( ・∀・)僕と('、`*川さんのようです
- 31: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:28:55.01 ID:SHxt+jWh0
- 2 赤
- 32: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:29:51.18 ID:SHxt+jWh0
( ・∀ ) 砂浜をさくさく歩いていましたら、思いがけず部品屋さんに出会いましたので、
小銭もあることですしちょいと品物を見せてもらうことになりました。
( ・∀ ) あ、その右手良いですね。見せてください。
_
( ゚∀゚)「あ、これかい? だめだめ、もう買い手がついちゃってるから」
- 33: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:31:10.75 ID:SHxt+jWh0
( ・∀ ) そうですか。薄い筋肉と骨ばった感じなんかいいなと思ったんですが。
_
( ゚∀゚)「兄ちゃんの右手まだぴんぴんじゃあねえか。
それより目玉つけなよ。ちょっとみっともないぜ、それ」
( ・∀ ) これですか?
( ・∀ ) 僕は空洞になっている眼窩を指差します。
( ・∀ ) これはこれでおしゃれだと思ってたんですが。
- 37: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:32:56.63 ID:SHxt+jWh0
- _
( ゚∀゚)「ねえな。最近の若い奴はおしゃれで片方の手足なんか取っちまうらしいが、
俺にはそんなもん洒落っ気でもなんでもねえ、ただの手抜きに見えるな」
( ・∀ ) ははあ、そうですよね。自分の怠惰を無理矢理に正当化してるというか。
_
( ゚∀゚)「おう、そうだよ。
そうだ、ちょうどいい目玉があるんだ。ちょっとつけてみなよ」
- 39: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:34:21.66 ID:SHxt+jWh0
( ・∀ ) 部品屋さんは小箱からてらてら赤く光った目玉を取り出しました。
_
( ゚∀゚)「舶来の目玉だよ。ちょっとつけてうろついてみな、セカイが変わるから」
( ・∀ ) 強引に押し付けられたので、僕は赤い目玉をはめ込んで見ました。
( ・∀+) 久々に両目がそろったので、なかなか爽快な気分です。
- 40: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:36:48.13 ID:SHxt+jWh0
_
( ゚∀゚)「まあ気が向いたら、金払ってくれるなり返してくれりゃ良いからさ。
さて、じゃあ俺はこれからまた仕入れだ」
( ・∀+) 部品屋さんはそういって海の方へ歩いていきました。
そしてちゃぷちゃぷと足が海水につかり、
さぶさぶと身体が海水につかり
やがてずぶずぶと見えなくなりました。
- 43: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:38:33.42 ID:SHxt+jWh0
( ・∀+) 僕は再び歩き始めました。
綺麗なお花畑を過ぎ、蝶々と戯れ、それはそれは楽しい道中で、
もう今日は充実した一日であると胸を張れるくらいでした。
( ・∀+) 道に迷いさえしなければですが。
- 45: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:39:54.35 ID:SHxt+jWh0
( ・∀+) ここは一体どこなんでしょうね。
僕には見当もつきません。
( ・∀+) 手当たり次第に歩いてみますが、一向に見知った道に出ようとしません。
やがて狭い路地に入りましたが、電柱に張られた住所は全く知らぬ場所でして。
( ・∀+) いい加減お腹がすきました。ペニサスさんのご飯が食べたいです。
( ・∀+) そう思った時でした。電柱の陰から僕の知らぬ顔がニコニコと笑いかけてきたのです。
- 46: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:41:42.22 ID:SHxt+jWh0
( ^ω^)「おっおっおっ」
( ・∀+) こんにちは、何やら陽気な人。
いえ、もうこんばんはですかね。
( ^ω^)「こんばんはだお。モララー君」
( ・∀+) あらら、僕の名前を御存じで?
不思議なこともあるもんですね。
- 48: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:43:49.39 ID:SHxt+jWh0
( ^ω^)「不思議なことは何もないお。
君はモララーで、ブーンはブーンだお」
( ・∀+) ほうほうブーンさんと仰るんですね。
ところで、ここがどこかわかりますか?
( ^ω^)「知ってるお。ここはここだお。それ以外のどこだと言うんだお?」
( ・∀+) なるほど。しかしそれでは困ったことになるんですが。
( ^ω^)「おっおっ、モララー君も困ってるのかお?」
( ・∀+) このままじゃペニサスさんのところに帰れませんからね。
- 50: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:44:59.73 ID:SHxt+jWh0
( ^ω^)「おっおっ、ブーンも困ってるお。
モララー君、ブーンの両手を知らないかお?
両手がないとブーンがブーンできなくて困るお」
( ・∀+) はあ、ブーンさんがブーンを。
( ^ω^)「そうだお。両手を拡げて空を飛ぶんだお」
( ・∀+) 空を飛べるんですか。羨ましいですねえ。
- 51: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:46:17.74 ID:SHxt+jWh0
( ^ω^)「そのためにもブーンは両手が必要なんだお。知ってたら教えて欲しいお」
( ・∀+) 困りましたね。いや、元々困ってるんですが、もっと困りました。
( ^ω^)「おっおっ、ブーンもとっても困ってるお。お揃いだお」
( ・∀+) お揃いですねえ。ちっとも嬉しくないですねえ。
んーと、ちょっと聞きにくいんですが、いいですか、ブーンさん。
( ^ω^)「お? なんでも聞くお」
( ・∀+) いえ、ずっと疑問だったんですけどね。
ブーンさん、そもそも首から下はどうしたんですか?
( ^ω^)「おっおっおっ」
- 53: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:47:46.33 ID:SHxt+jWh0
( ・∀+) ブーンさんは首の断面から血をじくじく滴らせながら答えました。
( ^ω^)「何を言ってるかわからないお」
( ・∀+) それを聞いて僕は、なるほど不思議なことは何もないのかも知れない、と思って。
( ・∀+) うむぅ。そうだ、部品屋さんでいっそ全部取り換えてもらったらどうです?
さっき部品屋さんに会いましたし。
- 54: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:49:42.91 ID:SHxt+jWh0
( ^ω^)「おっおっ、それもいいかもしれないお。部品屋さんはどこにいるんだお?」
( ・∀+) さっき海で……ってそうでした。海の場所も分からないんでした。
( ^ω^)「問題ないお。海ならすぐそこだお」
( ・∀+) ブーンさんが言ったその瞬間、狭い路地にいた僕らはいつの間にかさくさくとした浜辺にいて、
僕はやっぱり不思議なことは何もないなと思いました。
- 56: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:50:23.30 ID:SHxt+jWh0
( ^ω^)「教えてくれてありがとうだお。とりあえず部品屋さんに会ってみるお」
( ・∀+) と言ってブーンさん、生首のままころころ転がってやがて波間に消えるのでした。
ブーンさんが沈んだ後の海からは、赤い色がじわじわ広がってそれはもう凄惨な色になっていたのでした。
('、`*川「こんなところで何やってんの、モララー君」
( ・∀+) あ、ペニサスさん。
- 58: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:51:53.52 ID:SHxt+jWh0
( ・∀+) いつの間にか僕の背後にいたペニサスさんは、
小脇に踊るピエロを抱えて何やらしかめっ面をしています。
( ∴)クニャクニャ
( ・∀+) 今帰りですか? 一緒に帰りましょう。僕もうお腹ぺこぺこです。
('、`*川「うーん。帰ってもいいんだけど、まだ探し物見つけてないしどうしようかな」
( ・∀+) 探し物?
('、`*川「この前この辺で見つかった首なし死体の、まだ見つかってない生首。
あたし、一度でいいから生首を手に取ってみたくって」
( ・∀+) この人はまた変わったことを仰る。
('、`*川「何か言った?」
( ・∀+) いやあ、別に。でももう遅いですし帰りましょうよ。
それに生首ってそんなに良いもんでもないですよ。
- 59: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:52:58.43 ID:SHxt+jWh0
('、`*川「そう? 見たかったけどなあ。
ってモララー君、なにその目玉」
( ・∀+) ペニサスさんは不快そうに僕の赤い目玉をつつきます。
('、`*川「ダサいよ、これ」
( ・∀+) くいっと器用に目玉を穿り出すと、
ペニサスさんはそれをぽーんと海に投げ捨ててしまいました。
( ・∀ ) 赤い目玉はずぶずぶと、同じ色の汚い海へと消えていきます。
('、`*川「さ、帰ろうか」
( ・∀ ) そうしましょう。
( ∴)クニャクニャ
- 61: ◆px9AwdvXOg :2008/06/29(日) 23:53:51.55 ID:SHxt+jWh0
( ・∀ ) 今日は概ね楽しい一日でした。ペニサスさんはどうでした?
('、`*川「まあまあかな。ねえ、モララー君?」
( ・∀ ) はいはい
('、`*川「あの赤い目玉、本当にあんなのがいいと思ったの?」
( ・∀ ) いや、僕もちょっとないなあと思ってました。
2 終わり
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