( ^ω^)はネクロマンサーのようです

3: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:16:44.82 ID:rX+mIKv90
('、`*;川 「……どういう、事。だって、ミルナ君あなた」

僕は、皆を巻き込むわけには行かない。
しょうがないんだ。
だって、僕の力は……。

(-_-)『君の力は"迷惑"になる。それも、とても大きな』

だって、だって……。
僕の力は、皆を傷つけてしまうかも……しれない。

(;^ω^)「……ミルナ」
('、`*川 「何でそんな事を言うのよ……?」

( д )「――。ごめん、本当に……。ごめんなさい……」

でも、それは言えない。
巻き込めない。巻き込みたくない。
それがたとえ、強引であっても、ブーン……。そして、ペニサスさんとは一緒に……。

いられない。
勝手な僕には、本当に嘘をつき、逃げてまで生きる価値があるのだろうか。





―――――
――――
――



5: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:19:51.69 ID:rX+mIKv90
(;^ω^)「ず、随分歩くんだおね……」

もう気づけば太陽は真上に近くなっていた。
背中に当たるなだらかな陽が、少しだけ熱い。

( ゚д゚ )「でもほら、すぐ先に橋が見えてる。これを渡って少し北へ行けばサブカル。
     ……、林を抜けて東にいけばイエゲ。北西に長く行けばキバヤシだね」

('、`*川 「……そういえば、ミルナ君は北の地理に詳しいけどどうして?」
( ゚д゚ )「僕の生まれはキバヤシなんです。貴族統治の封鎖的な街でした」

会話をしつつも、頭から別れの一言を言わなければならない。
という事が渦巻いてしょうがなかった。
ペニサス、ブーンを見ているだけで、どうにかなってしまいそうな心。



8: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:21:26.76 ID:rX+mIKv90

だから、最後にという訳では無いが、自分を語りたかった。
嘘までついて別れなければならない辛さはこれほどまでのものなのだろうか。

( ゚д゚ )「父親も、母親も。所謂没落した貴族の中に含まれていて、
     プライドはあるのに、お金は無い。夢はあるけど、実行力が無い……。
     一族そろって皆そのような性格、思考でした」

ブーツが地面を噛み締めるような音。
粉っぽい砂煙が自分達の後ろに少し舞っている。

( ゚д゚ )「そんな家族が大嫌いで、僕は教育という物を受けずに、詩を好み、
     本を読み、夢を見て今まで来たんです。己の体の中から、声となって、
     耳を通って、人に伝わる。そんな達成感の塊のような……、夢中になりました」

( ^ω^)「……」

( ゚д゚ )「別に……悲観はしていませんでした。
     それに、もう貴族などという身分にも固執していませんでした」



10: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:22:34.63 ID:rX+mIKv90
('、`*川 「嫌な事、言わせちゃったかな」

( ゚д゚ )「い、いえ。そんな事無いです。自分の過去さえ話せない人……。
     男では無いように育ってきましたから!へへへ……」

そして、10分程道を進んでいくと、周りが、樹木から見晴らしのいい広い景観に変わる。

ブーン達のいた場所から、運河は少し見下した場所にあり、その少しの高さの丘から見える、
青々とした、そして緩やかな流れの水が視界を分断するかのように存在していた。
丁度、その道幅の続き。石で出来た頑丈な造りの橋が架かっていた。

そろそろ太陽も下りに入るかという時間であったので、
行き来している人達が垣間見れた。
そして、この橋を渡りきるまでにミルナは別れを言わなければならない。

( ^ω^)「……ミルナ。あの橋に兵士がいたらブーン達はちょっと都合が悪いお。
       万が一何かあったら助けられる所にいるから、橋に兵士がいないかだけ見てきてくれないかお?」

('、`*川 「そうね。私達町で派手に暴れちゃってるし……」
(;^ω^)「す、すまんこったお」

( ゚д゚ )「そ、そうだね。僕は人ごみに紛れてたから大丈夫だ」



12: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:24:31.71 ID:rX+mIKv90

……今しかない。
でも、別れを切り出すだなんて。
僕には……僕には。

僕には……!!


( ゚д゚ )「……ねぇ、二人とも」
( ^ω^)「お?何かお?」


( ゚д゚ )「……僕、ここから一緒に行けない」


――――


朝がやって来た。
昨日までのプラスはもうどこにも無い。
クーは、その現実に打ちひしがれていた。自分が守ってきた。
そういう考えは間違いなく彼女にあった。

一晩で崩されたそれに、頭がついていかない。
認めているのだが、自分の中の本質がそれを認めない。
心配そうに、自分を見るアニジャに、大丈夫だ。としか言えない自分にも嫌気がさしていた。



13: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:25:39.87 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……。オトジャは、大丈夫なのか」
( ´_ゝ`)「はい大丈夫です。ただ……、腹の辺りの骨が砕けるほどの衝撃を受けたようで……」

……油断していた。と言えばいいのだろうか。
自分の使命を果たせなかった。
街も、己の心も……、そして、大切な仲間も。

川 ゚ -゚)「そうか……。悪い事をした。私があそこで止めていられれば」
(;´_ゝ`)「そんな事!言わないで下さい隊長!!!」

俯くクーの肩を掴み、大きな声をあげるアニジャ。
その力強い掌が、言葉以上にクーへと言葉を投げかける。

そして、沈黙が部屋を包み込んだ。
窓の外では、兵士達が街の人間と共に修復作業を進めている。

昨晩の騒動の影響で噴水は止まり、
水を汲みに行くのも街の外まで行かなければならなくなってしまっていた。



14: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:27:15.82 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……。アニジャ」
( ´_ゝ`)「な、何ですか?」

少しおぼつかない様子で、ベッドから足を下ろす。
全身裸のまま、包帯だけ巻かれている状態で、だ。

川 ゚ -゚)「着るものをとってきてくれまいか」
(;´_ゝ`)「な、何故です?じっとしていてください!!」

川 ゚ -゚)「ならばこのまま部屋を出る」
(;´_ゝ`)「と、取ってきます!取ってきますので大人しく待っていて下さい!!」

どたどたと鎧を身に着けたままのアニジャが走って部屋を出て行く。
両足を床につけたその状態のまま、一人となった部屋でクーは一つ、深呼吸をした。



15: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:30:47.60 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……っ」

そして部屋の隅に立てかけられた、もう使える事の無い剣に手をかける。
中心付近は完全にさび付き、もう元には戻せないだろう。
その剣をスッと構える。

目前の仮想敵を、威すように。
持ち手を少し捻り、袈裟懸けするように、捻らせる。

空想の中の相手は――ひどく強大、堅固、巨大。
まるで岩のような男。

川 ゚ -゚)「……魔術師は、嫌い。か」

力を込め――。
右足を半歩前に。

決して力みすぎず。
己の力を、体内から、持ってくる。
純粋な、塊。

川 ゚ -゚)「……ふんッ!!!」

空間を切り裂く一撃。
それと同時に、刀身は根元から折れ、振りの勢いで床に突き刺さってしまった。



17: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:31:38.07 ID:rX+mIKv90
しかし、剣はまだ"そこ"に存在する。
クーの目にも、部屋に帰ってきたアニジャの目にも。

(;´_ゝ`)「……隊長。それは、お止めになったのでは……」
川 ゚ -゚)「ああ」

バチバチと、響くような音。
その切断面から生えてきたような、質量の塊。

川 ゚ -゚)「それも、止める事にした。アニジャ」
(;´_ゝ`)「……ッ。自らの出生を、お認めになるのですか!!」

川 ゚ -゚)「……守りたかったんだ。お前達を。服、すまなかったな」

動揺しているアニジャから、綿で丁寧に織られた上衣、それと一緒になっているスカートを履く。
そして鎧の具足の甲を剥がし、簡易のブーツにしたてあげる。
ふと、アニジャは不思議に思う。

いや、気が動転していて気づけなかった。
"何をするつもり"なんだろうか。
それが、頭に出てこなかったのだ。



18: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:32:59.93 ID:rX+mIKv90
(;´_ゝ`)「ま、まあそれはともかくです!
       着替えなど用意してどうするつもりなのですか?」

川 ゚ -゚)「地下へ行く」
(;´_ゝ`)「神判堂の……ですか?」

川 ゚ -゚)「そうだ」
(;´_ゝ`)「……駄目です」



プラスは秩序の保たれた都市である。
プラス北部に構える神判堂は、大陸から集められた犯罪者が裁かれる都市。
そして、その神判堂の地下。

巨大な、牢獄が存在している。
かつて神をも捕らえ離さなかったといわれる、ある巨人が死した場所。
光など無く、極悪人が収監されている。

川 ゚ -゚)「止めるなとは言わない。
     私は修羅の道を行こうと決めたのだ。
     しかしその道は一人では通る事も出来ん。それを昨晩嫌というほど思い知らされた」



19: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:35:08.66 ID:rX+mIKv90
アニジャは理解した。
クーは、間違いなくここから出ようとしている。
止めなくては、止めなくてはいけない。

(;´_ゝ`)「だからと言って!!この日常を放り出すのですか!?
       隊長……、いえ、あなたがいなければ!!この街の秩序はどうしていくのです!」

『俺が……守る』

クーの口が開ききる前に、部屋の入り口から声がした。
アニジャの目から、その自分と似た声を聞くと同時に、涙が流れる。

(#´_ゝ`)「……オトジャ。今何と言った」
川 ゚ -゚)「……」

(´<_` )「アニジャ、俺達ではもう……追えない。護るのが精一杯なのだ」

壁に手をかけ、松葉杖をしたオトジャが、小さくそう言う。
急いで来たのか、額に玉の汗を浮かべ、息を切らせていた。

しかしそんな事に構いもせず、ずんずんと詰め寄り布着の首元を掴み上げる。

そしてそのまま壁に押さえつけ、痛がるオトジャを無視し、
耳元で、その怒りで震える声を荒げないように小さく押し殺すように言った。



20: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:36:04.74 ID:rX+mIKv90
(#´_ゝ`)「一回の敗北で……潰される尊厳、志など。
       ……そのようなものなど……。そのような……!!」

(´<_`;)「……ッ。だがな、アニジャ。
       一度組み外れ、崩れた物こそ!!!」

(#´_ゝ`)「崩れた物こそ、何だと言うのだ!!!!」

(´<_`#)「同じ形ではなく!!違う形に作り直せるのだ!!!」

肩でアニジャを突き放す。
あくまでもその、頑なな態度を崩そうとしないオトジャ。
そしてそれを申し訳無いという目で見ているクー。

川 ゚ -゚)「……アニジャ、私を恨んでくれ。ただ、円満にここを出ようとは考えていない。
     だから故、地下へと赴く。そこで私は、神判堂の洗礼を受けてくる」

(;´_ゝ`)「……もう、何も言いません」
川 ゚ -゚)「……すまなかったな。アニジャ、オトジャ……」



21: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:37:52.27 ID:rX+mIKv90
厚手の布袋に詰め込んだ荷物を肩に担ぎ、腰に刀身の無い剣を。
俯き顔をあげようとしないアニジャ、心配そうな眼差しを向けるオトジャ。
これ以上二人と話せば、ボロボロと剥がれてしまいそうで、クーは下唇を噛み締めたまま部屋を出た。

クーのいなくなった部屋。
ベッドには黒く乾いてしまった血が擦られたようについていて、先程まで人がいたという確かな感触を残していた。
アニジャはその場に蹲り、床を思い切り殴りつける。

(#´_ゝ`)「何も……何も出来ん。そんな己に……腹が立つ」

(´<_`;)「……アニジャ」

その時、オトジャはアニジャの影を、ふと見てしまったような気がした。
瞬きのその一瞬だけ考え、また目を開ける。

そしてすぐさま、部屋を出て行く。
オトジャは、クーを追うのかと訊ねた。

( ´_ゝ`)「己を鍛えるのだ。その前に街の修繕をする。
       オトジャ、クーの事を忘れ、傷を癒せ」

プツンと音が切れたような物の言い方。
アニジャの芯に何かが入り込んだのだろうか。
しかしオトジャには、ただ返事をするだけしか出来なかった。



24: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:41:10.27 ID:rX+mIKv90
――――

そしてクーは、神判堂の入り口を出、ぐるりと周囲を回り裏口の前に立っていた。
本来神判堂に囚人が収容される際、裏口から通され、上階で審判を受ける。
そしてその刑の通りに、元いた収容所へと戻される。
しかし、その移動さえも危ういと判断された収容者。人道を外れた者などを裁く際に、この建物の地下。
巨大な収容所に幽閉されるのだ。

そこにクーは用があった。
先程、洗礼と言った。その内容。
黒ずんだ煉瓦で出来た狭く暗い入り口。
それに蓋をするようについている鉄の扉。

鎖でじゃらじゃらと頑丈に締め切られているのを、
関係無いと言わんばかりに扉ごと切り払う。勢いの加減が、久しぶりなのでわからなくなっていた。
まるで爪で引っかかれたような傷跡を、その煉瓦壁に刻み付けていた。



25: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:42:15.43 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……む」

煙が舞うのを、手で払いながら中へと入っていく。
壁には少し間を置きすぎているが、等間隔で光が灯されており、石の会談が延々と渦を巻いて続いていた。
そこを物言わず、淡々と下っていく。
頭の中には、依然あの兄弟の事。内面が弱い自分にうんざりとする。

本当に、あの兄弟の姉のようであった。
プラスで"拾われて"から、人として"育てられて"から。

『この黒髪、大事にしなさい。クー、あなたは綺麗なんだから』

ふと、幼き頃の記憶が蘇る。
今までもたまにあった。眠りにつく前に、自分の目前に光を帯びた母親がそこにいた事。
顔も名前も覚えていない。その母親が目の前に現れた日は、こう無性に剣を振るいたくなっていた。

あのままならどうなっていたのだろうか。
ヒッキーを嫌う口実にしていた魔術師に、なっていたのだろうか。



27: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:43:17.64 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……ふっ。あいつには、悪い事をしてしまっていたな。
     他人を壁にしても、誤魔化せない、逃げられない、振り向けない……」

『ほう、それは良い言葉ですな。隊長さん』

独り言を吐いたクーの前方。
暗がりから年寄りのような、しゃがれた声が聞こえた。

川 ゚ -゚)「いるならいると、言ってほしかったですね。アサピー殿」
(-@∀@)「ひひひ!!そう言わんと!!」

暗闇からひょっこりとその顔を現したのは、声と反比例したような、若い容姿の男。
しかし体は猫背で曲がってしまっており、右手には杖をついていて、奇妙な外見であった。
アサピーと呼ばれたこの男は、ひょこひょこと木の椅子をクーに差し出す。

川 ゚ -゚)「……すみません」
(-@∀@)「堅いですな!!いつにもまして!で、今日は何の用なのです?」

川 ゚ -゚)「今日は、ここを出ようと思って……ここに来たのです」

すると、アサピーの顔色が少しだけ変わる。
どういう事と聞くアサピーにクーは包み隠さず答えた。



29: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:44:36.98 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……私は、自分を騙しきれなかったのです。
     洗礼を受け、全てを流し、そして先へ進みたい。だからここへ来たのです」

(-@∀@)「……むーん。そのような事とはまさか思って無かったですわ。
      しかしどうした事か。あの隊長さんがここまで打ちのめされているなんてねぇ」

珍しそうにクーの顔を眺めこむ。
アサピーの分厚いメガネのレンズにじろじろと見られるのが酷く苦手なクーは、
さっさと次に話を進めようと口を開こうとした。しかしアサピーが、口を開く前に、口を開いた。

(-@∀@)「洗礼を受ければ、隊長さんの中では浄化されるとお思いで?」

まさかこうして問われるとは思っていなかったので、
少々驚きつつも、そうだ、と、クーは返す。

するとまた、先程と同じようにアサピーの顔が曇る。
何かを思索するようにしかめっ面をし、親指を顎に当てた。
そして、クーに一言。



31: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:47:14.61 ID:rX+mIKv90
(-@∀@)「隊長さん。あなたは背負う辛さを知らない」
川 ゚ -゚)「……!」

暗室の中、二人は見えるか見えないかわからないその空間で話し合う。
時たまアサピーの背後の扉の向こうから聞こえてくる叫び声が、邪魔であった。
さらに、アサピーは続けた。

(-@∀@)「隊長さん。私はずっと隊長がここに来てからの事を存じています。
     少しではありますが、ここに至るまでの経緯も聞きました。
     お辛いのはわかります。自らの中に溜め込んでいる物を捨ててしまいたい。それもわかります。
     だがね、あなたはあなただけでは無いのを、ご存知でない。この意味わかりますでしょう?」

実際、ぐさぐさと、針が心に突き刺さり、その中から染み出た液体が広がっていくような、
そんな感覚がクーの中には広がっていた。決して、間違った事は言われていないのだ。

しかし皆、過去を引き合いに出す。もう、語りたくも無いのに。
オトジャが止めてくれた時、少し胸を撫で下ろしてしまった、というのに。



33: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:48:58.62 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「だが……私が咎を受けなければ、どうすればいいというのだ!!!
     皆が苦しんでいる……。私が守れなかったせいで。そして私は今、
     皆を置いて出ようとしてしまっている。どうすれば……どうすれば」

(-@∀@)「そもそも、咎とはどこにありますかね?
     私も実はね、お昼にあの隊長さんが戦っていた所を見ていましてね」

川 ゚ -゚)「……」

(-@∀@)「隊長さん。魔術剣を使わずに魔術師に向って行きましたよね。
     私は感動しましたね!明らかに不利だというのに、立ち向かうだなんて。
     それでも隊長さん、毒で倒れ意識を失い、魔術師を逃がしてしまった……」

川 ゚ -゚)「……それが、如何したと言うのです」

(-@∀@)「いやぁね、隊長さんが運ばれていった後、街の人達が話していたんですよ。
     街をすぐに直そう。自分達にも出来る事を。とねぇ〜。毒の花があったにもかかわらず」



35: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:50:26.35 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「!!!」

(-@∀@)「ヒジョーに良く出来た街だと思いましたぁ。
     街全体に浄化作用が働いているのです。そこいらの街では有り得ないのですよ。
     三剣頭と、ここの街の人が作り上げた大きな城のような物を感じ取りましたね」

アサピーは、後ろにあったランタンに火を灯し、またズルズルと机を引っ張り出しクーとの間に置く。
そして一枚の羊皮紙を見せて、また話を続けた。

(-@∀@)「私はね、この街の裏の入り口を守り、表を見ているんです。それも娯楽として。
     隊長さん。あなたがここに来たという事はとても立派な事。咎を一人で受け止めようとした。
     でもねぇ、それは違うんですよ。隊長さん。あなたが感じているのは、己が作り出した偽者の咎。
     見えない塊です。わかりやすく言いましょう。勘違いですよ。勘違い」

川 ゚ -゚)「勘…違い……?」

(-@∀@)「そう、その通りです。誰もあなたを責めたりしない。
     あの場所であなたがいなければ、もしかしたら街は毒の花で埋め尽くされていたかもしれません。
     それでもまだ咎を、洗礼を受けようというのなら、扉を開き、この紙に書かれているように進むのです」



37: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:51:53.22 ID:rX+mIKv90
そう言い、筆でぐるりとマルである部屋を囲む。
眼鏡をクイと上に上げる仕草をし、少しだけアサピーは微笑んだ。
クーは、それでも前に進まなければいけない気がしたのだ。紙をがっしと掴むと、物も言わず、
扉を力強く開ける。凝った空気が足元を流れた。

(-@∀@)「扉は、洗礼を受け終えれば、そっちから開くようになります。
     私が伝えるべき事はそれだけです。幸運を祈っていますよ!ひひひ!!」

川 ゚ -゚)「……そうだな。帰ってこられるように健闘するよ」

クーは向こうへ行ってしまう。
椅子に深く腰掛け、アサピーは葉巻を取り出し、契って火をつけた。

(;-@∀@)「……げほっ!!げぇっほげぇ!!
      慣れない事はしたくないものだなぁ。
      さあ、これが狼煙さ。認めた者が行ったよ。洗礼"さん"」

――――
―――
――



38: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:53:28.11 ID:rX+mIKv90
扉の先は、空気が全く違っていた。
まるで、北の端に来たような、絶望と、恐怖が混ざり混ざって寒気を生んでいる。
ここに来るまでより暗い、その空間。足元を見ながら歩くのがやっとという程であった。
ランタンを持ってこればよかった。そう、クーは考える。
すると、足元の感触が変わった。

川 ゚ -゚)「砂利……。いや、何だこれは……?」

手で掬い、顔に近づけて見る。
すると、これは砂利ではなく、土に何か硬質の石が紛れ込んでいるようであった。
どれも見事に綺麗に削られた球体をしていて、どのようにして作られた予想もつかない。
そして壁に手をやる。壁も先程とは違い、石を荒削りしたような、そんな印象を受けた。

川 ゚ -゚)「刳り貫いたような……巨大な力で」

探り探りではあるが、見えない前方を確認しながら歩いていくと、地図に書かれていた扉が、
すぐそこにあった。この扉の向こうからが、巨大監獄となっているようだ。大きな地下への入り口だ。

分厚い鉄の扉を思い切り引く。
その先の世界は、明らかに想像以上の物であった。



40: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:54:45.53 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……これが、監獄」

自分が今、踏み入れた場所。
そこから見渡す限り、牢が連綿として続いているのである。
クーは唖然とした。余りにも、その牢の構成が、尋常では無いのだ。

完成されている、といえばいいのだろうか。
ただ、埃一つさえもこの空間から出られないであろうというイメージを真っ先にクーは受ける。
そして、先程とは違う、人工的な明るさ。狭間隔で置かれたランタン。
壁も床も、見た事もないような輝きを放つ材質。声は聞こえない。

円形で形成され、中心に大きく口を開け、底が見えない暗闇。
アサピーと会話していたときに聞こえた叫び声はどこから聞こえたのだという疑問すら浮かんだ。

クーが呆然としていると、巨穴を挟んだ自分と対照の位置にある一つの部屋の扉が開く。
われに返り剣を引き抜く。洗礼が始まるのだろうか?そう勘繰る。

中から出てきたのは、今は数少ないと言われている獣人であった。
サイと人を混ぜたような容姿の男が、ゆっくりとこちらへと歩いてくる。
どうやら看守のようである。

男は少し離れた所で立ち止まると、クーへ手招きをする。
その男、身長はクーの二倍ほどあろうかという巨身であった。



41: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:56:12.02 ID:rX+mIKv90
『オイ、ハヤク、コチ、クル』
川 ゚ -゚)「あ……ああ。すまない」

獣人ならではの、たどたどしい喋り方。
しかしどこまで鍛えれば、獣人といえどここまで発達した筋肉を得る事が出来るのだろうか。
クーはそのような状況ではないものの、関心してしまった。

『オマ、センレイ、ウケキタ?』
川 ゚ -゚)「そうだ。洗礼の場所まで連れて行ってくれるのか?」

『ソウ、ヒマダカンナ』
川 ゚ -゚)「そ、そうか……」

どうやら、その洗礼の場所はこの牢獄の最下層にあるらしい。
獣人は、アサピーから案内をするように言われていたようであった。どこまで見ているのか。
そして獣人が出てきた部屋の中にあるという、下層への階段に行こうとすると、牢屋の中から声が聞こえた。

『おいおい!!お前女連れ込んで何するきだぁ〜?
 知恵足らずでもアソコだけは知識豊富なんだな!!』

川 ゚ -゚)「……」

すると、その男の笑い声が病まない内に、
獣人がズンズンとその牢屋に近づき、機械的に述べる。



43: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:57:31.41 ID:rX+mIKv90
『サンゼンゴヒャ、ク、ニジュ、ウサン、オオヤ。
 ザイジョウ、リャクダツ、ゴウカン、セットウ、サツジン』

『あぁん!?何言ってんだこの知恵足らず!!
 女の前でいい顔しようってか?笑えるねぇ』

男が続けて挑発をする。
すると、獣人は何かを言い終えたようで、徐にその男の牢の扉を開いた。
そして男は死んだ。

川;゚ -゚)「!!!」
『シケイ。シッコウキカンタンシュク』

獣人の拳が、男の顔から、胸の辺りまでそぎ落としてしまったのだ。
それも、何かの体術であろうか。一瞬だけ右腕が動いたように見え、男の体が砕けた。
悲鳴も一切無く、完全な一撃。クーの米神に汗が一筋流れた。
そしてそれと同時に、ここの看守という役目をしているという理由が理解できた。

『スマナ。ワルイコト、シタ』
川 ゚ -゚)「……いや、いいんだ」

『ホント、スマナ。サ、ツレテク』



45: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 22:59:18.95 ID:rX+mIKv90
拳についた、べたついた血も拭かず、獣人は下へと進んでいく。

川;゚ -゚)「洗礼だけが……洗礼ではないのだな。
     この空間を、常人の精神で耐えろというのが無理な話だ」

臓物から垂れる汁の、鼻をつく臭いがクーの眉間にしわを寄せさせる。
そして、こっちへ来いと急かす獣人へとついていった。
そこからはただ、階段が延々と続いていただけ。最下層へは階段を何回ほど降りただろうか。

川 ゚ -゚)「ここは、お前が一人で管理しているのか?」
『チガウ。オレ、オレジャナイヤツ、オレジャナイヤツ、ヨニン』

川 ゚ -゚)「(さ、三人じゃないのか)そうか。四人でこれだけの囚人を管理しているとは……。
     プラスに長く住んでいる私でも、知らなかった。 ……支えてくれているんだな」

『ソレガ、オレラ、シゴトダ』

丸い目がぱちくりと動き、ぎこちないながらも笑顔をクーに見せる獣人。
プラスの人間の笑顔は、皆、綺麗だ。

最下層はただ、真っ直ぐの廊下が続いているだけであった。
松明で照らされる、紋章が刻まれた壁。
そして、進むごとに体に訴えかけてくる重圧感。
間違いなく、その洗礼とやらはこの先にある。

すると、獣人が立ち止まった。



46: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:00:08.85 ID:rX+mIKv90
川 ゚ -゚)「……?」
『オレ、ココマデ』

川 ゚ -゚)「そうか。わかった。感謝する」
『マッテル、カエテコイ』

前を向き、その先にある石扉に手をかける。
すると光が扉のふちを囲み、すっと開く。
その先には、洗礼があると言う。

川 ゚ -゚)「……行こうじゃないか。私が」


――――

そして、クーの決意とほぼ同時刻。
サブカルへ架けられた橋の手前。
ペニサスの目に溜まりつつある涙が見られない。
ブーンのその曇った表情が見られない。

臆病な自分。
しかし、もう時間など、選択肢など無い。
全て消したつもりだった。

('、`*川 「理由を……聞かせて?ミルナ君」

(;^ω^)「そ、そうだお!!僕達出会ってすぐだお!!
       でも、そんなに突然別れられる仲じゃ無いと思ってるお!!」



47: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:02:32.07 ID:rX+mIKv90
( ゚д゚ )「……これ以上いたら、もっと別れづらくなるじゃないか。
     だからもう、今しかないんだ。今じゃないと、もう駄目なんだ。
     ずっと、夢見ていたくなる……怖いんだ。怖いんだ……」

ブーンに助けられてからの胸の高鳴りを、噛み締めるように思い出す。
皆に迷惑をかけた。危ない目に合わせてしまった。全て、謝り尽くせるものではない。
それでもその咎を放り出して、これから起きるであろう罪を消しに行くのだ。
ミルナは、迷ってはいけない。逃げなくてはいけない。

( ;д; )「ブーン……ペニサスさん。ドクオ……。
     今僕がもし、僕でなかったら、今殺してくれないか……」

涙をボロボロと流しながら、その場で膝をつく。
ペニサスも困惑した表情を浮かべながら、大丈夫かと寄り添った。

('、`*;川 「……殺すだなんて、ちゃんと全て話して?
      私達は一緒よ。力になれるわ……きっと」

( ^ω^)「……」



50: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:03:22.91 ID:rX+mIKv90
ブーンは無言で近づき、ミルナの頬を思い切り殴る。


('、`*;川 「ブーン!!!」
(  д )「……っ」

( ^ω^)「ペニサス、行くお」

無表情のまま、ブーンは先へと歩いていく。
ペニサスはブーンを呼び止めるも、見向きもしない。
依然ミルナは俯いたまま。

('、`*;川 「ブーン!!!待ってよ!!!」

急いで走り、ブーンの腕を掴む。
ペニサスがどうしてか、と聞くと、振り返り、こう言った。

( ^ω^)「……殺してくれだなんて言うのは、間違ってる。
       僕はそんな奴と一緒に旅なんてしたくない。たとえ、それがミルナでも」

('、`*川 「……わかりやすいのよ」
( ^ω^)「でも……、ミルナがそうしたいというなら、やっぱり止めるべきじゃないんだお」

立ち止まり、ブーンは蹲るミルナの方を振り返る。



52: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:05:48.93 ID:rX+mIKv90
( ^ω^)「……ミルナ!!いきなり手を出したりしてすまんかったお!!!」
( ゚д゚ )「……」

するとミルナも立ち上がる。

( ゚д゚ )「いや、いいんだ……。勝手な事言ってごめん」
( ^ω^)「いいや!!駄目だお!!!」

('、`*;川 「……え」
(;゚д゚ )「……え?」

何を言い出すのだろう。
ミルナがそう思っているうちに、ブーンはずんずんと距離を詰めてくる。
そしてすぐ目前にまで迫った。

( ^ω^)「ミルナも僕の顔、ぶん殴れお!!」
(;゚д゚ )「え、ええぇ〜……」



53: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:06:23.91 ID:rX+mIKv90
近くで見ると、ブーンの顔も細かな傷だらけであった。
それもそうだ。昨晩の戦いで、椅子を顔面に思い切りぶつけられたり、気を失うまで戦っていたのだから。
そしてその理由も、元をたどっていけば、自分が助けてもらった事からだ。

恩人をぶん殴る訳にはいかない。
しかし、ブーンは、さあ、さあ、と詰め寄ってくる。

( ^ω^)「……思い切り歯を食いしばっておくお。
       だから、その一発でお別れにするお」

(;゚д゚ )「ぐうっ……」

( ^ω^)「ミルナ、僕は君の恩人なんかじゃないお。
       僕はミルナが持っていたその書に興味を示していただけだ。
       だから遠慮なんてせずに、思い切り、思い切りぶん殴ってくれお」

(;゚д゚ )「……ブーン……」

ブーンは、ミルナの右手首を掴むと、ぐっと上にあげる。
そして自分の頬にあて、ここだといわんばかりにミルナの目を真っ直ぐ見た。

(;゚д゚ )「ブーン……!!!」
( ^ω^)「さあ!!思い切りだお!!」



54: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:07:18.16 ID:rX+mIKv90
('、`*川 「……」

汗がぬるりと手の中に広がる。
これが別れなんだろう。これが分岐点なんだろう。
そんな事を考えながら、その汗を握り締める。
目の端に残った涙が一筋だけ流れるのを、皮膚で感じ、目でブーンの顔を見る。
口で、まだ残る鉄の味を感じ、左足で思い切り地面を踏みつける。

(;゚д゚ )「えぁああぁ!!!」

鈍い音が、その街道に響く。
思い切り殴られたブーンはよろよろと動き、近くにあった木に腰掛けるようにして倒れてしまった。

(;゚д゚ )「はぁ……はぁ……!!」

(  ω )「……バイバイだお。ミルナ」
('、`*川 「……っ」

( ;д; )「……ぐ、ず。う、うん!!!」

たった少し。
一緒にいただけなのに、また別れるのが怖くなる。
でも、それがまた理由なのであれば、また会える理由もきっとある。
自分の荷物を持ち、ミルナは再会を、胸に閉じ込め、ただ真っ直ぐ駆けて行った。
もちろんブーンも、ペニサスも。同じ事を考えている。



55: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:07:50.48 ID:rX+mIKv90

――――


そして橋へと走り去っていくミルナを見る事も無く、その場にブーンはパタリと倒れた。
ペニサスが近くへと寄り、頬をさする。

('、`*;川 「思い切り殴れなんて言うから……」

(  ω )「……ペニサスさん」
('、`*川 「何?」

(  ω )「ペニサスさんも、行ってもいいんだお。巻き込んじゃったのは、僕だお。
      付いてきても、きっといい事なんて無いお。だから、行くなら今だお……」

('、`*川 「……ブーン」



58: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:09:24.07 ID:rX+mIKv90
ペニサスは、立ち上がった。
そして徐にブーンの顔を思い切り踏んづける。

('、`*#川 「私はアンタと行くために樹海から来たのよ!!!」
(#)゜ω゜)「ひぃぃ!!!さいでしたかお!!!す、すんませんおぉぉ!!!!」

('、`*川 「それでも……悲しいけどね」
(#)ω゜)「ぶ、ブーツが!!減り込んでますお!!ちょ、ちょっと!!」

('、`*#川 「それにアレ何よ!僕を殴るおーって!!
      あれでしょ?かっこつけただけでしょ!!」

(#)ω)「ずずずずいまぜん!!わ、別れはかっこよくうぅ!!
     かっこよくぅ!!したがったもんでぇええぇえ!!!」

じたばたするブーンを、ペニサスは容赦無く2,3分程ぐりぐりと踏んづけると、
ペニサスは満足したようで橋へと歩き始めてしまった。

ブーンは、ミルナが行ってしまった悲しみなのか、
ペニサスに地面に減り込むほど踏んづけられた痛さからなのか、涙を流していた。

――――



59: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:12:36.44 ID:rX+mIKv90
(-_-)「遅かったじゃないか」

橋を渡りきったミルナの前に、どこからともなくヒッキーが現れた。
ミルナは正直、別れが辛くてしょうがなかった。故、沈みきった顔で挨拶をする。

( ゚д゚ )「……で、これからどこへ?」

(-_-)「ふふん。気が早いね。今からこの先、イエゲ……ゲサロへと行くよ。
    そしてキバヤシ。どんどん北へ行く。魔術機関の本部は大陸北にあると聞いた記憶があるからね」
      
ヒッキーは道程を決めるのに、少し頭を捻っていた。

本来ならサブカルへと行き、オイラ、キバヤシ。
そして北の山脈麓に存在する大都市ネジツへと行く予定であったが、
ミルナには知らせていないが、ノーネとの一戦によって、サブカル側は危険だと言う事がわかったのだ。

林に入ってから、くすぶらせていた魔力を少し解放した途端に食いつかれた。
刺客の強さも、まあまあといったところだ。相手も力を抜いてかかってくるという事は無いだろう。
そしてずっと引っかかっていたのが、あの城でのオトジャ。



61: ◆Cy/9gwA.RE :2008/10/06(月) 23:13:43.85 ID:rX+mIKv90

(-_-)「あの腕力は人間のものでは無かった……。
    そして、軸が無い攻撃。人間じゃない……何か違う動きだった」

( ゚д゚ )「……?」

(-_-)「いや、何でも無い。行こう。日が暮れる前に街に入って、
    日が暮れたら行動開始だよ。ミルナ君……」

( ゚д゚ )「え、あ……。うん」

荷物一式を入れた布袋を肩に担ぎ、ミルナはヒッキーについていく。
さっき殴った、右手がまだヒリヒリと、火照っていた。



( ^ω^)はネクロマンサーのようです 第13話 『それぞれの別れ方』 完



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