( ^ω^)ブーンの人生は運に恵まれていないようです
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:55:33.32 ID:Q/iULhFxO
- 1997年8月19日
あれから僕はドクオさんのライブに何度か顔を出した
前に三人でいたときは恥ずかしくて言えなかった夢も
堂々と話すことが出来た
それを聞いたドクオさんは
笑って
そして応援してくれた
何もかもが上手くいく気がした
そんなある日のこと
僕の家の電話が鳴った
その電話の相手は
以前僕が一人旅をする原因になった人物
そしてその内容は
以前の時よりも更に―――
僕を旅に―――
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:57:21.72 ID:Q/iULhFxO
- その電話を受けてすぐに
僕はジョルジュさんの部屋でドクオさんにも集まってもらって
電話の内容を説明した
('A`)「……ってことはお前の姉さんから電話があって」
( ゚∀゚)「その内容が……」
('A`)「恋人と暮らすから探すな……か」
( ^ω^)「そうなんですお……」
('A`)「それに加えどこで暮らすかはもちろんのこと」
( ゚∀゚)「恋人が誰かも分からない」
ジョルジュさんとドクオさんが僕の説明を確認する
- 6: すいません重複しました :2007/08/19(日) 23:59:30.44 ID:Q/iULhFxO
- ( ^ω^)「それでどうすれば良いのかわからなくて……」
( ゚∀゚)「俺たちを呼んだわけか……」
僕にはこうするしかなかった
この町には相談の出来る人は二人しかいない
しかしこの二人とて簡単には答えも出な―――
('A`)「なあブーン」
('A`)「一緒にニュー速市で暮らさねぇか?」
出たよ答えが
確かにそうだ
姉さんの居場所が分からない今
この国で一番人の集まる町ニュー速市
この町にいる可能性は―――
確率論で言えば
高い
- 8: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:01:01.74 ID:xCK3p3N/O
- 高いと言っても
他の町に比べれば、の話だが―――
それでもその確率に賭ける価値は
充分にある
( ^ω^)「でもドクオさんが何で……」
('A`)「俺はニュー速市で音楽がやりたいんだ。お前はそのついで」
ついで、か……
だったら遠慮もいらないな
( ^ω^)「じゃあドクオさんよろしくお願いしますお」
こうして僕とドクオさん―――
('A`)「敬語はやめろ名前も呼び捨てでいい」
いやドクオとの―――
('A`)「これからは仲間だ」
ニュー速での暮らしが
始まった―――
- 9: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:03:02.82 ID:xCK3p3N/O
- ('A`)「じゃあ行くか」
( ^ω^)「分かったお」
昨日の今日で僕らは出発の準備を終え
この町を離れようとしていた
( ゚∀゚)「気をつけてな」
ジョルジュさんは劇団に残るから、と言ってこの町に残った
父さんには新しい住所を手紙で送ったが
返事は来ないだろう
('A`)「ああ、昨日言い忘れてたけどな」
('A`)「もう一人一緒に暮らすんだ」
駅へ歩きだしてすぐにドクオさんが言う
( ^ω^)「どんな人だお?」
ドクオに敬語を使わないのは変な感じだ
- 11: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:05:12.95 ID:xCK3p3N/O
- ('A`)「ギコって言ってな、ほら俺のライブの時にピアノ弾いてる」
あの人か……
話したことはないが
ドクオさんがパートナーに選ぶぐらいだから
きっと悪い人ではないのだろう
それから数分歩くと最寄りの駅に着いた
すると人混みの中で誰かがこちらに手を振っている
('A`)「おーいギコ、こっち来いよ」
ドクオが声を上げると
その『誰か』はこっちに向かってきた
- 12: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:06:42.68 ID:xCK3p3N/O
- (,,゚Д゚)「よう、お前がブーンだな。よろしく」
( ^ω^)「こちらこそよろしく」
すでにライブで何度か見かけた顔なので
なんとなく話しやすかった
挨拶もそこそこに
電車に乗り込む
電車が出発してからすぐ
('A`)「じゃあ新しい地での暮らしを共にするってことで」
言いながら駅で買ったビールを空けるドクオ
僕とギコもそれに習う
('A`)「固めの杯だ。乾杯」
このビールのように苦くならなければ良いなと
これからのニュー速での暮らしを思っていた
- 14: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:08:02.31 ID:xCK3p3N/O
- 国の中心都市ニュー速市の
更に中心部にあるマンションに着いた頃には
すでに日が落ちかけていた
今までの部屋よりも
幾分狭いこの部屋
ちょっと薄汚れていた
('A`)「じゃあ部屋の掃除は俺がやるからお前らは買い出し行ってくれ」
荷物を置きながらドクオが言う
ということで僕はギコと買い出しに行っていた
- 15: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:09:35.63 ID:xCK3p3N/O
- (,,゚Д゚)「ところでさ」
その道中でギコが口を開いた
(,,゚Д゚)「何でブーンはこの町に来たんだ?」
(,,゚Д゚)「ドクオからある程度は聞いたがやっぱりお前の口から聞きたいんだ」
僕は自分の置かれている状況と
この町に来たワケを話した
(,,゚Д゚)「そうか……それでこの町に」
( ^ω^)「僕には頼れる人がドクオしかいないから……」
- 16: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:11:09.38 ID:xCK3p3N/O
- (,,゚Д゚)「それって友達ってことか?」
( ^ω^)「まあそうとも言うお」
(,,゚Д゚)「じゃあ俺が友達二号な」
言いながら手を差し出す
これが昔の僕が
手に入れたくて
爪先立ちでこけそうになって
それでも届かなかった
ものだと思うと応える手も
震えた
でも
あの時よりは
少し
背が伸びたから―――
今の僕なら―――
手が届く―――
- 17: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:12:43.78 ID:xCK3p3N/O
- 握手を交わした後
お近づきのしるし、と
ギコが差し出したのは―――
(,,゚Д゚)「どうしたガム嫌いか」
あの時僕が好きだった―――
寂しさを紛らわせてくれた―――
働いた
ご褒美―――
( ^ω^)「……嫌いじゃないけどいらないお」
(,,゚Д゚)「?何で?」
- 19: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:14:10.74 ID:xCK3p3N/O
- ( ^ω^)「いや、ガムってさ子供の頃ご褒美だったんだお」
(,,゚Д゚)「だから何もしてない今は食えないって?」
( ^ω^)「そうなんだお、ギコもそういう経験なかったかお?」
(,,゚Д゚)「良く分からないが……まあ俺もちゃんと留守番してたらチョコとかもらってたな」
( ^ω^)「留守番、かお……」
(,,゚Д゚)「ブーンはどんな時もらってた?」
正直に答えようとして
唇が震えた
でも
あの時よりも
僕は強くなれたから―――
( ^ω^)「僕は―――」
- 20: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:16:04.48 ID:xCK3p3N/O
―――二人が出かけてから黙々と掃除を終え
一服していた時だった
(,,゚Д゚)「ただいま」
帰ってきたのはギコだけだった
('A`)「ブーンは?」
(,,゚Д゚)「本屋に寄るってさ」
('A`)「そうか……」
(,,゚Д゚)「ドクオ、あいつ変だよ」
('A`)「どこが?」
(,,゚Д゚)「さっきさ……」
- 23: ◆E6cMliFHiE :2007/08/20(月) 00:18:44.56 ID:xCK3p3N/O
- そう前置きしてギコは買い出しの道中での話を始めた
(,,゚Д゚)「……で、ブーンはどうなんだ?って聞いたんだ。そしたら……」
('A`)「そしたら?」
(,,゚Д゚)「男と寝た後って言ったんだ、悪びれずに」
正直ブーンが何か隠したい過去があるのは
薄々感づいていた
それにもしかすると家庭の事情があるかもしれない
('A`)「まあ何にせよ……」
段々ブーンという人間に―――
('A`)「あいつが帰ってきてからだな」
俺は興味が湧いてきた―――
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