンツを差し出した。
ブーンはそれで涙を拭った。後に眼が炎症になるのだが。

( ^ω^)「モララーさん、本当にボスの座狙ってるんですかお?」

( ・∀・)「愚問だな。今の今までチャンスすら巡ってこなかったんだ。
      この期を逃す訳にはいかん、絶対に。
      俺はトップに立つべき人物なんだ。生前は、奇妙な能力で人には敬遠された。
      更に度重なる不運で、チャンスを掴むチャンスさえ俺にはやってこなかった。
      母は、俺は良い子だと言った。親なら誰でも我が子にはそう言うだろう。
      だが、肝心なのは他人の評価だ! 世間は俺の認めるべき部分に目もくれずに、
      どうでもいい事で俺を陥れた! だからいじめよくない!
      いじめをする人間は! 人間を見る目が無い人間だ!
      引き篭もっていたから何だ! 俺はすごいお母さん想いだ!
      不登校だったからって何だ! 俺はすごい筋肉だ!
      大学の奴らめ! 大学の奴らめ!」

( ^ω^)

( ・∀・)「だが……生前忌み嫌われた能力も、この幽霊が彷徨う世界では
      武器になり、威圧になり、また俺にとって誇りにもなっている。
      電撃能力は極めて王道で中ニだ……しかし、最強だ。
      最強は頂点。即ち俺こそトップに相応しい存在……
      ヒトという生物は弱さの中にこそ真の強さを持っている。
      自分で言ってて意味分かんねぇけどな。
      弱い立場、強い立場、両方経験した俺が、次世代を担うボスとして、
      棺桶売りという組織の今後を引っ張っていけると思うんだ……」



84: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:04:42.51 ID:jcA3pI2/0
( ^ω^)(それを踏まえた上で……)

( ^ω^)(Tバックだと……!)

( ^ω^)(狂ってる!)

最初は単なる高慢かと思った。
少なくとも普通の神経じゃない、と感じていた。
しかし、トップに君臨する者とは、いつの時代もモララーのような人物だったのかもしれない。
普通の奴が同じ普通の奴らを率先していける筈が無い。
型破りだからこそ、人は注目する。それこそ良い意味でも悪い意味でも。

目の前で女豹のポーズをするそいつは変態には変わりないが、つまらない奴では無い。

考えてみればブーンの生前も似たようなものだ。
白の燕尾服に黒のブルマだったじゃん。
一度ぶっ壊れてみようか。
その方が絶対面白い。

( ^ω^)「モララーさん」

( ・∀・)「どうした?」

( ^ω^)「薔薇をくわえてM字開脚してくださいお」

( ・∀・)「ちょwwwwwwwwwwww」

そして撮影は始まった。



93: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:09:17.02 ID:jcA3pI2/0
               ⊂('A`⊂⌒`つ

【息子】
息子(むすこ)とは同じ父母から生まれた直系1親等の親族で男子を指す語として使用される。
自分の娘と結婚した配偶者にあたる男性(婿)も本人から見たら(義理の)息子にあたる。また自分の再婚相手の男子の連れ子や自分の養子も「息子」という場合がある。
またhydeの身長は156cmである。

Wikiより

場所は変わらず、路地裏。

('A`)「じゃあ、わざわざ北海道から息子を探しに来たんですか」

(`・ω・´)「うむ、そうなる!」

名をシャキンと言う。
十年前に家を飛び出した息子を探しに、津軽海峡を横断して本州に上陸。
それから長い歳月を経て、現在に至るのだとか。

経緯はいいとして、問題が一つあった。

(`・ω・´)「何かすごく久しぶりに他人と会話した気がするぞ」

自分が死んだ事に気付いていないらしい。

(`・ω・´)「都会人って急に人の身体をすり抜けたりするよね」

おかしいだろ。おかしいと気付くだろ、普通。すり抜けているのはアンタなんだよ。



97: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:13:38.01 ID:jcA3pI2/0
ここで教えてやるのもいいが、それで我を失ったり、取り乱して面倒な事になれば困る。
そう、死んでいれば例え息子が見つかっても、話す事も抱き締める事も叶わない。
それほど残酷な再会があるだろうか。それも親父が再会するだけの、一方通行。


ひそひそ。

('A`)「おい、こういう場合はどうするべきなんだ?
   どうにもならないと結論が出たら、やっぱり強制送還で臭い物には蓋なのか?」

ひそひそ。

川 ゚ -゚)「馬鹿。それをどうにかするのが、お前の役目だろう。幽霊のドクオめ」

ひそひそ。

(`・ω・´)「おいおい、俺に内緒で何ヒソヒソと話し合ってんだ?
       何か俺、不味い事したか? ええ?」

シャキンさんがいちゃもんをつけてきた。
無理も無い。勝手にこっちが追い詰めて、勝手に自分抜きで話をされたら気分悪いだろう。
しかしここで容易に「貴方はもう死んだ人間です」と言って良いものなのか。



100: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:15:44.14 ID:jcA3pI2/0
('A`)「いや、えーとですね……そのー……」

俺が上手く誤魔化せないかと、錆付いた頭をフル回転させている最中、
既に奴は行動を取っていた。
マンホールの蓋がシャキンさん目掛け真横に飛んでくる。

(`・ω・´)「うわっ!」

蓋はシャキンさんを通り抜けて後方の壁にぶつかり、落ちた。
地面を踊る蓋は、ぐわんぐわん、と普段静かな路地裏に相応しくない派手な音を立てる。
シャキンさんの胸中も同じ様に揺さぶられているに違いない。

(,,゚Д゚)「都会のマンホールの蓋はすり抜ける」

もう誰も覚えていないであろうポルターガイストの能力で、蓋を浮かして飛ばしたのだ。
俺は多分、口を半開きで唖然としている。シャキンさんも同様。

(;`・ω・´)「ば、馬鹿な事言わないでくれよ! 危なかったじゃないか!」

(,,゚Д゚)「何が危なかったんだ? ちゃんとスルーしただろ、さっきの円盤は。
     お前はすり抜けられたが、後ろの壁にはぶつかった。これが何を意味するか。
     いくら鈍感でも、自分が置かれている状況くらい把握しなくちゃいけねえよ」

('A`)「おい、早とちりも過ぎるって! そんないきなり自分が死んだとか告げられても……」

(;`・ω・´)「死んだ? 俺は死んでいたのか……? という事は君等は死神か何かか?」
        いやいや、馬鹿も休み休み言うもんだよ若者達。
        これだから嫌なんだよ、都会という場所は。騙されないぞ俺は!」

下手こいた。俺がトドメを刺してしまったようだ。



101: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:18:07.80 ID:jcA3pI2/0
川 ゚ -゚)「そこの陰毛を金に染めている奴は正しいかもしれんな。
     口で言うよりも説得力がある。
     現実の物が己の存在をスルーした、という事実は」

('A`)「いやいや、おいおい……ちょっと待てよ」

(,,゚Д゚)「これ美容師の人にやってもらったんだぜ?
     セットし終えた後、警察来たけど。
     それはともかく、遅かれ早かれ知る事だったんだよ、自分が死んだ事なんざ。
     大切なのはそれからだ。死を受け止めて、それからどうするか、だ」

('A`)「お前ら、ちょっと簡単に考え過ぎだって……シャキンさんの心境も……」

(,,゚Д゚)「幽霊の立場から言わせてもらうと、おっさん、死は始まりに過ぎないんだ」

川 ゚ -゚)「死までの過程が例え絶望でも、『死』自体を絶望と捉えるのは間違いだ。
     人の運命の終着点であり、またスタート地点である。
     スタートとは即ち来世。私達は、貴方が安らかに次のスタートが切れるよう、
     導く者だ。だからここで絶望するな。私達に不可能はあんまり無い。
     息子だろうがムスカだろうが、最善を尽くすつもりだ」

('A`)「ベラベラうるせーよ! ちゃんとシャキンさんの気持ちの整理をつけさせろ!」

(`・ω・´)「ついている」

(;'A`)「あ、そうなんですか……でも息子さんの件は……」

(`・ω・´)「心配いらない。息子を殺して私と同じ立場を作り出せばいいんじゃん」

('A`)「ちょwwwwwwwwwww」



104: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:21:33.84 ID:jcA3pI2/0
(,,゚Д゚)「すごくナイスアイデアだな。だがお前さん、息子は大事じゃないのかい?」

(`・ω・´)「なあに。元々家出しやがったクソ野郎ですからね。
       本当、殺してやりたいくらいなんですよ。
       親の心子知らずってね。あいつは自分勝手な夢のために、家を飛び出した。
       『親父に僕の気持ちは分からない。都会へ出る』って手紙だけ残してね」

川 ゚ -゚)「はて、その夢とは?」

(`・ω・´)「さぁね。まあ……殺すは冗談としても、俺は一発ブン殴ってやらねぇと
       気が晴れねぇ。馬鹿息子め……どうにか一目でもそのツラ拝んでみねぇと
       成仏も出来ないわ。大方変な女に引っ掛かってんじゃねぇのかね……」

('A`)「事情はあまり知りませんが、とりあえず息子さんを探してみましょう。
   数年間一人で探していたんですよね? もう大丈夫です、四人がかりで捜索すれば」

(,,゚Д゚)「俺も頭数に入っているのか」

川 ゚ -゚)「私も四人の内の一人なのか……?」

(`・ω・´)「何故俺も入っているんだ……理解に苦しむ」

('A`)「いやアンタは入ってるだろ当然!」

今回はいつも以上にペースを乱されまくりだ。
そして、まだ発覚していないのがシャキンさんの正体。
ただの人間だった可能性もゼロじゃないが、物語上それは無いだろう。

超能力者、未来人、宇宙人、散々出尽くされたが、まだ何かあるとすれば――――



108: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:24:09.03 ID:jcA3pI2/0
               【+  】

プロモーションビデオ制作にあたって、モララーは自作の曲も歌う事になった。


White Snow Memory

作詞作曲 Morarar
歌 Morarar feat Boon

君と過ごした時間(とき)は まるで優しく降る粉雪
柔らかく温かく輝いていたそれは 消えるのも一瞬だった
ボクの前から君がいなくなって もう何度冬を越しただろう
クリスマスのあの日から ボクの時間は止ったまま

そんなボクを置き去りにして 溶けた蝋燭が垂れた
火の中に映る自分の姿が 虚しくて 切なくて

(サビ)
誰か止めてよ ボクの叫びを
雪化粧した 心に足跡を 
残してみせてよ さあ踏み込んで
初めて出会った 君の笑顔が忘れられない

消えない記憶 親父が危篤 短距離走の切れない記録
慌てて帰宅 遺産相続 本家と分家で巡る損得  Oh year……White Snow Memory……

( ・∀・)「よし……素晴らしい曲が出来上がったな……」

( <●><●>)「ややっ、何やら香ばしい匂いが」



117: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:27:52.36 ID:jcA3pI2/0
( ・∀・)「市民プールは泳ぐか盗撮する所だぜ。そのタキシード姿は間違っているぞ」

モララーと争うボス候補、ワカッテマス。
どうやら後をつけてきたらしい。
散々余裕を振り撒いても、相手の手が気になる性分のようだ。

( <●><●>)「ハッキリしました。心配も不要のようです。
       モララー君、あなたに勝ち目は万に一つもありません。
       その気持ち悪いフレーズの曲に、変態丸出しのPV。
       これでは支持を得られる筈も無い。時代は清純派の私なのです」

( ^ω^)(清純派?)

( ・∀・)「俺は純情派だ」

( <●><●>)「そうかそうか、つまり君はそういう奴なんだな」

軽蔑。その蔑んだ眼は勝利宣言のようなものだった。
下等生物相手に会話をする事すらバカバカしく感じている事だろう。

( ・∀・)「そんな他人を見下すような真似しか出来ない奴に、ボスの座はやらねー」

( <●><●>)「それを決めるのは群衆だ。私はこれでも腰の低い方だと思っているよ。
       見下すなんて人聞きの悪い事を言われると困る。まぁ見下してるけど。
       何にせよ股間に薔薇を挿した奴が粋がっても、滑稽なだけですね」

( ・∀・)「股間に挿してる?
      馬鹿が、肛門に挿しているのが股の間を通って前に咲いて見えるだけだ……」

( <●><●>)「余計駄目だろ」



122: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:32:20.77 ID:jcA3pI2/0
( <●><●>)「それとモララー君、私がボスの座についた暁には、
       君を関西支部に左遷したいと考えています。
       勘違いしないで下さいね。何も君が邪魔という訳ではなく、
       向こうで自分探しの旅をするのも一つの修行だと思うのですよ。
       まあ要約すると君が邪魔って事なんですけどね」

( ・∀・)「か、関西支部……! 風の噂じゃ大阪地区では阪神が優勝するたびに
      道頓堀川で夜中待機してなきゃならないという……」

( <●><●>)「あそこで死んだ人間は死んだという事実を知らずに、幽霊となって暴れる
       危険性があるのですねぇ。何もそこに限った事ではない。
       死んだ事を知らないで彷徨い続ける霊も少なくないのです。
       そんな問題を全て解決に導くのもトップの仕事。やはり相応しいのは私だ」



126: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 01:34:43.48 ID:jcA3pI2/0
( ・∀・)「チッ、タイマンなら負けねーのに」

( <●><●>)「戦闘力も私が上です」

( ・∀・)「いいや、俺だ」

( <●><●>)「私です」

「戦闘力? どうでもいい事だろう。どうせ二人共、ここで消えるんだよ」

( ^ω^)「ややっ! アナウンスかお?」

アナウンスはそんな辛辣な台詞吐かない。
ブーンが首を傾げている間にも、誰かが誰かを抹殺する準備は進められている。

次に響いたのは銃声だ。



さぁ始まるぞ! gdgdのバトルシーンが!



159: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 02:44:44.55 ID:jcA3pI2/0
( <●><●>)「右肩を掠めましたwwwwwwwオゥフwwwwwww」

( ・∀・)「怪我を負ったのは自称清純派、銃声が響いたがオバハン共は呑気に
      溺れたふりしてイケメンインストラクターにお嬢様抱っこされている。
      悲しい事に事件は人間界で起きているんじゃない!
      こっち側の世界で起きているんだ!」

「全く持ってその通りだ。オサムは不在、幹部クラス二人が集まっている。
 こんな絶好のチャンス、二度と巡ってこないかもしれん。
 やはり貴方達はここで消えてもらう。悪く思わないでくれ……ってのは無理か」

どん。

どん。どん。

決してジダンが地団駄を踏んでいるのではない。
銃弾が執拗にモララー達三人を狙ってきているのだ。
見えない場所から。
それも正確に。

( ・∀・)「だが、何も全方位から狙われている訳じゃねぇ。敵もおそらく一人。
      同じ方向からしかダンガンは飛んでこないぜ」

( ^ω^)「ダンガン アシハヤイダケ」

( ・∀・)「そろそろ分かる人にしか分からないネタはよそうぜ」



160: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 02:49:55.71 ID:jcA3pI2/0
自分の人命第一のモララーは、その広いプールサイドから一旦退却。
逃げるように更衣室(女)へ飛び込んだ。

のも、束の間。

( ・∀・)「がはっ……!」

どん。

どんどん血が流れていく。
脇腹を撃たれた。流れ弾なんかじゃない。狙撃されたんだ。

動きが読まれている。
違う。
見えているんだ。居場所が割れているんだ。
どうして? ねぇどうして? どうして自分の位置がばれたの?

(;・∀・)「透視能力……まさか、ハイン……か?」

そんな馬鹿な。ハインたんは仲間だぞ。
何度か本人の前で一人野球拳をやった事があるくらいで、
それ以外に恨みを買うような事を何一つしていない、多分。

★一人野球拳のやり方
自分の右手と左手でジャンケンをします。
仮に右手が勝ったとします。
左手は負けですね。敗者です。ウジ虫以下の負け犬です。
その左手の持ち主は誰かと考えてみましょう。
自分ですね。ええ。
じゃあ脱ぎましょう。はい、脱衣です。これを永遠に繰り返しましょう。



163: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 02:54:17.85 ID:jcA3pI2/0
(;^ω^)「モララーさんっ……!」

(;・∀・)「一箇所に固まるな!
      そして俺に近づいても断じて他人を庇ったりしないから期待するな!
      俺は庇われるのは好きだが庇うのは大嫌いなんだ!」

ボス候補の吐く台詞がそれとは。

( <●><●>)「それで、何の用でしょうか?」

(´・ω・`)

( <●><●>)「そこのスーツ戦士。私と被るのですが」

(´・ω・`)「じゃあそちらさんが消えれば何の問題も無くなりますね」

壁をすり抜けて現れたのは、しょぼくれ眉毛の貴公子ショボン。
果たしてどれほどの人が覚えているのか。

(´・ω・`)「僕の夢を奪った棺桶売りの連中、一人残さず潰してやる。
    そのためなら、手段は選ばない」

『チリン』『チリリーン』

鈴の音。ショボンお得意の、聴覚を利用した催眠術だ。
聞き入ってしまえば終わりだ。完全に敵のペースに飲み込まれてしまう。

( <●><●>)「むぅ、何だが眠くなりそうな音色ですね……」

(;^ω^)(まずいお!)



167: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 02:59:09.52 ID:jcA3pI2/0
(´・ω・`)「そうだな、お前ら全員……「そうはさせないお!」

『誰かー止めてーよーボクのー叫びをー
 雪化粧したー心に足跡をー
 残してみせてよーさあ踏み込んでー
 初めてー出会ったー君の笑顔が忘れられないいいいいいいい』

↓ラップ担当
( `ω´)「消えない記憶 親父が危篤 短距離走の切れない記録!
      慌てて帰宅 遺産相続 本家と分家で巡る損得!」

『Oh year……White Snow Memory…』

(;´・ω・`)「くっ、何だこの酷い雑音は!」

( `ω´)「モララーさんの歌声が入ったテープだお!」

( <●><●>)「眼が覚めたからには……こっちのターンですね。
       私はモララー君のように形振り構わず電力を消費する能力は嫌いです。
       そこで新時代の棺桶、『エコ棺桶』で勝負です」

一言で済ますと、それは牛乳パックだ

( <●><●>)「牛乳パックは丈夫なんです。こうやって積み重ねれば棺桶にもなる」

ズギューン バラバラ…

( <●><●>)「ぼくのエコ棺桶――――――!!」

放たれた銃弾によってエコのそれは破壊された。



173: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 03:04:12.56 ID:jcA3pI2/0
(´・ω・`)「よくやった……良い子だよ」

从 ∀从

(;^ω^)「あのシルエットは……!」

(´・ω・`)「ハインリッヒ……」

从 ゚∀从「バレンタインって〜すごく胸キュンしちゃいますよね〜
     大好きな人にチョコをあげるって、等身大の自分を表現出来ると思いません?」
     キャッ、何言ってんだろアタシ!」

( ゚ω゚)

(´・ω・`)「催眠術により、改造された真・ハインだ!」


( ゚ω゚)

从 ////从「ちょっ……何見つめんですか……そんな凝視されたらハイン困っちゃう……」

(;・∀・)「油断するな、ブーン……それは孔明の罠だ!」

从 ゚∀从「お前は死ね!」バギューン

( ・∀・)「ぎゃああああああああ!」

从 ////从「ねぇ、ブーン君……今好きな人とか……いる?」

( ゚ω゚)



177: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 03:09:45.19 ID:jcA3pI2/0
从 ////从「私はいるよ……それはね……」

ハインが言いかけた途端、真横から衝撃が走った。
重たいミドルキック。それが綺麗に入った。
実行者は、ワカッテマス。
驚くべきスピード。エコとか言っていた人と本当に同一人物かと疑う程だ。

ショボンも眉をピクリと動かし、「これは……」と漏らした。

(;・∀・)「おいテメェこら! ハインは操られているだけだろ!
      元は仲間だ! 救おうとかいう気持ちはねぇのかよ!」

( <●><●>)「今は、敵です」

(;・∀・)「かたすぎるぜアンタ」

( <●><●>)「そういう少年マンガ的な展開はいらないんですよ。
       友情だの仲間だの、そういったものに縛られていると身を滅ぼす結果に
       なるのです。良いですか? これは将棋です。部下とは駒なのです。
       こっちの駒が向こうに取られた。向こうとは敵。立ちはだかるなら
       その駒も、殺す対象なのです。仮にも王将となる人物を目指すのなら、
       割り切る心も大切なのです。
       つまり、自分さえよければまぁいいじゃん、です」

(;^ω^)(カメラまわってるけど、今のワカッテマスさんの演説も
       PVに収録しておくかお……)

(´・ω・`)「伊達に部隊長ではない、か。
     だが、今にも仲間割れしそうな展開だね」



182: ◆R38CE/IWYU :2008/02/14(木) 03:21:28.02 ID:jcA3pI2/0
( ・∀・)「甘ちゃんだな」

( <●><●>)「どちらがですか? 何にせよ、敵を救おうとなど考えている神経を持った者が
      言う台詞じゃないでしょう」

( ・∀・)「結局逃げてるだけさ。お前は。そりゃ力で捻じ伏せるのは簡単だからなぁ」

( <●><●>)「だったら、何か?
       自分は彼女を元に戻せると?
       相手は攻撃してくるというのに? 笑わせるなよ、若僧」

( ・∀・)「やってやるさ」


从 ゚∀从「いった〜い。ハイン、傷付きやすい年頃なのにぃ〜」


――――ひゅん。

从 ゚∀从「!」

赤い、矢のようなものが高速で向かってくる。
天性のカンと反射神経で、ハインはそれを掴んだ。

从 ゚∀从「痛っ……」

薔薇。

( ・∀・)「俺があっという間に、元のハインへエスコートしてやるよ」



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