( ^ω^)達はタイムマシーンに乗るようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 18:49:50.93 ID:UGe6SEaA0
一方その頃西暦2100年。

赤いバンダナ額に巻いて、黄色い前掛けはためかせ、
何故かクックルは研究所の掃除に勤しんでいた。
片手に持つのは拳銃ではなくホコリ取り…

(;゚∋゚)(なぜ我輩がこんなことをしなければならないのだ?)

「アンタっ!」

(;゚∋゚)「ひょえっ!?」

J( 'ー`)し「全然綺麗になってないじゃないの!」

(;゚∋゚)「すいませんであります!」

J( 'ー`)し「ほら、こーやって隅から隅までつつーっと完璧に拭き取らなきゃ駄目よ」

( ゚∋゚)「了解!」

ヘリカルの家出によって一時意識を失ったドクママだが、
今は気を取り直して大掃除に取りかかっているようだ。
ぴかぴかに家を磨き上げようと、その瞳には一層気合が入る。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 18:52:48.52 ID:UGe6SEaA0
( ゚∋゚)(百戦錬磨の武人と言われたこの私だが、どうもあの婦人には頭が上がらぬ)

Ω「隊長! ここはどうしましょうか?」

( ゚∋゚)「うむ?」

J( 'ー`)し「そこはホウキで掃いてといてー」

Ω「分かりました!」


(;゚∋゚)「…」

(;゚∋゚)「どうやら今回も軍配は向こうに渡ったようである」


J( 'ー`)し「ほらほら! ボサッとしてないで動いた動いた!」

(;゚∋゚)「クエッ!」


ドクママの掃除の腕前はかなりのもので、見る見る内に部屋は一つずつ綺麗になっていく。
窓を覆う塵や埃もすっかり無くなり、夜空に浮かぶ星がより輝いて見えるようになった



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 18:56:57.04 ID:UGe6SEaA0
窓の向こうの幾千の輝きを見ながら、ドクママは雑巾を持つ手を止めてふと思う。


J( 'ー`)し(息子たちとヘリカルは、あの星の向こうにいるのかしらね…)

J( 'ー`)し(まっ、体壊さず健康でやっていればそれでいいわ)


行き先が未来だろうと過去だろうと宇宙であろうと、
肝っ玉かーちゃんの彼女にとっては、隣町へ遠足に送り出すのと同じ話なのである。


ゴシッゴシッ…


( ゚∋゚)「かーちゃん!! これでいいでありますか?」

J( 'ー`)し「うーん。まだツメが甘いわ!」

(;゚∋゚)「うーむ…」


こうして夜は慌しく過ぎていく。
掃除が一通り終わったのは、夜の9時半ばの頃だった。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:00:40.40 ID:UGe6SEaA0



(*゚∋゚)「この漬物もまた格別ですな!!」

J( 'ー`)し「それは実家から持ってきたのよー。 たくさん食べてちょうだいね」

Ω「た… 隊長。そろそろ戻らなくてはまずいのでは?」

( ゚∋゚)「やかましい! こんなに美味い飯が並んでるのだぞ!
     時間など気にせず貴様等もいただくのだ!」

Ω「は、はあ」


見違えるほどに綺麗になったリビングには、郷愁を誘う家庭料理の匂いが立ち込めていた。
クックルはすっかりその感覚の虜となり、先程から食べ物を運ぶ箸が止まらない。
ショボン達を捕らえてタイムマシーンの出発を防ぐ、などという本来の目的はすっかり忘れている。
口癖からもお察しのように、彼の脳味噌は鳥のように単純なのだ。



(*゚∋゚)「がはははwww かーちゃん、みそ汁おかわりー」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:04:10.06 ID:UGe6SEaA0
クックルに同行してきた兵士達は、顔を見合わせて談合する。

 Ω(ど、どーするよ)

Ω(食べるしかないだろう…)

 Ω(夜は彼女と約束してたのにっ、ちくしょー!
   こうなりゃヤケだ!)

 Ω「いたっだきまーす!!!」

J( 'ー`)し「こらっ! 箸の持ち方が違うっ!」

 Ω「す、すいません」

( ゚∋゚)「まったく世間知らずだのうwww」

J( 'ー`)し「クックル、口元にご飯粒ついてるわよ!」

( ゚∋゚)「クエッ!! うっかりしてたわい!」

J( 'ー`)し「おっほっほっほwww」

ΩΩΩ< あっはっはっはwwwwwww


―――――――――
―――――



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:09:17.98 ID:UGe6SEaA0
( -∋-)「んご〜」

Ω「…すーすー… みゆきー…」

Ω「…おかわり……」

Ω「………zZZ」

J( 'ー`)し「あらあら、寝ちゃったわこの子達」

J( 'ー`)し「…よいしょっと」


夜は更け、洗い物や明日の朝食の準備を終えたドクママ。
ボロの緑ソファーに腰を下ろし、一息をついた。

彼女はリビングをぐるっと見回す。
自分の掃除の腕前に酔いしれつつ、足元にある缶箱に視線が行った。


J( 'ー`)し「あっ、これ中身が何だか気になっていたんだわ」

J( 'ー`)し「ちょっと見てみましょう」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:13:32.22 ID:UGe6SEaA0
J( 'ー`)し(これは中学校の部活の引退試合ね)

J( 'ー`)し(これは大学の入学式…)

J( 'ー`)し「まったく、アルバムにまとめればいいのに
      思い出はきちんと整理しないと駄目よ。バチがあたるわ」


缶箱の中には、ブーン達の写真が雑然と詰められていた。
ドクママは懐かしがって手前のものから見ていく。


しかし、とある写真を境に彼女は違和感を感じ始めた。


J( 'ー`)し(これは杉浦センセの研究所での集合写真だわ)

J( 'ー`)し(左からブーンちゃん、ショボンちゃん、ドクオ、そして杉浦センセ…
      …あれ?)



J( 'ー`)し(ドクオと杉浦センセの間… ここに誰かがいたような気が…)

J( 'ー`)し(さっぱり思い当たる人もいないけど… ただなんとなく… 違和感が…)

J(;'ー`)し(あら?)



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:17:49.60 ID:UGe6SEaA0
J( 'ー`)し「なんだか妙だわ」


そう思いつつ、ドクママの写真を取っていく手は速まっていた。


J( 'ー`)し(これは私も行ったお花見の写真)



J( 'ー`)し(まだ生まれて間もないヘリカルちゃんを抱いている私…
      酔っ払ってるショボンちゃんとブーンちゃん…
      下痢で死にそうな顔になってるドクオ…
      変わらず牛乳ビンの蓋みたいな眼鏡のセンセ…)



J( 'ー`)し(そして…)

J( 'ー`)し(!? これもだわ。 これも変に感じる。
      そもそもヘリカルちゃんを抱いていたのは、本当に私だったかしら…? この写真を見るたびに思うのだけれど…)

J( 'ー`)し(これも… これも、これも)


彼女の心には畏怖が湧いていた。
そして全ての写真を見終わったあと、彼女は再び或る写真を取り上げた。
静かにフィルム紙から写真を抜き出し、それを裏返す。そこには、「2093.8.20」と記されてあった。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:20:32.36 ID:UGe6SEaA0
J( 'ー`)し「杉浦センセが写っている最後の写真…
      タイムマシーン試作機完成記念に撮った写真…」


この一枚が、ドクママのいう”違和感”
それが、1番顕著に感じる写真であった。


J( 'ー`)し「左にブーンちゃんとショボンちゃん、右にドクオと杉浦センセ
     …そして」






ドクママの人差し指が、真ん中の不自然な空白を指差していた。







――――――――
―――――



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:23:36.69 ID:UGe6SEaA0



('A`)「へくしょい!」

('A`)「グスッ… クソ暑いのにくしゃみが出やがる。
   きっと汗が乾いた性だな」

一人荒野に取り残されたドクオ。
空に浮かぶ太陽と睨めっこをしながら、タイムマシーンで待機していた。

('A`)「充填率が極端に遅いな」

('A`)「ステルスモードにしながらの充填だからか?
   通常の三倍はかかるな… こりゃ」

('A`)「つまりだ。エネルギーが貯まるまでお留守番ってかい へっ。
   あいつらめ、このドクオを何だと思ってるんだ?」

('A`)「元はといえば、クックルのとっつぁんなんかに構っちまったのが悪かったな…
   クックルと一緒にいた奴、クロノストーンとか言ってたけど…」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:26:52.60 ID:UGe6SEaA0
ブーンが置いていったラジオから、流行曲がノイズ混じりでつらつらと流れる。
もっとも、ドクオにとっては”懐メロ”なのだが。

('A`)「懐かしいなサザンオールブラザーズ」

('A`)「夏といえばサザンだね」

('A`)「…」

('A`)「…暇だ」

寂しい大地のど真ん中。そこにいるのは自分一人。
暇を潰す相手も、道具も無し。
脱出しようにも、タイムマシーンが心配で離れられず。


('A`)「アー ヒマダ」

('A`)「セリフガ ハンカクニ ナルクライ ヒマダゼ」

('A`)「…ウボァー」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:28:39.56 ID:UGe6SEaA0
あまりにも暇なので、ドクオはある事を思い立った。


まず全裸になり
             (  : )
        ( 'A`)彡
        <(   )
        ノωヽ

 自分の尻を両手でバンバン叩きながら白目をむき
           从
       A`  )  て
        ( ヾ) )ヾ て
           < <

⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二(  '∀`)ニニ二⊃   タイムマシーンからフライ・アウェイ!!!
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  )
       ヽ_,*、_ノ  ブーン
   ///
 ///



”夏になると変な奴が沸く”とよく言うが、
まさに今の彼の状態のことをいうのだ。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:31:17.11 ID:UGe6SEaA0
⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二(  '∀`)ニニ二⊃   ん?
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  )
       ヽ_,*、_ノ  

⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二( ; '∀`)ニニ二⊃   人影だ!!!
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  )
       ヽ_,*、_ノ  



蜃気楼の向こうに小さな点を見つけると、ドクオはすぐさま元の態勢に戻った。


('A`)「…誰だ?」

('A`)「……一人だな」

('∀`)「うっしっし。暇だからちょっと行ってみよう!」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:33:47.91 ID:UGe6SEaA0
(-_-)「はぁはぁ……」

('A|岩 (随分ひょろっとした奴だな。俺も人のことは言えないが)

(;-_-)「絶対探し出してやるんだ…」


('A|岩 <アメーーリカーーーン ドリーーム ホッホーゥ

(-_-;)「!!? だ、誰だ?」

('A`)ノ「おっす。オラごくう」


ドクオが見つけた青年は、クックル達と同じように発掘作業をしていた。
頼りなく細くて白い腕、目立たないひっそりとした顔立ち、着ているワイシャツには汗の跡がくっきりと滲んでいる。


(-_-;)「ド、ドクオ? なんでオマエがここにいるんだ…?
      杉浦さんやヘリカルと遊園地に行ってるんじゃなかったのか」



そして何故か、ドクオの存在を知っていた。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:37:08.91 ID:UGe6SEaA0
('A`)「あん? なんで俺のことを知ってるんだ?
    ワケがわからないな」

(-_-;)「ワケがわからないのはこっちだ…」

(-_-;)「おちょくりに来たのか!?」


なぜか異常にあたふたとしている青年に、ドクオは尋ねる。


('A`)「…ひょっとして。お前も、”クロノストーン”とやらを探しているのか?」

その一言が起爆剤になったかのか、青年は発奮する。
どもった声が乾いた大地に轟く。

(-_-;)「おっ お前等にはクロノストーンなんて関係ないだろう!!!
      ぼっ僕はいくら異端と言われてもクロノストーンを掘り当ててやるんだ…
      そしてお前等を見返して… ごほん なんでもない」

('A`)(こいつも科学庁の奴か? …いや違うな。
    この時代の俺と同じくらいの年だ)



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:38:49.45 ID:UGe6SEaA0
('A`)「まったく。どいつもこいつもクロノストーンか
    確かにこの時代、一時期だけ耳にしたことがあるようなないような… そんな言葉だな」

(;-_-)「ととと とにかく僕の邪魔をするな! 近付くとスコップで殴るぞ!」



(;'A`)「穏やかじゃねえなあ」

('A`)「…」






('A`)(こいつ、どこかで見たことがあるな)



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:40:16.99 ID:UGe6SEaA0
彼は自分のことを知っている。そして、ドクオ自身も彼に対して薄い薄い面識がある。
だがしかし、彼が何者であるかと、しっかりと思い出すには至らなかった。
それは、彼がドクオの心のなかで”どうでもいい存在”だったからだろう。
彼は、思い出すまでも無いエキストラなのだ。

青年はスコップを持ち直して呟いた。



(;-_-)「お前がなんでここにいるかは知らないが…」

('A`)「…」

('A`)「よけりゃー 手伝おうか?」

(;-_-)「!?」

('A`)「体力も時間も有り余ってるからな。それに、”クロノストーン”とやらを1度拝んでみたいぜww」

('A`)「それにその石が手に入ればお金ががっぽがっぽなんだろwww」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:41:03.79 ID:UGe6SEaA0
(;-_-)「………」

(;-_-)「手伝うのを装って、杉浦さんに密告するつもりだな」

ドクオは横一直線に首を振る。

(;-_-)「…ウソをつけ」

('∀`)「この純真な瞳を見ろ!」


(;-_-)「…」

(-_-)「お前の分のスコップを…… 向こうから持ってくる………」



―――――――――――――
――――――――――



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:43:30.93 ID:UGe6SEaA0








*(‘‘)*「…」

( ´ω`)「食べないのかい?」


ヘリカルは未来に着いて二度目の朝を迎えていた。
静かな朝食。食器に箸やスプーンがぶつかる音だけが、かちゃかちゃと聞こえる。
見知らぬ人の元で摂る朝食は、思うように喉を通らない。


ζ(゚ー゚*ζ「あなた、無理に食べさせちゃ駄目よ」

( ´ω`)「それもそうだな……」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:45:59.54 ID:UGe6SEaA0
ζ(゚ー゚*ζ「はい、あーん」


ヘリカルの向かいには杉浦、そしてその隣には彼の妻らしき人物がいた。
中年の杉浦には似合わない若作りな女性で、ウェーブのかかった髪にヘリカルは大人を感じた。


*(‘‘)*「…」


今頃お父さんたちはどこで何をしているのだろう?
そんなことを考えると涙が出てくる。


*(‘‘)*(お母さんにあいにいくどころか)

*(‘‘)*(お父さんたちともはなればなれ)

*(‘‘)*(未来で知らないひとにせわになっちゃって…)

*(‘‘)*(バカ、バカ ヘリカルは悪い子だ)



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:47:27.45 ID:UGe6SEaA0
辛い気持ちを抑えて、ヘリカルは箸を手に取った。
しかし、茶碗に盛られた御飯を掴もうとしたところで、再び箸をテーブルに置き、呟く。


*(‘‘)*「私は… ヘリカルは…」

ζ(゚ー゚*ζ「ヘリカルちゃんっていうの? 可愛い名前ね」

*(‘‘)*「このおうちにおせわになっていいんですか………?」

ζ(゚ー゚*ζ「いいのよいいのよ」

ζ(゚ー゚*ζ「この人、よく捨て猫とか勝手に拾ってくるのよ!
       ……あ、ネコと一緒にしてごめんなさいね」

*(‘‘)*「わたし…」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:47:58.85 ID:UGe6SEaA0

何かを言おうとした途端、杉浦がそれを遮断する。
その声には、静かな静かな優しさが流れていた。



( ´ω`)「何も喋らなくていいよ。
      きっとその君が抱える事情は、口にはしたくないものだろう」
      気が済むまで、ここに居ていいんだよ」

*(‘‘)*「…」







ヘリカルの顔が一気に紅潮する。
手元のテーブルクロスに涙の跡が、一滴、ニ滴、滲んだ。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:52:09.61 ID:UGe6SEaA0
( ´ω`)「…それじゃ、そろそろ行ってくるかな」

ζ(゚ー゚*ζ「あなた、これ」


席を立とうする杉浦に、妻がベージュ色の眼鏡ケースを差し出した。


( ´ω`)「おっ、どこにあったんだい、これは」

ζ(゚ー゚*ζ「雑誌の間に挟まれてましたよ! もう、忘れっぽいんだから」


*(‘‘)*「…」


「これが無かったせいでここ3日間は本当に不便だったよ」


杉浦が眼鏡を拭く音が聞こえる。
ヘリカルはこれからの不安や、杉浦の家族に対する雑念で胸がいっぱいになり、暫くその場で俯いていた。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:55:48.66 ID:UGe6SEaA0


ζ(゚ー゚*ζ「ほら、パパにいってらっしゃいは?」

「ばーぶー」

 「いい子にしてるんだよ」

「だー!」

 「それと… あの子を、ヘリカルちゃんをよろしく頼むぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ! 
       あっ、今日雨降りそうよ。傘、持っていったら?」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/27(木) 19:57:35.15 ID:UGe6SEaA0
( ФωФ)「…ああ」



妻は夫を玄関先で見送った。
その姿は、2100年でドクママが訝しげに見つめる写真の中、静かに佇む一人の男。
紛れも無い、”杉浦センセ”と瓜二つである。




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