(´・ω・`)ショボンのお店に憑く神様のようです('A`)

2: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 22:51:55.45 ID:tpcP6BPf0


(´・ω・`)「さて、と」

時刻は既に昼過ぎ。そろそろ軽く昼食をとりに来るお客さんなんかが現れても可笑しくはないものの
大抵の人はうちの隣に建っている喫茶店なんかに行ったり、ファミリーレストランに足を運ぶ。
たまにそのおこぼれをもらえる感じだ。

それでも、準備は怠らず昼食の準備を始める。

('A`)「今日は何だ?」

川 ゚ -゚)「ほう、昼食までもらえるのか」

(´・ω・`)「君達は朝もこれでもか!ってくらい食べたでしょ?」

('A`)「腹は減るもんなんだよ。バイト前だし、何か食べたいしさ」

ちなみに、ドクオはというと皮肉なことに店の前に建っているファミリーレストランで働いている。
おかげで店の準備とかを手伝ってもらったりも出来るけども、複雑な気持ちだ。



5: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 22:53:30.74 ID:tpcP6BPf0

川 ゚ -゚)「ほう。どくおはアルバイトなんぞをしているのか」

('A`)「おう。偉いだろ」

川 ゚ -゚)「ああ、ただの駄目男じゃなかったんだな」

(´・ω・`)「なかなか鋭い一言を」

('A`)「結構ぐさりと来たぜ?まあ、働く理由があれなんだがな。コイツの儲けじゃ生活できないからな」

(´・ω・`)「普段はお礼も言わないけど、改めて言うよ。ありがとう」

('A`)「べ、別にお前の為にやってんじゃねーよ!この店が潰れたら俺が困るんだよ!」

川 ゚ -゚)「これが巷で噂のツンデレという奴か」

(´・ω・`)「男のツンデレほど寒いものはないけどね」

('A`)「うるせーよ」

三人で軽く笑い、その後軽く作った昼食をカウンターテーブルの上へ並べた。



8: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 22:54:59.79 ID:tpcP6BPf0

まあ、そんな僕の言葉に聞く耳も持たず、目を輝かせながら二人はがつがつと食べていく。
ドクオに関してはいつも通りがっついているから見慣れているものの
クーに関しては、昨日会ったばかりなので少し驚いた。何せ、綺麗にすらりと伸びた黒髪を揺らしながらも表情はあまり変えずがつがつと食べているんだから。

そして、数分と経たないうちに、お皿に盛られていた物はなくなっていた。

('A`)「ご馳走様」

川 ゚ -゚)「朝食を食べた時も思ったが、やはり美味い」

(´・ω・`)「お粗末様。でもそういって貰えると嬉しいし、自信ももてるよ」

川 ゚ -゚)「これは夕食が楽しみだ」

(´・ω・`)「今から期待するとがっかりするかもね。期待すればするほどそうでもないなって思うことはあるから」



13: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 22:57:18.77 ID:tpcP6BPf0

('A`)「緑黄色野菜20種類配合の野菜じゅーすなんかがそれだったな俺は」

(´・ω・`)「あの時の君の顔はもう愕然としてたもんね。あまりの微妙さに」

川 ゚ -゚)「ほう。それは君も飲んだのか?」

(´・ω・`)「飲んだよ。というか飲まされたね」

川 ゚ -゚)「どうだった?」

(´・ω・`)「不味くはなかった。飲めなくもないけど、飲みたいとも思えない。
     何より不可解だったのが、あれだけ野菜たっぷりなイメージ持たせておいて果汁30%だったってとこだね」

川 ゚ -゚)「はは、おかしなものだな」

('A`)「ほんと、微妙すぎてなんともいえなかったな」

(´・ω・`)「少し値も高かったしね。だからこそ期待したけどそこまで・・・・・・って気分になったんだよ」

川 ゚ -゚)「なるほど。それは辛いな」



15: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 22:58:26.94 ID:tpcP6BPf0

(´・ω・`)「っと、ドクオそろそろ時間だね」

('A`)「お?あーそうだな。んじゃ、行ってくるわ」

川 ゚ -゚)「あるばいとか」

('A`)「そうそう」

川 ゚ -゚)「きばってこい」

('A`)「おうよ」

席を立って、扉の前に立ち、親指をぐっと立てて満面の笑みを浮かべながら足早に外へと出て行った。
服装は少しぼろっちいけど、お店の制服は結構きちんとしてるものなのであまり小汚いイメージもなくなってしまう。
普段着に色々と着させようとしてみたけども「別にいいよこれで」とあしらわれるのでいつもあの黒無地Tシャツが普段着だ。

そんなドクオの背中を見送って、クーと二人になったところで

(´・ω・`)「さてと、お皿でも片付けてくるよ」

川 ゚ -゚)「すまないな。あとで何か手伝おう」

(´・ω・`)「じゃ、後で客引きでもやってね」

川 ゚ -゚)「む、気はさほど進まないがやるとしよう」

(´・ω・`)「はは、ありがとう。じゃ、洗ってくるよ」

と、店の奥にある洗い場へと二人の食べた食器を片付けに行った。



16: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 22:59:15.35 ID:tpcP6BPf0









第二話 おまけ 三人の日常







19: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 23:02:49.01 ID:tpcP6BPf0






そしてそれからドクオのバイトが終わるまで、何事もなく時間は過ぎていった。


('A`)「たっだいまー」

どうやら帰ってきたらしく、勢いよく扉のベルが鳴り響いた。
扉がちゃんと閉まったのを確認して、バーテーブル越しに僕の目の前の椅子に座る。

(´・ω・`)「おかえり」

川 ゚ -゚)「お疲れ」

('A`)「ん?どうしたよショボン。少し表情が明るい気がするが」

川 ゚ -゚)「ドクオが出て行ってからお客さんがそこそこ来たからな」

(´・ω・`)「貧乏神の力は恐ろしいね」

('A`)「・・・・・・鬱ダ氏ノウ」



22: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 23:04:42.80 ID:tpcP6BPf0


('A`)「あの人なら俺をわかってくれる・・・・・・たぶん、うん、きっと」

川 ゚ -゚)「あの人?」

(´・ω・`)「ああ・・・・・・二日か三日に一度のペースで夜に飲みに来る人がいるんだよ」

川 ゚ -゚)「常連という奴か」

('A`)「そういうこったな。たまに土産とかくれるぜ」

川 ゚ -゚)「それはいい人だな」

(´・ω・`)「ほんと、いい人だよ。落ち着いた雰囲気もあるし、なかなかの男前な方だよ」

川 ゚ -゚)「それは楽しみだ」

('A`)「ん?男に興味でもあんのか?」

川 ゚ -゚)「何を失礼な。私は女だぞ」

('A`)「あーそうか」



25: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 23:05:49.60 ID:tpcP6BPf0

(´・ω・`)「うーん。クーは顔立ちもいいし、モデルさんみたいだけど・・・・・・
      身長が低くて、胸もないよね」

川 ゚ー゚)「ん?」


(;'A`)(;´・ω・`)「・・・・・・(怖い)」

とびきりの笑顔なのに、何か仮面を張っているようなつくり物のような。
おかげで不気味で、それに加えて何か触れちゃならないものを触れたようなオーラが出てる。赤色な。何か赤色な。

川 ゚ー゚)「何か言ったか?」

(;´・ω・`)「ナンデモアリマセン」

(;'A`)「(これは禁止用語だな。気をつけよう)」

川 ゚ -゚)「それならいい。まあちなみに男に興味がないんだがな」

(´・ω・`)「厨二病乙」

川 ゚ー゚)「ん?」

(;´・ω・`)「口を慎みます」

(;'A`)「(女って怖い。やっぱ女って怖い)」



29: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 23:07:35.67 ID:tpcP6BPf0

そのまましばらく沈黙が続いた。
これといって重い空気が出来ているとかではなくて、ただ喋らないだけ。
ドクオもクーも何か考えているのか、それとも何も考えていないのかはわからないけど、視線はあさってだ。

そんな感じで時間は経って行く。

川 ゚ -゚)「まあ、なんだ。楽しみではある」

(´・ω・`)「良い人だよ。普通にね。仕事でどこかに飛んだ時はおみやげ毎回買ってきてくれるしね」

('A`)「この前はぼっちゃん団子だったな。あの人は普通に良い人だ」

川 ゚ -゚)「ふむ。なら、私にはらむねの一つでも買ってきてくれるんだろうか」

(;´・ω・`)「こらこら、ねだるような言い草は駄目だよ」

小さく笑いが起こる。小さな、本当に小さな笑いだ。
学生や若い子達が集まって談笑をして、笑い転げるような、そんな大きな笑い方じゃなく
「はは」と言った感じの小さな笑い声。小さな店に響く、小さな笑い声。



31: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/16(金) 23:08:42.53 ID:tpcP6BPf0


('A`)「(さて、いつまで俺は笑っていられるかな)」

川 ゚ -゚)「(いい空気だ。非常に心が安らぐ。いや、落ち着く、か?珍しいものだな。こんな場所があるとは。潰したく、ないな)」


(;´・ω・`)「(あー今月もまた赤字だよ。内職でもやろうかなぁ)」



各々感情の波はすれ違えども、しっかりと考えを持っていた。
静かに、静かに時は流れていく。

無限ではない

確実に消費する時間は


過ぎていく。


おまけ おわり



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