('A`)が青い花を追うようです
- 3: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:17:37.59 ID:XcKF58og0
- 一気に署内の雰囲気が硬くなる。
しかし、その中でも自分は、逸脱してこの状態を恐ろしく捕らえていた。
(´・ω・`)「本庁が爆破か……」
( ´ー`) 「入るだけでも一苦労するような所ダーヨ……」
他の刑事たちは、この爆発を、ただの一つの事件として捕らえている。
だけど、違うんだ。
この爆発は、一つの事件なんかじゃない。
(;'A`)(小説に……予告されていたんだッ……)
この事実を、いち早くショボンさんに伝えなければいけない。
そう考えた俺は、ショボンさんの元へ走った。
(´・ω・`)「どうした?そんなに急いで」
(;'A`)「ショボンさん、ちょっと──」
- 6: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:19:25.04 ID:XcKF58og0
- ('A`)が青い花を追うようです
第四話『作りモノ』
- 7: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:20:17.94 ID:XcKF58og0
- ──……・・
─…・
…
俺は話した。
携帯小説に、この事件をなぞった作品があるということ。
この事件は、予告されていたということ。
そして、先ほどの爆破は、犯人からの宣戦布告の可能性があるということ。;
(´・ω・`)「なるほどな……。この事件は、あらかじめ仕組まれていたってことか……」
('A`)「はい……。一番最初の話は、もう半年も前に書かれています。
続きはまだ見ていませんが……一緒にご覧になりますか?」
(´・ω・`)「当然だ」
俺はポケットから携帯電話を取り出し、先ほどの携帯小説のページを開く。
二人で見るにはあまりに字が小さすぎたため、
パソコンでそのサイトに接続することにした。
('A`)「……っと。やっと出来た。 この小説です」
- 9: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:21:55.57 ID:XcKF58og0
- ショボンさんが、俺の横からずいと顔を出す。
パソコン等は苦手なのだろう、彼には活字を読みにくそうに見ていた。
(´・ω・`)「……腹立ってくる文章だな」
(;'A`)「ま、まぁそこは多めに見てください。大事なのは中身ですから」
そう言って、最初のページからじっくりと確認していく。
犯人が『偽の正義を潰す』と言い、『下賎な政治家』を殺す。
何度見ても、やはり詳しいことは書いてはいない。
ただ、殺す、と書いて、次のページには殺したとあるだけだ。
(´・ω・`)「……続けろ」
次の話は、『警察上官の殺害』
これも同じように、詳しい状況は書かれていない。
ただ、殺すとあって、次には殺したという文。
相変わらず、小説というには稚拙すぎる物だった。
('A`)「そして、次がさっきの……」
(´・ω・`)「宣戦布告って奴か……」
- 11: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:23:50.55 ID:XcKF58og0
- 警察が自分の存在に近づく『ヒント』を見つけた。
だから、俺は正面から受けたつ。宣戦布告だ。
そういう内容の文章を見て、ショボンさんは顔をしかめだす。
(´・ω・`)「……ドクオ……この文、どう解釈する?」
(;'A`)「え、いや……」
突然話を振られて、俺は一瞬何も答えられなくなる。
一度冷静になり、じっくり考えた後、俺は自分の考えを口にし始めた。
('A`)「そうですね……。まず、この『ヒント』っていうのはこの小説のことじゃないでしょうか?
タイミング的にも、俺が小説を見つけたのと同時ですし。
宣戦布告っていうのは、間違いなくさっきの本庁爆破でしょう。
正面から受けたつっていうのは……恐らく、これからも犯行は続けるってことかと」
(´・ω・`)「三つの内、ニつは俺と同じ考えだ」
俺が話し終わった後、ショボンさんは少し考えて答えた。
三つの内ニつというのは喜んでいいのか、悪いのか。
どちらにせよ、俺は、そのショボンさんも違う意見を聞くことにした。
- 13: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:25:24.23 ID:XcKF58og0
- (´・ω・`)「宣戦布告、正面から受けるってのは恐らく、そのまんまだな」
(´・ω・`)「この小説が本当に事件の予告文なら、順番にも当てはまる。
とりあえず、そのように考えていいだろう」
一つ間を置いて、ショボンさんは続ける。
(´・ω・`)「問題は、『ヒント』の解釈だ」
('A`)「ヒントって……明らかにこの小説じゃないでしょうか?
その他にそれらしき手がかりは何もつかめていないわけですし……」
(´・ω・`)「もっとよく考えろ。
その小説を知ったタイミングと、宣戦布告のタイミングを」
('A`)「タイミング……?」
電車の中で女子高生の話を聞いて、小説の存在を知る。
調べて、その小説を見つける。
読んだとほぼ同時に、本庁の爆破のニュース……。
(;'A`)「──あっ……」
俺は、一つの事実に、気づかずをえなかった。
- 15: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:27:54.03 ID:XcKF58og0
- (;'A`)「俺が小説を知ったのと、宣戦布告が同時に起こるのはおかしいんだ……!」
俺がこの小説を知ったのは、電車内でたまたま話を聞いたからだ。
その話を聞き逃していても、まったくおかしくはない。
もし俺が小説を知らなければ、この宣戦布告は、タイミングがおかしくなってしまうのだ。
(´・ω・`)「お前が小説を見つけたと同時に、宣戦布告……上手すぎだろ?」
(;'A`)「そうだとしたら……『ヒント』は小説じゃない……?」
もっと前に、俺たちは重要な何かを見つけていたというのだろうか。
だとしたら、その重要な物は何だ。
俺たちは、一体何を見落としているというのだ。
(´・ω・`)「……可能性としては、もう一つある」
('A`)「もう一つ……?」
俺が考えにふけっているとき、ショボンさんが言う。
相変わらずこの人は、俺の一歩先の思考をいっている。
- 20: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:31:03.89 ID:XcKF58og0
- (´・ω・`)「本当に、『ヒント』=小説という考えだ」
(;'A`)「え、で、でも……それじゃ、めちゃくちゃ運が良かったんですか……?……」
(´・ω・`)「違う。もちろん運などではない」
ショボンさんが、俺の目をしっかりと見る。
そして、力強く、言った。
(´・ω・`)「俺たち警察の中に、犯人がいるという可能性だ」
もっと言えば、この署内に犯人がいる可能性だ、と、ショボンさんは付け加えた。
俺は同様を隠し切れずに、その理由をショボンさんに聞く。
彼は俺から目を離さずに、答えた。
(´・ω・`)「お前が小説の存在に気づいたということは、この署内の人間は知っている訳だ」
(´・ω・`)「それを聞いた犯人が、あらかじめ準備しておいた爆弾を爆破……」
(´・ω・`)「もしお前が小説の存在に気づいていないようならば、
自分が見つけたかのように俺たちに報告すればいい」
(´・ω・`)「……まぁ、最初はそうする予定だったんだろうがな」
- 21: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:32:59.33 ID:XcKF58og0
- ショボンさんの意見は、確かに穴は無かった。
穴は無かったゆえに、俺はその推理を信じたくは無かった。
警察……それも署内に、犯人がいるなんてことは。
(´・ω・`)「……まぁ、あくまでも可能性だ。
個人的には、ヒントは別にあるという可能性の方が高いと思うがな」
('A`)「そうですね……」
(´・ω・`)「っと。この話も大事だが、それよりも続きだ」
('A`)「あ、はい……」
この小説には、まだ続きがある。
俺はマウスを細かに動かしながら、その続きを見始めた。
- 23: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:35:46.98 ID:XcKF58og0
- 『警察に見事な宣戦布告を果たした俺様。
馬鹿な奴らは気づいていないが
気づく奴は、気づいたようだ。
そう、これは本物の正義……JUSTICEを掛けての勝負。
俺様は絶対に負けられない!!
……だが、今回は、その俺の覇道を拒むものが現れた。
それは……本物の正義を貫くための心を揺さぶるには
十分すぎる試練だった……』
- 25: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:38:05.01 ID:XcKF58og0
- 『俺様は知ってしまったのだ。
あいつが、まさか偽者の正義に落ちるなんて。
あいつだけは、俺様が唯一信頼を置いていたのに……。
だが、仕方がない。
偽者ならば……
消すだけだ。
本物の正義の前に
仲間という言葉は、
無力と化す』
- 28: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:40:42.09 ID:XcKF58og0
- ('A`)「……ここで終わってます」
(´・ω・`)「最終投稿日は……1ヶ月前か」
最後にこの文章が投稿されたのは、確かに一ヶ月前。
それまでも、大体三週間に一回程度の投稿だったので、大して珍しくはない。
だが、この文だけでは、これから何がおきるのかは想像することが出来ない。
('A`)「この文からして……恐らく、警察の誰かがまた狙われますね」
(´・ω・`)「ああ。しかも、犯人の知り合いらしい言葉が書かれているな」
つまりは、だ。
今回、もしも、何かしら事件が起きた場合。
犯人は、その身近な人間だと言える。
('A`)(ま、そんな事言っても……事件が起きるのを期待しちゃ駄目なんだけどな)
- 30: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:43:24.71 ID:XcKF58og0
- (´・ω・`)「この作品がここで終わっている以上、別の手段で行くぞ」
ショボンさんは俺の目を見て、力強く言う。
(´・ω・`)「お前はこの小説が掲載されているサイトの会社に行って、
この小説を書いている奴の情報を手に入れて来い」
('A`)「うっす」
いろいろと書類の手続きを通せば、個人情報も見れるようになる。
多少準備が面倒くさいが、これで一気に犯人に近づけるはずだ。
('A`)「ショボンさんは……?」
(´・ω・`)「今回は俺は別行動だ。
ちょっと気になることがあってな……」
死亡フラグ乙。
と心の中では呟くが、まさか口に出すことはしない。
それに、このショボンさんに限って、犯人に下手な接触をするとも思えない。
- 33: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:47:43.62 ID:XcKF58og0
- ('A`)「いちおー言っときますけど、絶対に無理はしないで下さいね」
(´・ω・`)「お前に心配されるとは、俺も随分堕ちたもんだな」
(;'A`)「言ってみただけっすよ」
ショボンさんが、俺の顔を見て微笑する。
俺はそれの返事として、勢いよく椅子から立ち上がる。
('A`)「それじゃ、俺はモバパーティの方の書類をやってきます」
(´・ω・`)「おう、頼んだぞ」
座ったままのショボンさんを背に、俺は歩き出す。
少しでも早く、犯人を見つけ出すためにも。
- 36: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:50:56.74 ID:XcKF58og0
- ──……・・
─…・・
…
三日が経った。
ようやく事務の方から、モバパーティに資料の提出をさせることの許可証が降りた。
俺はそれを手に、早速モバパーティの本社へと走り出す。
('A`)(やっと、あの小説の作者さんの正体が分かるな……)
会社へと向かう途中、俺はその作者の素性を自分なりに推理してみる。
今回は、答えが用意されているだけに、推理するほうも気が楽だった。
('A`)(あの文章力の無さから言って……恐らく学生。
あのセンスの無いネーミングセンスから言って、戦隊物好きだな。
ハリケンジャーとかそこらへん好きそうだ)
なんて、ふざけた考え方もして見る。
('A`)(学生で戦隊物好きってことは、オタクだな。
キモオタだ、たぶん。
キモオタと言ったらピザが定番だろ。
キモオタピザ学生って所が妥当かな)
- 37: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:52:50.12 ID:XcKF58og0
- しばらく電車に揺られた後、俺はようやくモバパの本社へと到着した。
いかにも大手会社という雰囲気を漂わせている玄関。
俺は警察帳と書類があるのを確認し、その中へと足を踏み入れた。
('A`)「すいません、警察の物ですが……」
('、`*川 「警察……はい、話は伺っております。
こちらへどうぞ」
受付嬢にもきちんと話は伝わっていたらしく、資料の提出はスムーズに行われた。
俺は嬢に連れられ、なにやら厳重な警備のついた部屋へと案内される。
その部屋の棚から、数枚の書類を取り出すと、彼女はそれを俺に渡した。
('、`*川 「これが、例の作品の作者の……登録時の情報です」
('、`*川 「そしてこちらが、登録後のアクセス記録です」
数枚の書類を渡すと、彼女は一つお辞儀をして部屋から立ち去る。
俺も一緒に付いて行かなければならないようで、
ろくに目を通すこともないまま、俺は部屋を後にした。
- 38: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:55:29.31 ID:XcKF58og0
- 部屋を後にし、会社を出た後。
俺はようやくその書類にしっかりと目を通すことが出来た。
('A`)「何々……。内藤ホライゾン(18)って……高校生か」
俺の推理もあながち間違いではなかったようだ。
まぁ、デブオタかどうかは、分かったものではないが。
('A`)「住所も……意外と近いな」
ここから電車で一時間もあれば到着できる場所だ。
俺はとりあえず、資料が手に入ったことをショボンさんに連絡しようと、電話を掛けた。
ニ、三回のコール音の後に、ショボンさんが応答する。
『どうした』
('A`)『あ、ショボンさん。例の作品の作者の身元、判明しました。
18歳の高校生、男です。また、住所も近いようですが……。どうしますか?』
『ああ、ご苦労だった。
俺は……まだ少し掛かりそうだ。少し忙しい。
悪いが、先にその高校生の元へ行ってくれないか?』
- 41: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 20:58:26.46 ID:XcKF58og0
- (;'A`)『行くって……ひょっとしたら犯人かもしれない男ですよ?
そんな簡単に接触してもいいんですか?』
『犯人だったら逮捕すればいいだろ、あほ』
(;'A`)『んな馬鹿な!相手は銃だって持ってるんですよ!』
『分かった分かった。俺も行く。住所はどこだ?』
('A`)『えっと──……』
俺はショボンさんにその住所を伝え、近くで待ち合わせをすることにした。
犯人である可能性も含めて、一旦署に戻ってから銃を手にする。
約束の時間にたどり着けるように、俺はもう一度電車へと乗り込んだ。
- 43: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:01:43.56 ID:XcKF58og0
- ──……・・
─…・・
…
(;'A`)「サーセン、ちと遅れました」
俺が待ち合わせ場所に行くと、ショボンさんは既にそこにいた。
(´・ω・`)「気にするな。俺も今着たばかりだ。早く行くぞ」
そう言うショボンさんの顔は、確かにあまり怒っているようには見えなかった。
俺は例の作者……内藤ホライゾンの自宅へと進み始める。
現在の時刻は夕方の6時。
高校生が家にいるかは微妙な時間だが、とりあえずは向かうことにしよう。
('A`)「それにしても、あの作者……やっぱり犯人でしょうか?」
(´・ω・`)「可能性はある。だが、違う可能性もある」
('A`)「って言っても、先に事件を予告していた訳ですしね……」
(´・ω・`)「あの小説を見た他人が、こいつに罪をかぶせようと利用しただけかもしれないだろ?」
('A`)「まぁ……」
- 44: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:03:40.24 ID:XcKF58og0
- 会話をしていると、すぐにその家にはたどり着いた。
そこは周りの都会に比べると少し田舎に近いところで、多くの一軒家が並んでいる。
内藤ホライゾンの家は、その一軒家の一つだった。
(´・ω・`)「電気はついてるな」
('A`)「ええ」
どうします、と尋ねようとしたとき、ショボンさんはためらうことなくインターホンを押した。
ドタバタと足音がした後、男の声で、インターホンから声が流れた。
『……どちら様だお?』
(´・ω・`)「警察です。内藤ホライゾンさんはご在宅でしょうか?」
『け、警察!!』
ガチャン、という荒い音を立てて、接続が切られてしまう。
突然の警察の訪問に驚いた人は何人も見たことがあるが、ここまであからさまなのも珍しい。
('A`)「やっぱり怪しいですね。もう一度鳴らしますか?」
(´・ω・`)「……いや、その必要は無さそうだぞ」
- 45: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:05:31.36 ID:XcKF58og0
- 突然、目の前の扉が開いた。
俺はぶつかりそうになるのを、すんでの所で回避する。
( ;ω;)「警察だおー!警察だおー!」
中から現れた男は、少しぽっちゃり目の涙目の男子。
見た目からして、高校生と言ったところだろうか。
( ;ω;)「待ってたおー!おーん!」
男は出てくるなり、泣きながら俺に抱きついてきた。
重たい体重に俺は倒れそうになるが、そこは何とか踏ん張りとおす。
(;'A`)「ぐ、ぐぇ……」
(´・ω・`)「えっと……君が、内藤ホライゾン君だね?」
そんなことより、こいつを離して下さい、ショボンさん。
俺の願いが通じたのか、ショボンさんはこの男子を俺から引き離してくれた。
- 46: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:06:30.20 ID:XcKF58og0
- ( ;ω;)「おっおっ……僕が内藤ホライゾンだお」
(´・ω・`)「警察を待っていた、と言ったけど、それはどういう意味だい?」
いつもとは違う、優しい声で撫でるショボンさん。
さすがは伝説の刑事といったところだ。
いつもの短気ぶりはどこへ隠したのか、聞きたくなるくらいだった。
( ;ω;)「おーんおーん!きてくれてうれしいおー!おーん!」
(´・ω・`)「おう、おう。分かったから分かったから」
( ;ω;)「おおおー!!」
わんわんと泣き喚く男子。
そこへ、ショボンさんが慰めようとしたのか、男子の耳元に顔を近づけた。
(#´・ω・`)「いつまでも泣いてんじゃねーぞッ!男だろッ!」
(;^ω^)「おおっ!?」
(;'A`)(やっぱり短気だ……)
- 47: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:08:05.76 ID:XcKF58og0
- ショボンさんの一喝により、完全に泣き止んだ男、内藤ホライゾン。
彼は、ゆっくりと俺たちの質問に答え始めた。
(´・ω・`)「それで、警察を待っていたってのは、どういう事だ?」
( ^ω^)「おっおっ……そのまんまですお……。
警察が来てくれるのを待ってたんですお」
(´・ω・`)「その理由は?一体何だい?」
僕が犯人だから。
なんて事は言わないだろうが、万が一にも備えて、俺は胸にある拳銃に手を当てた。
( ^ω^)「あの事件、あの小説……警察の方も知ってるお?」
(´・ω・`)「ああ。今日はそのことについて質問するために、ここに来た」
( ^ω^)「あの小説を書いたのは確かに僕だお……でも」
少年は、言葉に力を入れて言う。
( ^ω^)「僕は、あの事件の犯人何かじゃないんだお……」
- 48: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:09:03.17 ID:XcKF58og0
- ( ^ω^)「だから、怖かったんだお!
ひょっとしたら、僕も犯人から狙われるかもって……!
それで警察を待ってたんだお……」
(´・ω・`)「自分から警察に行こうとは?」
( ^ω^)「そんな事したら、僕が作者だってみんなに知られるお。
僕は文章力なんてないから……恥ずかしくて……」
言ってるいることは無茶苦茶だが、この少年の瞳を見ると信じたくなる。
びくびくと怯えているが、どことなく、感じのいい少年ではあった。
('A`)「だけど、明らかに君の小説は『青い花事件』の一連の予告になっている。
それに関して、自分は何にも関係ないと?」
(;^ω^)「本当だおッ!僕はあの事件に関してはニュースを見るまで何も知らなかったんだお!」
('A`)「それにしても、青い花にしても偽者の正義にしても……上手い偶然か?」
(;^ω^)「小説を見た誰かが、きっと利用したんだお!
それに……!!」
(;^ω^)「あの小説には、原作があるんだお!!」
- 51: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:10:35.60 ID:XcKF58og0
(´・ω・`)「……ほう。詳しく聞かせてもらおう」
(;^ω^)「僕が前に見た小説で……あまりに印象深かったから、それを覚えていたんだお!
それで、それを携帯小説でリメイクしようと……」
こいつの言っていることが本当かどうかは分からない。
だが、この証言に、耳を傾けないわけにもいかなかった。
('A`)「いつごろの、誰の、何ていう名前の小説だ?探してくるから教えてくれ」
(;^ω^)「えっと……」
内藤の言葉が詰まる。
しばらく悩んだように見えると、彼は重々しく答えた。
(;^ω^)「その小説はもう……この世には存在しないんですお……」
ふざけるな、と怒鳴ろうとする俺を、ショボンさんが横で制止する。
内藤は少し驚いたようにし、慌てて続きを足した。
(;^ω^)「その小説は、個人の人が趣味で書いてて……
今その人は、もう死んでしまってるんですお!」
- 53: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:12:29.41 ID:XcKF58og0
- (;^ω^)「その人は僕の学校の先生で……中学の時の担任ですお。
いろいろと悩んでいた僕に、相談に乗りながら見せてくれた小説なんですお……」
嘘にしては、ぽんぽんと言葉が続いている。
その彼に、ショボンさんは質問を投げかけた。
(´・ω・`)「相談に見せながら見せたと言うのは……?」
( ^ω^)「……僕は、不登校だったんですお」
不登校、という言葉に異常な反応を示す俺。
先ほどのように怒鳴ろうとすることはなく、彼の話を静かに聴き始めた。
( ^ω^)「夢も無い、学校に行っても面白くないって……。
その時、相談に乗ってくれたのが、その先生なんですお」
( ^ω^)「その先生がめちゃくちゃ優しくて……家にも入れてくれたりしたんですお。
それで、そこで先生が書いた自作の小説も読ませてもらったりして……」
(;'A`)(ッ!)
どくん、と、俺の鼓動が強くなるのが分かった。
- 54: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:14:10.42 ID:XcKF58og0
- (;'A`)(おい……待てよ……)
( ^ω^)「あまりに面白かったから、毎日のように読ませてもらってたんですお。
原作の方は、僕みたいに稚拙な文章じゃなくて、きちんとした小説で……。
しかも、めちゃくちゃ巧妙に作られた、事件のトリックまで書いてたんですお」
俺の脳が、刺激を受けたように素早く回転する。
(;'A`)(これって……)
(´・ω・`)「……その先生の名前は?」
(;'A`)(全部……ッ)
( ^ω^)「──荒巻先生、ですお」
(;'A`)(俺と一緒じゃねーかッッ!!)
- 56: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:15:42.26 ID:XcKF58og0
- 中学時代、俺は学校に行っていなくて。
荒巻先生が、俺に親身にしてくれて。
先生が書いた小説を見せてもらって……。
(;'A`)(あ……あ……)
段々と思い出してくる。
あのときの記憶、俺の気持ち、見せてもらった小説。
(;'A`)(主人公は……違った)
( ^ω^)「あ、先生の書いた小説は、警察側の視点で物語が進むんですけどNE!」
(;'A`)(その主人公がめちゃくちゃ格好良くて……俺は刑事になろうと決めて……)
( ^ω^)「その小説の主人公がめちゃくちゃ格好いいんですお!」
(;'A`)(俺は……)
- 58: ◆sHNGWXTAUA :2008/11/15(土) 21:16:30.84 ID:XcKF58og0
──この原作を
──この物語を
──この事件を
(;'A`)(中学時代から……知っていたんだ……)
第四話 終
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