('A`)ドクオは方舟に乗るようです
- 6: ◆ph2O.JlUMw :2007/08/19(日) 22:48:45.49 ID:ryKMJII6O
『第八話 ペア』
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:49:33.79 ID:ryKMJII6O
- ('A`)「……あんた……」
(´・ω・`)「もしかして迷ったのかい?」
ショボンが壁に寄りかかって立っていた。
(´・ω・`)「偶然君の姿を見て気になってね……」
お墓の時といい、普段ブーンと一緒にいる時はまるで口を開かないこの男がこんな風に喋る事にドクオは違和感を感じる。
特別明るくも暗くもない声の調子。
とても落ち着いていて、まるで泣いている子をあやすような感じだ。
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:50:11.20 ID:ryKMJII6O
- ('A`)「あの……はい、迷ってしまって………」
(´・ω・`)「トイレかい?」
('A`)「いや……医務室に……」
(´・ω・`)「………そうか」
と一言だけいうと事情を分かったようにショボンはドクオに医務室までの道を分かりやすく教えてやる。
('A`)「ありがとうございます……」
(´・ω・`)「………」
ショボンはそのまま何も言わずに歩いていった。
ドクオはやっぱりあの人はいい人なのかもと思った。
ショボンに教えてもらった通りに進んで行くと赤いランプがついた部屋を見付ける。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:53:32.84 ID:ryKMJII6O
- その扉の前に立つと電子音を鳴らしひとりでに扉は開いていく。
ドクオはまだそのカラクリにどうも鳴れないといった様子で中に入る。
医務室の一番奥にあるベッドでハインリッヒが眠っていて、ニダーはベッドの横に置いてある椅子に座って窓の外を見ていた。
ニダーは突然の来訪者に驚いたような顔をしてドクオの方を見る。
<ヽ`∀´>「……何の用ニダ?」
皮肉をこめてドクオに言い捨てた。
ドクオはドキッとして言おうと思っていた事も言えずに申し訳なさそうにする。
('A`)(そうだよ……今更だよな……)
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:54:10.71 ID:ryKMJII6O
- 途端にドクオは居心地が悪くなりこの場から逃げ出してしまいたくなった。
自分の考えが甘かったと気付く。
('A`)(そうだよ……俺は……俺は本当はお見舞いにきたんじゃないんだ……
二人に許してもらうために来たんだ……)
自分の浅ましい考えに嫌悪する。
ニダーは相変わらずの視線をドクオに送る。
<ヽ`∀´>「何をつったっているニダ?」
('A`)「あ……あの、次の鐘がなったらブーンさんから話があるみたいだから……
……その、遅れないように……な…」
ニダーと目を合わさずにうつ向き加減でそう言うとドクオは医務室から出て行く。
ニダーは黙ってそれを見ていた。
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:54:48.45 ID:ryKMJII6O
- <ヽ`∀´>(……あいつは他の奴より少しはましみたいニダ)
そしてまた窓の外を見る。
方舟の上の方に位置する医務室からは村が一望できた。
ニダーがこんな風に村を見据えたのは初めてだった。
<ヽ`∀´>(……小さいニダ)
ニダーは妙な爽快感を覚えた。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:55:43.25 ID:ryKMJII6O
- 鐘がなり、ドクオは指定された部屋へ行く。
広い部屋の中に長机が置かれていて大方人数は揃っていた。
ドクオはクーの隣に座る。
('A`)「いやぁ凄い技術だよな、どれもこれも村で見たことないものばっかだよ」
川 ゚ -゚)「うむ。井戸から汲まなくても水が飲めるとはな……」
他愛のない会話をしているとドクオに遅れてニダーとハインリッヒが入ってくる。
ニダーはドクオを一瞥するとハインリッヒと一緒に座る。
ハインリッヒは顔の血色も良くなってすっかり回復したようだ。
( ^ω^)「皆揃ったみたいだお。
じゃあこれから一人ずつ面接を始めるお」
そういってショボンを連れだって部屋の右隅にある扉を通って隣接する小部屋に入っていく。
しばらくするとスピーカーからブーンの声が聞こえてくる。
『ジョルジュ君、中へ入るお』
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 22:59:30.90 ID:ryKMJII6O
スピーカーを知らない彼等はまたまたその装置に驚いた。
ジョルジュは言われた通りにブーン達が入っていた部屋にいく。
そんな調子で代わりばんこに面接が行われいよいよドクオの番になる。
( ^ω^)「そこに座るお」
('A`)「……はい」
( ^ω^)「これからいくつか質問をするお」
ドクオはかしこまったように座りその緊張の程が伺える。
ブーンは質問をなげかけドクオはそれに答え、ショボンがドクオの返答を紙に書き記していく。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:01:10.54 ID:ryKMJII6O
- ( ^ω^)「最後に……君は何故方舟に乗ろうと思ったお?」
('A`)「………」
10秒程考えてドクオは答えた。
('A`)「………皆のため……です」
( ^ω^)「………以上で終わりだお。お疲れ様だお」
全員の面接が終わり、しばらくするとブーンとショボンが出てきた。
( ^ω^)「君達の事はだいたいわかったお。
それではこれからこの一週間行動を共にしてもらうペアを発表するお」
( ゚∀゚)「ペア…?」
( ^ω^)「そうだお、男女一組のペア。
方舟には男女一人づつで乗るお。だからこれはその為の疑似演習だと思ってもらえればいいお」
( ゚∀゚)「男女一組……」
ジョルジュはチラッとクーを見る。
彼女はその視線に気付いたが意に介さない。
ブーンはショボンから紙を受取り読みあげる。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:02:15.56 ID:ryKMJII6O
- ( ^ω^)「空の部屋にはドクオとクー。
星の部屋にはジョルジュとツン。
海の部屋にはニダーとハインリッヒだお」
それを聞いたジョルジュは納得のいかないといった顔でブーンを見る。
( ^ω^)「ブヒヒ……それじゃ皆仲良くするお。部屋はショボンが案内してくれるお」
空と書かれた部屋に案内されたドクオとクーは荷物を置いて一服する。
部屋の中はシンプルで、ベッドが二つとテーブルに椅子が二つだけだった。
('A`)「面接で何聞かれた?」
ベッドに横たわりながらクーに聞く。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:03:23.45 ID:ryKMJII6O
- 川 ゚ -゚)「……特に変わった事は聞かれなかったよ、年齢だとか好きな物はとか……」
('A`)「……志望動機は?」
思いきってドクオは聞いてみた。
クーは少し間を置いて「聞かれた」と答える。
視線は窓の外を向いていた。
('A`)「………なあクー、なんでお前は志願したんだ?」
川 ゚ -゚)「………」
('A`)「………」
川 ゚ -゚)「……お前を孤独にしたくなかったから」
(*'A`)「………!!」
ドクオは頭が真っ白になりなんと言えばいいかわからなくなった。
嬉しさ、疑問、不安、いろんな感情が絡まりあう。
クーは依然外を眺めている。
なんとなく気まずくなりドクオはそれ以上何も聞くことなくいつの間にか眠りについてた。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:05:56.33 ID:ryKMJII6O
- (#゚∀゚)「くそっ……!!」
星とかかれた部屋でジョルジュは一人あれていた。
ブーンの采配がどうもおもしろくないらしい。
ξ゚听)ξ「ちょっとアンタ!」
(#゚∀゚)「何だよ?」
ξ゚听)ξ「さっきから煩いわね!」
(#゚∀゚)「うるせぇ!」
ツンは何をいっても無駄だと分かると仕方なく彼のほとぼりが冷めるまで我慢することにした。
ξ゚听)ξ(私だってこんな野蛮な奴と一週間も一緒だなんて嫌よ!)
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:07:48.67 ID:ryKMJII6O
- ツンが顔をしかめて椅子に座ると突然ジョルジュが笑いだした。
( ゚∀゚)「へへへ……」
ξ;゚听)ξ「何よ急に……気持悪いわね」
( ゚∀゚)「そうだ……思い通りじゃないなら思い通りになるようにすればいいだけじゃねーか」
ξ゚听)ξ「……」
( ゚∀゚)「俺はいつだってそうしてきたんだからな……」
急に機嫌がなおったジョルジュを何事かとツンは見つめる。
( ゚∀゚)「おい、ちょっと協力しろよ」
ξ゚听)ξ「……協力?」
( ゚∀゚)「へへ、この山にはなぁよく狼が出るんだ………」
第八話 終
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