( ^ω^)ストロベリーフィールズで逢いましょう
- 5: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:23:45.10 ID:pWUHsQy50
- *
*
*
( ^ω^)「ええっと」
(;^ω^)「しょうらいのゆめはー……」
「恥ずかしがらなくていいよ? 誰もいないんだから」
〜〜⊂(;^ω^)⊃
「あらあらどうしたの? 先生のとこに来ちゃって
カメラの前でちゃんと言わなきゃだめだよ」
ひそひそ……
「え!? ツン子ちゃんとケッコンしたい?? すいへい君はおませねー」
- 7: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:27:13.05 ID:pWUHsQy50
- (;^ω^)「ちょ! カメラはまだろくがしてるお! 今の先生の声が入っちゃったお!」
「大丈夫! ちゃんと消しとくからー♪」
(;^ω^)「ほんと?」
「ほんとほんと! (と言いつつ、RECランプはふつーに点灯してるけどね)」
( ^ω^)「よかったおー。はずかしくて誰にも言えないから、こっそり椎名先生にだけ話したんだお」
「ヒミツを話してくれてありがと、すいへい君。 実はね? ひそひそひそ……」
( ゚ω゚)「ええええ!? ツン子ちゃんも僕のおよめさんになりたいって言ったの!?」
「うんうん!」
(;^ω^)「うひゃー。あまりのオドロキにおしっこちびりそうだお」
- 9: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:30:33.15 ID:pWUHsQy50
- 「それじゃ、もう一回カメラの前に立って! きちんとして!」
( ^ω^)「うぇー めんどくせ」
「すいへい君は他に何か、なりたい仕事はあるのかな?」
( ^ω^)「えー。んとねー」
( ^ω^)「……」
( ゚ω゚)ノ 「仮面ライダー!!!」
( ^ω^)「だお」
「ほんとに〜?」
(*^ω^)「ほんとだお! 僕のけっしんはゆるがないお!
悪いやつらをブーンキックやブーンパンチでぶっとばしてやるんだお!」
- 10: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:34:00.27 ID:pWUHsQy50
- 「でも水平君が大人になった頃、怪人がいなくなったらどうする?」
「仮面ライダー、廃業になっちゃうわよ?」
( ^ω^)「ちょwww それは困るお」
( ^ω^)「じゃー、だいにこうほ を言いますお」
「どうぞ! それが聞きたいのよー 先生は」
( ^ω^)「えーとね」
(;^ω^)「パイロットかコックかけいさつ官か消防士か漫画家か俳優だお
えーとあと、大企業の社長に大統領とないかくそうりだいじん
でもやっぱりはずせないのはプロ野球選手と落語家とあとえーっと」
- 14: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:38:06.79 ID:pWUHsQy50
- 「多すぎwwwwww」
( ^ω^)「あ! 窓のそとから声がきこえてきたお! この声はドクオだお!!」
(#^ω^)「あいつ、ずっと盗みぎきしてたんだお! ゆるせーん!」
どたどたどたどた………
(*゚ー゚)「あー、行っちゃった」
(*゚ー゚)「次は所歩君だから呼んできて欲しかったのに」
(*゚ー゚)「テープまだあるよねー? よし、大丈夫」
(*゚ー゚)「って、うわ、録画終了忘れてた!!! 今のカット! 今のひとりごとはカット!」
(*゚ー゚)「……でもカットってどうすればいいんだ?」
(*゚ー゚)「とりあえずおしまいでーす」
―――ぷつん
- 15: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:42:46.06 ID:pWUHsQy50
※ ※ ※
そこで映像はまた暗転した。
黒い画面に写った俺の気だるそうな顔は、画面の中で見たそれと違いすぎていた。
過去の記憶が消えているのもあるが、俺は自分でも驚くほど、客観的に映像を見ていた。
というか、客観的にならざるを得ないのだ。
もしあの映像を手がかりに、過去を手繰り寄せようなどと思考すれば、途端に頬の傷には電流が走る。
それでも、不可抗力でどうしても思い出してしまう事項はある。
椎名先生、孤児院……
胸の中にすとんと落ちた郷愁は、温もりとなって体を満たす。
しかし、それが頬に到達したとき、拒絶反応を起こし痛みへと変わる。
それがどうしようもなく辛い。
- 16: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:46:03.38 ID:pWUHsQy50
- ドアがくたびれた声を出して開いた。 マフラーを巻いた少年が駆け込んできた。
「ひぃー! 外はさっぱり寒くなったお!」
(メ●ω●)「……それを言うならめっきりだろう」
「そうともいうww」
いつの間にか灯った暖炉の傍に、少年は向かう。
悴んだ手を暖めるその後姿に、俺は一言を投げる。
(メ●ω●)「……お前、ツン子ちゃんが好きなんだな」
腋を擽られたかのように少年は背筋を伸ばし、ゆっくりと後ろを向いた。
頬を赤く染め、鼻水をだらしなく垂れるその面は、驚きの色を孕んでいる。
「おっさん、なんで知ってるお!?」
- 18: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:49:31.17 ID:pWUHsQy50
- 俺は黒光りしたガラス画面を指差した。
「うわー! 椎名先生に、誰にも見せないでって言ったのに!」
「どうして見たんだお?」
(メ●ω●)「そんなこと言われても、お前が見ろって言ったんじゃないか」
「あれ、そうだっけ? おkwwww」
そう言って、少年はまた背中を向き直した。 部屋の中では、優しげな沈黙が流れていた。
暖炉の暖かさで、この世界に来る直前をふと思い出す。
俺は絵のモデルをやらされていたんだ。誰にやらされていたんだっけ?
ああ、そうだ……
ツン子ちゃんか。
- 20: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:53:31.51 ID:pWUHsQy50
- (メ●ω●)「…………っつ!!」
勿論、その瞬間にまた傷の痛みが走った。
我慢しようとしても、我慢しようとするその一瞬に駆け抜けていくような電流。
なんだか、頭の中のパズルが、組み立てられていく。
しかし、完成はしない。
大事な残りの数ピースを、心の中に居る何人かの自分が、隠し持っているのだ。
俺は「返せ」とは言わない。
もう一方の俺も、「返す」と言わない。
この秩序のようなものに、波風を立てるが故、痛みは走るのか。
痛覚を越え、無理矢理にでもパズルのピースを奪い返せば、どうなるのか。
それでもパズルは完成しなさそうな、茫漠とした不安が頭を過った。
誰も居場所を知らない残りのピースは何処に?
ふと気付くと、テレビの画面は切り替わっていた。
- 22: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 22:57:51.37 ID:pWUHsQy50
きょうはとても寒いです。
でも、先生に聞いたら、雪はふらないらしい。
ちょっと、ざんねんだった。 僕は、雪が見てみたいのです。
僕は一度だけ雪を見たことがあります。
このこじいんに来て、さいしょのきおくが、雪がふっている空なのです。
空ははいいろで、雪がほっぺたにおりてきて、冷たいと思った。
- 26: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:00:36.56 ID:pWUHsQy50
- ※ ※ ※
( ^ω^)「早く来いおー! じゃんけんするお!」
(´・ω・`) 「さむいさむいさむい寒いっ! ぼく、だんろのそばでマンガ読んでたい」
('A`)「おれもおれもー」
川゚听川「おとこのくせにだらしないなぁ〜 ほらとっとと走れっ!」
(´・ω・`) 「いてっ! おしり蹴んなよぉ」
- 28: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:03:15.90 ID:pWUHsQy50
- ところで、今日はともだちといっしょにかくれんぼをします。
なんでこんなに寒いのに、外遊びなのかというと
椎名先生に言わせれば 「こどもは風の子」ということらしいのです。
僕にはお父さんもお母さんもいません。
気がつくとここにいました。
でも、椎名先生がお母さんで、園長先生がお父さんみたいなものです。
でもでも、今日の僕は、風のこどもなのです。
ちょっと変な気もするけど、かくれんぼは楽しいので、寒くてもやります。
( ^ω^)「みんな集まったお?」
川゚听川「集まったよ!」
れいらちゃん。でも、すっごくおこりんぼうで、いつもツンツンしてるから、
みんなからは「ツン子」って呼ばれています。 でも、ツン子ちゃんって呼ぶとよけいに怒るのです。
そんなツン子ちゃんも、本当は優しいんだ。 なぜか知らないけど、僕にはわかる。
それと、ツン子ちゃんにはとくぎがあり、お絵かきがとってもうまいのです。
- 31: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:08:20.51 ID:pWUHsQy50
- ('A`) 「おにごっこにしねぇー? そっぢのほうが体あったまるじょ」
どくお。本当は徳男っていうんだけど、どくおはかつぜつが悪いから、いつも自分の名前を「どくお」と言ってしまうのです。
時々いじわるだけど、動物が好きだったり、きらいな野菜が出たときかわりに食べてくれたりします。
やせっぽちだけど、うんどうしんけいは一番いいので、だからそれもふくめて、おにごっこしたいって言ってんだ。たぶん。
(´・ω・`) 「サンセーのハンタイなのだ!」
しょぼん。いつもまゆげが垂れ下がってて、元気のなさそうな顔がしてるからしょぼん。
いつものんびりしていて、何を考えているのか分からないときもあるけど、優しくていい奴だ。
みんなの中で一番頭が良くて、時々僕は、しょぼんから勉強を教えてもらったりするのです。
川゚-゚)「……さむい」
くーちゃん。 そらの空と書いてくーです。 女の子だけど、あまり女の子らしくないので、
僕は、くーちゃんよりツン子ちゃんのほうが好きだったりするのです。
でも、どくおはくーちゃんのことが好きらしいのです。 この前こっそり教えてもらいました。
- 33: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:09:59.99 ID:pWUHsQy50
- ('A`)「というわけで今日はおにごっこをやるー」
川゚听川「だーめっ! 今日はぜったいかくれんぼなのー」
(´・ω・`) 「りゆーをのべよ!」
川゚听川「え? りゆう? えーっと……」
川#゚听川「今日はかくれんぼな気分なのーーー!!」
('A`)「あー こりゃ すなおにしたがったほうがいいぜしょぼん」
(´・ω・`) 「へへぇー」
川゚听川「そうよっ! お尻けっ飛ばすからね!」
- 34: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:12:03.13 ID:pWUHsQy50
- 川゚-゚)「いいこと考えた」
( ^ω^)「なんだお??」
川゚-゚)「おにかくれんぼだ」
(´・ω・`) 「おにごっことかくれんぼを合わせたってことでしょ」
川゚-゚)「そう。 みんなかくれて、鬼は見つけたらタッチする。 そしたら鬼がチェンジして〜……」
('A`)「でもそんなルールだったら、カンケリとかのほうが面白いしー」
川゚-゚)「カンがない」
('A`)「……」
( ^ω^)「とりあえず最初はかくれんぼするお!」
( ^ω^)「最初はグー!」
じゃーんけん、ぽん!
- 36: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:15:20.08 ID:pWUHsQy50
- ※ ※ ※
じゃんけんをして、鬼はしょぼんに決まりました。
しょぼんは頭がいいけど、こういう遊びは苦手なので、ぼくらはしめしめ と思いながらかくれます。
( ^ω^)
(^ω^ )
( ^ω^)(どこに隠れようかな〜 だお)
ぼくがうろちょろしていると、ツン子ちゃんがあらわれました。
ツン子ちゃんはぼくを手招いて、こっちにこいと呼ぶのです。
ぼくは行ってみることにした。
⊂( ^ω^)⊃(早く行かなきゃ、しょぼんが百かぞえちゃうお!)
- 37: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:18:40.12 ID:pWUHsQy50
- ( ^ω^)「どうしたお? 何かいい場所でもあるお?」
川^竸川 こくこく
ツン子ちゃんは、うれしそうな顔をして、うなづきました。
「来て来て!」と言って、ぼくの手をにぎりました。
ぼくはむねがドキドキしました。
ツン子ちゃんの手はとてもひんやりしていました。
だから、ちょっときもちいいなあ とも思いました。
( ^ω^)「ここ? うわー 確かにここは見つからなさそうだお!」
そこは、こじいんのたてものの、使われていない、ふるびた所でした。
川゚听川「でしょ! すいへい君にだけ特別に教えてあげんの!」
- 39: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:21:12.64 ID:pWUHsQy50
- 僕はほかのこどもたちより、1才か2才年上でした。
だからみんな、僕のことを、君づけで呼ぶのです。ツン子ちゃんとは、2才はなれていました。
僕らは、たてものの中に入りました。
中は、外とかわらずさむかったのですが、ツン子ちゃんがドアを閉めると、風が入ってこないので、
そのぶんだけ、あたたかいのでした。
川*゚听川「どう? このばしょ?」
( ^ω^)「さすがツン子ちゃんだおー! これなら当分見つからないお! おにはしょぼんだからなおさらだお!
少なくとも、いちばんさいしょに見つかるしんぱいはないお!」
次の鬼は、いちばんさいしょにみつけられたヤツ と僕たちの中でルールがあったのです。
へやのなかは、ぶあつい本や、わけのわからない紙切れでいっぱいでした。
へやいちめんが、ほこりをかぶっているようです。
まどからさす光で、ほこりがキラキラ光って、きれいだと僕は思いました。
- 40: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:23:33.70 ID:pWUHsQy50
- 川゚听川「……」
( ^ω^)「……」
川゚听川「ふたりきりだねっ!」
(;^ω^)「あ、うん。そうだおね」
川゚听川「どうしたの?」
(;^ω^)「な、なんでもないお」
しょぼんやどくおとふたりきりになったときは、たくさんありますが、
ツン子ちゃんとふたりきりはないのでした。
女の子と男の子は、しゅみや好きなマンガがちがうので、何を話したらいいのか分からないのです。
でも…… それいぜんのもんだいで、ぼくは胸がどきどきしていました。
ぼくは、じつは、ツン子ちゃんのことがスキなのです。
- 43: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:26:58.77 ID:pWUHsQy50
- ( ^ω^)(もしかしてツン子ちゃんがかくれんぼしたかったりゆうって……)
(;^ω^)(うひっ。ズボンの真ん中がむずむずしてきたお)
近くで見ると、気がつくことがいっぱいある。
ツン子ちゃんの髪の毛やほっぺたは、僕やしょぼんやどくおよりキレイ。
ツン子ちゃんの目やまつ毛やくちびるは、僕やしょぼんやどくおよりくっきりしてる。
他にもいっぱい。
ツン子ちゃんのおかっぱ頭がゆれました。 僕に話しかけたのです。
川゚听川「ねー、すいへい君」
( ^ω^)「なんだお?」
川゚听川「この前、ビデオカメラとったよね、みんな」
( ^ω^)「うん! しょうらいの夢を一人ずつに椎名先生はきいてったんだお」
- 44: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:29:08.67 ID:pWUHsQy50
- 川////川「ア…… アタシなんて言ったかわかる?」
( ^ω^)「え、えーっと」
僕は椎名先生からひそひそ教えてもらったことを思い出しました。
そしたら、頭のなかが真っ白になって、せなかのあたりからカーーッとあつくなって、顔は真っ赤になりました。
(;^ω^)「わ、わからないお」
川*゚听川「じゃあヨソウしてみてっ」
(;^ω^)「よ、予想? えーと、んーっと……」
川゚听川「いっせーのせ で答えあわせしよっ。いい?」
( ^ω^)「ま、待って! シンキングタイムちょうだいお!」
川*゚听川「……いいわよううう」
- 45: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:31:41.55 ID:pWUHsQy50
- どーしよう。
でも、これって「りょうおもい」ってやつだお?
じゃあ…… だいじょうぶだお?
うーん。
よし!
川゚听川「考えた?」
(;^ω^)「うん」
川゚听川「いっせーの、せ!」
( ^ω^)「僕のお嫁さ……「いちりゅうがか!!!」川゚听川
- 46: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:33:47.55 ID:pWUHsQy50
- 川;゚听川「……」
( ゚ω゚)「……」
オワタ。
ぼく、ハメられたんだ。
椎名先生に。
なんか、気まずくなって、僕達のきょりは、はなれました。
僕は、ツン子ちゃんに何も話せなくなった。
ツン子ちゃんは、ほっぺたを赤くして、窓の外をながめている。
しょぼん、早く見つけてほしいお。
そう願うけれど、ドアがきしむ音は聞こえない。
- 47: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:36:41.83 ID:pWUHsQy50
- *
*
*
(´・ω・`) 「見つかったー?」
川゚-゚)「見つからなーい」
('A`)「どご行ぎやがったんだっ。すいへい君とツン子は」
(´・ω・`) 「よし、じゃあ僕、いちご畑んとこさがしてみるね」
⊂('A`)「俺はあっち」
川゚-゚)⊃「じゃ、私はこっち」
(*'A`)⊃「や、やっぱ俺もこっち」
川゚-゚)「ドクオはばかだな。一つの方向に二人行ってもしかたないだろ」
('A`)「……ごめん」
- 48: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:38:53.92 ID:pWUHsQy50
- ( ^ω^)「……」
川゚听川「見つけて…… くれないね」
( ^ω^)「うン……」
部屋に入ってから、たぶん、30分は経っていた。
でも、しょぼんが来る気配はなくて、僕らはずっと部屋の中にいた。
窓やドアのすきまから、冷たい風がやってくる。
その風は、ほっぺたをさすって、僕にみぶるいをさせた。
吐く息は、とっても白い。
- 49: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:41:36.01 ID:pWUHsQy50
- 川゚听川「はーっ。はーっ」
川゚听川「……すいへい君」
川゚听川「さっきはびっくりしたよ」
川゚听川「でもね、うれしかった」
川////川「だってね、アタシね……」
「……」
川;゚听川「すいへい君」
( ´ω`)
色んなことが頭の中でめまぐるしく回るし、見つけてくれない不安もあるし、
僕、実は、みんなよりうすぎをしていたってことにも、気がついた。 とっても今、寒い。
ここはすっごくほこりっぽいし、なんだかぼく、
あたまがいたい
あたまがいたい
あたまがいたい
あたまがいたい
あたまがいたい
- 50: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:42:19.66 ID:pWUHsQy50
- あたまがいたい
あたまがいたい
あたまがいたい
あたまがいたい
あたまがいたい
頭が痛い
頭が痛い
頭が痛い!!!
(メ●ω●)「う…… うわああああ!!!!」
俺は頭皮を掻き毟り、這い蹲りながらデッキの停止ボタンを押す。
画面がぷつりと切れるのと同時に、背後に何者かの存在を感じた。
どうせ少年だろうと、俺は乱暴に振り向くが、そこに立っていたのは少女だった。
途端にまた頬が痛み、立つことさえままならない状態になってしまう。
中腰になって俺は呟く。
(メ●ω●)「や、やあ。また逢ったなお穣ちゃん……」
- 51: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:45:29.01 ID:pWUHsQy50
- 「アタシのこと、思い出してくれた?」
(メ●ω●)「ああ、君は……」
(メ●ω●)「うっ」
言葉を発しようとすると、傷の痛みがそれを邪魔するかの如く、「ON」になる。
痛みを遮って発音しようとする気力がない。俺は弱弱しく俯いた。
「おじちゃん、ほっぺたのきずが、いたむのね」
(メ●ω●)「ああ、そうさ……」
「逃げちゃだめ」
(メ●ω●)「……あぁ?」
俺は、少女が額に納まった絵を、両手で抱えているのに気がついた。
大事そうに両腕を前で組んでいる。
窓の外はすっかり暗くなり、激しく降る雨音に混じって、時折稲光が鳴っている。
- 54: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:47:28.84 ID:pWUHsQy50
- 「これ、アタシが描いた絵なの!」
少女はそう言って、絵画を俺に翳した。
紛れも無く、俺の部屋に飾ってある、それと同一だ。
陽だまりの下の孤児院、その庭先から、今にも無邪気な子供たちの声が聞こえてきそうな、麗羅の絵。
「逃げないで。ちゃんと、向き合って」
「ねえ、すいへい君」
どうしてすいへい君は、みんなにさよならも言わないで、どこかへ行っちゃったの?
(メ●ω●)「そ、」
(;^ω^)「それは……」
- 55: ◆ps3CKPkBXI :2008/12/06(土) 23:50:06.12 ID:pWUHsQy50
- 俺はその場に倒れた。 あの絵に、魂を吸い取られたような、感覚だった。
その先で何を見るのかは、分からないし、覚えていない。分かろうとする気もない。
勿論、直視するのが嫌で仕方が無い。
大きな流れを逆走しようとする意識が、無意識という大波によってかき消される。
意識は一旦途切れ、俺の魂は、回顧の激流をただただ下っていくのだった。
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