(,,゚Д゚)彼女は年上なようです从'ー'从

1: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:19:51.09 ID:G8UV3ubh0
第七話 『知りたい事と知らなくていい事』


「パパ、ママー、今日もテストで100点だったよ!」

「お。 偉いぞ、フサギコ。 良く頑張ったな」

「流石はうちの子だわ」

お父さん、

お母さん、

どうして、お兄ちゃんばかり褒めるの?

「フサギコ、運動会のかけっこで一番だったんだってな」

「うふふ、将来楽しみだわ」

どうして、僕のことは見てくれないの?

僕だって、頑張ったんだよ?

お兄ちゃんみたいに、上手くはいかなかったけど、

でも、一生懸命頑張ったんだよ?

なのに、

なのに何で――



2: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:21:20.69 ID:G8UV3ubh0
「フサギコ、よくやったな」

「あなたみたいな子が息子でお母さん鼻が高いわ」

お父さん、

お母さん。

僕のことも見てよ。

お兄ちゃんだけ見てるんじゃなくて、

僕のことも見てよ。

僕のことも、ちゃんと見てよ……!



3: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:22:49.07 ID:G8UV3ubh0


         *             *            *


(,,゚Д゚)「…………!」
寝ている間に冷水でも垂らされたかのように、
俺はベッドから跳ね起きた。

自分でも、息が荒くなっているのが良く分かる。
体中が、冷や汗でびっしょりだ。

(,,゚Д゚)「ちッ……!」
悪夢を振り払うかのように頭を振って、一つ舌打ちを漏らした。

また、あの夢だ。
最近は見ることも少なくなってきてたのに――
どうして、今頃になって。



4: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:24:07.88 ID:G8UV3ubh0
(,,゚Д゚)「…………」
……考えてみた所で、見てしまったものは仕方がない。
出来る事は、可能な限り早く今見た夢を忘れてしまうことだ。

そう、あれは夢だ。
ただの、夢なんだ。

(,,゚Д゚)「…………」
学校の制服に袖を通すと、
夢から現実の世界に戻って来たという実感を得ることが出来た。

大丈夫。
いつものことだ。
こんなこと、すぐに忘れられる。

だが――
見たくもない悪夢に限って、
頭の奥底にこびりついたまま離れず、俺を苦しめるのだった。



5: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:25:28.53 ID:G8UV3ubh0


  _
( ゚∀゚)「はよーっス」
朝のホームルームの前の時間、
登校してきたジョルジュが後ろから俺の肩に手を乗せながら挨拶してきた。

(´・ω・`)「お早う、ギコ君」
ジョルジュの横からショボンが顔を出す。
どうやら、二人一緒に登校してきたらしい。

(,,゚Д゚)「ああ、お早うさん」
振り返りながら挨拶を返す。
朝見た夢のせいか、心なしか声にも力が入らない。
  _
( ゚∀゚)「んあ? 何だそのシケた顔は。
     何か嫌なことでもあったのか?」
ジョルジュが訊ねてくる。
前から思っていたことではあるが、こいつは時々妙に鋭い。



7: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:26:54.27 ID:G8UV3ubh0
(,,゚Д゚)「……いや、別に何でもねえよ」
嘘をついた。

ジョルジュ達に本当のことを言ってもどうにかなるものでもないし、
知られたくもなかったからだ。
  _
( ゚∀゚)「ふ〜ん、そっか」
そっけないふうにジョルジュは言ったが、
恐らく俺が嘘をついたことには気づいている筈だ。

それなのに、そこの所を追求してこないのは、
ジョルジュなりに気を遣ってくれているからなのだろう。

ありがとう。
心の中で、そうお礼を言う。



10: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:28:35.33 ID:G8UV3ubh0
(´゚ω゚`)「まさかギコ君! バイト先の好きな人とうまくいってないんだね!?
     そうなんだね!?」
突如、ショボンが表情を一変させて食いつくように訊ねてきた。

(;,,゚Д゚)「はあ!? いや違うから! てかお前どこからそんなこと……」
何でショボンがそんなこと知ってるんだ?
バレないように、振舞ってたつもりなのに。

(´゚ω゚`)「それならそうと言ってくれれば良かったのに!
      僕ならいつだって君のその傷ついた心を癒してゲハァッ!!」
ショボンが言い切る前に、彼の咽元にジョルジュの手刀が突き刺さった。
そのままショボンは、悶絶しながら地面を転がる。
  _
(;゚∀゚)「この馬鹿それはまだギコには黙っとけっつてただろうが。
     空気嫁よ常識的に考えて……」
ジョルジュが死体と化したショボンを引きずりながらぶつぶつと呟く。

てことは、ジョルジュとショボンは既にもう――



15: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:31:31.79 ID:G8UV3ubh0
(;,,゚Д゚)「あの、ジョルジュ、ひょっとして……」
恐る恐る、俺はジョルジュに聞いた。
  _
(;゚∀゚)「あー…… まあ、そうだな」
ジョルジュが首を立てに振って、肯定の意思を示した。

(;,,゚Д゚)「ど、どどどどど、どうしてバレ、バレ、バレて――」
激しく動揺した為、完全に呂律が回らなくなってしまった。
顔から火が出そうな程の気恥ずかしさが、全身を駆け巡る。

何で?
どうして?
どこからこいつらは気づいたんだ!?
  _
(;゚∀゚)「気づいてねーとでも思ってたのかよ……
    バレバレだっつーの」
やれやれと溜息をつきながら、ジョルジュが肩を竦めた。

ということはまさか、
渡辺さんの花屋のことまで知られてしまっているのか……!?



16: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:32:59.95 ID:G8UV3ubh0
  _
( ゚∀゚)「心配すんな。
     お前がどこにバイトに行ってて、意中の相手が誰なのかまでは知らねえし、
     お前の後を尾行してそのことを突き止めようとも思ってねえよ」
ジョルジュが俺を落ち着かせるようにゆったりとした声で告げた。

良かった……
まだそこまでは知られてなかったのか……
  _
( ゚∀゚)「てか、本当は気づかない振りしとくつもりだったんだけどな。
     どこかのアホが余計なこと言うから……」

(´゚ω゚`)

ジョルジュが床に転がったまま失神しているショボンを見やりながら、大いく息をついた。
  _
( ゚∀゚)「まあ、こいつも悪気があった訳じゃねえんだ。
     許してやってくれ」
(;,,゚Д゚)「あ、ああ……」
許すも何も、白目を剥いて気絶している奴に恨み言を漏らす程、俺も悪人ではない。

とはいえ……
ジョルジュとショボンに気づかれていたとは。

それじゃあ今まで、気づいてた上で普段と同じように接してくれていたというのか。
そう考えると、最近遊びに誘われても無下に断ってしまっていたジョルジュとショボンに対して、
非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになってきた。



17: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:33:53.67 ID:G8UV3ubh0
  _
( ゚∀゚)「気にすんな。
     また今度、バイト代が入ったら何か奢ってくれりゃいいさ」
そう言って、ジョルジュは笑った。

……ありがとう、ジョルジュ。
こんなに、俺に対して優しくしてくれて。

お前と友達で、
本当に良かった。
  _
( ゚∀゚)「で、話は変わるけどさ。
     お前の好きな人って何カップ?
     パイズリとか出来そう?」
前言撤回。
結局はそれか、このおっぱい野郎が。



20: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:35:39.66 ID:G8UV3ubh0



    * ここで一旦コマーシャル *



広大な荒野を戦士達が駆ける!
次世代MMORPG、ついに始動!

ゲームの舞台は、
銃声と硝煙が世界を彩る西部劇!

あなたの分身をゲームの中に生み出し、
世界のどこかに眠るという古代の遺産を探し出せ!!



22: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:36:32.29 ID:G8UV3ubh0
* ゲームの展開を左右するカラミティアクション! *


このゲームには、基本となるステータスである
筋力(STR)、体力(VIT)、器用さ(DEX)、敏捷(AGI)、知力(INT)、精神力(MIN)の他に、
カラミティポイント(CAL)というものが存在する!

このカラミティポイントを消費することで、
超強力な技能である、カラミティアクションを使用可能!

カラミティアクションは、種族にそれぞれ1つ、クラスにそれぞれ1つずつ固有のものが設定されており、
その効果はいずれもが強力無比!

ただしカラミティポイントが0になると、
その時点でそのキャラクターはロストしてしまう為、
使用には注意が必要だ!!



23: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:37:16.47 ID:G8UV3ubh0
* 個性豊かな5つの種族! *


ゲームの舞台となる世界、ウェストエンドには多種多様な生物が生息しているが、
プレイヤーはその中の5つの種族のうちの1つを選ぶことが可能!
それぞれに長所と短所があるので、よく考えて種族を決定しよう。


・人間(ヒューマン)

一番生息数が多い種族。
手先が器用であること以外は能力値は極めて平凡で、
種族固有のカラミティアクションも所持していない為他の種族と比べて地力では劣る。
ただしカラミティポイントの値は群を抜いて高く、一発逆転を狙えるチャンスが多い。

カラミティアクション

無し



25: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:37:59.51 ID:G8UV3ubh0
・獣人(ライカンスロープ)

獣の力を有する人間の亜種。
肉体面の強さは5つの種族の中でもダントツだが、
反面知性等はあまり高くない。
なおこの種族は自然と共に生きることを掟としており、
近代文明に対し否定的な考えを持つ為、銃を使用して戦うクラスにつくことは出来ない。

カラミティアクション

『フルムーンストレングス』…獣の姿に変身し、一定時間STRとVITとAGIが2倍となる。


・森の民(エルフ)

その名前の通り、主に森の中で生活している種族。
肉体的にはひ弱だが、豊富な知恵でそれを補っている。
獣人と同様、銃を使用して戦うクラスにつくことは不可能。

カラミティアクション

『精神統一』…精神を集中し、一定時間INTとMINが2倍となる。



27: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:38:43.87 ID:G8UV3ubh0
・眷属(ロード)

闇の世界に住まう、魔性の種族。
高い身体能力と知性を併せ持ち、どんなクラスでも平均以上にこなすことが出来る。
唯一の欠点として、カラミティポイントが少ないことがある。

カラミティアクション

『イモータリティ』…戦闘不能時、全快状態で復活。


・半魔(ダークハーフ)

眷属と人間との間に生まれた者。
その出生の事情から、あらゆる種族から迫害を受け続けている。
能力は人間と眷属との中間といったところ。

カラミティアクション

『カースドブラッド』…一定時間、HPとMPが自動的に回復する。(回復量大)



29: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:40:50.68 ID:G8UV3ubh0
* 選べる7つのクラス! *

バリエーション豊かな7つのクラスが、冒険の幅を広げる!
種族ごとに向き、不向きのクラスはあるが、
種族の長所を更に伸ばすクラスにつくか、欠点を補うクラスにつくかはあなたしだい!
それぞれのクラスの特性を理解し、危険な荒野を切り抜けろ!


・ガンスリンガー

銃器を使っての戦闘のスペシャリスト。
遠近問わず高い攻撃力を発揮し、使用する弾丸を変えることで、
様々な属性やバッドステータスを攻撃に付加させることも可能。
あらゆる局面で、攻撃の要となるクラスだ!

カラミティアクション

『トリガーハッピー』…広範囲の敵に対して、
           ランダムにクリティカル率100%の10回連続射撃攻撃



31: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:41:52.10 ID:G8UV3ubh0
・バウンティハンター

高威力の重火器を扱い、鉄壁の防御力を誇る、重戦士系クラス。
重火器は一撃の威力に優れるが、代償として攻撃速度が遅い為、
総合的な攻撃力ではガンスリンガーに一歩及ばない。
しかし、このクラスの真骨頂はその防御力。
パーティの壁となり、死闘の中に活路を開け!

カラミティアクション

『難攻不落』…一定時間、あらゆるダメージとバッドステータス無効


・ソードマスター

ガンスリンガーの攻撃力と、バウンティハンターの防御力を併せ持つ攻撃特化型のクラス。
ただし使用する武器が刀剣類の為、
遠距離の敵に何も出来ないまま蜂の巣にされることもありうる。
いかにして相手に接近し、必殺の一閃を叩き込むかが鍵。

カラミティアクション

『ダンスマカブル』…敵一体に対して攻撃補正10倍の物理攻撃  スタンの追加効果



34: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:42:38.79 ID:G8UV3ubh0
・アウトロー

裏街道に生きる者達を総称するクラス。
罠の設置・解除、鍵開け、隠身、軽業、気配察知、索敵等、
屋内屋外を問わないサバイバル技術のスペシャリストであり、戦闘能力もそれなりに有る。
また、闇市での資材調達や交渉などといった、諜報系の活動も得意。

カラミティアクション

『インビジブル』…一定時間姿と気配を完全に消し、物理攻撃回避率、命中率が100%となる。


・ソーサラー

古の技術である古代魔法を使用することが出来るクラス。
古代魔法は破壊力抜群だが、発動までには詠唱時間が必要である為、
その隙に攻撃を受けない為に他のキャラに守ってもらう必要がある。
また接近戦での戦闘能力は皆無であるのも弱点。

カラミティアクション

『天変地異』…広範囲の敵に対して、攻撃補正10倍の無属性全体魔法攻撃



35: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:43:27.12 ID:G8UV3ubh0
・プリースト

祈りにより神の奇跡を具現することで、
傷の治癒やバッドステータスの治療が可能な回復系のクラス。
他にもステータスの上昇やアンデットの撃退なども得意とする。
ただしソーサラーほどではないものの、やっぱり接近戦は苦手。

カラミティアクション

『祝福の天啓』…味方全体を全快まで回復し、同時に全ステータスを一定時間25%上昇させる。


・ナイトウォーカー

闇の呪術を行使して闘うクラス。
バッドステータスの付与、能力値の下降等を与えるスキルに長け、
また使い魔を召喚して使役することも可能。
眷属か半魔のみ、このクラスにつくことが出来る。

カラミティアクション

『カオスエレメント』…広範囲の敵に攻撃補正5倍の闇属性攻撃
             追加効果で一定時間全能力値25%ダウン、全バッドステータス付与



36: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:43:57.01 ID:G8UV3ubh0
君だけの冒険者を作り、
いざ無限のフロンティアへと駆け出せ!

MMORPG



( ^ω^)ブーンは荒野に生きるようです β版



来月よりサービス開始!!



37: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:45:14.92 ID:G8UV3ubh0







   ∩∩
   | | | |
  ( ゚ω゚)  < こまーしゃる ここまで
  。ノДヽ。    
   bb







41: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:48:09.56 ID:G8UV3ubh0
从'ー'从「ギコ君、この前はごめんね。
      ペニサスが失礼なことしちゃって……」
閉店後、床の掃き掃除をしていた俺に、
渡辺さんがそう話しかけてきた。

(,,゚Д゚)「いえ、別に気にしてませんからいいですよ」
本当は気にしまくりなのだが、
正直に『あのアバズレめっちゃムカツクんですけど』などと言おうものなら、
確実に渡辺さんとの関係が悪化するので口に出すのは止めておいた。

从'ー'从「ペニサスはちょっと口が過ぎるところがあって、誤解されやすい性格だけど、
      本当はとっても優しいの。
      だから、彼女のことを悪く思わないであげてね」
(,,゚Д゚)「はあ……」
あの女がいい人とか、にわかには信じられない話ではあったが、
渡辺さんがここまで言うぐらいだから、嘘ではないのだろう。

でも、何か、
俺絶対あの人とは合わないような気がする……



43: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:49:35.28 ID:G8UV3ubh0
(,,゚Д゚)「そういや渡辺さんって、昔からあの人と知り合いだったんですか?」
渡辺さんの口ぶりだと、
ペニサスさんとは大分長い付き合いのようだったが、
性格とか一見正反対っぽいのに、交友が長続きすることってあるのだろうか?

いや、むしろ逆だからこそ長続きするのかもしれないが。

从'ー'从「ええ。 彼女とは、小学校で同級生だったから。
      もう随分長い付き合いになるわね」
しみじみと、昔を思い出すような口調で渡辺さんが答える。

へえー、そうか。
小学校の時から知り合いだったんだ……

――って。

(;,,゚Д゚)「渡辺さんとペニサスさんって、同い年だったんですか!?」
俺は驚きの声を上げた。

从'ー'从「? そうだけど、それが?」
渡辺さんが不思議そうに訊ねる。



47: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:52:24.79 ID:G8UV3ubh0
(;,,゚Д゚)「いや、絶対ペニサスさんの方が渡辺さんより年上だと思ってたんで……」
あくまで俺の主観的判断ではあるが、
渡辺さんの外見はペニサスさんよりずっと若く見えた。

勿論ペニサスさんが老けているとかそういう訳ではないのだが、
二人が並んでいるところを見て、同年齢であると思う人はいないだろう。

从'ー'从「そんなことないわよ。
      私も今年で三十路になっちゃったもの。
      もうオバサンよ」
30歳!?
この外見で!?
ってか、俺より13も年上!?

――いや、問題無い!
むしろ萌える!!

いや、待て待て。
てことは、渡辺さんからしてみれば、
俺なんか完全にただのガキンチョじゃねえか。

告白とかそれ以前に、
俺が恋愛対象の範囲に入っているかどうかすらも怪しい。

これは、大きな問題だぞ……



49: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:55:06.72 ID:G8UV3ubh0
从'ー'从「? どうしたの、ギコ君」
渡辺さんが半分放心状態の俺に声をかけてきた。

(;,,゚Д゚)「ッ! あ、いや、何でもないです。
     でも羨ましいですね。 そんな昔から親友がいるなんて」
俺は慌てて話題を変えた。

10年後――
ジョルジュやショボンはまだ、俺と友達でいてくれているのだろうか。

それは判らない。

だけど俺は、そうであればいいなと、切に願っていた。

从'ー'从「うん、本当に、ペニサスがいてくれて良かったと思う。
     あの時彼女がいてくれなかったら、今頃私は……」
そう言って、渡辺さんが俯いた。

やばい。
何故かは判らないが、ひょっとして地雷を踏んだ!?



52: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 18:59:24.17 ID:G8UV3ubh0
从;'ー'从「! ご、ごめんなさい! 一人で考え込んじゃって。
      何でもないから、気にしないで」
渡辺さんがはっと我に返った様子で、慌ててかぶりを振った。

あの時ってどういうことなのだろうか。
それが気になりはしたが、そんな事を聞ける訳も無く、
気まずい沈黙が流れる。

(;,,゚Д゚)「あー、えっと、冷蔵ケースの清掃しときますね」
気まずい雰囲気にいたたまれなくなった俺は、
仕事へと逃げ道を求めることにした。

時間は午後8時。

これだと、仕事が終わって帰るのは9時を過ぎる頃になりそうだ。

从;'ー'从「あ、うん。 お願いね」
渡辺さんも俺と同じ考えだったのか、
それ以上の会話を打ち切るように、
今日の出納簿をつける為にレジスターへと向かう。

それから、俺と渡辺さんはお互いに無言のまま仕事に没頭していた。



55: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:02:22.91 ID:G8UV3ubh0



(,,゚Д゚)「……うっし、終わった」
冷蔵ケースの汚れを雑巾で拭き取り終えた俺は、
服の袖で額の汗を拭った。

時計で時間を確認すると、9時少し前。
思ったより早く、仕事が終わったようだ。

从'ー'从「ご苦労様。 これ、良かったら」
渡辺さんも丁度売り上げの整理が終わったようで、
俺に労いの言葉をかけながら、一本の缶コーヒーを手渡してきた。

(,,゚Д゚)「あ……ども。 すみません」
ペコリとお辞儀をしながら、俺は缶コーヒーを受け取った。

从'ー'从「気にしないで。
     いつも夜遅くまで頑張ってくれてるから、これぐらいさせてもらわないと」
微笑みながら、渡辺さんも自分の分の缶コーヒーの蓋を開けた。



57: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:03:47.08 ID:G8UV3ubh0
从'ー'从「でも、ギコ君は大丈夫なの?
      いつも遅くまで頑張ってくれてるのは助かるんだけど、
      毎日こんなに遅くに帰って、親御さんは心配したりしない?」
心配そうに、渡辺さんが訊ねてきた。

親。

その言葉に、ぐずり、と、
俺の心の底に溜まっているヘドロが蠢く。

(,,゚Д゚)「……あー、はい。 そういうことは、無いです」
嘘ではない。
事実、両親は俺のことなど全く気にしてなどいないだろう。

そう、全く。



60: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:07:03.79 ID:G8UV3ubh0
从'ー'从「…………」
渡辺さんが、俺の顔を見ながら何やら考え込むような表情を見せた。


どうしたのだろう。
今、何か変な事でも言っただろうか。

从'ー'从「……あの、ギコ君、こんな事聞いて、気を悪くしたらごめんなさい」
(,,゚Д゚)「はい?」
俺には渡辺さんが先に謝ってくる理由がまるで判らず、
ただ素っ頓狂な声を上げることしか出来なかった。

从'ー'从「もしかして……その……家族の方と、上手くいってないの?」
遠慮がちに、しかし確信を持った声で、渡辺さんは俺にそう訊ねた。

(,,゚Д゚)「――――!」
俺は絶句したまま何も答えられなかった。

どうして。
何でそんな事が判ったのだろうか。
これが、女の勘とでもいうやつなのだろうか。



62: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:09:09.16 ID:G8UV3ubh0
从;'ー'从「ご、ごめんなさい!
      何も関係の無い私が、こんな立ち入った事聞いちゃって!
      いきなりこんなこと聞いてくるなんて、迷惑だよね、本当……」
俺が気分を害したと思ったのか、渡辺さんが慌てて謝ってきた。

(,,゚Д゚)「いえ、いいんです。
    ぶっちゃけその通りですし――全然、気にしてませんから」
気にしてないといえば嘘になるが――
今の事で渡辺さんが悪いとは、全く思っていない。

悪いのは、全部俺だからだ。

从'ー'从「……ごめんなさい、ギコ君。
     本当に、ごめん……」
(;,,゚Д゚)「そ、そんなに謝らないで下さい!
     別に、ちっとも気にしてませんから!」
本当に申し訳なさそうに謝る渡辺さんを慌ててなだめ、
俺は大きな溜息をついた。

――ああ、でも、これだけはそうだ。
聞いておかなくちゃ。



65: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:10:42.38 ID:G8UV3ubh0
(,,゚Д゚)「……あの、渡辺さん」
从'ー'从「?」
(,,゚Д゚)「どうして、判ったんですか?
    その、俺が家族と上手くいってないって……」
手に持っていた缶コーヒーを机の上に置いて、
俺は渡辺さんに質問した。

从'ー'从「……何となく、雰囲気で、かな。
     その、同じだから……」
少し間を置いて、渡辺さんが口を開いた。

(,,゚Д゚)「同じ……って?」
从'ー'从「……私も、父と喧嘩別れしたままだから……」
静かな声で、渡辺さんが告げる。

(,,゚Д゚)「喧嘩――ですか?」
从'ー'从「うん。
      駄目だよね、いい大人なのに、親と仲直りも出来ないなんて」
そう言って、渡辺さんが自嘲的な笑みを浮かべる。

(,,゚Д゚)「そうなんですか……
     でも、何かその、意外っていうか……」
謎だった。

渡辺さんはどこからどう見ても、品行方正な優等生といった感じで、
グレたり不良になったりして親を困らせるようなタイプには見えなかったからだ。

それともまさか、
昔レディースに入っていたとかそういった驚きの過去があったりするのだろうか?



66: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:11:11.27 ID:G8UV3ubh0
从'ー'从「……そんなことないよ。
     悪い子だよ、私は……」
沈んだ声で、渡辺さんが呟いた。

それきり、俺も渡辺さんも何も言葉を発さず、
重苦しい沈黙だけがその場に流れる。

从'ー'从「……ごめんなさい。 何か、変な話になっちゃって。
     すっかり遅くなっちゃったみたいだし、早く帰った方がいいわ」
(,,゚Д゚)「あ、はい。
    ……それじゃ、お先に失礼します。
    お疲れ様でした」
ペコリとお辞儀をして、俺は花屋を後にあいた。

……何か今日は、凄く疲れたな。
大して、激しい運動もしていないのに……



68: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:12:46.51 ID:G8UV3ubh0
だけど、渡辺さん……

あの人の過去に、一体、何があったのだろうか?
いつか、俺がそれを知る時が来るのだろうか?

俺が勝手に立ち入っていい問題じゃない。
それは、判っている。

だけどそれと同時に、
是が非にでも知りたいという下種な欲望もまた、
確実に俺の中に生まれていた。

――だけど、この時俺は知らなかった。
何も判ってなどいなかったのだ。

単なる興味本位なんかで知ろうとしてはいけない事が、
この世にはあるのだということを。



〜To be continued...〜



72: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/22(日) 19:13:50.33 ID:G8UV3ubh0
次回予告



本来は次回予告として、闘神都市Vが発売されるにあたり、
闘神都市がいかに素晴らしいエロゲであるかを
150行以上に渡って書き連ねていたのですが、
読み返してみてあまりに気味の悪い文章だったのと、
興味の無い人には面白くもなんともない内容だったので、
全部削除しました。
というわけで、今回の次回予告は急遽無しです。
すみません。

あと、清楚で上品な私のイメージが崩れるのを防ぐ為という意味もあります。



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