('A`)が神を認めないようです。

47: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:54:18.14 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「それじゃあまた明日ね!」

( ^ω^)「おっおっお! また明日だお!!」


いつもの挨拶を交わして自宅に向かう。
今日もツンは可愛かった。
ツンの照れてはにかむような笑い方が大好きだった。
早く明日になってツンに会いたい。


   『ブーンは神を許さないようです』



50: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:55:14.42 ID:QUZVBcma0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

( ^ω^)「ただいまだお!!」

J( 'ー`)し「おかえりブーン。 今日の晩御飯はカレーだよ。」

( ^ω^)「やったお!! ブーンはカレー大好きだお!!」


本当は一昨日の夜も昨日の朝も晩も、そして今日の朝もカレーだったのだが、
そこには突っ込まない。
男が小さい事をきにしてはいけない。



52: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:56:48.56 ID:QUZVBcma0

( ^ω^)「いっただきます!!」

J( 'ー`)し「ちゃんと手を洗ったかい??」

( ^m^)「ブーンは本当にカレーが好きだな…。 さて、母さん。俺の分を頼む。」

J( 'ー`)し「はいはい。どうぞ。」


その日僕のご飯はカレーで、父と母はうなぎだった。
なぜ僕だけ違うのか聞いてみたところ、カレーに飽きたそうだ。

…僕も正直飽きたんだという事を伝えようかと悩んだが、二人の笑顔を見ると何もいえなかった。



54: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:57:48.19 ID:QUZVBcma0


J( 'ー`)し「おいしい?ブーン。」

( ^m^)「しっかり食って大きくなれよ。」

( ^ω^)「…おいしいお!! ブーンはカレーが大好きだお!!」


そうして楽しい晩御飯タイムは終わり、
風呂で一日の汚れを落とした後、家族でクイズ番組を見る。
これは毎週この日のお楽しみだ。



55: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:59:08.78 ID:QUZVBcma0

( ^ω^)「答えは38だお!!!」

TV「正解は38です。 この問題が解けた人はIQ100です♪」

J( 'ー`)し「あらあら、ブーンったらIQ100だって! 」

( ^m^)「すごいじゃないか。 父さんは全然わからなかったよ。」

(* ^ω^)「おっおっお。 クイズは得意なんだお!」


そうして家族のコミュニケーションをとったあと自分の部屋に戻る。
ちゃんと鍵を閉めた後ベッドに大の字に寝転がった。



57: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:00:18.06 ID:ZZw8WaTm0

( ´ω`)「少し…疲れたお。」


深く息を吐き出す。
今日も学校は楽しかった。
ドクオは相変わらず少し抜けてるし、ジョルジュはおっぱい星人だ。


( ´ω`)「…コール」


手のひらを上にしてそう言ってみる。
指先から出てきたのはライターで出したくらいの大きさの火。



58: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:01:13.81 ID:ZZw8WaTm0

( ´ω`)「ツンもジョルジュもドクオも、みんなブーンよりおっきい火だお。」


自分だけなのだ。
自分だけいつも人より劣っている。
それでも皆は仲良く接してくれているし、別にそれで幸せだった。
ただ…。


( ´ω`)「何かあったときにこんなんでツンを守ってあげられるのかお…。」


そう。
最近は神軍と人軍の争いもひどくなってきている。
今のところ自分たちに被害は無いが、
絶対にその矛先がこっちに向かないとは言い切れないのだ。



59: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:01:53.93 ID:ZZw8WaTm0


( ´ω`)「ツン…。」


今日もツンはそっけない態度だった。
それが照れ隠しだってことはわかってる。
それでも…、たまにそれがたまらなく寂しい。



63: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:02:53.51 ID:ZZw8WaTm0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

( ^ω^)「…ん??」


枕もとでアラーム音がなっている。

どうやら寝てしまっていたらしい。


( ^ω^)「早く用意してツンを迎えにいくお!!」

急いでベッドから跳ね起き、リビングへ向かう。
すると食卓から…もう完全に嗅ぎ慣れた臭いが。



66: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:03:58.53 ID:ZZw8WaTm0

( ´ω`)(またカレーだお…。)


正直もう見るのもいやだと思っていたのだが、
二回もおかわりしてしまうことを考えると、やはり僕はカレーが好きなんだろう。


( ^ω^)「朝飯を食わないと太るお! 
      でも作者は朝飯を食べるようになってから、なぜかもう3キロも太ったんだお!!」


世の中は不思議な事でいっぱいである。
ただ、座って喋るだけの仕事をしているときよりも、
毎朝早起きして汗をかいて夜まで仕事を頑張っているときのほうが太るのだから。



69: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:05:10.53 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「でも顔色はよくなるからやっぱり食べるべきだお!」


そんな事を一人呟きながら公園に向かう。
誰に対する言い訳なのかはわからない。


( ^ω^)「到着だお。 あと数分くらいかお…。」


ツンは毎朝ほぼ変わらない時間にここに来る。
女の子を待たすのがイヤな自分にとってそれは非常にありがたい。



70: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:06:09.59 ID:ZZw8WaTm0

一度自分より早くツンが来て待っていてくれたこともあった。
それは嬉しかったのだが、やはり自分が先に来て待っていたいから、
とツンに伝えると「馬鹿ね…。」と微笑んでくれた。

そんな事を考えていると向こうから
綺麗な巻き髪を揺らした可愛い女の子がこっちにむかってくる。


( ^ω^)「ツーン!! おはようだお!!」


すると彼女は微笑みながら答えてくれる。


ξ゚听)ξ「今日も朝から元気ねー。 ちゃんと顔洗ってきた?」



72: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:07:22.99 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「もちろんだお!! ツンと付き合ってから、毎朝の洗顔と歯磨きは欠かしてないお!!」


これは、毎朝ちゃんと綺麗にしてるからいつでもキスOKだという自分なりのアピールなのだが…。
彼女は鈍いのか、それともガードが堅いのか、こういうアピールは毎回不発に終わっている。


( ^ω^)(おかしいお。 作戦は完璧なはずなのに…)


ξ;゚听)ξ「…てか、あんた今私と付き合ってからって…。」


しまった。
やってしまった。
今回もアピールは不発に終わってしまう。
それどころかまたしてもツンに怒られる原因になってしまった。



73: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:08:52.95 ID:ZZw8WaTm0

(; ^ω^)「お!冗談だお!アメリカンジョークだお!!」


うん。完璧。
我ながら毎回素晴らしい切り替えしだ。
言っただろ? 作戦は完璧なんだ。


ξ#゚听)ξ「嘘つくんじゃないわよ!!!!」

(; ^ω^)「ひいっ! ごめんだお!!!!」


残念。
バレてしまったようだ。
ツンは頭の回転が速すぎる。
僕の完璧な嘘をこうも簡単に見抜くなんて。



74: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:10:03.03 ID:ZZw8WaTm0

そのあと僕はツンから逃げ回る。
これも毎回のパターン。お決まりってやつだ。


('A`)「朝から元気だねぇ。」


こいつはドクオ。
もっさい名前のくせに、美形で不良。しかもクール。
珍しいタバコを吸ってて、一人暮らしで、何より細い。細い。細い。

僕が欲しい要素は全部もっているのに、なぜか僕が思ってるよりもてないようで、
クラスでも浮いてるし、彼女がいたという話も聞いた事がない。
ただ、その容姿から一目ぼれする子は多いようで、4月限定でモテモテだ。

( ^ω^)(羨ましい羨ましい羨ましい羨ましいうらy)



78: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:11:52.31 ID:ZZw8WaTm0

ξ゚听)ξ「あらドクオ。今日は下痢でも頭痛でもないの?」

('A`)「あぁ。たまにはブーンとお前の仲良しオーラをわけてもらおうと思ってな。」

ξ///)ξ「ちょ! 誰が仲良しよ!!!」


( ^ω^)(…ドクオ。 たまにはいいこと言うお。)



80: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:13:22.72 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「おっおっお。 いくらでもわけてあげるお!!」

ξ*゚听)ξ「も、もう! ブーンの馬鹿!」


ツンの頬が少し赤くなってる。
本当に可愛い。

僕は幸せだ。

優しい友人もいるし、照れ屋な可愛い彼女もいる。
お世辞に美人とは言えないかもしれないけど、料理が上手なカーチャン。
同じくかっこいいとは言えないかもしれないけど、たまにこっそり小遣いをくれるトーチャン。


( ^ω^)(おっおっお。 みんな大好きだお。)



82: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:15:57.85 ID:ZZw8WaTm0


そして今日も学校は楽しいものだった。
みんなでふざけたり、笑いあったり。
そんな大切な時間はすぐにすぎてしまった。


( ^ω^)「じゃあツン、また明日だお!」

ξ*゚听)ξ「うん! また明日ね!」


玄関をあけるとまたもやあの臭いが漂っている。
これはもしや…。


(; ^ω^)(まさか…4日連続カレーかお!!??)



84: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:17:21.83 ID:ZZw8WaTm0

それはいくら僕でも困る。
カレーに愛された子として有名な僕だって、可能なことと不可能な事がある。

この3日間昼ごはんもずっとカレーライスだった。

学食のカレーはなぜかおいしいのだ。 これはしょうがない。

だが、家に帰ってまでカレーとなるとこれは問題である。


( ´ω`)「カーチャン…今日もカレーなのかお…。」

J( 'ー`)し「おかえりブーン。 そうよ。」

( ´ω`)「…そうかお。」



85: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:18:26.52 ID:ZZw8WaTm0

何も言うことはできない。
カーチャンは僕が喜ぶと思ってカレーを作ってくれているんだ。
学校へも通わせてくれてるし、掃除も洗濯も全部カーチャンがしてくれてる。
そのカーチャンに文句をいう事なんかできない。 


J( 'ー`)し「あらあら。 さすがにカレーは飽きちゃった?」

( ´ω`)「…いや、そんなことはないお。 カーチャンのカレーは世界一だお。」

J( 'ー`)し「嬉しいこと言ってくれるねぇ。 でも、ブーンが毎日同じものを食べると飽きちゃうと思ったから、
      カーチャン今日は頑張ってカレーうどんにしてみたんだよ。」

( ´ω`)「…カレーうどん…??」


よく見ると、カレー鍋とは別に大鍋でうどんを茹でている。
どうやら茹でたうどんにカレールーをぶっかけてカレーうどんと言い張るつもりらしい。



86: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:20:10.64 ID:ZZw8WaTm0


( ^ω^)「うはwww  み な ぎ っ て き た wwwwww」


カレーうどん。これはもうカレーライスとはまったく別の次元の料理である。
スプーンではなく、箸を使いその太い麺をつかむ。
そしてカレーをよく絡ませて一気にすすり上げる。
所々の人参やじゃがいもがたまらないアクセントとなり、そのもちもちとした食感はまさに奇跡の結晶である。
たとえ1週間カレーライスしか食べてなくて、もう見るのも嫌な程に飽きていたとしても、
カレーうどんなら何杯でもおかわりできてしまう。
そう、それこそがカレーうどんなのだ。


( ^ω^)「うはww ktkr! いただきます!!」

席につくとカーチャンが丼にたっぷりよそったカレーうどんを出してくれた。
カレーのいい匂いが鼻を刺激して、その空腹度はMAXをむかえる。



88: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:21:39.33 ID:ZZw8WaTm0


J( 'ー`)し「ちゃんと手を洗ったかい??」

( ^m^)「ブーンは本当にカレーが好きだな…。 さて、母さん。俺の分を頼む。」

J( 'ー`)し「はいはい。どうぞ。」







その日僕のご飯はカレーうどんで、父と母は黒毛和牛入りすき焼きうどんだった。
なぜ僕だけ違うのか聞いてみたところ、カレーに飽きたそうだ。



89: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:22:35.32 ID:ZZw8WaTm0

( ´ω`)「…………。」

(; ^m^)「ブ、ブーン…?」

( ´ω`)「ブーンのうどんにはもう肉は入ってないお…。 一昨日のカレーライスで全部食べちゃったお。」

(; ^m^)「そ、それはだな…、アレだ。 え〜っと…、なぁ母さん?」

J(;'ー`)し「え!? あ、はい、そうよ。 えっと…、カレーがブーンの分しか残ってなかったのよ!」

(; ^m^)「そう、それだ!! だから、ブーンはカレーが大好きだから父さんも母さんも我慢する事にしたんだ。」

( ´ω`)「…………本当かお?」

J(;'ー`)し「も、もちろんよ!」

( ´ω`)「…………。」

(; ^m^)「ど、どうした??」



91: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:23:46.34 ID:ZZw8WaTm0

( ;ω;)「トーチャン、カーチャン! 本当にありがとうだお!! ブーンは幸せ者だお!!」

(; ^m^)「あ!? あ、あぁ、そうか。」

J(;'ー`)し「そ、それはよかったわ。 オホホホ…。」

( ;ω;)「うっうっ…。ブーンばかり贅沢させてもらってごめんだお…。 ありがたくいただくお!!」

(; ^m^)「…………。」

J(;'ー`)し「…………。」



94: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:25:45.56 ID:ZZw8WaTm0

( ;ω;)「おっおっお。 カレーうどんおいしいお! カーチャンとトーチャンの愛が詰まってるお!!」



(; ^m^)「お、おいブーン。トーチャンの肉を一つやろう。」

J(;'ー`)し「わ、私のもひとつあげるわ。 たくさん食べるのよ。」

( ;ω;)「おっおっお。 ブーンは、ブーンは幸せ者だお!! 二人とも大好きだお!!」



95: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:27:13.73 ID:ZZw8WaTm0




( ;m;)「……ブーン! 明日は焼肉食いにつれていってやる! いくらでも食わせてやる!なぁ母さん!」

J( ;ー;)し「えぇ! もちろんよ!! お金のことなら気にしなくていいわ! 好きなだけ食べなさい!!」


( ;ω;)「トーチャン…。カーチャン…。」



今日も両親は優しい。
大きくなったらたくさん親孝行をしよう。そう誓った。



96: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:28:14.24 ID:ZZw8WaTm0



( ^ω^)「ふぅ…。」


自分の部屋に入ってベッドの上に大の字になって寝転がる。
今日もいつもと同じでいい一日だった。
少し両親が優しすぎた気もするが…。

( ^ω^)(トーチャンもカーチャンもいつも優しいお!)

思い過ごしだろう。



( ^ω^)「…コール。」

何度やっても出てくる火の大きさは変わらない。
だからといって、火を大きくするために人殺しなんて絶対に出来ない。



98: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:29:20.43 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「どうすれば…いいんだお。」


今日もツンの態度はそっけなかった。
僕はツンが大好きだ。
多分ツンもそう思ってくれてるだろう。

でも…、たまに不安になる。

僕なんかと付き合っててツンは満足しているんだろうか?
顔もかっこよくないし、運動神経も走る事以外は全然ダメ。
それに…、ちょっとピザだし。

ジョルジュはおっぱい星人だけど、運動神経がいい。
ドクオは体力はないけどルックスがいい。それに最近は夜中にランニングして体力をつけてるらしい。


( ^ω^)「ツン…。ツンは僕のどこが好きなんだお?」


その答えは返ってこない。



99: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:31:17.30 ID:ZZw8WaTm0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   [逢いたくて 愛おしくて 触れたくて 苦しくて〜♪]


( ^ω^)「…ん?? また眠ってしまってたのかお…。 携帯が鳴ってるお。
      もしもし??」

「もしもし…。」

( ^ω^)「その声は…ツンかお?」

「…こんな時間にごめんね。」


こんな時間? ふと時計を見ると時間はまだ6時前だ。
外は少し明るくなり始めてはいるが、完全に明るいわけでもなかった。



100: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:32:29.61 ID:ZZw8WaTm0

(; ^ω^)「いや、それは構わないお。 でも、突然どうしたんだお??」

「あのね…、お母さん…。 お母さんがね…。」


そのあとツンは電話のむこうで泣き出してしまった。
どうしていいのかわからなかった…。しかし今までこんな事は一度も無かった。


( ^ω^)「ツン。落ち着くお。大丈夫。 今どこにいるんだお?」


とにかくツンが取り乱してるのはわかる。
途切れ途切れ聞こえる言葉から察するにツンのお母さんに何かあったんだろう。


「今…? 自分の家…。」



102: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:34:21.23 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「わかったお。 じゃあ今からブーンがそっちにいくから、いい子にして待ってるんだお。」

「え??今から?? でも、まだ朝早いし…。」

( ^ω^)「パジャマのままだし、顔も洗ってないけど今日だけ許して欲しいお。」

「…うん。わかった。」


その言葉を聞いた瞬間僕は走り出していた。
ツンの家まで走れば僕なら5分でたどり着ける!



103: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:36:10.38 ID:ZZw8WaTm0

「ブーン…。」

( ^ω^)「どうしたお??」

「ごめんね…。いつも口が悪くて…。」

( ^ω^)「…馬鹿だお。 照れ隠しだって事くらいわかってるお。」

「…よかった。 私…、私ね。 ブーンにまで嫌われたら…。」


そう言ってまた泣き始めるツン。
僕はさらに速く足を動かす。今すぐ、今すぐツンを抱きしめてあげなきゃいけない。



104: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:37:40.86 ID:ZZw8WaTm0


( ^ω^)「大丈夫だお。 ブーンはずっとツンの側にいるお。」

「うん…。うん。」

( ^ω^)「だから安心するお。 ブーンが…、ブーンがツンを守るお!!」

「…ありがとう。ブーン。」


ツンの家まであと少しだ。
こんなに全力で走った事がない。
そのせいか膝が震えてこけそうになる。
だがこけるわけにはいかない。今は一秒でも速くツンのところへ。



107: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:39:15.97 ID:ZZw8WaTm0

「…ねぇ、ブーン。」

( ^ω^)「なんだお??」

「大好きだよ。」

( ^ω^)「僕もだお。」


そう言いながらドアをあけた。
そこには目を真っ赤にはらして、顔をぐしゃぐしゃにしてるツンがいた。

ξ;;)ξ「…え?ブーン…??」

( ^ω^)「ブーンだお。」

笑いながらそう言ってツンを抱きしめた。



109: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:40:43.34 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「もう大丈夫だお。 ブーンが側にいるお。」

ξ;;)ξ「ブーン…。ブーン…。 うわぁぁぁぁぁ!!」


泣きじゃくりながらしがみついてくるツンの頭をずっと撫でていた。
途中でツンのお父さんらしき人がバットを構えて部屋に入ってきたけど、
ツンが僕にしがみついてるのを見て、「娘を頼むよ。」と言い残して部屋を出て行った。
いきなり家にはいって何の挨拶もしなかった非礼を詫びたかったけど、
ツンを抱きしめてる今の状態じゃ頭を下げる事が精一杯だった。


ξ゚听)ξ「…ありがとう。ブーン。」


僕から少し離れてそう言ったツンは、どうやら少し落ち着いたようだった。



110: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:42:06.61 ID:ZZw8WaTm0

( ^ω^)「ツン…。どうしたんだお?」

ξ゚听)ξ「…………。」


少しの沈黙。
どうにも耐えがたい空気だけど、今は耐えるしかない。


ξ゚听)ξ「あのね、お母さん…。死んじゃったの。」

( ^ω^)「…………どうしてだお?」


予想はついていた。
普段は気丈なツンがあれだけ取り乱していたのだ。
それに、電話越しにお母さんと何度も言っていた事と、
さっきここにツンのお父さんが来たときお母さんが一緒じゃなかった事を考えれば、
何かあった事くらい馬鹿な僕でもわかる。



112: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:44:39.60 ID:ZZw8WaTm0


ξ゚听)ξ「あのね…、叔母さんが神軍に殺されちゃったの。」

( ^ω^)「…………その叔母さんは」

ξ゚听)ξ「うん…。 ゼロじゃない、普通の人。」


僕は親戚が少なく、みんな関西圏に住んでいたので今のところ今回の騒動で死者はいない。
だが、やはりみんなが僕と同じではない。
本人がゼロでも、その親戚や知人みんながゼロで、被害を受けないとは限らない。



113: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:46:00.04 ID:ZZw8WaTm0

ξ゚听)ξ「それでね、お母さん叔母さんのとこへ行ったんだけど…、
      そこで叔母さんの身内や他の親戚が怒って、神軍に攻撃をしたみたいなの。
      お母さんはそれを一人で抑えてたみたいなんだけど…。」


身内と親戚を合わせれば10人以上になるだろう。
その人数の怒りは一人でおさえきれるものじゃない。

( ^ω^)「…それで神軍に?」

ξ゚听)ξ「……うん。」


なんということだろう。
ツンのお母さんが何をしたっていうんだ。
ただ、身内の死を悲しんで、そのあと被害が増大するのを防ごうと…。



114: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:47:37.39 ID:ZZw8WaTm0


( ^ω^)「…………?? ツン、ちょっと待ってくれお。」

ξ゚听)ξ「…え?」


そうだ。ツンのお母さんは止めようとした。
他の親戚や亡くなった方の身内を止めようとしたんだ。

でも、ツンのお母さん以外の人達は…………??

( ^ω^)「…………叔母さんの住んでたところはどこだお?」

ξ゚听)ξ「九州…だけど…?」



116: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:48:39.12 ID:ZZw8WaTm0


僕の中で少しの疑惑は確信へ変わった。
そうか。 きっと…、そうだ。


( ^ω^)「…いや、なんでもないお。 ブーンも神軍を許さないお。」

ξ゚听)ξ「ブーン…。」


でも、それにツンが気付く必要はない。
今更そんな可能性があったからって何も変わらない。
悪いのは神軍であり、その元凶は神だ。
それは何も変わらない。



117: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:49:43.70 ID:ZZw8WaTm0

ξ゚听)ξ「ブーン…。」

( ^ω^)「なんだお?」

ξ゚听)ξ「離さないで…。」


僕に抱きついてくるツン。
その頭を優しく撫でる。


( ^ω^)「離さないお。絶対に。」



118: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:50:44.16 ID:ZZw8WaTm0

この子を…。守りたい。
他の誰でもなく、僕の手で守りたい。

強く…なりたい。


ξ゚听)ξ「こっちむいて…。」

( ^ω^)「お?」



119: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/24(月) 00:52:34.37 ID:ZZw8WaTm0


ツンは唇を重ねてきた。
その感触はとても柔らかで、甘くて、嬉しくて、愛しくて。

僕は生まれて初めてのキスをしながら、
その相手を守る事を誓った。

たとえその相手が強くても、怖くても。

神であっても。





番外編  『ブーンは神を許さないようです』



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