川 ゚ -゚) 少女クーは‘2’に棲まうモノ達と奇妙な旅をするようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:34:15.31 ID:RVrCnbBo0


Dことりー



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:35:41.99 ID:RVrCnbBo0

ζ(゚−゚*ζ ・・・なんだろうね。この箱

(;'A`) ・・・さぁ


どうも、お久しぶりです。
一里身毒男です。

今、実家にいて、妹とある事について悩み中なのです。

ある事、それは・・・

実家の地下室から出てきた、
箱、箱、はこ・・・

20cm四方くらいの、箱なんだ。
それが、土壁の薄暗い部屋の中に沢山、沢山積んである。

その箱は一つの面だけ、一辺が5cmくらいの正方形の穴があいてるの。
その穴は、全てがこちらを向いてた。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:39:22.30 ID:RVrCnbBo0

ζ(゚ー゚*ζ おにーちゃん、コレ、鳥の巣箱じゃない?

(;'A`) ・・・鳥の巣箱?

ζ(゚ー゚*ζ ほら、この穴なら入れそうだし。鳥さん

('A`) そう言われれば、そうだな。それに見えるわ

ζ(゚−゚*ζ でも、何でこんなに積み上げてあるんだろう・・・

('A`) じーちゃんか、ばーちゃんが鳥好きだったか?

ζ(゚ー゚*ζ そうなのかなぁ? 聞いたことないけど・・・



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:43:42.34 ID:RVrCnbBo0

「ドクオ〜、デレー?どこにいるの?」

「あ、はーい!」

どうやら、ご飯が出来たらしい。
母の声が響く。

すでに箱に興味をなくして、
地上への階段を走り登るデレ。

俺はというと・・・

何故か、気になってしまって・・・
中々戻る気にならない。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:44:02.71 ID:RVrCnbBo0

「おにーちゃん! デレが全部食べちゃうよー!」

「あ、ぁあ、今いくー」

「はーい」


・・・仕方ない。戻るか

今の戻ると、母が昼ごはんに
素麺を用意して待ってくれていた。

デレの隣に座ると、
素麺をつゆの中に入れて食べ始める。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:45:54.59 ID:RVrCnbBo0

J( 'ー`)し どうだい。地下室の箱は何か分かったかい?

('A`) いやー、全然・・・

ζ(゚ー゚*ζ じっちゃか、ばっちゃの趣味かなぁって?

J( 'ー`)し うーん・・・聞いたことないねぇ

('A`) そか・・・

ζ(゚ー゚*ζ ま、どーせ唯の箱でしょ?

J( 'ー`)し 処分するのも、一苦労だねぇ

('A`) あぁ・・・



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:48:29.33 ID:RVrCnbBo0

デレは能天気だなぁ・・・
俺はアレを見てから、どうも気になって仕方がない。

どこかで見たような
非日常の物。

そんな気がして、ならない。

そう、そして、それは・・・
安易な気持ちで扱うと、
いくら後悔しても足りないくらいの
おそろしい、モノ・・・



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:52:35.24 ID:RVrCnbBo0

J( 'ー`)し 冷蔵庫に、黒ゴマプリンがあるから、デザートにお食べ

ζ(^ー^*ζ わ〜い!

('A`) ・・・俺、いらね

J( '-`)し どうしたんだい? どっか、具合でも悪いのかい?

('A`) 別に・・・

ζ(゚ー゚*ζ ・・・にーちゃんのも食べていい?

('A`) どぞ

ζ(^ー^*ζ わ〜い!



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:54:42.17 ID:RVrCnbBo0

「・・・太るぞ」

そういい残して、俺は自室に戻る。
後ろの方で抗議の声が聞こえたが、俺は無視した。

あの箱、なんなんだ。
見ていたら、吸い込まれそうな、あの黒い穴。

あの中には、一体何が・・・?

知りたいのに、恐ろしくて、触りたくない・・・

俺は布団に入り込んで、
頭を抱えながら、あの箱の存在感に悩まされていた・・・

・・・
・・・



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 19:56:52.45 ID:RVrCnbBo0

俺はいつの間にか、
駅のホームにいた。
ベンチに腰掛けて、眠っていたみたいだ。

・・・?
既視感という奴だろうか。
前にも、ここ・・・見たことが・・・


「・・・おや。お前は・・・」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:00:08.12 ID:RVrCnbBo0

声の方へと顔を向ける。

あれ・・・?
この子は、以前、どこかで・・・

この、可愛らしい外見に相応しくない、
すれた雰囲気をまとった少女は・・・忘れられない

その少女が、やはりベンチに座って
本を片手に、こちらを向いていた。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:01:57.76 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) ふむ。また、ここに来てしまったのか

('A`) ・・・まさか

川 ゚ -゚) うむ。私も、出張が多くてなぁ・・・
     今日も、ここで乗り継ぎだよ

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) ・・・

('A`) なあ、電車が来るまで、少し話しいいか?

川 ゚ -゚) む?



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:04:00.32 ID:RVrCnbBo0

('A`) 俺、あれからここに来てなかった

川 ゚ -゚) ・・・

('A`) そして、まだ、何もやってない・・・と思う

川 ゚ -゚) そうか

('A`) これからも、気をつけようと思う

川 ゚ -゚) ・・・

('A`) それでも、俺はあの罪を受けなければならないような
    罪を犯すのだろうか?

川 ゚ -゚) ・・・



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:05:40.94 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) 私が思うに

('A`) ?

川 ゚ -゚) 罪というものは、他があって初めて存在する

('A`) ああ・・・そうだな

川 ゚ -゚) よってそれは、酷く相対的なものと考える

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) では、その相対的に、罪であると判断するものは何だ?

('A`) え・・・今言う罪なら・・・神様?

川 ゚ -゚) ・・・



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:07:55.76 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) ・・・神は、お前らの考えるような存在ではない

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) それに、この今の一瞬。どれだけの生物が死ぬと思う?

('A`) え・・・裁かれるのは、人だけじゃないのか?

川 ゚ -゚) 人が神に特別扱いされてるなどと思うなよ?
     全ての生物は、皆平等だ。
     神ではない。

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) それに、そのような時間も、気力もない奴だ。
     神は。

('A`) じゃあ、何だって言うんだ? その、判断するものって言う奴は



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:09:27.33 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) ・・・自分だ

('A`) え?

川 ゚ -゚) 自らが、罪を罪であると感じ、
     罰せられる事を望む

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) 意識の表層ではそう感じなくても、
     意識の、深い、深いところでは、そう感じているのではなかろうか

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) あるいは、お前が罪の意識から完全に自由であるなら

('A`) あの猿の電車に、苦しめられることは、無い・・・と

川 ゚ -゚) まあ、そんな事はありえないだろうが

('A`) ・・・



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:10:07.33 ID:RVrCnbBo0

('A`) 君の話す事は、想像での言い方が多い

川 ゚ -゚) ・・・

('A`) 君もよく、分かっていないのか・・・?

川 ゚ -゚) ・・・私がこっち側のモノになって、まだ百年くらいだ

(;'A`) ・・・ひゃく・・・ねん

川 ゚ -゚) ああ、その時間では、こっち側のことを理解するには短すぎた

('A`) ・・・

川 ゚ -゚) ・・・



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:11:21.68 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) ところで、私からも質問がある

('A`) ?

川 ゚ -゚) 君がここに来たのは、罰せられるのを欲したからか
     それとも、私に会いたかったのか・・・
     どちらかしか、ないと思うのだが・・・

(;'A`) ・・・え

川 ゚ -゚) ・・・ふむ。別に、どちらでも無かったというのか?

(;'A`) いや、特に・・・うん。どちだでもない・・・

川 ゚ -゚) ふむ・・・
     あるいは、人外のモノの知識を得たかったのかとも思ったが・・・

('A`) ・・・



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:12:30.23 ID:RVrCnbBo0

('A`) ・・・そうか

川 ゚ -゚) ?

('A`) いや、俺。聞きたいことがあった

川 ゚ -゚) ふむ

(;'A`) いや、君たちと関係があるものとか、そんなのかは分からないんだけど

川 ゚ -゚) ・・・

(;'A`) 俺の実家に、地下室があってさ・・・

川 ゚ -゚) ・・・続けろ

(;'A`) そこに、沢山の木箱があったんだよ



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:14:10.00 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) ・・・きばこ?

('A`) ああ。鳥の巣箱みたいに。ただ、穴は四角だけどな・・・

川 ゚ -゚) ・・・

('A`) ただの、箱だと思うんだが。なんか、気になっちまって

川 ゚ -゚) ふむ

('A`) 何だか、あの穴みてると、吸い込まれそうで
    ・・恐ろしい

川 ゚ -゚) ・・・

(;'A`) あ・・・こ、こんな話だけじゃ、わからないよな



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:17:44.16 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) はこ・・・箱・・・か

('A`) ・・・しってるのか?

川 ゚ -゚) それは、20cm四方の大きさくらいの奴か?

('A`) !!! そうだ!

川 ゚ -゚) ・・・ふむ。穴は四角・・・と言ったな?

('A`) ああ

川 ゚ -゚) ちっ・・・ニホウか・・・



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:19:25.35 ID:RVrCnbBo0

('A`) にほう・・・? 何のことだ?

川 ゚ -゚) ・・・私の想像が、当っていればだが。それは・・・

('A`) それは・・・!?

川 ゚ -゚) ・・・いや。忠告だけにしておこう

(;'A`) えっ?



「それに、ゼッタイ触れるな」



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:21:28.90 ID:RVrCnbBo0

鋭い眼光で、俺を睨みつける少女。
その眼を見るだけで、冷凍室に閉じ込められたような
冷ややかさと孤独感を感じさせられた。

俺は思わずベンチから立ち上がり
後ずさりした。


川 ゚ -゚) いいな。それに触るな

(;'A`) あ、あぁ


「 まもなく、電車が来ます。その電車に乗るとあなたは恐い目に遇いますよ〜」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:23:49.68 ID:RVrCnbBo0

川 ゚ -゚) 来たようだ

(;'A`) ・・・

川 ゚ -゚) 私は、乗らねばならない

(;'A`) あ、あぁ。分かった

川 ゚ -゚) ・・・

(;'A`) ・・・

川 ゚ -゚) いいな、お前の家族や関係者にも伝えておけよ?

(;'A`) ・・・はい



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:26:22.15 ID:RVrCnbBo0

電車がホームに入ってくる。
少女は、その電車に乗り込む。

見た目はファンシーなお猿さんの列車だから、
本当は微笑ましい光景かもしれないのに

その実は、微笑ましい要素なんて、何一つない

はぁ・・・狂ってやがる

・・・早く行ってしまえ。
忌々しい猿列車め

そんなことを考えていると、
少女が独り言のようなことを言った。



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:28:29.35 ID:RVrCnbBo0

「ち・・・今更・・・」


「出発します〜」

ごとん、ごとん

列車は、走り始めた。

そして、俺も、駅のホームに立っているという実感が急に薄らいで
意識は、途絶えた



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:30:33.46 ID:RVrCnbBo0

「おにーちゃん!」

・・・うるさい

「おにーちゃん!!」

・・・なんだよ?

「おりゃー! どすーん!!!」

ぐええええええ

なんか、重たいものが俺の上に降ってきた・・・
最悪の目覚めだ。

眼を開くと、デレがお腹の上に座っている。



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:32:24.99 ID:RVrCnbBo0

(;'A`) な、何するんだよ!

ζ(゚ー゚*ζ 寝てないで、仕事仕事!

('A`) ?

ζ(゚ー゚*ζ あの箱、とりあえず外に出して調べて
      いらなそうだったら燃やそうって〜!

('A`) ・・・!



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:34:31.29 ID:RVrCnbBo0

「だめだっ!!!」

いつの間にか、デレを怒鳴りつけた俺。

デレはキョトンとした顔で俺を見て、
お腹の上から降りた。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:36:15.17 ID:RVrCnbBo0

ζ(゚−゚*ζ ・・・何で怒ってるの?

(;'A`) あ・・・いや

ζ(゚−゚*ζ あれ、何か分かったの・・・?

(;'A`) ・・・分からんから、こそだ

ζ(゚−゚*ζ ・・・

(;'A`) 調べてみてから、分かってからでいいだろ?

ζ(゚ー゚*ζ ・・・デレね

(;'A`) ?

ζ(゚−゚*ζ あれ、嫌いなの



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:38:06.88 ID:RVrCnbBo0

('A`) え・・・

ζ(゚−゚*ζ 見てて、むしゃくしゃするの。腹立つの。
      捨てたいの

('A`) で、デレ?

ζ(゚−゚*ζ 許せないの。アレが、あの箱が無性に

(;'A`) た、ただの箱だろ?

ζ(゚ー゚*ζ ・・・そうだね。ただの箱だね

(;'A`) そうそう!

ζ(゚−゚*ζ じゃ、捨ててもいいでしょ?

(;'A`) ・・・



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:40:33.61 ID:RVrCnbBo0

なんだろう。
さっきまで、俺はデレが箱に興味がないと思っていた。

でも、逆だった。

デレは、俺以上に箱に意識がいっていて。
そして、箱を憎んでいたのだ・・・

何故・・・?
何故だろう・・・

確か、さっき・・・夢で・・・
はっきりと思い出せない・・・

箱に触るな!と言われたんだよな・・・

危険なものであるという認識は、俺の方が強いはずなのに
何故?



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:43:05.79 ID:RVrCnbBo0

デレは、俺が拒否を示した事を感じると
さっさと部屋から出て行った。

俺は、嫌な予感がしたので
急いでついていく。

地下室へと直行するデレ。

デレは早速地下につくと
一人で喚き始めた。

ほとんど、意味不明な言葉だったが、
幾つか聞き取れた言葉が・・・


「よくも、おねぇちゃんを!」

「なんで、私が! 私たちが!!!」



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:44:59.97 ID:RVrCnbBo0

・・・おねぇちゃん?

おい、デレ、お前の兄妹は、俺だけだぞ?
お前に、姉なんて・・・

泣き出して、地に伏せるデレ。

俺はデレに駆け寄り、
ただ黙って、頭を撫でた。



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:47:33.28 ID:RVrCnbBo0

「デレね、よくわかんない」

「・・・」

「この箱のことなんてね、見たことも、聞いたこともないの
 わからないの」

「・・・うん」

「でもね、これが凄くすごく、
 憎らしいものだって、そう感じるの!
 さっきは、誤魔化してたけど・・・我慢できないの!」

「でも、これは凄く危険なものみたいだ。
 安易に触っちゃ駄目だ」

「・・・なんで、おにーちゃんにそれが分かるの?」

「・・・」



104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:50:27.78 ID:RVrCnbBo0

「恐ろしいものに、詳しい知り合いがいてな」

「・・・」

「・・・それより、デレがさっき言ってたおねーちゃんって?」

「あ・・・わからない」

「・・・」

「わからないけど、おねーちゃんと私が、コレの所為で
 酷い目にあった気がするの・・・」

「・・・」

「おかしいよね・・・私におねぇちゃんなんて、いないのに・・・」

「・・・」



106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:52:30.18 ID:bhfz1iNZ0
駐車場をぬけ、車の中から見た商店街へ出る。

俺の近所には商店街がない。なのでこんなテンプレートな姿をした商店街を見るのは、産まれて始めてだった。

ぬるい空気が流れていて、ここにも何か食べ物の匂いが充満している商店街。

近くの肉屋のコロッケの匂いとか、魚屋の生臭い匂いとか、

八百屋からただようあま〜い桃の匂いとか……やべぇ腹へって来た


そういえば海から帰って来て、結局昼飯を食べていなかったんだ。そりゃ腹も減る訳だ。

古いブチックや眼鏡屋を眺めながら歩いて行くと、いやに綺麗な洒落た店が見えた。

周りが古い老舗のような感じなので、あそこだけが異様に目立っている。

外観は、義兄さんをそのまま建物にしたような感じ…といってもよくわからないと思う。

焦げ茶色と白で構成されている店で、シンプルな木の看板には、『小料理・居酒屋 場凡家』と書いてあった。



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:53:52.18 ID:RVrCnbBo0

デレは立ち上がり、
箱を一つ持ち上げた。

あっ・・・

触るなって・・・!

止めるまもなく、デレはその箱を高く持ち上げると
地面に叩きつけた。


「この、だいっきらい!!!」



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:55:04.51 ID:RVrCnbBo0

箱は激しい音をたて。
それでも壊れる事はなかった。

デレは顔面蒼白になり、
膝をついてまたなき始める。



「く、くるしい・・・」

「えっ!?」

「あ、おにぃ、にぃ、何か、くる・・・」



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:56:14.65 ID:RVrCnbBo0

呼吸が浅く、速い。
急に苦しみ始めるデレ。

俺は慌ててデレを抱えて、
地下室から出た。



117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:57:30.26 ID:RVrCnbBo0

(;'A`) か、カーチャン!!!で、デレがっ!!!

J(;'ー`)し ど、どーしたんだい?

(;'A`) わ、わからね! デレが箱に触ったら、急に!

J(;'ー`)し えぇ!

(;'A`) びょ、びょ、びょういんに!



120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:58:32.63 ID:RVrCnbBo0

慌てて電話に駆け寄る俺。
電話を鳴らそうとするも・・・

反応がない。

電源は着いているようなのに、
ボタンを押してもプッシュ音がしないし、
向こうにつながりそうな様子もない。

母に電話が繋がらない事を言う。
母は俺から電話を引ったくり、
使おうとするも同じく無駄だった。

外へ走ろうと、財布と鍵をひっつかむ俺。
デレの容態を見る母。

俺はその母を横目に、玄関へと走り・・・


「ぴんぽーん」
インターホンがなった。



124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 20:59:45.53 ID:RVrCnbBo0

そのまま、玄関へと走り
外に出る。
見たこともないババアがいた。

そんなの、構ってる暇なんてない。
おれは脇を走り抜けようとした。

しかし、ババアが杖で俺の脚を引っ掛け
俺は派手に転んだ。

すぐに抗議の声を上げる俺。



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:01:41.95 ID:RVrCnbBo0

(#'A`) なにすんだよ!

(#゚;;-゚) 主ガ、無視シヨウトスルカラダ.シカモ、ババア扱イシオッテカラニ

(;'A`) え・・・


あれ・・・
俺、口に出して言ってたっけ・・・?

困惑する俺を無視して、
ババアは話を続けた。



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:04:18.14 ID:RVrCnbBo0

(#゚;;-゚) コトリバコガアル家トイウノハ、ココカ? 小僧…

(;'A`) ことりばこ・・・?

(#゚;;-゚) アア.コトリバコノ、ニホウガアルトノ、オ嬢様ノ話デアッタガ…?

(;'A`) もしかして、あれか・・・四角い穴の開いた木箱・・・

(#゚;;-゚) 穴…? フム.変法デ作ラレタ物デアロウカ…?
     私ガ今マデ見タモノハ、印ガ記シテアッタダケデアッタガ…

(;'A`) ・・・?



136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:05:55.94 ID:RVrCnbBo0

ずかずか、勝手に部屋にはいるババア。

デレが倒れて苦しんでいるのを見ると
ババアはいきなり懐から小さなナイフを取り出し
自らの指先と手の平を切りつけた。

血だらけとなった手を無表情に見るババア。
俺は展開についていけず、
呆然としている。



139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:06:53.72 ID:RVrCnbBo0

(#゚;;-゚) 小僧、娘ノ口ヲ開クガイイ

(;'A`) はあ!?

(#゚;;-゚) 貴様ノ妹ヲ助ケテヤロウトイウノダ.早クセヨ

(;'A`) ・・・



140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:07:59.99 ID:RVrCnbBo0

俺はデレの下あごに手を掛けると、
下へと引いた。

3cmくらい開かれる、デレの口。
ピンク色にぬめる様な光沢のデレの舌先が
力なく口の外へでてきた。

ババアはデレの頭を掴むと、上へと押して
さらにデレの口を広げる。

そして、自分の血だらけの指を
デレの小さな口の中に突っ込んだ



142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:09:20.66 ID:RVrCnbBo0

「おえええっ」

「気持チ悪クテモ、飲メイ.娘ヨ」

「あぐ;kl:;っぉあr」

「お、おい、これで本当にデレが助かるのか?」

「×××天井、ノリオ? シンメイイワト アケマシタ、カシコミカシコミモマモウス」

「は・・・?」

「×××天井、ノリオ? シンメイイワト アケマシタ、カシコミカシコミモマモウス」



146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:11:31.93 ID:RVrCnbBo0

ババアの言葉がよく聞き取れない。

祝詞か、あるいは呪詛か。
よく分からないが、難しげな言葉を繰り返すババア。

ババアが指を抜くとすぐに、
デレは血の混じった吐瀉物を吐き出した。

汚れたデレの口元をティッシュで拭ってやると
俺はババアを睨み付けた。



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:15:02.32 ID:RVrCnbBo0

(#'A`) 何しやがるんだ! ババア!

(#゚;;-゚) 恩シラズナ餓鬼だよ.全ク

(#'A`) あぁ!?

(#゚;;-゚) ヨク、娘ノ顔ヲ見テミヨ

(#'A`) ・・・



154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:18:20.85 ID:RVrCnbBo0

苦しげだったデレの表情は
幾分落ち着いていた。

ショックでまだ青ざめていたが
母も、少し安堵した顔に変わっている。

何だ?何をやった?

不思議がる俺にババアは
娘が触った箱のところへ案内しろといってきた。

断る理由もなく、ババアを連れて行く俺。

ババアはその箱を持ちながら先ほどと同じような呪文を繰り返し
最後に箱を壁に叩きつけて壊した。

デレが叩きつけてもビクともしなかったのに、
あっさりと、砕ける箱。



155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:20:43.57 ID:RVrCnbBo0

(;'A`) あっ・・・

(#゚;;-゚) フン.解呪シタ所為デモウ使イモノニナランワ

(;'A`) ・・・

(#゚;;-゚) オイ、小僧

(;'A`) ・・・え?

(#゚;;-゚) オ前ノ妹ヲ救ッタ礼ヲヨコセ

(;'A`) ・・・礼?

(#゚;;-゚) 残リノコトリバコ、全テダ

(;'A`) ・・・



159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:22:14.75 ID:RVrCnbBo0

正直、ありがたい申し出だった。
はっきりいって、処分に困るもの。

俺は「どうぞお持ちください」と答えた。

そのすぐ後、小さく、デレが「駄目」と言った。
意識があった上での発言かは、わからない。

ババアはデレを無視し、
俺の方を見るとニンマリと笑って、うなずいた。



163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:24:46.26 ID:RVrCnbBo0

('A`) ・・・しかし、これは一体、何だったんだ?

(#゚;;-゚) フム.ソレ位ハ教エテヤルカ

('A`) ・・・

(#゚;;-゚) コノ箱ハ、コトリバコ・・・


ババアは耳障りな声で、コトリバコの説明をしてくれた。

コトリバコというのは、どうやら
人の子供で作るおぞましい呪いのようだ。

家のはドレもニホウといって、
二人の子供を犠牲にして作ったらしい。



164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:26:34.04 ID:RVrCnbBo0

作り方は、複雑に木の組み合わさった木箱をつくる。
これが酷く難しいのだと、ババアは嬉しそうに語った。
ちょっとやそっとじゃ木箱を開けられないようにするための細工らしい。

次に、その木箱の中を、雌の畜生の血で満たして、1週間待ち、
血が乾ききらないうちに蓋をする。

そして、仕上げに子供の体の一部を入れるんだ。
生まれた直後の子は、臍の緒と第一間接くらいまでの人差し指の先、
そして、ハラワタから絞った血を。
7つまでの子は、人差し指の先と、その子のハラワタから絞った血を。
10までの子は、人差し指の先を。

それぞれ、入れる。



169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:28:27.04 ID:RVrCnbBo0

ニホウ・・・
2人の子供・・・

デレはさっき、何かいってたな。

私とおねぇちゃんが、これの所為で酷い目に・・・?



「オイ、小僧」



171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:29:54.67 ID:RVrCnbBo0

Σ('A`) あっ、はい!

(#゚;;-゚) 確カニ、残リノ箱ハ頂イテイクゾ

('A`) どー・・・


ん・・・?
何だか、目の前がぐらぐらしてきた。

おかしいな。
あ、いかん。
意識が・・・
・・・
・・・
・・・



175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:32:27.43 ID:RVrCnbBo0

目を開くと、デレはすっかり落ち着いたらしく
気持ち良さそうに寝ていた。

母親も、デレの隣でぐっすり。

・・・
俺は地下室に戻って箱がどうなったか見た。

綺麗に全て、消えていた。



178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:35:06.60 ID:RVrCnbBo0

・・・
・・・

ばたん・・・ぶろろろろろr

(  ^ω^) お婆ちゃん、どこに行くのかお?

(#゚;;-゚) 津出山ノ展望台ニ頼ム
 
(  ^ω^) あーい

(#゚;;-゚) ・・・

(  ^ω^) ・・・

(#゚;;-゚) …フン

(  ^ω^) ん? どうかしましたかお?

(#゚;;-゚) コンナトコロニ、片割レガイタカ

(  ^ω^) ?

(#゚;;-゚) フッフッフ… オ嬢様



183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/14(月) 21:37:20.14 ID:RVrCnbBo0



「婆ニ、モット苦シム姿ヲ見セテ下サイ.フフフ…アハハハ…アッハッハッハ…」




ぶろろろろ・・・ぎぃー・・・
ばたん・・・



戻るE