( ^ω^)ブーンが二者択一するようです
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:22:59.53 ID:lDyri4Ur0
あまぁいチョコレートとにがぁいチョコレートならどっちを選ぶ?
うん、あまぁいチョコレートだよね。きっとみんなそう。
ひねくれた誰かなら話は別だけど。
でもこんなのつまんない。
わかりきった答えなんか見たくない。
悩みに悩んで、取り返しのつかない決断をしてほしい。
それで、苦悩して涙を流してそれでも決断を続けて欲しい。
それを見るのは、とっても楽しい。
本当に、楽しい。
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:23:36.76 ID:lDyri4Ur0
( ^ω^)ブーンが二者択一するようです
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:24:14.63 ID:lDyri4Ur0
<プロローグ>
(;^ω^)「行ってきますおー!!!」
昔から走りでは負けなかった。陸上部では常にエースだった。
しかし悲しいかな、引退してしまった今、その足が活躍するのはこんなときだけ。
⊂二(;^ω^)二⊃ 「うおおおおおお!」
両手を広げる、独特のフォーム。
ブーンと奇声を発しながら―それが彼がブーンと呼ばれている所以だ―風を切って走っていく。
普通に走ったほうが速いのだけれど、こうして走る方がブーンは好きだった。風を、感じられるから。
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:24:43.42 ID:lDyri4Ur0
( °ω°)「!!!」
無常にも、正門が閉められていく。
いや、負けるものか、此処で諦めては元陸上部エースの名が泣くぞ。
ブーンは加速していく。ksk、ksk、ksk…
(;^ω^)「セーフ!」
ξ゚听)ξ「うっわ、汗臭い」
(;^ω^)「ツン…僕だってわかってたお?何で門閉めちゃうんだお」
ξ゚听)ξ「あら、風紀委員長がえこひいきするわけにはいかないわ」
ツンは得意げに無い胸についている風紀委員のバッチを見せる。
トレードマークでもある自前の金がかった茶色の髪は今日も今日とてクルクルしている。
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:25:33.26 ID:lDyri4Ur0
(;^ω^)「あんまり遅刻するようなら推薦取り消すぞって荒巻先生に脅されてるのしってるお…?」
ξ゚听)ξ「朝早く起きればいいのよ」
( ^ω^)「それが出来ないから毎朝走ってるんだお」
ξ゚听)ξ「足が鈍らなくていいじゃない。大体、朝練には一度も遅れてこなかったくせに」
(;^ω^)「ドクオが毎朝叩き起こしてくれてたお…」
ξ;゚听)ξ「あんた、本当にダメね…」
( ^ω^)「うっせーお…教室行くお…」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:26:00.45 ID:lDyri4Ur0
主要な学校行事がほぼ終わり、クラス中が一気に受験モードになっていく10月。
ブーンのように、推薦で早々と進学先が決まってしまった者たちはなんだか気まずい時期でもある。
( ^ω^)「おはようお」
('A`)「おk、まず汗を拭け、臭い」
ξ゚听)ξ「ほら言ったでしょ」
( ;ω;)「ドクオまで僕をいじめるお?」
(;'A`)「ええ…だって臭いもんは臭いじゃん」
ξ*゚听)ξ「私のVAN貸してあげるわ」シュー
(*^ω^)「ひょお!冷たいお!」
('A`)「きめえ」
そう言うと、ドクオは机に突っ伏して寝始めた。
全くマイペースだおと呆れたブーンが、運動後の休養と称した居眠りを始めるのはその三分後。
二人が教師に殴られるのはさらにその三分後。
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:26:21.12 ID:lDyri4Ur0
('A`)「お前らみたいなのが居るだけでみんなの意欲が削げるとまで言われたらサボるしかないわな」
( ^ω^)「それはどうかと思うお」
('A`)「じゃあお前なんで付いて来た?」
( ^ω^)「どうかと思いながらもドックンと同じ思いを抱いた次第ですお」
('A`)「ハッ、馬鹿め」
からあげさんを食べるドクオは小さい。身長もそうだが、線が細いのだ。
けれどドクオは凄く大きい。思い立ったら即実行がポリシーというだけあって、自分の意見を絶対に突き通す。
―たとえ、それによっていじめられたって、絶対に妥協しない。
よくも悪くも日本人気質なブーンには、それが凄く眩しく見えたものだった。
ドクオを自由きままな野良猫と例えるなら、ブーンは忠犬である。
毛色の全く違う二人は、それでも不思議と気が合った。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:27:37.92 ID:lDyri4Ur0
('A`)「あー…マンドクセ」
( ^ω^)「早く冬休みにならないかおー」
('A`)「お前いつツンに告白すんの?」
( ^ω^)「ツンの合格が決まったら、だお」
('A`)「浪人したらどうすんだよ」
( ^ω^)「ツンに限ってそれはないお」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:28:23.73 ID:lDyri4Ur0
('A`)「まあ、来月にある公募入試に合格したらいいけどよ、一般までもつれ込んだら高校最後のクリスマスも
明石家サンタと過ごすことになるんじゃねえの?」
( ^ω^)「明石家サンタおもろいお」
('A`)「そういうことじゃねえよ…つうかもう両想いは確定みたいなもんなんだから、告白しちまえよ」
( ^ω^)「ツンは今大変な時期なんだお。負担になりたくないお」
('A`)「わっかんねえなあ…」
ドクオがからあげさんの袋を捨てる。ブーンが拾ってカバンにそっと入れる。
律儀なやつだとドクオが笑った。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:28:46.42 ID:lDyri4Ur0
('A`)「お前は律儀だよな」
( ^ω^)「褒めてもなんも出ないお」
('A`)「褒めてねえよ」
(*^ω^)「おっおっ」
ブーンにはたくさん友達が居るが、
こんなくだらない話を延々とし続けられるのはドクオだけだった。
ドクオには友達がほとんど居ないから、
こんなくだらない話を延々とし続けられるのはブーンだけだった。
遠くに聞こえるチャイムの音。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:29:09.72 ID:lDyri4Ur0
( ^ω^)「冬休みは三人で鍋をつつくお」
('A`)「お前がオーバーイートするから嫌だ」
(;^ω^)「お…材料費八割負担するお」
('A`)「そんな金あんのかよ」
( ^ω^)「バイトするお。冬休みと春休みは思いっきり遊ぶんだお、ドクオとツンと」
('A`)「他のオトモダチはいいのかよ」
( ^ω^)「安っぽい言葉は嫌いかお?」
('A`)「ああん?」
( ^ω^)「ドクオとツンは親友だお」
('A`)「…恥も外聞もねえな」
(;^ω^)「…」
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:30:21.46 ID:lDyri4Ur0
('A`)「さっさと親友減らして恋人増やせよ」
( ^ω^)「お…」
ツンは陸上部のマネージャーだった。
その美貌から陸上部員は勿論他学年に至るまで告白が絶えなかったが、ツンはそのすべてを断った。
ドクオ曰く”ブーンにベタ惚れ”だかららしいが、いまいち実感がわかない。
( ^ω^)「ドックンは友達増やせお」
('A`)「間に合ってます」
( ^ω^)「今なら洗剤も付けますよ」
('A`)「あらお得ー」
ひゅっ、と小気味のいい音を立てて、ドクオが小石を川に投げる。
小石は何度も跳ねて、ずっと遠くでやっと沈んだ。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:30:44.32 ID:lDyri4Ur0
( ^ω^)「上手いおね」
('A`)「小学校サボってこればっかやってたからな」
(;^ω^)「小学生からサボりかお」
ブーンも真似てみる。申し訳程度に二回跳ねただけだった。
('A`)「ヘタクソ」
ドクオは笑った。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:31:08.37 ID:lDyri4Ur0
川が朱色に染まりだしたので、ドクオと別れて帰路につく。
なんだか無性に眠たくて、ご飯もお風呂も適当に済ませてしまった。
母親は看護婦で、滅多に夜は居ない。
( うω`)「ふあああ…もう寝るお…」
そしてブーンは、最後の平穏を手放した。
<プロローグ・了>
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