川 ゚ -゚) 少女クーは‘2’に棲まうモノ達と奇妙な旅をするようです

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:12:26.14 ID:mrgMxnJb0


Bくねくねくねね



122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:12:44.70 ID:mrgMxnJb0

ぶろろろ・・・

( ´_ゝ`) はっはっは。いくぞ、弟者

(´<_`; ) まて、兄者。
        久しぶりの田舎だからって、あんまりはしゃぐな

( ´_ゝ`) はしゃいでないもん。ソニンタソがテレビに出るから、
       早く帰りたいだけだもん

(´<_`  ) はいはい・・・



124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:13:00.56 ID:mrgMxnJb0

・・・俺達は、流石兄弟。

学習能力のない、万年童貞の兄者と
その手綱を引かなきゃならない哀れな弟、弟者だ。

今日は久しぶりに、
母者の実家へと帰ることになった。

ありがたいことに、
あの恐ろしい母者は一緒には帰らない。

病院に用事があるとかで、後で遅れて来るそうだ。
あの母者が病院に用があるとは・・・

もしや、傷害事件でも起こしたのではあるまいか。



127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:14:11.23 ID:mrgMxnJb0

さて。

今は丁度、
2時間に一本しかないバスを降りて、
俺達は歩いて実家に向かおうとするところだ・・・

いや、訂正だ。

兄者は、向かってくれなかった。

さっきまでソニンタソ ハァハァだった癖に、
今はバス停のベンチの上の人影に目が釘付けになっている。

ふむ・・・



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:16:35.00 ID:mrgMxnJb0

川*´〜`) zzz


だらしの無い顔をして寝ている少女がいる。

それに、釘付けの兄者・・・
兄者は本当に、真性のロリコンだ。

いや、でも、可愛い少女である事は認める。
5年たてば、かなりの美人になることだろう。

和服の似合う、
凛とした美しさを纏う女性に・・・



135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:16:54.53 ID:mrgMxnJb0

( ´_ゝ`) ・・・

(´<_`; ) おい、兄者。必死に見すぎだ

( *´_ゝ`) ・・・

(´<_`; ) キモイから、頬を紅色に染めるな

( #´_ゝ`) キモクないもーん

(´<_`; ) キモイ

( #´_ゝ`) ・・・時に、弟者。変じゃないか?

(´<_`  ) む?何がだ、兄者



136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:17:08.57 ID:mrgMxnJb0

( ´_ゝ`) ここらに、あんな子がいそうな家、あったか?

(´<_`  ) ・・・あー、うーん。
        確かに、ないな

( ´_ゝ`) だろ?

(´<_`  ) 観光に来るような所じゃないしな?
        どっかで、孫でも生れてたかな?
 
( ´_ゝ`) うーん・・・だとしても、こんな所で寝てるか?

(´<_`  ) ひょっとして、バス乗り間違えたとか・・・



139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:19:26.30 ID:mrgMxnJb0


俺達兄弟が、遠慮なく少女の身の上をべらべら喋ってたためだろうか。
少女の安眠を、妨げたらしい。

寝ていた少女は、目をぱっちりとあけた。

途端に、だらしのなかった顔は、
引き締まった顔になる。

そして、俺達兄弟を見返してきた。



140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:21:08.58 ID:mrgMxnJb0

川 ゚ -゚) む・・・

( ;´_ゝ`) あ・・・

(´<_`  ) あ、こんにちわ

Σ( ;´_ゝ`) !

川 ゚ -゚) ・・・こんにちわ

(´<_`  ) お嬢ちゃん、この辺りの子なの?

川 ゚ -゚) いや、違うな



143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:22:42.19 ID:mrgMxnJb0

(´<_`  ) もしかして、道に迷った?

川 ゚ -゚) む・・・ここに、呼ばれたんだ

(´<_`  ) え?

川 ゚ -゚) とても、とても、悲しいもの。
     そいつに呼ばれて、私は来た

(´<_`; ) ・・・?

( ;´_ゝ`) ??

川 ゚ -゚) ・・・



144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:23:19.68 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) 悲しいもの?

川 ゚ -゚) そう。悲しいものだ

( ;´_ゝ`) ・・・

川 ゚ -゚) それには、あなたも出会うと思う

(´<_`; ) ・・・俺・・・が?

川 ゚ -゚) うむ。その時は・・・悪く思わないで、やって欲しい



146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:24:16.57 ID:mrgMxnJb0

そう意味不明なことを少女はいうと、
ベンチから立ち上がった。

俺達兄弟の間を通りぬけ、
走り去っていく。

あ・・・
そっちは、山道がずっと続くだけで
町に着くには、車で2時間・・・

慌てて、追いかける。

・・・?



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:25:35.23 ID:mrgMxnJb0

あれ?
おかしい・・・

少女は、小走り程度のスピードでしか
走っていない・・・ように見える。


俺達がそこそこ本気で走れば、
いくら運動音痴の兄者と俺とは言えすぐに追いつくはずだ。

それなのに、どんどん、どんどん
距離が離れていく。

しまには、見えなくなってしまった・・・



149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:26:18.34 ID:mrgMxnJb0

( ;´_ゝ`) ひぃひぃ、ふぅふぅ・・・

(´<_`; ) 兄者、体力がなさすぎだ・・・

( ;´_ゝ`) だ、だって、走るの久しぶりなんだもん・・・

(´<_`; ) まったく・・・しかし、走るの速い子だなぁ

( ;´_ゝ`) そんなに、早く走ってるように見えないのにな

(´<_`; ) ・・・わけが分からん子だったな



152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:27:53.43 ID:mrgMxnJb0

( *´_ゝ`) でも、可愛かったな。ハァハァ

(´<_`; ) 変態・・・

( ´_ゝ`) ・・・時に、弟者よ

(´<_`  ) なんだ?

( ´_ゝ`) お前こそ、やけに幼女慣れした様子だったが・・・?

(´<_`; ) 幼女限定にするな。兄者と違って、俺は社交的なんだ

( #´_ゝ`) ・・・



155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:29:35.21 ID:mrgMxnJb0

兄者はずっと拗ねていたが、
それを俺は放置した。

母者の実家に着いて一段落し、
お茶を飲みながらソニンタソの出てる番組をみる頃には
兄者の機嫌も直っていた。

はぁ・・・
いかん。

俺はそんなに、ソニンタソが好きなわけじゃないし・・・
移動の疲れか、眠く・・・



157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:30:42.88 ID:mrgMxnJb0

 /≡\
(´<_、` ) おい、おい・・・寝たのか?

(´<_`; ) む・・・寝てたか・・・

 /≡\
(´<_、` ) お前の好きなソニンちゃんがTVに出てるぞ?
       寝てていいのか?

(´<_`; ) ・・・爺者。ソニンタソが好きなのは兄者だ。
        俺じゃない

 /≡\
(´<_、` ) ・・・あぁ・・・そうじゃったな。
       お前は兄者じゃなくて、弟者の方か・・・

(´<_`; ) ・・・



160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:32:29.27 ID:mrgMxnJb0
ついに、ボケたか・・・爺者・・・

・・・

俺は、再び瞼を閉じた。
爺者が、隣の部屋で婆者と話す声が聞こえる。

「どうです? 弟者は・・・」

「うむ。今は・・・それが・・・」

「・・・そうですか」

「兄者が、ああなってから・・・」

「・・・うむ」

・・・何をいっている?
兄者が、何だ・・・?
意味・・・ふめ・・・い・・zzz・・・・



162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:33:26.12 ID:mrgMxnJb0

朝、目が覚めると
俺の想像通りの光景があった。

兄者がPCの前で、
自信たっぷりな顔で

馬鹿なことを言っている。



163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:34:52.87 ID:mrgMxnJb0

( ´_ゝ`) OK、ブラクラゲット。

(´<_`  ) 田舎にかえっても、やってる事は変わらんな。
        兄者

( ´_ゝ`) まあな

(´<_`  ) 流石だな、兄者

( ´_ゝ`) うむ

(´<_`  ) 田舎のダイヤルアップ回線にもめげず、
        ひたすら虹エロ画像を探す兄者の姿には感動すら覚えるよ

( ´_ゝ`) パソコンも古いしな



167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:37:10.27 ID:mrgMxnJb0

(´<_`  ) 何が、兄者をそこまで駆り立てるんだ?

( ´_ゝ`) ・・・そこに、エロ画像があるから、だ

ガガガガガ・・・


( #´_ゝ`) ・・・

(´<_`; ) ・・・いい加減、覚えろよ。兄者。
        最早、考え無しの神の領域だな


グワッ!!!

がシャーン



169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:38:47.65 ID:mrgMxnJb0

兄者が考えなしに切れてしまったので
PCが一台おしゃかになってしまった。

仕方がない。
何か、別の暇つぶしを考えるか・・・

ん・・・?

兄者が、ふと何かに気がついたように立ち上がり、
窓の所にいった。



172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:40:22.64 ID:mrgMxnJb0

何かを熱心に見る兄者。
ひょっとして、昨日の少女だろうか・・・?

気になってしまい、
俺も兄者に続いて窓へと進んだ。

兄者の視線を追うと、やはり人が見えた。

真っ白な服を着た人が一人立っている。

・・・あの少女かは、わからない。
ある程度距離があるから、そもそも男か女かすら・・・



175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:42:33.19 ID:mrgMxnJb0

(´<_`  ) ・・・あんな所で、何をしているんだろうな。兄者

( ´_ゝ`) 分からん・・・


俺達は、普段の掛け合いすら忘れて、
その謎の物体を観察していた。

何を、しているのだろう・・・

そう思っていると。

その白い服の人は、くねくねと動き始めた。

・・・踊り・・・だろうか。

だが・・・
その考えは、すぐに打ち消されてしまった。



179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:44:21.17 ID:mrgMxnJb0

不自然な方向へと、体が曲がっている。
間接を無視した、不気味な動き。

くねくね、くねくね

くねくねと・・・

流石の俺も気持ちが悪くなり、
兄者に何かと問いかけてみることにした。



181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:45:11.62 ID:mrgMxnJb0


(´<_`  ) ・・・兄者。あれは何だ?

( ´_ゝ`) ・・・わからん


( ´_ゝ`) ・・・む?

兄者の体が、びくんと一度激しく動いた。
何か、うろたえている様子だ。

もしや・・・何か分かったのか?



185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:46:34.42 ID:mrgMxnJb0

(´<_`  ) ・・・なんだ、分かったのか、兄者?

( ´_ゝ`) ・・・わ、わかった

(´<_`  ) ? なんだ?

( ´_ゝ`) でも

(´<_`  ) でも?



「わカらナいホうガいイ・・・」



188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:47:57.72 ID:mrgMxnJb0

そういうと、兄者は黙ってしまった。
なんだ、変な奴だな・・・

我が兄ながら。

呆れながら、兄の顔をよく見てみる。

・・・?
・・・・!!


(´<_`; ) あ、兄者っ!?



194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:50:48.54 ID:mrgMxnJb0

兄者は顔面蒼白で、
弟の俺だって見たことのないような悲しそうな顔をしている。

兄者は俺の方をあの細い目で一瞥すると、
哀れむような顔をして俺を押しのけ

自分の広げっぱなしの布団へと戻っていった。



195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:51:02.20 ID:mrgMxnJb0

・・・それから、兄者は何時間経っても布団から出てこなかった。

話しても、マウントポジションを取って殴りつけても
反応がない。

さっきの、くねくね動く物体が・・・
やっぱり原因なんだよな

爺者なら知ってるかもしれん。

何か、聞いてみるか・・・



196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:52:36.13 ID:mrgMxnJb0

(´<_`  ) なあ、爺者

 /≡\
(´<_、` ) どうした、弟者

(´<_`  ) 兄者が、変なのだが・・・

 /≡\
(´<_、` ) ・・・放っておけ

(´<_`  ) ・・・くねくね、動く物体を見たのだが

 /≡\
(´<_、`;) ! あ、あれを見たのか?

(´<_`  ) ん・・・遠目にしか見なかったが・・・

 /≡\
(´<_、`;) はっきりとは、見てないんだな!?



200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:54:18.83 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) あ、ああ・・・

 /≡\
(´<_、`;) じゃ、何か分からなかったんだな!?

(´<_`; ) ああ・・・

 /≡\
(´<_、`;) お、おお・・・良かった・・・

(´<_`; ) ・・・爺者、アレが何か、知ってるのか?

 /≡\
(´<_、`;) ・・・知ってはいる



202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:55:47.78 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) なんなんだ、あれは!
        兄者は、あれの所為でさっきからおかしいぞ!?

 /≡\
(´<_、`;) ・・・


爺者は顔を背けて、
こういった。

「分からない方が、いい・・・」



205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:57:39.36 ID:mrgMxnJb0

兄者は、掛け布団をかぶったまま
出てこない。

爺者は申し訳無さそうな顔で
黙りこくっている。

婆者も、同様だ。

一体、なんだというんだ。

変な、くねくねと動く物体を見ただけだというのに。

あのくねくねと動く物体は、なんなんだ!

俺には、精々、新型のかかしとか・・・
それ位しか、答えのようなものは思い浮かばなかった。



207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 22:58:56.12 ID:mrgMxnJb0

・・・2日たった。

兄者はご飯も食べずに、
ずっと布団の中から出てこない。

爺者も婆者も何も話さない。

なんで、こうなった・・・?

誰か・・・
助けてくれ。



209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:00:19.68 ID:mrgMxnJb0

( ´_ゝ`) ・・・


そういえば・・・

俺達は田舎に来た時に
不思議な少女にあったな。

悲しいものにあうだか、なんだか言ってた・・・

ひょっとして、アレ・・・くねくね動く物体のことだったのか?

だとしたら、兄者はアレが何か分かって
悲しんで、ああなっているのだろうか・・・?



211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:01:42.73 ID:mrgMxnJb0


わからない・・・

知りたい・・・



俺は、あの少女を探すことにした。



212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:03:16.68 ID:mrgMxnJb0

・・・探す事、数時間。

夕暮れ時になり、
辺り一帯が紅色に染まる頃。

俺はあの少女を見つけた。

出会ったときと同じように、
バス停に座って眠りこけていた。

・・・どうしよう。

起こすのも、悪い気がしてしまう。



214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:04:34.50 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) ・・・

川*´〜`) zzz


しばらく、少女を前に佇んでいた。
すると、足音が聞こえてきだした。

足音のするほうをむく。

そこには、年老いて、更には傷だらけになった女性がいた。

苦しそうに、だがそれでも
使命感に突き動かされるようにこちらの方に歩いてくる。

その老婆は、杖を俺に向けてこう言った。



215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:05:46.52 ID:mrgMxnJb0

(#゚;;-゚) …オ嬢サマニ,近ヅクナ…! 痴レ者メガ!

(´<_`; ) え・・・

(#゚;;-゚) ドウセ良カラヌ事ヲ,考エテイルノデアロウ… 成敗シテクレルワ…!



217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:07:12.21 ID:mrgMxnJb0

老婆は杖を振り上げ、俺に向かって振り下ろしてきた。
・・・かなり鈍く、ぶるぶると震えながら。

半歩下がるだけで、俺はその杖から簡単に逃れることが出来た。

老婆は自分の杖が地面に当ってから
ようやく俺が自分の攻撃を避けたことに気が付いたようだ。

恨めしそうに、こちらを見る。



219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:08:23.22 ID:mrgMxnJb0

(#゚;;听) オ嬢サマ,早クオ逃ゲ下サイ! コノ婆ガ命ニカエマシテモ…!


殺意だけは一人前だ。

正直、俺はのまれそうだ。

俺が一歩、二歩と後退し、
老婆はその分だけ詰めてくる。

なんだ? 
年老いた身で、この少女に敬語をつかい、
忠誠を誓っているようにみえる。

一体、どんな関係だ・・・?



220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:09:29.91 ID:mrgMxnJb0

「でぃ、その人は違うぞ」

・・・少女の声が響いた。

老婆は今までの殺意が嘘の様に掻き消えて
顔から溢れ出しそうな笑みを少女にむけた。


(#゚;;ー゚) ソウデゴザイマシタカ…コレハ,婆ガ早トチリヲ…

川 ゚ -゚) よい

(#゚;;-゚) ソレデハ,婆ハ電車ノ手配ヲ…

川 ゚ -゚) うむ

(´<_`; ) ・・・



222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:11:08.75 ID:mrgMxnJb0

・・・

おーい・・・
ここに、電車なんぞ通ってないぞ?

呆けているのか・・・

一応、教えてやるか・・・



224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:12:40.46 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) あ、あの・・・

(#゚;;-゚) …先ホドハ失礼シタ. 何用デアロウカ?

(´<_`; ) ・・・ここに電車は、通ってませんよ?

(#゚;;-゚) …フフフ

川 ゚ -゚) よい、でぃ。頼む

(#゚;;-゚) ハイ,オ嬢サマ…



225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:13:25.38 ID:mrgMxnJb0

老婆は杖をつきながら、のろのろと去っていった。

老婆に気を取られ、
しばらく少女と共に去りゆく姿を見送った。

姿が見えなくなったところで、
自分を取り戻し、

ようやく聞くべきことに気が付いた。



227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:14:48.95 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) あ・・・あの

川 ゚ -゚) なんだ?

(´<_`; ) ま、前。君が言ってた悲しいものってのに
        兄者があったんだ! ほら、前一緒にいた、俺によくにた男だ!

川 ゚ -゚) ・・・ふむ

(´<_`; ) 兄者がそれ以来、おかしい!
        あれ、何なんだ?

川 ゚ -゚) 兄者さんに、聞けばいい。
     彼がまだ正気なら、教えてくれるかもしれない

(´<_`; ) ・・・兄者は、おしえてくれない。
        他の皆も、知ってるようでも教えてくれない



228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:16:25.42 ID:mrgMxnJb0

川 ゚ -゚) ・・・

(´<_`; ) 頼む・・・教えてくれ。


俺は深く頭を下げる。

兄者が普通じゃなくなった。
全く、布団から姿を出さなくなった。

こんなことは、余程のことがない限りありえない。

何が・・・
何が兄者をああしたのか、それを突き止めなければ・・・!



230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:17:41.14 ID:mrgMxnJb0

・・・小さなため息が聞こえた。
頭を上げて少女を見つめる。

少女は紅色に染まった西空を一瞥したあと、
下を向いて語り始めた。

少女が下を向いたと同時に、
あたりは段々、暗い領域に支配され始める・・・



234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:19:03.08 ID:mrgMxnJb0

川 ゚ -゚) 悲しいものは、その動きのとおり「くねくね」と呼ばれる

(´<_`  ) ・・・

川 ゚ -゚) あれが、何か・・・それは、私にも分からない

(´<_`; ) ・・・そ、そん

川 ゚ -゚) まあ、待て。
     あるものについて、「それは一体、何か」を語るのは、実は非常に難しい事だ

(´<_`; ) ・・・

川 ゚ -゚) 貴方達人間も、「人間って何だ?」という質問をされれば
     ・・・答えられないだろう?

(´<_`; ) ・・・ああ



237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:21:45.04 ID:mrgMxnJb0
川 ゚ -゚) 「くねくね」は「くねくね」・・・それでしかない

(´<_`; ) ・・・

川 ゚ -゚) では、何故・・・私が彼女を悲しいもの、と呼ぶか

(´<_`; ) ・・・ああ

川 ゚ -゚) 彼女「くねくね」にとって、くねくね動くあの動きは呼吸に同じ。
     存在し続けるためには、止めることができない

(´<_`; ) ・・・あの

川 ゚ -゚) む?

(´<_`; ) それが、兄者が、どうしてああなったのか・・・と関係があるのか?

川 ゚ -゚) ・・・あの動きは、幻覚を見せる

(´<_`; ) ・・・!?



239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:22:39.82 ID:mrgMxnJb0

川 ゚ -゚) あの動きは幻覚により、見るものに「見るものの真実の姿」を見せる

(´<_`; ) ・・・意味が分からない

川 ゚ -゚) 彼女は、とても体が弱い。
     だから、「敵」に襲われた時に、自衛の手段として幻覚を見せて仲間だと思わせる

(´<_`  ) ・・・敵?

川 ゚ -゚) ・・貴方たちの身近な所にも、食物連鎖は存在するということだ

(´<_`; ) ・・・?

川 ゚ -゚) さて、本題だ

(´<_`; ) 頼む

川 ゚ -゚) 人間というのは、我々にとっても驚くべき速度で知能の発達を遂げた

(´<_`; ) ・・・我々?



241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:23:34.29 ID:mrgMxnJb0

微妙に、不可思議な話し方をする。
この少女は、一体何のつもりなんだろう。

君だって、人間じゃないか。

その疑問が、すぐに疑惑に変わった。

もしかして・・・



244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:24:41.46 ID:mrgMxnJb0

川 ゚ -゚) だが、精神の発達というのは、知能の発達に伴うものとは言えないらしい

(´<_`; ) ・・・

川 ゚ -゚) あるいは、1個体の生きる期間が短いために、
     その両者の成長の均衡が保てないのかもしれん

(´<_`; ) ・・・もっと、分かりやすく言ってくれないか?

川 ゚ -゚) ・・・ふむ。そうだな



「自分の、本当の姿を見て耐え切れず、キがクルッタんだろう・・・」



245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:26:05.91 ID:mrgMxnJb0
・・・
俺は、走り出した。
少女に礼も言わず。

気が・・・狂った?
兄者が?

本当の姿って、なんだ!?

兄者の、本当の姿なんて・・・
ただの、ロリコンで、引きこもりで
変態な・・・
情けのない、俺の兄なだけだろ・・・?

気が狂う要素なんて・・・
・・・
無いとは言わないが、
今更じゃないか!



249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:27:31.79 ID:mrgMxnJb0

走る俺の耳に届いた、少女の呟き。
しかし、俺の脳には届かなかった。

でも、はっきりと聞いた。
その時は、理解できなかった。


「ところで、貴方。
 初対面の時、貴方は一人だっただろ・・・ふふふ・・・」



250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:28:47.47 ID:mrgMxnJb0

バタンッ!!!

扉が壊れそうな音をたてて抗議してきたが、無視する。
走って、兄者の下に。

狂っただと、馬鹿にするな。

俺の兄だ、本当の自分を見たくらい・・・それくらい・・・

兄者の部屋、
布団を見る。

布団は部屋に敷かれたままだったが、
中で寝てるであろう兄者の膨らみは無かった。

一体、どこに・・・?



252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:29:58.14 ID:mrgMxnJb0

(´<_`; ) 爺者! 爺者!

 /≡\
(´<_、`) どうした、弟者や

(´<_`; ) 兄者は、どうした?

 /≡\
(´<_、`) ・・・その事で、話がある

(´<_`; ) ・・・む?

 /≡\
(´<_、`) 母者・・・

  @@@
 @# _、_@
  (  ノ` ) ・・・
/.  ^  \



253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:31:37.53 ID:mrgMxnJb0

母者は普段と違って、疲れた顔をしていた。
爺者は、気まずそうな顔をしている。

俺はその時、兄者に更に深刻なことが起きたと悟った。


「な、何があったんだ! 兄者に」

「・・・母者や、ワシは席を外しておく」

「そうかい」



256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:32:45.51 ID:mrgMxnJb0

爺者は出て行った。
母者は、俺と目をあわせようとしない。

いつもなら声を掛けるのさえ、勘弁したい母者だが・・・
この時は、そんな事が気にも止まらない。

俺は母者に詰め寄った。



258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:33:22.09 ID:mrgMxnJb0

「兄者が、どうしたんだ?」

「アンタ、まだそんな事をいってるのか」

「・・・?」

「もう、私は疲れたよ。アンタまで、そんなになって」

「母者?」

「もう、3ヶ月かい? いい加減、目を覚ましてくれよ」

「・・・」

「いいかい、私は、もうどうすりゃいいか、わかんないけど
 はっきり言うよ?」

「な、なにを・・・」



262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:35:09.78 ID:mrgMxnJb0

頭が、痛い。

俺は、なにか忘れていたっけ?
大事な、大事な何かを・・・

頭を抱える俺を、母者は耳を塞ごうとしていると勘違いしたのか・・・
俺の手を俺の頭から離して、

残酷に告げた。



263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:35:25.59 ID:mrgMxnJb0

「もう、兄者はこの世に・・・いないんだからさ!」

「!!!」

「たのむよ、アンタ。目を、覚まして・・・」


「う、嘘だ、嘘だ! 嘘だっ!!!!!!!!」



266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:36:43.92 ID:mrgMxnJb0

母者の手を払いのけ、
俺は兄者のいるはずの部屋にかけ戻る。

兄者が・・・?

俺、ここには、兄者と一緒に来たじゃないか。

荷物だって、ホラ・・・二人分あるし・・・

・・・

そう、二人分、ある。

でも、用意したのは俺。
兄者に、頼まれたんだし。

あれ・・・でも、そういや、いつ頼まれたっけ・・・?



268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:37:39.49 ID:mrgMxnJb0

お、おれ?

あれ? 兄者が死んでるって?

前も、皆、そんな事言って、
俺を、俺をからかおうと・・・

あ、姉者も、妹者も
目薬までさして、趣味の悪い冗談だった・・・

え・・・え?
あれ、じょ、じょ、じょ・・・冗談だったんだろ?

俺の隣に、いつも馬鹿なことやってる兄者がいて、
それを俺は、遠慮なく、こき下ろして・・・

足音がして、誰かがドアの向こう側にとまった。

俺に向かって、その誰かが話しかけてくる。



269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:39:23.68 ID:mrgMxnJb0

「・・・アンタが相当、まいってるみたいだからさ・・・
 田舎にやって、ちょっと落ち着くかと思ったんだけど」

「・・・」

「逆効果・・・だったかい」

「・・・」

「帰るかい?」

「む、むこうに、兄者はいるんだよな?」

「・・・」

「・・・」



271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:39:45.52 ID:mrgMxnJb0

深いため息をついて、
母者はつげた。

「・・・そうだよ、
 兄者は、あっちにいるよ」


・・・



274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:41:22.42 ID:mrgMxnJb0

俺達はその日の翌日にすぐ、
帰ることになった。

母者の乗ってきたパジェロの助手席に乗り込み
帰路へと付く我々。

兄者は・・・のってない。

・・・
ふと、現実か幻か分からない世界の中で、
兄者が「くねくね」を見た方向を見る。

・・・
見てしまった。



276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:42:36.69 ID:mrgMxnJb0

くねくね、くねくね動いている、
白い何か。

俺は、母者に頼んだ。

あいつを、見たい。
もっと、近くに。

母者は、嫌がった。
見てはいけない者だ、といった。

しかし、強情にいう俺に、最後には折れてくれた。

母者は近くまで、出来るだけアイツを見ないように近づき、
車を止めてくれた。

俺は一人降りて、近づく。



278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:43:57.33 ID:mrgMxnJb0

(´<_`  ) くねくね・・・


間接を無視した動きで、
幻覚を見せるアイツ。

その姿を見ていると、
俺はその中に一人泣く自分を見た・・・。

そうか、俺は

もう・・・



282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:45:17.59 ID:mrgMxnJb0

俺は、泣いた。
幻覚の中で見た自分と重なる。

全身から力が抜け、
立っていられなくなり膝をつく。

それから、大声を上げて泣いた。

壊れるかもしれない。
・・・そう思った。

嫌・・・ちがう。

いっそ・・・壊れたい。



285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:46:44.73 ID:mrgMxnJb0

そう思い、更にもう一度くねくねを見る。

・・・?

くねくねは、あの動きを止めていた。

止まっているくねくねは、
今度は異なる踊りをはじめた。

・・・
間接を無視しない、普通の人間でも表現できそうな動き。

更には・・・少し、美しく感じた。



287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:49:27.54 ID:mrgMxnJb0

くねくねでない「くねくね」の動きの中に、
今度は兄者を見た。

・・・くねくねは、自分の真実の姿を見せるんじゃ?
不思議がる俺。

兄者はそんな俺に、話しかけてきた。

「弟者の中にいた俺は、くねくねを見たときにお前の姿を見た」

「兄者・・・」

「その時、ああ、俺は、俺じゃないんだと気がついたよ」

「・・・」

「死んだ後の俺は、お前の中に生れかけてた人格か、それとも、幽霊なのか・・・?」

「・・・わかんないよ、兄者」



288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:50:41.27 ID:mrgMxnJb0

「・・・さらばだ、弟者。お前も目を覚まして、これから強く生きてくれ」

「・・・」

兄者はそういうと、消えた。
動きを止めたくねくねが、またそこに見える。

俺は、「ありがとう」と呟いた。

くねくねは、それを聞くと・・・

おそらく、頭と思われる部分。
そこを下げた。



・・・ぴし



289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:51:37.64 ID:mrgMxnJb0

「ん・・・?」

くねくねの周りが、割れている。

あれ?
え? ・・・あれ、何?

空気しかない部分に、ガラスが割れたみたいなヒビが入った。

そして、ヒビの内側の空間が崩れおち、
そこにはピンク色の嫌らしくテラテラと光るものが見えた。

・・・まるで、口の中みたい・・・。

ピンク色の空間は、くねくねを飲み込むと
再び閉じた。



291: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:52:09.39 ID:mrgMxnJb0

さっき、下げた頭のような部分だけを残して、
くねくねは消えた。

俺は何が起きたのか分からず、呆然としている・・・

くねくね・・・?


「・・・くねくね・・・」



294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:53:23.30 ID:mrgMxnJb0

俺が言おうとした言葉を、誰かが言った。

後から、その声は届いた。

一体、誰だ・・・?

振り向くと、あの少女がいた。



300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:57:20.96 ID:mrgMxnJb0

「・・・あ、あぁ・・・君・・・」

「くねくねも、貴方みたいに悲しんでいた」

「どういうこと・・・?」

「偶々、自分を見た人間がオカシクなっていく。
 自分は、身を守るためにこの動きを止められない。
 でも、それが例えようもなく、辛い」

「え?」

「それが、彼女が私にしてくれた愚痴だ。
 元々、優しい人だったから・・・いつか、生きるのを止める気がしていた」

「え、じゃ、もしかして・・・」

「くねくねは、捕食者に擬態するのを止めて、見つかって・・・
 喰われた」



302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:58:21.13 ID:mrgMxnJb0

・・・お、お。

俺の所為???
お、俺が・・・?

「違う」

「え?」

「いつか、起きることだったと、私は思う」

「・・・」

「弟者さん」

「・・・はぃ」

「お前は、彼女の望みをかなえてやってくれ」

「望み・・・?」



303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/29(土) 23:59:03.35 ID:mrgMxnJb0

「お前が、オカシクならないこと」

「・・・!」

「頼む。私の友達の、最後の望みなんだから」

「・・・あぁ。兄者とも、約束したもんな」


・・・
俺はもう一度、
泣いた。
兄者のためか、くねくねのためか、自分のためか・・・

とりあえず、これからは・・・
現実を見つめよう。

それが、二人の、望みだから・・・



305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/30(日) 00:00:17.13 ID:cdkGttMQ0

・・・
太陽も、空も、水も、木も・・・
すべて、白と黒で表現されている広大な世界。

そこに、ぽつんと小さな少女が立っている。

何かを待っているように・・・



306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/30(日) 00:00:52.75 ID:cdkGttMQ0

川 ゚ -゚) ・・・

「あ・・・クーさん」

川 ゚ -゚) 来たか

「えへへ、やっぱり、食べられてしまいました」

川 ゚ -゚) ・・・馬鹿だな

「・・・でも、その事に後悔してません。
 むしろ、もっと早くすれば良かった」

川 ゚ -゚) ・・・

「私が、人を、止めたときから」



309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/30(日) 00:02:56.68 ID:cdkGttMQ0

川 ゚ -゚) くねくね・・・

「あの人が、強く生きてくれるといいのだけど・・・」

川 ゚ -゚) 大丈夫だろう

「・・・そっか」

川 ゚ -゚) ・・・次は、何になりたい? 一応、聞いておく

「んー・・・何でしょう。わかりません」

川 ゚ -゚) ・・・

「何でもいいけど、望むとしたら・・・」

川 ゚ -゚) 何だ?



312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/30(日) 00:04:04.75 ID:cdkGttMQ0


「誰かを、幸せにできるような、そんなものになりたいな・・・」

「・・・」



「わかった。確かに伝えておく」

少女がそういうと、
かすかに嬉しそうな笑い声が響く。

そして、世界は閉じた



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