( ^ω^)ブーン達はマインスイーパに集められたようです
- 27: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 20:55:56.54 ID:btDsFosA0
クーさんに次ぐ、2人目の失格者が出た。
失格者は、「死亡者」とも言えるだろう。
誰も言い換える者は居なかったが。
ドクオさんの場合は、ただの失格ではなく、自ら勝利を捨てた。
目の前に転がっていた勝利を、自らの精神力に負けて、捨てた。
頼りにしていた中級挑戦者の一人だっただけに、皆の動揺は大きかった。
- 29: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 20:57:37.57 ID:btDsFosA0
- (;´∀`)なぜ……わざと失敗したモナ?
ドクオさんが部屋から居なくなって、最初に口を開いたのはモナーさんだった。
実のない言葉だったが、沈黙を破るためにはなんでも良かった。
( ゚∀゚)途中までマトモにプレイしてたよな?
(;´∀`)発狂したようでしたモナ……
( ゚∀゚)ああ、気持ち悪い笑顔だった。
正気の人間には出せないぜ
ドクオさんの最後は完全に狂っていた。
精神について研究したわけでもない僕にも、容易に感じ取れた。
- 31: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 20:59:14.62 ID:btDsFosA0
- ( ・∀・)ひょっとすると、最初から死にたがってたのかもね
('、`*川 最初からって、いつから?
( ・∀・)プレイが始まった時、この部屋に入った時?
いや……もっと前から、死にたがってたのかも
('、`#川 なら中級をクリアしてから自殺すれば良かったじゃない!
なんで私達の脱出を遠ざけたの!?
ペニサスさんの言葉は、タブーだった。
僕ら8人が、今、最も言ってはいけない言葉だった。
( ・∀・)クリアしてから、自殺すれば良かった?
( ・∀・)ふざけるなペニサス。
- 32: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:01:05.98 ID:btDsFosA0
- ('、`#川 誰もふざけてないわ!
だって死ぬなら同じでしょう!?
( ・∀・)そういう問題じゃねえんだよ。
クリアした俺やブーンやハインリッヒに、死ねば良いと言ったのと一緒だ。
('、`#川 一緒じゃないわよ
死にたいなら、皆のために生きてから死ねば良い!
( ・∀・)皆のために生きて、どうなる。
それも、出会って数時間ばかりの他人のために。
('、`#川 ッ!
それでも無駄死にするより!そっちの方がマシでしょう!?
( ・∀・)俺は、死にたくなったら死ぬ。
どうせ失うモノも無い。東風部長に会えなくなるのは辛いが、それだけだ。
死ねばつらさも感じない。
('、`#川 あんたねえ!自分が何言ってるか分かってるの!?
( ・∀・)お前こそ、自分が何言ってるのか分かってるか!?
ドクオの死を踏みにじってるのはそっちだぞ
- 33: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:03:28.03 ID:btDsFosA0
- ('、`#川 ふん! (#・∀・)
(;^ω^)……二人とも、落ち着いてくださいお。
ドクオさんだって、まだ死んだとは限りませんお
(;´・ω・`)そ、そうですよ!
クーさんもドクオさんも!まだ助かるかも知れません!
僕とショボン君は、根拠のない推測で周りを落ち着かせようとした。
が、この人の言葉で、それは一蹴された。
(;゚∀゚)あー、すまねえな。
さっき鉄のドアのあっちから銃声が聞こえたんだわ。
たぶん、ドクオに向かって撃ったんだと思う。
ジョルジュさんの聴力の良さを、恨んでしまった。
- 34: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:05:00.09 ID:btDsFosA0
- 「騒いでいるところをすまないね」
「次のプレーヤーが決まった」
(#゚∀゚)来いやあ!!!
「はは、威勢が良いな、長岡=ジョルジュ」
「だが、次のプレーヤーは君ではない」
(#゚∀゚) チッ
「次のプレーヤーは、古猫」
「古猫=モナー」
( ´∀`)…………モナ
( ゚∀゚)頑張れよ
「今から3分以内に着席せよ」
「着席しなかった場合。君らを殺す」
( ´∀`)分かってる、モナ
- 35: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:06:26.76 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)その前に……ショボン君。
(´・ω・`)薬ですか?
( ´∀`)モナ
(´・ω・`)どうぞ
薬なので、目に見えた効果は無い。
どのくらいで効果が出始めるのかも分からない。
が、モナーさんはヴィプクオリティを飲むとすぐに着席した。
( ´∀`)始めるモナ
「ランクを、指定しろ」
モナーさんの挑戦するランクは、上級のはずだ。
上級とオリジナルは、死ぬ危険が無い。
( ´∀`)………ランクは……
- 37: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:07:26.60 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)……
「ランクは?」
( ´∀`)………中級
(;^ω^)ッ!
違う!あなたの挑戦するランクは上級だ!
思わず声が出そうになった。
が、出してはいけない。
(;゚∀゚)………ッ!!
(;゚ -゚)………!?
从;゚∀从………!!?
( ・∀・)………
(゚д゚;川………?
(;´・ω・`)………!
- 38: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:08:46.40 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)表示はこのままで良いモナ
「そうか、では始めろ」
( ´∀`)モナモナ
モナーさんは死ぬ危険が無い。
少なくとも、初回のプレイでは死なないと思っていた。
死なないプレイならばなぜ彼はヴィプクオリティを受け取った。飲んだ。
死ぬかも知れないという状況に赴くから。
中級に、挑むから。
モナーさんに、騙された。
( ´∀`)皆。そんなに驚かなくても良いモナ
中級をクリアすればもうけ者。くらいに思ってくれれば、それで良いモナよ
上級は、僕がやるよりも、ペニサスさん達にやってもらいたいモナ
モナーさんが成功すれば、かなり楽にはなるが、こんな精神では勝てるハズが無い。
少なくとも、死ぬという前提でプレイしている限りは、ロクな結果にならない。
- 40: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:10:48.13 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)カチッカチ
彼の手は震えていた。
モナーさんも本当は生きたいのか。
生きたいなら、なぜ上級を選ばなかったんだ。
( ´∀`)カチ
徐々にマスを広げているが、モララーさんと比べると、かなり遅い。
開いたのは20マスのみ。
中級の16×16盤の、ほんの一部。
( ´∀`)私は、とある農家で育ったモナ
モナーさんが、昔のことを語り出した。
ジョルジュさんの体が、反応するのが分かった。
( ´∀`)一人っ子だったし、いずれ家を継ぐんだとばかり思ってたモナ
( ´∀`)でも、そうはならなかったモナ
- 42: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:12:59.18 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)私が中学生の頃、父が1000万の借金を作ったモナ
( ´∀`)あの頃の1000万だから、かなりの高額モナよ?
( ´∀`)誰よりも早く家から逃げたのは、私だったモナ
彼の話は、僕の頭に届いては居なかった。
モナーさんのランクの選択に、まだ動揺していた。
他の皆も、きっと同じだろう。
( ´∀`)若かった私は、東京へ逃げたけれども、お金はすぐに尽きた。
( ´∀`)職業とお金が欲しかった。
( ´∀`)そんな時に、ある仕事が舞い込んできたモナ
まともに聞ける状態の人は、おそらく居ない。
が、かまわずに喋ることで、モナーさん自信が落ち着こうとしている。
生きるために必死だった。
- 43: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:15:16.82 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)スカルチノフ財団の専属カウンセラー。モナ
スカルチノフ財団。
カウンセラー。
それらの言葉は、全て僕の頭からすり抜けていった。
( ´∀`)もっとも、資格も経験も無い私は、正式なカウンセラーでは無かったモナ
( ´∀`)仕事は社員のグチを聞くこと。
あとはネット環境の無いパソコンでマインスイーパをやってたモナ
( ´∀`)でも、そんな私を、スカルチノフ社長は温かく見守ってくれたモナ
( ´∀`)とても、感謝してたモナ
でも、彼も昨年、私の退職と同時期に他界したモナ
( ´∀`)スカルチノフ社長が亡くなった今、私は死んでも良いと思ってる
けれど、未来がある君たちには死んでほしくない。
だからこそ、私は中級を選んだんです
(;´∀`)身勝手かも知れませんが、怒らないでくださいモナ
そこでモナーさんは話を切った。
- 44: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:16:44.66 ID:btDsFosA0
- 怒らないでください。
その言葉を最後に、モナーさんは一切言葉を発さなくなった。
61歳の弱った体が、皆の不安を背負った背中が、一層弱く見えた。
(;^ω^)(生き残ってくださいお……)
プレイ自体は順調ではある。
が、プレイしているのは中級。
いつ、何が起きてもおかしくない。
既に何かが起きていても、おかしくない。
( ´∀`)古猫=モナーにとって、
一世一代の大勝負ですモナ!
鼓舞する。
コンクリートの部屋に響いたのは、モナーさんの声だけだ。
- 45: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:18:05.93 ID:btDsFosA0
- ここまでのプレイは順調だった。
順調だったように、見えていた。
( ・∀・)………(おいおい)
気づいた者はいたのかも知れない。
('、`*川 ……(まさか、ここで来るとはね)
気づいても、気づけていても、指摘できない。
カチカチ
プレイは進む。
僕らに不安を残して。
失敗を、残して。
- 47: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:19:51.97 ID:btDsFosA0
- (;^ω^)……?
違和感。
地雷の数がおかしい。
旗の立て方を間違えている。
中級盤の右上あたり、安全地帯に旗が立っていた。
从 ゚∀从……!
プレイが進むにつれて、気づく者も多くなった。
現在、気づいていないのはモナーさんだけかも知れない。
( ´∀`)………
気付け!早く!
そこに旗を立ててはいけない!計算が狂う!
声に出せない。
プレイ中の発言は、特にプレイヤーへの助言は、禁じられている。
悔しい。
- 48: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:21:45.69 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)
失敗を残したまま、プレイは進み
カチ
地雷が現れた。
- 50: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:23:28.53 ID:btDsFosA0
- 「古猫=モナー」
「中級の挑戦に失敗」
「失敗者が連続したな」
「ははは、きつくなるが、頑張ってくれたまえよ」
( ´∀`)………
モナーさんは、しっかりと僕らを見ていた。
細い目が、優しい目が、僕ら一人一人の顔を捕らえていく。
「執行人、古猫を連れて行け」
彼は、最後まで笑っていた。
鉄の扉が開いて、次に閉じるまで
モナーさんは何も言わずに、子供をあやすような柔和な笑みを浮かべていた。
- 54: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:25:25.66 ID:btDsFosA0
- ( ´∀`)……
(`・ д・´)ほら、歩け
20台の、いかにも強そうな男が、私の足を蹴る。
この男の他にも4人の「執行人」が私の周りを固めている。
( ´∀`)執行人……
( ´_ゝ`)なんだ
( ´∀`)……
(´<_` )…チッ
私は、もう何も言い残すことは無い。
あと10歳若ければ、あんな失敗はしなかったかも知れない。
けど、もういいんだ。
悔いが残るとすれば、彼らの笑顔を見てみたかった。
だが、今の私にはその資格が無くなった。
- 56: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:28:03.58 ID:btDsFosA0
- ( ´_ゝ`)ここが執行室だ
お前はここで殺される。
( ´∀`)……
私の視線は、あるモノに釘付けになった。
( ´_ゝ`)ああ、アレか?
素直=クールと鬱田=ドクオの死体だ。
素直の方はここで、鬱田はさっきの通路で死んだ。
(`・ д・´)鬱田の死体は思ったよりも重くてな、運ぶのが大変だった。
(´<_` )ゴノネガイ……
( ´_ゝ`)あまり余計なことは言うな、ゴノネガイ執行人
(;`・ д・´)す、すみません……
淡々と死体の説明をする彼らは、異常だった。
死体を見ても動揺しなかった私も、異常だっただろうか。
- 58: ◆Dti7WkoCEo (長屋) :2008/09/13(土) 21:30:54.94 ID:btDsFosA0
- ( ´_ゝ`)ま、今から死ぬ奴には、何を言ってもかまわんのだがな
その言葉で、やっと自分がこれから死ぬのだ。と確認できた。
そして執行人は遺言を聞いてくる。
( ´_ゝ`)何か、言い残すことは?
( ´∀`)……無いモナ
( ´_ゝ`)そうか、じゃあな
黒服の男の、黒い銃が私の頭に突きつけられる。
あまりにも簡単に、私の60年と少しの人生は、幕を閉じた。
(モナー・中級編終わり)
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