('A`)ドクオは方舟に乗るようです

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:00:02.43 ID:Y1t7YP66O\





『第十一話   笑み』





5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:00:49.79 ID:Y1t7YP66O
ニダーは朝起きると部屋でブーンに昨日の晩言われたことを反芻していた。
窓から朝日を浴びようとカーテンを開けようとすると差し込んだ日の光に刺激されたハインリッヒが目を覚ました。


从 ゚∀从「ぅ………う〜ん」
<ヽ`∀´>「あ…」

しまった、といった具合にすぐさまカーテンを閉めようとする。
しかしハインリッヒはすっかり目を覚ましてしまった。


<ヽ;`∀´>「わ、悪いニダ……」

从 ゚∀从「おう、おはようさん」

眠りを妨げられた事を意に介すことなく朝の挨拶をニダーに投げ掛けた。


<ヽ`∀´>「おはようニダ」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:01:30.64 ID:Y1t7YP66O
从 ゚∀从「そういや昨日は結局俺が眠る前には部屋に戻らなかったな」
<ヽ;`∀´>「あ、ああ、ちょっとブーンさんに呼ばれてたニダ」

从 ゚∀从「へぇ…」

ハインリッヒはブーンとの話の内容が気になったがニダーには聞かなかった。
軽く背伸びして顔を洗おうと立ち上がったが態勢を崩して膝をつく。

<ヽ;`∀´>「大丈夫ニダか!?」

慌ててニダーが抱き起こし、ベッドに座らせる。
そして水道の水をコップに一杯いれてハインリッヒに差し出す。


从;゚∀从「……すまん」


<ヽ`∀´>「立暗みニダ?まだ昨日の疲れがとれてないみたいだニダ」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:03:04.44 ID:Y1t7YP66O
从;゚∀从「ああ……それに、よく貧血を起こすんだ」

<ヽ`∀´>「貧血……?しっかりご飯食べなきゃ駄目ニダ。せっかくただであんなご馳走が食べられるんだからもったいないニダ」


ニダーはそういえば昨日の夕食でハインリッヒがあまり食べずにそそくさと帰っていった事を思い出して言った。


从;゚∀从「ああ…」

<ヽ`∀´>「取り敢えず朝ご飯を取りにいってくるからまってろニダ」



从 ゚∀从「…ありがとう」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:05:23.81 ID:Y1t7YP66O
ニダーは部屋から出て食堂に向かった。
朝はバイキング形式となっており、各々食堂に用意された食べ物を好きな分だけとって部屋で食べろということであった。


村の建物とまるで様子が違う方舟にいささか見慣れずにいたが、違和感よりも先に未知の技術に期待感を抱いていた。

この方舟にいるだけでニダーは村の誰よりも自分が優位にあると錯覚する。
まして昨日ブーンから伝えられた話の内容はそれを錯覚から確信に到らしめた。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:06:18.21 ID:Y1t7YP66O
<ヽ`∀´>「…………」



トレーに皿を乗せて次々と肉を運んでいく。
最早彼には遠慮はなかった。今までの生活の鬱憤を現す如く肉は皿に積み重ねられていった。

ついに肉の入った鍋は空っぽになったが、すぐさまコックによって追加されていくのを見てニダーはニヤリと口を緩めて食堂を出た。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:09:29.32 ID:Y1t7YP66O
ジョルジュの口元も目元もだらしなく緩みきっていた。
昨日の計画の成功に陶酔しているだけではなかった。


ξ゚听)ξ「朝から気持ち悪いわねぇ」


というツンの言葉を気にするでもなく喜びに震えながら手紙を読み返す。
それは今朝早くに舟のクルーから届けられたその手紙の差出人はおよそジョルジュに手紙など出さぬような思わぬ人物である。

ジョルジュからしてみればしてやったりといった所か。


( ゚∀゚)「くくく…」


( ゚∀゚)「笑いがとまらねえな!」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:10:27.25 ID:Y1t7YP66O
ξ゚听)ξ「一体何よー!」


( ゚∀゚)「うるせぇ!」


一人噛み締める喜びに茶茶をいれるなとツンに一括する。

ξ#゚听)ξ「うるさいのはあんたでしょ!?
だいたい昨日だって協力してあげたのに何よその態度は!あんた―――きゃっ!」


ジョルジュはまくしたてるツンの胸倉をグイッと掴み、恐ろしい剣幕で制する。


ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと…」


(#゚∀゚)「……いいかお嬢様?」


更に顔を近付け威嚇するように鋭い眼光を見せる。



更に顔を近付け威嚇するように鋭い眼光を見せる。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:12:34.14 ID:Y1t7YP66O
(#゚∀゚)「てめえは黙って俺の言う事聞いてればいいんだよ!!」


唾を飛ばす勢いで怒鳴り、白く透き通る頬に張り手を食らわせる。
その勢いのままツンはベッドに倒れ込む。


( ゚∀゚)「ケッ」


ツンは次第に熱が帯びる頬を擦りながらわななき、ジョルジュを見上げる。
憎しみと恐怖の色が涙で滲む。


( ゚∀゚)「じゃあ俺はちょっと出かけて来るからな」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:13:46.84 ID:Y1t7YP66O
ジョルジュは女をはたいた事に一点の罪悪感も芽生えることなく手紙を握り締めて部屋を出ていった。


ξ#;听)ξ「…………」


残されたツンはワナワナと体を震わせ何度も何度も枕を壁に叩きつけた。


ξ#゚听)ξ「昨日の私の協力は何だっていうのよ!
あいつにとったら当然だっていうの!?」


ジョルジュの計画に荷担したのには彼女なりの裏があった。
お互い協力関係になればあの暴れん坊と同等の立場に立て、あわよくば貸も作れると踏んだのだ。
勿論そのためにドクオに対して多少の同情はあったがこれっぽっちの罪悪感もない。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:16:55.18 ID:Y1t7YP66O
彼女の考えは甘かった。
さっきので全てを悟る。例えあの場で計画に手をかさぬと答えようものならきっと力づくで従わせていただろうと。

ξ#゚听)ξ「う……うう…」


ξ#;;)ξ「うわああああああああああああああああああああああ」


彼女怒りのあまり、憎しみのあまりないた。


何より頬が痛かった。


そして泣き顔は次第に歪んだ笑みへと変わっていく。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/04(火) 23:18:59.66 ID:Y1t7YP66O
ニダーは部屋に戻る途中に廊下の窓から何となしに下を見ながら歩いていると人が目に入った。

<ヽ`∀´>「おや、あれは……」

それはジョルジュとクーだとすぐにわかった。


<ヽ`∀´>「朝から散歩とは何も知らずに呑気な奴等ニダ」

そしてニダーは高い所から普段威張り散らすジョルジュとチヤホヤされるクーを見下ろすのは気分がいいものだと思った。

そして彼は迷っていた。部屋でまつハインリッヒに朝ご飯を差し出すと同時に昨日ブーンから伝えられたことを話そうかどうかと。

それはブーンからかたく口止めされていたが言わずにはいられなかった。
思い出す度笑みがこぼれる。
<ヽ`∀´>(…………)

既に自分達が方舟のクルーとして選ばれているということを。



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