( ´_ゝ`)兄者の宇宙ヤバイwwwのようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/18(金) 23:56:23.83 ID:/6KwcD1z0


( ´_ゝ`)「だーりぃ 外出たくない」


厳しかった冬が終わり、木々に若芽が芽吹いてる頃。
住宅街の家々は競いあうように花で彩られ目にも楽しい。

陽気もポカポカと暖かく
外に出るには絶好の日和だが、だからといって
俺が外出したいかと言われるとそうでもなかった。

日差しの中、道を鬱々と歩く。

「冬がすぎたら動く」なんて言ってる人間は
1年通してまともに動くはずないんだよ。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/18(金) 23:59:09.77 ID:/6KwcD1z0
(´<_` )「母者に買い物頼まれたんだから仕方ないだろ…」

( ´_ゝ`)「お前だけで行って来てくれよ」

(´<_` )「ぶち殺すぞ」


この弟は物騒なことばかり言う。

俺と違って、外に出るのが苦痛じゃない人間なんだから
役割分担しようとは思わないのか。


( ´_ゝ`)「俺が家を守り、弟者は外回り、みたいなさ」

(´<_` )「人を勝手に営業職にするなよ…」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:01:54.93 ID:JT6VGhpY0
( ´_ゝ`)「いやぁ、お前には向いてると思うぞ弟者。
       俺と違ってハキハキしてるし、人当たりいいし、
       俺と双子なだけあって顔もいいし……」

(´<_` )「最後のやつ以外はもっと言っていいぞ」

(*´_ゝ`)「人望もあるし友達多いし面倒見いいし、
      クラスでも目立ちすぎず忘れられないいい位置にいるもんな!
      キャー!この将来有望株!カッコブー!」

(´<_` )「ハッハッハ。ハーッハッハ。気分が良くなってきたぞ」

( ´_ゝ`)「そんな弟者こそ、流石家おつかい担当にふさわしい!」

(´<_` )「スーパーついたぞ兄者。カゴもて」

( ´_ゝ`)「………」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:05:01.89 ID:JT6VGhpY0
差し出されたカゴを受け取らず、弟者の頭を一発はたく。

弟者はとくに表情を変えることもなく
そのままスーパーのプラスチックカゴを俺の頭に優しくかぶせた。
これは予想外の仕返しだ。
人通りのあるスーパー入口で
カゴを鉢担ぎ姫のようにかぶせられるなんて…くやしいっビクビク!

黄色い格子ごしに見える無表情顔が腹立たしかったので、
俺も弟者の頭にカゴをかぶせてみた。
これでおあいこだ。
一人なら恥ずかしくても、2人なら恥ずかしさは2分の1だ。


グラグラ( ´_ゝ`)「………」

ユラユラ(´<_` )「………」



(´<_` )「……やめるか」

( ´_ゝ`)「…おう」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:08:02.55 ID:JT6VGhpY0
( ´_ゝ`)「にんじん、じゃがいも、牛肉、玉ねぎ・・・」

(´<_` )「なんというわかりやすいカレーフラグ」

( ´_ゝ`)「あとフルーチェとフルーチェとフルーチェ」

(´<_` )「どっちがメインだかわかったもんじゃないな」

( ´_ゝ`)「お前はわかってない。フルーチェはメインになり得る食材だ。
      思い出すなぁ、はじめてフルーチェを作ったあの日…」



 そう、あれは土曜日のことだった。
学校を午前中で終わらせて
(おっと今は土曜は学校ないんだっけな?年がバレちまうな)
帰宅した俺達をまっていたのはオヤツのフルーチェ。

はじめてのフルーチェとの出会いに俺は心震える。
CMで見るたびねだっていたのだが、
ケチな母者はなかなか買ってくれなかったのだ。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:10:23.91 ID:JT6VGhpY0

、@#_、_@  
 (  ノ`) 「2人で作って食べな!ケンカするんじゃないよ!」


(*´_ゝ`)「わーい!」

(´<_`*)「はあくー!」


母者はお客さんの相手をしていたため、
俺達ショタショタ小学生2人でフルーチェに挑む事になった。

(*´_ゝ`)「なになに、4人分…すげぇ!これひとつで
       4人のフルーチェがまかなえるそうだぞ!」

(´<_`*)「いだいな食品だな。なになに、牛乳を2カップ…」

(*´_ゝ`)「まて弟者!ばか!」

(´<_`;)「え?」

(*´_ゝ`)「4人分作るんだから、書かれてる牛乳2カップ…
       かける4で 牛乳6カップ入れないとダメだろ!」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:13:05.51 ID:JT6VGhpY0
(´<_` )「そ、そうなのか?」

(*´_ゝ`)「おれはかけ算を覚えたばかりだぞ!間違いない!」

(´<_`*)「おー!さすが兄者だー!」


 この頃は俺のほうが頭もよく物覚えもよかった。
弟者も、俺の言う事をすべて信じてくれたものだった。


(*´_ゝ`)「…なかなか固まらないな」

(´<_`*)「……びっしょびしょ…」

、@#_、_@  
 (  ノ`) 「…あんたたち、何やってんだい」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:15:55.22 ID:JT6VGhpY0
 この頃はまだ母者も今ほど過激に怒ることもなかった。

、@#_、_@  
 (  ノ`) 「これは書いてある通り、2カップでいいんだよ。
       4人分の作り方を書いてあるんだから」

(;´_ゝ`)(´<_`;)「!!!」


(;´_ゝ`)「…じ、じゃあ、これはもう…」

、@#_、_@  
 (  ノ`) 「…フルーチェというよりフルーツ牛乳だね」

Σ(;´_ゝ`) ズガーン


(´<_; )「……グスッ」


Σ(;´_ゝ`)



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:18:22.45 ID:JT6VGhpY0
(;´_ゝ`)「な、泣くな弟者!!俺のミスだ!
       だからこれは、俺がせきにんをもって
       フルーチェとして生き返らせてみせる……!」



フ ル ー チ ェ 3 パ ッ ク を も っ て な …!



俺はなけなしのお小遣いで、フルーチェをあと3パック買ってきた。
これで、分量的には通常のフルーチェになる筈だ。
弟者の顔にも笑顔が蘇った。

一安心して、水浸しフルーチェのボウルに
3パック分のフルーチェのもとを投入。

しかし、俺は気づいていなかったんだ。

それは、 4人分×4パック

即ち 1 6 人 分 の フ ル ー チ ェ が 育 つ ということに。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:20:49.17 ID:JT6VGhpY0
かき混ぜた途端、ふくらむワカメのように膨れ上がるフルーチェ。


(;´_ゝ`)「ちょwwwwwww」

(´<_`;)「まるでフルーチェのナイアガラやー!」


ボウルからは即座にこぼれ落ち、
焦って別のボウルにわけようとするがとても足りない。

大慌てでそこらにあった鍋、皿にうつしはじめる。
正直、尋常な量ではなかった。


、@#_、_@  
 (  ノ`) 「……アンタ達…」

(;´_ゝ`)(´<_`;)「………あぅ…」


その日の晩ご飯のメインがフルーチェになった事は言うまでもない。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:25:41.49 ID:JT6VGhpY0
( ´_ゝ`)「……ええ話や…」


(´<_` )「な げ ぇ よ」


ってか嫌な思い出だし、と
弟者が身震いした。
母者にむりやり食わされた
フルーチェがけご飯のことでも思い出したのだろう。
たしかにあれはひどかった。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:27:18.70 ID:JT6VGhpY0
会計をすませ、スーパーを出る。
レジ袋が3つになったので
俺が1つ、弟者に2つの分配にしたところ
納得いかないらしい弟者に1つ半ずつ持たされた。

右手にひとつ。
左手には持ち手を2人で片方ずつもったレジ袋。
動きづらいだろこれ。
我が弟ながらどんだけ心狭いんだ。


( ´_ゝ`)「ガツンと肉でも食いてえなー」

(´<_` )「育ち盛りだもんな俺ら」


道端の桜がハラハラと舞い落ち
季節を感じさせてくれる。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:30:26.85 ID:JT6VGhpY0
( ´_ゝ`)「……春休み終わったら3年生だしな…
       ああ、俺もついに
       世間の荒波に揉まれなくてはいけないのか……」

憂鬱にもなる筈だ。
あと数日で俺の高校生活最後の年、
3年生の年がはじまる。

つまり、泣く子も犯す受験生の年だ。


(´<_` )「まだまだ学生の時分でなにを言ってる」

同じ高校に通っている弟は、たいして辛くもなさそうな顔。
こいつは成績も上の中といったところ。
名のあるところではなくても、
どこかしらの大学には進学するつもりでいるんだろう。
どことなく余裕も見える。

成績中の下である俺はといえば


( ´_ゝ`)「彼女できっかな」

だんだん現実逃避に走りはじめていた。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:34:32.19 ID:JT6VGhpY0
(´<_` )「希望は持つなよ」

(#´_ゝ`)「なんだよ弟者!!俺の新しいクラスライフに
       ケチつけんのか!?」

(´<_` )「そういうわけじゃないが」

(#´_ゝ`)「もういいよ!俺の彼女の可愛い女友達
       お前には紹介してやんないからな!!」

(´<_` )「すでに設定ができてるのか……」

(#´_ゝ`)「寂しい青春を送るがいいさ!!
       エロゲとアニメと脳内彼女で己を慰める
       惨めな高校生活をな!」

(´<_` )「snaj?」(※それなんて兄者?)



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:37:21.44 ID:JT6VGhpY0
あー言えばジョンイル。

(´<_` )「だって受験生だし、それどころじゃないだろう」

それを忘れたいが為の恋愛要素だってのに…
こいつはなにもわかってない。
ギアスを日曜夕方5時に移動させた制作部並にわかってない。
あの時間見辛いんだよ。
おかげで一度も見れてないじゃないか畜生。


(#´_ゝ`)「ふん!」

(´<_` )「あ、おい、待てよ兄j・……




フッ



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:41:37.16 ID:JT6VGhpY0

( ´_ゝ`)「おっ?」


俺が勢いにまかせて先を歩こうとしたところで
弟者が突然レジ袋から手を離した。
突然片方だけに重心がかかった事により、
中身が倒れてぐしゃぐしゃになる。


(;´_ゝ`)「あーあーあー…!」

やっべ。
卵大丈夫かな。

( ´_ゝ`)「なにやってんだおい…弟者? ……どこ行った?」

( ´_ゝ`)「おーーーーい?」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:44:42.63 ID:JT6VGhpY0
前、後ろ、右、左と
360度ぐるぐると回ってみるが姿がない。

住宅街の道の真ん中、
そんな隠れられるような場所はない筈だが。
しかもそんな一瞬で。
忍者かよアイツは。

( ´_ゝ`)「……ハップーターン?」


…突っ込みがこない。


( ´_ゝ`)「…弟者ー?」

( ´_ゝ`)「おーーい……」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/19(土) 00:46:48.61 ID:JT6VGhpY0


それから
弟者は行方不明になった



戻る第1話