( ^ω^)“ブーン”が閉じ込められたようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:02:25.42 ID:27en1Rit0


( ^ω^)「フウム、そうかそうか」


 扉には、矢張りカギがかかっていた。
 とても頑丈で壊せそうに無い。
 
 ワカッテマスが部屋を出た後、彼は素直に机にはつかず、
 ぐるぐると、部屋を捜索しだした。


 尤も、新たに発見できたのは、
 洗面台の対角線上の部屋の隅にある小さな和式のトイレと、
 数匹の、同居人とはあまり認めたくない、ゴキブリぐらいだったのだが


 これで、この小さな部屋にあるのは、
 無駄に大きな鳩時計と、机ぐらいだと、判明した。してしまった。


( ^ω^)「ハハハ、ハトポッポ時計と机と僕、か
      部屋とYシャツと私、みたいでなんだか愉快じゃあないか」


 ハハハハ……
 乾いた笑い声が、部屋を暫し支配した。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:03:41.11 ID:27en1Rit0




( ^ω^)“ブーン”が閉じ込められたようです





7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:07:25.41 ID:27en1Rit0
 

( ^ω^)「ハハハハハ…さあて」
     「笑ったことだし……」「………」「……」


 笑ったことだし、
 の後に続くはずの言葉は、でてこなかった。


( ^ω^)(……)

 AAキャラになってしまった自分、
 ホントウに、なんにもない部屋、
 鼻持ちならない、案内人、
 突然放り出された世界は、あまりにも理不尽すぎた。

  
  
 云い現わす事の出来ない焦燥と不安とを感じ、
 手はブルブル顫えた。

 にも、かかわらず。

 彼の胸中を支配していたのは、

 絶望ではなく  好奇心、であった。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:11:19.78 ID:27en1Rit0
    
 部屋を、捜索したのも、
 絶望からなんとかして、脱出しよう、脱出したい。


 という、意識の源泉から湧き出た行動ではなく
 単純に、この世界のことが知りたかった、のだ。

 作者として、愛してはいたが、
 単に記号でしかなかった彼ら

 単に話を書くことでしか、関れなかった自分。

 ホントウに、此処が彼のいうように、ブーン系AAの世界であるなら
 自分の居た世界と、なにが、どう違うのか

 ワカッテマス以外のAAたちも、
 この世界では自我をもつて、考え、学び、行動しているのだろうか
 自分たちが、動かしてきた、
 彼らと、この世界の彼らは同一であるのか、どういう関係なのか

 恐怖や絶望よりも
 沸いてくる好奇心のほうが、何倍も強かったのだ。
 
( ^ω^)「ハハ、僕はもう」
    「狂人なのかもしれないナア」


 ポリポリと、頭を掻いた。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:15:54.04 ID:27en1Rit0
     

 暫くは、此処にいるつもりだった。

 限定されている、行動に対し、
 知りたいことが、多すぎる。多すぎる。


 が、かといって、
 このまま何もせず、この部屋でホケェーと、口から涎を垂らし
 夭折する気も、さらさらない。
 
 何時か、そう何時か知識欲が満たされたとき、
 現実に帰ろうと、漠然と考え始めていた。

 現実に帰る…?
 あ、いや…どうやって…どうやってだ…?
 楽観視、しすぎじゃあないか……?

 部屋にはなにもない……ホントウになにもない…

 ワカッテマスから、聞き出すか?どうにかして?ぼくが?
 ムリだ。

( ^ω^)「あの偏屈から、そんなことできるわけがない」「ありえない」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:21:42.40 ID:27en1Rit0
    

 例えば、彼の代わりにツンが案内人と成っていたら
 その、ふくらみかけの胸を凝視したり、ほっぺたをつねつねしたり
 セクハラをしたり、急にやさしくなってみたり

 なんやかんや、と すれば、動揺して、
 なにかを洩らすかもしれない。
 どうあれ、イニシアティブを握る自信は、ある。

 
 ツンでなく、ハインだとしても、
 会話をするうち、今まで伝える事が出来なかった、
 言葉では伝えきれないであろう、心中に宿る轟々とした愛を伝えることで

 いつしか、心を通わせて、恋愛に発展したり、して
 なにか発展があるかもしれなかった。

 こんな、よくわからない話にならず
 恋愛ものになったかもしれぬのだ。勿体無い。

 実に、勿体無い。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:25:17.16 ID:27en1Rit0
    

 だというのに、
 案内人がワカッテマスというだけで、これだ。


 なんやかんやと、屁理屈をこね、
 禅問答を繰り返し、ウヤウヤとした気持ちになるばかり。
 これだ、これだ

 これだ、これだ、これだ、これだ、これだ

 しかも、コチラの質問に一切答えようともせず。

 ただ、ブーン小説をかけと、強要する、
 書かなければ、どうにもなりませんよ?と


( ^ω^)「ハア、どういうプレイだ」
      「まったくやれやれ」 
      「ぼくにはMの素質はあるかもしれないが」「彼に攻められても」
      「まったく嬉しくないね」「これっぽちもだよ」


 ため息を、ついた。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:32:38.71 ID:27en1Rit0
     

( ^ω^)「ふーむ……この状況は…」
      「アッ」「成程」「そうかそうか」

 現状を顧みて、
 ふと、あの名作が浮かんだ。

( ^ω^)「どことなく、ブーンがピアノを弾かされるようです」
      「の、やうな状況なんだなあ」「ハハ」


 ピアノを弾かされるようです。

( ^ω^)「ぼくは作者である前に」「熱心なブーン系読者だからね。。。」
     「知っているに決まっているよ」「みくびるんじゃあ、ない」

 06年3月頃投下された、◆HGGslycgr6氏の屈指の名作。
 彼の記憶が正しければ、
 オムライスや、ナギ戦記にて、まとめられているはずである。


( ^ω^)「僕は、この作品が大好きでねえ」
      「ああ、そうか」「先程からなんだか」
      「ワクワクすると思ってたんだ」
      「成程」「そうかそうか」「そういう事だったのか」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:37:36.06 ID:27en1Rit0
       

( ^ω^)「突然、監禁され、
      “ナニカ”を見知らぬ男に強要される」

( ^ω^)「うん・・なんだか」「似ているじゃあないか」
     「奇妙な親しみすら」「感じるよ」「ハハハ」
 
     「尤も、ぼくには、作中のピアノのブーンのやうな」
     「強要されるものに、絶対的な才能もないし」
     「助けるべき、可憐な想い人もいない」「魅力的なGもいない」
     「代わりにいるのは、辛気臭い犬畜生ばかりだ」

( ^ω^)「ハハハ、ないない尽くしか」
     「たまんないねぇ」

( ^ω^)「ハハハ、いいね」
     「きらいじゃない」「こういうのは」「ね」
     「ハハハハハハ…」
 


 誰に言うでもなく、呟くと、
 彼はくるくると部屋を歩き始めた。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:42:14.51 ID:27en1Rit0
  
( ^ω^)「…………」


 てくてくてくてく、部屋を歩く。

 カチッカチッカチ……
 中央にあるハトポッポ時計の
 長針が、短針を追いかけている。
 部屋を、一周した。



 カチッカチッカチ……
 長針が、短針を追いかけている。
 部屋を二周する。


 カチッカチカチ
 長針が短針に追いついた。
 
  

( ^ω^)「うん、わかったぞ」

 彼の歩みはとまる。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:51:48.22 ID:27en1Rit0
     


( ^ω^)「“ピアノ”にでてくるブーンは」
      「色々と、葛藤した後」
      「結局ピアノを弾いていた」「弾かされていた」

( ^ω^)「僕と違って、いろいろと持っている」「彼でも、だ」



( ^ω^)「対して、何も持たざる僕が」
     「なにもしなくて、いいのだろうか?」



( ^ω^)「特に葛藤もしていないし」
     「隠すべきも過去」「なあんにもない」

     「したことといえば」「クルリと部屋を回り」
      「ワカッテマスに頭の中で暴言を吐いたくらいだ」
      「ハインとツンに対する妄想も」「ちびっとしたがね」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:52:46.00 ID:27en1Rit0
     

( ^ω^)「“僕”は勿論“僕”であるが」
      「……そう、それは疑いようもない」

      「然し」「いまは同時に“ブーン”でもある」
      「不本意だがね」
    
      「なら、同じ“ブーン”として」
      「彼に敬意を払うべきだ」「きっと、そうだ」

( ^ω^)「持つ者でも、やる事は、きちんとやったのだ」
     「弾かされたいう、形でも」「形でも」

      「ならば、持たざる僕は、どうすればいいか」
      「せめて やらされる 」
      「ではなく」 「自発的にしてみるのはどうか」

 
      「そうだ、そうすれば」
      「何も持たざる僕でも、彼に対し優れる点が出来るではないか」

      「そうだそうだ、そうと決まれば、そうしよう」

      「……マア、その結論がワカッテマスの都合のいい事になるかもしれないが」「よしとしよう」
      「欲張ることは」「イケナイことだからなあ」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/13(土) 23:58:20.48 ID:27en1Rit0
    

 茫然しながら、歩き廻っていたが。

 結局、話を進めるには
 愈々小説を書く他はなかった。


 それに、彼は気づいたのだ。
 我々には、小さな発見かもしれないが
 彼には、とてつもなく、大きななにかを伴う、大きな発見だったかもしれない。


( ^ω^)「〜〜〜〜〜♪」


 まずは、その偉大な進歩を、祝福しよう。

 机へ、スキップで、彼が向かう。


 部屋に、口笛が響き渡る。響き渡る。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:03:41.99 ID:wyBuUeTK0
          

( ^ω^)「さてと、ようやくスタート地点だなあ」


 古い丸椅子に、ギシギシと腰掛ける。

 何故閉じ込められたのだろうか
 再度思考をすすめることにしようか。


 部屋にあるのは、埃と時計と、洗面台と、端に裸であるトイレ
 そして、机ばかりであるが。


 大いなる、決断をしたばかりの今の彼にとって

 不思議と、この部屋は 
 実にぴつたりした申分のない部屋だと感じられるようになっていた。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:06:05.96 ID:wyBuUeTK0
     

 この部屋は、
 ぼくに適度の高揚と刺激を与えてくれる。


 創作意欲が、溢れてくるではないか
 必要なものはほとんどなんでもあるが、余計なものはそれほどない。
 そうとすら、感じられてきた。

 
 此処にきた事は、生まれた時から、
 実はモウ既に決まっていたことだという気もするし、
 不思議な、廻り合せという気もする。

 自分には。呼吸と同じく、
 ブーン小説と、この部屋が必要なのだ。
 そうとすら、感じられてきた。


( ^ω^)「……ウン、いまならなんでもかけそうだ」

 騒ぐ。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:10:29.16 ID:wyBuUeTK0
     

( ^ω^)「ハハハ、あの畜生の云う通り」
     「麻薬かもしれないなあ」
     「ブーン小説は」「作者にとって」「じんわりと沁みこんで来る」
      「麻薬かもしれないなあ」

 ポリポリと、頭を掻く。
 机の上に転がる、ペンとノートに目をやる。


( ^ω^)「まあ…欲を云うと、ノートで無く、パソコンが欲しかったんだケドね」
      「顔文字を手書きで書くのは、なんだか滑稽だし」
      「せっかく書いた作品が、誰にも読んでもらえないなんて」「なんだか、寂しいじゃあないか」
      「そうさ」「だれだって、そう思う」「そうさそうさ」


 彼のブーン系における信念の一つに
 ブーン小説とは、投下して、読者のレスと合わさり、
 初めて完成したといえるはずだ、というものがあった。

 書いただけでは、完成とは、云えない。

( ^ω^)「まあ……文句ばかり云っても仕方が無い」
      「とりあえず、漢は黙って支援の精神だ」

 だれに言うでも無く、そう呟くと再度深く、腰掛ける。
 ギシリ、古い丸椅子が音を立てた。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:22:57.02 ID:wyBuUeTK0
    

( ^ω^)「シャープペンをつかうなんて、いつぶりだろう」
 
 最近は何か書こうとしたら、
 PCかボールペンばかり使っていたので
 実に、けっこうぶりだ。多分そうだ。

 訂正できるなんて、なんかかっこわるいじゃん、
 そういう信念があった。うそだが。

( ^ω^)「なんともいえない温もりが、
     手に伝わってくるやうだ…なあんてな、ハハ」

 しっくりきた。
 バツグンにしっくり手に馴染んだ。

 これの方が、
 PCなんかよりいいものがかけるかもしれないなあ

 なんの変哲の無いシャープペンのはずなのに。
 不思議な魅力があるモノに思えた。

 シャープペンの側面の一面に
 灰色のホコリが覆い被さっているのを見ると、
 余程、以前から誰も手を触れないまま置き放しにしてあるものらしいなあ、とも感じられた。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:25:41.35 ID:wyBuUeTK0
      

 もう一つ机に転がるある、ノートもまた、
 やはり灰色のホコリを被ったまま置き放しにしてある。


 その様が、
 なんだか昼寝をしている猫のように見えて。

 妙に、気にかかった。

( ^ω^)「ムムム…」

 

 そして、机に乗っている、もう一つのモノ
 ノートを手にとって、見る。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:29:35.01 ID:wyBuUeTK0
     

 綴込のノートで、かなり古いものなのか、
 はたまた、自分以外の人間が使い込んだのか
 表紙はところどころ破れ、穢れ、ボロボロだった。


 少し、シミやボロが目立つが
 一応、見た目は普通のノートと云えるだろう。云えるはずだ。


 そのボロボロの擦り切れた表紙に
 黄色の蛍光ペンで大きく“ブーン小説”と標題が書いてある。

 
( ^ω^)「“ブーン小説”か、実にシンプルでわかりやすい」「いいね」「とてもいい」
      「字は汚らしいが、此れを書いた人はセンスがある」
      「シンプルなのと、おいしいものは僕の好みだよ」「気に入った」


 
 長い間呼吸とする事を忘れ、
 ブーン小説と銘打たれたその古ぼけたノートに見惚れた。

 まじまじと見ていると、本当に初めて手にしたものでは無い気がしてきた。
 自分がブーン小説を書くとき愛用していたノートPCのように
 いや、それ以上に



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:32:43.46 ID:wyBuUeTK0
     

( ^ω^)「アッ、いかんいかん」「悪い癖だ」
      「見とれている場合じゃない」「なんとも、なんとも」

 そうだ、いまの僕の心身は
 自身の泉から湧き出てきた、創作意欲と云う名の
 焔でゴウゴウと燃えている。

 このペンと、ノートがあれば、
 何でも書ける、そんな気になる。

 燃え尽きる前に一作書きたい気分である。
 作品に、この悶々とした気持ちを、ぶつけたい。

 ぼくのすべてをぶつけた作品は、どんなものになるのだろう。
 どんな評価がされるのだろう、
 知りたい。素直な気持ちであった。


 滾る想いと共に、ペラペラとノートのページを開いてみた。
 
 使い古された感のある、ノートだったが
 ページ自体はキレイだった。


( ^ω^)「よっし、とりあえず書こう」

 ペンを、強く握る。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:36:49.92 ID:wyBuUeTK0
    

( ^ω^)「………得意の、恋愛もので、いくか」

 スラスラと、ペンが進む。

 同じく、得意であるほのぼのを避けたのは、なにか理由があったのだろうか。
 それは彼にもわからなかった。

 ともかく、スラスラ進む。

 ペンで書く、彼のAAはカクカクしていて、可愛げがなかったが

 ともかく、スラスラ進む。

 スラスラ進む。
 進む。

 ものの、1分で、23行分。

( ^ω^)「いいペースだ」

 約1レス分。

 やる気が漲っているという点を除けば、
 なんら、普通の彼に

 その時、異変が起きた。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:43:28.54 ID:wyBuUeTK0
   

     
     「きっと、また逢えるよな!そうだよな!」

     「当たり前だお、だって僕らは」

     「だって、僕と、キミは――」




 いつしか、忘れてしまった、初恋を
 思い出すのは、雪の降る夜。

 聖夜、クリスマス。


 
( ^ω^)そして、僕らは思い出すようです(゚∀゚*)



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:45:19.22 ID:wyBuUeTK0
【ニュー速VIP】-( ^ω^)そして、僕らは思い出すようです(゚∀゚*)
 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/13(土) 23:00:46.07 ID:bokuhabun




     「きっと、また逢えるよな!そうだよな!」

     「当たり前だお、だって僕らは」

     「だって、僕と、キミは――」




 いつしか、忘れてしまった、初恋を
 思い出すのは、雪の降る夜。

 聖夜、クリスマス。


 
( ^ω^)そして、僕らは思い出すようです(゚∀゚*)



 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/13(土) 23:02:25.42 IDdokusilyade
 とりあえず、期待



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:50:43.11 ID:wyBuUeTK0

(;^ω^)「エッ……」


 1レス分書いたなあ、と思った瞬間。
 ノートに、いつもと見慣れた文字がじわじわと、まるで映画のCGのように浮かんできて。
 彼が書いた小説を、あたかも投下したやうに、飾り付けた

(;^ω^)「以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします…?」
     「はて…」「これは…」「ドウイウ…」


 それだけでは、無かった。
 レス番も、スレタイも かつて彼が投下したときの事を再現するかのやうに
 次々と、ジンワリと、文字が浮かんできたのだ。

 そして、あっという間に、VIPに投下されたかのようになった。
 かと思えば

 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/13(土) 23:02:25.42 IDdokusilyade
 とりあえず、期待


( ^ω^)「読者のレスのやうなものが……ノートに浮かんできた・・・?」
      「ハア」「これは」「なんなんだろう…」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 00:55:38.62 ID:wyBuUeTK0


 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/13(土) 23:03:15.91 ID:dokusilya02
かまわん、続けろ


 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/13(土) 23:03:36.19 ID03dokusilya
 続きマダー?


(;^ω^)「…」「ナナナ…」


 驚いてる間にも、レス番らしきものが
 ノートに次々と浮かんできた。

 はて…これは…ただのノートのはずなのに…
 どうやら、ホントウに、おれは頭がおかしくなってしまったのだろうか…
 マア…でも…ちょうどいいかも知れぬ…

 書く、というだけでは飽き足らず
 もしかして、おれの意識が読者レスを創りだして、そうみえてるのかもしれないなあ

 そうか、そうか、そうかも知れぬ
 おかしくなってしまったのなら
 便乗しよう、楽しもう

( ^ω^)「よしよし、まてまて、今書き込むぞ」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:02:24.72 ID:wyBuUeTK0
   
 200名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/14(日) 00:55:38.62 ID:bokuhabun
 

 ( ^ω^)ノ「「メリークリスマス!」」ヽ(゚∀゚*)


 やっと、一緒に紡げた言葉。
 つないだ手は、もう離さない――― 




 201名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/14(日) 00:59:38.62 ID:bokuhabun

  以上で、投下終了です
  支援など、ありがとうございました。



 202:名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/14(日) 00:55:38.62 ID:muramurakunn


( ^ω^)「……フウ」

 投下、し終えた。
、開放感と心地よい脱力感に包まれる。

 ながらで投下したせいか、いつもより、余計に



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:06:51.68 ID:wyBuUeTK0
     

( <●><●>) 「………お疲れ様です、如何でした?」
        「此処での初投下は」


( ^ω^)「アッ…」「いたのか」「キミ」
      「一体何時からだい?」「黙っているなんて、悪趣味だなあ」

( <●><●>) 「ええ、貴方が投下し始めたあたりから」
        「貴方は、投下に夢中で」「とんと気づきませんでしたがね」

( <●><●>) 「どうですか?ただのノートだと思いきや」
        「おどろいたでしょう」

( ^ω^)「これは……ノートの効果なのかい?」
     「てっきり」「ぼくの妄想かとばかり…」


( <●><●>) 「貴方の頭に、そんな高度な機能はついてたりしませんよ」
        「それと」「うそおっしゃい」
        「貴方も、気づいていたはずです」「手に取った」「その時すでに」


( ^ω^)「……」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:09:41.73 ID:wyBuUeTK0
     

( <●><●>) 「マア、いいです」「それらを踏まえたうえで聞きます」
        「さぞ、驚いたでしょう?」


( ^ω^)「嗚呼…驚いたさ」
      「ヤムチャが、フリーザを倒したかのやうだ」「天地が引っ繰り返った思いだよ」


( <●><●>) 「ハハハ…そうでしょうそうでしょう」
       「わかってましたよ」「わかってました」「そのように驚かれるのは」
        「イヤア、愉快だ、愉快だなあ」


( <●><●>) 「おや、7xさんに、まとめられたやうですね」
       「おっと、オムさんにもまとめられていますね」

( ^ω^)「嗚呼…そういえば
      最近はまとめが増えたせいで、まとめ被りが当たり前になったせいか
      スレにまとめ報告がなくなったなあ」

( <●><●>) 「いやはや、いいことだと思いますよ」

( ^ω^)「マア、僕もそうおもうがね」「なんとなく、云ってみたダケさ」

( <●><●>) 「お祝いに、コーラです」

( ^ω^)「コーラ?」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:14:01.55 ID:wyBuUeTK0
      

( <●><●>) 「おめでとうございます、
       7xさんにまとめられましたからね」

( <●><●>)「だから、コーラです」
       「ペプシだったり、邪道な0カロリーなんかじゃ」「ありません」
       「真っ当な、コカ・コーラです」

( ^ω^)「……だから、何故7xさんにまとめられたら」
     「コーラなんだい?」

( <●><●>)「あら?ご存知ないですか?」
       「てっきりご存知かとばかり」
       「私のわかってたつもりだったのですね」
       「わかってたつもりでした」「わかってたつもりでした」

( ^ω^)「……」

( <●><●>)「ブーン系のまとめサイト・ブログさんは、
        食べ物の名前が、多いのですよ?」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:19:08.02 ID:wyBuUeTK0
     
( <●><●>)「オムライスは、いうまでもなく」

( ^ω^)「マアネ」


( <●><●>)「ブーン・ゲイは性的な意味で」


( ^ω^)「掘られるぞ、お前」


( <●><●>)「内藤エスカルゴは、エスカルゴ」


( ^ω^)「高級だときくけど、蝸牛は食べる気しないなあ」



( <●><●>)「花束 は花束」



( ^ω^)「たしかに食べれるかもしれないケド…」
      「それって食べ物と云うのかい?」



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:21:17.33 ID:wyBuUeTK0
   
( <●><●>)「ブーン速。はまとめ人がくだもの」

( ^ω^)「無駄に高級だ」


( <●><●>)「蛇屋は、蛇


( ^ω^)「スネークかい、ぼくは」


( <●><●>)「そして7xは」


( ^ω^)「そして7xは?」



( <●><●>)「コーラなんです」


( ^ω^)「だから、なんでコーラなんだい…」



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:27:46.05 ID:wyBuUeTK0
    

( <●><●>)「ご存知ないのですか?コーラの主成分のナゾ」
       「マア」「正確には」「香料なんですが」「これが伏せられているのです」
       「成分を知っているのは、最高幹部だけ」

       「いろんな、憶測はながれてますけどネ」
       「だからコーラはコカ・コーラ社にしか作れない」
       「できても、ペプシなんて、ハンパもんですね」
       「まがい物」「まがい物」「まがい物は、私きらいです」


( ^ω^)「……なあるほど」「物知りなんだね、キミは」
     「そして、まがい物嫌いな訳だ」
     「さらに、意外とやさしいんだね」「コーラと」「無駄知識をぼくに授けてくれるなんて」
     「意外なきみの一面がたくさん知れて」「ぼくは幸せ者だな」


 両手を挙げ、皮肉をいいながらも。

 かなり長時間投下に熱中していたせいか、
 彼の話を聞いていると、
 ぼくのノドがカラカラに乾いている事に気づいた。

 コーラが飲みたい。



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:33:49.31 ID:wyBuUeTK0
   

( <●><●>)「……」「貴方もしかして」
       「引き出し、見てません?」「机の」


( ^ω^)「アッ…」



 その時、彼の言葉で
 机に引き出しがあるのに、初めて気づいた。

 あわてて開けようとしたが
 彼は「いいです」「貴方はそういう人です」「わかってました」

 と行動を、嫌味な言葉で制してくる。

 死ねばいいのになあ



 僕は、思った。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:40:12.24 ID:wyBuUeTK0
     

( <●><●>)「ああ、あとオムライスさんにも、まとめられていましたね」
       「ささ」「どうぞ」「お熱いうちに」


 カチャリ。
 ほかほかのオムライスが机に乗せられた。
 半熟のおっp…卵がジュウジュウと音をたて。

 その卵に隠された、チキンライスも、
 その存在をジュウシィな匂いで、主張する。
 
 ジュル、思わず涎が出てくる。

 そう、おなかも減っていたんだ、スッカスカにね。

( ^ω^)「わあ、なんと美味しそうな」
      「ホホウ、キミにこんなサービス精神があったとはなあ」

( <●><●>)「貴方が書いたものが、オムライスにまとめられたからですよ」
       
( ^ω^)「?? いまいち要領を得ないが、マアいい」
       「僕はこう見えても、強欲でも」「ただで貰えるものなら、なんでも貰うよ」
       「それがタダだったり、美味しそうなものなら、なおさら、ね」

( <●><●>)「食料は、原則まとめられた時、まとめサイトにちなんだものを配布します」
        「ここまで云えば、机を開けずともわかるでしょう?」
       「まとめられた先にちなんだものが」「食べられる」「飲むことが出来る」
       「はぁ…まったく」「初めてですよ」「貴方のようなバカものは」「いままで、でね」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:42:26.40 ID:wyBuUeTK0
    

( ^ω^)「と、なると」
     「ブーンミコ酢さんにまとめられた際は」


( <●><●>)「酢を配布します、酢、だけですね酢」


( ^ω^)「ハハハ、それは愉快だなあ」 
      「酢だけじゃあ、僕は死んでしまうよ」「きっと」


( <●><●>)「ハハハ、おかしいなあハハハ」


( ^ω^)「ハハハ」




 ハハハハハ
 笑い声が、またも響く。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:44:19.01 ID:wyBuUeTK0
      


 ハハハハハ…
 笑い声が、またも響く。

「ハハハ」

「ハハ………」

「…………」

 笑い声の後に、沈黙が

 一分、二分

 三分。




 沸いた沈黙を、切り裂いたのは、“ブーン”の声。

( ^ω^)「ナア、一つだけ聞いてもいいかい?」

( <●><●>)「「……なんでしょう」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:48:23.76 ID:wyBuUeTK0
    

( ^ω^)「キミはAAであるワカッテマスをこの世界とは別にあると
      認知したやうな言い方を、先程していたな」

( <●><●>)「そうですね」

( ^ω^)「此処は、キミ達、AAの世界なのかい?」
     「僕ら作者が書いた“物語”を演じなくてもいい」
     「キミらが自由によろしくやってる」「世界なのかい?」

( <●><●>)「そうですね」「無数にある、次元の一つ」
       「その中の、少し特異な一つ」
     
      「貴方方から見た、我々AAの世界だと思っていただければ」
       「それで差しさわりないかと思います」

( ^ω^)「ホウ、っと云う事は、ぼくらがいた現実世界とは、、別世界だと?」

( <●><●>)「「………」

( ^ω^)「次元が違う世界だから、
      “ブーン”と云うAAの体を借りて、僕が此処にいるのかな?」

( <●><●>)「………」



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:50:58.97 ID:wyBuUeTK0
    

( ^ω^)「チェッ、沈黙かい」
      「答えに詰まるとすぐそれだよ」
      「ずるいなあ」「ずるいよ、きみはまったく」


( <●><●>)「質問は、一つと仰ったじゃありませんか」


( ^ω^)「たしかにそうだけどさあ、そうだけどさあ」


( <●><●>)「貴方はたしかにひとつと言いました」
       「私には」「わかってます」「わかってます」

( ^ω^)「チェッ、難点を殊更言い立てるやうなキミは、今に顰蹙を買うぞ?」


( <●><●>)「別によいですよ」「貴方に、なら」


( ^ω^)「……」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:54:18.40 ID:wyBuUeTK0
    
( ^ω^)「じゃ、もうひとつだけ」「こたえておくれよ」
     「なあいいだろう」「キミの云うとおりブーン小説を書いたんだ」
     「とびっきりのを、さ」


( <●><●>)「……なんでしょう」

( ^ω^)「ブーン小説に、自分たちが出ているという自覚があると云うのなら」
      「今、目の前にいるきみ」
      「ワカッテマス」「は」
   
      「僕が以前作品で使った事のある」
      「ワカッテマス」「や」
 
      「他作者さんの書いた…」「例えば、そうだな」
      「抗い護るに出ていた、秩序なんとか者のキミだったり、アルファの若き天才だったり」
      「したキミ」「と」
      「同一人物なのかな」「ちょっと、変な質問だけどさ」

( <●><●>)「フウム」「フウム」
        「成程」
        「ブーン小説作者らしい質問ですね」

        「いいでしょう」
        「端的に云えば 同一人物であると同時に、それらの私とは、別人です」

( ^ω^)「……云ってる意味がよくわからないなあ」
      「噛み砕いて、教えておくれよ」



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 01:57:11.17 ID:wyBuUeTK0
      


( <●><●>)「夢のやうなものだと思って下さい」
       「夢で見る、あなた自身は」「あなた自身であって、あなた自身ではないでしょう?」

       「夢から覚めた後は、夢の内容を思い出そうとしても、鮮明に思い出せない」
       「そこに、確かに貴方はいた」

       「が」

       「醒めた後には」「ふわふわとした現実味のない」「記憶だけがのこり」
       「本当に体験したかどうか定かではなくなってしまう」

       「夢とは、そういうものでしょう?」


( ^ω^)「フム」


( <●><●>)「それと同じですよ」
      「私も抗護に秩序守護者として活躍していた記憶もありますし」
      「アルファベットでベルベットとして、生きた記憶もあります」
      「陽炎といってもいいほど」「朧げであいまいでか弱いですが、ね」

      「この世界の私からは、それらが物語の中の私だと確信を以て言えますが」
     「それぞれの物語に居た時は、
     作者に定められた役を演じてるなどおもいもしませんでしたでしょう」「きっとそうです」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 02:03:16.11 ID:wyBuUeTK0
      

( ^ω^)「フウム…、では君たちは、」
      「君たちAAは」「“キミ”は」
   
     「何者かに描かれた脚本の上を演じるだけの存在だと、薄々感づいているのだな?」


( <●><●>)「……ええ」「私が知る限り、そういう考えに至ったのは」

        「この“世界”だけですけどね」

       「他にもあるやもしれませんが、私はとんと知りません」
       「あなたたち、作者たちのの有り余る妄想が」
       「ネットの海を漂い、ニュー速VIPを云う媒体を以て」
       「私たちを、この、いや、AA全体の“世界”を作り上げたのです」


( ^ω^)「作者の、妄想が作り上げた?」

( <●><●>)「はい、そうです」「そうでしょう」

( ^ω^)「莫迦な」
      「現にこの“世界”はこうして存在しているじゃあないか」

( <●><●>)「先生、落ち着いてください」
       「御尤もです。不思議に思われるのは御尤も千万でしょう」

( <●><●>)「でも、ですね」



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 03:34:21.39 ID:wyBuUeTK0
    

( <●><●>)「でも、ですね―――」



 大きな目。

 響く声。

 響く声。

 声。


 この先は、聞いちゃいけなかった。


                              其の二  終わり



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