(#゚;;-゚) でぃが笛を吹くようです

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:12:23.42 ID:aeOgNqWMO

間近で見るVIP城は、それ程大きいとは感じなかった。
王都の周りに門や壁もあるし、そこまで大がかりな物は必要ないらしい。

从 ゚∀从「とりあえず……風呂だな。まずは洗ってから治療だ」

(#゚;;-゚) 「……絶対染みると思うんですが」

从 ゚∀从「我慢しろ」

(;#゚;;-゚) 「……はい」

城、と言ったら凄い豪華な内装を想像をしていたのだが、中に入るといきなりそれは裏切られた。

石で作られた、灰一色の城内。
下には赤いカーペットが敷かれているが、それが少し浮くくらい石の色は暗い。

明かりは壁に付けられた燭台だけだけど、数が多いため、そこまで暗くはなかった。
窓もあるにはあるけど、日も落ちた今は光が入ってくる事はない。

部屋の扉も普通の木戸で、王室も大した物ではないとか。

でも、広い。間違いなく一人じゃ迷うだろう。
天井や廊下の幅が、とかではない。随分と入り組んでいるのだ。
部屋数も多く、ちょっと歩いたくらいだけど、もう城から出るのは難しい。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:16:11.96 ID:aeOgNqWMO

从 ゚∀从「ここだ。すぐ入れると思うぜ」

(#゚;;-゚) 「あの……本当にいいんですか? 私、部外者なのに……」

从 ゚∀从「いーのいーの。風呂くらいで文句言わせねぇよ」

軽く言い、木戸を押し開くハインさん。

生まれてこの方お風呂というのには入った事のない私は、少し心が弾んでいた。
話は聞いた事がある。なんやら、温かくて落ち着く、と。
私は基本的に水浴びするくらいだから、温かいというのは素晴らしい文明の進化だと思う。

从 ゚∀从「ここで服脱げ。……つーか、新しい服が必要そうだな」

(#゚;;-゚) 「……いえ、いいですよ? コレで」

私は今、麻で作られた服を着ている。
首から膝までを覆う、正直簡易な服だ。
ただVIPは一年中温かいため、一枚の布のような服でも問題はない。
ただ山から転げ落ちた為に、かなり汚れ穴も空いてはいた。

从 ゚∀从「体洗ったら綺麗な服着ねぇと意味ねぇよ。
     まぁ後で持ってきてやるから、とりあえず入ろうぜ」

言いながら、腰の短剣と長剣、それぞれの鞘を外すハインさん。
私も服をたくし上げ、脱ぐ。下着は下だけなので、かなり簡単だ。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:18:28.24 ID:aeOgNqWMO

ただハインさんは色々装備している為私とは違う。
でも騎士には見えないな……。それよりかは、剣士って感じの服装だ。

(#゚;;-゚) 「鎧とか付けないんですか?」

从 ゚∀从「いや、戦闘の時はそれなりの格好するよ。
     ただ日常であんな阿呆みたいに重い物、流石に付けてらんねぇよ」

両腕の革小手、両足の脛当て。確かに鎧よりも遥かに軽そうだ。

装備を外せばハインさんもあっという間に裸になり、
最後に眼帯を外すと、待たせたな、と端にある鉄の扉を開けた。

从 ゚∀从「うっしゃ行くぞぉー」

開けた瞬間に霧のようなモヤが出て、ハインさんはその中に消えていった。
私は足の痛みも忘れ、駆け足気味にハインさんを追う。

一段低くなっている中に入ってすぐ、ひどい蒸し暑さを感じた。しかも暗い。

(#゚;;-゚) 「な……なんですかここ」

从 ゚∀从「風呂」

石床、石壁。大して広くはない。
先程服を脱いださっきの部屋となんら変わらぬ造りのここは、私の期待を更に裏切った。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:26:00.52 ID:aeOgNqWMO

(;#゚;;-゚) 「燭台とか、無いんですか……?」

从 ゚∀从「あってもすぐに消えるからな。目を慣らせ」

そんな簡単に……とは思ったが、少し高い位置にある窓からの仄かな明かりで、
何とか今から言わんとする物が見えた。

从 ゚∀从「コレでアレからお湯取って身体流せ。
     間違いなく染みるけど我慢しろよ」

コレとは、端に三つ程積んであった木組みの桶。
アレとは、部屋の真ん中にでんと構える石造りの浴槽。
部屋の割に大きいそれから白い湯気が切れる事なく昇り、中を覗くと木の張り床が敷いてある。

ハインさんによれば、木の下には鉄板があり、更にその下には空洞。
隣の部屋の暖炉から鉄の筒を通しその空洞に熱を送り、鉄を熱し湯を沸かすそうだ。

正直よく分からなかったが、言われる通りに浴槽から桶で湯を取り、少しずつ身体にかけた。

(;# ;;- ) 「うッ……ッ゙〜!!」

从 ゚∀从「少しずつやるからだろ? 一気にかけろ一気に」

言われても肩からちょろちょろとやる私に業を煮やしたのか、
ハインさんはもう一つの桶になみなみと湯を入れ、私の頭へとそれを落とした。

(;#゚;;-゚) 「ゔぁッ!! ……さささささ、寒い……!」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:27:45.08 ID:aeOgNqWMO

ハインさんの行動は、私に痛みよりも寒さを与えた。
咄嗟に震えをあげる身体を両手で掴み、歯をガチガチ言わせながら浴槽へと足を入れる。

(;#゚;;-゚) 「熱ッ! ハインさん、熱いです……」

从#゚∀从「文句ばっかり言うな! とっとと入りやがれッ!!」

ついにキレ、彼女は私の背を蹴り飛ばす。

ザパンという音と水飛沫をあげながら、膝、胸、顔の順で熱湯に突っ込む。
瞬間、痛さと熱さが交わった刺激に身体はザワッと反応し、
思わず出ようとした私の頭を、ハインさんは上から押さえつけた。

从 ゚∀从「女は我慢と根性だ」

小さく呻き声をあげる私に、じんわりじんわりと刺激は染み込んでいき、やがて慣れを見せ始める。
そして熱さからか惚ける頭は、この刺激が気持ちいいものなんだと錯覚した。

自然と、お腹の底に溜まった空気が、緩いため息となり外に出る。

(*#゚;;-゚) 「はぁ〜〜……」

从 ゚∀从「おう、我慢できんじゃねぇか。偉い偉い」

頭に乗せたままだった手で私を撫でると、ハインさんも湯を豪快に被り、浴槽へと入ってきた。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:32:15.71 ID:aeOgNqWMO

浴槽から零れたお湯は、床にある穴へとゆっくり向かっていく。
私はぼんやりとそれを見つめ、ハインさんは惚けた息をつく。

ゆったりとした時間が、この部屋を支配した。

从*゚∀从「いやぁ〜……いい湯だぁねぇ〜……」

(*#゚;;-゚) 「そうですねぇ〜……」

(#゚;;-゚) 「あ、でもいいんですか? 私たちだけ」

从 ゚∀从「元々女は少ないからな、この城は。
     村追われて城に住んでる連中も、遠慮して町にある風呂場に行くしな」

ま、こんな時間に入る騎士は俺くらいだけどな、と、ハインさんは笑いながら言った。

从 ゚∀从「うし、身体洗ってやるよ」

浴槽から出ると三つ目の桶を取るハインさん。
その中には白いタオルがあり、桶にお湯を入れそれを濡らした。

(#゚;;-゚) 「あ、自分で……」

从 ゚∀从「ガキのくせに遠慮なんかすんなよ。ほら、背中向けろ」

(#゚;;-゚) 「あ、あの……あまり、見ないでくださいね……」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:34:11.79 ID:aeOgNqWMO

ハインさんが桶を逆さにして床に置いてくれたので、私はそこに座り背を向けた。
自分の背中は見たことないけど、身体中の傷から大体想像がつく。

从 ゚∀从「……こりゃ、古傷か?」

(#゚;;-゚) 「……はい。もう、何年も前についた傷です」

その時の事、私は正確には覚えていない。まだ物心がつく前の事だから。
でもお母さんに、絶対に忘れないって約束した。

私を守ってくれた、お父さんの事を。

(#゚;;-゚) 「お父さんと私の二人で、山に遊びに行ったんです。
      ……でも、奥までは行かなかったのに、熊の群れと出くわしてしまって……」

お父さんは猟師で、村一番の力持ちだったらしい。
そしてお父さんは私を守り、戦ってくれた。
たまたま村の人が来てくれて、私は傷だけで済んだ。

でも、お父さんは……

(# ;;- ) 「剣を持ったまま……絶命していたそうです」

从 ゚∀从「ならなんで、恥ずかしがるんだよ」

そんな強い声、強い言葉が、私の背を刺した。
そして背中に触れる、温かい何か。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:36:07.37 ID:aeOgNqWMO

从 ゚∀从「いい思い出じゃねぇにしても、この傷はお前の親父さんの形見みたいなもんだ」

(#゚;;-゚) 「ハインさん……」

从 ゚∀从「……誇りにしろよ。
     この傷は、親父さんの力の証じゃねぇか」

(#゚;ー゚) 「……はい」

スッと背中に触れていた何かが離れた。
心の中を温めてくれた、優しい温もりだった。

从 ゚∀从「そういえばお前、今いくつなんだ?」

(#゚;;-゚) 「え? 14ですけど……」

从 ゚∀从「14か……その割りには頭良さそうだよな。
     俺がその頃の時は、悪さばっかしてたぜ?」

牛繋いでる紐切ったり、成っているトマトを壁にぶつけたり……
憤慨はしないけど、ハインさんのした悪さは、かなりの悪戯。
そんな人も騎士になれるんだ……。

(#゚;;-゚) 「ハインさんはお幾つなんですか?」

从 ゚∀从「22。あ、俺はいいけどクーには歳聞くなよ? キレるから」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:38:14.43 ID:aeOgNqWMO

(;#゚;;-゚) 「そうなんですか?
      でもクーさん、年令隠すほどには見えませんでしたけど……」

从 ゚∀从「それがわかんねぇんだよ。
     もしかしたら凄いババァなのかもな」

話してる間、ハインさんは私の背中を洗ってくれていた。
背には怪我が無かったらしく特別痛くはなかったけど、最後にゴシゴシッ!とやられたのは効いた。

从 ゚∀从「ほら、こっち向け」

(#゚;;-゚) 「いえ、前はいいですよ」

从 ゚∀从「ちげぇよ。お前が俺の背中流すの」

(;#゚;;-゚) 「あ、ごめんなさい……」

お尻を基点に後ろを向く。
既にハインさんは私に背を向けていて、その大きな背中が視界を埋めた。

(#゚;;-゚) 「あ……ハインさんも、傷……」

普通の女性よりも――といっても、お母さんのくらいしか知らないけど――筋肉質な背中。
その左肩から右腰にかけ、違う肌色の傷跡。
バッサリと、斬られたような傷。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:40:05.16 ID:aeOgNqWMO

从 ゚∀从「傷は、俺たち騎士にとって勲章だ。
     それは俺が騎士になる切っ掛けの傷。浸透者にやられたものだ」

(#゚;;-゚) 「浸透者、に……」

正直忘れていた。いや、忘れたかった。
ハインさんはそれを察してくれたのか、他にも理由があるのか。
それは分からないけど、早く洗えと言うとそれから特に、ハインさんが話す事はなかった。




暫らくのんびりとした時間を過ごし、ハインさんは私の服を取りに先にあがった。
しかし帰ってくるまでに少しかかり、初めて『のぼせる』というのを体験してしまった。

持ってきてもらった服は、襟がなく胸上で止める、丈の短いドレスみたいな白い服。
可愛い装飾も少し付いているこんな服を、ハインさんが持っているとはとても思えない。

試しに聞いてみたら、王室から持ってきたという冗談を言われた。

……冗談、ですよね。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:43:15.55 ID:aeOgNqWMO
そんな服を私なんかが着るのは気が引けたけど、
ハインさんに着ないと裸だと脅され、渋々ながら着た。
かなり恥ずかしい服だけど、初めて着る服は新鮮さがあり、少し嬉しかった。

その後、傷の治療をする話だったけど、
そこまでひどくはなかったし私も遠慮したので、二階にあるハインさんの部屋へと向かった。
日が落ちた事もあり、暗く寒い廊下をひた歩いた。

暫らくするとハインさんの部屋に着き、木戸を押し開き中に。
室内は思いのほか綺麗で、白い絨毯と足の低い机、後は質素なベッドだけで構成されている。
扉と対極の位置には窓があり、下には城下町が、上には黒い空にたくさんの星が見えた。


从 ゚∀从「んじゃ、飯持ってくるからここで待ってろ」

(#゚;;-゚) 「あ、はい」

一人、静かな部屋に残された。
一階に宿に泊まれない村の人たちが住んでいるらしく、二階は物音がほとんどしない。
少し退屈で暫らく夜空を見ていたけどそれにも飽き、ベッドに座り部屋を見渡してみた。

(#゚;;-゚) 「あ、鎧だ……本当に騎士だったんだ」

そんな言ったら怒られそうな事も、今なら言える。

壁ぎわの背の高めな机の上に置かれた鉄鎧と、腕、足に付けるのであろう防具。。
私は立ち上がり、何気なしにそれを触れてみた。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:46:30.00 ID:aeOgNqWMO

(#゚;;-゚) 「……傷だらけだ」

鈍い銀、もう灰色といった方が早いそれは、削られた跡があちらこちらに刻まれている。
勲章、まさにそれだ。

この国に、VIPに敵対するような人間はいないと聞いている。
だからこれは、ハインさんの訓練の跡、努力の跡なのだろう。

冷たくザラザラと手に伝わる、どこか気持ちいいその手触り。
扉の向こうから、開けてくれ、と掛けられた声に驚いた私は、その手触りに夢中になっていたのかもしれない。

「うぉーい、早く開けろー」

(;#゚;;-゚) 「はい、今すぐ……!」

木戸の引き手を掴み、扉を引き開く。

扉の向こうには、スチールのお盆を片手に一つずつ、器用に持ったハインさん。
同材質の器が三、四つ置かれ、一つからは湯気が見えた。

从 ゚∀从「机、持ってきてくれ」

(#゚;;-゚) 「あ、はい。真ん中でいいですか?」

从 ゚∀从「おう、上にあるのはその辺置いといてくれ」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:48:25.30 ID:aeOgNqWMO

鎧の置かれてない足の低い机は、代わりに数枚の紙が乱雑に撒かれていた。
壁ぎわの、丁度燭台の影が当たらない位置に佇むそれを持ち、部屋の真ん中まで移動させる。

(#゚;;-゚) 「これ、なんて書かれてるんですか?」

从 ゚∀从「軍の報告書やら浸透者の情報やら。
     ま、大したモノじゃねぇな」

(#゚;;-゚) 「浸透者の……」

私は字が書けないけど、読む事は出来る。
本が好きなので、お母さんに教えて貰いながら少しずつ覚えた。
でもその紙に書かれた、ミミズが這った跡のような字は読めず、
一つに纏め床に置いておいた。少し、残念。

(#゚;;-゚) 「あの、浸透者って……」

从 ゚∀从「んな事より飯だ、飯。腹減っただろ?」

(#゚;;-゚) 「いえ、そんなには……」

グ〜

と、私のお腹が鳴き、ハインさんは笑った。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:50:04.64 ID:aeOgNqWMO

……そこまで感じてはいなかったのに、運ばれた料理の匂いに反応したらしい。
気付けば、机の上には料理が置かれていた。
スチールの皿にパンが三つあり、深い器にはジャガイモとニンジンの、湯気と匂いを放つ少しだけ濁ったスープ。
端の木の小さい器には、緑色の細かく刻んだキャベツと、赤いニンジンのサラダ。

一番大きなお皿には、焼かれたお肉がキャベツの一枚の葉の上に乗っかっていた。

(;#゚;;-゚) 「す、すごい豪華……」

从 ゚∀从「そうか? 普通じゃね?」

(;#゚;;-゚) 「だってお肉とか……すごい久しぶりですよ……?」

从 ゚∀从「そりゃ可哀想に。肉なきゃ生きてけねぇよ、俺は」

そう言うと、手も合わせずにパンを噛るハインさん。
私はハインさんを上目で見ながら、いただきますと呟いた。

手元に置かれたフォークとスプーン。
まずはスプーンを持ち、スープに手を伸ばす。

熱くなった銀のお椀の上縁と底に指をかけ、息を吹きかけ冷ます。
揺れる湯気の向こうでは、金髪の人がフォークを刺したお肉を丸まま食べていた。もとい、噛っていた。

あぁはなりたくない。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:52:08.72 ID:aeOgNqWMO

スプーンを使いスープを掬い、また少し息を吹き口の中に持っていく。
フワッと野菜と塩の風味が広がり、胡椒の味が最後にやってくる。
もう一口、と進みたくなるその程よい辛さ、冷えた身体に染みる暖かさ。
それらが私に、美味しいと呟かせた。

从 ゚∀从「お、マジで?」

ガッと器を掴みズズズッと啜りうめぇ!と叫ぶハインさん。

あぁはなりたくない。

スープの入った器を置き、フォークへと持ちかえお肉へとそれを伸ばす。
まず横にして押し切り、一つ小さくしたそれに先端を刺す。

肉汁と油が滴れ、思わず涎が出た。
ゆっくり口へと運び、噛む。

少し冷めてるけど、やっぱり美味しい。
塩胡椒だけの味だけど、この食感は、他の料理じゃあ出せない。
少ししょっぱいけど、口内に軽く残したままパンを食べたら凄く合い、またしても、美味しいと言ってしまう。

从 ゚∀从「ん、そりゃ良かった。食事は美味くてナンボだしな」

(#゚;;-゚) 「ありがとうございます、ハインさん。お食事まで頂いて……」

从 ゚∀从「気にすんな気にすんな。ほら、サラダやるよ」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:54:27.61 ID:aeOgNqWMO

スッと私の盆にサラダの器を置いたが、私は精一杯手を伸ばしハインさんのお盆に戻した。

(#゚;ー゚) 「貰えないです。もうたくさん、色んな物を貰いましたから」

从 ゚∀从「……そうか。お前は本当に、偉いな」

(*#゚;;-゚) 「そ、そんな事……」

从 ゚∀从「偉い、偉いよ。だからサラダ食べて」

また私の所にサラダを置くハインさん。

(#゚;;-゚) 「……」

从 ゚∀从「……野菜、嫌いなんだ」

(#゚;;-゚) 「尚更です。好き嫌いはいけません」

从;゚∀从「……はい」


その後は、ハインさんの話しに笑いながら、ハインさんと野菜を渡し合いながら、楽しい食事が続いた。
お母さんの味とは違うけどどれも美味しく、でもお母さんの味を忘れないように、ゆっくりと食べた。

久しぶりにお腹一杯になると、強い眠気が私を襲いはじめる。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:56:18.45 ID:aeOgNqWMO

从 ゚∀从「んじゃ俺はこれ戻してくるから、お前は先に寝てていいぞ」

(#゚;;-゚) 「あ、手伝いま……」

从 ゚∀从「寝てろ、って。今日は色々あって、疲れただろ?
     手伝いなら明日いくらでもさせてやるから、今日はゆっくり休め」

(#゚;;-゚) 「……はい。それじゃ、お言葉に甘えさせて頂きます……」

从 ゚∀从「なーんでそんなに固いかねぇ……。
     ハイン!おやすみー! でいいんだよ」

(;#゚;;-゚) 「そんな……」

从 ゚∀从ノ「おら、ハイン! おやすみー!」

(;#゚;;-゚)ノ「ハ、ハイン、おやすみー」

从 ゚∀从「おう、おやすみ。んじゃ、存分に寝ろよ」

変わらぬ態度でそう言い、すっかり空になったお盆を持ってハインさんは出ていった。

私は挙げた右手をそのままに、ベッドに俯せに倒れこむ。
ふかふかなベッドは、眠気を更に強め、一気に私の頭は柔らかくなった。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/05(金) 19:58:54.47 ID:aeOgNqWMO

(# ;;- ) 「……ハイン……さん……クーさん……」

……今日は本当に、色々あったな。

浸透者に追い掛けられて、山から落ちて……。

……クーさんに助けられて、城までやってきて。

ハインさんと会えて、お母さんのお墓を作って……。

(# ;;- ) 「……おやすみ……なさい」

ありがとう……ございました……。






 一日目【馬と騎士】



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