('A`)が神を認めないようです。
- 5: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:46:15.97 ID:GW9nnS2d0
- 久しぶりに帰ってきた協会は悲惨なありさまだった。
子供達が遊んでいたブランコや鉄棒といった遊具、
自分が勉強を教えていた教室、
皆でいろいろな議論を交わした職員室、
それらの全ては跡形も無く破壊されていた。
ただ広がるガレキの山は、もうそこの場所に何があったのかすらわからなくなっていた。
- 8: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:47:56.20 ID:GW9nnS2d0
- / ゚、。 /「みん…な…。」
給食のデザートを取り合うお調子者も、
宿題を忘れてくるやんちゃな子も、
バレンタインにわざわざチョコを作ってくれた優しい子も、
皆殺されてしまった。
遺体を探すつもりはない。
だが、生きてるかもしれないという希望は抱いていない。
荒巻とミルナのコンビは、今まで自分が見てきた中で間違いなく最強だった。
だが、神にはそれすら届かなかった。
- 9: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:49:43.56 ID:GW9nnS2d0
- 一度は間違いなく倒した。
体を真っ二つに切断し、追撃にフレイムランスまでその身に受けたのだ。
死んでいなかったわけがない。
だがあの男は再び目の前に現れた。
切り倒される前となんら変わらない邪悪な笑みを浮かべたままで。
それが何故なのはわからない。
だが、荒巻とミルナは確実に知っていた。
- 13: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:51:25.85 ID:GW9nnS2d0
- 一度殺された人間が蘇る。
そんなありえない現象を起こす方法を二人は知っていたのだ。
一度はミルナの空間に閉じ込められ気絶させられた。
目がさめたときには二人は重症だった。
全身に酷い火傷を負っていて、
一目見ただけで死にかけているとわかった。
それから急いで二人を入院させ、ようやく今日ミルナが目を覚ましたのである。
荒巻はまだ意識が戻っていない。
- 14: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:53:29.88 ID:GW9nnS2d0
- ミルナに事情を説明いてもらったが、想像していた通りだった。
神には手も足も出なかった。
だから二人ともこんな状況になっている。
「情けない話です」そう言い申し訳なさそうな顔をしてるミルナに、
どうしても聞かなければならないことがある。
なぜ蘇る?
対峙しただけでわかった。
あの男は自分がどうにかできるレベルの相手ではない。
だが、間違いなくただの契約者だ。
- 15: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:57:46.05 ID:GW9nnS2d0
- 強いだけなら理解できなくもない。
だが、協会に勤めている自分ですら生き返る能力などしらない。
その疑問はもう限界だった。
まだ、ようやく話せるようになったばかりのミルナに詰め寄る。
あの男はなんなんだ?
あの能力はなんなんだ?
- 17: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/13(火) 23:59:53.45 ID:GW9nnS2d0
- その質問に対してミルナが教えてくれたのは
地下書庫という存在だった。
今まで自分が学んでいたこと。そして教えていたこと。
それらは全てではなかった。
契約者が持つ能力の秘密。
それについて記された本などが地下書庫に隠されているらしい。
詳しく説明してもらえるらしいが、
先に地下書庫が破壊されてないかどうか確認してくれと言われてしまった。
先に説明を要求したが、上司であり、けが人でもあるミルナに何度も頭を下げられ、
自分の非常識な行動にようやく気づき、断りきれなかった。
- 19: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:02:05.21 ID:ZEunC7nw0
- / ゚、。 /「このあたりか…」
ミルナの説明ではこのあたりにあるはずだが…。
ガレキに埋め尽くされ、なにかあるように見えなかった。
コール。そうつぶやいくとあたりに溜まっていたガレキは風によって吹き飛ばされる。
自分が持ってる能力の風は、4大レアには及ばないがそれなりに珍しい能力だった。
だが、少なくとも扱える上限の200までは特に効果の高い能力ではなかった。
このようにガレキをどかすことには役にたつが。
- 22: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:04:12.45 ID:ZEunC7nw0
- 他に持っている能力は基本的なものばかり。それもあまりレベルは高くない。
自嘲気味に笑いが零れる。
なんて情けないんだろう。
何も…何も守れなかった。
一通りガレキをどかし終えると、扉を発見した。
だが、残念なことにすでにその扉は破壊されたあとだった。
ミルナの話では、この扉は能力では壊せないものだったらしい。
だからもしかしたら残ってるかもしれないといわれたのだが、
残骸などから見ると何かバールのようなもので破壊したようだ。
- 23: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:06:28.69 ID:ZEunC7nw0
- 念のために中を確認してみたが、
やはりそこには焦げた跡と塵しかのこっていなかった。
だが、確認するべきことはもう一つ残っている。
地下書庫の中でも最重要な書物。
神の不死についても重要な事を記してある書物。
それは地下書庫のさらに奥。
壁の中に埋められている。
- 24: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:09:13.53 ID:ZEunC7nw0
- ミルナに聞いた目印の模様を探す。
といっても、一面焦げて黒くなって、よくわからない。
なんとかこれだろうと思う場所をみつけ、壁を破壊した。
/ ゚、。 /「これ…が。」
中に隠されていたたった一冊の書物。
神には気づかれなかったらしい。
こんなところに隠してあるなんて誰も気づかないだろう。
- 28: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:11:06.25 ID:ZEunC7nw0
- すぐに中身を確認したい衝動にかられるが、
本にはしっかりと鍵をされており、ミルナ達のもとへ帰るまではおあずけのようだ。
はやる気持ちを抑え外に出ると、さっきは気づかなかったが、微かに物音が聞こえた。
協会の裏のほうだ。
まさか…まだ神がいたのか?
そう思った瞬間走り出していた。
自分では神に勝てはしない。
ましてや今自分が抱えている物は何よりも大切なものだ。
だが、子供達を殺された事を考えるとどうしても自制がきかなかった。
- 29: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:12:59.86 ID:ZEunC7nw0
- /;゚、。 /「はぁ…はぁ…」
しかしそこに立っていたのは
('A`)「…?」
(*゚∀゚)「ダイオード…先生?」
数人の元生徒達と、見知らぬ子供達だった。
- 31: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:14:46.49 ID:ZEunC7nw0
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
川 ゚ -゚)「というわけで、神に対抗する手段の手がかりを求めてここへきたんです。」
(*゚∀゚)「せめて強くなるための手がかりでもあればと思って…」
今度現れたのはダイオードというクー達の元教師だった人らしい。
先ほどのギコと違い、特にこちらを威嚇することもなく、
なぜ俺達がこんなところにいるのかをたずねられた。
('A`)「何か…教えてもらえませんか。」
- 32: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:16:34.33 ID:ZEunC7nw0
- 教師ならば…
神に対抗する手段とまでゃいかなくても、
せめて現状より強くなる方法は知っていてもおかしくない。
若干諦めムードが漂っていた俺たちには、ダイオードが現れた事はとても喜ばしい事だった。
/ ゚、。 /「ギコも…神についたのか。」
そうつぶやき、明らかに気を落とすダイオード。
実際にこの目で見たからわかる。
きっとあの男の戦闘能力は凄まじく高い。
そのギコすらも神の側についたということは、
やはり落胆するには十分なものだろう。
- 34: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:18:45.87 ID:ZEunC7nw0
- (´・ω・`)「先生。僕達を鍛えていただけませんか?」
( ^ω^)「ブーン達は強くなりたい…いや、強くならないといけないんですお!」
ξ゚听)ξ「私達にはあの男を倒さなければならない理由があります。」
/ ゚、。 /「理由…?」
ツンが戦う理由。
それは俺も知らない事だ。
ブーンは知っているのだろう。そして、ツンを助けることがブーンが戦う理由。
俺はクーや友達を失いたくないから。
つーやショボンにも戦う理由はある。
- 35: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:20:38.12 ID:ZEunC7nw0
- ξ゚听)ξ「母が神軍に殺されました。私は復讐のため。
それと二度と大事な人を失わないためにも神を倒したいんです。」
きっぱりと言い放つツンに驚きを隠せなかった。
そんな話は聞いていない。
ツンの母親がいなくなったなんて話…
( ^ω^)「ツン…」
- 38: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:28:52.31 ID:ZEunC7nw0
- ブーンは知っていたんだ。
ツンの悲しみも、覚悟も。
だから俺が不甲斐なくも神に怯えているのを見て
今後戦う意志があるか確認をした。
共に戦う覚悟があるのかどうか。その確認だ。
いつだって度胸も勇気も覚悟すらたりてないのは俺だ。
ξ゚听)ξ「別に奇麗事なんか言うつもりはありません。世界の為なんかじゃない。
私は自分の私怨とエゴの為に神を倒したい。」
( ^ω^)「それならブーンだって同じだお!」
- 39: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:32:05.55 ID:ZEunC7nw0
- 大きな声を出すブーン。
その瞳には一切の迷いなど…存在しない。
( ^ω^)「ブーンはツンを守りたいお。助けたいんだお。
世界を守るなんてたいした事いえない――でも、ブーンの大切なものは絶対守るんだお!!」
ξ゚听)ξ「…バカ。」
恥ずかしげもなく言い切るブーンに、ツンは言葉とは裏腹に表情を緩ませる。
ツンを守りたい。自分の為に戦うと宣言したツンを一人にしないようにすぐ自分も同調する。
守りたいというのは言葉だけじゃない。
もっともそこまで考えてるのかわからないが。
- 40: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:34:56.31 ID:ZEunC7nw0
- ('A`)「俺だってそうだよ。」
もう黙って見てるだけなんてごめんだ。
覚悟が足りないといじけるのも
あいつは勇気があって凄いなんて羨むのも
自分はダメなんだって卑屈になるのも
全部やめにしたんだ。
('A`)「俺はクーを、そして友達を守りたい。
世界なんかどうでもいい。ただ、自分と仲間達を守りたいだけだ。」
- 44: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:38:44.67 ID:ZEunC7nw0
- 恥なんていくらでもかいてきた。
神を目の前にして何もできずに怯える自分。
思い返して泣きじゃくる情けない自分。
一番大好きな人にそんな姿をさらしてきたんだ。
今更こんなセリフで恥ずかしいなんて思わない。
('A`)「だから、お願いします。
俺たちを強くしてください。」
膝をついて頭をさげた。
できることならなんだってやる。
今一番したくないことは、後悔する事だ。
- 46: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:40:38.41 ID:ZEunC7nw0
- 川;゚ -゚)「ド…ドクオ!?」
( ^ω^)「ドクオ…。ダイオードさん、ブーンからもお願いしますお。」
俺の横に並び、ブーンが同じように膝をついた。
今日一日ずっとガレキ掘りをしていたんだ。
どうせもう全身泥だらけでこれ以上汚れるところなんてない。
(*゚∀゚)「ダイオード先生。私は協会から嫌われていたのは勿論わかっています。
でも…お願いします。」
- 48: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:42:51.10 ID:ZEunC7nw0
- ξ゚听)ξ「私も…こんな事しかできませんけど。」
(´・ω・`)「お願いします。神を憎んでるのは先生も同じはずです。」
川 ゚ -゚)「皆…。 先生、私達に力を貸してください。」
傍から見れば滑稽だろう。
6人全員で1人にむかって土下座している光景なんてそうあるもんじゃない。
その中心にいるダイオードは険しい顔をして話し始める。
- 49: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:44:36.41 ID:ZEunC7nw0
- / ゚、。 /「気持ちはわかった。だが…、正直自分にはそこまでの力はないんだ。
神には協会長とミルナ先生がタッグを組んで戦った。
それでも結果は惨敗。二人とも重症で協会長はまだ意識も戻っていない。」
川;゚ -゚)「ミルナ先生が!?」
(;*゚∀゚)「そんな!だって…契約者の中でもトップ二人じゃない!」
つーの言葉を聞いて愕然とした。
契約者のトップ二人。
それでも神には惨敗…。
ショボンの顔を見るとやはりその表情には暗い影がさしている。
- 52: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:47:29.55 ID:ZEunC7nw0
- / ゚、。 /「だが、協会長もミルナ先生も何か隠している。
神の不死身の能力について。」
('A`)「不死身!? あの蘇生能力のことですか?」
/ ゚、。 /「知っているのか…!?」
(´・ω・`)「一度…僕達は神を倒したんです。」
( ^ω^)「間違いなく倒したお。でも、あいつは蘇ったんだお!」
ξ゚听)ξ「神の手下、天使だった人からも神は蘇生の能力がある事を聞いてるしね。」
- 53: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:49:52.78 ID:ZEunC7nw0
- 弟者さんが一度シャキンやニダーに協力した理由。
それは兄者さんが神の能力によって蘇生可能かもしれないという話を聞いたからだ。
もっとも、神がそんな事をするとは思えないという結論に至ったが。
/ ゚、。 /「それについて記された書物を取りにきたんだ。
これからミルナ先生のもとにかえる。…一緒にくるか?」
('A`)「ぜひ!お願いします!」
( ^ω^)「おっおっお! 希望の光が見えてきたお!」
- 54: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:51:54.82 ID:ZEunC7nw0
- ようやく手がかりをみつけた。
神の能力に関する書物。
そしてそれについて知っているというミルナとの接触。
これで少しは…!
/ ゚、。 /「だが条件がある。」
('A`)「え―――?」
答えようとした瞬間強烈な突風に吹き飛ばされた。
見るとダイオードがこちらにむけて手をかざしている。
- 58: ◆2tIpUAdHJU :2009/01/14(水) 00:54:11.40 ID:ZEunC7nw0
- / ゚、。 /「君たちの覚悟は見せてもらった。
しかし、もう一つ確認しなければならない。
戦闘能力において私は協会長やミルナ先生にはとても敵いはしない。
だが、その二人でも神には届かなかった。」
川 ゚ -゚)「…つまり」
(*゚∀゚)「そういうことだね〜…」
/ ゚、。 /「私に勝てないようじゃ、いくら覚悟があってもどう考えても無駄死するだけだからな。
6人がかりで構わない。私を降参させてみろ。」
ダイオードの周りに激しい風が吹き始めた。
第34話 禁書
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