l从・∀・ノ!リ人 夜は短し歩けよ妹者のようです
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:20:59.52 ID:qzN73Fqn0
なんと速やかに、
私たちは、この地上を過ぎて行くことでしょうか。
人生の最初の四分の一は、
その使い道もわからないうちに過ぎ去り、
人生の最後の四分の一は、
またその楽しさを味わえなくなってから、過ぎて行くのです。
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:21:30.57 ID:qzN73Fqn0
なんと寂しいことでしょうか。
兎という訳じゃないけれど、
寂しさで、死んでしまいそうです。
しかも、その間の期間の四分の三は、
睡眠、労働、苦痛、束縛、失恋、勉学
あらゆる種類の苦しみによって、費やされてしまいます。
本当の意味の人生なんて、なんと短い。
人生とは、恋のように儚くて、夜のように短いものなのです。
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:22:02.33 ID:qzN73Fqn0
だから、せめて、
日々楽しく過ごしましょう。
楽しみましょう。楽しみましょう。
詭弁踊りを踊り、美味しいお酒をちびりと舐め、
オモシロ可笑しい人生を享受しようじゃないですか、
美しく調和のとれた、
たった一度の、人生なのだから。
l从・∀・ノ!リ人 夜は短し歩けよ妹者のようです
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:25:57.49 ID:qzN73Fqn0
( ゚∀゚)「〜〜〜ってことなんだよな」
「っつー訳でおれは人生は楽しまなきゃ」「損だと思ってる」
「人生を楽しむのはよ、人間の義務なんだからな」
「同時に、権利でもあるんだよ」
( ゚∀゚)「それによう」
「人生ってやつは、待ったなし一回勝負だからな」「まじ仁義ねぇぜ」
「イッカイキリ!」
高速を走る車。
私と、この人生を語る殿方ばかりをのせたワゴンRは、
燦然と、光を放ちながら
深黒に塗られた高速道路をきらきらと照らしながら、突き進みます。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:27:53.51 ID:qzN73Fqn0
-
どうして、この殿方は、あったばかりのワタクシに対しても
こんなに饒舌に、マシンガンの如く話しかけるのでしょうか。
外の世界は、こんな殿方ばかりなのかしら
私はつい、そう思ってしまいます。
( ゚∀゚)「おいおい、無反応かいお譲ちゃん?つれねぇなあ」「つれねぇよ」
「いい事言ってんだからよ、いま俺は」
「誰か褒めてやって然るべきだと、おれは思うぜ?」
「人生論ってやつを語る奴は、大抵胡散臭い奴だから、
気をつけるんだよ妹者、俺らみたいに流石な奴らばかりじゃないのさ」
不意に、兄の言葉を思い出してしまいました。
l从・∀・ノ!リ人「…確かに、すごいのじゃー」
そんな感じに私は、酔っ払っている男の横で
はあ、とあいづちと共にため息を吐きました。
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:30:33.11 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚∀゚)「この一回きりってのが重要なんだよなあ」「イッカイキリ!」
なおも饒舌に語る男の言葉に、
耳を傾けたと見せかけて、私は一人思考に走ります。
この殿方は、どうしてこうも元気なのでしょう。
この韜晦ぶりは、深い教養に裏づけされたものなのかしら。
「イッカイキリ!」言葉にあわせ、
男の着ている赤服とつけひげげ、車が不安定に揺れます。
運転中なのに、そんなにはしゃいで、
お事故をおこしてしまわないか、
私はたいへん心配になるのです、なむなむ。
l从・∀・ノ!リ人「どうして、こんな事になったのじゃー……」
誰に言うでもなく、呟く私、なんとも健気。
答えを求めてみたものの、呟きは乾いた風と成り消えてしまいます。
窓ガラス越しに、チカチカと“いるみねいしょん”で、
彩られた冬景色の走る様が、見えるのばかりでありました。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:32:57.58 ID:qzN73Fqn0
-
男との出会いは、つい先程。
具体的に言うと、3時間ほど前であります。
「思った以上に先ほどだな!」
と言う読者諸賢のありがたいお言葉が、
聞こえてきそうでありますが、
ここは、涙をグッと堪え、
ついでに、もの申すの作者再登場を待ち侘びながら
あえて放置することにいたしましょう、きっとそれがいいでしょう。
ワタクシは、放置プレイと、あまあいお菓子が大好きなのです。
ゆめゆめ忘れないでいてほしいものです。
あ、いちご大福が好きです、出来れば、濃い目の緑茶もつけて!
話がそれました。
いけません、私の悪いクセです。
ともかく、この小煩い男との出会いはつい先程。
出会いの発端は、私の家出から始まります。VTRスタート。にんにん。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:39:12.23 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー!!!」
私はノジャー!と暴れまわる乙女でありました。
天真爛漫、唯我独尊、天衣無縫、泰然自若、焼肉定食。
幾千ある四文字熟語でも、
たとえようにない、そのわがままっぷりは
一度“のじゃー!”と暴れれば、海を割り
二度“のじゃー!”と暴れれば、山を砕く ほどでありまして。
触れるものみな、
わがままで切り裂いてしまうかのやうな、
たいへん扱いづらい、箱入り、それも綿の入った桐製の、
そんな感じの、わがまま娘だったことを、我ながら記憶しています。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:40:44.82 ID:qzN73Fqn0
-
実家が、流石家 という
日本有数の名家の生まれだったり、
年の離れた、末女だったり、父や兄たちが甘やかしてくれたり、
母者が地上最強の我強遺伝子を持っていたり、と
色んな要素が出会い、ケミストリーして、弾けて、混ざり。
「日に、30時間のわがままという矛盾!」といった、
ジャックハンマーもびっくりな、わがまま娘が出来上がったのです。
多分、おそらく、きっと、十中八九。
ともかく、私はわがまま娘だったのです。
だが、そんな私も人生の転換期と呼べるものに出会うのです。
それが、昨日なのです、イッツイエスタディ。
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:46:07.56 ID:qzN73Fqn0
-
姉は、事ある事に、私に言いました。
∬´_ゝ`)「妹者、ちょっと、よろしくて?」
「私たちは、流石家の女として生まれたのですから
慎ましく、美しい調和のとれた、乙女を目指すべきなのです」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー?」
l从・∀・ノ!リ人「乙女?それはなんなのじゃ?
新しい“すいいつ”なのじゃー?」
l从・∀・ノ!リ人「PS3のゲームなのじゃ?GK乙!!」
∬´_ゝ`)「まったくもう……妹者ったら」
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:50:11.89 ID:qzN73Fqn0
-
私は当時、
ひよこ豆ほどの小さき女の子だったせいか
乙女がどうあるかなど、関心の外でした。
そんな事より、美味しいお菓子が食べられる方が重要でしたし。
わがままを言って、流石な兄達を困らせるほうが、
よっぽど楽しく、重要だったのです。
まったく恥ずかしいかぎりです、なむなむ。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 20:55:13.27 ID:qzN73Fqn0
-
しかし、そんなワタクシも歳を美しく重ね
世間で言う「思春期」にはいった時、唐突に思いました。
l从・∀・ノ!リ人「そうだ、乙女をめざすのじゃー!」
丁度、その頃姉者が結婚し、
「結婚」というものに、私がナニカを感じたかもしれませんし、
当時、ハマっていた、小説の影響かもしれません。
ともかく私は乙女になるという事は
「オモシロ可笑しい事」だと決め付けて、目指す決心を固めたのです。
l从・∀・ノ!リ人「のじゃーのじゃー!」
長く、美しい黒髪が、
蛍光灯の光を反射し靡きます。
この先どんなオモチロイことが、
私を待ち受けているのであろうか!
l从・∀・ノ!リ人「wktk」
と、我が興奮が
天井知らずに高まるのも宜なるかな。なのです。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:00:30.56 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人「でも、乙女ってどうしたらなれるのじゃ?」
私が目指すのが、ポケモンマスターであるなら
バッジを集め、四天王を倒し、
「キェー!」という奇声と共に、ライバルを倒せばいいのでしょうが。
「なりたいな、ならなくちゃ絶対なってやるー」と、思ったところで、
私はどうすれば乙女になれるか、皆目検討もつきません。
l从・∀・ノ!リ人「むうう、ポケモンマスターなら、
わかりやすいのに……なのじゃー…」
気持ちばかり先行し、
その日は、悶々とした気持ちで床につきました。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:04:33.70 ID:qzN73Fqn0
-
l从-∀-ノ!リ人 グゥグゥ
l从゜∀゜ノ!リ人 カッ
l从・∀・ノ!リ人「おはようなのじゃ!おはようなのじゃー!!」
「今日は気持ちのいい日だな!ぜひとも乙女探求読書がしたいな!」
次の日そう思い立ったら、図書館へ出かけます。
乙女となるには、かわいらしい挙動と、
インド人もびっくりな行動力が必要だと、私はつねづね考えているからであり、
ふと沸いた抑えがたい欲求を解消するには、
それがいい、それでいいと思い立ったからであります。
そこである本と出合ったのです。
从・∀・ノ!リ人「こ、これは…」
「おラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
从・∀・ノ!リ人「こ、これはなんとオモシロい漫画なのじゃ!」
そう、私は「じょじょ」という漫画に、出会ったのです。
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:11:47.89 ID:qzN73Fqn0
-
乙女となる事と、「じょじょ」を読む事には、
一見、なんの因果もありません。
ですが、幾千幾万と、多くの書物のあるここ図書館、
多くの人が出入りし、本が行き来する中で
その中で、わざわざ手にとったのが「じょじょ」なのですから。
ただの偶然、では、ないと綿祖は考えています。
我々は無意識のうちに、
その本との出合いを選んだのです、きっとそうなのです、なむなむ。
単に錯綜する因果の糸が見えないに過ぎないかもしれません。
が、本を巡る偶然に出くわしたとき、私は何か運命を感じてしまうのです。
そして、この日の「じょじょ」との出会いも、やはりそうでした。
l从-∀-ノ!リ人 ……zZ
一気に一巻から第4部まで、
読んでしまったワタクシは、唐突に睡魔に襲われ、寝てしまいました。
そこで、それはおこったのです――
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:14:06.20 ID:qzN73Fqn0
-
―――……
――…
コッチヲミロォォ
(゚Д゚ )
`◎ ◎〜〜
( ゚Д゚ ) コッチヲミロォォ
〜〜`◎ ◎
( ゚Д゚ )チラッ
`◎ ◎
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー!!」
まあ、眠っていたワタクシも思わず声をあげてしまいました。
なんと立派な、シアーハートアタックなのでしょう。
乙女心をくすぐる、その洗練されたフィルムに、
もうワタクシはメロメロはむはむのクギヅケです。
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:20:21.59 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人「凄いのじゃ!
シアーハートアタックなのじゃ!
近くにきら・よしかげもいるのじゃ?URYYYYYYYYYYY!!!!」
l从・∀・ノ!リ人「┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ バァ――――z____ン!!」
( ゚Д゚ ) 「これ、乙女が┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨なんていうもんじゃあない」
`◎ ◎
l从・∀・ノ!リ人ハッ
l从・∀・ノ!リ人「はしたない、乙女としたことが、うっかりうっかりなのじゃー」
( ゚Д゚ ) 「それに、私はそのシアー・ハートアタなんとかじゃないよ」
`◎ ◎ 「乙女の、精霊さ」「この姿は、キミがイメージした乙女にすぎない…」
「って、お前の乙女像、これかいっ!」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー」
私は、「のじゃー」答えます。
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:24:49.05 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人「なら、貴方は一体だれなのじゃ?」
( ゚Д゚ ) 「ふふふ、余程気になるようだねえ?」
`◎ ◎
( ゚Д゚ ) 「問われて名乗るのもおこがましいが」
`◎ ◎ 「所望とあればやむをえないだろう」
l从・∀・ノ!リ人「wktk」
( ゚Д゚ ) 「これ、だから擬音を口にするでない」
l从・∀・ノ!リ人「あい、して貴方は誰なのじゃ?」
( ゚Д゚ ) 「うむ、それでよしその前に」
`◎ ◎
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ?」
( ゚Д゚ ) 「一行AAになってもいいかい?
`◎ ◎ 「二行AAは貼り付けるのが億劫なのだ」
面倒くさがりな人なのね、思いながら私は承諾します。
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:30:04.76 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ ) 「ふぅ〜やっぱり一行AAはいいね」「
行数もとらず、改行も楽」「ぶうん小説は一行AAだね」
「渋澤あたりも、一行ならもっと人気がでるだろうに勿体無い」「実に勿体ないよ」
l从・∀・ノ!リ人「??」
身軽になったせいか、
シアーハートアタックは、訳のわからないことばかり口ずさみます。
( ゚Д゚ ) 「いやあ、すまないね」「今の私はシアーハートアタッなんとかであり…」
「そうそう、なにか、であるという質問だったね?」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー」
( ゚Д゚ ) 「うむ、いい質問だキミ、見込みがあるぞ」
不思議な荘厳さを漂わせる彼の
答えにもったいぶる様子に、私の興奮はいやが上にも高まります。
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:34:08.64 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ ) 「先程もいったがね」
「乙女の世界を司る、精霊さ」
「神様と言い換えてもいいかもしれないね」
l从・∀・ノ!リ人「ぉー、神様だなんて凄いのじゃ」
( ゚Д゚ ) 「そうそう、案外僕は凄いのさ」「覚えておき給え」
( ゚Д゚ ) 「それで、だキミは乙女になりたくて」「本を探していたのだね?」
l从・∀・ノ!リ人「あい、そうであります、私は乙女になる方法を探し、
図書館にきたのであります、のじゃのじゃ」
( ゚Д゚ ) 「ふむ……」「それで何故表紙の絵がやたらと濃い」
「“じょじょ”を選んだかは皆目検討つかないが」
「きみの願いは、本を通じひしひしと伝わったよ」
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:38:13.39 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人「本を通じて?」
( ゚Д゚ ) 「本には神様が宿っているからね」
「内緒だよ、これは」「極秘ミッションさ」
( ゚Д゚ )「マア」「そんな事はどうでもいいだろう」
「些細なことさ、この話とは余り関係ない」
「どれ、乙女の精霊が目の前にいるのだ、聞くことはないかい?」
l从・∀・ノ!リ人「ハッ、そうなのじゃ、そうなのじゃー」
私はハッと、聞きたい事を思い出しました。
l从・∀・ノ!リ人「乙女に、完成された乙女になりたいのじゃ!
乙女になるのは、どうすればいいのじゃ!?」
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:43:25.95 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ ) 「ぬぬん、完成された、ときたか」
「案外、欲張りものなんだなあ、キミは」
l从・∀・ノ!リ人「えへへ」
( ゚Д゚ ) 「イヤ、褒めてはないぞ」
( ゚Д゚ ) 「完成された……か、そうだなあ」
乙女精霊シアーハートアタック(なんかの漫画のタイトルみたいですね、なむなむ)
は、私の問いにうーんと、一拍考えます。
精霊さんでも、わからないものがあるのでしょうか
私は、小首を傾げました。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:45:06.85 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「キミ、キミ」
l从・∀・ノ!リ人「あい?」
( ゚Д゚ )「世界は何故、完成したかわかるかい?」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ?」
世界?乙女じゃなくて?
と、続いて言おうとしましたが、
精霊さまがそれを防ぐように、言葉を重ねます。
( ゚Д゚ ) 「神様が、恋をしたからなんだよ」
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:52:08.16 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人「恋をしたから?
なんだかロマンティックなのじゃ」
( ゚Д゚ )「そうなんだよ、世界ってやつは」
「案外、ロマンティックな奴なのさ」「ハハハ…」
( ゚Д゚ ) 「これ、キミ、質問を続けるが
なぜ夜があるか、しっているかい?」
l从・∀・ノ!リ人「いや、同じくわかんないのじゃ」
( ゚Д゚ ) 「世界が出来たばかりの頃はね」「夜なんてなかったのさ」
「ずーっと朝で、ずーっと昼だった」
l从・∀・ノ!リ人 「のじゃのじゃ」
( ゚Д゚ ) 「君も知ってるように、
神様が世界を作ったあとで、とられた短い安息の日、
まぁ、今で言う日曜日だね 俗に言う休息日で、かみさまは恋をしたのさ」
l从・∀・ノ!リ人 「恋?」
( ゚Д゚ ) 「そう恋さ」「恋は突然ラブスイートハリケーン」
「下界の少女に恋をしたんだ」
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:54:44.51 ID:qzN73Fqn0
-
l从・∀・ノ!リ人 「恋?」
( ゚Д゚ ) 「そう恋さ」「ラブスイートハリケーン」
「下界の少女に恋をしたんだ」
神と下界の人間との恋なんて、
シェイクスピア以上の身分差の恋じゃありませんか
「重ね重ねロマンティック!」
私は、思わず叫んでしまいました。
( ゚Д゚ )「そう、重ね重ねロマンティックなのだよ」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃのじゃ」
話は、まだまだ続きます。
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 21:59:48.35 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「何かの理由があったわけではなく、
一目惚れであったそうだ」
( ゚Д゚ )「僕はね、理由がないというのは、実はきらいでね」
「なんにしても、理由はある」「あるべきだと思っているのだよ」
「でもね」
( ゚Д゚ )「でもね、恋は別さ」
「恋はね、そんな言葉や理由なんて陳腐なもので、表現できるはずがないんだ」
「表現してるやつがいるとすれば
そいつは表現できてる気になって、自分に酔ってるだけの大バカナルシストか、
愛を謳う事で女を口説く、うそをつきな女好き、のどちらかだよ」
l从・∀・ノ!リ人「成程なのじゃー」
「恋とは、美味しいお酒のようなのですね」
続けて、言葉をこぼしてしまいます。
( ゚Д゚ )「そうだね、電気プランのやうなものさ」
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:03:26.93 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「まあ、そういう訳で神様は恋をしてみまったんだが」
「この恋した相手が悪くてね」
「神様相手だというのに、やたらと、つーんとするのだ」「つーんとね」
l从・∀・ノ!リ人「なるほど、それが恋の駆け引きというやつなのですね」
「なんだか、オトナな感じです」
( ゚Д゚ ) 「そんなカワイラシイものなら、いいんだがね」
ξ )ξ『ワタクシ、二面性がある殿方が好きですの』
(; ω )『あうあう、そんな事いわれても…』
( ゚Д゚ )「っと、神様相手にこんな感じだよ?信じられるかい?」
「カーッ、なあにが二面性だい、ワタクシだい
このぼんちらけ、素直に「ギャップ萌え!」といえばいいじゃあないか
そっちの方がよっぽどわかりやすいし、好感がもてるよ」
l从・∀・ノ!リ人 「なのじゃー」
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:10:11.47 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「人間と違って神様は完成された生き物だからね
不安定な一面など、
あわせもっていないし、二面性なんてなかったのさ」
( ゚Д゚ )「まあ、そんな感じだよ」
「それでも少女を諦めきれない神様は、
自分の息子とも言えるこの“世界”に二面性を与えたのさ」
「最早完成し、改良の余地のない」「自分の代わりにね」
( ゚Д゚ )「そう、夜が生まれたのは、一つの恋がきっかけなのだ」
「神様が、とある少女に、恋をしたんだ」
l从・∀・ノ!リ人 「おおう、新事実なのじゃ」
( ゚Д゚ )「こうしてできた夜……」
「ホントウに無理やり、力技でできた霞のやうな、二面性なのだが」
( ゚Д゚ ) 「なんとか手に入れたこの夜という二面性を武器に」
「ようやく神様はその少女と結ばれた
そして、宗教という子を産んだのだが・・・マア、この話はまた別さ」
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:14:12.52 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「神様が夜でいる間は、少女も神様を愛してくれたが
ただ、あまり夜を長くすると、
少女は夜も飽きて、愛してくれなくなる」
l从・∀・ノ!リ人「パラドックス!なのじゃ」
( ゚Д゚ )「だから、神様は夜を短くし―――
つまり、恋が出来る時間を泣く泣く、短くしたのさ」
( ゚Д゚ )「こうして、世界に夜という二面性が加わり、完成と相成った」
「ついでに」精霊さまは言葉を紡ぎます。
( ゚Д゚ )「神様が創った人間も、世界と同時に神様の息子だからね、
当然とばっちりを受ける
恋を出来る時間は、神様と同じく、夜ほどの短かさになり、
人生において、なかなか恋は成就するものではなくなったのさ」
- 63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:19:23.79 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「まあ、そんな感じだ」
「わかったかい?」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー!」
私は、精霊さまのお言葉に、いたく感動致しました。
口はこんなにニンニク臭いのに、
仰るお話は、こんなにも甘くスウィーティーだからです、なむなむ。
l从・∀・ノ!リ人「それで」「どうしたら」
l从・∀・ノ!リ人「ワタクシは、乙女として完成するのですか?」
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:21:30.31 ID:qzN73Fqn0
-
( ゚Д゚ )「きみも、乙女として完成をめざすなら」
「そうだなあ」
「やはり世界と同じく‘恋’がきっかけになるとおもうね」「そうなるべきさ」
( ゚Д゚ )「そうすることで、きみもこの世界と同じく乙女として、
完成、大成するものだと」「ぼくはおもうなあ」
l从・∀・ノ!リ人「ほうほう」
( ゚Д゚ )「ようし」「なんだか気分が乗ってきた」
「一つ、言葉をおくろうじゃあないか!」
l从・∀・ノ!リ人「おおー!」
私は、高鳴る胸を押さえきれず
思わず禁じられた「wktk」と口ずさんでしまいます。
- 65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:25:02.43 ID:qzN73Fqn0
-
―――――「夜は短し、歩けよ乙女」
( ゚Д゚ )「ってね」「いい言葉だろう?」
「そう、いい言葉なのさ」「ボクのいう事が、大抵善いことだからね」
l从・∀・ノ!リ人
l从;∀;ノ!リ人「のじゃー!いい言葉なのじゃー!」
精霊の言葉が、
いたく私の胸を打ちました。
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:27:21.36 ID:qzN73Fqn0
-
「ロマンチック・エンジンというものを、誰もがもっているだよ」
「なんかの本で読んだから、まちがいない」
「ぼくは、いまきみのソレに燃料をいれたんだよ」
続いてでてくる精霊さまの、
お言葉はよく、聞こえず、意味もわからなかったのですが。
たしかに、ゴウッという、
ワタクシの「ロマンティック・エンジン」が点火したのがわかりました。
l从;∀;ノ!リ人 のじゃーのじゃー!
そして、私は心の中で断崖に立って維新風に叫びました。
「乙女の世界を、歩きだすぜよ!」
ぜよ!
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/16(金) 22:31:18.30 ID:qzN73Fqn0
-
こうして、火の灯った
ワタクシのロマンティック・エンジン。
このような、まさかに奇奇怪怪というべき珍事、
誰も信じてくれないのは明白でありますが。
私は家を出て完成された乙女と成るべく
夜の街を歩く、決心をしたのです。
はじめて一人で出た外は、
冬らしい爽やかな風が吹き、空気は良い匂いが致しました。
l从・∀・ノ!リ人「夜は短し、歩けよ乙女」
一言そう呟くと、押さえ切れない
キラキラとした胸の高まりと共に私は夜の街へ消えたのでした。
l从・∀・ノ!リ人 夜は短し歩けよ妹者のようです 前編 了
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