( ^ω^)ブーンが学校の七不思議に挑戦するようです
- 6: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 22:46:33.66 ID:2KIQv3Na0
- ( ´∀`)「さて……お望み通り外に出たモナ。どういう事か説明してもらうモナ?」
VIP高校正面玄関。
そのちょうど反対側に位置する非常口に、二つの影があった。
/ ,' 3「……もう大丈夫」
( ´∀`)「それはよかったモナ。でもあの怯え様は普通じゃなかったモナ?結局皆置いてきちゃったし……」
/ ,' 3「僕にもよくわからない……でも……」
( ´∀`)「?」
/ ,' 3「……早く校舎から出ないといけない気がして……」
荒巻の返答に、モナーは深く溜め息をつく。
モナーより一際体格の小さい荒巻は、その体を更に小さく縮こませた。
- 8: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 22:50:32.10 ID:2KIQv3Na0
- / ,' 3「ご、ごめ……」
( ´∀`)「……まぁいいモナ。怒ってないモナ。連れてきちゃって悪かったモナ」
( ´∀`)「……それにしてもあいつら遅いモナ?」
非常ドアの向こう側で何をやってるんだろうか。
もしかしたら扉の横に隠れていて、自分達を驚かすつもりかもしれない。
(;´∀`)「ドッキリは勘弁モナ」
ドアノブを捻り、慎重に扉を押す。
驚かされるのを警戒して、10cm程押し開けたまま反応を待った。
- 9: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 22:50:51.97 ID:2KIQv3Na0
- ( ´∀`)「……?」
何の反応もない。
( ´∀`)「???」
拍子抜けしたモナーは、素直にドアを開けて再び校舎に足を踏み入れた。
静まり返る校舎。
そこには、ブーン達の姿はなかった。
( ´∀`)「……? あいつらどこ行ったモナ?」
- 10: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 22:54:09.23 ID:2KIQv3Na0
- VIP高校三階。
ハサミ男からなんとか逃げた三人は、廊下の隅で息を潜めていた。
(*゚ー゚)「はぁっ……はぁっ……なんとか、まいたかな?」
(´<_` )「ふぅ……お前らあんな化け物程度で何怖がってんの?」
ξ゚听)ξ「何言ってんのよ……腰抜かしてたくせに」
(´<_`;)「いや、あの賢者タイム……って知ってる?」
ξ゚听)ξ「は?」
(´<_` )「なんでもない」
(´<_` )(ダメだこいつら……早く兄者を見つけないと)
- 13: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 22:56:50.61 ID:2KIQv3Na0
- (´<_` )「まぁいい。で、あいつは一体なんなんだ?」
ξ゚听)ξ「だから知らないって。っていうか何であんたらここにいるのよ」
(´<_` )「え? いや〜あっはは、まいったなこりゃ」
(*゚ー゚)「それはおいといて、早く外に逃げようよ。警察にも連絡しないと。
あ、あたし携帯投げてきちゃった。ツン、電話してよ。119、あれ? 109だっけ?」
(´<_` )「801じゃない?」
ξ゚听)ξ「……あんた達まだ気付いてないのね」
(*゚ー゚)(´<_` )「?」
- 14: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:00:21.14 ID:2KIQv3Na0
- ツンは、校舎を取り囲む闇と、外への連絡手段が閉ざされた事を告げた。
事態を楽観視していた二人はみるみる顔が青ざめていく。
(*゚ー゚)「嘘……なにこれ」
(´<_`;)「……」
(*゚ー゚)「いやぁっ!! 嘘!! 何なのコレ!!」
ξ;゚听)ξ「ちょ、しぃ!! 落ち着いて!!」
(*゚ー゚)「やだやだやだ!! なんでよ!! 帰してよ!! あたし家に帰るんだから!!」
ξ;゚听)ξ「帰れないのよ!! だから出口をこれから探すんじゃない!!」
(*゚ー゚)「イヤよ!! またアイツに会ったらどうするの!? 皆殺されちゃうのよ!!」
ξ;゚听)ξ「な、何バカな事言ってんの!? そんな大声出したら余計に見つかっちゃうじゃない!!」
頭を抱えて叫ぶしぃ。
ここぞとばかりに吐き出していた。
(*゚ー゚)「殺されなくても外がこんなんなっちゃって……どうすんのよ!! ねぇどうするの!?」
ξ;゚听)ξ「どうするのなんて……あたしだってわかんないわよ!!」
一人になっても化け物に追い回されても、必死に冷静になろうと努めてきたツンだったが、
パニックに陥ったしぃを助ける余裕は既になかった。
- 15: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:03:04.23 ID:2KIQv3Na0
- (´<_` )「軟弱者ッ!!」
(*゚ー゚)「ッ!?」
薄暗い廊下に、乾いた音が響く。
弟者はそんなに力を込めたつもりはなかったが、しぃは頬をはたかれたショックでその場にへたりこんだ。
(´<_` )「……OK、しぃ。時に落ち着け」
(*゚ー゚)「……」
(´<_` )「手を出したことは謝る。サーセンwwwwwwwwwwだが泣いてても仕方な
(*゚ー゚)「な……」
(*゚ー゚)「何すんのよーっ!!!!!!!!11」
立ち上がる力。
その勢いを利用して、拳を下から抉るように天に突き出す。
しぃの全身の力を込めたアッパーが弟者の顎にめり込んだ。
- 17: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:06:11.80 ID:2KIQv3Na0
- ξ;゚听)ξ「うわぁ」
(*゚ー゚)「信じらんない!! 女の子に手をあげるとかマジ最低なんだけど!!」
ξ;゚听)ξ「しぃ」
(*゚ー゚)「わかってるってば!! もう泣かないもん!! もう怒った!! 意地でもあたしはお家帰るんだから!!」
ξ;゚听)ξ「弟者息してない」
(*゚ー゚)「……」
- 18: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:09:14.86 ID:2KIQv3Na0
- (´<_` )「死ぬかと思った……」
(*゚ー゚)「あ、謝らないからね!!」
(´<_` )「大丈夫だ。ちょっと気持ち良かった」
(*゚ー゚)「うぅ……このド変態……」
(´<_` )「とりあえず落ち着いたみたいだな。この変態のおかげで」
ξ゚听)ξ「……ふふ」
(´<_` )「何笑ってんだツン気持ち悪い」
ξ゚听)ξ「ぶっ殺すわよ」
(´<_`;)「ごめんなさい」
(´<_`;)(しぃと違ってマジで怖い)
- 19: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:10:56.30 ID:2KIQv3Na0
- ξ゚听)ξ「こういうとき、あんたみたいな馬鹿が一人いると悲観的にならないで済むわ」
(*゚ー゚)「ブーンとかまさにそうだよね」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
(´<_` )「そういえばブーン達は? はぐれたのか?」
ξ゚听)ξ「わかんない……急に薄暗くなったと思ったら、三人ともいなくなってた。
すぐに外の闇に気付いたわ。圏外になってることにも……そしたら急にアイツが現れた」
(´<_` )「そうか……」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
ξつ听)ξ「……」
(*゚ー゚)「ツン……泣いてるの?」
ξ;゚听)ξ「な、泣いてないわよ!! ただ、その、目にゴミが……」
- 20: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:11:41.13 ID:2KIQv3Na0
- (´<_` )「今どういう状況かさっぱりわからん。だが、考えてても仕方ない。
要はあのハサミ男に気を付けながら兄者や出口を探すってことでFA?」
ξ゚听)ξ「……そうね。怪しいところは片っ端から調べていきましょう」
(*゚ー゚)「……ツン」
しぃが伏し目がちに話しかける。
ξ゚听)ξ「ん?」
(*゚ー゚)「さっきは……その、パニくっちゃってごめん。訳わかんなくなっちゃって……」
ξ゚听)ξ「……」
- 21: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:12:55.76 ID:2KIQv3Na0
- ツンは正直驚いていた。
普段勝気な少女で通っているしぃに、こんなしおらしい一面があったなんて。
ξ゚听)ξ「……いいよ。こんな状況だもん、仕方ないわ。それより、弟者にお礼いいなよ」
(*゚ー゚)「は!?」
ξ゚听)ξ「落ち着かせてくれたのは弟者でしょ?」
暴力はよくないと思うけどと付け足して、ツンは前を向いて歩き始める。
後ろからチラチラと盗み見るしぃは、何度も弟者に話しかけようと試みるものの、
そのうち諦めたように俯いてしまった。
- 22: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:14:30.95 ID:2KIQv3Na0
- (*゚ー゚)「ま、まずはどこから回るの?」
ξ゚听)ξ「手あだリ次第行きましょう。そうね……」
(´<_` )「なぁ……それより電気つけないか? もうコソコソ隠れる必要ないんだし」
ξ゚听)ξ(*゚ー゚)!!
ξ;゚听)ξ「も、盲点だったわ」
(*゚ー゚)「や、やるじゃん弟者!!」
さっそく壁の照明スイッチに手を伸ばす。
三階の廊下に電気がついた。
今までの暗がりに目が慣れていた三人は思わず目を瞑る。
明るく照らされた廊下は、それこそ昼間の校舎と比べて薄暗かったが、三人は見通しがよくなったことに安心した。
(´<_`;)「駄目元で言ってみたんだが……外はこんなでも電気来てるんだな」
(*゚ー゚)「ん? なんか言った?」
(´<_` )「なんでもない。まずは目の前の3−1の教室から行くか」
- 25: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:19:15.57 ID:2KIQv3Na0
- 3−1、3−2、3−3、3−4、3−5……。
順に調べていくうちに、三人はあることに気付いた。
自分達の名前がどこにも無いのだ。
名前が入っているはずのロッカー、置きっぱなしにしているはずの教科書や体操着。
それらはどこにも見当たらなかった。
(*゚ー゚)「どういう事……?」
(´<_` )「俺らの知っているVIP高校じゃないのか? 異世界の裏・VIP高校ってか」
(*゚ー゚)「……?」
ξ゚听)ξ「でもホラ、こないだブーンがヒビ入れた窓ガラス。あれがあるってことはあたし達のVIP高校でしょ?」
三人の議論は、今ある情報ではこれ以上の進展は望めそうに無かった。
堂々巡りの話し合いに見切りをつけ、再び校舎探索を開始する。
- 26: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:20:09.68 ID:2KIQv3Na0
- (*゚ー゚)「この階にあるのはあと音楽室と化学室と図書室くらいかな」
ξ゚听)ξ「片っ端に見て回るのよ。トイレも窓の外も」
言いながらツンは横目で窓の外を眺めた。
校舎内の明かりを反射して、窓ガラスにはツンの顔が浮かび上がる。
その後ろ。
視界の端に、よく見知った顔が浮かび上がった。
ξ゚听)ξ「……え?」
(`・ω・´)「動くな」
- 27: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:21:40.17 ID:2KIQv3Na0
- ツンは窓ガラス越しに、自分の背中に突きつけられた包丁を見た。
ξ゚听)ξ「ちょ、え? あんた何して……」
(`・ω・´)「三人とも動くな。妙な動きしたら刺すぞ」
(*゚ー゚)「え? 何?」
(´<_`;)「おま、何してんだ?」
(`・ω・´)「アイツの手下か? 明かりつけやがって……そうはいかんぜ」
突然の展開に、三人は状況を把握できずにうろたえる。
男が包丁をツンに突きつけているという事態を知って、しぃと弟者は尚更混乱した。
- 32: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:28:29.01 ID:2KIQv3Na0
- 薄汚れた服、ボサボサの髪。
しかし鋭い眼光が三人を射抜いている。
ξ;゚听)ξ「イマイチ展開がわからないんだけど……ドクオとブーンは?」
(`・ω・´)「……? なに言ってやがる」
(´<_`;)「とりあえずその包丁を下ろせよ、ショボン」
(`・ω・´)「……なんでお前らその名前を知ってるんだ?」
- 33: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:28:57.38 ID:2KIQv3Na0
- ………………。
…………。
……。
(`・ω・´)「そうか……ショボンまで来ちまったか……」
ξ゚听)ξ「まさかショボンに双子がいたなんてね。しかもあたし達と同じ状況とはびっくりだわ」
(`・ω・´)「悪かったな。包丁なんて突きつけて」
(´<_` )「終わったことだ。気にするな。そんなことよりいくつか聞きたいコトがある」
ξ#゚听)ξ「ちょっと。気にしちゃいないけど、何でアンタが言うのよ」
(´<_` )「まず一点。アンタが忍び込んだのは14日と言ったな。だが今は29日だ。あんた二週間もここにいるのか?」
もう一点。明かりをつけちゃまずいような事言ってたよな。『アイツの手下』って何のことだ?」
立て続けにまくし立てて、それから弟者は一息ついて言った。
(´<_` )「……最後に。俺の双子の兄も行方不明なんだ。俺と同じような顔をしたヤツを見なかったか?」
- 34: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:30:58.62 ID:2KIQv3Na0
- (`・ω・´)「……順に話そう。さっきも言ったとおり、俺はショボンからVIP高校の七不思議を聞いて、14日の夜に一人忍び込んだんだ」
気付いたらこの有様だった。脱出不可能な上に、校舎には化け物共がうろついてやがる」
(´<_` )(化け物……共、だと? あのハサミ男以外にもまだいるってのか)
(`・ω・´)「家庭科室で包丁を手に入れて、なんとか逃げ回ってたんだ。俺の携帯は……16日。まだ二日しか経ってない」
(´<_` )「……時間軸がおかしいな。まぁズレていたとしても今更驚くことじゃないが」
(*゚ー゚)「え? なに? どういうこと? ちょっと、あたしにもわかるように説明してよ」
(´<_` )「タイムリープがパラレルワールドでパラドックスを起こしたんだ。恐らくこの世界のと現実世界の平行励起が交差したんだろう」
(*゚ー゚)「……ああ……そう、なの……?」
ξ;゚听)ξ「適当な事言うんじゃないわよ」
- 35: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:32:45.69 ID:2KIQv3Na0
- 完全に納得していないしぃを余所に、シャキンは再び話し出す。
(`・ω・´)「もう一点。明かりについてだ。本当は今すぐ明かりを消してほしいんだが……明かりをつけると動き出す化け物がいるんだ」
(*゚ー゚)「じゃ、じゃあすぐに明かり消そうよ!!」
飛び跳ねるように照明スイッチに駆け寄る。
しかし、壁に手を伸ばしたまま動きを止めた。
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
(*゚ー゚)「……アレ……」
しぃの指差す方向。
その先には、日本人形の様な無表情な何かが立っていた。
( ∵) ……コッチ コッチダヨ……
(`・ω・´)「ヤツだ……!! 」
- 38: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:33:24.48 ID:2KIQv3Na0
- 身長はシャキン達の膝までしかない。
うつろな日本人形は近づいてくる様子も無く、ブツブツと何か呟いている。
(`・ω・´)「相手にするな。アレはおとりなんだ。出口がどうとか言って、『本体』の居る場所までおびき出そうとしやがる」
(*゚ー゚)「に、逃げよう!!」
( ∵)……キミノ オニイチャン……
日本人形の言葉に、一人足を止める。
追いかけてくる様子のないソイツに、弟者は話しかけた。
(´<_` )「……なん……だと?」
- 39: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:34:31.27 ID:2KIQv3Na0
- (´<_` )「今コイツなんて言った?」
( ∵)……コッチ……コッチダヨ…………
日本人形は掴みかかる弟者をひらりとかわし、廊下の奥へと誘うように進んでいく。
(´<_`;)「コイツ……兄者を……?」
(*゚ー゚)「や、やばいって!! 絶対嘘だよ!! ついてったら殺されちゃうよ!!」
(´<_`;)「しかしもし本当だったら……」
フラフラと日本人形のあとを追う弟者。
ξ;゚听)ξ「弟者!? ちょ、ちょっとシャキン止めてよ!!」
(`・ω・´)「嘘である可能性が高い。が、真偽の程はわからん」
ξ゚听)ξ「何でそういうことを……!!」
(`・ω・´)「事実だ」
- 40: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:35:12.28 ID:2KIQv3Na0
- (*゚ー゚)「待って!! 待ってってば!!」
(´<_` )「しぃ」
袖を掴むしぃの手を優しく押しのけて、弟者は呟いた。
(´<_` )「俺……生きてこの学校を出たら……告白するんだ」
(*゚ー゚)「!!」
(*゚ー゚)「な、なんで今そういう事を言うのよ!! 知ってる!? 漫画とかだとそういう事言う人って大体死んじゃうんだよ!!」
(´<_` )「……だろうな。これは死亡フラグかもしれん。だが……」
(´<_` )「……俺に折れないフラグはない!!」
(*゚ー゚)「!! おと、弟者ぁ……」
- 41: ◆vNenl4atyc :2008/05/02(金) 23:37:15.86 ID:2KIQv3Na0
- (´<_` )「悪いなお前ら。俺は兄者を助けてから合流する」
ξ゚听)ξ「……もう!! 仕方ないわね。いい? シャキン、しぃ」
(*゚ー゚)「え?」
(`・ω・´)「仕方ないだろう」
ξ゚听)ξ「一人で行かせられるわけないでしょ。あたし達も行くわよ」
(`・ω・´)「元をただせば全ての元凶だからな」
(´<_` )「お、お前ら……」
歩き出す四人。
待ち構える恐怖に、足取りは重かった。
その中で、日本人形だけが嬉しそうに廊下の奥へと進んでいった。
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